ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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本日、まさかの二話連続投稿。
トレギアやベリアル、ヴァーリ側の状況を少しだけ。
ついにあの人も登場。
ついでにもう一人……


それでは本編をどうぞ。


「白」の求めていた「力」

 ――何処とも知れぬ場所――

 

そこの通路を人間の姿のウルトラマントレギアと堕天司ベリアル、そして少し間を開きつつ前後を彼らに挟まれる形で不機嫌なヴァーリが歩いている。

 

 

「…………」

 

「だから悪かったって。そんなに拗ねんなよ」

 

「私からも謝ろう。なにぶん彼にそう頼んだのは他でもない私なのでね。馬鹿正直に勧誘しても首を縦に振ってはくれないだろうと思い、あんな手荒な真似をしてしまう事になった」

 

「……もういい。それよりお前が本当にあのウルトラマンなのか?」

 

「勿論だとも。この姿の時は『霧崎』と呼んでくれたまえ」

 

 

トレギア――霧崎は少々戯けた感じでヴァーリに人間時の名を告げた。

そんな霧崎にヴァーリは問う。

 

 

「何故、俺を勧誘した?お前達ほどの実力者であれば今の俺の力など取るに足りない存在だろう」

 

「ふむ、最もな疑問だ。まあ、理由はいくつもあるが……分かりやすいものをピックアップして説明しよう。まず一つ目、単純に戦力は多い方が都合が良いからだよ」

 

 

これは分かる。

どれだけ実力があっても余程でなければ物量で負けることがあるからだ。

 

 

「二つ目は君の中にあるものの才能を見出したのさ」

 

「あるもの……?」

 

「それはもう少ししてから説明させてもらうよ。ここではそれ単体で解説してもいまいち理解しづらいだろうからね。そして三つ目だが……これは私が二つ目に準じているだけだ。そのあるものを開花させた君の行く末に興味があるのだよ」

 

 

結局、そのあるものとやらが関係しているというくらいしか分からないが、少なくとも力を望むヴァーリにとってちゃんとプラスになる事は間違いなさそうだ。

そしてある部屋の前で霧崎が立ち止まった事を怪訝に思ったヴァーリは再度霧崎に問おうとするが、先にベリアルが口を開く。

 

 

「なーる。サキさん、ちゃんとファーさんにも会わせとくわけだ」

 

「勿論だとも。我が盟友であり、アレらの開発者でもあるのだからね。それに君の創造主でもあるわけだし」

 

「くっはー……なーんか俺またファーさんに蹴飛ばされそう。甘いもの食べて期限良くなってくれないかね、ホント」

 

「彼は少々気難しいところがあるからね。しかし、地球人は脆弱だが娯楽に関しては素晴らしい。特にその筆頭に食べ物が来る。これは実に良い物だ」

 

 

そういうと霧崎はキャラメルを取り出して口に含む。

ベリアルが分けて欲しそうに見ていたので一つを軽く放り投げて渡すと、いつもの笑みで礼をしつつ食する。

 

 

「そうそうこれだよ。俺達天司……というか星晶獣は別に食べ物食べなくてもいいんだが、一度覚えるとクセになるんだよ、こういう味はさ。白龍皇もどうだい?」

 

「いらない」

 

「連れないねぇ。ま、それはそれとしてこれから会う人物は君にとっても重要な意味を持つ人物だ」

 

 

ベリアルが言う言葉の意味を理解出来なかったが、それはその人物と対面し……その名を聞いた瞬間に判明する。

ゆっくりと扉を開けると、そこは何やら実験室のような場所であり、その奥に一人の人物がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあルシファー、進歩はどうだい?」

 

「『!?』」

 

「トレギアか。研究の進歩状況は悪くない。だが実戦データが取れなければいくら悪くないと言おうが結局盤上理論の域は出ない。今後の事を考えてどこかしらに送り込んでデータ収集を行うべきだな」

 

「さすがファーさんだ。念の為に聞いときたいんだが……俺の専用機ってのはあるかい?」

 

「ない。適当に乗っていろ」

 

「わお。予想通りの答えだ」

 

 

少しばかりコントじみたやり取りはあったが、ヴァーリとしてはそれどころではない。

 

 

(バカな!ルシファーだと!?あの男と俺以外に血族が……いや、この感じは悪魔ではない……しかし人間というわけでもなさそうだ。何なんだコイツは……!?)

 

「そいつがお前の言っていた白龍皇とやらか」

 

「ああ、君の作り上げたアレの操者として相応しいと思ってね」

 

 

人間界でも冥界でも天界でもない、勿論光の国のものでもない衣装を身に纏ったルシファーと呼ばれる人物はヴァーリをまじまじと見つめる。

 

 

「ところで、それが『星の民』とやらの服装かい?」

 

「どうもあの格好のままでは研究に意識が向かん。あれは戦闘時に限定して普段はこちらの服装でいた方が効率的だと判断しただけだ。仮にあのままでも意識が研究へと問題なく向くのならそのままでも構わなかった」

 

「サキさんはファーさんの事を褒めようとしたんだよ。そりゃイイ男がミステリアスな雰囲気と服装を兼ね備えていたならそそりた……痛っ!蹴らないでくれよファーさん」

 

「煩い。無利益な言葉しか吐く気がないのなら黙っていろ」

 

 

照れ隠しでも何でもなく、ただただ研究対象にのみ目を向けているルシファー。

そんなルシファーを諌めるでもなく、ベリアルを気遣うでもなく霧崎は笑っていた。

 

 

「さて、紹介しよう。彼はルシファー、星の民と呼ばれる異世界からの来訪者……流れて来た者と言った方が正しいかな?そこのベリアルを含む堕天司や天司という原初の星晶獣の創造主だ」

 

「天使や堕天使の……創造主だと!?」

 

「あ、白龍皇。字はこっちな、使じゃなくて司」

 

 

ベリアルが軽い声で宙に字を書きつつ言うが、それよりもヴァーリが衝撃を受けたのは別の方だ。

 

 

「命の創造……そんな事が出来るのは神しか」

 

「黙れ」

 

「!!」

 

 

一瞬、しかしその一瞬だけヴァーリ限定に放たれた殺気を受け、ヴァーリは腰を抜かした。

それだけ尋常じゃない殺気を浴びせられ、ヴァーリはベリアルに一方的に叩きのめされた時よりも明らかに恐怖している。

 

 

「二度と俺を神などと呼ぶな。元の世界の創世神といい、この世界の聖書の神といい、形は違えどホメオスタシスに巻き込もうとする連中の同類にされるのは虫酸が走る」

 

「確かにこの世界の聖書の神とやらは如何なる形になろうと元の姿に戻るべく、何かと事前準備をしていたようだからね。もっとも、それら全てを光神らに潰された挙げ句地獄送りにされたようだが」

 

「返り討ちにあってこの世界でいう神器ごと消されたんだったな。所詮はたかが一世界の一神に過ぎん存在が身の丈も理解せず格上に挑んで無様な結果になっただけだ。下らん」

 

 

明らかに聖書の神を下に見ている発言。

やらかした事を考えれば当然ではあるが、ルシファーは聖書の神などそもそも眼中にないかのような物言いだ。

 

 

「……っと。そうだ白龍皇、ファーさんはおたくらの姓やら称号と違ってちゃんと名前なんだよ。だから君もファーさんと痛ぁ!?」

 

「貴様は俺の被造物の分際で名前も普通に言えんのか」

 

「今本気で蹴ったよなファーさん……少しはサキさんみたく優しくしてくれよ」

 

「そうする必要性を感じない」

 

 

相変わらずベリアルへの態度が冷め過ぎているルシファーだが、そもそも星の民自体がドライな人種と言える程、一つの事に執着しない人物が大半である。

ルシファーが研究や実験に執着しているように例外もいるにはいる……というか、圧倒的に少ないので同族の中で目立つ上、さらに能力的に突出している場合が多い。

その中でもルシファーはさらに特別だったのだが、一先ずそれは置いておこう。

 

 

「それより要件は何だ。ベリアルならいざ知らず、お前がただ紹介するためだけにそいつをここへ連れて来たわけではあるまい」

 

「先程も言ったが、彼には君が作り上げたアレを任せたいんだ」

 

「お前が乗るならばともかく、そいつがだと?『念動力』の片鱗さえ見えんそいつにアレが動かせるわけがない」

 

 

ルシファーに侮蔑の視線を向けられ、ヴァーリは睨み返すものの反論は出来ない。

先程ルシファーの言った念動力が何かも分からないし、何よりこちらに来てからアルビオンが何かに怯えている。

加えてルシファーの底知れぬ実力。

科学者……というかマッドサイエンティストらしいが、それだけであんな殺気は出せるものではない。

 

 

「その通りだ、ルシファー。今の彼にアレを操る事はおろか起動さえ不可能だろう。だが、間違いなく彼には念動力の素質がある。それこそ、赤龍帝とは別次元な」

 

 

赤龍帝と聞きピクリと反応したヴァーリを見て霧崎はさらに言葉を続ける。

 

 

「かなり深い位置で眠っているその力が目覚めるのは時間が掛かるだろう。だから覚醒を促すために厳しい訓練を受けてもらうが……改めて問おう。君にその覚悟はあるかな?」

 

「当然だ。俺は何があろうと前に進み続ける。その為に必要な力が得られるならどんな苦行にも耐えてやるさ」

 

 

その答えに霧崎は満足そうに笑うと、ルシファーやベリアルと共にあるモノがある場所へとヴァーリを案内する。

 

 

「アレは桁外れに巨大でね。専用の位相空間に隔離保管しているんだ」

 

「戦艦か何かなのか?」

 

「戦艦ではないよ。まあ、見てもらえばすぐに理解出来る代物さ」

 

 

 

 

 

霧崎やルシファー、ベリアルに連れられて辿り着いた場所にあったのは巨大な扉。

ゴゴゴ……と大きな音を立てて開いて行く扉の向こう側にあったのは広大なデッキ。

そして頭上にもデッキの下にも広がる隙間も無い雲海が広がっていた。

時折、雷鳴を轟かせて。

 

 

「ここは……雲と雲の間に位置しているのか?」

 

「そうだと言えるが、そうでないとも言える」

 

「……よく、分からない」

 

「確かに初見ですぐに察するのは難しいか。先程のようにあまり焦らすのも良くない。答えを述べよう」

 

 

霧崎が一呼吸置いて笑いながら告げた言葉にヴァーリの顔は驚愕に染まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これはある一体の『龍』によるものなのだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ……!?」

 

『何だとっ!?』

 

 

ヴァーリのみならずアルビオンさえ声を上げた。

詳しい大きさは不明だが、少なくとも見渡す限りの雲海――というより暗雲――がたった一体の『龍』が原因だと言われても信じられない。

かの壬龍さえこれ程の力は無いだろう。

 

 

『出鱈目を言うな!グレートレッドやオーフィスならば分かるが、それ以外にこれ程の力を持つドラゴンなど俺でも聞いたことが無い!!』

 

「ドラゴンではなく龍だよ、白き龍」

 

「グダグダと煩い奴だ」

 

 

柔らかく訂正する霧崎に対して冷めた口調で言うルシファー。

ベリアルはいつも通りヘラヘラしている。

 

 

「その龍は天候を操る能力があってね。この風景もその能力が生み出したものさ。元々この場所は今我々がいるここ以外に何もない空間なのだから」

 

『だとしても規模がおかしすぎる!俺の見立てではここから遥か彼方までこの雲海は続いているぞ!!』

 

「それはそうさ。そういう大きさなのだから」

 

「『は……?』」

 

「だからな白龍皇、そんだけデカいんだよ。サキさんの言ってる龍がな」

 

『な……!?そんなバカな話があるか!!』

 

「……いい加減耳障りになってきた。この白き龍とやら、白龍皇から引きずり出して始末するか」

 

「『!!』」

 

 

尚も納得出来ないからか反論し続けていたアルビオンに対し、ルシファーから出たのは始末という言葉。

神器を無理矢理取り出せば宿主が死ぬ事ぐらい彼が知らないはずはないだろうが、全く気にも留めていない。

 

 

『おい!?もし神器の所有者から無理に神器を引き抜けば宿主……この場合ヴァーリが……』

 

「知った事か」

 

「『なっ……!?』」

 

「貴様がこの調子で事ある毎に喚き散らしていては精神的にも効率的にも悪影響しかない。それが無くなるのならば、その結果この白龍皇が朽ち果てる事になろうと俺には何の問題も無いからな」

 

 

冷たく言い放つルシファー。

眉一つ動かさず命を何とも思っていない発言をするルシファーに対していよいよヴァーリだけでなくアルビオンも恐怖し始めた。

だが、霧崎がそれを諌める。

 

 

「まあ落ち着いてくれ、盟友よ。現物を見せてやればいいだけの話じゃないか」

 

「白龍皇の方はともかく、白き龍とやらは発狂してさらに喧しくなるかもしれんがな」

 

 

ルシファーの言葉に苦笑しつつ、霧崎はその『龍』を呼び出す為に念動力を解放する。

すると雲海全体が激しく鳴動し、雲海の各所から『龍』の胴体とおぼしきものが見え出した。

 

 

『な……んだ……あれは……』

 

「とてつもなく巨大な……いや、それだけじゃない」

 

 

ヴァーリとアルビオンは少しずつ姿を現していく『龍』から発せられる絶対的な力をその身で感じながら、それから目を離せずにいる。

やがて『龍』はその巨大過ぎる頭部を露わにする。

 

 

「これが君が受け継ぐ強大な力――」

 

 

その全長は万里の長城に匹敵するおよそ8000kmとされ、天候を自在に操りその鱗一つ一つが意思を持った武器の如く動くという蒼き龍――

 

 

 

 

 

「『四霊』の超機人の一体『応龍皇』だ」

 

 

 

 

 

「応龍皇……!?」

 

『超機人!?あれが機械だと!?』

 

 

霧崎の言葉を聞いたヴァーリはそれが自身と同じく龍皇と呼ばれる事に、そしてアルビオンは機械だという事に驚愕する。

後者に関しては正確に言うと半生体機動兵器なのだが。

 

 

「白龍皇と応龍皇、ピッタリだろう?」

 

 

そういう霧崎にヴァーリは気になった事を聞く。

 

 

「ん?四霊……?」

 

「なあ白龍皇、お前さんの仲間だった奴に闘仙勝仏ってのがいただろ。そいつからなんか聞いてないか?」

 

「……そういえば、四神が二つどうとか言っていたが」

 

「なるほど。四神の超機人に関してのみ一切の情報が手に入らない理由が分かった。おそらく光神……それも最高位に座する者が関わっている。既に彼によって作られていたのだろう」

 

 

ヴァーリの言葉を聞いた霧崎は何かを察するが、ルシファーは然程気にしていない。

 

 

「そもそも四霊の超機人は一体で事足りる。四罪と四凶は何かと扱いが面倒だ。超機人と言えど最下位にある四神は相性の良い強念の操者が運良く見つかれば分からんが、それでも真価を発揮するにはその条件に当てはまった上で最低でも二体以上揃う必要がある。放っておいても問題ではない」

 

「ふむ、確かに。それに光神が関与しているにしても逆に四神以外の情報は面倒だったとはいえ普通に得られたのが気にかかる。こちらも推測だが光神ではなく四神自らが情報を秘匿した可能性が大きいが、ここで考えても仕方がない。この話はここまでだ」

 

 

半ば強引な終わらせ方だったが、ヴァーリとしては別の事が気になったのでそちらを聞く事にする。

 

 

「先程受け継ぐ、と言っていたが……」

 

「その答えは簡単さ。今の応龍皇の主は私だからだよ」

 

「!!」

 

「先の話を聞いていれば分かるだろう?応龍皇の主になるには極めて強力な念動力者でなければならない。そもそも念動力者でなければ代わりに魂力……分かりやすく言うと生命力を吸われてしまってどうしようもないのでね」

 

「念動力……」

 

「安心したまえ。もし君がこの応龍皇を従えるだけの念動力を有することが出来たならば、主の座は君に譲ろう。応龍皇自身ともそう話はついている」

 

『なっ……!?こいつには自我があるのか!?』

 

「その通り。超機人は自身の操者を自ら選ぶ。余程強力な力があれば強制的に従えるのも可能ではあるが、この応龍皇のような四霊クラスともなれば彼自身に認められた方が早い。ついでに色々省エネだ」

 

「イイねサキさん。最後のジョークもキレッキレだぜ」

 

 

ベリアルの軽口はスルーして、霧崎の言葉にヴァーリは目を見開いた。

目の前に存在する絶対的な力、それが自分のものになるのだ。

元々念動力とやらを会得する気はあったが、今の言葉で俄然やる気が出てきたらしい。

欲望に忠実なところはさすが半分とはいえ悪魔と言ったところか。

 

 

「今の言葉、嘘じゃないだろうな?」

 

「勿論だとも」

 

「ならすぐにでも始めたい。どうすればいい?」

 

「そう焦ってはいけない。君の決意は分かったが、まだ先日の負傷の治療を終えたばかりだ。今日のところはゆっくり休みたまえ。明日から正式に念動力の覚醒訓練に入るとしよう」

 

「…………わかった」

 

 

少々納得がいかない感じのヴァーリではあったが、霧崎の言う事も正しいのでおとなしく引き下がる。

 

 

「私はまだルシファーに用事があるからね、部屋まで自力で戻れるかな?」

 

「どうしてもってんなら、俺が案内してやろうか?」

 

「必要ない。自分で戻れる」

 

「あらら、残念。ま、俺もしばらくお休みしますよっと」

 

「そうか。では二人とも、暫し良い夢を」

 

 

ヴァーリとベリアルを見送り、応龍皇もまた雲海へと姿を潜めていく。

双方の姿が見えなくなると霧崎はルシファーへと向き直る。

 

 

「さて、二人はお休みになるようだし……アレはどんな状況かな?」

 

「あのシステムは致命的な欠陥がある……が、終末を望む俺達からすれば気にするレベルでもない。終末の成就まで俺達が無事であれば問題はない」

 

 

ついて来い、とルシファーは短く言うとヴァーリらが向かった所とは別の方向へと歩き出す。

霧崎も彼を追い、そちらに向かって歩いて行く。

 

 

 

 

 

辿り着いた部屋の中から何やらガチャガチャと音が聞こえる。

 

 

「相変わらず騒々しい奴だ。ここに入れられてだいぶ経つがまるで落ち着く気配が無い」

 

「ふむ。生命力は強いようだが」

 

「両眼を潰されているというのにまるで相手が見えているかのように悪態をつく。奴自身の能力も人間にしては高いほうだろう。それに追放されたとはいえ元の所属は教会だ。他の素材を集める為の情報源として役に立つ」

 

 

そういうとルシファーは扉を開け、霧崎と共に中へ入る。

そこにいたのは――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい加減に俺を解放しろよオラァ!これでもエクソシストの端くれだぞ!本気になればテメーらみたいな奴は残さずブチ殺せんだぞコラァ!!」

 

「フン……そのザマでよくも吠える。無様に負けて放置されていたのをベリアルに拾われてきた負け犬の分際でそこまで虚勢が張れるとはな。自称『スペシャル』のフリード・セルゼン……だったか」

 

「自称じゃねーんだよスカシ野郎!!俺様は正真正銘のスペシャゴスゥッ!!グボェッ!?ゴボッ!!ゲボッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かのエクスカリバー事件で裕斗・ゼノヴィア・カナエ、そしてガイによって打倒されたフリード。

両手両足を鎖で縛られX字に張り付けにされているが以前と変わらぬような発言をしてはルシファーに腹を思い切り蹴られ床に派手に嘔吐する。

 

 

「確かに今の言い様は腹が立つが……痛めつけても大丈夫なのか?」

 

「必要なのは回路の役割を果たす脳髄だ。そこが無事であれば構わん。それにあのシステムはそもそも欠陥品、狂っていようが当人の自我や意識はシステムに呑まれて消え去り、文字通り『ヒトという名の部品(パーツ)』に過ぎなくなる」

 

 

ルシファーの言葉が聞こえたフリードはさすがに恐怖を覚えた。

先の四人と戦った時も怒りはあれど恐怖など微塵も感じなかったフリードですら目の前の存在にはそれを嫌というほど全身に感じ始める。

 

 

「お……おい、ちょっと待てよ。脳髄?部品(パーツ)?一体俺様ちゃんに何を……」

 

「では盟友、()()()――」

 

「ああ。あれの製造プラントは既にあの世界の人間界、ラグランジュポイントに配置した。まずは最初の被験体としてフリード(これ)を――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バルトールに()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フリードは一瞬固まり、次の瞬間歯をガチガチ鳴らせてガタガタと震えだした。

組み込む――どういう意味か分からないが、フリードを『部品(パーツ)』と呼んでいた以上ロクな事ではない。

 

 

「ま……まさか……」

 

「心配せずとも死にはしない。生きているとも言えん状態にはなるがな」

 

 

そう言って口元に僅かな笑みを浮かべたルシファーは、目で見えずともフリードにとって今まで生きてきた中で最も恐怖を感じる存在だった。

 

 

「い……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!やめろやめろヤメロヤメロ!!やめてくれやめてくださいぃぃぃ!!」

 

「先程までとは打って変わって態度が変わったが、どうしようか?盟友よ」

 

「いつまでもこうして喚かれたり騒がしくされては精神衛生上良くないのでな。早急に手筈を整え組み込む事にする。引き続き他の事は任せる」

 

「わかった。物のついでに四神の超機人についても調べておこう。そちらはおまけだがね」

 

「構わん。どのみちしばらくは戦力の拡充が優先だ」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!!」

 

 

これから自身の身に起きる最悪な出来事を想像し、泣き喚きながらガチャガチャと拘束された両手両足を動かすフリードを尻目に、ルシファーと霧崎は打ち合わせを始める。

 

 

 

 彼らもまた動き出した。

 

彼らの目的――『終末』と『混沌』のために。

 

 

 

〈第5章へ続く〉




というわけで、いよいよ次回から第一部最終章と言えるゴーデス決戦編になります。
次話ではちょっと筆休めにタッグマッチ後にあった事なんかを書こうかなと。悪魔将軍の地獄就任パーティーとか。
今回、色々と伏線も詰め込んだら少しだけじゃなくなった……後悔はしていない。


それではまた次回。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
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