ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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お待たせしました。
ゴーデスとの決戦本番の前に、今回は駒王側の話となります。
サブタイ通り、奴が話の主軸です。


それでは本編をどうぞ。


Black Stranger

 ウルトラ戦士&光神陣営VSゴーデス。

 

 その決戦の火蓋が切って落とされた。

 

 ゴーデスの復活によって地球全体が突然の暗雲に包まれており、世界各国ではこの異常事態に軍を動かすなどして警戒するが、戦いは彼らの知らぬ場所で既に始まっている。

 

 

「何となく予想は出来ていたがやはり基本となるのは空中戦だ!初期陣形はウルトラ戦士達を主軸に飛行可能機体で隙間を埋める形に展開!あのデカさじゃ闇雲にバラけて撃っても効果はねえ、陸戦型は触手を一本一本確実に破壊して主力を援護しろ!!特機、またはそれ準拠の機体は機動性によっては触手を足場代わりに利用してゴーデス本体に攻撃を仕掛けてもいい!!」

 

「「「「「了解ッ!!」」」」」

 

「クロガネ、全速前進!こっちは空中で援護する!地上に比べて手数が少ない分、火力で補うぞ!ホーミングミサイルと艦首魚雷発射管、全門開放!連装衝撃砲、及び副砲の照準合わせ!!弾薬もエネルギーも使い切る気でいけよ!!」

 

 

 オルガの一切妥協を許さない指示が飛ぶ。

 相手は次元を超えて悪名轟かす邪悪生命体、出し惜しみしている場合などではない。

 格納庫ではこの戦いが始まった今も尚、黒歌の機体の調整が急ピッチで行われている。

 可能な限り戦力を注ぎ込む。

 そうしなければ勝てない相手だとこの戦場にいる全ての者が肌でそれを実感していた。

 

 だが、敵はゴーデスだけではない。

 

 別の場所で二つの『黒』が猛威を振るっていた。

 

 

 

 

 ――駒王町――

 

 レギオノイドとギャラクトロンを撃破し、仮住居を襲っていた大型の『鬼』アマツミツツカとの戦いも順調に進み、あと少しで一息つけるだろうと思ったところに新たなるロボット怪獣と機動兵器が現れた。

 ロボット怪獣の方はともかく、機動兵器……というよりそのパイロットの方は何故かロスヴァイセの駆るサイバスターが狙いらしい。

 

 

「い……いきなり何なんですか貴方は!?」

 

「ふむ、そうだな。自分を狩る者の名前くらいは知っておきたいだろうし……いいだろう。僕はアサキム・ドーウィン、そしてこの機体はシュロウガだ」

 

「あ、ご丁寧にどうも……じゃなくて!どうして私を狙うんですか!?少なくとも私、貴方とはまるで面識無いですよ!?」

 

「それは当然だ。僕も君とはたった今初めて合ったばかりだからね」

 

「はい!?」

 

「だがその機体……サイバスターは別だよ。さて、これ以上は話したところで君には理解出来ない。潔く僕に狩られるか、それとも力の限り抵抗するか選ぶといい。僕としては是非とも後者を選んでほしいが」

 

 

 ロスヴァイセとしては無論抵抗する気だが、初対面で奇襲された事に加えて上から目線なのは物凄く腹立たしくて仕方ない。

 しかし、奇襲だったとはいえ相手は明らかに格上、しかも真の力を発揮したサイバスターならいざ知らず、現状どうにか戦える程度の力しか引き出せないロスヴァイセには分が悪過ぎる……いや、正直結果が決まっているような戦いだった。

 

 

「私を狙う理由はともかく、簡単にはやられてあげられません!」

 

「フフフ……そう来なくてはね。ただ一つだけ忠告してあげようか。今の君を狩る事など造作も無い」

 

「え……!?」

 

「魔王剣……ディスキャリバー!」

 

 

 シュロウガは一振りの剣を出現させ、サイバスターへと猛スピードで斬りかかる。

 なんとかサイバスターはディスカッターで防御するも、直後に一瞬で背後に回り込まれ、ヤクザキックを受けて地上へと叩き落された。

 

 

「きゃああああ!」

 

「ロスヴァイセ!?」

 

「あの者と黒い機体……相当な手練だ!」

 

「申し訳程度にしかサイバスターを扱えていない君が僕の相手をするには時期尚早過ぎる。特にMAPWだけでも使えたのなら先のレギオノイドやギャラクトロンとの戦いもどれだけ楽に済んだことか」

 

 

 MAPW――大量広域先制攻撃兵器。

 例えるならゴーデス島でシビトゾイガーに対してレジェンドのネオ・グランゾンが使ったグラビトロンカノンなどがそれに当たる。

 サイバスターにも本機の代名詞的な『サイフラッシュ』というものがあるのだが、ロスヴァイセはまだ使う事が出来ない。

 実際、彼女が使えているのはカロリックミサイルとディスカッターのみだ。

 

 

「それより君達は彼女より自分達と町の住人を心配した方がいい。その『惑星破壊神サタンデロス』もまたその特性上、そう簡単に傷つける事は出来ないのだから」

 

「惑星破壊神とは大層な二つ名だな……!」

 

「だが如何なる相手だろうと不屈の闘志を持って立ち向かえば起死回生の一手を見出す事が出来る!不退転!それが我が流儀!!」

 

 

 グルンガスト参式は斬艦刀を仕舞い、機体に備えられていた武装を使用する。

 町中である以上、あのサイズの武器をホイホイ振り回すわけにもいかない上、ゼンガーとの打ち合いによってグルンガスト参式の武装を理解出来ていた杏寿郎はそちらを使う事にしたのである。

 背部のドリル・アタッカーを両手に装着・始動させ、サタンデロスへと構えるグルンガスト参式。

 

 

「貫け!ドリル・ブーストナックル!!」

 

 

 高速回転するドリルを装着されたブーストナックルがサタンデロスへと迫る。

 

 しかし……

 

 

ガキィィィン!!

 

 

「なんと!?弾かれた!!」

 

(今、奴の周囲にバリアのようなものが張られたが……ただの攻撃ならともかくドリルという強烈な貫通力を持つものを高速で打ち出したにも関わらず全く破れる気配が無い。対物理バリアかもしれん、試しにビームを撃ってみるか)

 

 

 C.C.はそう考えてプラズマ・ビームを放ってみるが、やはりバリアによって無効化された。

 

 

「対物・対エネルギーなどの分類なし……完全なバリア・フィールドか。一番厄介なタイプだ」

 

「C.C.殿!あの時の胸から発射する光線は使えるか!?こちらにも同質の武器がある!一点集中の同時照射ならばあの防御膜を破れるやもしれん!」

 

「そちらも試してみる価値はあるか……いいだろう、タイミングを間違えるなよ……!」

 

「承知した!やるぞ、頑治郎!!」

 

 

 ゆっくりと迫るサタンデロスに対し、コンパチブルガリバーとグルンガスト参式は共に胸部へとエネルギーを集束し、同時解放する。

 

 

「ガリバーバースト、照射!」

 

「オメガ・ブラスター、発射!!」

 

 

 二つの閃光がサタンデロスへと伸び――

 

 

「――」

 

 

バシュウゥゥゥゥ……

 

 

 またも防がれた。

 

 

「よもやよもやだ!これでも破れぬとは!!」

 

「いや……破れてはいるらしい」

 

「何っ!?」

 

 

 杏寿郎はC.C.の言葉でもう一度サタンデロスを見ると、僅かだがバリアが破られているもののすぐに元通りになってしまう。

 

 

「あの修復速度……まるで十二鬼月上弦の再生速度だ!」

 

「ちっ……!破れた端から修復か!だがあれだけの高密度・高速修復となれば膨大なエネルギー消費が発生するはず……」

 

「言い忘れていたが、サタンデロスは当初その防御機構のおかげで1時間活動後に23時間、エネルギー充填の為にバリア以外の機能を停止するインターバルが発生していた。そこを改修され、問題点は克服……つまり君達がサタンデロスを打ち破るには文字通りどうにかしてバリアを抜き、本体を破壊する他無い。出来なければその高密度のバリアという強固な盾に守られながらサタンデロスはこの町のみならずこの世界を破壊し尽くすだろう」

 

 

 アサキムはシュロウガの中でほくそ笑みながらC.C.と杏寿郎にそう告げた。

 コックピットからシュロウガを睨む二人だがシュロウガはというと、再び斬りかかってきたサイバスターへの対戦に戻る。

 先程の会話の最中に復帰したようだ。

 

 

「二人で駄目なら私も一緒に戦えばいいだけです!」

 

「今の君とサイバスターが加わったところで状況が良くなるとでも?満足に武装も使えず、その機体の真の力がどういうものかさえ理解していない君が!」

 

 

 シュロウガはサイバスターを吹き飛ばし、機体の両肩と両足の付け根部分を紫色に発光させ――

 

 

「黒き獄鳥……トラジック・ジェノサイダー!」

 

 

 そこから黒色の小さな鳥のようなモノを複数射出させる。

 それは縦横無尽に飛び回り、サイバスターを全方位から斬り……いや、削り裂いていく。

 

 

「く……うぅぅぅッ!!」

 

「どうだい?微かな希望が音を立てて崩れ落ち!瓦礫となり!そして塵芥となって風化していく感覚は!!」

 

 

 あまりに一方的な蹂躙。

 機体のコンセプトが似ているのかもしれないが、それ故に搭乗者の能力がモロに出ている。

 サイバスターとシュロウガ、双方の性能差以前の問題なのだ。

 トドメと言わんばかりの重い一撃を受け、またもサイバスターは地面を破壊しながら吹き飛び、仰向けの状態で横たわる。

 

 

「う……あぐ……っ……」

 

「……まさかここまで手応えがないとはね。期待外れだったよ」

 

 

 

 

 ダイブハンガーでは一人の少女が格納庫へ向けて走っていた。

 

 

(怒られるかもしれない。でも……)

 

 

 少女に迷いなど無い。

 大切な家族の為に――

 

 

「どこに行くのかな?クーちゃん」

 

「束様……」

 

 

 その少女……クロエの前にはいつも通り笑顔な束が待っていたとばかりに手を後ろで組んで立っていた。

 

 

「ふっふーん。何で分かったんだって感じだね、クーちゃん。束さんはレジェくんとクーちゃん限定で何でも分かってしまうのだ!ねぇねぇ凄いでしょ!?」

 

 

 えっへん!と胸を張る束。

 対するクロエはバツの悪い表情になっている。

 そんな彼女を見た束は表情こそ普段と変わらないが、至極真面目な声色で話しかけた。

 

 

「行きたいんでしょ?ろせちゃんやしーちゃん、きょーくんの所へ」

 

「……はい」

 

「クーちゃんが凄い技量持ってて凄く良い子なのも知ってるよ。でもクーちゃん一人加わってもあの黒いの二体に抵抗出来るとは思えない。あれらに対してろせちゃんは殆ど戦力になってないしね。それでもダメ元で行ってみる?サイバスターを捨ててでも、ろせちゃんを脱出させて逃がす方がいいと束さんは思うんだけどなー」

 

 

 確かにそうだろう。

 正直サイバスターを失うのはかなり痛手だが、ロスヴァイセを失った時のレジェンド一家を考慮したら断然彼女の命が最優先だ。

 だが、クロエの答えは違った。

 

 

「ロスヴァイセ様は大切です。でも、同じくらいサイバスターも私には大切です」

 

「ん?どうして?」

 

「束様が作った機体ですから」

 

「へ?それだけ?」

 

「はい。私には十分過ぎる理由です」

 

 

 ハッキリ言い切ったクロエに、束は目をぱちくりさせたあとにっこり笑う。

 

 

「よろしい!」

 

「え……?」

 

「クーちゃんも知ってると思うけど……私さ、たとえ世間的に優秀だったり有名だったりしても興味ない奴らの事なんか何がしたいか、何をしようとしてるのかわかったってどうでもいいし、他の事考えるのに邪魔だからすぽーん!って頭の中から放り出しちゃうんだ」

 

 

 右へ左へとウロウロしつつ、束は続ける。

 

 

「けど逆に興味の対象の子の事はギュンギュン頭に入ってくるんだー!クーちゃんはさ、いつも私やレジェくんの事第一に考えてくれてるけど……もっと自分にワガママでいいんだよ。クーちゃんに恩を感じてほしくて助けたわけじゃないよ、私もレジェくんも。ただ私とレジェくんがそうしたかっただけ」

 

「束様……」

 

「だからそんな私達の娘のクーちゃんもしたい事すればいいのさ!たまには遠慮せずおねだりしてくれた方が親としては嬉しいんだよー」

 

 

 ねっ?と笑顔で掌を合わせつつ子首を傾げる束は親というより甘えん坊の姉である。

 

 篠ノ之束……彼女、生まれた世界では実妹には甘えてもらえず友人には割とぞんざいな扱いだった。

 おまけに宇宙進出を見据えて開発したISはその戦闘力しか見てもらえないし、巫山戯たデモンストレーションを強制され、本気で世界に絶望していたところに奇跡的にレジェンドと出会い、道を踏み外す直前に軌道修正出来たのだ。

 それからクロエを救出してさっさとその世界に見切りをつけてレジェンドに付いてきたのだが、今まで束が関わった者達に比べてクロエは『良い子過ぎた』。

 言われた事は絶対守るし、何かと世話を焼くが絶妙な匙加減で焼き過ぎはしない。

 束の手の行き届かないところを率先して手伝い、忙しいレジェンドを気遣う。

 勿論自分の事は二の次三の次で。

 あまりに従順すぎて逆にレジェンドと束が心配してしまう程だった。

 

 そんな彼女が言った先の言葉の真意を束は読んでいた。

 『ロスヴァイセやサイバスターだけでなくC.C.や杏寿郎、そして彼らが駆る機体も助けたい』という彼女の思いを。

 

 

「おいでクーちゃん。レジェくんがクーちゃんにプレゼントしてくれたあの機体、持って来てるから」

 

「……!?あ、あれはドラガイトにある別荘に……!」

 

「クーちゃんってば『レジェンド様から送られたものだから何かあるといけない』と思って置いてくるんじゃないかと考えたから先回りして確認しに行ったらやっぱりだったよ〜。いや凄いよねこの子。私達の元の世界だったら戦力や権力欲しさに低俗な馬鹿共が群がる事間違いなし。まーそんな事したら私もレジェくんも黙ってないけどさ」

 

 

 束はるんるんとスキップしながら格納庫の隠しハンガーを稼働させる。

 そこにあったのは父親(レジェンド)から送られ、母親()に調整してもらった彼女の愛機。

 

 

「クーちゃん」

 

「……はい」

 

「いってらっしゃい。気をつけるんだよ?」

 

「……はいっ!行って参ります!」

 

 

 母に見送られ、父から受け取った力をその手に少女は戦場へと向かう。

 

 彼女自身が願ったもののために。

 

 

 

 

 仮住居周辺におけるアマツミツツカとの戦いは大詰めを迎えていたが、サイバスターがシュロウガに圧倒され地上へと叩き落されるのを目の当たりにして動揺しているスキに、アマツミツツカがタマハミ状態へと移行してしまい、駒王とその周辺の空が瘴気の影響で禍々しく変化する。

 

 

「うきゃあああああ!?何何何!?」

 

「胡蝶……これは何だ!?」

 

「落ち着いて下さい、甘露寺さんに伊黒さん。これはタマハミといってこちら側の『鬼』が魂の力を暴走させて強化されている状態です」

 

「でも巌勝さんの話によると、同時に鬼が限界に近い事を示しているという事らしいわ。加えてマガツヒ時同様にどこの部位を狙っても傷つけられるから、とどのつまりあと少しなので頑張りましょうってこと!」

 

「そういえば、あの時の鳥型の鬼や人型の鬼は大きく戦闘スタイルが変わりましたけど、あの鬼は然程変化ありませんわね」

 

「師範や狛治さんがいればもう少し詳しく分かったのかもしれないが……」

 

「倒してしまえば一緒です」

 

「パムー!」

 

「だね☆」

 

「「「「「そこ凄く物騒!!」」」」」

 

 

 小猫と、それに賛同してるパム治郎とセラフォルーに総ツッコミが入る。

 それと同時に再び束から通信が入った。

 

 

『あーあーこちら束さんこちら束さん、聞こえてたら誰でもいいからお返事ちょーだい!』

 

「聞こえてるよ束ちゃん☆」

 

『あ!はろはろーセラちゃん!そっちどう?』

 

「なんかね、鬼がタマハミって状態になった☆」

 

『ほうほう、ならもうちょいだね』

 

 

 道端でばったり会った友人同士の会話のようなやりとりだが次の瞬間、束から衝撃的な事が伝えられる。

 

 

『黒くてデカいバリア付きはともかく、ろせちゃんは大丈夫だよ。クーちゃんが何とかするから』

 

「クーちゃん……クロエちゃん?もしかしてラピエサージュ出るの!?」

 

『違うよん♪』

 

「違うんですか?確か彼女はその機体でシミュレーターにおいて好成績を……」

 

『あれはあくまでシミュレーターでクーちゃんが引き当てた機体なだけ。本当のあの子の機体はレジェくんお手製の超高性能機だから』

 

「「「「!?」」」」

 

 

 レジェンドお手製、という部分に朱乃、カナエ、しのぶ、そしてセラフォルーが反応するが、その時いよいよシュロウガが動いた。

 ディスキャリバーを構え、未だ仰向けに倒れたままのサイバスター目掛けて突撃し――

 

 横から紫色の超エネルギーを受けて吹き飛ばされる。

 

 

「「「「「!!」」」」」

 

『さ、初お披露目だよ。クーちゃんの専用機』

 

 

 そしてそのエネルギーを発射したと思しき機体が、猛スピードでシュロウガの前に立ち塞がった。

 

 

 

 

 

「今のは……君がやったのか」

 

「はい。ロスヴァイセ様もサイバスターもやらせません。私とこのガリルナガンが貴方のお相手を務めさせて頂きます」

 

「ほう……どうやら彼女より君の方が面白そうだ。彼女のように僕を失望させないでくれよ?」

 

「面白いかどうかは分かりません。ただ一言だけ」

 

「ん?」

 

 

 

 

 

「御覚悟を」

 

 

 直後、クロエの機体――ガリルナガンの一撃がシュロウガに直撃した。

 

 

 

 

 

 クロエの駆る黒き機体・ガリルナガン。

 便宜上はハイ・パーソナルトルーパーに分類されているが、実際は全くの別物。

 トロニウム・レヴという特殊な動力源を始めとするオーバーテクノロジーを凝縮した、彼女の専用機である。

 遠近両用武器バスタックス・ガンや、背部のアクティブ・ウイング・ユニットなど外見でも目を引くが、特筆すべきは本機を扱うクロエの技量であった。

 

 

「先制攻撃とはやってくれる……!?」

 

「アクティブ・ウイング・ユニット、パージ。ユニット連結……トライ・スラッシャー!」

 

「迎え撃て、トラジック・ジェノサイダー!」

 

 

 二つの戦輪と複数の黒き獄鳥がぶつかり合うも互角であり、ジェノサイダーは消失しスラッシャーはガリルナガンの元へ戻り再びウイングにドッキングする。

 二機はそれぞれの得物を手に急接近し、先に続いてガリルナガンの持つバスタックス・ガンの斧部であるバスター・アックスとシュロウガの持つディスキャリバーが空中で打ち合いとなり、そのまま鍔迫り合い状態になる。

 約22mのガリルナガンに対してシュロウガは約30m、約1.5倍の大きさだが得物に関してはバスタックス・ガンの方が大きく重量もある。

 ガリルナガンは出力を上げてシュロウガを突き飛ばし追撃しようとするも相手もそうやすやすとやられはしない。

 お互いに超高速機動を繰り返しながら斬り結び、ガリルナガンのバスタックス・ガンの重金属粒子砲とシュロウガのラスター・エッジが幾度となく飛び交う。

 

 幾度も激突する『黒』と『黒』。

 まさに一進一退の攻防戦が展開されている。

 

 

 

 

 

 その光景を目にした人々は、今までアニメや漫画などでしか見る事がなかった巨大ロボット同士の激しい戦闘に興奮気味だが、忘れてはならない。

 サタンデロスは未だコンパチブルガリバーとグルンガスト参式相手に優位に立ち、進行を止めていないのだ。

 

 

「クロニクル少女……!グラハム教官殿も言っていたが凄まじい技量だ!」

 

「まあ、レジェンドと束(あいつら)が事あるごとに自慢するからな。だが、おかげでコイツに集中出来る」

 

「うむ!クロニクル少女の頑張りに応えねば!さてどうしよう!?」

 

「先程見たところ、バリアはあの胸部の発生装置を破壊すればどうにかなりそうだが……あの面倒なバリアを破った上であれを破壊する必要があるわけだ。手間がかかるどころのレベルではないな」

 

 

 サイバスターの方は一先ずどうにかなったが、それでも状況が好転したとは言い難い。

 グレイフィアから送られてきた情報によるとレジェンド達も遂にゴーデスとの最終決戦が始まったそうだ。

 向こう側から戦力を回してもらうわけにはいかないし、自分達だけでこのサタンデロスを対処しなければならない。

 

 

「全く……本当に割に合わない仕事だよ」

 

 

 そうボヤくC.C.だったが、彼女はまだ諦めていない。

 想い人が、家族が必死に戦っているのだから。

 

 

 

 

 

 ロスヴァイセはサイバスターのコックピットでガリルナガンとシュロウガの激闘を眺めていた。

 

 

「すごい……」

 

 

 機体のサイズ差を覆すパワーや、シュロウガに負けない機動性を有するガリルナガン、そしてそれを制御し使いこなすクロエに対しロスヴァイセは尊敬の眼差しを向ける。

 

 同時に、自分の無力さに腹が立った。

 

 同じく機動兵器での戦いに初陣の杏寿郎はギャラクトロンを一刀両断し、今もサタンデロスを食い止めている。

 しかも通信を聞いた限りではグルンガスト参式の武装の使い方も全く知らない、文字通り初めて乗った状態でだ。

 

 だというのに自分は連携前提とはいえレジェンドの指導まで受けてこの体たらく。

 

 

「私……不甲斐なさすぎですよね」

 

 

 目に涙を溜め、唇を噛むロスヴァイセ。

 今、この瞬間ほど力が欲しいと思った事は無い。

 

 その願いは風と共に流れ――

 

 

 

――私の声が、聞こえますか――

 

 

 

〈続く〉




クロエちゃん、まさかのガリルナガンで参戦。
アーマラとクロエって色々共通点あるなーとか考えてたらこうなりました。

そして弱点が『バリア機能は装置破壊で無効化出来る』くらいしかなくなった最悪のサタンデロス。
停止している時間が無いため動き回るコイツを食い止めつつバリアを抜いて装置を破壊しなければならないというEXハード真っ青の難易度。

最後にロスヴァイセ先生とサイバスターファンの方、ご安心下さい。
彼女らにはこの後、最大の見せ場を用意していますので。


それではまた次回。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
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