ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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お待たせしました。
地獄のタッグマッチ回です。
無惨とコカビエルのファンの方々はご注意下さい。
そしてやはり解説と言えば、というわけで彼がそっち方面で活躍。


それでは本編をどうぞ。


激闘!奇跡の超人タッグ!!の巻

 遂に試合開始のゴングが鳴った。

 

『まず軽くルールを説明しますと、基本的に何でもあり。ただし再生には限度があり、加えて再生の度に痛みが増していきます。ついでに痛覚除去なんかも不可能です。それでも再生したいならご自由に』

 

「なっ!?何だと!?」

 

 

鬼灯のルール説明に無惨が顔色を悪くする。

そりゃ鬼の特性……それも無惨のそれは桁外れだというのに制限されればそうもなろう。

 

 

『それから参加者は私達の実況席や観客席には何があっても攻撃が通りませんのであしからず。人質とか出来ませんから馬鹿な事考えないように。あと、結界もあるので行動範囲も制限されます。これは逃げられないようにと悪魔将軍さん直々の注文です。良いですねコレ、ここまで来て敵前逃亡とかカッコ悪いですし』

 

「ふざけるな!事前にあった連絡では血を浴びせても鬼に出来ないともあったぞ!?どう見ても我々が不利だろうが!!」

 

『その為にちゃんと調整期間設けたんですよ。それを活かせなかったお前らが悪い。あと、そもそもレジェンド様や悪魔将軍さんがお前の血を浴びた程度で鬼になるとでも?』

 

 

鬼灯にボロクソに言われて「ぐぬうー!」と地団駄踏んでいる無惨を見て、元鬼殺隊の者達は鬼灯への好感度が上がっていく。

 

 

『それからたった今、解説席に来賓が到着しました。テリーマンさん、ジャスティスマンさん、宜しくお願いします』

 

『なんとなく予想出来てたけどな!』

 

『完璧な人選だ。さすがレジェンドマンの右腕と呼ばれるだけの事はある』

 

 

片や解説役として他の追随を許さぬレベルのアイドル超人に、片や何億年も修行を積み特殊能力よりも鍛えた力と技で勝負する骨太系完璧超人始祖。

ちゃんとレジェンドを超人名で呼んでいるあたり、やはり完璧・特式(パーフェクト・スペシャル)の称号は始祖(オリジン)の総意で授けられたのだろう。

 

 

『さて、お二人から見て挑戦者はどうでございますか?』

 

『そうだな……一見見た目はそこそこ鍛えてるように見えるが中身はそこまでではない。観客席に見えるあの赤と黒の体色がメインのウルトラマンの方が余程真面目に鍛えられている。あれは大したものだ』

 

『タイタス先輩でございますね!テリーマンさんはどうですか!?』

 

『特殊な身体構造は悪魔超人に近いが、レジェンドや悪魔将軍から見たら別に気にするレベルでもないな。正直、あの複数の触手や翼は逆に不利になる可能性だってある』

 

 

やはり激闘系の超人である二人の解説は鋭い。

飛行能力のあるコカビエルや触手による手数の多さが武器の無惨がハンデを背負っているという指摘は悪魔将軍がすぐに証明する事になる。

 

 

 

 

 

「フン!将軍だか何だか知らんが翼の無い悪魔など嬲り殺しにしてくれるわ!」

 

「随分と大きく出たものだ。翼の有無程度で強さが決まるなどと本気で思っているならば、馬鹿を通り越してその頭に何が入っているのか逆に心配するぞ」

 

「ほざけっ!!」

 

 

コカビエルはお約束と言わんばかりに、地獄落ちした時に再生した五対十枚の黒い翼で空へと飛ぶ。

観客からはそんなコカビエルにブーイングが飛ぶもコカビエルどころか悪魔将軍さえ気にも止めない。

 

 

(何だあの余裕は!?まあいい、特大の光の槍をお見舞いしたあとじっくりと痛めつけてやる!)

 

 

腕を天に掲げ光の槍を作り出すコカビエル。

その大きさはかつてリアスらと戦った時と比ではなく、彼女らも目を見開く。

しかし、その光の槍の完成した瞬間に、一瞬だけ……本当に一瞬だけ目を悪魔将軍から離し出来上がった光の槍を確認してほくそ笑んだが、再び地上に目を向けるとそこに悪魔将軍の姿は既に存在しない。

 

 

「なっ!?何処だ!リングからそう離れてはいないはず!周囲に擬態したか透明化したか!ならばリングごと吹き飛ばせば……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「下ばかり見ているからこうなるのだ、馬鹿め」

 

 

ガシィィィッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「『『!!』』」」」

 

『これはーっ!いつの間にかコカビエルよりも高く飛び上がっていた悪魔将軍がなんとコカビエルの背後に回り十枚の翼全てを無理矢理脇に抱え込んだ!!まさに一瞬の出来事だーっ!!』

 

 

ゼットの実況通り、目を離した一瞬のスキを突いて悪魔将軍はコカビエルの背後を取れる位置に移動し、凄まじい速さでジャンプしてのしかかるようにしつつ翼全てを脇に挟み込んでいた。

 

 

「き、貴様いつの間に!?」

 

「どうやら貴様らは翼の数である程度強弱が決まるそうだが……逆に私にとっては多ければ多いほど掴める面積が増えてむしろ楽になる。貴様よりも雀を狙う方が難しいわ」

 

 

コカビエルは悪魔将軍を振り落とそうとするも全ての翼の自由が奪われ思い通りに動かず、それだけでなくメキメキと翼から音が聞こえてくる。

 

 

「……やはりな。貴様に一つ忠告してやろう」

 

 

悪魔将軍は両腕にさらなる力を込めていく。

何をされるか気付いたコカビエルは顔を青ざめさせた。

この位置ではまともに光の槍で悪魔将軍を狙えず、確実に当てるためには自身ごと突き刺すしかないがコカビエルにそこまでの覚悟はない。

大きく作り過ぎたことが仇となって『こんなものに貫かれたくない』という恐怖が出来てしまっていた。アホである。

 

 

「や……やめっ……!」

 

 

 

 

 

「鍛える時は隅から隅まで満遍なく鍛えるものだーっ!!」

 

 

ブチチチチィィィッ!!!

 

 

「いぎゃあああぁぁぁッ!!」

 

 

 

 

 

悪魔将軍がコカビエルの翼を全て、付け根から強引に引き千切った。

正しくは引っこ抜いたという表現がピッタリだ。

あまりに凄惨すぎる光景に翼を持つ者はガタガタと震えだし、そうでない者も背筋が凍る程の恐怖に見舞われる。

翼を失った事は同時に飛行能力を失った事になりコカビエルは地上に真っ逆さま……とならず――

 

 

「ジェネラルニードロップ!!」

 

 

ガゴォォッ!!

 

 

「ゴハァァッ!!」

 

『あーっとコカビエル、翼をもぎ取られた場所に悪魔将軍の強烈な膝が炸裂ーッ!!落下の衝撃も加わってまさに大打撃!!』

 

 

自然落下ではなく悪魔将軍の膝をくらって強制的に叩き落とされた。

両脇に抱えられた翼を無惨のいるリング外に投げ捨てコカビエルを見下ろす悪魔将軍。

 

 

「ぐ……ぐおぉ……っ」

 

「翼を失い一撃もらったくらいでこれとはな。だがここは魔闘『地獄』。呵責も兼ねたこの試合はまだ終わらんぞ」

 

 

悪魔将軍の無慈悲な言葉が、コカビエルの耳に入ってきた。

 

 

 

 

 呵責の発言は嘘ではなかった。

 

ヨロヨロ立ち上がるコカビエルに対して容赦ないハイキックを見舞い、吹っ飛んでロープで跳ね返ってきたところに強烈なラリアットを直撃。

しかも一発一発がまるでトラックが激突したかのような轟音を立てておりその威力が容易に想像出来る。

さらに倒れたコカビエルに合わせるように体をグルリと反転させて仰向けになりながらコカビエルの腹にエルボードロップを叩き込む。

オカルト研究部はコカビエルの強さを直接やり合って理解していたが、悪魔将軍は武器や神器、魔力の類さえも使用せずに圧倒している。

 

 

「う……嘘……あのコカビエルが神器も武器も……何も使っていない相手に一方的に……」

 

「圧倒的なパワーに見た目以上のスピード、さらに判断も早い。それにまだ見せてない引き出しもあるはずです」

 

「その少女の言う通り、悪魔将軍はまだ本気を出してはいない」

 

「「「「「!!」」」」」

 

 

リアスの驚きとソーナの冷静な見解にキン肉マンが答えた。

見ているだけでも相当だが、実際戦った彼はその強さを身を持って知っている。

なにせ未だ恐怖するくらいなのだ。

 

 

「我々超人は超人強度、つまり明確なパワー数値があるが、重要なのはそこだけではない。悪魔将軍を語る上で外せないのはやはり『超人硬度』!その肉体を硬くする事は元より柔らかくする事さえ可能なのだ!!」

 

「アレが柔らかくなんのか!?」

 

「まさしく柔軟性と強固さを兼ね備えた筋肉!!私が理想とする形の一つを体現している!!」

 

「「「『中身はともかく外のは鎧だろ!!』」」」

 

 

相変わらずタイタスへのツッコミに息ピッタリな一誠、タイガ、フーマにドライグ。

しかしキン肉マンが言った事はかなりの衝撃だ。

下手すれば打撃技も関節技も通用しないという反則じみた戦闘力である。

 

 

「それに悪魔将軍には恐るべき必殺技(フェイバリット)もある。そして今回はタッグマッチ……今もあそこで有事に備えてレジェンドが待機している」

 

「攻防速だけでなく援護においても死角なし……余程油断したり慈悲でもかけない限り、レジェンドと悪魔将軍に敗北はないだろう」

 

 

ロビンマスクとウォーズマンも冷静に分析している。

それぞれ超人博士とコンピュータの二つ名を持ち師弟関係でもある二人の意見は正しい。

まずタッグマッチに向ける意識からして違うのだ。

 

理由は、たった今動いた無惨が語る事になる。

 

 

 

 

 悪魔将軍が何かに気付き動きを止める。

 

いつの間にかリングに乱入していた無惨が触手で悪魔将軍を拘束していたからだ。

 

 

「……ほう、仲間意識など微塵も無いと思ったが」

 

「仕方なくに決まっているだろう……!この試合とやらに勝てば地獄から出られるのだからな!」

 

『!?』

 

 

無惨とコカビエル(ついでにバルパー)がタッグマッチを承諾した理由はこれである。

まあ、承諾しなかった場合でも強制出場させる気だったが。

 

 

「なるほど、それが貴様の動機か」

 

「他に何がある?富や名誉など私には不要。私が不滅である事こそが私にとっては重要なのだ。竈門炭治郎に託した思いも無駄になった。やはり私自身が不滅でなければならいと改めて痛感した!貴様らにはその踏み台となってもらう!」

 

「待て、鬼舞辻無惨!竈門少年に思いを託しただと!?何を言っている!!」

 

「そういえば私の最期に貴様らのうちそこの二人以外はいなかったな。私はかつて滅びる直前に死して間もない竈門炭治郎に私の血を全て注ぎ込み鬼にしたのだ」

 

『!!』

 

 

これを聞いて杏寿郎としのぶ、そして小芭内と蜜璃は愕然とした。

カナエは最初誰か分からず頭から「?」を飛ばしたものの彼らの反応から彼らの旧知の人物と推測。

なお、ダイブハンガーにいた狛治も激しく動揺し、妻の恋雪やオルガ、三日月らに心配される程だった。

 

 

「結局生きていた連中に加え、精神世界でも邪魔されて人間に戻ってしまったがな。妹共々最後の最後まで忌々しい兄妹だった。結局私の障害になるだけで少しも役に立たなかった……十二鬼月もだ」

 

「貴様っ……どこまで……!」

 

 

言葉を発したのは小芭内だったが、杏寿郎やしのぶも持って来た日輪刀に怒りの表情で手をかけており、今にも飛び出しかねないところをタイタスとカナエが必死に止めている。

もし小芭内も刀を持っていたら斬りかかっていただろう。

 

 

「姉さん離して。やっぱりあいつは私達が……!」

 

「タイタス!君が親友として俺を止めてくれているのは重々承知だ!しかし!やはり奴だけは野放しに出来ん!!」

 

「二人とも落ち着いて!気持ちは私も分かるけど!!」

 

「今無惨と相対しているのはあの二人だ!!お前達が下手に手出しすればそれこそレジェンドの――」

 

 

そう言いかけた時、ウルトラマンであるレイトやリク、タイガらトライスクワッド、そしてゼットは凄まじい念を感じ取った。

急にピタリと動きを止めた彼らを怪訝に思い、杏寿郎らも落ち着いていく。

 

 

「な……なあ、タイガ。どうしたんだよ?」

 

「……フーマさん、震えてますか?」

 

「タイタス、何かあったのか!?」

 

「リク兄さん、大丈夫ですか……?」

 

「レイトくーん、もしもーし?」

 

『ウルトラマンゼットだったか?緊急事態でも起きたのか?』

 

『緊急事態といえば緊急事態でございます』

 

 

唯一、テリーマンの質問に返答したゼットが何やら意味深な発言をする。

 

 

「……鬼灯」

 

『そちらはご安心下さい。どうやらその竈門炭治郎という少年が妹さん同様に鬼から人間に戻った後、偶然にもスペースビーストが鬼殺隊の生き残りを襲ったそうですがこれまた偶然巡回中だったノア様が消滅させ、別に巻き込んだわけではないですが詫びとして生き残った彼らの欠損部位の再生や痣発現のデメリットである寿命の短縮などを元通りにして多少交流したそうです。やはりというかこちらとあちらでは時間の流れにズレやムラなんかあるみたいですね』

 

「そうか。すまんな、まだ試合中なのに実況中断させるようなマネして」

 

『いえいえ、今のレジェンド様の状態を考えればこちらの方が最善ですので』

 

 

鬼灯の語った事から察すると、炭治郎だけでなくその妹――禰豆子も人間に戻れたらしく、しのぶらは漸く元の状態に戻り全員がホッとするが、ウルトラマン達の表情は晴れない。

意を決してカナエがレイトに聞いてみると、聞きたくない結果になってしまっていた。

 

 

「レイト君、さっきからどうしたの?」

 

「……さっきの鬼灯の言葉聞いてたろ」

 

「鬼灯さんの?ええ、聞いてたけど……」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無惨って野郎、レジェンドの地雷踏みやがった。冗談抜きでヤベエ事になるぞ」

 

『……え?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、悪魔将軍を拘束していた触手が跡形も無く吹き飛び――

 

 

 

 

 

「ウルトラヘッドクラッシャー!!」

 

 

ドゴォォォォッ!!

 

 

「ごべぇぇぇっ!?」

 

 

いつの間にか無惨を逆さまに抱え込んでいたレジェンドがマットに凄まじい勢いで頭から叩きつけた。

遊撃隊の切り札、ウルトラマンティガがパワータイプで使用する技を生身で繰り出したのである。

その威力はかの有名なシルバゴンさえ一撃で身動き取れなくなるくらい深々と地面に突き刺さった程だ。

そんなものをレジェンドが使えばどうなるか……。

案の定、マットにも関わらずブチ落とされた無惨の頭からは夥しく出血している。

 

 

「ぐっ……ぎ……ぎざま……」

 

「フン、激突時に舌でも噛んだか?だが甘ったれるなよ。貴様が起こしてきた事への呵責はこんなものでは済まさん……!」

 

 

レジェンドはキレていた。

それは勿論自分が原因で辛い運命を背負った炭治郎・禰豆子兄妹は元より、かつて巌勝や狛治もいた十二鬼月さえ役立たず呼ばわりしたからだ。

何より、杏寿郎や胡蝶姉妹は上弦との戦いで命を落としたが、小芭内と蜜璃の直接的な死因もほぼ無惨である。

究極の自己中心的思考な無惨には何を言っても無駄と完全に理解したレジェンドは、同時にこちらも完全に実力行使に出る事にした。

 

 

「悪魔将軍、ある程度やったら締めに入るぞ」

 

「いいだろう。程よく身体も温まってきたところだ。最後にウォーミングアップ相手となってもらうとしよう」

 

 

リングの両サイドにボロボロの無惨とコカビエル。

リングの中央には背中合わせで無傷のレジェンドと悪魔将軍。

この光景はキン肉マン達超人の間で永く語り継がれる奇跡のタッグが生まれた瞬間であった。

 

二人はまずレジェンドが無惨に、悪魔将軍がコカビエルへ向けて駆け出し、それぞれヘッドロックをかけたまま再び互いに向けて走り出す。

 

 

『おーっとこれはぁぁぁ!?かのウルトラ六兄弟のゾフィー隊長とエース兄さんがアリブンタとギロン人を倒した時の光景に酷似しているーっ!!』

 

『レジェンド様と悪魔将軍さん、無惨とコカビエルの頭を激突させたーっ!剛力で締め付けられたまま加速をつけてぶつかり合ったからか揃って仰向けに倒れました!!』

 

『コカビエルの方はまだしも無惨は既にレジェンドマンの一撃で頭部を負傷している。あれはかなり効いたはずだ』

 

『ダメージ量から考えて、おそらく無惨の方は後回しになってコカビエルが先にやられる可能性が高いな。いや……案外合体技(ツープラトン)が炸裂するかもしれないぞ』

 

 

 

 

 

テリーマンの合体技(ツープラトン)の声に周りは一気に沸き立つ。

まだ確定したわけではないし、むしろこちらは炸裂しない可能性の方が高い。

だが、やはりこれだけの実力者二人の合体技となれば期待するなという方が無理というものだ。

現にレイトや一誠、タイガに加え、キン肉マンらはそれを出してくれる事を願っている。

ついでというか、杏寿郎やしのぶらは聞き覚えの無い単語に「?」マークを飛ばしていた。

 

 

「姉さん、『つぅぷらとん』って何なの?」

 

「(あ、今のしのぶ可愛い!!)えっとね、簡単に言えば連携攻撃、合体攻撃よ。ほら、私としのぶがこの間の事件で鳥っぽい鬼にやったやつみたいなの」

 

「なるほど!つまり俺とパム治郎で放った強化型煉獄みたいなものだな!それをお館様とあの御仁がやるとなれば凄まじいものになるぞ!!」

 

 

頭が冷えた(かは定かではないが)杏寿郎は、大相撲観戦が趣味なのもあり似た部分がある超人レスリングが気に入ったらしい。

友人のゼットがそれに足を踏み入れているのも影響しているようだ。

外野が徐々に盛り上がりつつある中、リングでも動きがあった。

 

 

 

 

 

「悪魔将軍、どうやら観客(ギャラリー)合体技(ツープラトン)を所望らしいな。俺はともかく、お前のフィニッシュは無論……アレだろう?」

 

「当然だ。合わせる技の選択はお前に任せる」

 

「なら下準備に入るとするか!」

 

 

まずは、とやはり予想通りコカビエルへと向かうレジェンド。

まさかレジェンドの方が向かってくるとは思わずコカビエルは焦るものの、レジェンドからしてみればその一瞬でも隙があれば技をかけるには十分。

気が付けばレジェンドはコカビエルを抱え込んでロープを利用して跳躍し、サマーソルトのように身体を反らせつつコカビエルの頭を脇に抱え直しながら垂直にさせていく。

 

 

『こっ……この技はレジェンド超師匠の得意技!フライング・ブレーンバスターのムーブだァー!!』

 

『それだけではありません!反対側から同じ様に悪魔将軍さんもロープを利用して跳躍!そして身体を反転させて仰向けになりつつコカビエルの腕と胴を抱え込んだ!!』

 

『これでコカビエルは上半身を完全に封じられた!あの状態では特異な体型をしてない奴に脱出する術はない!』

 

『まさか、早速出るのか!?』

 

 

観客へのサービスだと言わんばかりの動きに席を立って応援するものまで出てくる程の盛り上がり。

それに応えるべく、彼らは最初の合体技名を叫ぶ。

 

 

 

 

 

「「アッパーボディ・ブレイクダウン!!!」」

 

 

ゴベギャアァァァァァ!!!

 

 

「ぎゃあああああ!!」

 

 

 

 

 

レジェンドの加重力を付与したフライング・ブレーンバスターに加え、悪魔将軍の新技リバース・デモンズベアハッグを組み合わせる事で文字通り首を含めた上半身全てを粉砕する落下系激突技のツープラトン。

生命力だけはあった事に加えて二人がまだ本気でなかった為、辛うじて息はあるが既にコカビエルは瀕死である。

 

 

 

 

 

『遂に出たぁぁぁッ!!レジェンド超師匠と悪魔将軍のツープラトン!アッパーボディ・ブレイクダウンがコカビエルに炸裂ーッ!!』

 

 

ワアァァァァァ!!

 

 

『なるほど、ゴールドマン……悪魔将軍が腕や胴、レジェンドマンが首や顔面と力の込める場所を分担し、各々の部位への威力を増加させ……』

 

『加えてレジェンドが得意とする加重力戦法を組み合わせる事で更に威力を高めたわけか。しかも今の体勢、失敗した場合下手をすればレジェンドにダメージが入ってしまう危険もあった……あいつらはそれを承知で技に挑み、見事成功させたってことだ。相変わらずとんでもない奴らだぜ』

 

 

ジャスティスマンとテリーマンの解説もあり、レジェンドと悪魔将軍の評価は更にうなぎ上りに上がっていく。

 

しかし、これはまだ序章に過ぎない。

 

合体技(ツープラトン)の手応えを感じた二人はいよいよ勝負を決めるべく動き出した。

それを見たキン肉マンが冷や汗を垂らしながら呟く。

 

 

「今までの試合の流れから察するに悪魔将軍の方はコカビエルを狙う……そして既にコカビエルは満身創痍。とすれば次に悪魔将軍が放つ技は最早アレしかない!」

 

「アレ!?何なんですか、それ!?」

 

 

蜜璃の質問にキン肉マンはリングから目を離さず答える。

 

 

「悪魔将軍はメインディッシュと呼ばれる連携技がある。その名も『地獄の九所封じ』!!」

 

「地獄の……」

 

「九所封じ!?」

 

 

背中や首など、文字通り九所へ多大なダメージを与える連携技であると同時に、それぞれが単体でも凄まじい威力を誇る悪魔将軍の得意技である。

 

 

「だが、先程のレジェンドとのツープラトンによってコカビエルが無事なのは精々両足くらいだ。そして同時に体力もほぼ限界……おそらくは真のラスト・ワンであるあの技で勝負を決めるつもりだろう」

 

「それが、さっき言っていたアレって技ですか?」 

 

「アレと言う技名ではないが、その通りだ」

 

 

 

 

 

ただ、仕掛けたのはレジェンドだけだった。

悪魔将軍はもはや殆ど抵抗出来ないコカビエルをダブルアームでクラッチするのみ。

つまり、コカビエルに続いて無惨にも同様に技を一撃決めるようなのだが、どうやら悪魔将軍がまずは、とレジェンドにも見せ場を作ってくれたらしい。

 

多少の痛みを堪えつつ、せめて視覚だけでもまともにと顔を再生した無惨だが次の瞬間……

 

 

「セイヤァァァ!!」

 

 

ガツゥゥゥゥゥン!!

 

 

強い衝撃と共に空中へと打ち上げられる。

 

 

「ぐはっ!?な……何が……!?」

 

「セイヤッ!セイヤァッ!!」

 

 

ガツーン!ガツーン!!

 

 

その正体はレジェンドがヘッドバットで無惨を繰り返し打ち上げていたからであった。

しかも空中を蹴って飛び上がり続けており、まさしく空を駆け上がるが如きムーブを見せている。

 

 

 

 

 

「「「「「あっ……あのセットアップは!!」」」」」

 

 

そう叫んだのはキン肉マンに加え、観戦に来ていた同じキン肉星出身の者達……特にキン肉マンスーパー・フェニックスやキン肉マンビッグボディが大きく反応した。

 

 

「間違いない……あれはオレが得意とするキン肉族三大奥義の一つ!」

 

「そうだ、オレ達でさえマスター出来なかった最高難度のあの奥義も含め、レジェンドは全てを完璧にマスターしてたんだ!」

 

「それだけではない」

 

 

フェニックスやビッグボディだけでなくオカ研や生徒会メンバーらもその声を発した方を向けばネメシス(本名・キン肉サダハル)が腕組みしながら冷や汗を流している。

 

 

「レジェンドはキン肉族でないにも関わらず三大奥義を完璧にマスターしただけに留まらず、その原型ともなった『完璧・弐式(パーフェクト・セカンド)奥義』すらも完璧に体得している。伊達や酔狂で『完璧・特式(パーフェクト・スペシャル)』の称号を閻魔様や悪魔将軍から賜ったわけではないのだ」

 

 

天才と称されたネメシスすら技の反動で絶大なダメージを負う程の『殺意の塊』。

それが完璧・弐式(パーフェクト・セカンド)と呼ばれたシルバーマンの奥義である。

……ちなみにそのシルバーマン、あの世界が完璧のマスク無しで超人パワーが満たされるようになった為、普通に観戦しに来ている。

 

 

「それからオレの隣にいるのがその弐式本人だ」

 

「どうも、ゴールドマン……悪魔将軍の弟のシルバーマンです」

 

 

ネメシスのすぐ横で。

 

 

「「「「「えええええ!?」」」」」

 

 

リアスらは本気で驚いているが、フェニックスなんかは「何でこんな寛いでんだこの人」な表情で見ている。

だって普通にドリンク飲んでるし。

 

 

「まあ、私の事は気にしないで下さい。それよりも彼がその技を出しますよ」

 

 

何か釈然としなかったが、レジェンドが技を出すと言われて反応したのがオーフィスとアーシアを筆頭とするレジェンド第一主義勢。

さらに無惨がボコられる事を望む元鬼殺隊メンバー。

……あとここにはいない、TVから絶対に目を離さない巌勝を含む継国一家と狛治一家を含む鉄華団である。

 

 

 

 

 

空中へ打ち上げられた無惨は再生したばかりの頭部にヘッドバットを繰り返し打ち込まれ、再び苦悶の声を上げている。

 

 

「おのれっ……!調子に……」

 

「貴様への呵責はまだ終わらん……!」

 

 

レジェンドが無惨を股裂きの体勢にしたまま両足を自身の両足で、そして無惨の両腕を背中側に回してクラッチする。

 

 

『あ、あの技はまさかーっ!!』

 

『む、知っているのか。ウルトラマンゼット』

 

『一度お仕置きで喰らいました』

 

「「「『『お仕置き!?』』」」」

 

 

ゼットへのお仕置き、詳しくは少し前のエピソード『ULTRA MUSCLE』を御参照頂きたい。

 

 

「鬼舞辻無惨!俺は鬼殺隊の者など貴様の関係者は数える程度しか知らん!だからこそ、かつての世界で貴様を討つ前に命を散らしたカナエやしのぶ、杏寿郎!討ち取ったにも関わらずその後の貴様の蛮行をこの場で聴かされた小芭内に蜜璃!貴様が逃げ回ったおかげで討てぬまま老衰により元の()を去った縁壱!そして先の貴様の言葉で存在を否定されたも同然の巌勝や狛治!何より貴様が原因となった全ての者の悔恨を込めて、この技を貴様にくれてやる!!」

 

 

ゴオオオオオ

 

 

「ぐ……は、離せっ……!」

 

 

力無くもがく無惨だが、レジェンドによるクラッチが想像を遥かに超えて強力なのに加えて、再生の度に増加する痛みに躊躇して背中の触手の再生に踏み切れず、さらに身体の各部から牙を出して噛み付かせるも逆に牙が粉々になりダメージを受けてしまう。

ただでさえ頭部にダメージを受けている以上、それによる痛みが邪魔をして力を込められずどう足掻いてもレジェンドプロテクトを突破出来ない。

……力を込めた程度で突破出来る代物でもないのだが。

 

 

今、放たれるはキン肉族三大奥義の一つ――

 

 

 

 

 

「マッスルリベンジャー!!」

 

 

ガゴォォォッ!!!

 

 

「ゲボォォォォォッ!!」

 

 

 

 

 

加重力を付与され落下速度が飛躍的に増したレジェンドのマッスルリベンジャーによって、無惨はコーナーポストに頭部を激しく激突させられ、夥しい鮮血が辺りに飛び散った。

正直、よく無惨の頭が弾け飛ばなかったというか、見事レジェンドが絶妙な手加減を加えたというか。

 

 

 

 

 

『レジェンド超師匠のマッスルリベンジャー炸裂ゥゥゥ!!無惨の頭がヤバい事態になったー!!いや、頭ん中は元からヤバい奴でしたけど』

 

『調整期間を棒に振る時点でその言葉の後半は察せるがな。しかしあの技に限らず急な加重力を加えてコーナーポストに頭部を直撃させる類の技は恐ろしく危険な威力になる』

 

『ああ、技自体もそうだが落下系の激突技はレジェンドの使う加重力との相性が良すぎるんだ。しかもそれが自身の飛行能力の逆利用だから最高速度が尋常じゃないし、何より相手ではなく自分に付与するものだから反則でもない。更に言うなら付与するタイミングも絶妙。天才とかそんな言葉じゃ表せない、まさに経験の賜物だろうな』

 

 

ゼットの多少毒の入った実況に続いてジャスティスマンとテリーマンの解説が入り、観客全員が納得する。

なお、無惨の惨状を見ていた無惨関係者の皆さんは大層熱狂していた。

縁壱などは即座にレジェンド著による超人レスリング関係の本を注文し出す始末。

 

しかし、これで終わりではない。

むしろここまでがこれから二人の放つ合体技(ツープラトン)の下準備だったのだ。

 

 

「レジェンド、そちらも下拵えは済ませたようだな」

 

「ああ、次でフィニッシュにするぞ」

 

「元より……そのつもりだ!!」

 

 

先程からずっとダブルアームでクラッチしていただけの悪魔将軍だが、いよいよこのタッグマッチに決着をつけるべく再度動き出す。

 

 

「スピン・ダブルアーム!!」

 

 

ミス  ミス  ミス

 

 

『これは先程のエキシビジョンマッチで芥子さんが見せたスピン・ダブルアーム!!しかしさすが師匠!回転速度もパワーも桁違い!なんとダブルアームの回転で竜巻が発生したァー!!』

 

 

その場の大気を震撼させ、竜巻が起こる程の威力を見せつける悪魔将軍。

そしてレジェンドも先程のマッスルリベンジャーの状態からスプリングの要領で無惨ごと飛び跳ね、悪魔将軍がスピン・ダブルアームで巻き起こした竜巻へ飛び込み更に上空へと舞い上がって行く。

その際にレジェンドは体勢を変えていくが、観客の目はスピン・ダブルアームの状態からコカビエルを上空へと投げ飛ばした悪魔将軍へと向いている。

 

 

「私にとって試合の締めくくりは」

 

 

そのコカビエルを追いかけるように悪魔将軍も飛び上がり、左脚でコカビエルの首をキックのような体勢で捉えるとさらに体勢を変えた。

例えるならば、左脚がまるでギロチンの刃のようにコカビエルの首に当てられている。

 

 

「これでなくてはな」

 

 

 

 

 

「やはり悪魔将軍の決め手はあの技か!」

 

「待て!その悪魔将軍の上に何か落ちてくるぞ!?」

 

「……お館様!?」

 

「それに、あの体勢は……!」

 

 

 

 

 

なんと既に必殺技(フェイバリット)の体勢へと入っていた悪魔将軍に肩車するような形でレジェンドがある技の体勢で落下してきたのだ。

 

その体勢とは、キン肉バスターの体勢である。

 

 

「レジェンドキネシス・ウルトリンク!!」

 

 

レジェンドがそう叫ぶとレジェンドと悪魔将軍の身体が一瞬輝き――

 

 

「ダイヤモンドパワー!!」

 

 

悪魔将軍がダイヤモンドパワーを発動。

すると悪魔将軍だけでなくレジェンドにも伝染し二人がダイヤモンドボディとなる。

その光景に地獄の観客どころか超人達さえ驚いているがまだ先があった。

同じく一瞬輝くと同時に悪魔将軍の脚とコカビエルの首がピッタリくっついた。

 

そう、レジェンドキネシスによる接着力が悪魔将軍の必殺技をより強固に、かつ安定させたのである。

 

 

ゴオオオオオ

 

 

「このタッグマッチの終幕だ!貴様ら二人はこの技で屠ってやろう!」

 

「その身に刻み、再び永き罰の刻を過ごすがいい!」

 

「「――っ――!!」」

 

 

もはや言葉も満足に発せない程、呵責と称して叩きのめされていた二人すら自分達の身をこれから何が襲うのか容易に想像出来てしまう。

だがそれを打開する術も、それに耐えうる術もない。

 

そして――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「双極の処刑台!!!!」」

 

 

ガァゴォォォォォン!!!

 

 

――亡者にも関わらず、受けた二人は言葉を発することなく息絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『決まったァァァァァ!!』』

 

 

ウオォォォオオオォォォ!!

 

 

鬼灯とゼットがハモりながら言うと、観客からは大歓声が上がる。

そして、ここでやらねばいつやると言わんばかりにジャスティスマンとテリーマンが先の合体技(ツープラトン)を解説する。

 

 

『悪魔将軍の地獄の断頭台、そしてレジェンドのキン肉バスター……単体でも一撃必殺を誇る二大技が、正義と悪魔という垣根を超え奇跡の合体技として完成した瞬間だ。完璧と言わざるを得ない』

 

『レジェンドが悪魔将軍と接触してから、地獄の断頭台がより安定し、レジェンドもダイヤモンドパワーの影響を受けてダイヤモンドボディと化した……その状態でキン肉バスターを受けた無惨は元々のキン肉バスターの威力に加えて頭がダイヤモンドの刃でズタズタになってるし、レジェンド得意の加重力をさらに二人分増して地獄の断頭台を受けたコカビエルの首の骨は粉砕骨折、まさに処刑そのものだぜ』

 

 

テリーマンの言う通り、無惨もコカビエルも動かない。

……というのにレジェンドと悪魔将軍は二人の足を持ち――

 

 

「無惨は今頭掴んだら潰れそうだし」

 

「このコカビエルとかいう奴は頭を掴んで投げようとすれば千切れかねんのでな」

 

「『……え?』」

 

「「ふん!!」」

 

 

芥子がバルパーにしたように思いっきり血の池のある方角へぶん投げた。

しばらくして「ボチャン」という音が2回分聞こえたのでナイスショットだったようだ。

 

 

「「「『『投げたァァァァァ!?』』」」」

 

「……さて、やるべき事はやった。次は私の希望を通させてもらうぞ」

 

 

悪魔将軍の言葉に、レジェンドや鬼灯といったほんの一部の関係者以外は皆首を傾げている。

だが次の瞬間、最大級の衝撃がその場の者達、そして生中継を見ていた者達を直撃した。

 

 

「私の希望はただ一つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レジェンドと私がこの場で試合を行う事だ」




両雄、遂に激突!?

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
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