ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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お待たせしました。二度目の幕間、初回は作中で言われてたダイブハンガーでの会談です。

遂に出会う三馬鹿トップと天災、果たして彼らのメンタルは大丈夫なのか?


それでは本編をどうぞ。


幕間・其ノ二
後日会談、ダイブハンガーにて


 会談の日から数日後。

 

改めてダイブハンガーへと招かれたアザゼル、ミカエル、ガブリエル、サーゼクス、セラフォルーにルミナシア。

さらに生徒会のメンバーに加え、天使側にイリナ、堕天使側はヴァーリの離反に伴いシェムハザが参加。

 

招待された全員がまさかの秘密基地な住居に驚き、アザゼルやサーゼクスは興奮のあまり会談そっちのけで探検しようとしてシェムハザとルミナシアによって物理的にお仕置き&説教をくらうハメになった。

そもそもレジェンド一家とサーガ組のプライバシーもあるのだしその対応は当然だ。

 

リフレッシュルームへと案内され、会談というより自由会食のような形をとって行われ、真っ先に気になった事をアザゼルが質問した。

 

その内容とは「あからさまにガブリエルがレジェンドへ向けて好意を向けているが、堕天しないのは何故なのか?」というもの。

それに対するレジェンドの回答は「そもそも光神自体が聖書の神より上の立場に座しており、その最高位にいる自分へは『システム』そのものが機能しない」ということらしい。

 

それを踏まえて天使、悪魔、堕天使が解決しようとしているいくつかの問題への打開策を提示した。

 

 

 

まず、天使側。

 

一番の問題はやはりというかシステムに関してだ。

これはシステムそのものの見直しと、光神の一人が聖書の神に代わり対象の『神』としてシステムの運用の中心となることになった。

システム見直しの例を挙げるとすれば『神器所有者の選定』が最たるものだ。

そもそも不特定多数の『人間』へランダムで神器を宿させる事自体が間違っており、その結果が英雄派のような危険思想を持った人間へ神滅具が渡ってしまうようなことになっていたのである。

神器を宿らせるのは現在生存している保有者を除き、今後は光神やその眷属、セラフらにより厳選された教会内外問わず『人格的に問題ないと判断された者』へと後天的に宿らせるようにし、強大な力を安易に振るわれないようにする事にした。

 

他にも堕天の基準緩和や、バルパーやフリードなどの件を踏まえ神父や司教らを始めとする聖職者選定の厳格化などが決定。

 

なお、システムの運用を行う光神にはレジェンドやサーガからも信頼の厚い、元スダ・ドアカ十二柱神の一柱たる人物、及びその護衛には初代シャッフル騎士団が選ばれておりそちらも合意している。

 

 

 

続いて悪魔側。

 

こちらはまず冥界の政治に携わっている上級悪魔のうち、人間達への意識を見直す気の無い『老害』悪魔をどうにかする事から始める。

ここでレジェンドが提示した人物が、彼の眷属たる九極天の一人であるダンブルドア。

穏やかではあるがその実力は九極天の中でも最強クラスであり、彼に連絡したところ快く承諾してくれた。

とはいえ昔の思考が凝り固まったまま年月を重ねたその老害悪魔が潔く納得する可能性はほぼ無いと見て間違いないと考えたダンブルドアは、既に対策を用意している。

――そして、一仕事終えた『アレ』が帰還してくるとレジェンドから聞かされたダンブルドアは驚愕し、最後の手段としてそれの力を借りる事を決めた。

おそらく、十中八九その最後の手段とされるモノが動く事になるだろう。

 

レーティングゲームに関してもサーゼクスが会談の場で言った通り、当面の開催は無期限中止となった。

内容が内容なのでまだ公には開示されていない為、ダンブルドアが交渉の道具に使うらしい。

連中の事だから逆ギレしそうではあるが、そうなったとしてもかの存在による粛清がより確実なものになるだけだ。

 

そしてレジェンド一家的に重要な、黒歌のはぐれ認定の解除。

これは予想以上に簡単に済んだ。

元々その元主の評判が悪かったのか、それとも証拠が十分だからか、はたまたその両方かはともかく黒歌は晴れて自由の身となった。

逃げ回っていた間に出した被害もあるにはあるのだが、事もあろうに黒歌が黒猫モードの時に仮住居敷地内に偶然逃げ込んだ時、追手の悪魔がレジェンド一家に無礼な口を利きつつ不法侵入した事を不問にする事で手打ちにした。

しかもレジェンドのみならず当時一緒にいたオーフィスを始めC.C.にスカーサハ、さらにグレイフィアに対しても威圧をかけるという、本気で光神陣営を敵に回すような事をしでかしていた事実まで聞かされ、サーゼクスより先にルミナシアがショックでブッ倒れた。

そりゃ、折角生きていた双子の姉が自分達の勢力にそんな事をされていると知ったらそうもなるわな。

 

やらねばならない事が最も多い勢力の為、とりあえずはこの三つ(うち黒歌の件は完全に解決済み)が当面の問題だ。

 

 

 

最後に堕天使側。

 

これは思いの外全体的に早く済んだ。

というのも、堕天して枷が外れたからか独断で活動しがちな部下達の管理徹底と、アザゼル自身の問題行動の(物理的)抑制などは他の勢力よりも割と解決しやすい問題であった事がまず一つ。

 

そして命を落とさせずに神器の取り出しを行う方法については、ウルトラマンヒカリが直接堕天使の元へ訪れて協力するという話になり、アザゼルやシェムハザが歓喜しサーゼクスやミカエルが羨ましがっていた。

科学技術局によく出入りしているとはいえ、ヒカリの現在の所属は宇宙警備隊であるため割と自由に動けるのだ。

彼自身がウルトラ兄弟の一人として数えられているのも大きい。

 

 

 

一通り打開策や方針を提示した後、天使側と悪魔側からある頼み事が光神陣営、正確にはレジェンドに告げられた。

しばらく悩んだレジェンドだったが当事者となった2名+1名の期待を込めた視線に根負けして承諾。

 

 

 

レジェンドは最後に、数日後日本地獄にて新設される『魔闘地獄』という地獄の責任者が決まったのでお披露目会を兼ねたスペシャルタッグマッチが日本地獄にて開催される事を伝えた。

対戦相手が鬼舞辻無惨とコカビエルなのはともかくとして、レジェンドが参加し、しかも未だ明らかにされていないタッグパートナーがレジェンドと旧知の仲であり相当な凄腕とあっては注目されない筈がない。

そしてその人物が魔闘地獄の責任者になると事前に広まっている為、その姿を直接見ようと日本地獄にて販売されたチケットは販売開始僅か一時間足らずで完売。

当日生中継されるとの事だが、鬼灯いわく同時に間近で見た時の迫力はテレビの比ではないらしい。

しかもゲスト招待客や解説にもとんでもない人物を呼んでいると。

 

 

 

 

 

「って事はもう無いの!?」

 

「と……当日販売とかは!?」

 

「残念ながら無いですね。というか、無理矢理有給入れてたり現部署クビ覚悟で観戦に来る獄卒も相当な数なので空きはまず出ないでしょう」

 

 

鬼灯の言葉を聞いてガックリ膝を着くセラフォルーとガブリエル。

生粋のレジェンド大好きっ娘な彼女らにとっては彼がゼットに変身せず活躍するところを生で見れないのはキツいようだ。

一応、冥界や天界、ダイブハンガーにハンターズギルド、さらには惑星レジェンドなどで生中継による観戦が可能なのだが……。

 

 

「「なんとかなりませんかっ!?」」

 

「なりますよ」

 

『なるの!?』

 

 

切羽詰まって涙目で懇願するセラフォルーとガブリエルにあっけらかんと言い放つ鬼灯にレジェンドを除き総出でツッコんだ。

 

 

「レジェンド様のタッグパートナーを務める方いわく『次代を担う若き『悪魔』にこそ見てもらいたい』とのことで、ちょうどレジェンド様が若手悪魔のリアスさんらと関わり合いがある事を伝えたら参加者特権で押さえていた分をくれたんですよ。是非とも、と。元々レジェンド様も参加者兼VIP枠でそこそこ確保出来てましたが」

 

 

つまり、オカルト研究部+α程度なら確保出来ていたが、かの人物がさらに席を追加で確保してくれたとわけだ。

元々はその人物も招待したい者がいたそうだが、鬼灯の厚意によってゲスト枠で全員分確保出来たため必要が無くなったからである。

 

 

「と、いうわけで生徒会の皆さんも良ければいかがですか?あの日、リアスさん達以外で年若いというのに頑張って動いてくれましたし。お礼と言うわけではありませんが、彼の言う通り次代に期待を込めて、ということで」

 

「わかりました。折角のその方と鬼灯補佐官のご厚意ですし、ご招待を受けさせて頂きます」

 

 

ぺこりと綺麗にお辞儀するソーナに倣い、匙や椿姫ら生徒会のメンバーも頭を下げる。

セラフォルーやガブリエルはレジェンドに頭を下げていた。

レジェンドが件の人物と懇意にしていなければこの話も無かっただろうから。

 

 

「にしても、誰かは当日までのお楽しみとして……超師匠のタッグを務めるその人ってどんな御仁ですか?俺的にウルトラVIPな感がビンビンしてるんですが」

 

 

ゼットの疑問はその場のほぼ全員が気になっている事だ。

しいて言うならゼットの予想は大当たり。

 

 

「一つだけ教えておく。そいつは己の師であった元『神』を真っ向勝負で打ち倒した桁外れの実力者だ」

 

『!!』

 

 

レジェンドから告げられた事実はまさに衝撃的だった。

光神をしてそこまで言わしめる、神をも下す程の人物とは誰なのか。

 

 

「当日、会えばわかる。その場にいるだけで敵味方共に気が引き締まるような奴だからな」

 

 

……気が引き締まるのはレジェンドとか一部くらいで、大抵の者は敵味方問わず恐れそうな人物なのだが。

 

 

「ああ、ちなみにその方が特訓相手に使……協力してもらってるのは聖書の神ですよ」

 

「「「「えええええ!?」」」」

 

「寧ろ兄ちゃん今『使ってる』って言いそうにならなかったか?」

 

 

鬼灯の爆弾発言にミカエル、ガブリエル、イリナ、そしてゼノヴィアがハモりながら驚き、フーマはしれっと鬼灯が聖書の神を物扱いしてた事をツッコむ。

 

 

「どうやらもう死なないという点以外は役に立たないようで、『世界が違うとはいえ、こんな軟弱者がザ・マンと同じ神と呼ばれる存在だと?非力すぎるわ』とボロ雑巾を見てましたね」

 

「ボロ雑巾を見るような目で、じゃなくてもうボロ雑巾そのものですか!?」

 

「あんな外道ポンコツがアイツのスパーリング相手を務まるわけないわな。良くて精々サンドバッグが妥当だろ」

 

 

イリナのさらなるツッコミも何のその、聖書の神に悪感情しかない鬼灯とレジェンドはボロクソに吐き捨てている。

 

 

「ええ。途中から本当にそうなりました。アレ、泣き喚いてましたけどやらかした事考慮すると『いいぞもっとやれ』だったんで鍛えたい方がいらっしゃるならどうぞ使って下さいと言ったところ、自身の特訓ついでに彼女を鍛え始めました」

 

「誰だ?まさか妲己じゃあるまいな……強くなったからといっても乱暴には振り解きたくないぞ」

 

「さすがに違いますよ、レジェンド様」

 

 

日本地獄に訪問時、事あるごとに夫婦(めおと)になろうとガチでアプローチしてくる傾国の美女と呼ばれた大妖怪を思い浮かべ溜息を吐くレジェンド。

組み敷く特訓ならともかく、そもそも彼女がそんな事をするわけがないので鬼灯からも違うと返事が出た。

 

……最も、レジェンドにとってはその後の台詞が衝撃的だったのだが。

 

 

 

 

 

「芥子さんです」

 

「オイあいつマジでなんて奴を鍛えてんだ」

 

 

 

 

 

その光景の方がさすがに……アレ?余裕で目に浮かぶんだけど何だコレ。

ちなみに彼女のサンドバッグはどこぞの淫獣。

先日彼が技をかけられている姿を見て、ついテンションが上がった鬼灯が本気で芥子にエールを送ったのはご愛嬌。

 

 

「えーっと……芥子、さん……って?」

 

「如飛虫堕処の核弾頭」

 

「大叫喚地獄の決戦兵器」

 

 

見た目は愛らしい真っ白なニホンノウサギ。

その実態は日本地獄の動物獄卒トップクラスの腕を持つ実力者。

鬼灯とレジェンドは揃って芥子を異名で表現した。

正直、かの人物によって彼女が鍛えられたら本気で動物獄卒の頂点に立ちかねない。

 

 

(そういや芥子の好きな男性のタイプって鬼灯を兎にしたような奴だっけ……アレ?あいつも割と当てはまってるんだけど)

 

 

芥子を鍛えている人物を思い浮かべ、冷や汗を垂らすレジェンド。

まさか予想外のカップルが出来たりしないだろうなという懸念を一先ず脳内から消し去り、自身もタッグマッチに備えて調整に入ることにした。

 

 

 

 

 レジェンドがタッグマッチに備えるため、会談終了と同時にそこから離れてすぐ、翌日が日曜日ということもありここ泊まっていかないかとサーゼクスやアザゼルが言い出した。

いやお前らが言うなよ。

 

 

「なあ、リアス……セクハラ総督もだけど、お前の兄ちゃんアホなのか?」

 

「言わないでフーマ……」

 

 

両手で顔を隠しているが多分、泣いている。情けなさで。

 

 

「サーゼクス様!ここは基地のようですが光神様の御自宅でもあるんです!それを家長の許可無しに勝手に宿泊宣言など何巫山戯た事を言ってるんですか!!ああ、もう……妻としてメイドとして眷属として恥ずかしい……!」

 

「ちょっ……ルミナシア?」

 

「おいコルァ、アザゼルアンタ何馬鹿な事を言ってるんです?寝言は寝て言えよタコ」

 

「おぉいシェムハザキャラ変わり過ぎじゃね!?あと、俺お前の上司……」

 

「上司って?自分の尻拭いをさせて他者に迷惑かけて組織全体のイメージダウンを率先して行う腐れ外道をそう言うんですかね?」

 

「「いやあのスンマセンしたマジでスンマセンしたどうかお怒りを鎮めて下さい!!」」

 

 

サーゼクスとアザゼルが同じタイミングで土下座。

グレイフィアは妹の苦労が目に見えて分かってしまったらしい。

 

そんな時、レジェンドと共に出ていったゼットが何やらファイルらしきもの(の中身)を読みつつ戻ってくる。

 

 

「えぇっと……サイコ・ガンダムMk-Ⅱは初代と違ってサイコミュ式有線ビーム・ソードやリフレクタービットを内蔵し戦術に幅が出ているため注意すべし……マジかよウルトラキツくね!?サイコ・ガンダムはまだビグ・ザムに腕が付いて砲門が増えたって感じだったのにこれって詰み?いやいやアムロ師匠リスペクトな俺にとってはこの程度で音を上げてられないぜ!実弾武器なハイパー・ハンマーやハイパー・バズーカで頭部に集中攻撃すれば……アレ?皆さんどうしたでございますか?また修羅場?」

 

「いや、さっきまでのお前もある意味その要因……まあいいか。実はな……」

 

 

ちょうど食事を終えたレイトが事情をゼットに説明すると思いもよらぬ形で返答された。

 

 

「それなら超師匠から伝言賜ってますけど」

 

『へ?』

 

「『部屋以外で行動する時は住人の誰かが同行すること、あと技術とか物とかを盗んだり勝手に持ち出したりとかしないこと。これを守れるなら宿泊可』だそうです」

 

「本当かい!?ありがとうゼット君!」

 

「サーゼクス様!許可を下さったのはレジェンド様です!全く……ゼット様、わざわざ言伝頂きありがとうございました」

 

「へ?いやいや頭下げられるような事じゃないでございますよ!単に俺はメッセンジャーゼーット!になっただけですし」

 

 

ルミナシアに頭を下げられながら礼を言われ、アタフタしつつもいつもの調子で謙虚なゼット。

だというのにこちらは……

 

 

「技術とか……ちっとばかしでもダメか?」

 

「アザゼル!!」

 

「いや、だってよ……」

 

「あ、超師匠から『おそらくアザゼルが「ちょっとくらいならいいじゃん」的な事言い出すだろうから、もしその時止めてもやめなければ去勢しろ』とも言われました」

 

「スンマセンっしたー!!」

 

 

アザゼル、D☆O☆G☆E☆Z☆A。

 

恐るべしレジェンド、行動予測は簡単だとしてもペナルティにいきなり去勢を提示するあたりアザゼルの女性関係に対する信頼は最底辺だ。

間違いなくアザゼルの『男』を潰す気でいる。

 

 

「もうヤダこの上司……」

 

「心中お察しします。私も派遣先の上司があまりにサボり癖が酷いもので」

 

「……鬼灯殿、今度その方とコイツを監禁して飲みに行きましょう」

 

「喜んで。思いっきり愚痴を言い合って発散しましょう」

 

 

上司に苦労する者同士、絆が芽生えてしまった。

 

とりあえず、こんな魔王と総督みたいにはならないように気をつけようと思うミカエルだったが、そんな彼も先の事件での発言のせいでレジェンドではなくサーガからの信頼は最底辺だと言っておく。

 

 

 

 

 

宿泊が決まり、ふとした事に気付いたガブリエルがゼットに訪ねてみることにした。

 

 

「そういえばゼットさん、先程サイコなんとかがどうとか仰ってましたけど……?」

 

「ああ、機動兵器シミュレーターの事でございますね」

 

「「「「「機動兵器シミュレーター?」」」」」

 

 

新しい単語が出てきて興味津々な三大勢力トップ陣。

特にアザゼルは技術関係と予想して目が輝きまくっている。

 

 

「ま、手っ取り早く説明すんならロボットの操縦訓練用の機械ってやつだな」

 

「ちょっ!?それマジか!?」

 

 

レイトがサラッと言うとやはりアザゼルが反応する。

声に出したのはアザゼルだけだがサーゼクスを始め他の者も彼の方を向いていた。

 

 

「まあな。俺がここに来た頃からあったけどよ、どんどんバージョンアップ重ねて今や歴史の疑似体験だけでなく、シミュレーター内とはいえ『その戦いの中に自分がいたら』っていう……えーっと……そうだ!IFストーリー的な、文字通り『自分だけの物語』を紡げるんだ」

 

 

分かりやすくいうなら、レイトの場合『もしレイトがガンダムエクシアの同型機に乗ってソレスタルビーイングに所属し、プトレマイオスにいたら』みたいな感じの、その人物だけのIFストーリーの主役になれるというものだ。

 

レジェンドと束の共同作業によってシミュレーターに搭載されたこれがとんでもなく大反響であり、ミライやリクらも訓練しながら楽しんでいる。

先述の通り、レイトことゼロは己のシミュレーターIFストーリーの中で見事リボンズ・アルマークを打ち倒し、いよいよ次からはELS襲来という、あの世界における最大の出来事を体験することになる。

ここまで聞かされて最早アザゼルやサーゼクスが我慢出来るはずもなく、セラフォルーや、まだ未プレイだったオカルト研究部らも一瞬で目の色を変えた。

 

 

「ええっ!?ってことはゼット君も……」

 

「もち!俺はU.C.で体験中でございますよ!題して『RX-78-2 ガンダムが時代を超えて活躍したら』!俺は次回、遂にゼダンの門でティターンズやアクシズと三つ巴の決戦なんです!」

 

 

シミュレーター上とはいえ、ガンダムでジ・Oやキュベレイに挑もうとするゼットは命知らずを通り越して尊敬出来るレベルだ。

寧ろそこまでよくその機体で戦い抜けたというべきか。

 

 

「そっちは凄いよね、ゼット。ちょっと前の記録だと、ノイエ・ジール……だっけ。それに接近戦仕掛けて見事撃墜したし」

 

「リク兄さん、そのノイエ・ジールって何ですか?」

 

「この間のゴブニュより大きいロボットだよ。確か70m以上だったかな。それから、ガンダム……ゼットの使った機体は大体20mくらい」

 

 

ギャスパーだけでなく、レイトや神衛隊の一部などを除き驚愕の声が上がる。

……アレが倒せるならサイコMk-Ⅱも難無く倒せそうな気がしないでもないが。

 

 

「も……もしよければ私にもやらせてくれないだろうか!?」

 

「俺もだ!」

 

「いや、そこで何で俺らに聞くんだよ。あれの使用許可出してるのレジェンドと束だし。つーか実際はそっちの機能はやる気促進用で、本来は操縦技術向上用の特訓マシーンだぜ?」

 

 

ダイブハンガーの現住人も忘れがちだが、シミュレーターに関してはレジェンドだけでなく束の許可も必要。

基本的に一部の機体(コンパチガリバーとか)を除き、機動兵器関連の責任者は束である。

 

 

「あ、そうか。先輩って専用機あったんだよな。ダブルオーザンライザーだったっけ」

 

「おう。シミュレーターじゃ特殊な条件で出撃機体が限定されてなきゃいつも相棒を使ってる。実戦となると変わってくるかもしれないけどよ、俺の場合はシミュレーターと相棒をリンクさせて相棒のコックピットで本格的にやってるからな」

 

「ほ……ホントに本格的だった……!」

 

 

レイトのこういった姿勢がレジェンドや束には立派に映るのだ。

大抵はシミュレーター内で機体選択→そのまま訓練開始なので、実際の機体と操縦系統が異なる場合もある。

さすがにまだモーフィングで各機体のコックピット内部まで完璧に、とはいかずどうしても違いが出てしまう。

 

そこでレイトは二人に相談し、ダイブハンガーなどシミュレーターがある場所ではインターネット接続の要領でデータリンクさせ、愛機のコックピットでそのシミュレーターの機能を使用出来るようにしたというわけだ。

 

 

「逆に簡単に動かせるはずの機体でも相棒の操縦系統がそのまま使われるから、量産機の訓練には向いてないのが欠点と言えば欠点か」

 

「……それに、レジェンド様はともかく束様がシミュレーターの使用許可を出すとも思えないのですが」

 

「姉さん?それはどういう事?」

 

 

レイトに続けるようにグレイフィアが呟き、それを聞いていたルミナシアが聞き返す。

なお、この二人は先刻和解済。事情が事情だけに黒歌と小猫ほど気まずくもなかったようで割とあっさりしたものだった。

 

そして、グレイフィアがそれに答える前に――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの戦いでとんでもない醜態晒しておきながらよくもまあそんな図々しい事が言えるもんだねえ。自分達を助けてくれた相手に礼も謝罪もしないで自分の興味しか優先出来ないんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明らかな侮蔑の念を込めた言葉がその場に響き渡った。

全員がそちらを向くとクロエを傍らに控えさせた束が冷たい視線をサーゼクスやアザゼルへ向けている。

 

 

「やあやあ三大勢力トップの皆さん。私が君達を助けた機体の設計開発を行った天才の篠ノ之束さんだよ。レジェくん直属の九極天の一人でもあるからそこんとこよろしく。あ、セラちゃんこんばんわー☆」

 

 

他のトップ陣には侮蔑の視線を崩さないのに対し、セラフォルーにはニコニコ笑顔で挨拶する束。

 

 

「こんばんわー束ちゃん☆それで、あの時私達を守ってくれた白い機体の娘は誰かな☆」

 

「はいはーい。マーちゃんこっち来てー」

 

 

束が笑顔で手招きすると湿布を貼られたマリーダがやってくる。

 

 

「何でしょうか、束博士」

 

「大丈夫だよ、別に悪い事じゃないから。セラちゃん、この娘がペーネロペーに乗ってた娘だよー」

 

「「あああああっ!!」」

 

 

何に反応したのかセラフォルーのみならずガブリエルまで叫び声を上げてマリーダに瞬時に駆け寄った。

軍人の性か、身構えるマリーダだったが二人はというと涙をポロポロ零しながら謝り出す。

 

 

「ごめんねごめんね痛かったよねこんなたくさん湿布付けて凄く痛かったよね!?」

 

「同じ女性だからわかりますこんな柔肌に傷付けて平気なわけないですよね申し訳ありません私達の監督不行届で!!」

 

「え……?いや、訓練を重ねているのでそれほど痛みは……あと、この傷は前からあったもので近々治して下さると……」

 

「おおうセラちゃんもそっちの人も女の子だもんねぇ。やっぱりわかってくれるんだね!」

 

「「もちろん!!」」

 

 

確かセラフォルーはガブリエルをライバル視していたはずでは……?と思いながら、ガッチリ握手している三人を混乱しつつ眺めるマリーダをクロエが裾を軽く引っ張りながら言う。

 

 

「マリーダ姉様、束様達は同じ女性としてマリーダ姉様の身を案じてくれているのです」

 

「そ、そうなのか?何やら別のものが同調しているような感じがするのだが……」

 

 

意気投合している三人は放っておいて、イリナ、そしてソーナら生徒会のメンバーもマリーダに近づき揃って頭を下げる。

 

 

「あの時は私達のためにありがとうございました。そして申し訳ありません。こちらの統制が乱れたばかりに貴女を負傷させてしまって……」

 

「本当にごめんなさい」

 

「いや、あれは私の判断ミスだ。最初からフライトユニットだけをパージすれば良かったのだが、気の焦りからそれを思い出すのが遅れてしまい、結果があのザマ……私もまだまだ未熟というわけだ」

 

「いえ、こちらこそ」

 

「そんな、こちらこそ」

 

「いやいや気にせず……」

 

 

まるでコントの如きやり取りをしているうちに可笑しくなって三人同時に吹き出した。

いつの間にかそれを見ていた束らもやっと笑顔になる。

 

 

「お姉様、マリーダさんを見習って少しは日々の仕事も真面目になさって下さい」

 

「ソーたんなんでぇぇぇ!?ここはちょっぴりお姉ちゃんに甘えたりとかそういうシーンじゃないの!?」

 

「あれだよね、マーちゃんは天然っていうかそれは来歴上仕方ないんだけどさ、もっとフランクにいこー!」

 

「フランク?フランスの間違いでは……?」

 

「駄目だセラちゃんガブちゃん!マーちゃんここでも真面目すぎてノリを軽く出来ない!」

 

「うーん……彼女はそのままでも良い気がしますけど……軽いノリの彼女……」

 

 

――ヤッホー☆私、マリーダだよ!――

 

 

「「うん、今のままがいい」」

 

「即決!?」

 

「何故だろう、この姉達に慰められているような感覚は」

 

 

ここにかのニュータイプ達がいたら、彼女を慰めるプルやプルツーが見えたかもしれない。

束がやってきた時の雰囲気が漸く無くなりかけた時、やはり空気の読めない奴らはいた。

 

 

「そ、そうか……君が我々を助けてくれたのか」

 

「いや、すまねぇ。色々立て込んでて忘れてたぜ」

 

「ええ、ちゃんと礼をしなければとは思ってたんですが」

 

 

 

 

 

「よく言うよ。セラちゃんと違って私が言うまで忘れてたくせに。ガブちゃんやその子達が謝るまで自分から動かなかったくせに」

 

 

 

 

 

束の絶対零度の視線が三人を射抜く。

ちなみにシェムハザは除外。あの時あの場にいなかったし。

 

 

「「「い……いや、その……」」」

 

「クーちゃん、セラちゃんや皆をシミュレーターまで案内してあげてー。あ、れーくんとゼッくんはチュートリアル的な事教えてあげてね」

 

「かしこまりました、束様」

 

「よぅし!俺が相棒必殺のトランザムライザーソードを見せてやるぜ!」

 

「俺もゼロ師匠同様、こっちに関してはほんのちょっぴり先輩なところをお見せするでございますよ!」

 

 

いつも通りのクロエとノリノリなレイトにゼット。

彼らに連れられ、セラフォルーやオカルト研究部、生徒会の面々はシミュレーターまで向かう。

 

 

「ちょっ……リーアたん!?」

 

「おい、俺らも……!」

 

「お前らは暫く私の説教だよ。この三馬鹿トリプルトップ。そっちのグーちゃんに似たメイドさんとか初対面な堕天使さんは好きに過ごしてていーよ?これらに無理に付き合わなくておっけー」

 

「いえ、(二重の意味で)主人の不始末ですので」

 

「この問題総督、目を離すと何しでかすかわかったもんじゃないので」

 

 

付き人にさえボロクソに言われて本気で泣きそうなサーゼクスとアザゼル。

……ミカエル、ガブリエルやイリナも行ってしまい、ぼっちである。ある意味二人より悲しい。

 

 

「「俺(私)もシミュレーターやりたいぃぃぃ!!」」

 

「煩いなぁ。ちょっと黙りなよ」

 

「ふ……ふふ……どうせ私はぼっちですよ……」

 

「見ればわかるから一々言わないでいいよ」

 

 

容赦なく言い捨てる天才・篠ノ之束。

サーゼクスら三人にとって彼女は正しくもう一つの呼び名、『天災』にしか見えなかった。

 

 

 自業自得だが。

 

 

 

〈続く〉




後半、束無双。
科学者なのに仙術使った黒歌より高機動だったり竜馬を、拘束(腕力で)したりすることも可能な天災にスキはなかった。

次回、初めてのシミュレーター体験。
なんかゼットがすごい記録打ち立ててたのが発覚したけど気にしない!


それではまた次回。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
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