ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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お待たせしました。
本来なら一戦丸々詰め込む気でしたが、結構長くなりそうなのでキリのいいところで分けることにしました。

サブタイトルは「小さな英雄」のオマージュです。


それでは本編をどうぞ。


小さな勇者

 鉄華団の新たなる艦。

スペースノア級万能戦闘母艦の参番艦、クロガネ。

『鉄』や『黒鉄』とも書く、艦首モジュールに対艦対岩盤エクスカリバードリル衝角――通称・超大型回転衝角を装備した「決して止まらない」を体現したかの様なそれは、黒歌が好んでプレイするゲームに登場する戦艦である。

それが、まさか実際に開発され運用されているなど露にも思わなかった黒歌は未だ興奮気味だった。

 

 

「なんで!?なんでアレがあるにゃ!?」

 

「いやー私とスーちゃんともう一人で造ってたんだー。最後はスーちゃんに任せちゃったけど完璧な仕上がりだね!さっすがドーくんのお嫁さん!元SPDのメカニック担当!」

 

「戦艦……維持費……」

 

「もー、ろせちゃんすぐにそっち方面に思考持ってっちゃ駄目だぞー」

 

 

レジェンド一家の一員となってから日が浅いロスヴァイセはまたも莫大な金額になる事に青褪めている。

財力的に全然問題はないのだが、まあ危機感を持つのは悪い事じゃないとグレイフィアも黙っていた。

 

 しかし、そんな彼女らも気付いていなかった。

 

 もう一人、英雄がそこに向かっている事を。

 

 

 

 

 まさかの大型戦艦の登場に三大勢力は慌てふためいていたが、サーガは先程までの緊迫した表情から一変、穏やかな表情になっている。

 

 

「あれが噂の新造艦ですか。鉄華団より超次元グレン団が使いそうな外見ですね」

 

「名前はクロガネだそうだ。由来を聞いてみれば納得すると思うが」

 

「ああ、なるほど。どちらでも名前に『鉄』の字が入りますから合点がいきました」

 

「サーガ様、あれ一体何なんですか☆」

 

「ブレませんね貴女は」

 

 

セラフォルーは一周回っていつものノリになっていた。切り替えの早い魔王である。とはいえ気になるのは最もだ。

 

 

「あれは俺直属の護衛部隊の分隊が運用する戦艦だ。つまりは味方、それもこの状況を打破出来る力を持っている」

 

「よぉぉぉう大将!無事で何よりだぜ!」

 

 

全員がその声のした方へ顔を向けると、なんとクロガネの艦首……即ちドリルの部分に腕組みして仁王立ちする男、いや漢の姿が。言わずもがなカミナである。

真っ赤なマントをはためかせ不敵に笑うカミナを見た三大勢力の面々はさらに混乱した。

 

 

「あ、あんな所で何してるんだあの人間は!?」

 

「バカにも程があるぞ!何考えてるんだ!」

 

「我々でも敵わないのに人間が太刀打ち出来るはずがない!」

 

 

「今の最後の言葉!言いやがったのはどこのどいつだァ!?」

 

 

最後の言葉が聞こえたカミナは声を張り上げて反論を叩きつけた。

 

 

「出来ねえ勝てねえ敵わねえ!?やってもねえのに決めつける奴が未来を掴めるわけがねえ!!

どんなに分厚い絶望の壁でも!それをブチ抜いて突き進む!!

それが俺達、超次元グレン団!!それが俺達、神衛隊だァァァ!!」

 

 

カミナは彼の決めポーズ、つまり人差し指を立てて左手を天へ突き出しながら堂々と言い放つ。

決して良い状況とは言えないのになんと気力に満ち溢れた漢なのだろうか。

 

 彼の言葉を皮切りに、オルガは指示を出す。

 

 

「機動部隊、出撃しろ!まずはMAから潰すぞ!それから例の三人は!?」

 

『団長、このまま巌勝達のある程度近くへ向かってくれ!そうしてくれれば直接飛び降りる!』

 

「狛治、お前老師とかカミナの影響受けてないか!?まあいい、分かった!他の二人もそれでいいな!?」

 

『異論はない。狛治同様ロージェノム様と俺も飛び降りる。……妻と娘は頼むぞ、オルガ』

 

『ワシとヴィラルが巌勝の元へ行く。狛治はあの男を手助けするらしいからな』

 

「OKお二人さん。ったく狛治といいヴィラルといい、嫁子持ち普通に家族揃って来るんだもんな……おまけに邪魔したりせず聞き分けが良いときた。んな幸せ家族見せられんのは独り身にゃ色々堪えるぜ」

 

 

やれやれという感じながらもオルガは笑っている。惑星レジェンドに生きるものは皆等しく家族である――その考えがしっかり心の奥底まで浸透しているからだ。

 

 

「さてと……あのMAにはスクラップになってもらうとするか!」

 

 

気を引き締め、オルガはモニターに映るハシュマルとプルーマをしっかり見据える。

 

 さあ、ここからだ。

 

 

 

 

 クロガネの出現はパム治郎を除きリアス達も驚愕する。パム治郎はそんな事より杏寿郎の元へ一心不乱に飛んでいたから仕方ない。

 

 

「ちょっと!何なのあれ!?」

 

「戦艦もそうですけど、あのドリルに乗ってポーズ決めてる人が何考えてるかわかりません」

 

「う〜ん……あの特徴、どこかで聞いたような……」

 

「え?ゼノヴィアさん知ってるんですか?」

 

 

さり気なく辛辣な事を言う小猫に、カミナの事をどこかで聞いた記憶があるゼノヴィア。

アーシアがそこを聞いてきたが悩むばかりで思い出せない。

……正直、師である巌勝が聞いたらサーガの御使いだろうと雷が落とされるだろう。ダジャレではなくマジで。

なにせ巌勝が属している神衛隊第一分隊・紅蓮の団長だ。

 

 

「あらあら、あれは……確かバルバトス?」

 

「はい、間違いなく。僕達に手を貸してくれた三日月さんの機体です。いや、それだけじゃない……!」

 

「なんか三日月さんのバルバトスと似た感じのがたくさん……はわあ!?大きな顔に手足が付いてるのが出てきましたぁ!!」

 

「何が何だか分からなくなってきたけど、とりあえず味方よね!?」

 

 

リアス達が目撃したのは三日月のネオ・バルバトスルプスレクスを筆頭に、昭弘が駆るネオ・グシオンリベイクフルシティやシノのネオ・フラウロスらネオカテゴリのガンダム・フレームに、鉄華団団員が駆る機体群、さらにキタンが駆るガンメン・キングキタンRXやヨーコのヨーコMタンク、極めつけは先程のカミナのグレンとシモンのラガンまで出撃する光景だった。

今回、ニアのソルバーニアは出ていない。ヴィラルの妻子であるツーマとシアタ、狛治の嫁の恋雪や義父の慶蔵と留守番だ。

 

 

「あっちは大丈夫そうね……私達は当初の予定通りカナエ達の方に向かうわよ!」

 

 

リアスの号令で再度走り始めるオカルト研究部。

同時に爆音が聞こえてくる。それは果たして鬼と戦う巌勝達か、ハシュマル&プルーマと戦う神衛隊か。

 

 

 

 

 杏寿郎はゴウエンマと圧倒的に不利な戦いを強いられていた。攻撃がほぼ通用しないのは当然として、その状況での単独戦闘。相手のワンサイドゲームにも程がある。

 

 

(距離的に胡蝶やカナエ殿、巌勝殿と合流出来ない程離れているわけではない!しかし奴がそうやすやすとそれを許してくれるとも思えん!)

 

 

既に表層は再構築されてしまい、この状態でダメージを与えるには部位破壊可能、かつ鬼祓いが出来る箇所でそこが一時的でも部位破壊されている場合に限られる。だが杏寿郎単独ではそもそもいずれも不可能。

加えて、ゴウエンマの四肢は部位破壊後に鬼祓いしなければ強化再生されてしまう。

 

 だが、こんな状況でも杏寿郎は諦めていない。

 

 

「お館様より教わった言葉がある!『信じる心、その心の強さが不可能を可能にする』!なんと素晴らしい言葉だろうか!故に俺も信じて刃を振るおう!勝利の糸口は必ずあると!」

 

「ゴアアァァァァァ!!」

 

 

両腕をガッチリ組んで、飛びかかりながらハンマーのように振り下ろすゴウエンマ。そしてそれを回避しつつ反撃する杏寿郎。

 

 

(せめて少しでも攻撃が効いている事を確信出来ればそこから戦術が組み立てられるのだが!何か方法はないものか!)

 

 

チラリと横を見ると多少離れた所でヒノマガトリと戦闘中のカナエ・しのぶが見える。相手がほとんど空中にいる為思うように攻撃が出来ないようだ。

対空や空中戦に有用な型があるといってもそればかりでは戦法に限りがあるのも事実。

もう片方の巌勝は唯一ヤトノヌシと渡り合えている。

表層を破壊し、ダメージを与えているが巌勝の表情にはどこか焦りがあった。

ヤトノヌシの特性を考えれば納得なのだが、それをこの場で知るのは彼のみなので杏寿郎としては『何かある』としか読み解く事が出来ない。

三者三様、やはり危機的状況に直面している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「パム〜」

 

「「「「!?」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 緊迫した戦場に似合わぬ愛らしい声がし、咄嗟にそちらを向けばアーシアに預けたパム治郎がパタパタと空を飛びながら降下しつつ、杏寿郎の元へ来ようとしていた。

 

 そう、位置的に多少離れているとはいえ、パム治郎から見て空中のヒノマガトリが左に、地上のゴウエンマが右にいる中を突っ切りながら。

 

 当然ヒノマガトリとゴウエンマはパム治郎にも狙いを定める。

 

 

「パム治郎!来るなっ!!」

 

「パムちゃん駄目っ!!」

 

 

杏寿郎とカナエは同じタイミングで叫ぶも虚しく、ヒノマガトリとゴウエンマは同時に火炎と火球を吐き出す。

パム治郎の速度では回避は叶わず、間違いなく直撃する。

 

 

 

 

 

「パム治郎ぉぉぉぉぉ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おおおおおおおっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……かと思われたが、突如パム治郎より後方かつ高空から誰かが弾丸の如き速さで飛来し、パム治郎を抱え込みながら杏寿郎と胡蝶姉妹の丁度中間の位置に落下した。

ヒノマガトリの火炎とゴウエンマの火球は空中で激突して相殺され、件の人物はドォォォン!!と少しばかり地面を破壊する程の衝撃で叩きつけられながらもパム治郎に被害が無いようにしっかり抱えながら転がっている。

 

 

「うっ……ぐ……」

 

「パム〜パム〜」

 

「俺は大丈夫だ……怪我はないな?」

 

「パムパム」

 

 

肩口から少々出血しているものの、平然としているその人物から心配されるとパム治郎も大丈夫と頷く。

ようやく笑顔になったその人物を見て安心すると、そこに集まるように杏寿郎、カナエ、しのぶが集まってきた。

 

 

「パム治郎!!」

 

「パムちゃん!!」

 

「パムパム〜」

 

 

杏寿郎の所へ飛んでいき、自分は無事だとアピールすると二人は安堵する。カナエなど本気で泣きそうだった。

それはそうだろう、全く別種とはいえ両親と同じように鬼に家族が殺される寸前だったのだ。

 

 

「あの、貴方は……?」

 

 

パム治郎の無事を喜ぶ二人を尻目にしのぶはパム治郎を助けて軽く負傷した人物に尋ねる。あんな高所からあのスピードで地面に激突したのにこの程度の怪我で済んでいるのは普通なら有り得ないが、かくいう彼女も先程東方不敗というトンデモ超人(ガンダムファイター)を見たばかり。

 

 

「む!そうだ!俺の相棒を助けてくれてありがとう!おかげで……!?」

 

「どうしたの煉獄君?」

 

 

パム治郎を抱き上げながら恩人たる人物を見た杏寿郎は何かに気付く。

 

 パム治郎を助けた人物とは狛治、即ち元上弦の参・猗窩座。自身の命を奪った鬼だった者だからだ。

 

 

「……杏寿郎」

 

「え?煉獄君の知り合い?」

 

「……俺は元上弦の参・猗窩座……だった者だ」

 

「「!!」」

 

 

二人は杏寿郎が固まった理由を察した。

まさか自分の命を奪った者が自分の大切な者を助けてくれるなど思ってもいなかったのだろう。

一応サーガから狛治の過去を聞いている二人は彼に然程悪感情は無い、寧ろ同情してしまった程だ。

どっかの弐はムッコロだが。

しかし、杏寿郎自身も恨んでいないとは言っていたがいざ対面してみるともしかすると、という可能性もある。

そう思ったが……

 

 

 

 

 

「杏寿郎、俺はお前が望むなら討たれ「俺は煉獄杏寿郎!君の名は!?」……は?」

 

「すまないが俺は君の名前を知らない!故に何と呼べばいいか分からない!だから教えてくれ!礼儀として先に名乗らせて頂いた!」

 

「俺は……狛治。十二鬼月上弦の参、猗窩座……だった」

 

「そうか狛治か!パム治郎が世話になった!本当にありがとう!」

 

 

いつもと同じ表情で礼を言ってくる杏寿郎に困惑する狛治。

カナエとしのぶもそうだったが、杏寿郎の性格を考えて勝手に納得したカナエは杏寿郎の君の名は発言で脳内に『前前前世』が流れてレジェンドとの脳内ラブストーリーを展開。しのぶからスパァン!と脳天に鋭い一撃を貰っていた。気のせいだろうか、この【エリア】に来てから大分彼女はっちゃけてない?

 

 

「痛いわしのぶ」

 

「次は突くわよ姉さん」

 

「ゴメンナサイ」

 

 

 注・ここは戦場である。

 

それはともかく、困惑した狛治が口を開く前に杏寿郎は追撃(?)する。

 

 

「君は猗窩座だったかもしれないが!今の君に鬼らしさは微塵も無い!己が身を犠牲にして小さくも大きな命を助けたのは猗窩座ではなく狛治、君だ!初対面だが俺はすでに君のことが大好きだ!」

 

「……!」

 

 

猗窩座だった頃に相対した時とは真逆の事を言われ、狛治は言葉を振り絞る。

 

 

「杏寿郎……あの時は、すまなかった……!」

 

「ん!?あの時とはいつだ!?俺は謝られる事はされていないぞ!」

 

「全くお前は……ならこう言わせてくれ。ありがとう、杏寿郎」

 

「うむ!こちらも何故言われるのか分からんが、ありがとうを言い合えるのは良い事だ!心が温かくなるな!」

 

 

やっと言えた。そして、形は少々変わっていたがこうして分かり合えた。

しかしそれを邪魔する者がいる。

 

 

「ゴアアァァァァァ!」

 

「クアァァァ!」

 

「そういえば依然として状況は変わっていないな!さてどうしよう!?」

 

「あまり困っているように見えませんよ?」

 

「なに、ここにはこうして四人と一匹いる!三人寄れば文殊の知恵!そこに更に増えればきっと何か方法が見つかる筈だ!」

 

「さすがポジティブね〜。でも、確かになんとなくだけどここから悪くなるのはなさそうな気もするし、後はどうにか覆す事を考えましょ」

 

「そもそも、炭……パム治郎は危険な場所と知って何故ここに来たんだ?」

 

 

自身も関わったからかパム治郎の名前を間違えそうになりつつも狛治が尋ねる。物分りが良いパム治郎がアーシアの手から離れてまでこちらに来るというのは一時の感情ではない事ぐらい杏寿郎らには容易に察せた。

 

 その答えを知る前にヒノマガトリとゴウエンマから攻撃を受けそうになるが、その二体に魔力弾が直撃し攻撃を中断させる。

 

 

「三人とも無事!?それとパム太郎は!?」

 

「おお!グレモリー少女か!見ての通り俺達は無事だ!それとパム太郎ではなくパム治郎だ!」

 

「……長生きするハムスターとかレジェンド様に紹介してもらおうかしら」

 

「…………」

 

 

 へけっ。

 

忘れがちだがしのぶは全身に毛の生えた動物が苦手である。パム治郎の事も、つい最近少しずつ平気になり始めたばかりだ。

何はともあれ杏寿郎らとオカルト研究部は一人として欠けることなく合流出来た。

 

 

「それでパム治郎はどうして煉獄さんの所に行こうとしてたの?」

 

「パム〜……ボク、オ手伝イシタカッタ」

 

『!?』

 

 

なんとパム治郎が喋った。

パムパム鳴く姿が愛らしくてそちらばかりに気を向けがちだが、そもそもムーキットは小学二年生程度の頭脳は有している為、これぐらいなら十分喋れるのである。

 

 

「パム治郎、俺を手伝う為にこの戦場に勇気を振り絞ってやってきたのか!立派だぞ!しかし……」

 

「キョウジュロート、シノブニ、レジェンドカラ贈リ物」

 

「「!」」

 

「パ〜ム〜……」

 

 

右手で杏寿郎からプレゼントされた首輪をコンコンと叩くと、そこから炎のような輝きの光とライトパープルの光が現れそれぞれ杏寿郎としのぶの持つ刀と一体化する。

すると二人の刀が発光し徐々にその形を変えていく。

 

杏寿郎のものは刀身がより長く、峰と刃を合わせるとまるで炎のような色へ。

 

しのぶのものは長さは変わらないが峰がライトパープル、刃はエメラルドグリーンになり、柄の形状がかつての日輪刀のものを更に洗練したような形へ。

 

鍔も勿論、それぞれ炎と蝶を象ったものへ。

これこそゼットによる素材提供とレジェンドの尽力で完成した二人の専用日輪刀である。

 

 

「おお……!」

 

「普通の刀が、日輪刀に……」

 

『あーあー聞こえるか杏寿郎、しのぶ』

 

「お館様!?」「レジェンド様!?」

 

 

二人の手にした新たな日輪刀から何故かレジェンドの声が聞こえてくる。まさか通信機能が、と思ったが違う。

 

 

『これを聞いているということは即ちパム治郎が無事お前達の持つ依代に日輪刀の閃光結晶が宿ったということだな。とりあえずはおめでとう。それはお前達だけの日輪刀だ』

 

「依代?閃光結晶?」

 

『時間がないだろうから手っ取り早く説明する。ゼットの提供してくれた激レア素材の数々のおかげで閃光結晶を作成する事はすぐに済んだ。だがここから刀そのものを打ち出すにはやはり時間が足りない。そこでお前達にとりあえずと渡しておいた刀を依代に使う事にした』

 

「先程まで俺達が振るっていた刀だな!」

 

『直接閃光結晶から刀を打ち出すよりも早く形として完成する分、本当の意味で完成させるにはその刀を使い続け完全に閃光結晶を依代に馴染ませる必要がある。簡単に言ってしまえば後はお前達がそれを振るって戦い続ければ自ずと刀が強くなるということだ。以上、説明終わり』

 

「終わるのがあまりに急過ぎないかしら!?」

 

 

相変わらずマイペースというか、なんというか……しかし、自分達の手で愛刀を完成させるという事には少なからず浪漫がある。

 

 

『追伸、これは予め録音しておいた使い捨て音声です。再生が終わったら自動で消去されるので、着メロ入れたい時は俺に直接連絡するように』

 

「「「「「最後の最後でどうでもいい情報きたー!?着メロって何!?」」」」」

 

 

なんだ日輪刀に着メロって。

だが、杏寿郎としのぶにとって待ちに待った自分だけの新しい日輪刀。レジェンドの追伸の最後が本気なのか冗談なのかは分からないが、それも好意的に取れる。

二人は今もゴブニュと必死に戦っているゼット、そして彼と一体化しているレジェンドを見た。

体力を消耗して動きが遅くなってしまい、ゴブニュの一撃を受けて倒れ込みながらも起き上がり、何度も戦いを挑んでいる。

 

 

「ゼットさん、レジェンド様……ありがとうございます」

 

「彼らは今も決死の戦いを繰り広げている!あの二人のおかげでこの日輪刀を得た俺達が、ここでのんびりしているわけにはいかない!」

 

 

新たな刃を手にした二人だったが、驚きはそれだけではなかった。

 

 

「パーム、パーム……変若水〜」

 

 

何やらパム治郎が両腕をクルクル回してピーンと伸ばすと緑色の輝きが一瞬だけ発生し、なんとその場にいた者の負傷や消耗した体力などが完全回復したのである。

遠くで戦闘中のゼットらウルトラマンやゴジラ、神衛隊の面々やその機体らも多少効果を受けられたようで、困惑しつつも動きが良くなっていた。

 

 

「これは……まさか本当に変若水か!?」

 

「「「「「おちみず?」」」」」

 

「現実では霊薬の一つとされていて、今のあれはあの鬼達が出るゲームで使える能力みたいなものだ。ゲーム内では基本的に一回の任務で2回限りだが体力・気力・状態異常どころか戦闘不能さえ完全回復する超回復能力だった」

 

 

狛治の説明で先程パム治郎がやった事がどれだけ凄まじいか理解出来た。つまり現在の状況は、仲間と合流し装備を新調した上、完璧な状態で仕切り直しというわけだ。しかも相手は消耗している状態で。

 

 

「パム治郎!凄いぞ!」

 

「デモ、今日ハアト一回ダケシカ使エナイ……パム〜」

 

「十分十分!完全回復だもの、後はあの鬼らを退治するだけよ。無理にパムちゃんに使わせたりしないわ」

 

「となると後は巌勝さんの方ですね」

 

「そちらは問題なさそうだ」

 

「「「「「え?」」」」」

 

 

狛治が言った一言に全員が振り向くと、巌勝の方へ狛治が目を向ける。それに倣い他の者もそちらへ視線を移せば……

 

 

 

 

 

「はァァァァァ!!」

 

 

普通の人間に比べ腕が若干大きく、鋭い牙を持った男――『紅蓮』の副団長を務める獣人のヴィラルが二刀流でヤトノヌシの四本腕のうち剣と棍棒を持った二本を無数の突きによって封じ。

 

 

「ヌゥオオオオオ!!」

 

 

浅黒く筋肉隆々の身体にスキンヘッド、髭と胸毛がトレードマークな元・螺旋王のロージェノムが生身(素手)でヤトノヌシの残り二本の腕と互角に力比べしており。

そして……

 

 

「ちぇすとー」

 

 

いつの間にやら巌勝側と合流していたオーフィスがいつもの調子でドゴォォン!!という一際大きな音を立てながらヤトノヌシの顔面にドロップキックをかましていた。

 

 

 

 

 

「「「「「なんかとんでもない人達がいるんですけどォォォォォ!?」」」」」

 

「『紅蓮』の副団長と、そいつの元主にして『羅巌』の後見人だ。あの小さいのは分からんが……」

 

「オーフィス、いつの間に……!?」

 

「紅蓮……ってああーっ!そうか師範の!おまけに思い出したぞ!さっきのグラサンマントはそこの団長だ!」

 

「あ、あの……ゼノヴィアさん、団長さんをその言い方だと巌勝さんが……」

 

「どうしたアーシ…………あ……」

 

 

アーシアが少々引き気味に指を差し、ゼノヴィアもその方向を向くと……遠くから顔だけこちらに向けて目をキュピーンと光らせている巌勝が。但しバックにはゴゴゴゴゴ……という効果音。

 

 

――ゼノヴィア・クァルタ……後で継国式地獄特訓零式だ――

 

 

口に出さずとも分かってしまったゼノヴィアは真っ白になった。そういえば、以前見た写真でカミナが巌勝とヴィラルと肩を組みながら満面の笑みで写っているものがあったような。カミナだけでなく二人も笑顔だったし……。

 

 

「ドンマイよゼノヴィア」

 

「鬼灯さんの折檻よりマシよ、多分」

 

「カナエ先輩、比べる相手が間違ってます」

 

 

鬼灯の折檻→亡者はさらに死ぬ。確定で。

がっくり肩を落としつつ、ゼノヴィアはもう一つの問題を提示する。これを早々に解決しなければこの状況は打破出来ない。

 

 

「……そうだ……師範の刀か、その日輪刀以外でダメージが与えられない件は……どうする……?」

 

「彼女、本気で絶望してますね。この状況じゃなくてこの後の事に」

 

「仕方ありませんわ裕斗君。カナエでさえ太刀打ち出来ない巌勝さんによる凄そうな特訓ですもの」

 

 

あらあらうふふな朱乃の返答に裕斗が苦笑していると、再びパム治郎が腕をクルクル回して思いっきりバンザイする。

 

 

「パ〜……ムー!!」

 

((可愛いー!))

 

 

いや、そうではなく。今度はかなり広域に結界らしきものが展開された。同時にヒノマガトリとゴウエンマが仕掛けてくる。

咄嗟に裕斗と小猫が飛び出してそれぞれがゴウエンマの右足、そしてヒノマガトリの右翼の一枚に斬撃と打撃を叩き込む。

 

 すると、それぞれの部位が吹き飛んだ。

 

そう、部位破壊が出来たのである。それだけでなく、吹き飛んで地面へと突き刺さった部位が即座に鬼祓いされた。

 

 

「「「「「なっ!?」」」」」

 

「パ〜ム〜」

 

「まさかお前は……『癒』の変若水のみならず『壊』の断祓まで使えるのか!?……いや、それだけでなく巌勝の刀や日輪刀以外の武器や打撃でも鬼に攻撃が通じた……!」

 

 

どこぞのクールに去るお節介焼きよろしく見事な解説役になりそうな狛治。

 

 

「パム〜……レジェンド、ボク『ミタマノ全スタイル使エル』ッテイッテタ」

 

「なっ……何!?じゃあ『タマフリ』もか!?」

 

「パムパム」

 

 

狛治の質問に頷くパム治郎。「マダマダ使エル回数少ナイ」とちょっと凹み気味ではあったが、そうだとしてもそれがこちらにどれだけのアドバンテージをもたらすのかを狛治は知っている。

 

 

「さっきからミタマとかスタイルとかタマフリとかよく分からないんだけど……」

 

「簡単に言えばミタマは英雄の魂、スタイルはその名の通りミタマの特性のカテゴリ、タマフリはそのカテゴリ内で共通の能力……お前達が使う魔法のようなものと思えばいい。先程の変若水は『癒』のミタマ、断祓は『壊』のミタマのスタイルで使えるタマフリだ。全スタイル共通の治癒を含め、各スタイルそれぞれ四種類のタマフリがある」

 

 

スタイルは全11種類、そのうち一種類が固定としても合計34ものタマフリをパム治郎は単独で使用可能だという破格の特性を持っている事になる。

ここにさらに各スタイルのニギタマフリ・アラタマフリの二種類も追加するとその数は50を超える。

 

 

「戦闘中のスタイルは基本的にそのミタマに準ずる一種類のみ。つまり使えるタマフリは四種類だけだ。だがこのパム治郎は事実上あらゆるタマフリが使用出来る、鬼討ちのサポーターとして間違いなく頂点に君臨するだろう存在だ。回数制限があるそうだが、そもそもタマフリは種類毎に一回の戦闘中に発動出来る回数に限りがある。多分パム治郎のそれも同じ、基本の回数よりまだ少ない程度だろう。現に変若水はあと一回使えるらしいからな」

 

 

狛治、解説御苦労。

結論から言うとパム治郎は、タマフリによるいくつかの攻撃手段があるとはいえ、自身にほぼ鬼討ちの能力が無い代わりに超万能支援能力を持ったまさにダークホースだったというわけだ。しかも……

 

 

「ついでに言うと先程剣士と猫娘の攻撃が効いていた。即ちパム治郎が展開したこの結界内なら鬼に攻撃が通じるという事に他ならない」

 

「……それって私達より凄くないかしら」

 

 

リアスの呟きに同意せざるを得ないカナエ以外のオカルト研究部。この騒動が解決したら修行内容を見直そうと考えた。どうせ夏休みは異世界まで修行に出るし、丁度良い。

何はともあれ、杏寿郎が抱き上げながら褒めているパム治郎のおかげで遂に逆転勝利のビジョンが明確になった。

 

 攻撃が通じる。

 

 鬼祓いが出来る。

 

 杏寿郎としのぶの手に日輪刀が届いた。

 

 心強い援軍が到着した。

 

 そして何より皆の心が一つになった。

 

恐れるものは何もない。目的はただ一つ。

 

 

 

 

 

「皆、俺達全員で『鬼』を討つぞ!!」

 

『おおー!!』「パムー!!」

 

 

 反撃、開始!!

 

 

 

〈続く〉




鬼との決着は次回へ持ち越し。
そして煉獄さんと狛治さんの和解とパム治郎の有能性。分かりやすく言うと戦士だけのパーティーが戦闘中、全魔法が最初から使用可能なキャラがいきなり加入したようなもんです。
おまけに格闘家他も大量加入したと。

そして、現時点のアンケート状況。
隠す必要ないくらい二択ぶっちぎり。


それではまた次回。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
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