ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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お待たせしました。本章最大の戦いもいよいよ決着。
サブタイトルはとあるゲームのエンディングテーマから。

それでは本編をどうぞ。


星を空に……

 ゼットに続き、フーマもまた手にした新たなる力で勝利を掴み取った。

神衛隊の増援に始まり、各所で逆転劇を展開して強敵を打ち倒してきた今回の戦いも残すところはビオランテのみ。

 

しかし、レジェンドの誇る最強カプセル怪獣の一角であるゴジラの細胞を有するビオランテは他の相手とは比べ物にならない強敵だ。

 

だが同時にそれを相手取るのも銀河遊撃隊総司令官でありウルトラ戦士最強クラスの実力者ベリアルとその息子のジード、そしてビオランテが有するG細胞の大元の怪獣王ゴジラ。

ジードがマグニフィセントへのフュージョンライズを果たした事でより戦力は充実。

 

光神陣営や三大勢力が息を呑んで見守る此度の戦いを締めくくる最終決戦はまさにビッグファイトの名に恥じない凄まじいものであった。

 

 

 

 

 

 ベリアルが先行し、ジード・マグニフィセントがそれに続き、ゴジラが殿を務める。

ゴジラは元よりマグニフィセントにフュージョンライズしたジードも普段より体重が増加しているため、体重こそ重いが筋肉質なだけで基本形態なベリアルが一番機動力が高く攻撃力も申し分ないからだ。

 

 

「ヌゥェリャア!!」

 

 

ベリアルは錐揉み回転しながらジャンプし、ビオランテの頭頂をも超え真上に到達すると棒高跳びに似た体勢になってリライザーによる射撃をビオランテの頭部へ浴びせた。

パワー型の戦士でありながらアクロバティックな戦法を披露するベリアルに周囲から感嘆の声が上がる。

 

 

「デェァアッ!!」

 

 

それに追撃するようにジードはビオランテの胴にギガバトルナイザーを横薙ぎに叩き込み、その勢いを利用しナイザーを軸にして飛び回し蹴りをビオランテの横っ面にお見舞いする。

触手による攻撃はそのまま倒れ込む事で回避し、ネックスプリングで起きつつ同時に触手をナイザーによる射撃と打撃で突き放す。

さすがパワー型のベリアルの息子だけあり、攻撃・防御特化の形態での戦い方に引き出しが多い。ゼロのカプセルの効果も相まってより高いレベルにあるのだろう。

 

 

「グゥアァァァオォン!!」

 

 

そしてゴジラ。スピードは殆ど捨ててズバ抜けた攻撃力と異常なまでの体力で攻め込む。

アーシアに回復してもらい、コジローによる『何か』のチャージを受けてから背鰭が赤く発光しており、放射熱線を吐かずに進撃している。

しかし前述の通り攻撃力と体力の凄まじさが単純にそのまま武器であるゴジラは迫りくる触手を、文字通り千切っては投げ千切っては投げを繰り返し確実にビオランテとの距離を詰めていく。

ほぼ零距離に持ち込んだ場合、植物系相手に絶大な威力を誇る放射熱線を使えるゴジラはビオランテにとってベリアルやジードより危険な相手だ。

 

そして何より、G細胞を持つもの同士引き寄せ合っているからかベリアルやジードに比べ、ビオランテのゴジラへの攻撃が苛烈である。

 

 

「分かっちゃいたが俺達よりもアイツに対しての敵意が段違いだな。最強は一人でいいって感じか?」

 

「かもね。ゴジラ、二つ名が怪獣王だし……王は二人も要らない的な?もしくは……それとは全く別の何かがあるのか」

 

「いずれにせよここで考えたって埒が明かねえ。分かってるのはコイツを放置してたら危険だって事ぐらいだ。話が通じねえ相手に押し問答してもこっちが知りたい事の答えなんざ返ってこねぇしな」

 

 

ベリアルの言う通り今のビオランテはあの時と違い凶暴性が明確に現出し、闘争本能で動いているようなものだ。意思疎通はほぼ無理と言って間違いないだろう。

 

 

『フン!混ぜ合わせてオリジナル感出そうが結局はオレ様の劣化コピーだろうが!とっととブチのめして終わりだ!』

 

「オイこれどっちが悪役か分かったもんじゃねーぞ」

 

「劣化コピーって言うけどサイズとか重量感はあっちの方が圧倒的だよね……」

 

 

ベリアルとジードのツッコミは最もである。

思考がどっかの爆破小僧と似通い過ぎだがとりあえずそれは置いておこう。

 

ビオランテは巨大であるものの、移動は出来るが小回りが効かないという弱点がある。

それをカバーするために触手があるが、ゴジラには問答無用で引き千切られ、ベリアルとジードにも対応されている。

やはり3対1、加えて誰もが実力者というのが大きい。

このまま押し切る事が出来れば――そう思った時、突如ビオランテの腹部が発光し……

 

 

「ギシャアァァァァ!!」

 

「ウオッ!?」

 

「ウアッ!?」

 

「ガアァァァッ!?」

 

 

なんとビオランテは放射樹液ではなく放射()線を発射してきた。

予想外にも程がある上、威力も相当なものでベリアルは咄嗟に回避出来たがジードは足元を狙われバランスを崩し、ゴジラに至っては正面から直撃し倒れ込んでしまう。

 

 

「ちっ!そういや俺と師匠とジードで行った世界で『ソーラービーム』とかいう技があったな!ソレと同じ原理か!今は夜だけどよ!」

 

「寧ろあれは『はかいこうせん』レベルだよ!しかも極大サイズの!第二射までに時間がかかるのも一緒みたいだけど!」

 

『んな事どうでもいいんだよ!クッソ痛ぇなこの野郎!!』

 

 

あの巨大戦艦の主砲に匹敵する光線を直撃しておきながら痛いで済むゴジラはさすがのタフネスぶりというべきか。

ジードの言う通り、先の光線は元々ビオランテとは然程技や能力として相性が良くないのか、再チャージに時間を要するようだ。

 

 

 

 

 

「ソーラービーム?はかいこうせん?」

 

「とどのつまり『アレ』の光子力ビームみたいなものか!」

 

「しかしロージェノム様、あれと比較するのはさすがに厳しいかと」

 

「……?我、分からない。あれの光子力ビームって何?」

 

 

そのうち分かる、とロージェノムとヴィラルに言われ渋々引き下がったオーフィスだが、正直知らないままの方がよかったと思う事になる。

 

 

「強いて言うなら光合成を利用したものか?いやしかしあのウルトラマンの言うように昼間ならいざ知らず今は夜……もしや体内にそういった器官が存在しているのか!?」

 

「狛治さん、そこまで真面目に考えないで下さい」

 

「俺もある一つの可能性を考えてみた!そう!きっとあの怪獣も全集中の呼吸を会得したに違いない!」

 

「なるほど!」

 

「そうか、そういう可能性もあるか……!」

 

「煉獄さんの意見も無いとは言い切れませんけど、呼吸法で口から光線出せるようになるなら鬼殺隊の隊士皆が光線吐きながら日輪刀振るってますよ」

 

 

何だそのバケモノ組織。鬼よりよっぽど恐ろしい。

しのぶは光線ではなく溜息を吐きながら杏寿郎と、それに同調して納得の表情のカナエと巌勝に頭を抱えた。

 

 

「下手に考えると頭パンクしそうなんで、もう『ウルトラ不思議な事が起こった!』でいいんじゃないですか」

 

「ゼットさんの意見が一番分かりやすくて納得出来ますね。議論は後回しです」

 

 

ゼットのアホの子属性がまたも役に立った。今日のゼットは色々と輝いている。

 

 

「にしてもあのデカブツ、樹液と光線を交互に出せるとしたら厄介だぜ。ゴジラは痛いで済んでるけどさすがに何発も食らったらヤバいだろ」

 

「確かにそうよね。だとすれば何とかして発射を妨害するか、それとも早期決着を狙うかしかないわ」

 

 

フーマの意見にリアスも同意する。

ちなみにギリギリで避けてカウンターという案も考えたが……

 

 

「ゴジラ、あんまり避けること考えない」

 

 

付き合いの長いオーフィスの一声でたち消えた。

そもそもギリギリで、という点でベリアルはまだしもマグニフィセントのジードがやれるかどうか厳しい。

 

 

「でもゼットさんとフーマさんは私達の護衛をして下さってますし、神衛隊の方々も三大勢力陣(あちら)を護衛して下さってますわ。最も……先程から本来の護衛の方々が右往左往するばかりで役に立ってないみたいですが」

 

「何でこんな時にお兄様は眷属をルミナシア以外に連れて来ないのよ……!」

 

「でも、生徒会の皆さんやガブリエルさんとか、そういう方達は何とかしようとしてます」

 

 

呆れ気味に言う朱乃は勿論、リアスもダイブハンガーにいる束と同じ意見だった。

かつての自分の考えが色々甘かった事を知って、ちゃんと先達たる光神陣営の者の意見を聞きながら学び、成長しているからこそである。

トップがトップだからか、ガブリエルもそうだがソーナを始めとする生徒会の面々など中間管理職扱いの者達にシワ寄せが行っており不憫に思えた。

 

 

「……父さんとシックルさんに脅してもらうのはどうかな?」

 

「「「裕斗(君)(先輩)それはやめて(下さい)」」」

 

 

七星剣の中心人物とそれの同格のギルドガードの長による脅迫とかさらに三大勢力の連中が使い物にならなくなりそうだ。主に恐怖で。

 

 

「結局、今はリクさん達に任せるしかないのね……ちょっと悔しいわね」

 

「我、ずっと気になってる」

 

「何かしら、オーフィス?」

 

「放置親は?」

 

 

放置親――オーフィス命名によるカテレアの事だ。

一瞬何の事か分からなかったが、即座に思い出して全員軽く吹いた。

 

 

「もうオーフィスの中では放置親で認識されてるのね」

 

「けれど確かに見かけてません」

 

「一応警戒は怠るな。私から見て大した事はないが、ああいう輩は姑息な事に頭が回る」

 

「……そんな簡単に大した事ないと言えるのはこの場で師範くらいでは……」

 

 

ゼノヴィアの抗議も何のその、巌勝は再びジード達へと視線を戻す。

彼らは既に思考を切り替え、再びビオランテを打倒すべく立ち向かっていた。

 

 

 

 

 

 先程の様子からベリアルはある結論を導き出していた。

 

 

(奴が光線を吐き出したのは奴の腹が光ってからだ。つまり仕掛けがあるとしたら、あの核みたいなのがある腹ってわけか。おまけに再発射には時間がかかるときた。ならあそこに強烈な一撃をぶち込めばチャージ遮断は可能じゃねえのか?)

 

 

大抵特異な怪獣というのは特異な器官を体内に有する事が多い。ビオランテもきっとそのクチなのだろう。

ただでさえ見た目とは裏腹に触手使って走ろうとしたりするなど予想外過ぎる行動が多いのだ。

 

 

(どのみちトドメはアイツの役目だ。俺とジードの役割はあの野郎を可能な限り弱らせる事、ジードならともかく俺は必要以上に出しゃばらなくていいだろ)

 

 

そうと決まれば取る戦法も決まった。

ベリアルはジードとゴジラに声をかける。

 

 

「よう、お前らコンディションは維持できてるか?」

 

「まあ、なんとかね」

 

『くっそ……まだちっとばかしビリビリしてやがるが問題ねえ。それどころかおかげであの野郎に対してアレを全力でブチ込めそうなテンションになってるぜ』

 

 

ゴジラの言うアレとはおそらく彼の切り札だろう。

聞いた話ではゴジラは放射熱線を吐くとき背鰭が青く発光するそうだが、今は赤く発光しさらにその状態になってからは一度もまだ吐いていない。

きっとこの闘いの決着をつける一撃になるだろうというのは容易に想像出来る。

 

 

「なら十分だ。俺が立てた作戦の説明をするぞ。まずは俺とジードが奴に接近して奴の腹を攻撃し光線を吐くのを妨害しつつ、ある程度ダメージを与えたら離れて逆に光線を奴の腹にブチ込む。この時、俺とジードは奴の斜め前……文字で表すなら『Λ』になるように位置取る」

 

 

つまりは 

 

      ●ビオランテ

 

 

  ○ジード   ○ベリアル

 

      ○ゴジラ

 

だいたいこんな感じである。

ジードとベリアルは逆でも構わない。

 

 

「当然奴の真ん前が空く事になるから、俺達の光線が命中した後にそこをゴジラが直進して奴をお前の射程圏に収めてから、お得意のアレとやらを叩き込んでやりゃあいい。タイミングとしては俺とジードの光線が直撃してからすぐにお前が奴の眼前に到達出来る感じが望ましいが、そこはお前に任せる」

 

「最後が一番シビアだね」

 

『上等だ。樹液の方を吐いてくる可能性はあるがあのくらいならオレ様に効きゃしねえ。そっちは心配すんな』

 

 

どうやら当たった時に煙は出ていたがさして効果は無かったらしい。

だとすれば尚更注意すべきはあの光線だ。

 

 

「メンツと作戦内容的に『チャンスは一回』ってワケじゃねぇが、こちとら体力とかエネルギーが無限にあるワケでもねぇからな。一発で成功させてケリつけるぞ」

 

「了解ッ!」

 

『ハナっからそのつもりだ。ヘマこくなよお前ら!』

 

「「そのセリフ、まんま返す!!」」

 

 

言うやいなや、ベリアルとジードはビオランテへと駆け出す。

対するビオランテもさらに触手を増やして応戦するが機動力はそれほどでなくとも動作自体はそう遅くないジード・マグニフィセントはナイザーを器用に振り回しつつ、パンチやキックによるカウンターを的確に触手へ打ち込んで払いながら接近。

ベリアルの方は迫りくる複数の触手の隙間を縫うように身体を捻りながら小さくジャンプで回避しつつ、リライザーによる射撃で触手を吹き飛ばしながら肉迫する。

 

 

「「デリャアアア!!」」

 

「グオォォォ!!」

 

 

ビオランテまで接近した二人はそれぞれの武器を腹部へと叩きつけた後、キックを叩き込みながら離れ、さらに先程キックした場所へと武器を構えて射撃する。

いずれも寸分違わぬタイミングで左右対称同時に行われており、まさに『コンビネーションとはこういうものだ』と理想の手本と呼ぶに相応しい動きだった。

しかも作戦では「光線を吐くのを妨害」としか指定していない。つまり以心伝心というか、互いが互いのする事を自然と理解し合えていたからこそ成し得た連携戦法だったのである。

 

 

「やっぱり腹部への攻撃はさっきの光線を遅延させるのに有効だったみたいだ……!父さん!」

 

「よぉし、次の一撃で俺らは〆だ!最後はゴジラに任せるぞ!出し惜しみ無し、残りエネルギー全部ブチ込む気でブッ放せ!!」

 

 

二人はそれぞれ両手の拳を打ち付けてエネルギーを解放する。すると解放されたエネルギーが二人の両拳からスパークし、握り拳のまま両腕を左右へと開くに連れてスパークがより激しくなっていく。

ベリアルは青の、そしてジード・マグニフィセントは緑のスパークを拳のみならず両腕から発生させながら、互いに顔を見合わせて頷くと先にジードが動いた。

 

 

 

「ビッグバスタウェイ!!」

 

 

 

左右に開いた両腕を一回転させながらL字型に組むと、時折虹色のスパークを発しつつエメラルドグリーンに輝く凄まじい光の奔流がジードの右腕から放たれる。

 

そしてジードがビッグバスタウェイを放つ直前にベリアルも同じような動作を行っていた。

ただし、発射体勢はL字型ではなく、十字に組んだ所謂スペシウム光線に代表される体勢。

 

 

 

「ボルティウム光線!!」

 

 

 

自身の得意技の一つである『デスシウム光線』を闇のベリアルへ完全に譲渡し、光のベリアルがウルトラの父やゼロの協力を得て編み出し、ジードに名付けられた新たな必殺技。

 

ベリアルがジードよりも少し遅くに発射したのはボルティウム光線の光線速度と貫通力がビッグバスタウェイに比べて圧倒的に上だからだ。

 

77万度に及ぶビッグバスタウェイに対し70万度と威力自体は一歩劣るものの、電気の力で弾丸を高速射出する『電磁銃(レールガン)』と同じ原理で、ベリアルが得意とする電撃技を組み合わせ放たれるそれは相手の回避を許さぬ超速と、その速度が生み出す一点集中の貫通力によっていかなる防御も『木っ端微塵』ではなく文字通り『ブチ貫く』光線なのである。

 

その超速故に、着弾タイミングを合わせるのは至難の業でありベリアルの技量をもって漸く合わせる事が出来るレベル。

この為、ベリアルはジードのビッグバスタウェイの光線速度を計算した上で加える電気エネルギーを調整し、同時着弾タイミングを瞬時に導き出してボルティウム光線を放ったというわけだ。

 

上記の理由から同時発射の際、合わせるのは基本的にベリアルの役目である。

一度、ティガがかなりの速度を誇るスカイタイプのランバルト光弾で合わせようとしたが、ベリアルとティガが同時に発射したにも関わらずボルティウム光線にだけ貫かれて相手が爆散。

これだけでどれほどの光線速度か理解出来るだろう。

 

 

閑話休題。

 

 

ジード・マグニフィセントのビッグバスタウェイとベリアルのボルティウム光線がほぼ同じタイミングでビオランテの腹部に着弾する。

ビッグバスタウェイによって腹部を守る蔦のようなものは木っ端微塵にされ、その瞬間無防備になった腹部をベリアルのボルティウム光線が凄まじい勢いで貫通し、そこから樹液らしきものが噴き出すと同時にビオランテと触手は緑の体液を吐血の如く吐き出した。

 

 

「よし、効いた!効果は抜群だ!」

 

「なるほどな……樹液を何かの方法で腹の中で光線に変換してたってわけだ。何にせよ俺達はやるべき事はやった、後はしっかり締めな!ゴジラ!」

 

『上出来だぜ爆裂親子!トドメはオレ様に任せとけェ!!』

 

 

何だ爆裂親子って、とベリアルとジードは揃って思っていたが、当初の予定通り二人の光線が直撃した時点でビオランテのすぐ近くまで来ていたゴジラは、二つの光線が収束すると即座にビオランテに組み付く。

どうやら腹部はビオランテにとっても重要な器官だったようで相当弱っていた。

 

 

「グ……ウゥゥゥゥゥ……!」

 

『あの威力で腹をブチ抜かれておきながら生きてるどころか抵抗しようとする時点で大したモンだがな、そもそもオレ様を相手にしたのが間違いだったってことだ!!』

 

 

背鰭の赤い発光がさらに輝きを増し、ゴジラの口から放たれようとした時、ビオランテは最後の足掻きと言わんばかりの行動をとった。

その巨大な口でゴジラを丸呑みするが如く頭部に噛み付いたのだ。

上下に生えた無数の牙が深々とゴジラの皮膚に突き刺さり、それを見ていた者達から悲鳴が上がる。

だが、ここまで来てその程度の負傷で音をあげるゴジラではない。

 

 

『さっきまで暴れてたポンコツ野郎といい、テメエといい……今日はタフな野郎がわんさか出てきやがったな』

 

 

まるで噛み付かれた事など気にも留めていないかのように、牙が更に皮膚に食い込むのもお構い無しに口を開いていくゴジラ。

 

勝利に執着するタイプで目立つのは三つ。

一つは、どれだけ卑劣な手を使っても構わないと考える、先程のスラン星人のようなタイプ。

一つは、どれだけ犠牲を払っても構わないと考える、時と場合によっては必要となるかもしれないタイプ。

そして、ゴジラが属するのは最後の一つ。どれだけ傷付こうと構わないタイプ。もちろん傷付く対象は自分だ。

 

今、ゴジラを動かす原動力となっているのはシンプルかつ単純な理由だ。

 

 

『オレ様はテメエをブチのめすためにここにいるってのに、ここで引き下がったらテメエをそこまでボコボコにしたアイツらより下って事になるだろうが!伊達に王の称号を背負ってるワケじゃねえんだよ!!』

 

 

ジードが言ったように、己が怪獣王たる存在だからだ。

加えて明言してはいないものの、ゴジラの本来の主であるレジェンドや現在の主であるオーフィスの顔に泥を塗るような事をしたくないというのも理由の一つ。

……ついでに、鬼灯が見ている前で醜態を晒せば日本地獄にいるシンな同族に笑われるかもしれない。

いずれもゴジラ自身のプライドが関係しているが、同時にどれも納得がいく理由である。

 

そして、遂に背鰭の発光が最大に達し、今まで溜め続けたエネルギーを一気に吐き出す。

 

 

 

 

 

『くたばりやがれ!オレ様もどきの植物野郎!!』

 

 

ゴオオオォォォォォッ!!!

 

 

 

 

 

ゴジラの切り札、ウラニウムハイパー熱線。

かつてはファイヤーラドンのエネルギーを吸収して放ったそれは熱量100万度に達する超威力の放射熱線。

コジローのスターファルコンからウルトラマン達に続いてゴジラへと放たれた光線はウラニウムエネルギーだったのだ。

ゾフィーのM87光線をも超え、ジードの究極形態ウルティメイトファイナルの必殺技の一つであるレッキングノバに匹敵する威力を誇るそれはビオランテを口腔内から後頭部へと貫通、そしてそのまま背中まで吹き飛ばす。

 

 

「グギィァアァァァァァ!!」

 

 

 

 

 

 ゴジラの活躍を見たオーフィスは自分の事のように胸を張っている。……そこ、ぺったんことか言わない。

 

 

「えっへん」

 

「いや、なんで貴女が偉そうなの?オーフィス」

 

「ゴジラ、我とレジェンドのカプセル怪獣」

 

「ああ……うん、確かにそうなんだけど……」

 

 

つまり自分達のカプセル怪獣はあんなに凄いんだぞ、と自慢したいらしい。

その気持ちはリアスにもよく分かる。一誠を始め自分の眷属は自慢の家族な訳で。

 

 

『口の中に頭に突っ込んで中から吹き飛ばすとかえげつないな……』

 

『だが、内側からの攻撃というのはかなり有効だ。お前達もよく覚えておいた方がいい』

 

『そういえば、グレート先輩が確かそれやって以前ゴーデスを倒したとか』

 

「『『グレート先輩(ジャックさん)スゲェ!?』』」

 

『そりゃレイトの奴も先輩と呼ぶよな』

 

 

かつて強化復活を果たしたゴーデスを体内から脱出粉砕したグレートはやはり歴戦の勇士だった。

一誠とトライスクワッド、さらにドライグも感心する。

さすがレイトことゼロが敬称を付ける数少ない御仁。

一説にはメビウスブレスやナイトブレスのブレード機能はグレートの技を参考に付けられたという噂まであるくらいだ。

 

 

「けど、あのビオランテとかいう奴……まだ!」

 

『……いや、決着だ。それも意外な形でな』

 

『え?』

 

 

ゼットの言葉に対してレジェンドが答えると、その場の全員がどういう事かと首を傾げる。

……それは再びビオランテを見た時、明らかになった。

 

 

 

 

 

「……やったか?」

 

「たぶん。そうでなくても、もう抵抗とか出来ないと思う」

 

『ちっ……歯形付いてんじゃねーか。アーシアにまた治してもらうか』

 

「今度は小さくなってる時にやってもらいなよ?アーシアちゃん倒れたらレジェンドさんがオーバードライブしそうだから」

 

「『確かに洒落になんねーなソレ』」

 

 

 勝利を確信した二人と一匹は、虫の息のビオランテを放置して談笑する。

様子を見る限りもはやビオランテに戦闘行為は不可能だろう。そう思った時、彼らのみならずその場にいた者全員に声が聞こえてきた。

 

 

――ありがとう、ビオランテ(わたし)を止めてくれて――

 

『!?』

 

 

突如聞こえてきた見知らぬ声に困惑する一同。

……いや、この声を聞いた事のある者がたった一人だけいた。

そう、グラハムだ。

 

 

「まさか……!君は黒上博士の娘の!」

 

――そう、黒上源十郎の娘。黒上絵里――

 

 

これにはレジェンド以外、驚きを隠せない。

グラハムとしても先日はくぐもって聞こえていた声がハッキリと聞こえ、同時に苦しんでいる様子も無い事を不思議に感じている。

 

 

「あの時に比べて随分落ち着いているが……」

 

――もう、苦しくないから。時間もないけれど――

 

 

時間もない――こうして会話出来る時間、即ち命の灯火も残り僅かということだろう。

 

 

――心配しないで。元々私はもうこの世にいなかった。こうして少しの時間だけ会話出来ているのが奇跡なくらいだから――

 

「そんな……そうだ!超師匠なら……」

 

『今の状態の彼女を救ったとしてビオランテのままだ。それに彼女はそれを望んでいない。消えゆく命を生かす事、それをその者自身が必ずしも願っているとは限らない』

 

 

レジェンドの言葉に誰もが俯いている。

救済とは、イコール生存に結び付くわけではない。その逆もまた然り。

何らかの理由で自責の念に駆られたりしている場合、たとえその者が悪くなくとも無理矢理助ける事でさらに負の感情を抱く可能性が出てきたりすることもある。

 

 

 

「……正しい戦争なんてない。でも、正しさが人を救うとは限らない」

 

『!』

 

 

マリーダが呟いた言葉、それはビオランテ――絵里、そしてマリーダ自身が戦争の犠牲者だったからこその言葉。

マリーダは戦争の最中に兵器として作り出され、絵里はテロの巻き添えになって命を落とした。

正しければ兵器として命を作り出していいのか?

正しければテロで命を奪っても許されるのか?

それはかつて戦争を経験した三大勢力の者達に深く突き刺さるものだったが、絵里は続ける。

 

 

――今の言葉の答えは貴方達がこれから見つけていかなければならないもの。だから、私が伝えたい事は別のこと――

 

「別の……?」

 

――気をつけて。貴方達と敵対する者達は皆、底知れぬ闇を有してる――

 

 

絵里の言葉に一同は身をこわばらせる。

闇の力ではなく、闇。それが一体何を意味するのか。

 

 

――本当ならもう少し色々教えたり、出来る事なら力になりたかったけど……時間が来たから――

 

「あ……!」

 

――最期に、行かなきゃいけないところがあるから……これで、お別れ。ありがとう、光の戦士たち、怪獣王……そして、さようなら――

 

 

その言葉を告げ、ビオランテは再び金色の粒子となって空へと上っていく。還っていくという方が正しいのかもしれない。

 

 そして、彼女が行かなければならないところ。それは――

 

 

 

 

 ビオランテ――絵里の言葉を聞いた黒上博士は急いでダイブハンガーの海上に出ている部分から外のデッキへと出ていた。

その後をミライやグレイフィアなど一部の者も追ってきており、彼らが見たのは空へと上っていったはずの金色の粒子のうち、僅かな光が黒上博士のところへとやってきていた光景だった。

 

 

「……絵里……」

 

――お父さん、ありがとう。私のお父さんでいてくれて――

 

 

黒上博士は金色の粒子を掬うように両手の上に乗せている。

 

 

――こんなものしか遺していけないけれど、ずっと私の好きなお父さんでいてね――

 

「ああ……ああ……!そうだな、お前は……そういう子だった……どんなに苦しくても誰かのために頑張れるこだった……お前は、いつまでも私の自慢の娘だ……!」

 

 

絵里が遺していくもの――金色の粒子をポケットに入れてあった特殊なカプセルへと入れ、大事に握り締める黒上博士。

 

 

――私の分も生きないと駄目だからね。さようなら、お父さん――

 

 

その言葉を最期に絵里の声は聞こえなくなる。

 

 

「勿論だとも……まだ私はそちらに行けないが、お母さんと仲良くするんだぞ、絵里」

 

 

そう言った黒上博士は涙を流していたものの、笑顔。

同時に、黒上博士だけでなくミライやグレイフィアも見上げた夜空は……絵里が笑顔で「頑張って」と言ってくれているような、満天の星空だった。

 

 パム治郎と黒上博士。

一人と一匹は、亡き大切な家族の笑顔を見送り、未来へと踏み出す。

 

 

 長く激しい夜は、ようやく終わりを告げた。

 

 

 

〈続く〉




あとい1、2話で本章も終わります。

ここで「あれ?オーフィスいわく放置親は?」と思われる方もいらっしゃるでしょうがご心配なく。
ちゃんと関わりますので。

それではまた次回。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
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