ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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お待たせしました。
前回が今年最後の投稿になるかと思ったんですが、土壇場で完成しましたので今回がホントに今年最後の投稿になります。

真面目さも程々に、ほのぼのと、しかし一部ギャグに突っ走って今年最後のお話とさせて頂きます。


それでは本編をどうぞ。


約束の空へ〜七番目の恐怖〜

 レイヴェルがダイブハンガーへ来た翌日。

 いよいよ異世界への修行の旅へ出発する日がやってきた。

 

 既にメンバーは荷物をまとめてクロガネに乗艦を始めており、見送りに来た者達も大勢いる。

 ダンブルドアもダイブハンガー全域にハウスキーピングの魔法をかけるべく、わざわざ惑星レジェンドから出向いてくれていた。

 

 

「レジェンド様、ご武運を」

 

「ああ。しかしすまんな、面倒をかけて」

 

「いやいや……こういう平和な魔法の方が使っていて気が楽ですからな」

 

 

 二人がそんな会話をしている時、傍でソワソワしていたゼットにある人物が声をかける。

 

 

「やあゼット、久しぶりだな」

 

「へ?あ……貴方はっ!アムロ師匠!!お久しぶりでございます!!」

 

 

 相変わらず礼の角度が見事なゼットに苦笑するアムロと、彼の名が呼ばれたことで多くの者が反応し驚愕の表情を向けた。

 

 

「うお!?マジでアムロ教官じゃねーか!!」

 

「俺らを見送りにこっちまで来てくれたのか!」

 

「それよかゼットさん普通に名前呼ばれてたぞ!?」

 

「バッカおめー当然だろ!俺らがシミュレーターで四苦八苦してやっとこさ倒した相手を性能差ある機体で撃破したエースパイロットだぜ!まだ機体ねーけど」

 

「そういや束の姐さんやバコさんが教官と組んでゼットさんの専用機開発するとか昨日言ってたぞ!」

 

「おいおいおいソレハイスペック間違いねーわ。漸くかって感じだけどな、今まで専用機無かったのがおかしいくらいだし」

 

 

 鉄華団のメンバーが騒ぎ立てるのも気にせず、二人は気楽に話す。

 

 

「先程束から君の専用機のスケッチを見せてもらったよ。あれは大したものだ。ちょっと前まで全くMSに関わっていないとは思えないクオリティだった」

 

「今の俺の持ちうる知識と情熱を全て叩きつけました!ホントなら装甲材質とか出力とかも細かく決めたかったんですけど、俺頭あんまり良くなくて……」

 

「そこは開発しながら突き詰めていくから心配ないさ。君だけでなく俺達が望む最高の機体を完成させるから、楽しみに待っていてくれ。そして、シミュレーターの記録で君が見せた優しさを忘れないでくれ」

 

 

 優しさを忘れないでくれ――ゼットが六兄弟の中でも飛び抜けて尊敬しているエースがかつて言ったのと同じ言葉を聞き、ゼットの胸に熱い何かが込み上げてくる。

 エースはAと表記されることもあり、アムロのエンブレムもまた赤いAと一角獣が合わさったものであるという似通ったところがあることもまた数奇なものだ。

 

 

「はい!」

 

「良い返事だ。出発までまだ時間はあるようだし、少しばかり俺が見てあげようと思うんだがどうだろう?レジェンド様から許可は貰っているし」

 

「是非ご教授お願いします!」

 

 

 まさかのアムロ直々の教導申し出に辺りがざわめき、こういう時だけ地獄耳を発揮するレイト他パイロット勢が一気に押しかけてきた。

 

 

「なあ!俺も相手してもらっていいか!?」

 

「ちょっとレイト!私だって白音と旦那様にいいトコ見せたいにゃ!」

 

「黒歌じゃまだ瞬殺されそうなんだけど。アムロさん、俺にもリベンジさせてよ」

 

「私も久々にお手合わせして頂きたく」

 

 

 レイトに加えて黒歌や三日月、巌勝といった面々が次々に声をかけてきてアムロは苦笑するも、ゼットを一通り指導してからということで落ち着く。

 

 そしてその結果――

 

 

「ありがとうございました!EX-Zガンダムでは肉弾戦も積極的に仕掛けたかったので凄く参考になりましたアムロ師匠!」

 

「反応速度は悪くないし、咄嗟の閃きもいい。あとは機体性能が高くなれば余裕が出来て周囲を今以上によく見れるようになるはずだ。落ち着いて自機だけでなく戦場全体の状況を把握することを常に意識するんだぞ」

 

「了解であります!」

 

 

 褒められると同時にアドバイスも受け敬礼で応えるゼットに対して、三日月と巌勝はまだしもレイトと黒歌は真っ白な状態になっていた。

 

 

「ヤベーってアレ……開始十秒で武装全壊、そこからさらに十秒で撃墜って何なんだよ……」

 

「こっちなんて玄武剛弾を容赦無く粉砕されてコックピットに集中砲火食らったにゃ……」

 

「巌勝さん、フィン・ファンネルどれくらい落とせた?俺五つ」

 

「私は四つだ。やはり私のみならず教官殿もまた操縦技術は今なお上がっているようだな」

 

 

 案の定レイトと黒歌はボコボコだった。

 三日月と巌勝は以前よりフィン・ファンネルが落とせなくなっていたのは予想範囲内らしく更に精進する事を決める。

 

 

「どうしたゼロ。変身してるわけじゃねえのに何でヘバッてんだ?」

 

「ヘバッてんだって……その声は」

 

「父さん!」

 

 

 レイトに声をかけた人物の姿を遠目で見たリクがギャスパーの手を引きながら走ってくる。

 黒のロングコートに薄い水色のセミロングヘア、そして右目に縦一線の傷を持った男性。

 某満足町の町長がより筋肉質になったようなその人物はかの銀河遊撃隊総司令官、ウルトラマンベリアルであった。

 

 

「「「「「ベリアル総司令!?」」」」」

 

「おう、元気そうだなお前ら」

 

 

 そんなベリアルの隣にはウルトラマンギンガこと礼堂ヒカルも立っていた。

 

 

「よっ!皆久しぶり!」

 

「ヒカルさん!」

 

「「「「ギンガ先輩!?」」」」

 

「留守番役のギンガを連れてくるついでに見送りに来たぜ。あともう一人、ガーディアンベースを出て宇宙で合流した奴がいる。ソイツが宇宙警備隊側の留守番組だ」

 

「お、そうなのか。一体誰……!?」

 

 

 ベリアルがそう言ってレイトが興味津々になった時、その人物は現れレイトと、加えてゲンまで固まる。

 

 

 

 

 

「俺がその留守番組だ。俺が見ていないからと怠けるなよ?ゼロ、そしてレオもな」

 

 

 

 

 

「親父ィィィィィ!?」

 

「隊長ォォォォォ!?」

 

「セブン大大師匠ォォォォォ!?」

 

「「「「「えええええ!?」」」」」

 

 

 かつてシトリー家で世話になった事もある伝説のウルトラ六兄弟の三番目にしてレオの師でありゼロの父親、ウルトラセブンことモロボシダンが、MACの隊長だった頃の姿で現れた。

 

 

「セブンおじ様ー!」

 

「おお、セラフォルーさんか。俺とチーフの記録は気に入ってくれたかな?」

 

「うん☆私は悪魔だから特に夜が舞台のお話を毎回ワクワクしながら見たよ☆」

 

「俺達は毎回気が気じゃなかったが、そう言われると苦労も報われた気になるものだ。そうでしょう、チーフ?」

 

「まあそうだな。二人揃ってシャドウマンに小さくされてお前はコップで蓋されて、俺はロッカーに閉じ込められたのとか懐かしい思い出だよなぁ」

 

「あとマックス号をゴドラ星人に占拠されて宇宙空間へ運ばれた時も二人で救出に行きましたね。あの時、よくよく考えてみれば殆ど生身で宇宙遊泳状態だったフルハシ隊員やソガ隊員、タケナカ参謀はさすがウルトラ警備隊と地球防衛軍だと感心しましたよ」

 

 

 わりかしとんでもないエピソードを笑いながら話す二人だが、聞いている側としては冷や汗しか出ない。

 レジェンドが、この世界に建造したウルトラ警備隊秘密基地がハンターズギルドになっていることを教えると、あとで訪問してみると答えるダン。

 

 

「いや、親父やレジェンドのヤベー過去話はいいけどよ……どういう経緯で親父に決まったんだ?」

 

「ん?どういうって

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 力づくに決まってるだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やはり武闘派であった。

 というか隊長のゾフィーやあの半ば暴走状態のタロウとかに勝ったのかウルトラ警備隊七番目の男は。

 

 

「伊達に狡猾な宇宙人とやり合ってはいないからな。心理戦もお手の物さ」

 

「マンとエースは?」

 

「二人とは戦ってませんよ。連絡を取り合って予定合わせをしたあとにちょっと顔を出すと言ってましたので」

 

「ジャックはどうした?」

 

「ああ、ジャックはですね。アザゼルに釘刺しとくことを条件に譲ってもらいました」

 

「!?」

 

 

 アザゼルがかつてプール開きの時にヴァーリがなった顔……即ちエ○ル顔でショックを受けていた。

 それを間近で見てしまった束、セラフォルー、ガブリエルが吹き出してしまう。

 

 

「ぷっ……!セブンおじ様ナイス発言☆」

 

「私の胸を揉もうとした事もありましたよね〜」

 

「え、マジで?レジェくーん、ちょっとソイツ束さんのアストラナガンで虚空の彼方に消し去っていい?」

 

「「アストラナガン?」」

 

「束さんの愛機だよー。レジェくんに作ってもらったやつでね、クーちゃんのガリルナガンはそれを元に作ったんだって。だからレジェくんのネオ・グランゾンと束さんのアストラナガンはクーちゃんのガリルナガンのお父さんとお母さんなのだ!」

 

「それより謝るしもうやろうとも思わないんで虚空の彼方に消し去るのは御勘弁頂けませんかね!?」

 

 

 アザゼルが懇願する傍ら、黒歌が「アストラナガン?」とクエスチョンマークを飛ばしている。

 余談だが、彼女はスパロボOGs〜第2次スパロボOGの知識しかない事を書き記しておく。

 ……レジェンドのネオ・グランゾン、ガリルナガンより完成は後じゃなかったか?

 

 それはともかく、セブンが同時にレジェンドからライザー眷属のコーチを頼まれていた事も聞かされ、彼女らはさらに驚く……が、約四名は違う反応だった。

 

 

「えー!ミライお兄ちゃんがいい!」

 

「お姉ちゃんと同じくー!」

 

「ミライお兄ちゃん優しいしー」

 

「ご飯美味しいしー」

 

「あはは……。ニィちゃんにリィちゃん、それにイルちゃんとネルちゃんもそう言わないで。セブン兄さん、特訓は厳しいけどちゃんと結果がついてくるから」

 

「「「「やだー!!」」」」

 

 

 ほぼ一日で双子組に懐かれてしまったヒビノミライことウルトラマンメビウス。

 その様子にミラを始め他のライザー眷属は顔を引きつらせている。

 

 

「何だ何だ光の国同様こっちでも人気者じゃねえかメビウス。タロウの奴も教え子がここまで愛されキャラになって鼻が高いだろうよ」

 

「からかわないでくださいよベリアル総司令」

 

 

 和やかな雰囲気であるが、その後デモンストレーション代わりに見せたセブン流スパルタ修行はかの鬼師範巌勝すら絶句させた。

 

 

 

 

 

「やめて下さい隊長!死んでしまいます!今回は本気でェェェ!!」

 

「そうだぜ親父!俺達の戦いはこれからだって言った直後に終わる漫画宜しくエンディングまでストレェェェト!!」

 

「修行なのコレ!?修行なのかコレェェェ!?」

 

『スパルタとかそんな次元じゃねーよ!!』

 

「セブンさん!鬼畜なコーチ心に負けないで下さい!」

 

「タイガ!何かそのセリフは早い気がするぞ!」

 

「セリフじゃなくて動き早くしねーと負けるぞ!主に生死の境の競り合いにィィィ!!」

 

 

 あのゲンすらもガチで逃走するほどの恐怖。

 何故ならそれは……

 

 

「甘いぞお前達!!相手が遥かに巨大などよくあること、そんなものは対処出来て当然だ!!チーフの戦いを思い出せ!!」

 

「「「「「比べる相手が間違ってるんですがァァァ!?」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カスタムされたガンタンクに搭乗したダンに超高速で追い回されているからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いやガンタンクの出せる速度じゃねーべ。

 しかもドリフトや急旋回・急制動・急発進するという、真ゲッターもビックリな挙動に竜馬も唖然。

 ちなみに作ったのはあろうことかイナバ・コジローであった。

 

 

「ありゃガンタンクじゃなくてガンゲッターじゃねえかよ」

 

「火力も半端ないよね、あれ」

 

「あ、レイト君が空を舞いましたね」

 

 

 竜馬と三日月、しのぶはもはや他人事と決め込んで達観することにした。

 生身とはいえ遊撃隊隊長さえ簡単に吹っ飛ぶ修行場には絶対混ざりたくない。

 

 

「先輩ィィィィィ!?」

 

「くそっ!こうなったら意地でもぶっ壊してやる!」

 

「漸くやる気になったか!だが遅い!!」

 

 

 そう言うとダンはある戦法を取る。

 

 

「レッグスマッシャー、発射!!」

 

「皆!何かが発射され……」

 

「「「「『え?』」」」」

 

 

 なんと、ガンタンクの上半身が分離し、何基ものロケットブースターを展開したガンタンクの下半身=キャタピラが先程とは比べ物にならない速度で突撃してきたのである。

 

 

「「「「『ぎゃあああああ!』」」」」

 

 

ドオォォォォォン!!

 

 

「イッセェェェェェ!?」

 

「タイガさぁぁぁん!?」

 

「タイタスゥゥゥ!?」

 

「フーマさんんんん!?」

 

 

 割と冗談抜きで死んだんじゃないのかアレ。

 しかもガンタンクの方はまともに動けなくなるどころかジオングよろしくコアファイターのブースター部分を器用に使い空中戦を展開……下手なMAより強いぞこいつ。

 

 

「くっ!残りは俺だけか!だがお前達の師として俺は隊長に勝ってみせるぞ!!ダァァァッ!!」

 

 

 ゲンは地上からガンタンク目掛けて遥か高く飛ぶ!

 しかし!

 

 

ガ コ ン

 

 

「ムッ!?……は?」

 

「誰が俺自身は武装していないと言った」

 

 

 ガンタンクの頭部ハッチを開いて現れたのはフルアーマーユニコーンばりに超武装しまくったダン

 一瞬で血の気が引いたゲンだったが、直後に集中砲火を浴びて落下。

 

 ……ゲンまでまさかの敗退。

 

 奇策に次ぐ奇策でゲンを含むレイトや一誠、トライスクワッドまで全滅させてしまったダンにライザー眷属はガタガタと震え出した。

 

 

「俺にとって訓練・特訓・修行はそれぞれ別の意味を持つ。訓練とは日々こなす、いわばジョギング。特訓とは己の新たな領域を広げるために行うもの。そして修行は己を死と隣り合わせの状況に置き、己の限界を超えるために行うものと俺は考えている。よってライザー・フェニックスの眷属には修行を行ってもらう!覚悟しておくように!!」

 

「「「「やだぁぁぁぁぁ!!」」」」

 

 

 ミライに引っ付き本気で泣き出してしまうニィとリィ、イルとネルの姉妹二組。

 さっきの光景を見ればそういう反応してもしょうがない。

 

 

「俺による修行を恐れているようではチーフが連れて行く彼らに勝とうなど100万年早い!ありとあらゆる事態を想定して考えうるかぎりの地獄に突き落とすチーフの本気の修行を体感するであろう彼らを超える気があるなら四の五の言わず壁を乗り越えろ!!」

 

「「「「「…………ゑ?」」」」」

 

 

 ダンの一言にわ行の発音が出てしまうオカ研メンバー他異世界修行組。

 ついでにベリアルは遠い目をし、レイトは両手両膝をついて涙する異常事態に。

 

 

「なあ……お前ら知ってるか?強制的にウルトラマンからこの姿にされた挙げ句、ヤベェ怪獣蔓延る星で約一年サバイバルさせられるとな、視えないはずのモンが色々視えてくるんだよ」

 

「俺は……生き残った……!生き残れたんだよ!親父と和解出来たと思ったらあんな……あんな、トコに……行かされたけど……!あああああ!!」

 

 

 何この状況。

 光の国最強戦力に数えられる二人がこんな状態になるって何したのと思いつつ、リクやギャスパーに呼びかけられるベリアルや、ゲンと一誠、加えてトライスクワッドの三人に本気で背中擦られながら未だ泣き止まぬレイトを見てリアスはこう思った。

 

 

(壁を乗り越える前に死にませんように……!)

 

 

 彼女のみならず、ほぼ全員同じ思いである。

 

 そんな彼らもそろそろ乗艦し、いよいよ出発というときに最後の見送り客にしてライバルとも言うべき者が姿を現した。

 

 

「お互い、一応出立前に顔見せは出来たようだな」

 

「「「「「悪魔将軍(さん)!?」」」」」

 

 

 無論、彼の傍らには――

 

 

「私もお師匠様とご一緒なのでーすよ」

 

「久しぶりだな、リアス。以前冥界で会った時より面構えがまるで違う」

 

「貴方……サイラオーグ!?何で悪魔将軍や芥子さんと一緒にいるのよ!?」

 

「それは当然、俺が将軍様の下で己を鍛えているからだ」

 

 

 まさかの従兄弟の登場に驚きを隠せなかったリアスだが、彼の境遇や性格を考えてすぐに納得する。

 彼女自身がレジェンドと悪魔将軍の闘いを間近で観たからこそ分かるのだ、魔力を使わず鍛えた力と技で光神に肉迫した悪魔将軍が彼の理想の体現だと。

 

 

「……!」

 

 

 そんな中、一誠はただ一人息を呑む。

 リアスと同年代ながら、今の自分より明らかな格上が放つその闘気を肌で感じている。

 

 

(戦闘態勢じゃないのにこの気迫……そこそこ自信はあったけどあの人は半端じゃねえ……!)

 

「将軍様は素晴らしい御方だ。俺は身の上の話をしたが『それがどうした』と一蹴され、俺の努力を肯定してくださった」

 

「フン……魔力の有無云々でお前を評価する連中の頭の中は腐ったモノしか入っていないと思ったにすぎん。真に評価しなければならないのは積み重ねられた鍛錬の結果、才能など二の次三の次だ。よく『才能の持ち腐れ』と言われるように才覚の高さ故それに溺れ、命を落とす者もそう珍しくはないのでな」

 

 

 悪魔将軍は真摯に努力を重ねた者を正しく評価する。

 落ちこぼれと言われ続けた彼にとって悪魔将軍から太鼓判を貰ったときは歓喜の涙を流した程であり、彼の下に集った眷属もまた彼同様今や悪魔将軍自慢の弟子達だ。

 ついでに、サイラオーグやその眷属は地獄における一番弟子の芥子を『先輩』『姐さん』と呼び慕っており、先日のチンピラ(ゼファードル)強制送還騒動においてボス以外を一匹で全滅させた彼女に尊敬の念を向けている。

 

 

「貴方も心から師と呼べる人が出来たのね」

 

「それに芥子先輩から呵責のやり方も学んでいる。『とりあえずタヌキは潰せ』と教えられた」

 

「「「「「それ思いっきり個人的なこと混じってません!?」」」」」

 

 

 確かに私怨全開だがサイラオーグや彼の眷属は信じて疑わない。

 鬼灯から彼女の過去話を聞かされて全員同意してしまったぐらいだし。

 

 

「お前達も旅立つと聞いたが、あっちは大丈夫なのか?正直あまりTV見ない俺としてはお前のとこの『激闘!魔闘地獄!!』がここ最近唯一楽しみな番組なんだぞ」

 

「我も見てる。この間のは凄かった」

 

 

 なお、オーフィスの言う『この間』の時の呵責対象はなんと童磨であった。

 どういうわけか無惨に続いて弾かれたこいつがこっち側の日本地獄にいると聞いてカナエとしのぶはぶった斬りに行こうとしたのだが、その直後レジェンドがつけたTVにて悪魔将軍の超人圧搾機が炸裂しているところを見て落ち着く……わけでもなく悪魔将軍に熱狂的なエールを送っていた。

 当の童磨は胡蝶姉妹がこちら側にいることを知らされて歓喜していたが、鬼の力が無くなった状態でしのぶでもカナエでもなく悪魔将軍に後ろから組み付かれ全身の骨を砕かれるという、しのぶにやった事をほぼそのまま返されて絶望したらしい。

 

 せめて可愛い女の子なら良かったのに。

 

 そう言った童磨はダブルニークラッシャーならぬダブルボールクラッシャーで股間を粉砕された上、地獄の断頭台を食らい首がすっ飛んだ。

 そして悪魔将軍トドメの一言。

 

 

「生憎貴様の想っている娘達はどちらもレジェンドにお熱のようだがな」

 

 

 その瞬間、すっ飛んだ童磨の頭が浮かべた表情はこの世の終わりのような、それこそ地獄甲子園的な顔だったという。

 

 まあ、それはいいとして。

 

 

「心配せずともお前が広めた技術で、その日に必要なメンバーはいつでも戻れるようになっている。ファイト日程に狂いは無くただ普段は魔闘地獄にいないだけだ」

 

「じゃあお前とあの淫獣の激突(という名の一方的蹂躙)も見れるんだな。何せアーシア達をナンパしようとした不届き者だからド派手にシバくのを期待してるぞ」

 

 

 淫獣とは即ち白澤(はくたく)のことである。

 束や卯ノ花、果ては残る二人の九極天の片方とその傍らにいる三人(いずれも外見ロリ)にも手を出そうとしてレジェンドと鬼灯から容赦無い折檻を受け、今なお心象は最悪。

 神だろうと何だろうと関係ない悪魔将軍のファイトは見ていてスカッとするので僅か短期間で日本地獄の名物の一つになっている。

 

 

 

 

 

 そして全ての準備が完了し、出発する時刻を迎える一行。

 

 

「よし!乗りっぱぐれや忘れモンはないだろうな!?」

 

「「「「「うぃーッス!!」」」」」

 

「オルガも食べる?スルメとスポーツドリンク」

 

「おう。ありがとよ、ミカ。気の抜き過ぎはいかんだろうが張り過ぎも良くねえよな。つか美味ぇなこのスルメ」

 

 

 クロガネのブリッジでスルメを齧る鉄華団のトップ二人の図はえらくシュール……でもない。

 多分大体三日月の所為だろう。

 

 一方、女性用のシャワー室ではロスヴァイセがファミリアであるハクとフウのブラッシングをしており、猫ベースでありながら2匹とも暴れたりしない辺りお利口さんである。

 もっとも、ハクの方は性格的にのんびりし過ぎているぁけだろうが。

 

 

「くァァ〜……」

 

「ハク、もう少し我慢してて下さいね」

 

「ニャ」 

 

 

 目を瞑りジッとしているハクに対し、フウの方は何故かニアや蜜璃、カナエにブラッシングされている。

 

 

「動いちゃめっ!ですよ」

 

「大丈夫だから早くしてほしいニャ」

 

「じゃあちゃっちゃと済ませてドライヤーしてフカフカしましょ!ニアさん蜜璃ちゃん!」

 

「はい!」

 

 

 このあと、ハクとフウはかの有名なケツドライヤー猫と同じ目に合うのだった。

 ……ついでにパム治郎も。

 

 

「パァァァァ!?」

 

「ニャアァァァ!?」

 

「ニャ〜……」

 

 

 約一匹まるで効果が無いようなやつがいたが。

 

 多くの者に見守られつつ、クロガネはエリアル・ベースにて我夢と藤宮が待つ空の世界への時空転移を行う。

 

 しかし、彼らは知らなかった。

 

 

――この願いが届くなら……私の代わりにあの子達に、外の光を……空の蒼さを――

 

 

 たった一つの願いが、一人の光神と二人の少女を運命の出会いへと導く事を。

 

 

 

〈続く〉




ライザー眷属強化フラグ(ただし生き残れた場合に限る)。
真ゲッター並みのガンタンク作るバコさんの超技術やまさかの童磨、締めにケツドライヤー猫にケツドライヤームーキットとてんこ盛りでお送りしました。

ついでにシモンの嫁のニアが初登場し、束の専用機が判明。
作中で語られた九極天と三人のヒントは『DetonationではなくGOD』。
もうこれで大抵分かってしまうというか、束がセラフォルー共々やらかしてるし。

そんなこんなで今回を今年最後のお話としてお送りしました。
また来年もどうぞ宜しくお願いします。


それではまた次回。
皆様、良いお年をお迎えください。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
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