ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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お待たせしました。前編後編再びです。

ほのぼのとか言いつつシリアス混じってる上、プール開きも導入部分だけで次回へ持ち越し。
ついでに漸くゼロに誕生日プレゼントが渡されました。


それでは本編をどうぞ。


ほのぼの日和とプール開き(前編)

 前回、サーゼクスを仮住居に案内してから、裕斗を除くカナエ達がダイブハンガーへ帰って来て見たものは……

 

 

「「「「「……」」」」」

 

「フンフフフーンフフーン♪」

 

 

笑顔で鼻歌を歌いつつ見た事無いMSを磨いているレイトだった。しかも動きがやけに機敏だ。

 

 

「レイト君……?」

 

「ん?お!カナエや一誠達じゃねえか!おかえり!」

 

「あ、はいただいま……先輩、どうしたんスかそれ……?」

 

「よくぞ聞いてくれたぜ!!」

 

 

いきなり声を張り上げたレイトに全員が驚く。

ただ、カナエとアーシアはどこかで見覚えがあったのを思い出して口にする。

 

 

「「ダブルオー……?」」

 

 

そういえば、シミュレーターの訓練内容を外部モニターで出力出来るようになってから皆でよく観戦したりしてたが、その中でレイトはよくダブルオーライザーを使って一際奮戦していた。

レジェンドやサーガ、機動兵器の操縦が本職である神衛隊の面々を除けばダイブハンガーではC.C.に次いで実力があるだろう。短期間でよくぞここまで成長したものである。さすが「戦う度に強くなる、まるでサイヤ人」と称されたウルトラマンゼロ。

 

 

「惜しいな二人とも!確かにダブルオーライザーだがちょっと足りないぜ!」

 

「ちょっと……あれ?」

 

「ダブルオーライザーにあんなの付いてましたっけ……?」

 

 

脚部には増加装甲らしきものも付いているし、何より複数種の大型実体剣が両肩や背部にマウントされている。

そもそもオーライザーのサイドバインダーがダブルオーガンダムの両肩に装着されてない上、オーライザーの形自体が何か違う。

 

 

「フフン!こいつの名前はダブルオーザンライザー・セブンソード/G!まさに究極のダブルオーガンダム!もちろん俺の専用機だ!」

 

「「「「「えええええ!?」」」」」

 

 

オカ研本日一番の驚き。

これは先刻、かのエクスカリバー事件でドタバタしていてすっかり渡すのを忘れたままだったのを思い出したレジェンドが、サーガと連絡を取り合って彼が帰って来る前にレイトに渡す事の了解を取り付けた為だ。

元々連名で渡すというだけだったので、サーガは別段問題がなく結果無事にレイトの手に渡ったというわけである。

「遅れたが誕生日おめでとう」とこれを渡されたレイトことゼロは嬉し泣きしまくったらしい。誕生日に巨大ロボとかどこの大戦の主人公だと思わなくもないが、本人が喜んでるんだからまあいいか。

 

 

「俺はこれからコイツに乗ってシミュレーターモードやるからまた後でな!あ、徹ガンやってるレジェンド達ならリフレッシュルームの巨大モニターで観てるからそっち行った方がいいぜ!」

 

「え、あ、うん。ありがとうレイト君」

 

 

言うやいなやコックピットへと入るレイト。

ちなみに貰った直後、すぐに外部のシミュレーターと通信対戦モードで模擬戦を行った結果、初搭乗にも関わらずC.C.以外の黒歌、夜一、リク、ゼットを四対一で勝利している。ゼロ師匠スゲェ。

なおC.C.にはトランザムが切れたところにガリバートルネードをブチ込まれて撃破されてしまったが、さすがに一時的とはいえ弱体化した直後、間髪入れずに特機の必殺攻撃は回避も防御も無理だし耐えきれなかった。これは仕方ない。

 

 

「……背中の戦闘機、乗せてもらえないかな……」

 

「タイガ、気持ちはわかるけどよ……」

 

「私の肉体を活かすならモビルトレースシステムとやらだな!」

 

「旦那まで何言ってんだ!?」

 

 

どうやらトライスクワッドの面々は同じウルトラマンであるゼロが専用機たるロボットを貰ったのが羨ましいようだ。ゼットもシミュレーターをよく使ってるし。

 

 

「さ、早くレジェンド様達にもただいま言って着替えましょ!」

 

「カナエ、全集中・常中を変なところでフル活用するわよね……」

 

「事は一刻を争うわ!正しい使い方よ!」

 

 

絶対違う。

 

 

「……でも、戦争って言ってましたし、私達も見るべきだと思います。他人事ではなくなるかもしれませんし」

 

「「「「……」」」」

 

 

小猫の一言はカナエ以外のオカルト研究部メンバーの心に深く刺さった。今ここにいるメンバーで戦争に近い事を経験しているのはトライスクワッドを含めても、鬼との生存競争のような状況だったカナエや、ヘラー軍団との戦いを経験しているタイタスくらいだろう。

その中でカナエは元の世界で命を落とし、タイタスは友人にして義理の兄弟であるマティアを失った。

故に戦争の悲惨さをもう一度再認識しておく必要があるだろう。三大勢力や光神陣営に属し、これから起こりうる事態の数々と向き合っていく為には。

 

 

「あ、ところでタイタスさんって王女様に片思いされてるんですって?」

 

「な!?何処でそんな情報を!?」

 

 

シリアスを吹き飛ばす為なのか、それとも天然なのか分からないがカナエがまさかの核弾頭を落とした。

タイタスはそんな事を言われると思ってなかったので周りを見渡すとタイガとフーマは目を反らし、他人の恋路に興味津々なお年頃のリアスら女子メンバー、ついでに現在恋愛真っ只中の一誠も食いついてきた。

 

 

「「何ですって!?」」

 

「マジかよタイタス!」

 

「はわわ……!」

 

「詳しく聞かせてください」

 

「実は私も興味があるんだ」

 

 

おい、さっきまで一年戦争の映像記録を見るべき云々は何処いった。カナエだけはすたこらサッサと行ってしまったが。

結局見に行ったのはカナエだけで、他はタイタスが鈍感主人公属性持ちと分かる過去話を無理矢理聞き出していた。例の如くアーシアとゼノヴィア以外の女性陣から鈍感なところを怒られるタイタス。

 

 

「……恋愛って、大変なんだな」

 

「独り身でも楽しけりゃいいんじゃね?」

 

 

タイガとフーマは自分達が原因とは分かっているもののあの中に突っ込んでいく勇気はない。そもそもフーマは浮ついた話自体ないし、タイガは下手したら祖父母の馴れ初めを聞かれそうな気もする。という事でこの場はこの間活躍したタイタスに任せよう、と傍観を決め込んだ。

 

 

「おい二人とも!助け……」

 

「「頑張って下さいタイタス先輩」」

 

「呼び方が違わないか!?」

 

 

……裕斗がいないだけマシ……いや、彼は彼なりに青春してるからあまり恋バナには興味を示さない気がする。

頑張れタイタス負けるなタイタス。そして自覚しろタイタス。君は勝ち組なのだと。

 

 

 

 

 翌日の早朝、サーガが巌勝ともう一人を連れてダイブハンガーへと帰還した。本来ならレジェンドが出迎えるのだろうが、リフレッシュルームにて徹ガンした結果オーフィスが抱きついたまま眠りから覚めないので身動きが取れず、しのぶがカナエを起こし手を引っ張って洗面所に連れて行く時に遭遇。

なお、恋バナしてたオカルト研究部メンバーはリフレッシュルームには行かずそのまま部屋に戻った。アーシアと朱乃はレジェンドの部屋に行ったものの本人がいない為、入る事が出来ず寝る直前に徹ガン中と思い出してがっくりしたらしい。

 

 

「あ、サーガ様……でしたね。その節はお世話になりました。ほら、姉さん寝ぼけてないで」

 

「うぅ〜……サーガ様、しのぶが最近胸の大きさを気にしスパァン!!いった〜い!!」

 

 

綺麗な音を立ててカナエの後頭部をしのぶがひっぱたいた。しのぶは笑顔である。

 

 

「姉さん、おはようございますは?」

 

「お、おはようございます……」

 

「誰が胸を何ですって?」

 

「しのぶ、別にしのぶはスタイル良いでしょう?胸の大きさも十分だし、何より乱菊さん相手に勝負したら駄目よ!あの人モデル顔負けのスタイルなんだから!」

 

「乱菊さんはその最たる人物だけど、そういう人ばかりでしょここは。C.C.さんは凄く細いのに出るとこ出てるし、スカーサハさんは背中ガン開き。涼子さんとか黒歌さんは思いっきり胸元開いたりはだけたり」

 

 

どいつもこいつもですよ、と青筋浮かべつつ笑顔で拳を素振りしているしのぶにカナエは恐怖した。なんだかんだ気にしていたらしく、ぶっちゃけカナエも対象だったりする。頑張れ姉さん。

 

 

「どうやら身体は順調に回復してるようだな。煉獄の方は?」

 

「もうすっかり完治して、たぶん今もゲンさんやグラハムさんと訓練所で走ってますよ」

 

 

ビンゴである。彼の教官となったグラハム共々ゲンの修行に嬉々として参加しており、勘を取り戻すべく日夜己を鍛える毎日だ。

 

 

「んん?あ、巌勝さんおかえりなさい。ゼノヴィアちゃんが早く修行つけてほしそうにしてましたよ。ただ、この間ルームランナーバトルで真っ先に脱落してたけど」

 

「むう、そうか。こんな事もあろうかと、修行用にテクターギアを持って来た。修行時にこれを着けさせて地力を上げるとするか」

 

 

なんでそんなもの持ってんの兄上。サーガも自分の御使いが色々キツい目に合おうとしているのを『敢えて厳しく接し、彼女を奮い立たせようとしている』と変な方向に納得してしまっている。こうなったら残る希望はただ一人。

 

 

「巌勝さん簡単に女の子にそんなの着けないの!サーガ様も納得しないで!」

 

「「……?」」

 

「二人揃って『なんで?』みたいな顔しながら小首傾げないで!?」

 

「あの〜……リアス声の貴女はどちら様?」

 

「あ」

 

 

もうお分かりだろう。結局駄目だった最後の一人。

 

 

「ゴメン!自己紹介まだだったよね。アタシはラフタ・フランクランド!鉄華団所属……でいいのかな。タービンズも合併したわけだし」

 

「どうもご丁寧に。胡蝶カナエです」

 

「妹の胡蝶しのぶです。先程は見苦しいところをお見せしました。姉が

 

「私!?」

 

 

発端は貴女です。

 

 

「あ……はは……まあ、仲良さそうで。これからよろしくね、他の鉄華団の皆も準備出来次第こっち来る手筈整ったから」

 

「そういえば三日月さんやオルガさんは?」

 

「ん〜……オルガはなんかいよいよ新造艦が完成したからその調整と進宙式済ませてから来るって。三日月達もそれに乗ってこっち来るって言ってたよ」

 

「進宙式……?戦艦は進水式では?」

 

「あ、しのぶは知らなかったっけ?アタシ達神衛隊って基本的に宇宙レベルの活動だからまずは宇宙空間に船を出すんだよね。宇宙だから、進宙式」

 

「ああ、なるほど……え?」

 

 

胡蝶しのぶ・18歳。そもそも生まれた年と場所考えて宇宙未経験です。ぶっちゃけウルトラマンを除くレジェンド一家の大半がそうだった。

 

 

「ラフタ、彼女らは宇宙に出た事が無い。私はアムロ教官殿に特訓してもらっている間は殆ど宇宙だったが」

 

「よく無事に訓練終えたよね、巌勝さん。精神的にキツくてリタイアしなかっただけでも凄いのに優良修了証貰って帰ってきたってカミナのアニキ自慢してたもん」

 

「実戦ならば死んだ回数三桁を優に超えるがな」

 

「……それ、アタシだと四桁いきそう。自慢どころか恥にしかならないけど」

 

 

相手が悪いから仕方ない。

 

 

「あれ?ヨーコさんもいない……」

 

「我々の方はダイグレンの艦長が丁度子持ちでな。艦がおいそれと動かせぬ故に全員というわけにもいかず、私やカミナ、シモンを除いてこちらに来るメンバーを選定して鉄華団の艦に同乗してくるそうだ。少なくとも戦闘で主要なメンバーはほぼ来るだろうが」

 

 

さすがに娘のアンナがまだ幼いのに長期間家を留守にするわけにもいかない為、ダヤッカが動けない=ダイグレンの艦長が不在。急遽代理をと思ったがタイミングよくオルガが新造艦を受領するのでそれに便乗したという事だ。

ついでにアークグレンも艦長はダヤッカだし、超銀河ダイグレンに至っては真ゲッタードラゴンが霞むデカさでしかも整備中だ。というかそもそも地上に降りれない。

 

 

「結論から言えば神衛隊第一から第三分隊の主力がほぼ集結する形になる」

 

「確か、ワンマンオペレーション可能なんだっけ、今度の艦。なんかどっかのゲームから束博士がそのまんまの形で作って仕上げを任せたらしいけど……ってそうだ!」

 

 

ラフタが何かに気付いて両手をパンと叩く。

 

 

「アタシ用の新型の方針が決まったからって先に来るように言われてたんだった!ねぇ二人とも、束博士どこにいるか分かる?」

 

「「今朝までリフレッシュルームで徹ガンしてました」」

 

「徹ガン!?」

 

 

どうやらマイナーな表現だったようだ。ラフタも分かってない。

一連の報告も含めてレジェンドに帰ってきた事を伝える為、リフレッシュルームが何処にあるか分からないラフタはサーガと巌勝に案内してもらう事になった。

 

 

 

 

 

 その後の朝食時、ラフタの紹介と報告を済ませた後にレジェンドとサーガはリアスらオカルト研究部からある頼み事をされる。その頼み事とは……

 

 

「「プール開きで監督役?」」

 

「ええ。本来なら顧問である矢的先生が出てくれる筈だったんだけど……」

 

「あ〜80先生、光の国への現状報告とかで昨日からこっちに缶詰状態でごさんしたね」

 

 

ゼットの言う通り、矢的は光の国のゾフィー並びにウルトラの父へと報告する為の報告書の作成と、それを下にした通信会議を行う為、ダイブハンガーへ泊まり込みしているのだ。というかゼット、よく缶詰状態なんて言葉覚えてたな。

 

 

「ちょっと待て。だとしても俺かサーガの片方で済むだろ。何で二人一緒なんだ」

 

「実はその日は休日で、裕斗はその日のハンティングに大物が同行してくれるとかで元々予定が入ってたの」

 

「(そういやノダチとフガクがそんな事言ってたな……)ここ最近激動の日々だったし、少しは付き合ってやるか」

 

「俺の方も後は神衛隊の判断一つだから特に予定は無い」

 

(まあ、実際はそれだけじゃないんだけどね。たまには部員や眷属の為に一肌脱がないと)

 

 

さり気なくアーシアらに配慮してあげているリアスであった。と、もう一つ伝えておかなければならない事がある。授業参観の事だ。

 

 

「そういえば、二人は授業参観の来られるの?」

 

「オイ何だそれ初耳だぞ」

 

「俺も聞いてないな」

 

 

そういう二人の返事にリアスは改めて思い出した。結局タイタスの恋バナで盛り上がってしまい、それから皆各々の部屋に行って寝てしまった為に昨日はレジェンドらにプリントを渡せずじまいだったのだ。サーガは元々今日帰って来たからどの道渡せないのだが。

しかし、そこで登場するのがしっかり者の胡蝶しのぶ。何かの予感がしてカナエを問い詰めてぶんどって来たらしい。やけに強くないか蟲柱。姉さんは涙目だ。

 

 

「はい、お二人ともこれですよー」

 

「うぅ……しのぶ、いつの間にこんなドメスティックバイオレンス覚えたの……」

 

「ただお知らせをレジェンド様とサーガ様に渡しただけよ?姉さんこそ、そんな言葉何処で覚えたの」

 

 

そんな二人のやり取りを尻目に目を通していくレジェンドとサーガ。

 

 

「これ、全学年同時か?」

 

「ええ、それがどうし……あっ!」

 

 

リアスはレジェンドの質問の意味を理解した。少なくともレジェンドはアーシアとカナエ、両名の関係者だ。どちらかにしか行けないだろう。

分身なんて使って下手に目立ちたくもない。

サーガの場合はゼノヴィアで確定である。小猫は?と思われるだろうがそちらは黒歌と夜一が行くらしい。

 

 

「レジェンド様、姉さんの方は私や卯ノ花先生が行きますので、アーシアさんの方へ伺って下さい」

 

「……え゛」

 

「大丈夫か?年齢的に言えばしのぶも高校に通っていると思われるかもしれんが」

 

「まあ、飛び級とか海外へ留学とか言い訳の方は何とかなりますから。卯ノ花先生が仰っていた事ですけど」

 

 

だから心配しないで下さい、というしのぶを信用し何かあればすぐに連絡するように伝える。むしろ今心配しなければならないのは口から魂が出かけているカナエの方じゃないだろうか。

 

 

「ゼノヴィア」

 

「サーガ様、授業参観に来て頂けるとの事でしたが」

 

「ああ、先輩共々行かせてもらう。それから口調は普段通りで構わない」

 

「いや、しかし……うむ、主の申し出を断る方がこの場合は無礼だな。分かったよ、サーガ様」

 

「それでいい。それからもう一つ、巌勝も弟子の様子を見たいからと参加する気だぞ」

 

 

ゼノヴィアが固まった。そして汗が滝のように流れ出す。サーガは平気なのに巌勝だとこうなるのはやはり修行開始初日が関係しているのだろう。

 

 

「朱乃さんはやはりご両親が?」

 

「ええ、特に父がその気で」

 

「……姉様が騒がないか心配です。夜一姉様は飄々としてるから問題なさそうなんですけど」

 

「そういやさ、裕斗はどうなんだろ?ジェントさんとかまさかあのまま来ないよな……?」

 

「いやタイガ……幾ら何でもそれはないだろ。ジェントさんだぜ?」

 

「時にタイガ、お前は授業参観とかなかったのか?」

 

「いやぁ……訓練学校の時はタイミングよく父さんの科目で爺ちゃんと婆ちゃんが来てくれたし、子供の頃のウルトラ学校での時は家族総出で来ちゃったから逆に恥ずかしくてさ。プレッシャーかかるだろ」

 

「「「「「すっごく分かる」」」」」

 

 

これもセレブ家系の弊害か。一発で注目されてしまっていたタイガ。というかタイミングよくタロウの科目だったと言うが、まさか圧力とか掛けて変更させたのではあるまいな。

 

 

「あ、イッセーはやっぱり朱乃と同じでご両親が?」

 

「いえ、その日はどっちも仕事らしくて……」

 

 

少々沈み気味の一誠だったが、実は彼の両親の方が沈んでいた。せっかくの息子の成長具合を楽しみにしていたのに。そこで声をかけるのはやはりこの男、いや漢。

 

 

「よし、では俺が行こう。幸いにもアーシアちゃんとゼノヴィアちゃんも同じクラスのようだし」

 

「師匠!?」

 

「……昔、俺がまだMACの隊員だった頃、父親を亡くした少年の父親役を買って出たはいいが、結局隊員としての職務を優先せざるを得なくてな。一誠のご両親にも頼むと言われた以上、二人が駄目なら俺が代わりに出るのが筋だろう。ご両親並に立派と言えるものでもないが、いないよりはマシだと思うぞ」

 

「マシどころかスッゲー嬉しいッス師匠!師匠の事紹介したかったんですよ!」

 

 

……インパクトデカ過ぎである。さすがにレイトは参加するとは言わないが。実のところ、一誠はよく「師匠のおかげで自分は変われた」と言っており、実際驚く程まともになったのでそうなった原因であるゲンを一目見てみたいという者達が多かったのだ。

 

 

「さて!プール開きの監督役も二人が引き受けてくれたし、今度の休日まで気合い入れていくわよ!」

 

「その前にカナエ先輩とゼノヴィア先輩が変な事になってます」

 

「……ドンマイよ、二人とも」

 

 

カナエは今だ魂が口から出ており、ゼノヴィアは汗をダラダラ流しながら無言で朝食を食べている。

前者は妹に、後者は師範に観られるのがキツいようだ。一誠は逆に喜んでいたし、これは二人ともメンタル面も修行の必要があるようだ。

今日も一日、レジェンド一家のバカ騒ぎが始まる。

 

 

 

 

 その翌日の夜、黒上博士の研究所では相変わらず黒上博士が遺伝子の研究を続けていた。違いがあるとすれば枯死しかけていた薔薇が元気な姿を取り戻しており、博士自身の心も穏やかだった事だろうか。

 

 

「もうこんな時間か……研究しているとどうも時間にルーズになりがちだな。区切りもいいし、今日のところはここまでにするか……」

 

 

黒上博士はレポートを纏めてファイリングし、棚に仕舞う。そして研究室を出る前に薔薇に話しかける。

 

 

「それじゃあおやすみ、絵里。また明日な」

 

 

父親の顔になってそう言うと黒上博士は研究室から退出して自室へと向かい、ベッドで眠りにつく。

そしてしばらく経った跡……

 

 

「……周囲には」

 

「誰もいない。元々一人暮らしだそうだ」

 

「護衛の類もいないようだな。丁度いい」

 

 

研究所……それも研究室の窓から見える場所に迷彩服を着込んだ人物が三名程隠れていた。

 

 

「Dr.黒上の研究していた『抗核エネルギーバクテリア』。これは世界情勢の根幹を揺るがす重要な物だ。これが成功したならば核を持たぬ日本が核保有国に対して絶大な優位に立つ事を意味する。我々はこれに関する情報をなんとしても持ち帰らねばならない」

 

 

抗核エネルギーバクテリア――核物質を吸収・無効化するという驚くべき生物兵器である。性質を聞いただけでもその効果の凄まじさは理解出来るだろう。

この三人は諸外国からのエージェントであり、黒上博士の持つその研究資料を盗み出す為に潜入しようとしている。

 

 

「よし、突入だ。速やかに資料を確保し、脱出する。あまり時間に余裕はない。ここが湖畔とはいえイレギュラーな事態が発生する危険は十分にあるからな」

 

 

リーダーらしき男が指示を出すと他の二人も頷き、三人は研究室の窓ガラスを割って侵入。部屋が離れていた為、黒上博士はハッキリと分からなかったが何か音がした事に気付き、その原因を探ろうとベッドから起き上がる。

 

 

「何の音だ……?」

 

 

一方の研究室では三人が手荒に研究資料を探していた。しかし、一向に見つかる気配は無い。

 

 

「クソッどういう事だ!?Dr.黒上はANEBの研究をしていたんじゃなかったのか!?」

 

「もっとよく探せ!必ず何処かにある筈だ!」

 

 

研究室に無いのは当然だった。黒上博士は万が一狙われるような事があった場合に備え、抗核バクテリアの研究資料は常に自身で持ち歩き、側に置いていたのだから。

 

もしや研究室以外の場所に?

 

そう考えた三人のエージェントはやむを得んと研究所内の探索を行おうとした時、それは起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グォアァァァッ!?」

 

「「!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

信じられない光景がリーダーと部下の目の前で起きていた。

あのG細胞を組み込んだ薔薇が触手の伸ばし、エージェントの一人の首をあり得ない程の力で締め付けているのだ。外そうともがくが尚も強く締め付けられ、首からベキリという音が聞こえた瞬間、そのエージェントは絶命した。

 

 

「な、何だこの薔薇は!?」

 

「違う!薔薇じゃない、別の何かっ……ガッ!?」

 

 

リーダーともう一人の部下もその首に触手が巻き付いた。やはり信じられない程の力を発揮しメキメキと音を立てて締め付ける。

 

 

「オッ……ゴォ……」

 

「わ……わレわ……レ……は……」

 

 

先程と同様にゴキリ、ボキィッという鈍い音と共に二人もまた首をへし折られ死亡した。

そして薔薇は研究室の壁をその触手で破壊し、そのまま触手を利用して研究所から飛び出し、湖へと失踪する。

壁を破壊された音で只事ではない事を理解した黒上博士が研究室に到着した時に見たものは、割られた窓ガラスや散らかされた室内と遺体となった三人のエージェント、そして消え去った薔薇と破壊された壁であった。

 

 

「何だこいつらは……!?絵里……!?そんな、どういう事だ!?」

 

 

あまりの状況に頭の整理が追いつかない黒上博士だが、ただ一つ確かな事実を理解した。

ここを荒らしたのがこの三人であり、そして彼らを殺したのは薔薇(絵里)だという事を。

 

 

「……まさか……」

 

 

信じられないといった表情の黒上博士。

そして研究所から少し離れた場所では……

 

 

「なるほど、予想より意識の侵食が早かったようだ。さて……どうなるかな?人の心が宿っていたモノを、君達はどう対処するのか……じっくり楽しむとしようか」

 

 

 G細胞を渡した青年が、不敵に嘲笑っていた。

 

 

 

〈続く〉




次回こそプール開き……なんだけど別の部分の方が問題デカ過ぎな気がする。
ヴァーリ?そんな奴より明らかにヤバい奴が出てくる空気しかない。
というかこれ次回ほのぼので終わるのかコレ。


それではまた次回。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
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