ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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お待たせしました。
サブタイ通り、彼らが漸く前へと進みます。
さらに、まさかの人物が重要な役割を……。


それでは本編をどうぞ。


恐怖を乗り越えて

 正午までは時間がある――

 

 そう考えた一誠達は、ダ・ガーンに頼んでダ・ガーンジェットでエリアル・ベースへと向かうことにした。

 出発直前、グランに呼び止められ自分も連れて行ってほしいと頼まれたので、彼を連れエリアル・ベースへとダ・ガーンジェットは飛ぶ。

 

 そして、エリアル・ベースでは作戦に参加しなかったギャスパーが、聖勇者と名乗る光・バーンと邂逅していた。

 

 

 

 

 その頃、スカイ・ガーディアン・エージェンシーが建設したシェルター施設にて、かの重役が避難してきた住民達に説明している。

 その隣には、何かを思い詰めるような表情でエルミデ博士が俯いていた。

 

 そして――

 

 

「皆さん、大丈夫でしょうか……」

 

「大丈夫。レジェンドがいる」

 

『こちらも問題はあるまい。何故なら我がいるからな』

 

 

 万が一、シェルター内で何かあった時に備え、一般人に紛れ込んでアーシア、オーフィス、マジンガーZEROがスタンバイしている。

 一応ゴモラとゴジラもいるが、場所的にも下手に出したら混乱を招きそうなので今回はお休み。

 

 

「このシェルター内にいれば絶対に安心です。ですので――」

 

 

 重役はコアトリクエの件の汚名返上をするべく、いかにこの施設が安全かと説明しているが、アーシアとしては一度クリオモス島でネオマキシマ砲の威力を目にしている。

 あれを直接撃ち込まれでもしたらひとたまりもないのではないか……そう思わずにはいられない。

 

 

(勝利すること以上に……皆さんが無事でありますように)

 

 

 

 

「改めて見ると圧巻ですね、ウルトラ騎空団……」

 

「ああ……しかもこれで戦力の一部に過ぎないらしい。我々秩序の騎空団でも太刀打ち出来ないのがひしひしと伝わってくる。味方で良かったというしかないな」

 

 

 リーシャとモニカがそう話していると、グレイフィアとセラフォルー、ガブリエルにティアマットが飲み物を配りにやってきた。

 

 

「お疲れ様です、お二方。冷たい飲み物をお持ちしましたので、戦前に一息入れて下さい」

 

「甘いお菓子もあるよ☆」

 

「逆に甘さ控えめのもありますよ〜」

 

「それはともかくオーフィスがいませんね。まさかと思いますがグランティードに隠れてるんじゃ……!?」

 

 

 ティアマットが何やら言っているが、彼女がグースカ寝てる時に一通り説明を受けていたグレイフィアらはスルーしている。

 モニカが少し周りを見渡してみると、ウルトラ騎空団の……というよりレジェンド一家の女性陣の姿が多い。

 

 

「しかし……何というか、女性の比率が多くないか?」

 

「ヒリュウ改に乗艦しているのは殆どがレジェンド様縁の方々ですので。男性の方もいらっしゃいますよ」

 

 

 ほら、とグレイフィアが指差した先には既にIDアーマーを纏い、その状態で命と一緒に食事をとっている凱、同じくジャグラー作の牛丼を揃って食べているサギリとジャグラー本人。

 さらに、ニコニコ笑顔で弁当を頬張る蜜璃を優しく見守る小芭内に、何よりレジェンドの周りにはアマリ、ルリア、アズを中心に黒歌や夜一、ロスヴァイセなど女性だらけ、しかも美女美少女ばかりときた。

 

 

「……リーシャ、目的までの距離は遥かに遠いぞ」

 

「ええっ!?いきなり何ですかモニカさん!?」

 

 

 ちなみに何かを感じたアーシアとオーフィスが、シェルター内でダブルぷんすこーモードになっていた。

 

 

 

 

 エリアル・ベースに到着した一誠やグラン達は、それぞれ目当ての人物の捜索に入る。

 グランが探している人物は普段クロガネにいるのだが、レイトの様子を見る為にエリアル・ベースに出入りしているとオルガに聞いたのだ。

 

 そして、その人物とは――

 

 

「……いた!すみません!」

 

「ん?グラン君?チーフ達とロアーヌ島に行ったんじゃ……」

 

「そうだったんですが、どうしても聞きたいことがあったんです!ミライさん!」

 

 

 ヒビノミライ――ウルトラマンメビウスである。

 

 

「僕に聞きたいこと?」

 

「はい!ティガの……ウルトラマンティガのこと、僕に教えてくれませんか!?」

 

「え?」

 

 

 

 

 同じ頃、エリアル・ベースの別の場所では、一誠とトライスクワッド(主にタイガ)がリアスの言っていた人物を探していた。

 

 

「……なあタイガ、そっちは部長から誰が来たのか聞いてるか?俺はその……レジェンド様に聞こうと思ったけど、とてもそんな空気じゃないし」

 

「いや、俺も……何か『会えばすぐに分かる』って、リアスはレジェンドから言われたらしいけど、それ以上のことは……」

 

「とは言うが、エリアル・ベース内はかなり広い。とても全区画を探し回っている時間は無いぞ」

 

「だよなあ……うっし!じゃあ二手に別れようぜ!俺と旦那で組んで探すから、そっちはイッセーとタイガな!」

 

「「え!?ちょっ……待っ……!」」

 

「健闘を祈る!」

 

「頑張れよー!」

 

 

 何故か猛スピードで走り去っていくタイタスとフーマを見ながら、一誠とタイガは互いに顔を見合わせ溜息を吐く。

 

 

「……地道に探すか」

 

「そうだな……」

 

 

 肩を落として二人が歩き始めて少しすると、売店が見えてくる……が、そこでその売り子を見てタイガが指差して驚いた。

 

 

「あああああ!!」

 

「うわっ!?いきなり何だよタイガ!マジでビビったぞ今の!」

 

「わ、悪い……でも!あそこにっ……!!」

 

「え?あそこって売店……」

 

「いらっしゃいませー!!」

 

 

 そこで声を張り上げてお辞儀していたのは――

 

 

「何やってるんですか!?ゼアス先輩!!」

 

「へ……?先輩……?」

 

 

 朝日勝人――銀河遊撃隊ベテラン勢に名を連ねる、ウルトラマンゼアスその人であった。

 

 

 

 

 一方、指定時刻の迫るロアーヌ島では、モニカやリーシャら秩序の騎空団を始めとした他の騎空団に見守られながら、レジェンド達が最終確認と準備を進めている。

 

 

「デスフェイサーは俺がグランティードで応戦する。他の機体は少なくとも空の世界で一度は出撃しているため、奴らに情報が行っている可能性が高い。グランティードはこの世界において初出撃となる上、サイズ的にもデスフェイサーと互角だ」

 

 

 トリガーを圧倒したデスフェイサーに対抗するのはレジェンドとゼットの駆るグランティード。

 

 

「次に、ウルティノイドゼロとやらの相手はコンパチガリバー。攻防に優れ単独で空中戦が可能な機体というとガオファイガーと迷ったが、単機で射程面も問題無いガリバーの方に任せたい」

 

「妥当なところだな。ガオファイガーはどちらかというと近接戦闘に持ち込んでからが勝負だから、あの高機動な奴とは相性が悪い」

 

 

 ウルティノイドゼロの相手はC.C.の操るコンパチブルガリバー。

 

 

「そして一番の問題であるダイナ……その相手を務めるのはソウルゲイン。パイロットの動きをダイレクトにトレースするソウルゲインならば、ダイナのタイプチェンジにも臨機応変に対処出来るはずだ」

 

「責任重大にゃ。頑張ったら御褒美出るにゃん?」

 

「頑張りと褒美内容によって考えんでもない」

 

 

 そしてウルトラマンダイナと激突するのはゴーデスマガオロチとの戦いでも奮闘したソウルゲイン。

 

 この3機が相手の主力を相手取り、他のメンバーはその援護か円盤群らの対処に回ることになる。

 

 

「ロードドラグーンは機体性能もパイロットの腕も文句無しのエース機だ。機動力もあるため空中・地上の遊撃に回ってくれ。サイバスターはその随伴だ」

 

「心得た」

 

「わかりました!」

 

 

 両機とも高水準でトータルバランスが優れているため、ロードドラグーンとサイバスターは遊撃部隊に。

 

 

「マスターフェニックスとベルゼルートはコンビネーション前提で開発されたわけではないが、見事な連携が光る。この2機は組んで行動してもらう」

 

「OK!さすがレジェンド様、話がわかるわね」

 

「まあ、素人と組むよりサギリと組まされる方が好きにやれるしな」

 

「……何というか……私の疎外感が半端ないのじゃ」

 

 

 そんな九重をレジェンドが撫でて慰めつつ、ジャグラーとサギリは(とりあえず)打ち合わせ開始。

 

 

「ガオファイガーはビッグボルフォッグ、そしてヒュッケバイン30を随伴させ、地上での迎撃を頼む。逆に空中は先に言った遊撃部隊やジャグラーとサギリに任せる形になるからな」

 

「了解!俺からも頼むぜ二人とも!」

 

「お任せ下さい、凱機動隊長。アズ隊員もよろしくお願いします」

 

「は、はい。よろしく……」

 

 

 まだ若干緊張気味のアズだが、ヒリュウ改で過ごした日々から凱やボルフォッグが悪い人ではないと理解しているため、幾分気は楽である。

 

 

「最後にヴァングレイとゼルガードはヒリュウ改の護衛だ。飛行可能で射程的にも様々な局面に対応可能な2機は、パイロットがまだ実戦慣れしていないことも考慮してそちらに回ってもらう。とはいえ、皆の帰る場所を守る重要な役目であることを忘れるな」

 

「「「は、はいっ!」」」

 

「今回、私はヴァングレイだけでなくゼルガードのバックアップにも回ります。姉さん達は戦闘に集中して下さい」

 

 

 レジェンドの指示に千歳、アマリ、ルリアは身を強張らせて返事をし、それを解すようにナインがフォローを入れた。

 

 そして一通り指示を出し終えたレジェンドは周りを見渡し、一誠やグラン達が不在なことを確認して目を伏せる。

 

 

(……やはりダ・ガーンがいない。まだ戻ってきていないか。戦闘終了まで戻らんと思った方がいいかもしれん)

 

 

 目を伏せる直前、リアスを始めとしたオカルト研究部やジータらグランサイファー組の様子を見たところ、やはりというか大半が沈んだままだ。

 ただ、リアスやジータといったリーダー格の者はしっかり元の調子を取り戻している。

 メンバーをまとめなければという使命感や責任感からなのか、それともここにいない彼らを信頼しているからかは分からないが、理由はどうあれ気力が戻っているなら問題はない。

 

 

(俺達は俺達の成すべきことを成す。お前達はお前達が望む答えを見つけ出せ。それが今やらねばならんことだ)

 

 

 レジェンドはネオ・グランゾン搭乗時のコート姿ではなく、もはや見慣れたジャケット姿でグランティードのコックピットへと向う。

 

 若き勇士達が舞い戻ることを信じて。

 

 

 

 

 ――エリアル・ベースの一室――

 

 ギャスパーはバーンと名乗る光の玉と会話している。

 

 

「君の名前は?」

 

「ギ……ギャスパー・ヴラディですぅ……」

 

「そうか、ギャスパーか。では、ギャスパー……今この【エリア】で起こっている事態の数々を解決するため、君の力を貸してほしい」

 

「えええええ!?無理っ!無理ですぅ!僕には出来ませぇん!!」

 

 

 そう言って毛布に包まりブルブル震え出すギャスパー。

 あまりの怖がり様にバーンも困惑するが、根気よく説得を続ける。

 

 

「頼む、ギャスパー。君にしか頼めないことなんだ」

 

「絶対に無理ですぅ!そもそも何で僕なんですかぁ!?この騎空団には僕なんかより凄い人が山ほどいるのに!!」

 

「君でなければならない理由……それは君が『勇気』を持っているからだ。ただの勇気ではなく、私と同じ波長……『勇気』を司る聖勇者である私と同じ波長を持つ君でなければ、私は力を発揮することが出来ない」

 

「!!」

 

 

 勇気を司る聖勇者――彼の勇者とは、オーブやタイガのようなウルトラマン達ではなく、ダ・ガーンや凱達を例えるのと同じニュアンスで彼は言っているのだろう。

 ギャスパーとしてはそう言われて驚きと、少しの嬉しさがある反面、自分にそんなものはないと思っている。

 

 

「……僕は、勇気なんてありません。今まで外に出れたのだってリク兄さんがいてくれたから……リク兄さんが引っ張ってくれたからだったんです」

 

「…………」

 

「でも……!色んなものをくれたリク兄さんがやられた時、泣き叫ぶばかりで僕は何も出来なかった!そんな僕に勇気なんてあるはずないんですっ!!」

 

 

 黙って聞いていたバーンだったが、ある時ある存在に言われた言葉を思い出す。

 

 

――バーン、『優しさ』もまた勇気の一つだ。心が強くなければ優しくはいられない。仮初の優しさではなく、心から誰かを思いやれる優しさを持つ者は、即ち本当の勇気の持ち主……『勇者』であることを覚えておけ――

 

 

 マントを翻し、大いなる存在はそう彼に教えた。

 

 

「ギャスパー、よく聞いてほしい。私はかつてある人物からこう言われたのだ。優しさは勇気……そして、心から誰かを思いやれる者は勇者だと」

 

 

 バーンの言葉に顔を上げ、涙を流しながらもバーンを見るギャスパーに、バーンは続ける。

 

 

「君は今、そのリクという者のために涙を流している。自分のためではなく、他人のために、心から。それは紛れもなく優しさ……つまり勇気を持っている証になる」

 

 

 他人のために――そう言われたギャスパーは、バーンがある存在から教わったことを思い出したように、リクからの言葉を思い出した。

 

 

――皆を、頼んだよ――

 

 

 思えば、ギャスパーの優しさに誰より早く気づいてくれたのはリクだった。

 優しさは勇気――リクはそれに気づいていたのだろう、だからこそあの言葉と共に、皆を託した。

 ここでまた引きこもれば、それこそリクを裏切ることになるのではないか――そう考えたギャスパーは、一歩踏み出してみる。

 

 

「僕は、一人じゃ何も出来ません……」

 

「ギャスパー……」

 

「……だから……」

 

 

 ――僕と一緒に頑張ってくれますか?

 

 

 ギャスパーが続けた言葉にバーンは感無量であった。

 そう、この言葉を待っていたのだ。

 自分もまた一人では万全の力を発揮出来ない、故に必要なのは助け合い、共に戦う者。

 

 

「勿論だ。私もまた、一人ではこれからの戦いをくぐり抜くことは出来ない。君が私の力になってくれるように、私も君の力になろう」

 

「……ありがとうございますぅ」

 

 

 まだ目に涙を堪えた状態ではあるが、ギャスパーが毛布から出てきた。

 そんな彼に、バーンはまずある提案をする。

 

 

「そうだ、まず私が活動するための身体をイメージしてほしい。このままでは満足に戦うことも、君をサポートすることすら出来ない」

 

「身体をイメージ……」

 

 

 そう言われてギャスパーに思い浮かべたのは一誠……というか、彼絡みの勇者であるダ・ガーン。

 青いボディでパトカーに変形し合体もする巨大なロボット……そして主はドラゴンに因んだ神器を――。

 

 

「……わかりましたぁ!」

 

 

 その後、ギャスパーがイメージした姿で実体化したバーンは、ギャスパーと一緒に至極満足していた。

 

 後は、共に進むのみ――。

 

 

 

 

 ミライに買ってもらったコーヒーを飲みつつ、グランは対面するよう、テーブルを境にして椅子に腰掛けた。

 

 

「それで、僕に何を聞きたいのかな?僕よりチーフや、同じ遊撃隊所属のメンバーに聞いた方が参考になると思うけど」

 

「それは……レジェンドさんは今一番忙しいし、最初はムサシさんにお願いしたんですが、そうしたらミライさんに聞いた方がいいと。えっとヨコハマ……とかいう場所でティガと一緒に戦ったって」

 

「ああー……」

 

 

 ヨコハマ――つまり横浜での戦いと言えば、黒い影法師やギガキマイラと戦ったことを思い出したミライ。

 平行世界でのティガ――即ちダイゴのことが絡んでいるのだろうと予想したミライは、改めて何が知りたいのか問うと……。

 

 

「……もし叶うなら、僕はティガに会いたい。会って直接問い質したいんです。どうして世界を滅ぼすような相手に勝てたのかと。何故そんな無敵のような強さを持っているのかって」

 

「……僕は彼じゃないから何とも言えないけど、ただ一つ言えるとしたら彼はきっとこう言うよ。『僕は決して無敵なんかじゃない』」

 

「え?」

 

 

 どうして、という顔をしているグランに、ミライはあの時の戦いを思い出しながら続ける。

 

 

「ティガが勝てたのは、その本質が『光』だったからだって、チーフは言っていたよ。僕もそれをあの戦いで実感した。そしてもう一つ……」

 

 

 ミライは地球に来たばかりの頃、何度か変身して怪獣と戦ったあたりでレジェンドから叱責されたのだ。

 

――自惚れるな!まだ地球での実戦経験の浅いお前が、一人で全部守れるとでも思ったのか!!――

 

 自分はウルトラマンだから――そう思って身の丈に合わぬ無茶をしてレジェンドに窮地を助けられ、延々と説教されたのは今や懐かしい思い出。

 

 

「彼もだけど、僕も……そして、君も。『一人じゃない』ってことをちゃんと理解することが一番だと思う」

 

「一人じゃ、ない……でも、僕は」

 

「ウルトラマンだから」

 

「ッ!」

 

「僕も最初はそう思ってた。でも、チーフに言われたんだ。戦ってるのはお前だけじゃないって」

 

 

 そう言ってミライが懐から取り出して見せたのは、コーティングしてまで大切に持っている一枚の写真。

 ミライとレジェンド、そしてCREW GUYSの皆と取った思い出の一枚だ。

 

 

「この人達は……?」

 

「僕やチーフと一緒に戦ってくれた仲間達だよ。多分……もう二度と、会えないだろうけど」

 

 

 グランはミライの目が少しばかり潤んでいるのが見えた。

 

 

「会えないだろうけど……サコミズ隊長やリュウさん、皆との思い出は決して僕やチーフの記憶からは消えない。消させもしない」

 

 

 ――サコミズ隊長もコウガミチーフも、何で揃って耳かきしてるんですか?――

 

 ――ミライ、お前時々すっごいストレートに聞くよな――

 

 ――耳が聞こえないと困るだろ?っていうのは建前でこの耳かき棒が奥に届く感覚がこう……――

 

 ――サコミズに同じ。よし、本日はCREW GUYS耳かきデーということで全員耳掻きな――

 

 ――ちょっチーフ!?何がよしなんですか!?――

 

 ――お前らは知らんだろうがな、タロウと共に戦ったZATはこんなん日常茶飯事だぞ。カツ丼食ったからってその日のスカイホエールでのパトロールに駆り出された俺が言うんだ、間違いない――

 

 ――何ですかその理由!?――

 

 ――テッペイ、お前でも初耳だったのか――

 

 ――チーフ、リムエレキングの耳ってどこですか?――

 

 ――そしてコノミは何聞いてんの!?――

 

 

 真面目な時もあれば、レジェンドとサコミズがタッグを組んで妙なことをしたり、色々あった。

 一人では体験出来ない経験ばかり……それはやはり仲間がいたから。

 

 

「グラン君、君にもいるよね。大切な仲間が」

 

(そうだった……ウルトラマンになったことで僕は変に気負い、自惚れ、慢心して……一人で何でも出来ると思い込んでた。でも違うんだ)

 

 

 生身でもウルトラマンとしても雲上の存在なレジェンドやサーガを筆頭に、他のウルトラマンと比べて自分はまだまだ未熟もいいとこだ。

 なのに、自分を助けようとしてくれていたイオにキツいことを言って大怪我を負わせるような事態を招き、それが原因で拗ねて、ジータにも反論した。

 結局、ジータや皆が言うように一人で背負い込んでいただけ。

 

 

「……決まったみたいだね」

 

「……はい」

 

「最後にあと一つだけ。どれだけ小さな光でも、集まればどんな闇をも吹き飛ばすことが出来るんだ。君には共に歩み、支えてくれる人達がいる。支えるだけじゃない、支え合うことこそが、本当の仲間だってことを忘れないで」

 

「はい!ミライさん、ありがとうございました!」

 

 

 勢いよく頭を下げて礼を言い、晴々とした表情で部屋を飛び出すグラン。

 

 

(戦いはまだ終わっちゃいない!今度は……皆と一緒に!!)

 

 

 

 

 一誠とタイガは、店番を交代してくれる人物に売店を任せた勝人と、飲み物片手に話していた。

 

 

「何か僕もチーフに呼ばれてこっちに来たけど、何があったの?あ、君は初対面だよね。僕は朝日勝人、ウルトラマンゼアス」

 

「あ、俺は兵藤一誠です」

 

 

 軽い自己紹介の後、一誠とタイガは口籠る。

 だが、勝人は似たような経験をしたからか二人が抱えている問題を言い当てた。

 

 

「もしかして、何かと戦うことが怖いってところかな?」

 

「「!!」」

 

「当たった。割と当てずっぽうだったのに」

 

 

 何故か言った本人が一番驚いていた。

 そこらへんがゼアスらしさというか、何というか。

 

 

「ど……どうして分かったんですか?」

 

「僕もね、以前一度負けてそんな状態になった事があるんだ」

 

 

 あれはウルトラマンシャドーとの初戦。

 最初は互角の戦いだったが、シャドーメリケンパンチで片目にダメージを食らわされ、続く光線技対決で撃ち負けた。

 光線技の撃ち合いはともかく、パンチの方はゼアスにとってトラウマとなり、同じ動作をした子供にさえ怯えるぐらいだったのだ。

 そんな時に出会ったのが、正道会館。

 

 

「昔から僕は自分に自信が持てなかった。ああなったらどうしよう、こうなったらどうしようっていつも考えてた」

 

「「…………」」

 

「そんな僕に、父さんはこうメッセージを伝えてきた。『心を鍛えよ』」

 

「心を……」

 

「鍛えよ……」

 

 

 二人は勝人が言ったそれを反芻する。

 

 

「それから僕はある場所である人達に出会い、特訓して……やっと自分の力を信じれるようになったんだ。僕ならやれるって」

 

 

 有り得ない高さの玉を蹴りで割れ――それこそレオのような格闘家でもなければ、タロウのような恵まれた身体能力を持つわけでもなかった、しかも生身でそれをやれと言われた勝人は当然無理だと思った。

 だが、彼にそれを命じた師範はなんと人間の身でありながらそれを実践してみせたのだ。

 

「やれば出来る」

 

 その言葉を胸に、何度も折れそうになったことはあったが――勝人はやり遂げた。

 実はこの朝日勝人、あのバグキャラ呼ばわりされているゲンを、なんと正攻法で追い詰めた人物なのである。

 亡き偉大なる師範代から着想を得て、得意技となった踵落としたるや一撃でゲンの意識が飛びかける程だったという。

 

 

「僕がまた自信を持てたのは特訓だけじゃない。僕を信じ、応援してくれる人達がいたからなんだ。たとえ笑われても、バカにされても、その人達がいるから頑張れる」

 

「応援してくれる、人達……」

 

 

 一誠の言葉に、タイガもまた考える。

 リアスは今のような状態になっても自分達を見捨てなかった。

 それどころか、こうして勝人――ゼアスと会わせ、現状を打破する切っ掛けになればと考えてくれている。

 彼女だけではない。

 タイタスやフーマ、ドライグにダ・ガーン、そしてオカ研のメンバーを始め、二人を信じて待っている者達が大勢いるだろう。

 

 

「自分達だけで乗り越えなくたっていい。逆に皆で乗り越えれば、苦しみだけじゃなく喜びだって分かちあえるはずだよ」

 

「「!!」」

 

 

 自分達だけじゃなくていい――勝人の言葉は二人にとって本当の切っ掛けになった。

 何故、自分達だけがダイナと戦わなければなどと考えていたのか。

 自分達がダイナと――アスカと親しくなったから止めなければ、戦わなければと無意識に考え過ぎていた。

 洗脳されているなら解除が可能な者に解いてもらえばいい、人質をとられているなら自分達が囮になって時間を稼ぎそのスキに救出してもらえばいい……助け合えばいいという簡単なことだったのだ。

 

 

「そう……だよな。駄目だなあ、俺……いっつも強くなったら思い上がっちまう」

 

「俺も……何で、どうしてって考えるばかりで、自分達で何が出来るのかは考えても、他の皆が何が出来るのかって考えてもいなかった」

 

「……もう、大丈夫だね」

 

「「はい!ありがとうございました、勝人(ゼアス)先輩!!」」

 

 

 笑顔とガッツポーズで返してくれた勝人に、二人もまた同じように返す。

 

 

「よし!今から急いで……」

 

「あ、待って二人とも!」

 

「「?」」

 

「行く前に、会っていった方がいい人がいるんじゃないかな」

 

 

 勝人は変わらぬ笑顔で言う。

 

 

 

 

 

 二人がそこを訪れた時、そこにはタイタスとフーマ、グラン、そして――

 

 

「「ギャスパー!!」」

 

「イッセー先輩、タイガさん……僕も……僕達も行きます!リク兄さんに、胸を張って『おかえりなさい』が言えるように!」

 

「よく言ったぜギャスパー!……で、その肩に乗ってるダ・ガーンみたいなのは?」

 

「ギャスパーのパートナーになった、バーンだ。以後よろしく頼む」

 

「もしかして勇者系か!」

 

 

 心強い仲間が意図せず増えた事に一誠らは喜ぶが、それも程々にやってきた場所――イリナ、イオ、レイトのいる病室へと入室する。

 

 中ではイリナとイオが未だ意識不明のままであり、レイトは――

 

 

「よう……ちょっとはマシな顔になったじゃねえか……」

 

 

 弱々しくだが、声をかけてくれた。

 

 

「先輩……!」

 

「ゼロ隊長……すみませんでした!」

 

「あんまデカい声出すなよ……結構傷に響くんだぜ……」

 

 

 笑いながらそういうレイトに、また少しばかり心が軽くなった。

 

 

「俺のことは気にすんな……自分が望んでやったことだし、お前らが悩んで当然だと思ってる」

 

「「…………」」

 

「そんなお前らに朗報だ……今度アイツが出てきた時、アイツの腕を見てみろ。そこにお前らが望む答えがある……!」

 

「「!?」」

 

 

 レイトが言った言葉に二人が、いやタイタスらも含め全員が目を見開く。

 そんな彼らを見つつ、レイトは続けた。

 

 

「アイツにやられて……その瞬間、頭が妙に冴えちまったんだよ。俺やタイガのはウルティメイトブレスレットやタイガスパークに一体化してる上、当たり前のものだったからすっかり失念してたぜ……!」

 

「先輩のや、タイガのは一体化……?」

 

「「「……まさか……!」」」

 

 

 トライスクワッド三人はレイトが言っている意味に気がついた。

 

 

「あとはお前ら自身で確かめな……その方がいいだろうし……時間も迫ってんだろ」

 

 

 ちゃんとそっちにも挨拶していけよ、と言うとレイトは目を伏せる。

 

 そっち――つまり、イリナとイオだ。

 一誠とグランは頷き合い、それぞれと関係する少女に告げる。

 

 

「行ってくるぜイリナ。この間のこと、ちゃんと謝りたいからさ。俺達も勝ってくるから、お前も負けんなよ」

 

「イオ、僕はもう逃げないよ。自分からもあいつらからも。それに……君に怒られたり、嫌われたりすることからも。しっかり向き合うから、次は起きててほしい」

 

 

 二人がそう言い終わると、タイタスやフーマが声をかけた。

 

 

「皆、覚悟は決まったな。格納庫でダ・ガーンが待っている」

 

「へへっ、やっとやる気になったのかよ。こっちは待ちくたびれたぜ」

 

 

 そんな二人は来た時と同じく、我先にと格納庫へと走って行き、一誠らも負けじと急ぐ。

 

 

 

 

 

 格納庫ではタイタスの言葉通り、ダ・ガーンがダ・ガーンジェットのまま待機していた。

 いつでも飛び立てるように――そして彼だけではない。

 

 

「や、一誠ちゃんにタイガちゃん。それにグランちゃんにギャスパーちゃん……と、誰……?」

 

「バーンだ」

 

「オッケー、バーンね」

 

「シエテ団長代理!?」

 

「何で!?」

 

「いや、ちょっと連れて行ってほしいメンバーがいてね。皆腕利きばかりだから、立派な戦力になってくれるはずだよ」

 

 

 格納庫で待っていたシエテから紹介されたのは、フェードラッへで世話になったランスロットにヴェイン、それにレヴィオン騎士団団長のアルベール、加えてレジェンドガチ恋勢の一角で十天衆クラスの実力を持つナルメア。

 たった四人だが全員が紛れもなく凄腕の面々だ。

 

 

「相手が相手だけに俺達が行って役に立つとは言い切れないが……」

 

「あの時の怪物相手に使わなかったファイアバスターを使う時が来たぜ!」

 

「機械の相手なら俺の天雷剣が効果的なはずだ。大きさ的にどうなのかは分からんが、やらずに引き下がるよりマシだからな。奴らに空の世界の底力を見せてやる」

 

「レジェンドちゃんが頑張ってるんだもの、エリアル・ベース女性陣の代表として精一杯頑張るわ!」

 

 

 自分達が悩んでいた間も待ってくれていた勇姿達の姿に、一誠らは胸が熱くなる。

 

 

「一誠、タイガ……君達の目がその輝きを取り戻すのを信じていた!」

 

「悪かったな、ダ・ガーン。随分待たせちまった」

 

「もう大丈夫だ。俺達はもう戦うことを迷わない」

 

 

 二人はダ・ガーンへとそう返し、集まった全員を見渡して告げる。

 敬愛する、アスカの――ダイナがよく使う台詞を。

 

 

「「本当の戦いは、これからだぜ!!」」

 

 

 

〈続く〉




ミライは超ウルトラ8兄弟繋がり、そして一誠とタイガを導いたのはまさかの勝人ことゼアス。
今考えてみるとゼアスの赤い体色は赤龍帝っぽいし、明確に初めて劇場版でVS悪のウルトラマン(ロボットだったけど)やったなーと書いた後で思い出しました。

ちなみに今回の援軍、ランスロット→ベリアル&ベリアロク、ヴェイン→セブン(ULTRAMAN)、アルベール→ミラーナイト、ナルメア→マルゥル、ついでにシエテ→某究極生命体と中の人がしっかりウルトラシリーズに出てたりします。

次回、いよいよ決戦開始!


それではまた次回。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
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