ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER 作:ハジケハムスター・ポッポ
今回からゴーデスとの決戦へ向けて突き進んでいきます。
正確には次回から。
今回は比較的前回控えめだった彼が一肌脱ぎます。
それでは本編をどうぞ。
リアスがゴーデス細胞に感染した――
それは瞬く間にダイブハンガー、そしてそこで生活していた全員へと伝えられ、厳戒態勢が整えられた。
一誠によっておぶられながら帰って来たリアスは明らかに衰弱しており、卯ノ花を始めとした医療従事者や、先日の会談日以降正式に光神陣営に属することになった黒上博士、そして各方面に豊富な知識を持つ束が中心となって治療を行っている。
「卯ノ花様、束様……リアス様の容態は……?」
「正直、あまり良くありませんね」
「ゴーデス細胞、だっけ。それがりっちゃんの細胞を侵食しようとしてる最中なんだけど、りっちゃんは無意識に細胞レベルで魔力障壁を展開して何とか防いでるって感じ。はーちゃんの教えの賜物だね」
「しかし、その状態は分かりやすく言うなら体内と体外、摘出不可能なギリギリのラインで症状が起こっているようなもので、施術どうこうというレベルではないのです」
「ただ、まだ間もないとは言ってもレジェくんやサーくんら光神との関わりが出来たことで少なからず光気を浴びてることと、生まれが生まれだけに魔力の質と量に恵まれていたのもあって何とか症状の進行が遅いのだけは救いかな。それでも急がなきゃマズいのは確かだけど」
卯ノ花と束の助手をしていたクロエの質問に二人は今わかっている事を包み隠さず述べた。
このリアスの状態から下手な嘘は中途半端な希望にしかならず、最悪の事態へとなったときの絶望が尋常ではないからだ。
クロエは「そうですか」と表情を曇らせたが、もう一つの懸念もあった。
……のだが。
「でもりっちゃんも大したもんだね。細胞の方は無意識だけど、自身を極薄の魔力の膜で包んでゴーデス細胞が周囲に影響を及ぼさないよう、自分の中で食い止めてる。あの事件で逃げ回るだけだった無能連中とは全然違うよ。束さん達もお姉さんとして頑張るぞー!」
クロエの疑問……リアスの感染したゴーデス細胞が周囲の者にも感染する危険はリアス自身が必死に抑え込んでいた。
一誠を筆頭にオカ研メンバーも心配で何か手伝おうとしたり、せめて傍にいようとしたのだが大人達から「夏休み間近で短縮とはいえ授業があるだろう」と言われ断腸の思いで引き下がり、学園に登校することに。
(いくら抵抗出来る要素があっても、彼女は精神力と体力を同時に奪われているような状態……もって三日、下手をすればそれ以下の可能性もある。どれだけ手を尽くしても、やはり根本的な面で解決しなければどうにもなりませんか)
卯ノ花は険しい表情のまま、リアスの看病と治療に専念するのだった。
☆
――とある場所――
「ふーむ……怪しさバリバリじゃのぅ」
「何かありそうに見えて何も無い……と思ったらいきなりバーン!と何か出てきそうだけど現状何も出てこないにゃ」
「何じゃその表現は。『何』がゲシュタルト崩壊しとるぞ」
リアスのゴーデス細胞感染を聞いた時、シミュレータールームにいた黒歌と夜一はある人物からダイブハンガーに来た通信を偶然二人だけで聞いてしまい、その人物から潜入調査の同行依頼をされた。
仙術による隠行が可能な黒歌と、元隠密機動総司令官たる夜一ならば余程の事でない限り成功するのは確実。
最初は渋っていた二人だが、協力してくれるならレジェンドへ二人のおかげで成功した、と大々的にアピールしてくれるというのでならばと決断。
で、現在無事潜入し調査を行っているわけだ。
「しっかし国外どころか南太平洋と南極海の境に来るなんて思わなかったにゃ。普通に考えて誰が来るのよ、こんな
「だからあやつも言っておったじゃろ。ここ数日の間に
そう、彼女らがいるのは日本どころか国ではなく、突如出現したという謎の島なのである。
不可思議な事に衛星からも感知出来ず、島全体に強力なジャミングがかかっているとしか思えない状態……にも関わらず彼女らがここに来れたのはいくつか理由があり、まず一つは光神陣営故に各種機器が特殊な為、ジャミングも容易に突破出来ること。
二つ目は試作型の携帯式長距離転移装置(サイズ限界有り)の実験も兼ねており、それが無事成功したからである。
……失敗したらどうなるか?
知らない方が身のためだ。
ともかく、試作型のため転移装置は往復分しか使えないということもあり、可能な限り情報を集めようとこの二人ともう一人に別れて調査している。
「あまり奥まで進み過ぎて、いざ何かあってから対処出来ずにゲームオーバーは御免じゃ。ある程度調査したら合流して引き上げるぞ」
「それがベストね。仮に相手がいるとしたらこっちの戦力不足もいいとこにゃ」
「ならば早急に離脱しましょう、黒歌隊員に夜一元総司令官。こちらは調査完了しました。ほぼ間違いありません」
「「!?」」
ビックーン!!と二人の猫耳やポニーテールが驚きのあまり逆立ってしまったが、声をかけた本人はどこ吹く風で転移装置を起動し、三人はその島から姿を消した。
☆
終業式と夏休みが近づき、補習に嘆く者、部活に精を出そうとする者など様々な思いを胸に夏休みを過ごそうとしている生徒が大勢の駒王学園では、やはりと言うべきか話題はリアスの病欠で持ち切りであった。
ここ最近は今まで以上に活力に溢れていたというか、活き活きして笑顔も増えていた彼女がいきなり欠席というのは当然の如く衝撃だったらしい。
「なあイッセー、お前なら何か知ってるんじゃないか?リアス先輩が病欠の理由」
「え?あ、ああ……何かさ、先輩もちょっと前まで気を張ってて……やっぱり無理が祟ったんじゃないかって」
「あー……そういや、リアス先輩部長だったよな。しかも三年とくればそうもなるよな」
松田と元浜も一誠の返答がまともだった為、それ以上追求するような事はしない。
ただ、遠目からその様子を見ているアーシアとゼノヴィア、そしてタイタスとフーマ、ついでにドライグは一誠が落ち込んでいる事に気付いている。
「……やっぱり、イッセーさん元気ありませんね」
「当然と言えば当然なんだろうが……というか、そこの二人はアストラル体のままで何で私達の方にいるんだ?」
「ああ……それなんだけどよ、ドライグの奴は神器だから仕方ないとして……タイガがな」
「イッセー同様落ち込んでいる。あの時、自分達がもっと早く駆けつけていたら、とな」
「レジェンドやサーガじゃあるまいし、あの距離をテレポート無しで瞬間移動ばりの速度なんて出せるわけないんだから気にすんな、とは言ったんだけどさ」
どうやらタイタスとフーマは一誠同様に落ち込んでいるタイガを刺激しないようにしているようだ。
下手な慰めで暴発して、周りと険悪な空気になってほしくない。
しかも非常事態な現状では尚更だ。
力を合わせなければ今の状況は打破出来ないだろう。
「しっかし……肝心要のあいつらがあんな調子じゃあな」
「二人ともリアスは自分達が守る、と常々意気込んでいたからな。自分達がいたのに彼女をあんな目に合わせてしまったと責任を感じているのだろう」
「……?イッセーさんはわかりますけど、タイガさんもですか?」
「ん?ああ、タイガのそれは恋愛感情じゃねーよ。なんつーか、アレだ。姉と弟みたいな」
「聞いたことがあるだろう?タイガはウルトラの父と母の孫で、ウルトラマンタロウの息子……そのビッグネームを親祖父母に持っているため殆どの者が『タロウの息子』などとしか見ていなかった事を」
「「あ……」」
「だからだろうな。同じように『グレモリー家のリアス』としか見られなかったリアスは、我々が見ている部分だけでもタイガをタイガ個人として見ていた。その逆もまた然り、同じような境遇にいた者同士……恋愛とは違う信頼関係が出来ていたのだ」
タイタスの言葉にアーシアとゼノヴィアは納得した。
特にアーシアはリアスとライザーのレーティングゲームに参加したので彼女の思いもよく知っている。
「ともあれだ。時間はそう残っちゃいねえし、終わったらさっさと帰って打開策考えねえと」
「そういえば……黒歌さんと夜一さん、見かけませんでした?」
「いや、私は見ていないが……」
「私は今朝トレーニングルームにいたがそちらにも来ていないぞ」
その二人はそもそもダイブハンガーどころか駒王や日本にすらいないなど考えもしない四人だった。
ちなみに小猫だけには伝えられており、秘密にしてくれるよう頼んである。
タイムリミットは少しずつ迫っていく。
☆
学園から帰って来た一誠はリアスの様子を見に行くも、状況は好転しておらず束から「いつでも出れるようにしてから休んでおくように」とグイグイ追い出されてしまった。
修行しようとも思ったが、ゲンやレイトからも「今のお前の精神状態ではまともな修行など出来ない」とこちらも休むよう言われてしまい、タイガ共々ダイブハンガー内部から海の中を眺めながらボーッとしていた。
「……俺達、何やってんだろうな」
「ホント……そうだよな」
一誠とタイガは揃って溜息を吐きながら俯き、暫くするとまた海の中を見ては溜息を吐いて俯く、を繰り返している。
「なあ、タイガ……」
「ん?」
「よくよく考えたら……俺達って戦い以外で何の役にも立ってないよな……」
「ああ……言われてみたらそうだな。せめて機動兵器が操縦出来れば出来る事増えるかもしれないけど、そっちだってまだ訓練中だし……」
考えれば考えるほどドツボにはまっていく二人。
そんな二人に陽気な声で話しかける人物がいた。
「よう!どうしたんだ二人揃ってペガッサ星人でもないのにダークゾーン作り出してよ」
「あ……アスカさん……」
「ダイナ先輩……」
「まあまあ、この冷た〜いコーラ飲んで頭シャキっとさせろって。あ、一誠はタイガに身体貸してやってくれな」
「「あ……はい」」
何となくアスカの纏う空気に一誠とタイガは軽く呑まれてしまう。
別に悪い事ではないが。
「ングッ……ぷはーっ!炭酸美味ぇー!」
「「…………」」
「ん?ほらほらどうした!グイッといけグイッと!別に酒の類じゃないんだし遠慮すんなって」
「あの!」
「お、どうした?」
一誠が声を張り上げたのを軽い口調で返すアスカ。
「アスカさんは……部長が心配じゃないんですか!?」
「リアスちゃんが?」
「だって……ダイナ先輩、この状況でそんな気楽にしてるなんて……!」
一誠に続く感じでタイガもアスカに意見するもアスカは普段の調子を崩さない。
「じゃあ二人に聞くけどさ、リアスちゃんが心配なら何でこんなとこでそんな暗い雰囲気作ってんだ?」
「それはっ!その……束さんや師匠達に休めって……」
「今の俺達じゃ、訓練出来るような状態じゃないとも……」
「なら休むしかないだろ」
アスカは二人に対してバッサリ言い切った。
一誠とタイガも正論であるが故に何も言い返せない。
「さっきさ、俺はリアスちゃんを心配じゃないのかって聞いてきたよな」
「……はい」
「心配だよ」
え?と二人揃ってアスカの方を向くが、アスカは依然としていつもの雰囲気を崩してはいない。
「けどさ、俺はお世辞にも頭が良いとは言えないし、そもそも医者の真似事なんてウルトラマンになってもオマケレベルでしか出来ない。だからそういうのに無理矢理首を突っ込むより、自分に出来る事……自分にしか出来ない事をやった方がいいんだよ。周りのためにも自分のためにもな」
「自分にしか……」
「出来ない事……」
アスカは続けて二人に尋ねる。
「一誠とタイガは医者がするような事やれるか?」
「「……いえ」」
「じゃあ『これなら負けないぜ!』って何かあるか?」
「「……」」
アスカの質問に二人は暫し考え込み、一誠が先に口を開いた。
「部長を……部長を想う気持ちなら誰にも負けません!!」
「イッセー……」
一誠のハッキリとした口調で告げられた言葉に満足しつつ、アスカは頷きつつタイガにも尋ねる。
「で、タイガはどうなんだ?」
「俺は……」
一誠のバディ、というにはタイタスとフーマもいるし、かと言ってリアスへの親愛の情はあれど恋慕の情とかはあまり無い。
遊撃隊としての誇り、にしてもおそらくベリアルやゼロには及ばないだろう。
――俺には何も無いんじゃないか……?
そう思いかけたタイガに声をかけたのは、他ならぬ一緒に悩んでいた一誠だった。
「言ってやれよ、タイガ」
「イッセー……」
「俺はお前がどんな事を言ったって笑わねーよ。俺だって師匠や先輩に修行つけてもらうまでオープンスケベでどうしようもない野郎だったしさ。まだまだ今までの事が帳消しになるほど成長出来てないし……もしお前が言った事を笑われたら、たとえアスカさんでも俺がブン殴ってやるからさ!」
最後はだいぶ過激な内容だったが、当のアスカは別の意味で笑っている。
決して馬鹿にしているわけではない。
そしてこの言葉でタイガはもう一度自分を見つめ直す事が出来た。
――そうだ、あったじゃないか――
「俺には……イッセーと、リアスと……血の繋がりを超えた絆が!!」
「タイガ……!」
一誠もタイガの言葉に嬉しくなると同時に、リアスがタイガが地球のことについて勉強をしている時に率先して世話を焼いているのを思い出す。
自分もすぐ隣で見ていたが、嫉妬とかは全く起きなかった。
頑張る弟を後押しする姉のような二人を見て逆に微笑ましい気持ちになったのを覚えている。
その二人の答えを聞いたアスカは、文句なしと言わんばかりの笑顔で二人に言う。
「二人ともしっかり持ってるじゃんか。自信を持って言える『誰にも負けないもの』を」
「アスカさん……」
「ダイナ先輩……!」
「なら尚の事、リアスちゃんの為にもしっかり休んで万全の状態にしとこうぜ。きっとあの娘が一番信頼してるのはチーフやゼロじゃなければ、親しいハリベルさんやマリーダさんでもない。お前達二人なんだ」
ここで漸く気が付いた。
一誠とタイガにしか出来ない事を。
『兵藤一誠として、ウルトラマンタイガとして、リアスを救う』――これは彼らにしか出来ない。
そのためにはアスカの言う通り、しっかり休み体調を万全にしておく事が重要なのだと。
「「……ありがとうございました!!」」
「ん?何が?」
アスカは笑いながらコーラを飲んでいる。
多分彼にこのまま礼を言ってもはぐらかされるだけだろうと考えた二人はただ笑い合っていた。
と、アスカが思い出したように二人に言ってくる。
「あ!忘れてた忘れてた」
「な……何ですか?」
「まさか、何か重要な……!?」
「ああ……!俺、頭弱くて天才とか言えないけど……無敵だから。無敵のアスカ様だから、そこよろしく!」
真面目な顔から一転して再び笑顔になるアスカにポカンとした一誠とタイガだったが、やがて三人で声を出して笑ってしまう。
ひとしきり笑った後に一誠はある事を閃いた。
「あの、アスカさん」
「おう、どうした?」
「いや、あの……アスカさんって何かこう兄貴っぽい感じがするし、ギャスパーもリクさんを兄さんって呼んでるし……俺もアスカさんの事を兄さん、って呼んでいいですか?」
「おー!全然構わないぜ!よーし試しにタイガも一緒に言ってみよう!」
「え!?俺も!?」
「そう!!」
「「せーの……
「ッははは!そうきたかー!どっちも俺だからいいんだけどさ!」
やはりというか、片や人間の、片やウルトラマンの名前で呼ばれアスカは大爆笑しつつ二人にサムズアップする。
それに釣られて一誠とタイガもアスカにサムズアップし、互いに笑い合ったところでダイブハンガー全域に放送が入った。
『ピンポンパンポーン!はろはろーレジェくんのお嫁さんのたゴッ!!!ばっ!?』
『真面目にやって下さい、束さん』
『痛いよれっちゃん!今のすっごく痛かったよぅ!!いいもん、あとでレジェくんに痛いの痛いのとんでけしてもらうから!』
「……何やってんだ?あの人達」
「「……さあ?」」
これにはアスカや一誠、タイガもそう言うしかない。
『ごほん!気を取り直して〜……ダイブハンガーに在住の諸君!ウルトラマンな人や神衛隊各分隊のまとめ役や機動部隊の人、あとレジェくん一家は作戦指令室へ来てね!他のメンバーはリフレッシュルームか格納庫へGO!』
『リフレッシュルームと格納庫は作戦指令室との通信が可能になっています。加えてモニターも同期されるのでご安心下さい』
『皆ハリーアップ!何でって?レジェくん謹製のゴーデス探知機がゴーデスの居場所をキャッチ、偵察に出たメンバーからの確証も手に入ったからだよー!!』
「「「!!」」」
束から齎された情報に、三人は驚きと同時にやる気が漲ってきた。
いよいよゴーデスとの決戦の時が来たのだ。
「よぉーし……!漸く火星でのリベンジが出来るぜ!」
「早く行こうぜ、タイガ!アスカ兄さん!」
「ああ!」
「いいか二人とも!本当の戦いはここからだぜ!」
「「おう!!」」
伝説の英雄とも絆を深め、
守るべきもの、そしてこの星の明日のために。
〈続く〉
イッセーに師匠・先輩と続いて兄貴分も出来ました。
ダイナ本編だとまだまだ新米ウルトラマンだった彼も、今やウルトラ六兄弟もかくやという大先輩に。
異世界修行編では劇場版ティガ&ダイナの本作版エピソードの出演も控え、ここらで一つ偉大なところを見せてもらいました。
黒猫ツインズと一緒に調査していたのが誰かお分かりでしょうか?
その正体は次回明らかになります。
それではまた次回
二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?
-
真ゲッタードラゴン(大決戦版)
-
真・ゲッター1(スパロボα仕様)