ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

147 / 301
お待たせしました。
サブタイトルの意味は今回の終盤に。
前半から中盤はオカ研中心です。ついでに魔王様。


それでは本編をどうぞ。


薔薇堕とす悪意の霧

 翌日の昼、ノアは作成されたビデオレターを受け取り、真選組と共に自分の【エリア】へと帰って行った。

帰り際まで騒がしく思ったが、いざいなくなってみると妙に静かに感じるのはやはり楽しかったからなのだろう。

 

 そして、数日後のオカ研部室にて……

 

 

「冗談じゃないわ!」

 

 

リアスの怒声が響き渡る。カナエとアーシアは何も聞いていない為、何がどうしたのか分からないが、一誠とトライスクワッドの三人はすぐに気がついた。なにせそれを知る切っ掛けは自分らだったのだから。

 

 

「確かに悪魔、天使、堕天使の三すくみのトップ会談がこの町で執り行われるとはいえ、突然堕天使の総督が私の縄張りに侵入していたなんて!」

 

「リアス…そこはレジェンド様の、じゃないの?」

 

「あ」

 

「でも、レジェンド様は被害を出さなければそういうのは気にしないと思います」

 

 

しまったという顔をしたリアスだがアーシアがフォローを入れる。実際問題が起きなければレジェンドは割と寛容なのだ。

 

 

「そ、それはともかく!私のイッセーにまで手を出そうとするなんて万死に値するわ。アザゼルは神器に強い興味を示すと聞くし、堕天使勢が親交を深めたのもあの数々のアイテムを他のウルトラ兄弟に授けたというゾフィーと、武器の扱いには一日の長があるとされるウルトラマンジャック。きっと私のイッセーが『赤龍帝の籠手』を持っていたり、タイガ達と一体化してるから接触してきたのね。心配ないわ、イッセー。私が絶対に貴方を守ってあげる」

 

 

ちょっと前だと不安だったが、今のリアスなら確かに相手がアザゼルであろうと油断していれば少なからず痛手を与えられる実力がある。

それを聞いてカナエ、アーシア、朱乃、それに小猫は溜息を吐く。これは別にリアスに対してではない。

 

 

「私もそういう台詞言いたいけど、レジェンド様一人で簡単になんとかしちゃうし」

 

「むしろ守られてしまいますし……」

 

「いっそ『私を守ってくれますか?』で攻めてみましょうか……でも、もし断られたらどうしましょう……」

 

(ソランさんはどうなんでしょうか……)

 

 

恋する乙女故の悩みである。レジェンドにせよサーガにせよ、彼らを守るとなるとハードルが永遠に飛び越えられないんじゃないかと思う程上がるのは仕方ない。

 

 

「でも、納得と言えば納得だよな。一応この世界でもレイブラッド事変以降、しかも比較的最近になって時々怪獣は出てたみたいだけどそれはレジェンドが解決してただろ?でもこの前の魔王獣にせよ、えっと……なんとかゲームの時の奴にせよ、この町で立て続けに怪獣が出現した場所にいながら生還してるとなったら目をつけられてもおかしくないか」

 

「もしやと思うがこの星の人間だけでなく、三大種族も怪獣達に対抗する術が無いのかもしれないな」

 

「って事は俺達やイッセーを対抗手段として欲してるってわけか?本人の意思も聞かずそりゃ横暴だろ」

 

 

実を言うと対抗するだけの戦力を持つ者もいるにはいるのだが、数が殆どいないのは元より一定の強さまでしか対処出来ないのだ。また、技術的な面でも束を筆頭に充実している光神陣営にはまるで及ばない。

戦力として欲しがっているとしても理解は出来る。

 

 

「あ、あの……部長……」

 

「どうしたの、イッセー?不安なのは分かるわ。でも大丈夫よ」

 

「い、いえ……実は……」

 

 

なんとか声を出す一誠。その理由は不安からではない。

 

 

「最っ高に良い気分なんですけど……そろそろ……息が……」

 

「え?」

 

 

なんとなく予想出来たと思うが、リアスが一誠の頭を思いっきり自分の胸に押し付けながら抱きしめているおかげで酸欠になりつつあった。幸せこの上ない状況かもしれないが、このままでは堕天司が言ったのとは別の意味で達する。もしくは逝く。

 

 

「ご、ごめんなさいイッセー!!」

 

「いや、息苦しくなっただけでむしろ最高のご褒美でした!」

 

 

……目の前でイチャつかれ、カナエと朱乃はレジェンドの寝床に突撃する事を心に誓った。普通に一緒に寝るだけだがレジェンド相手だとそれも一苦労であるが。

ちなみにアーシアはご存知の通り、基本的に毎晩オーフィス共々一緒に寝ている。小猫は比較的常識ある行動をとり(そもそも今はサーガが留守)、喋ってないからいる事を忘れがちだが先日入学・入部したゼノヴィアはまだサーガをそういう対象……というか恋愛がどういうものか理解している真っ最中。

 

 

(皆青春してるなぁ……僕は僕らしく青春しよう。なんと言っても今度の休日はノダチザムシャーさんとフガクさんと一緒にハンティングが出来る日だ)

 

 

裕斗は裕斗で七星剣であるノダチザムシャー、ババルウ星人フガクという超大物二人とプラズマメタルキングジョーを狩りに行くのを楽しみにしている。ジェントと養子縁組してから彼らを始めとした実力者と交流が出来たのは凄まじい収穫だ。

 

 

「でも何で今になってその総督とやらが接触して来たんだ?正直ウルトラマンならコカビエル……ってか魔王獣とやり合う前にも結構大衆面前で現れてるだろ。イッセーが珍しい神器持ちだってのは分かるけど、俺達と一体化してるからって会いに来る理由が分からねー」

 

「――アザゼルは昔からそういう男だよ」

 

 

いきなり声がしたかと思えば、そちらを向いてみるといつの間にやらある人物が立っていた。

そう、かつてレジェンド一家の仮住居に結界を破壊してまで入ろうとして継国縁壱を怒らせた身の程知らずな……

 

 

「あ、不法侵入者さん」

 

「いやサーゼクス!サーゼクス・ルシファーだよ!?お願いだからその呼び方はやめてくれないかな!?」

 

 

カナエがさらっと言った呼び名に反論するのはリアスの実兄にして魔王であるサーゼクス・ルシファー。

突然の彼の登場にリアスとその眷属はドタバタしながら跪き、トライスクワッドはその様子を見てとりあえずしっかり並んで立つ。

ただしカナエやアーシア、ゼノヴィアは所属がまるで違うのでそのままだ。カプセル怪獣を愛でるので忙しい。

 

 

「コカビエルのような残酷な性格はしてないよ。代わりに悪戯好きではあるがね。ああ……今回の訪問はプライベートだ、そう畏まらずに楽にしてくれたまえ」

 

「いつもと同じ格好で来てプライベートだから楽にしろと言われても無理だと思いますが」

 

「あ、相変わらず君は手厳しいね……」

 

 

またもカナエが言うがそれはそうだろう。いつもの魔王衣装に身を包んだまま訪問されたらそうもなる。

今更だがレジェンドの場合は最近はよくそのまま戦闘などになる為、今までのいつもの衣装は式典などのイベント事に着るようにし、普段はアーシア救出戦時に着用した色違いのATXジャケット……もとい、戦闘コスチュームを着ている。普段着でも遜色がないデザインで助かった。

 

 

「しかし……いいね、そのポスター。なるほど、この部活の勧誘や怪奇現象の解決請負を兼ねてるのか……個人的にはここにさらにタロウを加えてほしいんだが。あ、個人的にだから私用の一枚だけでいいよ」

 

「ぶ、部長さん!ポスターのご注文入りましたぁ!」

 

「分かったわアーシア!ってなんでそうなるのお兄様!?」

 

「あ、私とアーシアちゃんはレジェンド様でね♪それからマント付きで」

 

「これは販売品の原本じゃないわよ!?そもそも私はレジェンド様のウルトラマンとしての姿はうろ覚えなんだから!」

 

 

トライスクワッドを前面に出したオカ研のアピールポスターは大層人気があるらしい。後日、冥界で実家に嬉々として拡大したポスターを貼るサーゼクスをルミナシアが目撃したという。

 

 

「そうじゃなくて!どうしてお兄様がここに!?」

 

「何言ってるんだい、リアス。授業参観が近いのだろう?私も参加しようと思ってね。妹が友人と共に勉学に励む姿を是非とも見たいんだ」

 

 

そう言ってサーゼクスが取り出したのは今日配られたばかりの授業参観のお知らせプリントだ。

よって、その場の全員が持っているのだが……

 

 

「えっとサーゼクス……さん?それイッセーも貰ってたけど今日の話だよな?なんで貴方が持ってるんだ?」

 

「ああ、タイガ君。実はだね……」

 

「私がソーナ様に申し上げまして、追加で直接頂戴しました。お嬢様の事ですからこちらには連絡しないだろうと思いましたので」

 

 

サーゼクスの背後からルミナシアが姿を現す。

そして、すっかり忘れていたが彼らに口止めする事を忘れていた。

 

 

「「「「え、グレイフィアさん?」」」」

 

「「!?」」

 

 

ゼノヴィアとトライスクワッドが同時にグレイフィアの名を口にした時、サーゼクスとルミナシアには衝撃が走った。他のオカ研メンバーはしまったと言う顔をしていたが。カナエとアーシアはもちろん、リアスからそれ以外のメンバーにもグレイフィアの事はまだ言わないように言っていたのだが。

かつてサーゼクスが仮住居を訪問した時はお茶の用意だけ済ませてハンターズギルドとダイブハンガーを行き来していた為に会っていなかったし。

 

 

「すまない、君達……どこでその名を?」

 

「へっ?いや、レジェンドのところでメイドしてたけど……」

 

「……そうか、ありがとう。彼女はどうしてる?幸せそうだったかい?」

 

「ああ。周りの影響もあるだろうが、私から見ても心からの笑顔が多かった。この額のアストロスポットと胸のスターシンボルにかけて保証しよう!」

 

「なら、よかった。生きていたなら今後会う機会があるかもしれないし、彼女が幸せならばそれもまた喜ばしい事だ」

 

「あー……なんか俺らマズい事言ったのか?」

 

「むう、そうらしい。私もサーガ様からそういった事は何も聞いていなかったしな」

 

 

どうやら問題なくこの件は収束したようだ。教える機会があったトライスクワッドはともかく、ゼノヴィアは直属の主たるサーガがグレイフィアの事を黙秘しておくと言うのを知らなかったので仕方ないのだが。

しかし、レジェンドのところにいるというのを年齢的にタイガ達が知っているのはともかく、ゼノヴィアが知っている事に違和感を抱かなかったのだろうか。

しかし、こちらが終わると別の問題にシフトしたようで……

 

 

「まさか、ルミナシアね!?お兄様に授業参観の事を伝えたのは!」

 

「はい。学園からの報告はグレモリー眷属のスケジュールを管理している私に届きます。同時に私はサーゼクス様の『女王』でもある為、主に報告させて頂きました」

 

(……そこまで管理されてたら息とか詰まらないかしら)

 

 

ルミナシアの言葉からそう考えたカナエだが、思い直してみればレジェンドやサーガが大分寛容というか、大半はあの二人だけで仕事が片付いてしまうから部下に苦労が回って来ないのかもしれない。鬼灯も早くレジェンドの下に戻りたいとよく愚痴を零しているし。

 

 

「その報告を受けた私は、如何に魔王職が激務であろうと休暇をとってでも妹の授業参観に参加したかったのだよ。安心しなさい、ちゃんと父上もお越しになられる」

 

「そうではありません! お兄様は魔王なのですよ? 仕事をほっぽり出してくるなんて! 魔王が一悪魔を特別視されてはいけません!」

 

「いやいや、これは仕事でもあるんだよリアス。三すくみの会談をこの学園で行うのは知っているだろう?会場の下見に来たんだよ。こういう事はちゃんと連絡を取り合ってくれるようになったのに何故授業参観の事は知らせようとしてくれなかったのか……」

 

(あ、そういえばサーゼクスさんって父さんと同じタイプだっけ……)

 

 

タロウは親バカ、サーゼクスはさらにそこにシスコンが追加される。よってこんな感じなのだ。

 

 

「ふむ、サーゼクス殿。この学園でやる事に意味はあるのか?ここでなくとももっと相応しい場所はあると思うが」

 

「ああ。この学園はどうやら何かと縁があるようだ。我が妹のリアス、伝説の赤龍帝、聖魔剣使いにデュランダル使い、魔王セラフォルー・レヴィアタンの妹が所属し、コカビエルと白龍皇が襲来して来た。おまけに二度……最初はここを模した空間だったが、怪獣が多数出現しており、それに呼応するかのようにウルトラマンも現れた。これは偶然では片付けられない事象だ。様々な力が入り混じり、うねりとなっているのだろう。そのうねりを加速させているのは兵藤一誠君、君だと思うのだが」

 

「え!?俺ですか!?」

 

転生悪魔であり、赤龍帝であり、そしてタイガ達をその身に宿す存在。堕天司ベリアルも彼を『特異点』と呼んだ。そう思うのは当然だろう。

しかしここでまたカナエが異を唱える。

 

 

「この学園ではなく、この世界自体がそのうねりの中心だと、私達の主は考えていますが」

 

「この世界、自体が……?」

 

「そもそもこの世界、レジェンド様やウルトラ六兄弟が訪れはしていても、元はウルトラマンが存在しない世界でした。何が切っ掛けかは分かりませんが、この世界そのものが今起きている事象の原点ではないかと、そうお考えでした」

 

「それはどういう……」

 

「私から話せるのはここまで……というかこれくらいしか知りませんので。後はあの方から直接お聞きした方がよろしいかと」

 

 

カナエはそこまで言って、再びモスラに構い始めた。

アーシアの方はゴモラが寝始めてしまったので無理に起こさないように見守っている。よく寝る怪獣である。

ゼノヴィアはというと、とりあえずサーゼクスに挨拶しておく事にした。

 

 

「貴方が魔王か。初めまして、ゼノヴィアという者だ。元ヴァチカンの聖剣使い、今は光神サーガ様の御使いをやらせて頂いている」

 

「……え」

 

 

今なんて言ったのこの子。サーゼクスはそんな間抜けな顔をしていたが、ルミナシアも目を見開いている。

 

 

「こちらのアーシア・アルジェントから見ると後輩にあたる立場だ。彼女はレジェンド様の巫女だからな」

 

「「!?」」

 

「ひうっ!?」

 

 

いきなりぐりんっ!と顔を向けられたアーシアは流石に驚いた。全く同じタイミングでサーゼクスとルミナシアが顔を向けてくるなど、これが悪魔なら「何したのコイツ」で済むのだが。

 

 

「ちなみに余計な情報かもしれないが、私の今の師は神衛隊所属の継国巌勝殿だ」

 

「ちょっと待ってくれない!?今なんか体が拒絶反応するような名前が……」

 

「巌勝殿か?レジェンド様の直属の部下とされる継国縁壱殿という人物の実兄と聞いたが」

 

「ぎゃあああああ!!??」

 

 

サーゼクスは突然顔を青くして叫び声をあげた。前の事がトラウマになっているらしい。いや、アンタ最後は普通に会話してただろうに。

 

 

「む、何やら様子がおかしいぞ。何があったんだ?」

 

「以前、お兄様はレジェンド様の仮住居の周辺に張ってある結界を破壊してまで入ろうとしてたのよ。それを感知した縁壱先生に威圧されながら問い詰められてたわ」

 

 

ついでにその時リアスはサーゼクスを自業自得と見捨てている。さもありなん。

どうにか落ち着いて咳払いするサーゼクス。なお、ゴモラが忌々しいものを見る目で睨んでいる。良い感じで夢を見ていたところをあの叫び声で起こされたからだ。

何かとレジェンド関係者の怒りを買うような真似をする御仁である。

 

 

「さて、これ以上ここで難しい話をしていたら際限無くなってしまうしここまでにしよう。我々悪魔はともかく人間の子もいるしあまり遅くなるといけない」

 

 

とか言いつつ既に夜十時だ。元鬼殺隊であるカナエの場合、鬼狩りは基本的に夜に行われていた為、遅い時間でも問題ない事を漸く身体が思い出してきたらしい。

アーシアとゼノヴィアもそれぞれレジェンドとサーガの光気のおかげである程度までなら夜更かし状態でも体調に影響が無くなっている。

 

 

「とはいえこの時間にこの辺りで空いている宿泊施設はあるだろうか……」

 

「……なんでそこで私達を見るのかしら、お兄様」

 

「いや、出来たら泊めてくれないかな〜と……」

 

「イッセーの家に居たのはついこの間までよ。今はレジェンド様のところにイッセーや皆共々下宿させてもらってるわ」

 

「「え゛」」

 

 

サーゼクスとルミナシアが固まった。つまり泊めてくれというのは光神たるレジェンドに頼まなければならない。この時点で二人は詰んでいる。レジェンドの連絡先なんて知るわけが無い。妹やその眷属が厄介になってるのもそうだが、さすがに魔王として図々しすぎるのは如何なものかと思っていたが……

 

 

「……もしもしレジェンド様ですか?私、カナエです。すみません二名程無計画に現世に出て来て泊まる場所に困っている悪魔がいるのですが……」

 

『何だそのバカ共は。まさかそれが魔王です、とかだったら神経疑うぞ』

 

「そのまさかです」

 

『……本気でこの世界の冥界の明日が不安だな』

 

 

カナエはスマホでレジェンドと連絡を取る。

そこから聴こえてきた会話にサーゼクスは小さくなっている。

だが、リアスは庇わない。

 

 

『まあいい。ダイブハンガーは駄目だが仮住居の方は使っても構わんぞ』

 

「ありがとうございます。ちなみに何でダイブハンガーは駄目なんです?」

 

『全員で徹ガン(徹夜でガンダム鑑賞会)中だ。ゼットが一年戦争について知りたいと言うから、態々惑星レジェンドから取り寄せた記録映像を観ていたら我が家の全員が集まってしまってな。来てももてなせんのは当然だが邪魔されたくもないからだ。お、いよいよ来たな大気圏突入』

 

「え!?何ですかそれ私も観たい!仮住居でいいですよね!?ハイ決定!解散!モスちゃんゴモちゃんカプセルの中でのんびりしちゃって良いから戻ろうね?準備完了!皆、早く帰らないと徹ガン終わっちゃう!」

 

 

徹ガンって何!?という声を無視してアーシアとゼノヴィアの手を引いて爆速で部室を後にするカナエ。全集中・常中の使い方を間違っている気がする。ついでにレジェンドからのダイブハンガー宿泊の断り文句も一般家庭のそれだ。もっとも、規模は段違いだが。

 

 

「え、えっと……」

 

「とりあえずは了承してくれた、という事でいいのかな……?」

 

「おそらくは……」

 

「仮住居ならいいという事ですし、早くしましょう」

 

 

いまいち釈然としないが、泊めてもらう以上文句は言えない。仮住居とはいえ十分過ぎるところだ。小猫の言葉を皮切りに全員が仮住居へ向かい、そこで下準備をしていたカナエらと合流。サーゼクスとルミナシアを客間に案内して注意事項その他を伝えた後、すぐさまダイブハンガーへと帰って行った。

 

 

「私もダイブハンガーとやらがよかったなあ……」

 

「我が儘言わないで下さい、サーゼクス様。ここもこれだけ立派だというのに」

 

「だって海に秘密基地なんてロマンじゃないか!」

 

 

海どころか山にも秘密基地持ってます、レジェンド。惑星レジェンドにある本居の書斎は魔境です。

駄々をこねるサーゼクスをハリセンで一撃K.O.しつつ、ルミナシアは寝所に入った。

 

 

 

 

 とある研究所の一室。遺伝子工学の権威と呼ばれる科学者・黒上博士はテロにより失った愛娘・絵里の細胞を薔薇に組み込んで保存していた。

しかし、ここ最近の地震の多発……おそらくは怪獣の出現によるものだが、その影響でケージが破損し薔薇は枯死の危機に瀕している。

 

 

「このままでは、薔薇が……絵里が……」

 

 

黒上博士は焦っていたが、解決策が見出せない。予てより生み出そうと考えていた『永遠の命を持つ植物』。しかし、それを実現するには足りないものがあった。それは……

 

 

 

 

 

「随分と酷い事をするものだ」

 

 

 

 

 

黒上博士がその声の聞こえた方向を向くと、そこには白半分・黒半分という特徴的な服を着た青年が立っていた。

 

 

「だ……誰だ!?」

 

 

青年はその言葉に答えず、破損したケージに入れられている薔薇に近づきながら言う。

 

 

「この薔薇は素晴らしい。育てていた者がどれだけ大切にしていたのか分かる。まるでその者の心のように、優しく……そして美しい」

 

「それは……娘が、絵里が育てていたものだ。絵里は……」

 

「テロに巻き込まれて命を落とした」

 

「!!」

 

 

何故、それを知っている。この男は何者だ。

そう思う黒上博士だが、その青年の言葉はゆっくりと彼の心を捕らえていく。

 

 

「言っただろう?酷い事をするものだと。心無いテロリスト達のつまらない欲望によって、崇高な精神を持った一人の女性がこの世を去ってしまった。地震のせいとはいえ、その連中がテロなど起こさなければそもそも君の娘が命を落とす事はなかった」

 

「……そうだ。奴らがそんな事をしなければ、今も絵里は平和に暮らしていられる筈だったのだ」

 

「その通り。そして今も、その娘の忘れ形見は枯死の危機に瀕している。しかし……私はそれを救う手立てを持って来た」

 

「な…何だって!?」

 

 

そう言うと青年は懐から小さなケースを取り出す。

ケースを開けると中にはさらに特殊な容器に収められた『何か』があった。

 

 

「これはある生物から採取された特殊な細胞だ。名前は『G細胞』……不死身の生命力を持つと言われているものだ」

 

「不死身の生命力!?」

 

「そう、不死身の生命力を持った細胞だ。これをその薔薇の細胞と融合させれば、仮に不死身でなくとも君が生きている間は枯死する事も無くなる。さすがに君が亡くなってしまえば薔薇も寂しがって後を追ってしまうかもしれないが」

 

 

青年の持つそれは今の黒上博士にとって喉から手が出る程欲しいものだった。嘘か本当かなどどうでもいい。可能性があるなら全て試してみたい。

そして、さらに青年は驚きの言葉を紡いだ。

 

 

「私はこれを君にプレゼントしに来たんだよ」

 

「な……!?」

 

「考えてみたまえ。君はこれを手にしても決して悪用したりしないはずだ。ただ、薔薇の……娘の延命に使うだけ。誰にも迷惑はかけない。誰にも酷い事はしない。そう、誰かの命を奪うわけじゃない……」

 

「あ……ああ……」

 

 

まるで洗脳するかのような優しく、甘い囁き。青年が手にしたケースの中の細胞と相まって、黒上博士は次第に『堕ちていく』。

 

 

「もしそうなっても……悪いのは全て、君から大切な娘を奪ったテロリスト達。そうだろう?君は全く悪くない」

 

「ああ……そうだ、その通りだ……私と絵里は悪くない……」

 

 

手を伸ばしてきた黒上博士に、ニヤリと笑いながらケースごと手渡す青年。それを受け取って抱えながら黒上博士は青年に問う。

 

 

「ありがとう……この礼は必ず……」

 

「そんなものは不要だ。私はテロリストを心底憎んでいてね……連中が後悔するようにしたいだけなのだよ」

 

 

その言葉の真意を、黒上博士は知る由もない。

 

 

「では、ごきげんよう。君が無事にその薔薇と一生を終えられるよう願って、失礼させて頂く」

 

 

まるでマジシャンのような礼をして青年はフッと消えてしまった。黒上博士もこれに驚くが、今はこの細胞を使って薔薇を枯死から救う方が先決だ。

 

 

「待ってろ、絵里……父さんが助けてやるからな」

 

 

青年に感謝しつつ、黒上博士は薔薇の細胞にG細胞を融合させていくと、薔薇は見る見るその美しい姿を取り戻していく。無事に薔薇が枯死の危機を脱すると、黒上博士は涙を流しながら喜んだ。

 

 しかし、その事がこれから起こる事態の幕開けでもあった。それを知るのはただ一人……G細胞を黒上博士に渡したあの青年しかいない。

 

 

 

 

 

「エゲツないねぇ、ギアさん。おっと……その姿の時はサキさんの方がいいかい?」

 

「どちらでも構わないさ、ベリアル。それにえげつないとは心外だな。私は夢を叶えてあげただけだよ。そう……夢を、ね」

 

「ッハハハ……マジでファーさん並のイカれ具合、やっぱり最高だぜギアさん。アンタとファーさんが組んでから愉しい事ばかりだよ」

 

「それは良かった。だが……これはまだまだ始まりに過ぎない。ここからさ、何転もして面白くなっていくのは」

 

「マジかよ……ここで焦らしプレイとはどんだけ俺の性癖を突いてくんだよ、ギアさん」

 

 

堕天司ベリアルと共に笑う青年は空を見上げながら呟く。

 

 

「さあ、これから起こる事に動くのは誰かな?光神が直々に動くのか、それともウルトラ兄弟達が動くか……いずれにしても楽しみだ。個人的にはタイガに来てほしいな。そう思わないか?」

 

 

我が友よ……

 

 

 

〈続く〉




ファンの方ならお分かりでしょう。
奴が登場し、ついでにとんでもないものを生み出すように仕向けてきました。
カプセル怪獣も本格的に活躍するため、最初からかなりの大物を出す気満々です。


それではまた次回。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。