ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER 作:ハジケハムスター・ポッポ
前後編の後編、まさか前編の1.5倍以上長くなりました……これ後半分けた方が良かったかな。
前後編合わせてここまで長くなったのSIDE GAIA以来かな、その話一話で3万字超えましたが。
それでは本編をどうぞ。
翌日、ウルフォンのモニターモードで我夢から連絡を貰った矢的らは予想通りの結果報告を受けていた。
『ケロニアとは全く別物ですが、吸血植物に違いありません。花と、それからあの黒い液体から大量のヘモグロビンが検出されました』
「やっぱりか……」
「う〜ん……」
「ヴェインさん?」
「ん?ああ、いや……あの花なんだけどさ、どっかで見たことあるんだよな……あの子が持ってたもの以外に何処かで……」
思い出せねー!とガシガシ頭を掻くヴェインだが、こうなったら直接サナに聞いてみようということになり、先日訪問したロックスポッド邸に向かうことにする。
しかし、既に事件は起こっていた。
「あ……が……あ……!」
昨日の晩、レイヴェルや騎士団員を襲った蔦はロックスポッド夫人を絞殺し、花から伸ばした管を耳から体内へと侵入させ、夫人の血を残らず吸い取ってしまう。
その光景をサナは窓の外から黙って見た後にフェードラッへの町へと足を進めた。
物で釣るのはどうかと思いつつ、とりあえず何か持って行こうと町の商店を見ながらロックスポッド邸に向かう一行。
「何がいいかな〜」
「何て言うかさ……あの子、何かをあげて喜ぶようなタイプじゃない気がするんだよな」
「そん時はそん時……って話してもらえなきゃ駄目か」
「ねえ、その子ってどんな子なの?」
「ん〜……どんなって言われてもあんま喋んないし、他人を信用しないような空気を纏ってる感じっていうか」
「……それ、こんな人数で行って大丈夫なのかい?」
裕斗の意見はもっともである。
他人を信用しないような子が大人数で来た彼らを受け入れるとは到底思えないし、逆に印象が悪くなるだけの気もするが……。
「それじゃあ……近くまで行ったら、俺が先行し……!?」
「イッセー君、どうしたんですか?」
「朱乃さん、皆もあれを見てくれ!」
「どうし……あれ!あの花!!」
一誠が指差した先には、井戸端会議しているだろう主婦らしき女性達……そしてその手には先日彼らを襲った原因の一端である赤い花が握られていた。
急いでヴェインは女性達に声をかける。
「すいません!ちょっといいですか!?」
「あら、ヴェイン副団長。どうされました?」
「その花、一体どこで……!?」
「これですか?これだったら通りすがりの女の子に貰ったんですよ。ほら、まだあそこに……」
「それは吸血植物の一部なんです!城でもそれが原因で団員が殉職しました!すぐに捨てて下さい!」
普段は明るく笑顔を絶やさないヴェインの必死な呼びかけで、冗談ではないと理解した女性達は小さく悲鳴を上げたあと花を捨てていく。
ヴェインがホッとしている間に一誠はまだ近くで花を配っていたサナを捕まえて問いただす。
「なあ、どうして花を配ってるんだ?まさかとは思うけどあれが人を襲う花だって分かって配ってるんじゃないよな?そもそもあの花を何処で摘んできたんだ!?」
「イッセー、ちょっと落ち着きなさい!焦る気持ちは分かるけど……」
徐々に語尾が荒くなる一誠を諌め、リアスが後を引き継ごうとするがサナは手にした花バサミをカチカチ鳴らしながら睨みつけるだけ。
(こう言ってはなんだけど……私達悪魔よりよっぽど悪魔的な表情してるわよね……)
リアスは溜息を吐きつつ、どうしたものかと考えていると「お〜い!」とランスロットと矢的が駆け寄ってきた。
「ランちゃんに矢的先生、また緊急事態か!?」
「緊急事態と言えば緊急事態なんだが……ヴェイン、あの花に見覚えはないか?」
「へ?ああ……城以外のどっかで見たのは覚えてるんだけどさ……いまいち記憶があやふやっていうか」
「やっぱりか……今は誰も近付かないから詳しく覚えてなくても当然だ」
「詳しく……?もしかしてランスロットさん場所が分かったんですか!?」
裕斗の言葉にランスロットは頷き、既に何かあった時の為に白竜騎士団は各所に配備済みと告げた。
そしてランスロットと矢的を加え、一行はその花の群生地と思しき場所へと急行する。
前述の何かあった時に備えて、同行する白竜騎士団はランスロットとヴェインのみだ。
そこは、フェードラッへ郊外に建てられた教会と墓地……その境内の奥。
こんなところに教会が建っているのも稀だが、その奥地には一つの塚があった。
「これは……」
「この塚は昔、捨てられて死んだ子供達を供養する為に建てられたそうだ。おそらく、土葬にされた死体を食い尽くした蔦が地上の人間まで襲うようになったんだな。しかし恨み花とは良く言ったもんだ。原因が分かったことだし、早く除去してしまおう。これ以上被害を広がらせるわけにはいかない」
「だな!んじゃ、力仕事は俺の出番ってわけだ!」
「頼むぞ、ヴェイン。俺達は引っこ抜いた蔦を即座に焼却出来るよう準備しておく」
そういうとランスロットは持ってきた道具箱をヴェインに渡し、自身はすぐに焼却準備に取り掛かる。
テキパキと用意を進めるランスロットに、道具箱から鉈を取り出して現在地上に出ている蔦の茎の部分に叩きつけるヴェイン。
一誠らも何か手伝おうとした瞬間、視線を感じてその方向を向くと墓地にサナが立っていた。
彼ら――タイガを見ながら。
「あの子は……!」
「お兄ちゃん達のバカ!」
いきなりなんだ、と思ったがランスロットは一誠達を止め首を振る。
「あの子には可哀想なことかもしれないが、あの子のためだけにこの命を奪う蔦を残しておくわけにいかないんだ。このまま放置すれば後々にはフェードラッへのみならず他の村や町にも被害を及ぼすかもしれない。すまないがそれを分かってほしい」
「そう……ですよね。もう被害が出てるんだしこのままってわけには……」
「お兄ちゃんのお父さんもそうだった」
「「「「「え?」」」」」
突然サナがハッキリと喋り出した。
しかも意味深な言葉を口にし、全員がサナを見る。
「お父さんって……誰だ?このメンバーじゃお兄さんだらけだろ」
「ちょっと待って、少なくとも私達は面識ないはずよ。だとするとランスロットさんかヴェインさんじゃないの?」
「いや、俺もヴェインも実家はフェードラッへからかなり離れてるし、両親も育ったのはそこだ。俺達と面識があるならまだしも、俺達の父親と面識があるのはあの子の年齢だとそれこそ物心付いたころにあった計算になるぞ」
「それ以前にフェードラッへには俺やランちゃんの親は来てないし、俺達の故郷にはこんな吸血植物なんて無かった。というか、俺達が子供の頃あの子はまだ産まれてないだろうし」
ランスロットもヴェインもリアスの疑問を否定し、彼らの家族も身に覚えがないだろうことも告げる。
しかし、ただ一人気にしていた人物がいた。
「お兄ちゃんのお父さんもそうやって他の人と一緒にその蔦を切ったり引っこ抜いたりした。幸せに、普通に暮らしてるから今の世の中のことがわからないんだ。口では優しく言っても本当は捨てられた子供のことなんてこれっぽっちも考えてくれないんだ!生きていく力もないまま放り出された子供の気持ちなんてわかろうとしてくれないんだ!!」
(……まさか、あの子の言うお父さんっていうのは……!)
「お兄ちゃんも……ウルトラマンタロウと同じなんだ!!」
「「「「「!!」」」」」
「ウルトラマン……」
「タロウ?ガイアとかじゃなくて?」
タロウの名が出た瞬間、ランスロットとヴェイン以外は衝撃を受けた。
何故、一度もこの世界に来ていないタロウのことを彼女が知っているのか。
同時にタイガはかつて父であるタロウからある話を聞いたことを思い出す。
捨て子塚――そこにまつわる話と、そこで起きた事件。
そしてそれが今回の事件と酷似していることに気付く。
「捨て子塚……」
「「「「「えっ!?」」」」」
「ランスロットさん!ヴェインさん!早く離れてくれ!その蔦は……」
「……?この蔦がどうし……!?」
「な……何だあ!?」
突如地震が起きたかと思うと、塚の周辺が隆起していく。
一誠達はすぐさま退避するも途中で残してきてしまったサナのことを思い出し、すぐそちらを見てみるとサナはその姿を消していた。
地面が隆起した原因、それは――
「ア゛ア゛ア゛ァァァ!!」
蔦の本体――蔦怪獣バサラが地中から姿を現したためでだった。
あの蔦はバサラの体毛だったのである。
ケロニアに続き、未知なる生物が突然現れたことにフェードラッへに住まう人々はやはり混乱に陥った。
「何だあれは!?」
「蔦だ!蔦の化け物だあああ!!」
「どうなっちまったんだよこの世界は!」
急いで戻ってきたランスロットとヴェインは白竜騎士団の団員に手早く指示を出す。
遅れてリアス達も戻ってくるが、一誠やトライスクワッドは同行していなかった。
「第一から第三分隊は住民の避難だ!緊急事態だが民は皆混乱している以上、我々が焦ってはならない!」
「第四から第六分隊!あいつも植物なんだ、我夢が作ってくれたファイヤーバスターが役立つハズだ!ただし住民の避難が済んでることを確認してから使えよ!各分隊の使用者一名を護衛するように陣形を組んで攻撃開始!」
「全く、我夢の先見の明には驚かされる……!避難が完了次第、第一から第三分隊もファイヤーバスターを用意!俺とヴェインが最前線で奴を引きつける!やれるか、ヴェイン!?」
「当然だぜ!伊達に病み上がりでケロニア相手に松明山程抱えて突っ込んだわけじゃない、しぶとさには自信があるんだ!」
「待って二人とも!」
「リアスさん、危ないから下がって……あれは!?」
リアスに呼び止められたランスロットとヴェインがオカルト研究部のメンバーに下がるように言うが、直後に新たな驚きが巻き起こる。
「チェェェンジ!ダ・ガーン!!」
バサラの前にパトカーから変形したダ・ガーンが立ち塞がり、アースライナーが撹乱しアースファイターが上空より攻撃を始めたのだ。
無論、ダ・ガーン自身が一誠に頼んで出してもらい、続けて二機のマシンも出して援護に加わらせたのである。
「ア゛ア゛ア゛ァァァ!!」
「お前もまたこの地に生きるものなのだろう。しかし、だからといってお前だけが生きるために他者を犠牲にして良いわけではない!ダ・ガーンマグナム!」
アースファイターの援護を受けつつ、ダ・ガーンはバサラへの攻撃を開始する。
対するバサラも蔦を伸ばして応戦するが、ダ・ガーンは攻撃力こそ低いものの機敏に動き蔦による攻撃を回避しつつ、マガオロチにはあまり効果が無かったダ・ガーンナパームをバサラに炸裂させた。
「ア゛ア゛ア゛ァァァ!?」
「よし……!やはり火薬攻撃は有効だな!」
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
「何ッ!?」
ダ・ガーンナパームに耐えたバサラは激昂してダ・ガーンを蔦で絡め取り、その蔦に電撃を伝わらせてダ・ガーンへと反撃する。
「ぐわあぁぁぁっ!!」
ゴーデス戦後、束やコジローに耐電処理をしてもらったダ・ガーンだが、怪獣クラスが持つ電撃を浴びせられて平気ではいられない。
しかし彼は引き下がるわけにはいかなかった。
悩みを抱えながらも、主達が戦おうとしているのだから。
一誠やトライスクワッドはダ・ガーンとバサラの戦っている場所から少し離れた位置にいた。
無論、ランスロットやヴェインはともかく一般人にウルトラマンへと変身するところを見られないためだ。
「ここなら……!」
「イッセー!早くしないとダ・ガーンもやべえぞ!合体してんならまだしも分離したままじゃ……!」
「待て!誰かいるぞ!」
フーマに急かされるもタイタスの言葉でそちらを向くと、やはりと言うべきかサナが一誠……正しくはタイガを睨んでいた。
「なんで邪魔をするの?」
「やっぱりわざとやってたのか……!」
「なんで子供を捨てた大人達を守るの?そんな大人がいるから私達みたいな子供が増えるんだよ?だからいなくならさなきゃいけないんだよ!」
「ふざけんな!さっきのお前の言葉は重く響いたぜ……けどな!今の言葉はそこら辺にいる悪ガキの我儘をさらにタチ悪くしたもんじゃねーか!」
一誠が返した言葉にも怯まずサナは睨み続けるも、一誠もまた臆したりしない。
「確かにな!お前の言う通りやることやって子供が出来たら捨てるような親はクズだよ!けどな、親になろうと頑張ってる人もいるし、何より親がいなくても必死にその日その日を生きてる人だっているんだ!誰も彼もがお前みたいな考えだと思ってんじゃねえ!」
親になろうとした――これはゴーデス戦後、サーガから詳しく聞いたレジェンドのこと。
育児に関して右も左も分からなかった当時の彼は数多の者からアドバイスを聞きつつ、時には立場など関係なく頭を下げてまで教えを乞い、サーガをあのように立派に育て上げた。
そして後者は尊敬する師であるおおとりゲンことウルトラマンレオ。
故郷であるL77星を失い、父は目の前で己を庇って死に、母は行方不明。
双子の弟のアストラとも長い間生き別れ状態であった上に、同僚や親しい人々、果ては恋人さえも亡くしながらも地球を守るために日々命を賭して戦い続けた、真の意味で強い男。
他にも矢的やレイト、リクを始め多くの者達の凄まじい生き様を一誠は短期間の間に知る事となった。
その中で両親に愛され、友や愛する人と笑い合えていた自分がどれだけ恵まれていたのかも自覚した。
だから彼はサナに同情しつつも自分達だけが悲劇のヒロインのような言い草が許せなかったのだ。
両親が共に訳ありなタイタスやフーマもまたそれに当て嵌まる。
二人も既に両親はおらず、大切な者も失った。
「そうだ……!幸福を願えとは言えないけど、自分が不幸だからって他人まで不幸にしちゃいけない!」
タイガも一誠と同じ意見であったが、それがサナには気に食わなかったらしく更に反論してきた。
「お兄ちゃん達は大切にされてたからそう言えるんだ!愛されてもいなかった私達のことなんか分かりっこない!」
「ああ分かんねえよ!愛されていなかったからって、誰かを愛してみようとも考えないで『原因全部無くしちゃえ』としか考えない奴の頭ん中なんてな!俺は馬鹿だから!」
「勇気を持って一歩踏み出せば出来るかもしれないことを、やりもせず否定するようにだけはなりたくない。だから俺達は君の言うことに納得することは絶対に無い!イッセー!!」
「おう!行くぜタイガ!!」
もはやサナと押し問答する気は無い。
たとえどう思われようと、彼らは決して曲げることのない信念を持っている。
一誠はタイガスパークを出現させ、待機状態にする。
『カモン!』
「光の勇者!タイガ!」
『はああああっ!ふんっ!』
「バディィィ!ゴォォォッ!!」
『ウルトラマンタイガ!』
「シュアッ!!」
ウルトラマンタイガ、彼の空の世界においてのデビュー戦が幕を開けた。
その光景を見ていたランスロットを始めとする白竜騎士団やフェードラッへの民はタイガの登場に驚き、リアス達は一誠やトライスクワッドが無事であったことに安堵しつつ、その戦いを見守ることにする。
まだ自分達に怪獣と戦う力が無いため、下手な加勢をして足手まといにはならないよう考えてのことだ。
「私達ならサイバスターで……」
「あれに突っ込んで蔦に絡め取られる気か?」
「ゔっ!?」
「否定出来ないニャ、ロスヴァイセ」
「ンニャアァァァ……すぴー……」
「この子寝始めてしまいましたわよ!?」
「あらあら、肝が座ってるというか緊張感が無いというか」
「ロスヴァイセさんその子貸してその子貸して」
「……もう一人いたわね、緊張感不在の人物」
相変わらずカナエはハクをロスヴァイセから受け取って至福の一時。
絶賛猫吸い中。
「ダ・ガーン、あとは任せろ!」
「すまない……!私はアースファイターやアースライナーと共にフェードラッへの防衛にまわる!」
「ああ、そっちは頼んだ!行くぞ!」
「ア゛ア゛ア゛ァァァ!」
ダ・ガーンを救出すると同時に下がらせ、バサラと戦闘を開始するタイガ。
「フッ!デェヤッ!」
「ア゛ア゛ア゛ァァァ!!」
タイガはバサラに組み付き、大振りにパンチをお見舞いする。
バサラのスピードが大したことはないと見抜いた上で威力重視の先制攻撃だ。
しかし一撃、二撃、そして三……と思ったときにバサラが口から蔦を吐きタイガに絡み付かせ、ダ・ガーンに浴びせたように電撃を浴びせる。
「ウアッ!だけど、この程度なら!シュアッ!!」
「ア゛ア゛ア゛ァァァ!?」
タイガは絡み付いたバサラの蔦を手刀でやすやすと切り離し、バク転後にタロウ譲りのスワローキックをバサラの脳天に炸裂させた。
「よし!」
『蔦は厄介だけど直接的な戦闘力はあまり高くないみたいだな!』
『だが、油断してはいけない。あの手の怪獣は何かしら特別なものを持っているのがセオリーだ』
タイガと一誠は調子づくが、タイタスに軽く諌められて気を引き締めると、吹っ飛んだバサラをすぐさま追撃。
起き上がろうとするバサラを両肩に担ぐように持ち上げ、その場で三回転した後にぶん投げる。
「ア゛ア゛ア゛ァァァ!」
「ヌンッ!デリャアッ!!」
今度こそ起き上がって反撃に出たバサラだが、タイガに受け止められ顔面にニーキックを叩き込まれ、尚も組み付こうとしたところを屈まれて外したと思えばタイガは己の背中を転がすようにバサラを再び投げ飛ばす。
「やるじゃないかタイガ!」
「確かにあの怪物は動きこそトロいけど、タイガは技のバリエーションに富んでるな!」
「どうかしら?私達のウルトラマンの一人は。ランスロットさん達にガイアってウルトラマンがいるように、私達のウルトラマンも自慢の仲間で部員なのよ」
「「ウルトラマンが部員なのか!?」」
「そうですわ。矢的先生に至ってはウルトラ兄弟という大変な名誉を持ってらっしゃいますし、イッセー君やギャスパー君は個人的にもウルトラマンな先生が指導されてますから」
「リク兄さんはウルトラマンジードなんですぅ!」
「ウルトラマンジードってあの……」
「我夢達の総司令官のベリアルっていうウルトラマンの息子の!?」
「あとはイッセー君、師範がウルトラ兄弟随一の拳法家で、兄弟子が遊撃隊隊長、最近だと伝説の英雄まで兄貴分になってたわね」
「「物凄い面子じゃないのかそれ!?」」
ランスロットとヴェインが驚くのも無理はない。
レオにゼロ、ダイナと言えば最早現在の光の国では知らない者はいないウルトラ戦士だ。
先に言われた80もウルトラ戦士としてだけでなくウルトラ学校教師陣のトップと言っても過言ではなく、光の国で彼を知らないと答えてしまえばウルトラ族の子供達から大ブーイングされるだろう。
ギャスパーの慕うリクことジードは彼らも知っての通りベリアルの息子。
しかも遊撃隊隊員の座は実力で得た、親の七光りではない立派なウルトラ戦士であり、文明監視員にその人ありと謳われたマックス直々に勧誘された程。
こっちは彼を悪く言おうものなら父ベリアルに加えてマックスやゼノンといったトンデモ連中がお礼参りに来そうである。
ついでに裕斗もガイことウルトラマンオーブからしっかり認められた者、そしてロスヴァイセやカナエや朱乃はレジェンドと、小猫やゼノヴィアはサーガと個人的な繋がりがあったりする。
おまけにイリナはウルトラマンとこそまだ繋がりはあまりないものの、師であるゼロガンダムはサーガと同格の光神スペリオルドラゴンのお付きの一人。
リアスはトライスクワッド、特にタイガと仲が良く、実質殆ど光神やウルトラマンと個人的な繋がりが無いのはレイヴェルや、こちらにまだ来ていないソーナ達生徒会くらいだろう。
もっとも、グレモリー家とシトリー家、ついでに現在も含めるならフェニックス家というだけでタロウやセブンという光の国屈指のビッグネームと関わり合いがあるのだが。
そんな会話をしていると、いよいよタイガとバサラの対決は決着がつきそうだ。
「フンッ!デアッ!!」
「ア゛ア゛ア゛ァァァ……!」
バサラの片腕を掴み、グルグルと回転させて突き飛ばすと、更に背後からドロップキックをお見舞いする。
既に体力の限界だったらしいバサラは豪快に前面から倒れ込んだ。
『タイガ、赤龍帝の籠手はどうする!?』
「いや、今回は無しでいく!下手に倍加させたら被害も大きくなりそうだ!」
『確かにそれもそうだな。近くの森は当然、下手すれば草原まで焼け野原になるかもしれん』
ドライグの言葉に一誠も納得し、万が一に備えていつでも発現可能にはしておくものの今は使わないことにする。
そしてタイガは己の得意とする光線技をバサラへのトドメとして放つ。
「ストリウム!ブラスター!!」
ドカァァァァァン!!
満身創痍であったバサラは倒れたまま、ストリウムブラスターの直撃を受け盛大に爆発した。
「よっしゃあああ!!」
「折角のファイヤーバスターだが使う暇が無かったな。まあ、我夢も使わないに越した事は無いとも言っていたし」
「……何かしら、この声……」
「……これは、読経……!?この国に不釣り合いな、まして教会がある場所で!?」
「確かに妙ですわ……!それはそうとカナエ、台詞は真剣でも猫吸いしながらという時点で台無しよ」
朱乃のツッコミに「だって……」と言いつつ居眠りしているハクを抱きかかえて猫吸いを止めないカナエはさておき、ファンタジーな世界にいきなり読経が聞こえてくるのは不自然にも程がある。
すると突然、七色のシルエットが蠢いたと思えばいきなりバサラが復活した。
まさかの事態にランスロットやヴェイン、リアス達はもちろんタイガ達も驚きを隠せない。
しかしバサラはその目から閃光を発し、教会に火をつけて焼き尽くすと、まるで役目を終えたかのように自ら爆発を起こし自分も燃える。
読経はバサラが燃え尽きるまで聞こえ、教会とバサラが焼け落ちたのはほぼ同時刻であった。
吸血殺人事件は謎を残しつつ、元凶であるバサラの焼滅という形で幕を閉じたのである。
☆
あれから数日後――
不幸中の幸いと言うべきか、城や街から離れた場所で戦闘は行われたため、件の事件は別として戦闘での被害は教会の全焼とダ・ガーンが多少電撃で損傷した程度で済んだ。
「ダ・ガーン、ホントに大丈夫か?」
『心配はいらない。この程度ならばプラネットエナジーの恩恵で少し休めば完全に回復する』
「「「「「プラネットエナジー?」」」」」
「……なんか、また分からない単語出てきたわね」
『プラネットエナジーとは……そうだな、分かりやすく説明すると星そのものの命と思ってくれればいい。それが全て失われた時、それは即ち星の死だということだ』
またもあんぐりと口を開く、むしろ顎が外れそうになるリアス達とヴェイン。
地球に生み出された勇者が明らかにした事実はスケールがぶっ飛んでいた。
「いや……なんつーかさ、お前らスゲー事に関わってんだな」
「ん〜……俺達はゴーデスとやり合ってるから『そういうもんなのか』くらいにしか感じないんですけど」
「言われてみれば私達も魂を喰らう『鬼』とやり合ってるし、改めて思い返せばそのスケールも納得かしら」
「前言撤回、スゲー事に関わり過ぎて感覚麻痺してないか?俺も割と波乱万丈な方だとは思うけどお前ら俺より年下だろ。どんだけ濃い人生送ってんだよ」
「ちなみにヴェインさんはお幾つなんですか?」
「俺か?俺は25、んでランちゃんは27だったな」
「いやそれで騎士団の団長副団長って凄くね?」
「そうかあ?」
「ヴェインさん、貴方感覚麻痺って言葉が華麗にブーメランしてるわよ」
騒動も一段落したからか、ほのぼのとした雰囲気である。
「ああっ!?待ってロスヴァイセさん!もうちょっと!もうちょっとだけ!」
「駄目です!長毛種の猫は毎日しっかりブラッシングしてあげないといけないんですよ!フウも待ってるんですから!ハクも少しはこっちに協力して下さい!」
「ニャ〜……」
「……あそこは平和ね。それでいてカナエは私達オカルト研究部最強というから世の中分からないものだわ」
「え、あの子そんな凄いのか!?」
「はい、元々相当な実力者だったのですが、少し前に規格外の先生に御指導頂いた結果、人間をやめました」
「朱乃!?変なこと言わないで!?」
「……否定出来ないわ」
「カナエ先輩、あの会談があった日の翌日は『猫は液体』状態になってました」
「リアスと小猫ちゃんまで!?」
ガーン!とショックを受けるカナエ。
それを見た一誠らも苦笑したりしており和やかな雰囲気の中、ランスロットと矢的が入ってきた。
しかし、その表情は神妙な面持ちだ。
「お、ランちゃんお疲れ!……何かあったのか?」
「ああ、ヴェイン……いや、何かあったというか、何もなかったというか……」
「???」
「……皆、心して聞いてくれ」
矢的が意を決した声色でその場の者達を見渡しながら言う。
この状態の彼はふざけた事を言うはずが無いと思ったリアス達はすぐさま静かになる。
「あの怪獣の花を配っていた少女を覚えているか?」
「ええ、確か自分からまた施設に戻ったのよね?」
「何もお咎めは無かったんですか?」
「ああ。確かに俺達はあの子があの場で言った事を聞いてはいたが、あの場にいなかった者達から花と蔦の関係を知らずに偶然そうなっただけかもしれないと言われてな……加えて、子供だからと。事が事だけにさすがに無罪放免はどうかと俺は主張したんだが……」
陛下は理解してくれたんだが、と溜息を吐くランスロット。
カール国王はランスロットだけでなく客人扱いだった矢的や被害者の証言なども考慮して、特別監視をつけるなどの案を出してくれていたのだが、多くの保守派が事なかれ主義だったため仕方なく元の施設へと送還するということで落ち着いてしまったというわけだ。
「だが、彼女は施設に戻る日になって忽然と姿を消してしまった」
「忽然と?一人で戻ったとか?」
「そうじゃない。施設には戻っておらず、街の外にも出た形跡はない。地下なんかも捜索したがそちらにも通ったような跡はまるで見当たらなかった」
「なっ……どういうことだよそれ」
「隠れている……というわけでもなさそうだな。いくら子供とはいえあの事件の事後処理のために騎士団員の町に出ている人数が増えている上、まだ何かあるかもと神経を張り詰めている団員が多い中を隠密技能もない子供がいつまでも姿を眩ませていられるとは思えん」
「ゼロガンダムの言う通り、それこそ『最初からそんな子供はいなかった』とでも言うんじゃないかと思うくらい痕跡も残さず彼女はいなくなったんだ」
さすがに気味が悪くなってきたリアス達。
そこにやってきたアザゼルが更に追い打ちをかけることになる。
「よう、全員揃ってるな」
「アザゼル先生、今までどこに?」
「いや、こんな事態になっちまったしよ、この際だからあの悪ガキの事をあらゆる観点から調べてみたんだよ。そうしたら度肝を抜かれるような結果にぶち当たってな」
「度肝を抜かれ……?」
「ああ、まず最初にあのガキは消えた時と同じように突然何事もなく現れたそうだ」
「それだけで度肝を抜かれるとか思ってねえよな?」
「当たり前だ。で、その次にあのガキがロックスポッド家に里子に出される前のファミリーネームはエルメキア」
「まさかその家って実は大金持ちとか!?」
「違う。だったら余程人格が腐ってなきゃ捨てはしねえだろ」
確かにそうだ。
ふう、と一息つくとアザゼルは続ける。
「で、だ。そのエルメキアって家系がここいらに無いか調べてみたら驚くほど簡単に見つかったぜ。なんせ一ヶ所に集中してたからな」
「マジで!?」
「それは何処なんですか!?」
「文献だよ」
「「「「「……え?」」」」」
「エルメキア家は当の昔に根絶やしにされてる。数千年前……確かこの世界で『覇空戦争』ってのが起こった頃にな」
覇空戦争――今よりずっと昔、空の世界で起きた空の民と星の民による大きな戦争。
アザゼルの言う通りそれは数千年前の出来事であり、当時を知る者はそれこそ星晶獣を除けば人外ないし超越した能力を持って何らかの手段で生きながらえている存在しかいない。
故に人間でそれだけの力があるならば何かしら噂になるはずだ。
「いや、ちょっと待てよ!?じゃああいつ、あの姿のままずっと生きてたってことか!?」
「あのなあ……さっき言ったばかりだろうが。その覇空戦争ってのでエルメキア家は全滅してるんだよ。当時の最後の当主……サナ・エルメキアも含めてな」
「「「「「な……!?」」」」」
サナ・エルメキア――サナと同じ名、里子に出される前と同じファミリーネームを持つエルメキア家最後の当主。
果たしてこれは偶然なのか。
「ど……どういうことなの?ただの偶然……にしては出来過ぎよね?」
「ああ、出来過ぎってのはあながち間違いじゃない。なんせエルメキア家ってのはある理由からその家名はタブー視されてるからな。辺境にでも住んでなきゃ名乗った途端この世界じゃ異端者扱いされるだろうさ」
「何故ですか、アザゼル先生」
「……エルメキア家は魂に干渉する特異な魔術、もしくは呪術を扱う家系だったと言われている」
アザゼルに続いたのは空の世界出身であるランスロットだ。
「魂に干渉って……?」
「ざっくばらんに言っちまうとな、未だ成仏出来ずに彷徨ってる霊魂だのを利用したり出来るとんでもない代物だ。こういうのはバラキエルの娘の……」
「姫島朱乃ですわ」
「朱乃だな、お前のが詳しいだろ。ついでにお前の師匠の死神だっけ?あの連中はもっと踏み込んだ知識があるんだろうが、タイミングが悪いっつーかここにはいねぇしな」
確かに卯ノ花や夜一、乱菊ら元護廷十三隊の隊長格に加えて元十刃のハリベルはそちらの専門家であるが、生憎この場にいないので仕方ない。
「先の話を正しく例を挙げる本来ならばこの世にいないはずの者達を使用・使役して超常現象を引き起こすことに長けていたというわけですわ。シャーマンやネクロマンサー……特に前者に近い能力ですわね」
朱乃がアザゼルの説明に補足する形で解説する。
そんな中で、トライスクワッドはある事件を思い出した。
そう、闇のベリアルが引き起こした第二次ベリアルの乱……その最中怪獣墓場で闇のベリアルがプラズマスパーク・コアとギガバトルナイザーを用いて凡そ100体の怪獣を復活させたあの事件だ。
「……その家系って怪獣の魂とかにも干渉出来たのか?」
「「「「「!!」」」」」
「おそらくはな。とはいえこの手の魔法や呪術は大抵術者の技量如何によって規模だの何だのは大きく変わるもんだ。怪獣レベルに干渉するとなればそりゃ相当な実力者だろう。加えて、その怪獣が強ければ強いほどな」
確かに怪獣使い――レイオニクスのレイやグランデ、そしてベリアルはレイオニクスの中でも最上級だ。
そのサナ・エルメキアがどれ程のレベルだったのかは不明だが、仮にあの少女がサナ・エルメキア本人だったとしてバサラを使役する程の実力者だったのだろうか?
「まあ、そんな感じで死者を冒涜するような術を当たり前のように使う連中が異端視されない訳がなく、同時に敵としては脅威だが味方に取り込んじまえばこれとない戦力となる。早い話が兵士が死んでもエルメキアの術がありゃ鎧なり人形なりに死者の魂を定着させて戦わせることが出来るからな。実質無限戦力の出来上がりだ」
「死んでも戦わせるって……」
「しかも出身の空の世界じゃ異端視されてるんだぜ?星の民側につかないはずがない……連中はそう思ってたんだろうがその目論見は外れた。恐るべきはエルメキアが異端視された真実、実際は死者の魂どころか生者の魂にさえ干渉出来たことさ」
その場にいた者は絶句する。
それは即ちエルメキアの者がその場にいるだけで生殺与奪の権利を完全に掌握されていると言っても過言ではない。
抵抗可能な者はいるだろうが、誰でもというわけではないだろう。
「エルメキアを手に入れようとした星の民は支配下にあった星晶獣を脅しに使い恭順させようとしたが、それが裏目に出た。エルメキアは脅しに使ってきた星晶獣の魂に干渉し、逆に星晶獣を奪いそれを使って油断していた星の民の一軍を壊滅。これに危機感を覚えた星の民は星晶獣ではなく極めて原始的な方法でエルメキアを全滅させたのさ。つまり、大量殺戮兵器の導入……こっちで言う毒ガスや核みたいなモンを使ったんだろう」
「なんて壮絶な……」
「ただまあ、もうだいぶ前の話だからな。文献も全部が全部本当かは眉唾ものだが、今回の事件を踏まえると信憑性はかなり高いぜ?あの怪獣が一度復活するとき読経とか言うのが聴こえただろ。俺も寺に顔出しするから良くわかるんだよ……おい、どうした揃いも揃って固まって」
一通り説明をしたアザゼルを全員が驚きの表情で見ていた。
それもそのはず。
「「「「「あのアザゼル(先生)が物凄い真面目かつ詳しい調査と説明をしていた……!?」」」」」
「さすがに泣くぞお前ら!?お前らの中で俺は一体どんな奴になってんだよ!?」
「セクハラ総督」
「不真面目教師」
「駄目上司ですわ」
「「「1ターンキル」」」
「どれもこれもロクでもないじゃねーか!そしてそこのウルトラマン三人は何でその単語をっていうか何であの事を知ってんだ!?」
「え、レジェンドと束博士が言ってたけど」
上からカナエ、リアス、朱乃にトライスクワッド。
しかもトライスクワッドに至ってはシミュレーターで瞬殺されたことまで知られていた。
「ったく……結論から言うとだ、あのガキが件のサナ・エルメキアかどうか分からん以上、今回の件はここで終わり。これ以上深入りしたところで泥沼にハマるだけだ」
「じゃあ……あの子がタイガの親父さんのことを知っていたのは?」
そう、誰もが気になっていたことだ。
何故空の世界を訪問したことのないウルトラマンタロウを彼女が知っていたのか。
「俺もそこが分からねえ。怪獣の方は怨霊云々でもまあ納得は出来るが、そもそもウルトラマンと無縁だったこの世界で何でタロウの名前が出てくるのか皆目検討がつかん」
「そういえばタイガ……貴方、気になることを言ってたわね。捨て子塚って」
「あの塚のことか。確かにピッタリなネーミングだな」
ランスロットは腕組みして頷くが、そこでハッとなる。
あの時、タイガはそれを言った直後に怪獣の出現を知っていたように蔦から離れろとも言った事を。
「待てよ……!タイガ、君はあれが怪獣の一部と知っていたのか?」
「知っていたっていうより、状況が積み重なって昔父さんが話してくれた自分の体験談を思い出したんだ」
「状況が積み重なるだ?タロウは今回と同じような事件に関わった事があったってのか?」
「多分だけど」
タイガはタロウが話してくれた実体験を皆に話す。
岩坪かなえという、サナと似た少女の経歴やしたこと、そして現れた怪獣や事件の顛末までも同じだったことを。
「何だよそれ……!今回の事件と殆ど一緒じゃねえか!」
「岩坪かなえ……か。私と同じ名前ね」
「カナエ、今はそこじゃ「ただ、私は恵まれた方みたいだけど」え?」
「ほら、私としのぶの両親は鬼に殺されたって話したでしょ?でもその時に私達を助けてくれた人がそのまま私達を引き取ってくれたの。おかげで私やしのぶは鬼狩りになれたわ。でも、その子はそうじゃない。引き取られた先でも上手くいかなかったのよね」
誰も彼もが引き取られたとして幸せになるとは限らない――改めてその現実を突きつけられた。
身近な存在だとパム治郎。
サーガに助けられ、杏寿郎という熱く優しい新たな主に引き渡されたが、これが二人ではなく欲にまみれた悪人であればどうなっていただろうか。
「にしても、それだけでタロウを知っているというのは少し弱いのではないか?」
「旦那の言う通……あれ?タイガの親父さんが地球に留まって活躍したのってかなり昔だよな。さすがにその子は死んで……」
「おい、まさかその岩坪かなえってのが転生してサナ・エルメキアになって、それで今回の事件を引き起こしたってのか?」
「確かにそう考えれば辻褄は合うが……」
「いや、死んだその子の姿をサナってのが借りて心を代弁したとかは……」
「だからそもそもあの子がそのサナ・エルメキア本人と決まったワケじゃ……」
「あーもう!余計にわけわかんなくなってきた!もう終わり!おしまい!」
さすがに場が収集つかなくなりそうだったことも含めて、一誠が強制的に話を打ち切った。
「たださ、どっちの子にも言えることはどっちも世の中を憎んでたってぐらいかな」
「憎んでた?」
「片方はその能力故に異端視されて、もう片方は親の都合で捨てられて……どっちも生きていく上での自由や権利を奪われてるようなものだしさ」
「それで他人のそれを奪っちゃいけないけど……そこは同情、いやこれから生きていく上で俺達が取り組まなきゃいけない問題だと思う」
直接サナから言葉をぶつけられた一誠とタイガは、彼女のやり方こそ否定しても彼女が内に秘めたものは少なからず理解していた。
自分達が恵まれていたのは確かに事実だと。
そんな彼らを見てその通りだと皆が頷く。
謎を幾つも残したままとはいえ、とりあえず事件が終わったことにホッとする一行。
だが、カナエがボソリと呟いた一言で、変な方向に問題はシフトする。
「けど今回はホントに怪奇事件だったわね〜。まさにオカルト……ん?私達オカルト研究部よね、表向きにしろ」
「ええ、そうよ。本来は悪魔稼業のための隠れ蓑的なものだったんだけど」
「い〜ことに気が付いたなあ、お前ら」
アザゼルが先程までとは打って変わり嫌らしい笑顔になったことで、またロクでもないことを考えていると踏んだリアス達だったが……。
「一応にせよ何にせよ、そういう名前で部活として届け出てる以上、それに見合った活動実績は残す必要がある。ましてや元の世界の学園には夏休み期間中丸々合宿って言ってあるんだからちゃあんと結果も出さなきゃならねえ」
「な、何が言いた……まさかぁっ!?」
「察したみたいだな。そういうわけだ、この異世界修行中に遭遇したオカルト事件は全て、自分達の考察を含めて記事として纏めろ!マジで年単位の長期に渡る修行でそれこそ忘れた頃に元の世界の夏休み終了後の新学期に提出出来るようにな!!」
「「「「「ぎゃあああああ!!」」」」」
普通の夏休みの課題はあれど問題はなかったが、まさかある意味最も難易度が高いものが追加されて絶望するオカルト研究部一行。
「カナエ!どうするのよ!貴女の一言でとんでもない課題が出されたじゃない!」
「私が言わなくても絶対出されてたっていうか、最悪夏休み終了間際に言われてたわよ!?」
「はは、参ったな……」
「修行、集中出来るか分からなくなりました……」
「師範のことだ、やらないとまた修行がハードに……!」
「あらあらうふふ」
「畜生……!朱乃さんの鋼メンタルが羨ましい……!」
「ちなみにライザー・フェニックスとのレーティングゲームに備えてお前らが修行していた間は矢的が一人で代筆してくれてたそうだぞ」
「やるわよ皆!矢的先生にこれ以上負担はかけられないわ!!」
「「「「「おおーっ!!」」」」」
「だから矢的が絡むと何で急に反応変わるんだよお前らは!?」
アザゼルが何度目か分からぬ自分と矢的の扱いの差に嘆きつつ、漸く本当の意味で元の彼らが戻ってきた。
今回の事件で残った謎がいつか解決されるのか、それとも迷宮入りするのか……今はまだ分からない。
ただ一つ分かるのは……
窓の外に浮かぶサナが笑顔ではなかった事だけだ。
〈続く〉
ぶっちゃけ原作でも名前のわりに殆どオカルトとは無縁だったオカルト研究部に漸くそれっぽいモノと関わらせてやりました、今回。
前後編は本作ではジード初登場の回以来でした。
ラスト普段通りに……と思った矢先に最後の最後でぶち込みましたけど。
次回からは本作いつものノリで全員合流に向けて動きます。
新キャラやこのタイミングで再参戦する懐かしの方々も出ますのでどうぞご期待下さい。
それではまた次回。
……バレンタイン特別編、どうしようかな。
二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?
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真ゲッタードラゴン(大決戦版)
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真・ゲッター1(スパロボα仕様)