ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER 作:ハジケハムスター・ポッポ
何とか一話に収めようとしましたが、もう少しで終わるという時になって既に2万文字超えてるのに気付いたので、前後編に分けさせて頂きました。
今回は父・タロウのエピソードでもトラウマ回と名高いあの話をタイガが経験するハメになります。
「やっぱり父さんのせいだあ!!」
かいしんのいちげき!タロウは倒れた!!
……タロウのサブタイトルなのかコレ。
それでは本編をどうぞ。
――王都フェードラッへ――
オカルト研究部+αが事故により誤って転移して来てから三日目。
白竜騎士団団長のランスロットや副団長のヴェインがウルトラ騎空団に赴き見聞を広めてくるということで職務の引き継ぎをしている最中、メンバーの中で比較的レジェンドと付き合いの長いカナエやゼロガンダムから『書類仕事であれば、転送用の装置を設置することで騎空団にいても職務をこなせる』と言われ思いもよらぬ形で引き継ぎ量が減り時間が出来た彼らは見回りを行っていた。
「お、ランちゃんあそこ!裕斗やゼノヴィア、イリナも混じって団員がゼロガンダムから稽古つけてもらってるぜ」
「ああ、三人とも大したものだ。それにゼロガンダム……とんでもない腕前だな。少なくともジークフリートさんと同等……もしかしたらそれ以上かもしれない。一体どんな激戦をくぐり抜けてきたんだ?」
「いいか!相手を見てくれだけで判断するな!戦場では相手を侮った瞬間に命を落とすことも少なくはない。用心することを臆病などと言う奴がいたら勝手に言わせておけ。そういう奴はいざという時バカを見る。戦場では常に『大丈夫だろう』ではなく『何かあるかもしれない』という心構えで望め!」
「「「「「はいっ!!」」」」」
「よし、まずはイリナ!俺に遠慮なく打ち込んでこい!」
「胸をお借りします、先生!」
割とマイペースと言われていたゼロガンダムだが、いざ真剣に指導するとなればさすがスペリオルドラゴン直属の初代シャッフル騎士団の一人というべきか、経験に裏付けされた力強い指示が出る。
体格差を物ともせずかの三人を含めて全員相手にして軽く捌き、息を切らせてもいないゼロガンダムはやはり凄腕の騎士だ。
次に見かけたのは……
「お前らにやったんじゃねーのに何でそんなにキレてんだよぉぉぉ!?」
「当然でしょう!!貴方のやったセクハラが原因で私達オカルト研究部や矢的先生、レイヴェルにゼロガンダムさんやロスヴァイセさん、ついでにハクやフウまで信頼されなくなったらどうする気なのよ!!」
「うふふ……ふふふふふ……」
「あらあら、カナエってばここぞとばかりに日輪刀を振るってますわね。堕天使のトップが代わるのも時間の問題かしら」
「お前らや矢的、あと三人はともかくとして俺の評価は猫以下か!?」
「あの子達は凄く良い子なのよ!セクハラする強制顧問(恥)と一緒にしないで頂戴!朱乃!カナエ!この機会にハリベル姉様から教わった
「では私は最近卯ノ花先生から教わったばかりの破道の八十八『飛竜撃賊震天雷炮』を撃ってみようかしら」
「朝まで舞おう、日の呼吸拾参ノ型……うふふふふ……」
どうやらアザゼルが何かやらかしたらしく、オカ研最強女子軍団に追い回されていた。
次に言われた技、リアスはまだともかくとして朱乃の鬼道は範囲が広く、カナエはマジで殺しにきている。
本来ならばランスロットやヴェインも止めようとするのだが、カナエの雰囲気が恐ろしすぎてスルーすることに決めた。
「……ヴェイン、騎士としては駄目なのかもしれないが、罪に対する罰のようだし見なかったことにしよう」
「だな。さー次に行こうそうしよう!」
「オォォイ!?助けてくれよォォォ!!」
街に出てみると、小猫とロスヴァイセがそれぞれハクとフウを抱えて買い物をしていた。
先程リアスが言っていたように勝手に行動せずおとなしく抱えられており、子供達から撫でられても軽く鳴くだけだ。
「この子すっごいふわふわー!」
「こっちの子ももふもふだー!」
「ニャー」
「ファァァ……」
例の如くハクは眠そうだが、逆にこの場では可愛さを際立たせていただけである。
目があったら軽く会釈されたので手を上げて応えると、子供達も気付いたのか驚いた後に勢いよく手を振られた。
「二匹と違って子供達は元気だな!」
「確かに。ただあっちのハクって猫の方は元々あんな感じだそうだ。いつの間にか俺の執務室にも紛れ込んでたよ。静かだから寝心地がいいんだと」
「あ〜なるほどなあ。ランちゃんは集中してると独り言は言っても大きな声出さないし納得だ」
「え?俺ってそんなに独り言言ってたか?」
「ああ。けど節々から団員やその家族のことも考えてるって分かるから、別にいいんじゃないか?」
「う〜ん……そういうもんかな」
最後に見たのはオカルト研究部の顧問である矢的と一誠、そしてギャスパー(紙袋装備)とアストラル体で小さくなっているトライスクワッド、さらにレイヴェル。
近くには白竜騎士団の団員達もおり何かを話しているようだ。
さすがに団員と真剣な表情で話し合っているのならば無視は当然、挨拶だけしてというわけには団長副団長という立場上出来はしない。
「矢的教諭、それに一誠とレイヴェル……だよな」
「ああ、お疲れ様、ランスロット団長にヴェイン副団長」
「どうも!あ、それと矢的先生は団長とか副団長って呼ばなくて構いませんよ。ほら、客人扱いですし……で、何があったか聞く前にこっちの紙袋について聞きたいんですけど……」
「ひっ!?ぼ、僕です!ギャスパー・ヴラディですぅ!」
「「いや何で紙袋?」」
「実はギャスパー、ちょっと前まで極度の人見知りというか対人恐怖症というか……リクさんがいればこうならなかったんだろうけどなあ……」
一誠が頬を掻きながら苦笑しつつ言うと、ランスロットもヴェインもなるほどと納得してそれ以上追求しなかった。
矢的は二人とも人の気持ちを汲み取れる素晴らしい者達だと自然と笑顔になり、それを見た二人も同じく笑う。
「んじゃ改めて……何があったんですか?」
「ああ……本来ならば白竜騎士団を束ねる君達に判断を仰がなければと思ったんだが……昔の性かな、独自に調査を始めてちょっと前に町を散策していた兵藤達に会って、協力してもらっていたんだ。最近このフェードラッへで起きている『吸血殺人事件』について」
「……!そうだったんですか。しかし、昔の性とは?」
「これでも昔はUGMという特捜チームに所属していてね、怪奇事件や怪獣関係にはよく出動したものさ」
「特捜チーム!そういや我夢もXIGって組織に所属してたって言ってたな。あとアルケミースターズだっけ?」
「ああ。つまり矢的教諭もこの手の問題のスペシャリストというわけだ。むしろこちらから早めに協力を頼むべきだったかな」
ランスロットとヴェインは頷き合って、先程の団員達から仕入れた情報を矢的達と共有する。
「またか……今月に入ってまだ日が経っていないのに今日で五人目だ。ただでさえケロニアの件で吸血する類のものには細心の注意を払いつつ行動しているが、下手人は全く分からない」
「襲われた人々に共通点は?」
「それが身分や職業、家族構成まで調べたがバラバラで、遠縁やかつての同僚かとも思ったがその線もなかった」
「通り魔的犯行……みたいなことッスか?」
「多分な。だが、通り魔だとしたら団員が遭遇していてもおかしくない。事件が起き始めてから、団員達を二人以上を一組として配置しているがそれでも掴めないのは何か規則性があるんじゃないかと俺は思ってるんだ」
規則性と言われて一誠達はう〜んと悩むが、どうにもピンと来ない。
「実はこの件でジークフリートさんに連絡をとったところ『我夢の方が詳しいんじゃないか』って言われて相談したんだ。そうしたら、何でもいいから気になったものの画像を送ってくれれば解析してみると言ってくれてな。矢的教諭達も何かあったらそうしてほしい」
「わかった。気をつけてみよう」
「お願いします!しっかし……あのケロニアといい今回といい、血を吸うやつが多いよなぁ。魔物にもそういうやつはいるけどその場合は外傷でどの魔物がやったかは大抵目星が――」
「「それだ!」」
「うおっ!?ランちゃんも矢的先生もどうしたんだ?」
ヴェインが言った何気ない一言で頭の回転が早い二人はあることに気付く。
「そう、外傷だ。ケロニアの習性が衝撃的だったから今まで吸血という部分しか見ていなかったが、ヴェインのおかげで気付けたよ」
「一口に吸血と言ってもその手段は様々だからな。噛み付いて吸う場合もあれば蛭のように皮膚にくっついてで吸う場合もある。それを調査すればある程度犯人は絞り込めるだろう」
新しい調査の方向性を見出した二人。
一誠はそんな二人から目を離すと赤い花を持った少女がこちらを見ていることに気が付いた。
周囲に親らしき人物もいなかったため、迷子だろうと思い声を掛ける。
「なあ、どうしたんだ?もしかしてお父さんやお母さんとはぐれちゃったのか?」
「……」
少女は何も答えず、黙ったままジッと一誠を見るばかりで一誠はどうしようかと頭を掻く。
タイタスやフーマも頭を悩ませる中、ただ一人タイガだけは違った。
(一瞬だけど、俺を見た。アストラル体では同族か特殊な能力が無いと視認出来ないはずなのに)
そんなタイガの思考をよそに一誠は少女と手を繋いで家か家族を探すべく、矢的に声を掛けた。
「矢的先生、俺この子を家まで送ってきます」
「あ、あのその……僕もついていきます。やっぱり一人だと心細いので……」
「私も同行しますわ。年端もいかない女の子ですもの、同性がいた方が気が楽になるでしょうから」
「そうか。なら三人とも、十分に気をつけてな」
「「「はいっ!」」」
力強い返事を聞いた矢的は笑顔で頷き、ランスロットやヴェインと事件の対策に乗り出す。
優しい先生から頼もしい隊員へと表情を切り替えた矢的を見て、やはりゲンと同じく自身の目標とする人物の大きさを実感した一誠は、自分が言い出したことに全力を尽くすべく、少女の手を引いて町に繰り出した。
……まではよかったのだが。
「なあ……ホントに家は何処なんだ?」
「違う家に始まり、お店や私達がお世話になってるフェードラッへのお城まで……」
「故意に振り回されてる気がしますぅ……」
少女が自分の家をちゃんと言わないため、一誠達はほとほと困り果てていた。
そんな疲労困憊の一誠達に、遠くから声が掛けられる。
「お〜い!」
「あれ?ヴェインさん?」
「ふぃ〜……やっと見つけたぜ。その子の家、探してたんだろ?どっかで見たことあるなって思ってランちゃんに聞いてみたら、白竜騎士団の訓練光景の見学に来た施設の子供だったんだよ。そこ、親に捨てられた子供ばかりいる施設でさ……それから里子に出されて、今は……そうだ、ロックスポッド夫妻の養子になってるんだ」
「じゃあその人達が住んでる家に行けば……」
「ああ!無事解決ってわけさ!それを教えたくてさっきまでフェードラッへ中を駆け回って探してたんだよ」
フェードラッへ中、と聞いて一誠らは驚くが、当のヴェインは「体力だけはあるから」といつも通り笑っている。
その後、フェードラッへ近郊に豪邸を構えるロックスポッド邸まで送り届けると、お手伝いさんに何度も頭を下げられた。
お手伝いさんに促されて奥に引っ込む前に、少女――サナは初めて笑顔で「さよなら」と一誠らに告げ、邸宅に入っていく。
「なんだ、ちゃんと笑えるし挨拶も出来るじゃんか。ってかすげぇ富豪んちの子かよ……」
「ま、自宅に着いた安心感ってのもあるんだろうな。よし!そんじゃ俺達も帰るか!」
ギャスパーとレイヴェルも二人に同意し帰ろうとしたとき、偶然帰ってきたロックスポッド夫人に何か用かと尋ねられて事情を話すと先程のお手伝いさんと同じように頭を下げられた。
サナはどうやらしょっちゅう家を抜け出しては迷子になるという。
その上で、彼女について尋ねると夫人はこう語る。
「あの子はどう言うんでしょうか、ちょっと変わったところがありましてね。うちでもほとんど口を利かないんですの……自閉症って言うんですか、そんな病気にでもなったら大変だと……ともかく、ヴェイン副団長も皆さんもこの度はありがとうございました」
「いえいえ!何かあったら、遠慮なく白竜騎士団へご連絡下さい!では!」
この時、またタイガだけが気付いていた。
サナが去り際にタイガを見ていたことに。
(まただ……見えないはずの俺の方を見てた。何だ?俺はあの子とは初対面だし……)
そしてもう一つ……
「あれ?レイヴェル、その花」
「これですか?あの子に貰いましたの」
この花が事件と大きく関わっているとはまだ誰も知らない……そう、ただ一人を除いて。
☆
食後に集まった、オカルト研究部+αのメンバーとヴェインは孤児問題について話し合っていた。
矢的とランスロットは事件の対策会議をしているらしく、代わりにヴェインがリアスらの様子を見に来たというわけだ。
「身寄りが無い子供を引き取ったと言えば聞こえが良いけどさ、よくよく考えたら今の家に納得してたら家を抜け出したりしないよな。あんな豪邸なら不便なことなんてないだろうし」
「愛されてないとか……世間体でも気にして引き取って偽りの家族か何かでもやっているのかしら」
「今の私達とは違いますね」
ヴェインとリアスに続いた小猫の言葉にオカルト研究部の皆は納得する。
リアスはハリベルやマリーダを姉と慕い、同様に小猫も実姉の黒歌だけでなく夜一とも仲が良い。
その究極点とも言うべきなのがレジェンド一家やサーガ組、ひいては惑星レジェンドに生きるもの達。
血の繋がりどころか種族や生まれ育った世界が違うのに家族として当たり前に過ごしている。
「そうね……私もしのぶも、カナヲやアオイ達と当たり前のように姉妹として暮らしていたけど、皆が皆そうとは限らないのよね」
「たださ……やっぱり捨てる親が悪いよな。子供が出来ると大変なのは分かってただろうに作ったんだから」
「一概にそうとも言い切れませんわ。予期せぬアクシデントで子育てが困難になってしまうこともありますし」
「けどまあ親はいなくても子は育つって言うしよ、要は環境さえ整ってりゃどうにでもなるんだよ」
「「「「「…………」」」」」
最後に発言したアザゼルをじと〜……っと見る一行。
「な……なんだよ」
「発言内容はさておき……何で貴方はここにいるのかしら?」
「……矢的先生は私達を守るために今もランスロットさんと打ち合わせしてます」
「アザゼル先生さあ……なんつーか、顧問として意識低いんじゃねーの?」
狙い澄ましたようなフーマの一言が、アザゼルに特大ダメージを与えた。
「お……お前らな……!俺がそうならそっちの副団長もそうじゃねえか!」
「俺、ランちゃんや矢的先生に頼まれたんですよ。自分達が事件対策でこっちまで手が回らないから面倒見てくれって。ただ、皆を見ると面倒より護衛的な部分が強いかな。一応白竜騎士団の副団長だからある程度権限も持ってるし」
「完敗だなアザゼル。お前はもう少し年長者としての振る舞いを身に着けたらどうだ?」
「うるせー!そういうお前は寛ぎすぎだろ聖竜騎士!」
既に枕を抱えて横になっているゼロガンダムに怒鳴りながらアザゼルは頭をぐしぐしと掻く。
このまま続けても埒が明かないので、事件に関しては矢的とランスロットも含めて明日改めて相談することに決め、今日は寝床につくことにする。
そして、それは真夜中に起きた。
殆どの者が寝静まったフェードラッへ。
城の一室ではレイヴェルとゼノヴィア、そしてイリナが眠っており、彼女らのベッドから少し離れた所にはサナに貰った花が生けてある。
『それ』はゆっくりとドアから忍び寄り、その花と合体し、最も近くにいたレイヴェルへと少しずつ近付いていく。
「っくしゅん!……ん……ッ!?」
偶然にもくしゃみしてしまい少しだけ目が覚めたレイヴェルは何かの気配を感じた方を見ると――
サナに貰った花と合体した何かの『蔦』が目の前まで迫っていた。
「きゃあああああ!!」
「ッ!?何だ!?どうした!?」
「ふぇ!?何何!?何があったの!?」
レイヴェルの悲鳴にゼノヴィアとイリナも飛び起き、すぐさま目にしたのは入り口のドアから侵入していた蔦。
さすがに他所様の城の部屋で炎を使うわけにもいかないとレイヴェルは布団を乱暴にバサバサと扇いで払おうとしており、ゼノヴィアもイリナもそれぞれの剣を使って斬ろうとするも新たに現れた蔦に阻まれて手にする事が出来ない。
「くそ!何だこれは!?」
「先生に貰った
少しずつ追い詰められ、壁にぶつかる三人。
「っ!?」
「まずい……!もう後がない!」
「ホントに何なのよこれっ!」
想像以上の力で迫りくる蔦に成すすべもなく、三人はやられてしまい――
「
――そうになった瞬間、雷が一閃。
蔦は全て力無く地に落ちた。
「三人とも無事か!?」
「先生ッ!!」
「聖竜騎士様!?」
「ゼロガンダム殿!?」
三人の危機に駆けつけたのは「嫌な予感がする」と寝室から外に出て自主的に見回りをしていたゼロガンダム。
城の外から蔦が侵入していたためおかしいと思った直後にレイヴェルの悲鳴が聞こえ、彼女らにあてがわれた部屋へ急いだのである。
「助かりましたぁぁぁ!!面目ありません〜!!」
「そう泣くな。無事で何よりだ」
「ですが本当に危機一髪でしたわ。ありがとうございました」
「なあイリナ……彼と師範、一日でいいから交換しないか……?」
割と本気で言っているゼノヴィアはさておき、ゼロガンダムは今しがた斬り落とした蔦を見る。
その蔦からは黒い液体が流れ出していた。
「これはっ……!?」
「……採取するぞ。その花と蔦共々、すぐに連絡して調べてもらった方がいい」
ゼノヴィアらが驚いている間にもゼロガンダムは花と蔦、そして黒い液体をケースに入れる。
それから程なくして、ランスロットとヴェインを始めリアスらも駆けつけた。
「どうした!?」
「大きな悲鳴が聞こえたわよ!?何があったの!」
「ランスロット様にリアス様……皆様も」
「何だこりゃ!?何でこんな蔦が城内に!?」
「それにこの黒い液体は……」
「……何処かで嗅いだことあります、この匂い」
その言葉に一斉に振り向き、小猫はビクン!と驚いたからかぴょこんと猫耳と尻尾が出てしまいカナエに抱きしめられ高速で撫でられる。
「やっぱり可愛いー!わしゃしゃしゃしゃ!」
「ふにゃあああああ!?」
「マズいわね……しのぶさんもレジェンド様もいないからカナエのストッパーを誰も出来ないわ」
「黒歌の姉ちゃんがいないだけマシじゃね?って言ってる場合じゃねーな」
とりあえずカナエを小猫から離し、小猫から話を聞いてみると意外なことを言い出した。
「これ、普通ならこんな黒い色じゃないと思います」
「え?どういうことなの、小猫」
「だって……この匂い、血の匂いですから」
「「「「「!?」」」」」
「まだ確証はありませんけど……多分間違いないです」
小猫の言ったことが合っているとすればここのところの事件解決に大きく前進するかもしれない。
それを知ったランスロットは緊急事態とすぐさま我夢に連絡をとったところ、もしサンプルがあるなら送ってほしいと言われ、どうすればいいのかと悩む……が、それはすぐに片がついた。
ゼロガンダムを始めスペリオルドラゴンの眷属たる者達は科学的なもの以上に魔法を使用するため、片道転送にはなるがある程度の物体であれば瞬時に送れる転移陣を描けるとのこと。
「俺が採取したばかりの花と蔦、それにこの黒い液体をそちらに転送する。すぐに調査を頼めるか」
『わかりました、明日朝イチで連絡します』
「ランスロット団長、ベッドがより複数ある部屋はないか?こうなった以上、一度切り落としたとはいえ再度狙われない可能性が無いとは言い切れん。出来る限り人数を多くして互いのカバーが出来るようにしておいた方が安全だ」
「確かに……」
そこに矢的とアザゼルが駆け込んできた。
「皆!それにランスロットさんとヴェインさんもいてくれたか!」
「矢的先生、それにアザゼル先生もどうかしたんですか?」
「実は……っ!?それは!」
「どうやらこの蔦が意思を持っているかのように城内に侵入して――」
「――最悪だな。おい、お前らも心して聞け。たった今白竜騎士団の団員の一人が遺体で、しかも城内で見つかった。案の定吸血事件と同じような状態でな」
「「「「「!!」」」」」
アザゼルの言葉に全員が絶句した。
特にランスロットとヴェインは自分達の団の者が亡くなったとあって冷静にはいられない。
「それは本当なんですか!?」
「ああ……しかも苦し紛れだったのかは分からんが、その蔦と同じものが少しだけ切られて残っていた。俺が声をかけた時にこれが事件解決の手掛かりになるかもしれない、とお前に渡すように言って事切れたよ」
「ッ……」
「ランちゃん……アザゼル先生、そいつの名前、分かりますか?」
「リムロス……だったはずだ」
「……そいつは、去年入団したばかりでした。田舎出身らしくて、いつか有名になって自分の育った村をアピールするんだって意気込んでました。だから騎士としての職務に熱心で……なのに、こんなに早く……!」
団員の遺した手掛かりを握り締めながらランスロットが怒りと悲しみに震えつつ言葉を絞り出す。
何を隠そうランスロット、そしてヴェインも貴族や名門の家系ではなく、村出身の騎士である。
同じ騎士団の仲間としてだけでなく亡くなった団員の境遇と似ていたこともあったのだろう、団員の命を奪った犯人を必ず突き止める意思が感じられた。
「おい、レイヴェル」
「は、はい……」
「これについて何か知らないか?聞けば最初に狙われたのはお前みたいだが」
「いえ、皆目検討が……あっ……!」
「何でもいい、言ってみろ」
「花ですわ!昼間、迷子の子を送り届けまして、その時に花を……」
アザゼルに聞かれ、レイヴェルが思い出したのはサナから貰った赤い花だ。
思えばあの蔦はその花と合体してレイヴェルらへと襲いかかっていた。
「……!ランちゃん!そういや昨日リムロスも迷子の子を送り届けて花を貰ったとか言ってなかったか!?」
「ああ……!小さな事でも良い事をするのは良いもんだと言っていた。蔦の伸びてきた方向から考えるとあいつの部屋は遠め、おそらくここ最近に近くまで来ていたんだ!そして今日、レイヴェルさんを襲うタイミングであいつも襲った……!」
「送り届けて貰った花が原因で蔦に襲われた、か……偶然とは思えねえ。その子供が何か鍵を握ってそうな気がするぜ。それに考えたくはないが、最悪その子供が狙ってやってる可能性も無いとは言い切れねえぞ」
さすがにそれは、と言おうとして一誠やレイヴェルは口を噤む。
数多の犠牲者が出ている上、状況が状況だけにおいそれと違うと言い切れないのも事実だから。
そしてまさかの追撃がタイガから放たれる。
「こっちも確証が無いけど……あの子、俺達の姿が視えていたかもしれない」
「「「「「!?」」」」」
「は!?ウソだろ!?」
「それが事実だとして、何故タイガは気付いたんだ?」
「……俺の方を見ていたんだ。タイタスでもフーマでもなく、俺だけを」
これを一般人が言ったなら「なんだこのナルシスト」で済むが、アストラル体のタイガが顔を俯かせながら言うと真剣味がまるで違う。
「何でタイガだけなんだ?位置的にはどうだった?」
「俺はその時、少し奥に引っ込んでいて一番あの子の目につくのは普通ならタイタスだったと思う。でもあの子はずっと俺を見ていた。俺は初対面……何よりこの世界に来たのだって初めてだし、何だったらあの世界に限らず地球に来たのだってつい最近だ!心当たりなんて全く……」
『落ち着くんだ、タイガ。誰も君を責めてはいない。君の持っている情報から少しでもあの少女の正体を掴みたいだけだ』
不安からなのか、若干混乱して声を荒げるタイガを優しくダ・ガーンが諭す。
それでタイガも落ち着いたのを確認し、矢的がその場を締める。
「とにかく、今日は皆で集まって寝よう。明日の朝には調査結果が届くはずだから、それから今後の予定を考えるとしよう」
「俺は他にあの花を貰った者がいないか調べてみる。ヴェイン、すまないが……」
「あいよランちゃん、気にすんなって。衝撃的なモン連続で突き付けられて目が冴えちまってさ。まだ真夜中、二人で急いで確認して回れば寝る時間もあるって」
「矢的教諭は明日に備えてもう休んで下さい。俺達は花の件が終わったらそのまま就寝しますから戻ってこないので、何かあれば……」
「大丈夫、心配はいらない。これ以上僕の生徒達には手出しさせないさ」
「お願いします。それでは」
「ランスロットさんもヴェインさんもお気をつけて」
「サンキュー、ようしランちゃん!俺達も明日に備えるのと被害拡大を防ぐためにさっさと回っちゃおうぜ!」
「ああ……!リムロス、お前が遺してくれた手掛かりを無駄にはしないぞ!必ずこの事件は解決してやるからな!」
ランスロットとヴェインは志半ばでこの世を去った若き団員に誓い、部屋を駆け出していく。
リアスらはまだ不安があったものの、矢的やゼロガンダムらも同室ということで幾分安心したのか漸く再び眠りにつくことが出来た。
ただし……
(……タイガ達はいつもいるからいいとして、イッセー以外がいるから服が脱げないじゃない)
オーフィスと同じく寝る時は服を着ないリアスは少しばかり寝付きが悪かったそうな。
とはいえ、寝不足は捜査に差し支えると自分に言い聞かせて何とか眠るのだった。
〈後編へ続く〉
レジェンド達と関わって早々襲われるレイヴェル。
ゼノヴィアとイリナ、君達も襲われたからヒロインの資質はちゃんとあるぞ!
……カナエやリアス?後者はともかく前者は襲われても返り討ちにしそうなんですが。
後編は数日中に完成すると思いますので、もう少しだけお待ち下さい。
それではまた次回。
P.S.あまりヒロインムーブ出来ないカナエさんを慰めてあげてください。→(´・ω・`)ショボーン
二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?
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真ゲッタードラゴン(大決戦版)
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真・ゲッター1(スパロボα仕様)