ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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お待たせしました。
今回はシリアスがほぼ息をしておらず、ギャグとほのぼのに突っ走りました。

ゼタに続いて『組織』のあのポンコツ娘が登場。
すごく動かしやすいです彼女。

なお今回の中盤、『三羽烏漢唄』を聴きながら読んで頂ければと思います。


それでは本編をどうぞ。


北の大陸から

 認識阻害と転移によって無事アガスティアを脱出したレジェンド一行はある場所にいた。

 

 そこはアガスティアの北にあるノース・ヴァストと呼ばれる島……というより巨大大陸。

 ファータ・グランデ空域において最北に位置するそこは大部分が未開の地。

 特にエオニオ山脈を象徴とする白風の境は一部が瘴流域にかかっておりファータ・グランデ空域で最も過酷な地と呼ばれているところでもあり、あのケロニアの円盤群はここを通ってフェードラッへへと襲来したと思われている。

 

 さて、最北といえばどういうことか分かるだろう。

 辺り一面雪が積もっており、また一吹雪来そうな天気である。

 

 転移失敗でも不憫でもないがレジェンド一行はいきなり来るような場所ではないところにそこに来る時の格好ではない服装で来たため、レジェンドとマジンガーZERO以外はガタガタと震え出した。

 

 

「「さっ……寒いです〜!!」」

 

「えっと、えっと、こういう時役立つドグマは……うう……集中出来ない……!」

 

 

 アーシアとルリアは純粋に寒がり(しかもルリアに至っては裸足)、アマリは独自の魔法体系『ドグマ』をどうにか発動しようと頑張るもやはり寒さが邪魔して集中出来ない。

 

 

『なーんか眠くなってきたー……』

 

『ヤベーぜコイツぁ……冬眠しねーと』

 

「ゴモラァァァ!?ゴジラも今寝たら凍りつくでございますよ!?」

 

「我も冬眠したい。レジェンド、ぎゅーして」

 

「ゴモラゴジラはまだしもお前冬眠なんかしたことないだろうが。炬燵占拠して誰より鍋焼きうどん食ってたろ」

 

『仕方あるまい。我がブレストファイヤーでこの雪と雪雲を滅してやろう』

 

「暖かくなるどころかこの世界が火達磨になるな。やめとけ」

 

 

 本気で冬眠しそうな二匹とそれをさせまいとするゼット、寒さにかこつけてレジェンドに甘えようとしたオーフィスはバッサリ切られてぷんすこーモード。

 しかしそうこうしている間にもチラチラと雪が振り始める。

 

 

「このままでは危ないのも事実だな。アーシアは『輝煌なる祈り』を纏っておけ。あとルリアとアマリには……これだ。無いよりマシだろう、羽織っていろ」

 

「あ、ありがとうございます!はわ〜……温かい……」

 

「助かりました……何か、落ち着く……」

 

 

 ルリアにはレジェンドが以前から人間の姿でいる時になっていた服のマント側を、アマリには羽織側を渡して羽織らせておく。

 ちょっぴりジェラシーを感じたアーシアだが、彼女の纏っている服はレジェンドお手製の専用装束なのを思い出してほんの少し優越感に浸る。

 

 

「ずるいー」

 

「俺はともかくオーフィスちゃんには何かないんですか超師匠!?」

 

「慌てるな。あっちに森がある上、森の中に開けた場所が見える。加えて魔物や住民の姿や気配も無い……あそこならばあれらが出せるか」

 

「あれら?」

 

「ああ。この面子の中でいえば片方だけならアーシアは一度目にしたことがあるものだ」

 

「私が、ですか……?」

 

「全員そう身構えんでも別に変なものではない。この状況下ではこの上なく助かるものだぞ。さ、もう少しだけ頑張れ。あそこに着いたら俺がとびっきりに良いものを用意してやる」

 

 

 自信満々に言うレジェンドに困惑しつつ、徐々に勢いを増していく雪から逃れられるなら、とアーシア達もレジェンドに続く。

 

 そして例の森の開けた場所でレジェンドが出したものとは……

 

 

 

 

 

「レジェンド様、これって……!」

 

「そうだ。これのここを今から出すもののある部分と合わせて通路にするように――」

 

 

 

 

 

「わあー!凄いです!」

 

「こんなものまで仕舞ってたなんて……」

 

「我、もうすぐ限界」

 

「超師匠、俺もカラータイマーが鳴らずにぽっくりしそうでございます」

 

「よく頑張ったな、オーフィス、ゼット。普段とは面子が違うし人数も少ないがすき焼きやるぞ」

 

「やったー」

 

「うぉっしゃー!!」

 

 

 

 

 

 そこには先程まで無かった巨大なモノが存在していた。

 

 

 

 

 レジェンド一行が何かをしているのとほぼ同時刻、ウルトラ騎空団に身を置きつつ『組織』に属しているゼタは同僚のベアトリクスと共にノース・ヴァストでの任務を完了させて帰還しようとしていたが、運悪く吹雪に合ってしまい現在吹雪をやり過ごせる場所を探していた。

 

 

「あーもう!何だってこんなタイミング悪いんだよー!!へっくし!」

 

「文句言ってないでともかく探す!参ったわね……こりゃこの吹雪長くなりそうよ。何とかしてやり過ごせる場所を見つけないとマジで洒落にならないわ」

 

「んん!?」

 

「どうしたのベア!?」

 

「あっちの森に何か光が見えた!誰かいるのかも!」

 

「あ!ちょっとベア!ったく、一か八かになるけど文句言ってられないか!」

 

 

 一縷の望みを賭けて、ベアトリクスは光が見えた森へと足早に駆けていく。

 ゼタもベアトリクスを追いかけて森に突入し、少し進むと開けた場所に出る。

 

 そこで目にしたのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「大きなログハウス……と、何これ!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女らが言う通り、二階建ての大きなログハウスと見たこともない乗り物?が一緒に存在している光景だった。

 

 

「ログハウスはともかくあっちのは何なんだ?」

 

「あたしが分かるわけないでしょ。ともかく、もしかしたら入れてもらえるかもしれないし、早いとこ住んでる人に声かけるわよ」

 

「そ、そうだな!おーい誰かいないのかー!!」

 

「こら!ちょっとは控えめになりなさいって!」

 

 

 形振り構っていられないとベアトリクスはログハウスのドアをドンドンと叩き大声を出すが、ゼタに窘められる。

 そしてドアがゆっくりと開かれ――

 

 

 

 

 

「グッドアフタヌーン。アイアムウルトラマンゼット」

 

 

 マフラーとちゃんちゃんこ装備のゼットが現れた。

 

 

 

 

 

「ひいっ!?ヒューマンでもエルーンでもドラフでも、ハーヴィンですらないっ!?」

 

「ゼット!?ってことは……」

 

「あれ?ゼタじゃないでございますか。どうしてこんな辺鄙な……寒っ!!」

 

 

バ タ ン ッ ! !

 

 

「ああーっ!!」

 

「ちょっと待ってあたし達も吹雪で限界だから入れてお願いっていうかその発言まんま貴方達にブーメランしてんだけど!!」

 

「その台詞、言葉足らずだったらアウト手前だったな」

 

「ッ!?その声はやっぱり……」

 

 

 ゼタが聞き覚えのある声に反応して背後を向くと――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!

 

 セイィィィヤァァァァァ!!

 

 

 猛吹雪の中、赤褌一丁で乾布摩擦を行っているレジェンドがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

((えええええええ!?))

 

 

 寒さとは別の意味で真っ青になる二人。

 そりゃ自分達は鎧まで着てても凍えそうだというのに目の前の人物はさも当然と言わんばかりに褌一丁で平然としているなどと目の錯覚としか思えない……というか思いたくない。

 

 

「ゼタ!何だあれ誰だあれ!?こんな時にあんなバカな事してるバカは誰なんだよ〜!!」

 

「あのねベア……あんたが世話になってる騎空団の団長をあんまバカバカ言うのやめなさいよ。まあ、さすがにあたしも今回ばかりは同意するけどね」

 

「団長!?あれが!?我夢や藤宮が言ってるチーフな団長!?嘘だろ!?」

 

「おいそこのドジっ娘属性持ってそうな青い奴。殴り合いしたいなら受けて立つぞコラ」

 

 

 散々好き放題言われてさすがのレジェンドも頭にきたのか乾布摩擦はやめていないもののゴキゴキと首を鳴らしながら額に青筋浮かべてゆっくりと猛吹雪の中を裸足でやって来るのは割とガチで怖い。

 

 

「ひいいいいっ!?よく分かんないけどやるっていうなら相手に寒っ!!」

 

「だからやめなさいって言ってんの!吹雪で体温奪われて力なんかろくすっぽ出せないし、ましてやレジェンド相手に喧嘩売ったらあんた確実に死ぬわよ!!」

 

 

 もし本気でベアトリクスが挑む気なら……うん、自分は逃げよう。

 どこをどう考えてもレジェンドに勝てるビジョンの見えないゼタは即座にその答えに辿り着いた。

 

 

「そ……そんなに強いのかこの変人……」

 

「身の程知らずの馬鹿に変人呼ばわりは心外だな」

 

「こんな吹雪の中で褌一丁なんて変人以外の何者でもぶえっくしゅ!!」

 

「鍛え方が足りん」

 

「お願いレジェンド、ベアをあんま煽んないで。この子、負けず嫌いだからレジェンド相手でも張り合っちゃうから……勝ち目まっっっっったくないのに」

 

「そこまで言うかぁ!?」

 

 

 同僚のゼタにさえハッキリ言われて涙目のベアトリクスだが、ゼタの次に放った一言で本気で驚愕することになる。

 

 

「っくしゅ!そもそもね、あんたがあっさりあしらわれた十天衆の頭目、あれを一撃で気絶させたのレジェンドの弟子の子よ。しかも全然本気じゃないし」

 

「へ……?」

 

「オーフィスだな。あいつも中にいるぞ」

 

「あ、やっぱりレジェンドとゼットとオーフィスちゃんってセットなのね」

 

「もうセット扱いでいいよチクショー」

 

 

 相変わらず乾布摩擦をしながら、ログハウスに入ろうとするレジェンドを見てベアトリクスは漸く当初の目的を思い出した。

 

 

「へきしっ!!そうだ、なあ!お前ここに住んでるのか!?」

 

「ここに住んでるわけじゃないがこのログハウスと接続してあるキャンピングカーは俺の持ち物だ」

 

「何でもいいから頼む!中に入れてくれ!寒くてもう身体が限界で……!」

 

「散々馬鹿にした相手に頼み事など恥ずかしくないのか?」

 

「う……」

 

「ごめんレジェンド、あたしからも謝るから。ほら、知らなかったっていっても先に言い出したのベアでしょ」

 

「うう……わかったよぉ……バカとか変とか言って悪かった……」

 

 

 ゼタに促され、やっとこさ謝罪したベアトリクスにやれやれと溜息を吐き、レジェンドは二人の手を握りログハウスへと入る。

 

 

「ふえっ!?ちょ、ちょっと……!」

 

「俺と違って手が悴んでまともに動かんだろう。伊達に猛吹雪の中で乾布摩擦をしていたわけじゃない。お前達の片手を温めるぐらいの体温はある」

 

「あ……」

 

(こういうとこが天然ジゴロって言われるのよね。珍妙な事や発言をしたと思えばグッとくるようなことするし)

 

 

 先程のレジェンド同様、今度はレジェンドに対してゼタが苦笑しつつ溜息を吐く。

 ベアトリクスの方は寒さからかどうなのかは分からないが頬が赤くなっていた。

 

 

 

 

 

 ログハウスの中はしっかり暖められており、入口近くに設置してあった浴室に二人を押し込み女性用のバスローブを用意したレジェンドは、自身もアーシア奪還作戦以降もはや普段着になったジャケット姿に着替えてリビングに行くとそこではゼット指導のもとガンプラ作りが行われていた。

 

 

「はわ〜……ゼットさん凄い上手です!」

 

「いやぁ、これでも上手く作れるのと作れないのがあるんでございますよ」

 

「アマリさんもお上手ですね!初めてじゃないんですか?」

 

「いえ、初めて……だと思います。記憶が無くなる以前に作っていた感覚もありませんし」

 

『つかオーフィスは改造まで始めやがったぞ。コイツ初心者じゃねーのかよ』

 

「黒歌がよく作ってたから覚えた。最近は束とかセラフォルーも作ってる」

 

『束はまだしもあの魔王娘もか』

 

『まあいいんじゃないのー?ふわぁ……』

 

 

 外は猛吹雪だというのに、そんなことは気にせず温かい雰囲気のゼット達。

 ちなみに作っているものはそれぞれ、ゼットはRX-78-2 ガンダム、ルリアはZガンダム、アーシアはキュベレイ、アマリがサザビー、オーフィスに至っては完成したガンダムデュナメスを余ったパーツで改造し始めている。

 ゴジラはレジェンドが外に乾布摩擦しに行く前に作ったウインナーを独占しつつ見物しており、ゴモラは半分夢の中。

 マジンガーZEROはやはりレジェンドの愛機というか、フルスクラッチで何処かで見たというハルファスベーゼ ハルバードを作成中。

 

 

「おい一体だけクオリティの次元が違うやつ混じってんだけど」

 

『本来ならばバルバドロというやつでも作ろうかと思ったんだがな』

 

「それサイズが半端ない気がするんだが」

 

「あ!おかえりなさい、レジェンド!」

 

「レジェンドさん、お疲れ様」

 

 

 にこやかに言ってくれるルリアとアマリ。

 どうやらだいぶ二人もレジェンドに心を許したようだ。

 特にゼットはさん付けなのに対しレジェンドは普通に呼び捨て……アマリも少しずつだがレジェンドに敬語無しで話し出している。

 良い事だ、とレジェンドは一人頷いて自身も混ざることにした。

 

 

「超師匠は何を作るんです?」

 

「ん?最近惑星レジェンドで発売されたばかりのネオ・グランゾンだ。やはり乗機のプラモは作りたいからな」

 

「ああ〜なるほど。あれ?そういえば超師匠、俺のEX-Zガンダムももしかしたら……」

 

「発売されるだろうな。多分かなり人気出るぞ」

 

「マジっすか!?予約とかって出来ます!?」

 

「やっといてやるぞ。武装外骨格はどう発売されるか気になるところだが」

 

 

 慣れた手付きでヒョイヒョイと組み上げ、プロビルダー顔負けの速度とクオリティで簡単に作り上げてしまったレジェンド。

 ちょうどそのタイミングでゼタとベアトリクスが風呂から上がってきた。

 

 

「あー!生き返った!!サンキューな、団……何だ普通の服あるじゃんか!そっちのが断然良いぞ!」

 

「ベア……いくらレジェンドでも四六時中あんな格好してるわけじゃないって」

 

「あ、ゼタ」

 

「ヤッホー、オーフィスちゃん久しぶり。って、ゼット以外初めての子ばっかりね」

 

 

 ゼタはレジェンド以外、オーフィスとゼットは以前空の世界に調査に来た際に出会っているが、その時はゴジラも外に出しておらずアーシアやゴモラもいなかったし、ルリアやアマリはそもそも加入したばかりである。

 当然、レジェンド達がダイブハンガーや駒王町へ帰る時にまだ加入していなかったベアトリクスはレジェンドやゼットとも先程が初対面。

 

 

 

 

 

 それからざっと互いの自己紹介と状況報告をし合い、漸く一通りの情報交換を終えたレジェンド達は再びのんびりしていた。

 

 

「しっかしまぁ……何でも出すわね、レジェンドって」

 

「何でも出そうと思えば出せるが出さん。スキンヘッドのボディビルダーを全裸で大量に出して欲しいのか」

 

「何よその悪夢通り越して地獄の光景」

 

「え?超師匠、地獄に右腕な方がいらっしゃいますし」

 

「「はい?」」

 

 

 言わずもがな鬼灯である。

 ちなみにゼットは鬼灯本人から実況時は相棒認定されているが、本人もそれに乗り気だ。

 タッグマッチの実況を見聴きしていれば納得というもの。

 

 

「いや、改めて自分のタッグマッチ時の記録映像を見ている時の実況に笑った笑った。お前の気合いの入ったコケコッコーで飲んでたコーラ吹き出して鼻が痛くなったよ」

 

「コケコッコーって何!?」

 

「俺と相方の対戦相手の名前」

 

『いやちげーだろ。コケコッコーじゃなくて……アレ?誰だっけ。オレ様から見てもザコモンスターにしか見えねえから覚えてねーや』

 

『ん〜……コカトリス?』

 

『それは石化してくる鳥だ。我はその時まだこちらにいなかったから分からんが、巫女かオーフィスならば分かるのではないか?』

 

 

 ゴジラもゴモラもどうでもいい相手としか認識していなかったらしく、マジンガーZEROによっていきなり振られたアーシアとオーフィスは何とかして思い出そうとするがなかなか出てこない。

 

 

「うぅ〜ん……結構重要な方だったような……」

 

 

 真面目なアーシアでさえこれである。

 つまりオーフィスは……

 

 

「黒焦げチキン」

 

 

 こうであった。

 それもう食べ物じゃねーか。

 しかも失敗作。

 

 

「あっはははは!やっぱり傍から見てて面白いわレジェンド達って!やー最近任務任務で疲れ困憊だったし、良い息抜きになるわ」

 

「なあゼタ、こいつらっていつもこんな調子なのか?」

 

「ん〜……あたしもそう付き合い長いわけじゃないけどさ、なんていうか……一度会ったら忘れられない、みたいな?慣れちゃうと多分なくなった途端一気に寂しくなりそうな感じかしら。それにレジェンド、我夢や藤宮の話だと真面目になると掛け値なしに凄いらしいし」

 

 

 どう凄いのか分からないけど、とゼタは続けて用意されたジュースをストローで吸いつつ別の話題にシフトしたレジェンドらを頬杖つきつつ眺める。

 ベアトリクスも釈然としないまま同じようにレジェンド達を見るが、何を思ったのかルリアが突拍子もないことを言い出した。

 

 

「私、ここで皆さんと一緒に寝たいです!」

 

「ルリアちゃん?」

 

「「え!?」」

 

「ルリア、言い出したら聞かないし……レジェンドさん、家具とかの移動って出来たりとか……」

 

「出来るぞ。直接動かせなくもないがこの人数分ならレジェンドキネシス使った方が早いな」

 

「「ええっ!?」」

 

「お布団ぬくぬくでゲームする?」

 

「こっちでも『鬼』が出て来る可能性を考えて例の鬼討ちゲームでございますか?俺、ゼットランスアローの件もあって槍か弓使いたいんですが」

 

「我は手甲。どりるぶーすとなっこー」

 

「ドリルもないし飛ばないからな」

 

「「えええっ!?」」

 

 

 いつの間にか全員一緒にリビング(ここ)で布団を敷いて寝る方向に話が進んでいることに驚くゼタとベアトリクス。

 しかもレジェンドやゼットは男性なのだが……

 

 

「我とアーシアはレジェンドといつも一緒。気にしないどころかいないと駄目」

 

「あ、俺これでも寝付き良い方なんで」

 

「アーシアは服を開ける方だからまだいいがオーフィスは全部脱ぐからな。ダイナミックに」

 

「「「「!?」」」」

 

『あー自分から言いやがったよ。オレ様は知らねーぞ』

 

 

 レジェンド自らの爆弾発言でアーシアは真っ赤になりオーフィスは何故かドヤ顔。

 何食わぬ顔でレジェンドキネシスを使い家具を移動させているレジェンドや布団を用意しているゼットを尻目に女性陣はヒートアップ。

 

 

「オーフィスちゃん、全部脱ぐってまさか……」

 

「我、レジェンドと寝るとき何も着ない」

 

「えええええっ!?だ、駄目ですよ!風邪引いちゃいます!」

 

「違うわルリア!論点はそこじゃない!」

 

「も……もしかしてルリアちゃんやアマリさんも一緒に寝たいとか」

 

「アーシアさん!?そういう意味じゃ……」

 

『ぐぅ……』

 

「あ、ゴモちゃん駄目ですよ。ちゃんとお布団入りましょうね」

 

 

 色々と混沌としていたが、ゼットが持ってきたカプセル怪獣サイズ用の籠にゴモラを入れてやり毛布をかけてやるアーシアはまるでお母さんだ。

 既にゴジラもマジンガーZEROも寝ている……というか後者も普通に寝ているのが驚きである。

 しかも寝相もいい。

 

 

「ほれ、全員分敷いたぞ。俺らはまだ眠れないから布団に入って討鬼伝やるぞ。武器何を使うかなー」

 

「あ、俺と超師匠は男なんで端っこに行きますんで。超師匠、巌勝さんが戦ったっていうヤトノヌシの上級に挑みたいんですけど」

 

「我はアマツミツツカ。我、この間は戦えなかった」

 

「何だ何だ?我夢達がやってたそっちの世界のゲームか?私も混ぜろよ〜」

 

「初心者一名追加、コイツのために先ずは適当なやつ狩るぞ」

 

「「うぇーい」」

 

 

 レジェンドやゼット、オーフィスの輪にベアトリクスも混ざり――

 

 

「ルリアちゃんはどんな本が好きなんですか?」

 

「えへへ……私はですねー」

 

「何かごめんなさい、無理矢理みたいで」

 

「ん?ああ、気にしないで。アマリちゃん……だっけ?いきなりで戸惑ったけど悪いことじゃないし。ベアもベアで楽しんでるみたいだしさ」

 

 

 布団に入ったまま和気藹々としてる面々を見渡しながらゼタはくすりと笑う。

 

 

「あー!ヤバいヤバい!誰か助けてくれー!」

 

「槍衾のタイミング合わねぇぇぇ!」

 

「レジェンド、手甲使いにくい」

 

「揃いも揃って前衛しかいない上に攻スタイルのミタマしか装備してないのか!万が一に備えて銃+癒で来てて正解だったな!なんで回復か攻撃かの両極端なんだこのメンバー!?」

 

 

 携帯ゲーム機を手に一喜一憂しているレジェンド達、ゼタにアマリも混じってルリアやアーシアは愛読書談義に花を咲かせ、ゴジラ達マスコット組は騒いでも敵意が無いなら気にせず爆睡。

 

 あと二、三日は続くかもしれない猛吹雪に見舞われたノース・ヴァストの森の一角。

 

 様々な結界や加護で護られた彼らの寝床は、それとは関係なくとても温かかった。

 

 

 

〈続く〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 予告

 

 フェードラッへにひっそりと咲く赤い花。

 

 血を求め闇を這う恨み花。

 

 連続する吸血殺人事件の真相は何か?

 

 狙われたオカルト研究部と白竜騎士団。

 

 タロウを知る少女の正体は何?

 

 次回『血を吸う花は少女の精』

 

 「お兄ちゃんのお父さんも同じだった」




レジェンド、どデカイログハウスと例のキャンピングカーを持ち歩いてて出し入れ可能だった。
まあエリアル・ベースをさらっと取り出すぐらいですし……早速レジェンド一家に染まりつつある二人と、吹雪をものともせず乾布摩擦するバカ一人w

そして次回はウルトラマンタロウのトラウマ回で有名なあの話がタイガ達にも降りかかります。

「全部父さんのせいだあ!」

(ガーン!!)※絶望のタロウ

長くなりそうなので時間が掛かりそう、もしかしたら製作中に正月編同様に特別編を何か投稿するかも。


それではまた次回。

特別編で見てみたいのは?

  • 『それは、星を救う物語』の続き
  • 米花町にホームズとモリアーティ来訪
  • 特殊特異点にAチーム+α送り込み
  • リリなの世界に蛇倉苑メンバー出張

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