ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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お待たせしました。
今回、もはや曲名でもあったサブタイトルが全てを物語っています。
一つだけ付け加えるなら、さらに豪華になっているとだけ。


それでは本編をどうぞ。


人の光〜TIGA

 モネラマザー――全長1kmを超える異形の化け物の出現はウルトラ騎空団以外の騎空団、そしてシェルター施設にいる者達を一目で戦慄させた。

 

 その両手と背部の無数の触手から放たれた光線『ヴァーミリオンフレア』によってウルトラ騎空団機動部隊へと大打撃を与え、そのスキに捕らえていたタイガとトリガーを腹部の檻へと叩きつけるように閉じ込め動きを封じると、かつてダイナにやったように、しかしそれとは比べ物にならない程の威力を持った『M2アブゾーブサンダー』を二人へと浴びせ始めた。

 

 

「ウッ……!ウアアアア!!」

 

「ガッ……!力が抜けっ……!ぐああああ!!」

 

 

 M2アブゾーブサンダー……それは二人から吸収したエネルギーをそのまま電撃破壊エネルギーへと変換し、直接体内へ逆流させるという最悪なもの。

 如何にエネルギーが残っていようと、吸収とダメージを同時に受けることになり急激にそのエネルギーは失われていく。

 

 さらには全身から放たれたビームが何重にも屈折しながら地上へと降り注ぐ『ディザスターミーティア』は現代的な町並みだったロアーヌ島を瞬く間に焦土へと変える。

 

 ウルトラ騎空団機動部隊は一部の機体を除き損傷はともかくエネルギーが危険域に近づきつつあり、特にレジェンドやゼットの乗るグランティードは最も激戦状態にあったことも相まってほぼ限界状態であった。

 

 

 

 

 依頼のため、ロアーヌ島から遠く離れた島に停泊中のエリアル・ベースとクロガネ。

 各艦の各所にあるモニターでは捕らわれたタイガとトリガー、そしてグランティードを始めとした機動部隊を蹂躙するモネラマザーの姿が映し出されていた。

 

 

「な……何やの、あのバケモノ……!?」

 

「それよりタイガとトリガー以外のウルトラマン出て来ぃへんやん!どうしてや!?」

 

「多分、モネラ星人の策略だと思う。そうじゃなければ、チーフが操縦してるらしい白い特機はともかく、他のウルトラ戦士が変身していてもおかしくない状況で誰一人現れないのは不自然すぎる」

 

「我夢の言う通りだ。それに相手が常識的な大きさならまだしも、あの星晶獣でも殆どいないレベルの巨大な敵を前に変身無しでというのは無茶にも程がある。やはり何らかの理由で変身出来ないと考えるのが妥当だな」

 

 

 ソシエの呟き、ユエルの疑問に我夢とジークフリートが冷静に分析する。

 レジェンドはケンやベリアルにそういう修行させたし、自身もそういう連中相手に生身で無双していたりするのだが、今はそれどころではない。

 よく見れば機動部隊は皆大なり小なり損傷が見受けられるが、グランティードは四肢も繋がっているし失われている部分は無いものの全体的に一番損傷が激しい。

 

 

「ねえ、ちょっとあれ……レジェンドが乗ってるってやつじゃない?」

 

「嘘だろ!?だって団長、シミュレーターとかいうのじゃ私達が束になってもまるで敵わなかったじゃないか!」

 

「……間違いない。画面を通してだけど、団長の旋律に加えてゼットの旋律も聴こえる」

 

 

 ゼタの発言にベアトリクスが否定しようとするも、ニオの一言で黙らざるを得なくなる。

 

 そこへ――

 

 

「すまないが頑治郎を運べるだけの船はないか!?お館様や甘露寺達を助けに行かねば!!」

 

「パムー!パムー!」

 

 

 杏寿郎がパム治郎を肩に乗せ、鬼気迫る表情で聞いてきた。

 焦ってはいるものの冷静さもあるのだろう、生身では太刀打ち出来ないと考えグルンガスト参式を持っていこうとするのはいいのだが、一応特機も数機分なら収納ブレスレットに格納出来るのを忘れているあたり、やはり完全に落ち着いてはいないようだ。

 

 

「……我夢、最速どれくらいでロアーヌ島へ辿り着ける?」

 

「ここからだと一番早い機体でも間に合うかどうか……チーフ達の現状を見る限り、僕達が辿り着く前に壊滅、そうでなくてもチーフが万が一やられたりすれば、その場で士気は一気に失われ……勝負は決まってしまう。特別な方法でもないと……」

 

 

 こうしている合間にも、何とか現状打破しようと奮戦するウルトラ騎空団機動部隊。

 

 遂に、タイガとトリガーのカラータイマーが点滅し始めた。

 

 

 

 

 現地にいるヒリュウ改ではその様子がハッキリと見えている。

 機動部隊や二人のウルトラマンの消耗状況、モネラマザーの状態まで。

 

 

「ウルトラマン二名のエネルギー消耗率、さらに増加!」

 

「機動部隊各機、稼働率低下……!特にグランティードは機体の状態が危険域に到達しています!このまま戦闘を続行すれば最悪の事態になりかねません!」

 

 

 グレイフィアとナインの焦りを含んだ声がブリッジに響き渡る。

 グランティードは今、レジェンドの操縦技術のおかげでどうにか撃墜されずにいるような状態であり、デスフェイサーとの戦い時同様にモネラマザーから集中砲火を受けていた。

 

 

「このままでは拙いかもしれぬ。どうされる、艦長?」

 

「ヴァングレイとゼルガードも前線へ。本艦の護衛よりグランティードの援護並びに回収を最優先とします」

 

「他の機体は……!?」

 

「特機を中心に陣を組み、タイガとトリガーの救出を。少なくとも檻は強固と考え、特機は可能な限りエネルギーを温存し、その他の機体で突破口を開いて下さい。同時に、これより本艦もモネラ星人撃滅のため前線に赴きます!!」

 

 

 母艦であるヒリュウ改を動かすことを決めたミツバ。しかし、ここでこちらはともかくグランティード側に別の意味で最悪な事態が起きてしまった。

 

 

「……ッ!レーダーに反応!これは……」

 

「命さん、どうしました!?」

 

「ウルティノイドゼロ!グランティードの近くに襲来!!」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

 この瞬間まで現れなかったウルティノイドゼロ――しかも重装形態――がグランティードを狙い、現れたのである。

 

 

 

 

 

「ちっ!!色々面倒な時に厄介事が連続で起きる!!」

 

「あのゼロ師匠のパチモン野郎!!こんな時に出てくんなよ!!」

 

 

 グランティードのコックピットでレジェンドとゼットが悪態をつく。

 そんな二人の言葉など知ったことかと言わんばかりに重装ウルティノイドゼロは斬りかかってきたが、紙一重で防御に成功するグランティード。

 

 

「諦めが悪いな、ウルトラマンレジェンド、ウルトラマンゼット」

 

「生憎とウルトラマンは諦めが悪いと相場が決まっているんでな……!!」

 

「超師匠の言う通り!ネバーギブアップ精神だ!!」

 

「それが無駄だと理解しろ」

 

「「やかましいんだよポンコツ野郎!!」」

 

「!?」

 

 

 レジェンドとゼットの声がハモったかと思えば、急にグランティードの出力が増し、重装ウルティノイドゼロを押し返す。

 突然のことに驚くが、すぐに冷静さを取り戻し距離をとる重装ウルティノイドゼロ。

 

 

「まだそれだけの余力を残していたか」

 

「やかましいと言ったぞ紛い物……!」

 

「その面に一発俺自身でブチ込みたいところだけど、ここはウルトラ我慢して譲るとするぜ!」

 

 

 ゼットの言葉に疑問を持った重装ウルティノイドゼロだが、直後グランティードを守るように前に降り立ったソウルゲインを見て納得した。

 

 

「これでも私とレイトは訓練仲間にゃん。それに旦那様をこれ以上傷つけられるのは黙ってられないし。ついでにゼットも」

 

「俺はついで!?」

 

「旦那様呼びを受け入れ始めている俺がいる……末期か。いや、単に諦めただけか?我ながらよく分からなくなってるな」

 

 

 ほんの少しの和みを経て、グランティードに代わりソウルゲインが重装ウルティノイドゼロと対峙する。

 

 

 

 

 

 モネラマザーの攻撃によって大打撃を受けたのは機動部隊のみにあらず、リアスらも同様。

 全員が所々汚れつつもどうにか無事であることに安堵したのも束の間、タイガとトリガーが危険な状態にあるのを目の当たりにした。

 

 

「あのままじゃ、タイガ達が……!」

 

「待ってリアス!策も何も無しに向かったら、今度こそ私達は全滅よ!」

 

「でもっ!!」

 

「お館様の機体も限界に近い……煉獄や巌勝殿がいないのがここにきて大きく響いてくるとは……!」

 

「神衛隊が全くおらんのが厳しいのぅ……騎空団の信頼より此度の戦を切り抜けることの方を優先すべきじゃったな」

 

「だが信頼というものは失うのは簡単でも得るのは難しい。どちらが正解とは一概には言えぬ。それよりもこれから吾らはどうすべきか考えねばならぬだろう」

 

 

 焦るリアスをカナエが諌め、小芭内や夜一、スカーサハが口々に意見する。

 その近くではソーナや匙ら生徒会メンバーが他の騎空団の救助を行っていた。

 

 

「あーもー!せっかく私もたまには頑張らないとって思ったのに、あんなの出て来るなんて聞いてませんよぉ!!」

 

「そんなのあたしだって聞いてないわよ。おまけにレイトもどきまで追い打ちかけてきたし、いよいよマズいんじゃない?」

 

 

 喚くティアマットに対して、声色はいつもと変わらないが乱菊も冷や汗を垂らしている。

 

 その言葉を裏付けるように、モネラマザーがタイガとトリガーへ放っているM2アブゾーブサンダーの威力が更に上がった。

 二人のウルトラマンから聞こえる苦悶の声が大きくなり、地上にいるリアスやグランサイファーにいるジータも今にすぐにでも動こうとしては朱乃やカタリナに止められる。

 

 

「離してッ!!一誠が!タイガがっ!!」

 

「冷静になりなさい、リアス!私達だけでどうやって彼らを助け出すというの!?」

 

 

 

 

 

「ジータ!まさかここから飛び降りる気か!?」

 

「事実は小説より奇なり。あのゆぐゆぐの失敗作みたいな奴、まさか私がこんな方法とるなんて考えないでしょ」

 

 

 冷静に言っているジータだが、その表情と雰囲気は冷静さを感じない。

 しかし、カタリナやフェリ、ヴィーラにまで止められ渋々中断せざるを得なかった。

 

 

 

 

 

 そして――

 

 

「ウッ!グゥッ……」

 

「ぐあっ……!うぅっ……」

 

 

 二人の声色が弱々しくなり、一際強烈なM2アブゾーブサンダーが食らわされ――

 

 

 

 

 

「「ウアアアアッ!!」」

 

 

 

 

 

 凄まじい電撃が二人の全身を襲い、カラータイマーから光が空へと上るように光を失い、同時にその目からも輝きが失われ静かに頭を垂れる。

 

 苦しむことも、抵抗することもなく沈黙するタイガとトリガー。

 

 二人のウルトラマンは、モネラマザーに捕らわれたまま……力尽きた。

 

 

 

 

 

「タイガとトリガーが……!」

 

「……死んだ……!?」

 

「……嘘よ……」

 

 

 誰がそう呟いたのか、目の前の光景を信じられぬリアスは――

 

 

「嘘に決まってるわ!!」

 

 

 溢れる涙を拭いもせず、そう叫んだ。

 

 

 

 

 シェルター施設内は、まるで通夜のような空気となっていた。

 タイガとトリガーは力尽き、ロアーヌ島に来たウルトラ騎空団の壊滅も時間の問題……もはや人々の心からは希望が消えかけている。

 

 

「……人間のかなう相手じゃない。星晶獣だって」

 

「うっ……うぅっ……」

 

 

 老夫婦の呟きは、今や全員が思っていることであった。

 

 いや、この状況でも諦めていない者達がいる。

 

 

「…………」

 

 

 スカイ・ガーディアン・エージェンシーの重役や、エルミデ博士までもが無言の中、三人の少女がエルミデ博士の近くまでやってきた。

 

 

「貴女は……」

 

「この子がお話があるそうです」

 

「え……?」

 

 

 アーシアとオーフィス、そして――グランが出会った、ぬいぐるみを持つ少女。

 

 年端もいかないその少女の目には、この絶望的状況の中にあってなお、光を失っていなかった。

 

 

「あのね……私のお姉ちゃんは昔、光になったの」

 

 

 

 

 タイガとトリガーが命の輝きを失い、グランティードはほぼ限界。

 さらに、重装ウルティノイドゼロと戦っているソウルゲインも徐々に押され始め、ガオファイガーを始めとするその他の機動部隊も消耗が激しく、地上部隊も同じような状況――だというのに、ウルトラ騎空団は誰一人撤退しようとしなかった。

 

 

「超師匠!タイガ先輩とトリガーは!?」

 

「タイガは光になっていないし、トリガーも石像にさえなっていない……!まだ望みはある!少なくともボロボロでエネルギーも僅か、更に逃げ場も無い俺達とこの機体に比べればな!」

 

 

 やはりその先陣を切っていたのは限界にも関わらず、異常なまでのしぶとさを見せるグランティード、そしてそのパイロットであるレジェンドと、コ・パイのゼット。

 それに触発され、他の機体やパイロット、地上部隊もまたモネラマザーへと立ち向かっていく。

 

 他の騎空団の者達は理解出来ない。

 

 何故勝ち目の無い戦いに挑むのか。

 

 そう思った時、どこからか声が聞こえてくる。

 

 

――光の道標を――

 

 

 誰もが困惑する中、ただ一人……レジェンドだけはその声の主の正体を理解し、少女へと念を飛ばす。

 

 (レジェンド)を想い続けてくれる大切な巫女へ。

 

 この場に奇跡の光を呼び込むために。

 

 

 

 

 

 ソウルゲイン――黒歌と重装ウルティノイドゼロの激闘は、例によって消耗状態にあった黒歌が劣勢に立たされていた。

 加えて、EG装甲なる特殊な装甲材質によって自己修復能力を有するソウルゲインだが、重装ウルティノイドゼロの苛烈な攻撃に対して修復が追いつかなくなってきたのも原因の一つだ。

 

 

(このレイトもどき、能力だけなら一級品にゃ)

 

「よくここまで粘ったものだ。称賛に値する」

 

「本心でもないくせにいけしゃあしゃあとっ……!」

 

「だが、次で決まる」

 

 

 そう言うと重装ウルティノイドゼロは以前ジードを次元放流へと陥れた、ディメンションゼロを展開、チャージし始めた。

 場所が場所だけにもし回避しようものならネオマキシマ砲以上に被害が出かねない。

 そして何より、レジェンドや夜一、白音が――そう考えた時、黒歌の中で何かが切れた。

 

 

「あんたといい、このキモい化け物といい、さっきの連中といい……!」

 

「!」

 

「揃いも揃って私の家族に何とんでもないことしてくれてんのよ!!」

 

 

――Soulgain Limit-Break――

 

 

 まだ黒歌の技量が規定値に達していないにも関わらず、()()()()ソウルゲインのリミッターが解除される。

 それは即ち、ソウルゲイン最大の必殺技の発動が可能となった合図でもあった。

 

 

「ソウルゲイン、フルドライブ!」

 

 

 青龍鱗を放つ時のように両手にエネルギーを溜め、高く跳躍したソウルゲインは思い切り両腕を振り上げた後、無数の気弾状の青龍鱗を重装ウルティノイドゼロへと連射。

 その数は実に百発以上。

 

 

「くっ!」

 

 

 高速で迫る異常な量の青龍鱗を防御するべく、一度ディメンションゼロのチャージを止め防御の構えを取る重装ウルティノイドゼロ。

 青龍鱗は一発残らず命中し、どんどんと黒煙が広がっていくが、これで終わりではない……むしろ始まり。

 

 

「んにゃあっ!!」

 

 

 ソウルゲインはその黒煙へと飛び込み、姿が見えなくなると黒煙の中から凄まじい打撃が金属に何発も打ち込まれる音が聞こえたかと思うと、重装ウルティノイドゼロが吹き飛ばされる形で姿を現す。

 そこへ間髪入れずにソウルゲインが連撃を叩き込む。

 

 

「はっ!」

 

 

 更に通常より重い拳打。

 

 

「せいっ!」

 

 

 アクロバットに回転しながら肘も交えて追撃。

 

 

「でぇいッ!」

 

 

 そして白虎咬の動きの一部でもある、超高速の連打。

 

 

「んにゃあああああ!!」

 

 

 最低でも実力が夜一クラスでなければ見切れないほどの連打の後、肘打ちで更に重装ウルティノイドゼロを吹き飛ばし、ソウルゲインはクリスタルを輝かせながら両腕をクロスさせた。

 

 

「コード麒麟!!」

 

 

 黒歌がそう叫び、ソウルゲインがクロスさせた両腕を解き肘を背後へ突き出すような動作を行うと、ソウルゲインの両肘にある刃が凄まじいスパークを起こしながら飛び出るように展開。

 

 

「この一撃で決めるっ!」

 

 

 その体勢のまま、怒涛の連撃を受けて無防備な重装ウルティノイドゼロへ一気に跳躍し――

 

 

「でぇぇぇやぁッ!!」

 

 

 右腕で逆袈裟に一閃。

 そのまま着地すると、重装ウルティノイドゼロは大爆発を起こす。

 

 

「はぁ……ッ……はぁ……ちょっと、これ以上はキツいにゃ……何でか麒麟やれたけど限界かも……」

 

 

 

 

 

 実妹の小猫や、レジェンド一家の中では仲の良い夜一を始めほぼ全員が唖然としていた。

 突然動きが変わったソウルゲインが一方的に重装ウルティノイドゼロを叩きのめし、撃破してしまったのだからそうもなろう。

 

 

「……姉様、凄いです」

 

「見た感じ限界そうじゃが、十分お釣りがくる活躍だったのう。残るはあのバケモノだけ……」

 

 

 ……のはずだった。

 

 

 

 

 

ガガァァァァァン!!

 

 

「ッきゃあああ!!」

 

「「「「「!!」」」」」

 

 

 

 

 

 片膝をついていたソウルゲインが吹っ飛ばされた。

 

 その正体は、爆発の中からキックの体勢で突っ込んできたウルティノイドゼロ。

 ウルティメイトイージスに相当する重装形態の鎧は破壊されていたが、本体は未だ健在であった。

 

 

「認識を改めよう。お前はウルトラマンレジェンド同様最優先排除対象と認識した」

 

「……最っ悪……あんた、絶対モテないタイプにゃ……」

 

 

 黒歌は忌々しげにウルティノイドゼロを睨みつけつつ、半ば意地だけで己の身体とソウルゲインを立ち上がらせる。

 

 

「こうなったらとことんやってやるわよ。レイト本人ならまだしも、紛い物なんかにそう何度もやられたりしないっての!」

 

「その虚勢もじきに言えなくなる」

 

 

 ソウルゲインとウルティノイドゼロ――激闘、再び。

 

 

 

 

 一誠、ドライグ、グラン、そしてトライスクワッド……彼らはそれぞれ別の、真っ暗な空間を彷徨っていた。

 

 

(俺達……どうなったんだ……?)

 

(身体に力が入らない……僕は、死んだのかな)

 

(……あれは……)

 

 

 その漆黒の空間に映された映像……そこにはボロボロになりながらもモネラマザーに立ち向かうウルトラ騎空団の姿があった。

 リアスもまた涙を流しつつも懸命に戦っており、ジータやビィは大型のロケットランチャーまで持ち出している。

 

 

(ジータは……相変わらずだな。男の僕より逞しいんだから)

 

 

 そんな中、アザゼルがまさかの発破をかける声が聞こえた。

 

 

『ウルトラマンがいなくたってなあ!俺達が頑張らないでどうすんだ!今こうしてこの世界で生きてる奴が頑張らないでどうすんだぁ!!』

 

 

 普段飄々として、ゼロガンダムに手痛いツッコミを入れられたり、何かやらかして追いかけられたりしている彼からは信じられない、重く大きな意味を持つ言葉。

 

 

(皆……ウルトラマンがいなくても、ウルトラマンになれなくても必死に戦ってるんだ)

 

 

 そして、その映像はゆらりと別のものに変化する。

 

 一誠やドライグ、トライスクワッドにはダイナ――アスカが光を奪われ、命の危険に晒されながらも立ち上がり、諦めず戦う姿が。

 途方もない大きさの暗黒惑星に、仲間と共に挑む兄貴分の姿が。

 

 グランには、迫りくる邪神ガタノゾーアが。

 そして……石化したティガの元へ数え切れない程の小さな光が集まって一体化していく光景が。

 その中で一際輝く、一人の女性が。

 

 

 

 

「お姉ちゃんが言ってたの!私も光になれるって!諦めなければきっと光になれるって!!」

 

 

 胸に抱いたティガのぬいぐるみを強く抱きしめながらハッキリと言ったその少女に目線を合わせるように屈んで、エルミデ博士は問う。

 

 

「私も……光になれるかな?」

 

 

 それを聞いた少女は、笑顔で頷いた。

 

 

「きっとなれるよ!」

 

 

 笑顔の少女とエルミデ博士に、アーシアも嬉しそうに笑う。

 それに水を差したのはやはり、スカイ・ガーディアン・エージェンシーの重役。

 

 

「……バカバカしい、何が光だ!」

 

「……私もそう思ってた。平和を守るために必要なのは感情ではなく、力だと」

 

「そうだ!!だから感情などに左右されない、完璧な兵器を作ろうと……」

 

「でもそれは間違ってた!!感情を捨てた兵器なんて、何の意味もない!今、気付いた……一番大切なのは、心だって」

 

 

 重役すら黙らせるような迫力を出しながらエルミデ博士は反論し、続ける。

 

 

「こんな小さな子が諦めず、希望を捨てていないのに……私達がこのまま終わっていいはずがない!!」

 

「っ……だが、あのウルトラマン達は既に力尽き、頼みの綱のウルトラ騎空団さえ全滅は時間の問題……この状況で何が出来るというんだ……!」

 

 

 重役はそう零すが、少女に感化されたエルミデ博士の目に宿った光は消えはしない。

 それを見た避難民達は、少しずつ顔を上げる。

 

 

「皆、諦めちゃ駄目。まだ私達に出来る事があるはず……諦めなければ、きっとあの怪物を倒す事ができる!」

 

 

 そんなエルミデ博士を見ながら、重役はさらに口を挟もうとするも――

 

 

『そうだ。光の神は諦めぬ者にこそ手を差し伸べる』

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

 アーシアの纏う『輝煌なる祈り』のフード部分に隠れていたマジンガーZEROが姿を現し、ふよふよと浮かびながらアーシアとオーフィスの前で静止する。

 

 

「魔神様……」

 

『巫女よ、既にレジェンドから念は送られていよう。この地に光を呼び込むために巫女の力が必要だと』

 

 

 マジンガーZEROの問いにアーシアは決意を込めた表情で頷き、それをマジンガーZEROは満足そうに見ながら告げた。

 

 

『巫女、我、そしてオーフィス……巫女が有した『輝煌なる祈り』に秘められしレジェンドの力で全ての時間軸を参照し、オーフィスが『無限』の可能性の中より我らが勝利する未来を見つけ出し、そして我が因果を結ぶ。しかし、勝利する未来と因果を結び――光の道標をこの世界に繋げるには、この空に生きる者達が『今』諦めず戦う意思を持たねばならん』

 

「がんばるー」

 

 

 マジンガーZEROの言葉の重さに対し、オーフィスは程よく気が抜けるような返事をしつつ両手を上げる。

 

 

「お姉ちゃん、魔神様?私達は何すればいいの?」

 

『諦めるな。光を信じ、戦う意思を持て。それだけだ……巫女よ』

 

「はいっ!」

 

 

 アーシアはフードを被り直し、祈るように両手を組んで目を閉じる。

 すると淡い光がアーシアの周囲から立ち上り始めた。

 

 

「これは……」

 

『やはりまだ足りぬか。オーフィス、やるぞ』

 

「ん、わかった」

 

 

 オーフィスがマジンガーZEROと共に力を行使しようとした時、一つの声が上がる。

 

 

「私は光になったわけじゃないけど……神隠しにあったとき、光が助けてくれたの!『銀河』の光が!」

 

 

 銀河の光――それを聞いた青年が、更に続く。

 

 

「俺を助けてくれた光は何か逞しかった!『勝利』って感じの!」

 

 

 それに触発され、次々と声が上がっていく。

 

 

「僕が会ったのは今までに見たことないような『未知』の光だった!」

 

「あたしは勇者様みたいな光に出会った!『宝珠』みたいに神秘的で!」

 

 

 どんな光に出会ったのか、それぞれ口にしながら立ち上がり、それは一つの思いへと集約される。

 

 

「頑張れ、ウルトラマン!」

 

「負けるな、ウルトラ騎空団!」

 

 

 今、モネラマザーに立ち向かっている者達への声援。

 それを見たマジンガーZEROが、何かを掴んだかのような反応をする。

 

 

『巫女、そしてオーフィス』

 

「はい?」

 

「ん、何?」

 

『二人と、ここにいる者らのおかげで……どうやらサプライズ出来そうだ』

 

「「???」」

 

 

 何も分からない二人を尻目に、マジンガーZEROはオーフィスの力と、アーシアが受けたレジェンドの加護、それらを使って因果を結び、あるものを発現させた。

 

 マジンガーZEROが眩く輝き出し、その輝きの向こう側から淡く光る数人がアーシアやオーフィスへ歩いてくる。

 

 

「貴方達は……!」

 

 

 アーシアは彼らを見たことがある。

 レジェンドが見せてくれたアルバムに、彼と共に笑顔で写っていた。

 

 

 マドカ・ダイゴ。

 

 ヤナセ・レナ。

 

 イルマ・メグミ。

 

 ムナカタ・セイイチ。

 

 シンジョウ・テツオ。

 

 ホリイ・マサミ。

 

 ヤズミ・ジュン。

 

 

 皆、レジェンドと共に戦った、特捜チーム『GUTS』の仲間達だ。

 淡い光を纏った彼らは、アーシアやオーフィスの近くに来ると励ましの言葉をかける。

 

 

 ――チーフのこと、頼んだよ――

 

 ――あの人、放っておくとダイゴより無茶するからね――

 

 ――貴方達なら、大丈夫よ――

 

 ――己に出来る事を精一杯やり遂げろ――

 

 ――お前さん達は、一人じゃないからな――

 

 ――俺らもついとるで、安心せえや――

 

 ――出来れば、一緒にGUTS隊で仕事したかったね――

 

 

 優しい言葉、力強い言葉――彼らからそれを受けたアーシアは涙を流しつつも笑顔で頷く。

 そして彼らは光となってアーシアの放つ光と混ざり合い、より強い輝きを放つ。

 

 だが、それだけではなかった。

 

 GUTSのメンバーが消えると、さらに別の者達が黄金の光が集まった姿で現れたのだ。

 その中の一人が先んじて、ぬいぐるみを持った少女に近づき、片膝をつきながら目線を合わせると、少女は驚いた顔をしつつも一番の笑顔を見せた。

 

 ――その光は、少女が信じ続けたもの。

 

 他の光も、先程発言した者達の傍へと歩みを進める。

 

 

「嘘……!」

 

「あ……!」

 

 

 『銀河』の光、ウルトラマンギンガ。

 

 『勝利』の光、ウルトラマンビクトリー。

 

 

「ッ……!」

 

「わぁ……!」

 

 

 『未知』の光、ウルトラマンエックス。

 

 『宝珠』の光、ウルトラマンオーブ。

 

 他にもまだ見ぬウルトラマン達の姿を黄金の光が形作り、出会ったことのある者達の傍らに並び立つ。

 すると、彼らはGUTSメンバーと同様に完全に光となって少女や青年らと一体化し、一体化した者達から黄金の光が立ち昇っていく。

 

 決して諦めない心、それがいくつも連なりシェルター施設内は黄金の光で溢れかえる。

 

 

「馬鹿な……!こんなことが……!!」

 

 

 驚く重役とエルミデ博士の前に、光が一人の女性の姿をとって現れる。

 

 キサラギ・ルイ博士――かつてエルミデ博士同様、モネラ星人に傀儡にされ、開発したプロメテウスをデスフェイサーへと変えられてしまった人物。

 そして、エルミデ博士同様……過ちに気づき、諦めない心を取り戻した女性。

 

 

 ――貴女も、自分で気づけた。それなら、貴女もきっと――

 

 

 その言葉と共に、キサラギ博士は光となりエルミデ博士と一体化する。

 

 

「人は、光になれる――」

 

 

 エルミデ博士……彼女からもまた、光が立ち昇る。

 

 

「私達皆の光を、あの方達に――!!」

 

 

 アーシアの祈りが、全ての光を束ね――

 

 

 

 

 一誠が、タイガが、タイタスが、フーマが、ドライグが、そして――グランが、叫ぶ。

 

 

 

 

 

「『光よぉぉぉぉぉ!!!』」

 

 

 

 

 

 

 

 シェルター施設から溢れ出た無数の凄まじい黄金の光は、渦巻くように一つ一つが一点に集まり巨人の姿を成していく。

 勇ましげな顔のトリガーとは違って、優しげで……しかしながらトリガーによく似た、光の巨人。

 

 

「あれは……!?」

 

「トリガー……!?いえ、似ているけど違う!」

 

 

 ジータとロゼッタを始めとしたグランサイファー組が初めて見るその姿に驚愕し――

 

 

「ねえ、あのウルトラマンって……!」

 

「ええ……!あの会談の時にレジェンド様が見せてくれた映像の中で、銀河遊撃隊結成時に真っ先に呼ばれていた……!」

 

「銀河遊撃隊最強の一角にして切り札……!!」

 

 

 まだ涙は止まらぬものの、リアスか朱乃やカナエと共に思い出し――

 

 

「ついに来たか……!彼が!!」

 

「はい……!マン兄さんと並び称される、ベリアル総司令や隊長のゼロも一目置く超古代の光の巨人……!」

 

 

 ゲンや矢的にすら笑顔を取り戻した。

 

 

「今、光の道標は成され――あいつがこの空へと辿り着いた」

 

 

 激戦の最中でありながら、レジェンドが穏やかにそう告げ――ゼットが万感の思いを乗せ彼の名をご唱和する。

 

 

 

 

 

「ティガ先輩ィィィ!!!」

 

 

 

 

 

 かつて無数の光と共に邪神を打ち倒した光の化身、ウルトラマンティガ――その彼が今、空の世界へ。

 

 諦めぬ心は光となって、奇跡を起こした。

 

 

 

〈続く〉




多くのサプライズゲストが少しだけ出演した今回、是非劇場版サントラの『人の光』を聴きながら読んで頂ければと思っております。

レジェンドヒロインズ大活躍な今回ですが、次回もまた盛り上げるための要素を詰め込む気です。
どうか本章の最後までお付き合い下さい。


それではまた次回。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
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