ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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お待たせしました。
本当ならヘリオポリス崩壊まで書きたかったのですか、登場人物的な都合もあってそれは次回に持ち越し。

漸くアークエンジェルに乗艦、ムウやナタルとも出会います。そういやマードック軍曹(曹長)の名前もコジローなんだよな……。


それでは本編をどうぞ。


カウントダウン

 ヘリオポリスのシークレット・ポートに停泊中のペガサスAでは、流と勇治に加え、勇治の所有怪獣であるエースキラー、アリゲラ、エレキングが寛いでいた。エレキングが(レジェンドのせいで)リムエレキング化したように、他の二体も同じような体型になっているのは喜ぶべきなのか……。

 

 

「何をどうしたらこうなるんだ……」

 

「まあ、戦うときは元に戻るみたいだし、いいんじゃないですか?」

 

 

 勇治は頭を抱えるが、当の怪獣達はちょこちょこ動き回り何ら問題なさそうである。むしろ活動範囲が広まって嬉しそうに見えなくもない。

 

 そんな彼らは、ヘリオポリス内部で現在起こっている出来事を全く知らなかった。

 

 

 

 

 岩壁をブチ抜いてその全容を露わにしたアークエンジェルに目を奪われる一行。リアス達がそれに気を取られている間に離脱しようとするクルーゼのエゼキエルだったが、レジェンドと三日月がそれに気付く。

 

 

「逃げるなよ、白くて硬い奴……!」

 

「生憎と私にも事情というものがあるのだよ」

 

 

 ブースターを噴かせて追ってくるバルバトスに対し、エゼキエル・ラヴァンは背部から何かを取り出して構える。するとそれは伸身し数秒で巨大な長身砲となり、バルバトスへと狙いを定めた。

 

 

「悪いが道を開けてもらおうか」

 

 

 エゼキエル・ラヴァン――引いてはエゼキエル系の最大武装オルガ・キャノンである。一応言っておくが鉄華団の団長の名が入っているが彼は関係ない。

 

 オルガ・キャノンから放たれた強力なエネルギーはバルバトスに回避されるが、それはクルーゼにとって想定内。むしろ避けてくれなければ困るものだ。バルバトスに命中しなかったそのエネルギーは、ヘリオポリスに命中し大きな風穴を開けてしまう。

 

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

「フ……連合の開発したMSに新造艦、それに所属不明のMS。そんなものが中立国のコロニーにあった以上、こうすることの大義名分は十分だな」

 

「最初からこうする気だったんだ」

 

「その機体とやり合っては、エゼキエルといえどエネルギー問題でジリ貧になるのが目に見えていたのでね。一先ず撤退するとしよう。また会おう」

 

 

 三日月にそう言い残し、クルーゼの駆るエゼキエル・ラヴァンは開けた穴からヘリオポリスを脱出する。三日月が追おうとするもサーガに制止され、仕方なく帰投。エゼキエル・ラヴァンによって傷付けられたヘリオポリス崩壊のカウントダウンは、既に始まっていた。

 

 

 

 

 キラを始め、ヘリオポリスで出会った学生達はマリューの指示によりストライクと共にアークエンジェルへと着艦することになった。レジェンド達とはお別れ……のはずがマリューによって同行を頼まれた。まさか頭を下げられるとは思わなかったことに加え、ストライクが(一応)軍事機密であったことも踏まえると断るわけにもいかず、ついでにダイゴが『切り札』を持っていると聞かされた以上同行する他ない。

 

 

「……で、レジェンドさん以外はバルバトスの手に乗せてもらっているのだけれど……」

 

「レジェンド、どうしてストライク……でしたよね。あれのアンテナの先の上に腕を組んで立っているんでしょう?でも、バランス感覚凄いです!」

 

「違うわルリアそうじゃないから」

 

(サーガ様、あれ絶対老師の影響だよね)

 

(ああ……いや、元々なのかもしれない)

 

 

 相変わらずのレジェンドの奇行にキラやその友人、マリューもあんぐりとしているし、ルリアはズレた意見を口にしてアマリにツッコまれていた。東方不敗がこの場にいようものなら同じような事をしていたに違いない。

 

 流と勇治には「成り行きで連合の艦に乗ることになった。一応外見データを送るので、先にアメノミハシラへ帰還するかステルス機能を発動したまま同行するかはそちらの判断に任せる」と連絡しておき、ついでにヘリオポリスがそう長くは持たないだろうことも教えておく。

 連絡を受けて一瞬の静寂のあと、二人と三体が驚いたの当然だと言えよう。

 

 

 

 

 

 案の定というべきか、格納庫にはクルーが勢揃い(ただし正規の艦長他クルーは多く戦死している)状態で待ち構えており、マリューは比較的歓迎されたがキラ達学生は驚きと少々の警戒を持って迎えられた。

 

 そこまでは良かった。

 

 問題はレジェンド達ウルトラ騎空団の面々だ。こっちもこっちで悪い意味でなのだが、案の定銃を一斉に向けられ警戒というより敵意丸出しに近い状態。まあ、連合どころかザフトのものでもない、それどころかこの世界のMSとは違う様相の機体を有し、ジンどころかザフトの新型と互角以上の戦闘を繰り広げたとあれば無理もないのだが。

 しかし、無理もないとは言ってもマリューに頭を下げられて同行した結果これでは、レジェンド以下団員達も納得は出来ない。

 

 

「いくら何でもこれはないんじゃないかしら?私達は頼まれたから同行しただけなのに」

 

「そうですね。私達はちゃんと『ではここでお別れですね』と言いましたよ?」

 

 

 沙耶としのぶが青筋を浮かべながらマリューを糾弾すると、彼女自身は申し訳無さそうにするが、同じ連合の士官であろう黒髪の女性が声高に叫ぶ。

 

 

「お前達!何が目的だ!得体の知れない機体で許可もなくアークエンジェルに着艦するなど――」

 

「バジルール少尉!彼らは二度の戦闘で私達を助けてくれました。機体の件もそうですが、同じくストライクの目撃者でもあるため私の判断で着艦したもらったんです。少なくとも敵ではないでしょう。銃を下ろして頂戴」

 

「ラミアス大尉!しかし……」

 

「すみません、よろしいでしょうか?」

 

 

 そう言って一歩前に出たのはダイゴ。何なのかは知らないが、ダイゴが切り札を持っていると聞かされていたレジェンドはそれを使うのだろうと予想していたものの、出された切り札は予想以上にとんでもないものだった。

 

 

「オーブ連合首長国・特務大使のマドカ・ダイゴです。そちらの読み方にすればダイゴ・マドカでしょうか……この度、我がオーブ所有のコロニー・ヘリオポリスの査察に赴いたのですが意図せず今回の事態に遭遇しました。つきましては何故中立国であるオーブのコロニーで連合の兵器開発が行われていたのかも含め、御説明頂きたく自分達もマリュー・ラミアス大尉に同行を決めた次第です。なお、今回の査察はこの通り、ウズミ・ナラ・アスハ前首長からの指示で行っています」

 

(えげつないな、ダイゴ……というかあのアスハとやらもグルか。食えん奴だな)

 

 

 まさかのウズミ直筆の文書まで見せつけ、ダイゴは「なんで連合がウチのコロニーで好き勝手してんだオラァ」と合法的に責め立てた。よもやそんなものを出されるとは思っていなかったマリューらは青い顔をしており、もはや言い逃れ出来ない状況。それに加え、レジェンドが追撃する。

 

 

「ダイゴ、お前アスハの令状預かってたのか。俺もサハクの令状預かってんだけど。ほれ」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

 これには連合側だけでなくダイゴも驚いた。こんな事もあろうかと、ミナが出発直前にレジェンドへ持たせておいたのである。何という慧眼、恐るべしロンド・ミナ・サハク。

 

 

「あ……あの、手にとって拝見させて頂いても……?」

 

「どうぞ」

 

「構わん」

 

 

 レジェンドとダイゴから受け取った令状を読み、マリューは気が遠くなって倒れる寸前、先程の女性士官――ナタル・バジルール少尉に受け止められた。

 

 

「ラミアス大尉!?気を確かに!」

 

「え……ええ、ありがとう……ごめんなさい」

 

 

 それがどういう意味での謝罪なのかはともかく、重苦しい空気の格納庫に割と明るめな声が響く。

 

 

「こいつは驚いた!新型にせよ、そっちの機体にせよ、操縦してたのが子供なんてな」

 

「貴方は……」

 

「地球連合軍第七機動艦隊所属、ムウ・ラ・フラガ大尉。よろしくな」

 

「まさか『エンデュミオンの鷹』……!?」

 

 

 いつの間にか着艦していた、メビウス・ゼロのパイロットのムウ・ラ・フラガであった。クルーの一人が驚きの声を上げるとムウ自身は「俺はあんまそう呼ばれるの好きじゃないんだけどな」と苦笑する。

 

 

「俺のメビウスがこんな有様でね。着艦許可を欲しいんだが……この艦の責任者は?」

 

「先の襲撃で艦長以下、主要なクルーは皆戦死しました。よって現在はラミアス大尉がその任にあると思われます」

 

「ええっ!?」

 

 

 驚きの声を上げるマリューだが、この場の階級で言えばムウとマリューが同じく大尉であり、アークエンジェルの関係者でもある彼女がその職に就くのも何ら間違いではない。これも戦時中であれば有り得ることなのだ。

 

 

「そうか……悪いこと聞いちまったな。ともかく、着艦許可をくれよ。俺が乗ってきた艦も、あいつらに落とされちゃってさ」

 

「え……ええ。着艦を許可します」

 

「ありがとう。にしてもとんでもない機体だな、どっちも。ところで君達……コーディネイターだろ」

 

「あ……はい」

 

 

 キラがそう答えると一斉に銃を向けられる。しかし、三日月はあっけらかんと答えた。

 

 

「俺コーディネイターとかいうのじゃないけど」

 

「……は?」

 

「つーかウルトラ騎空団にコーディネイターいないからな。似たようなのはいるけど」

 

「ちょっと待った!ってことは何か?この機体はナチュラルでも使えるMS……」

 

「バルバトスは新生阿頼耶識に対応してないと動かせないよ。もう完全に俺専用になってるから対応してても無理だけど」

 

「阿頼耶識……?」

 

 

 周囲(連合と学生)がどよめき出すのも気にせず、三日月は上着を脱いで背中を見せると、三つの斑点があった。元々は『ピアス』と呼ばれる、阿頼耶識に対応させるために施術で埋め込まれた物があったのだが、見た目的にも生活的にもアレだろうと思ったレジェンドとサーガによって『共鳴斑』に変化させることで各種リスクを無くしている。

 尤も、大分前に説明されたが三日月や他の者達は仰向けに寝れるようになったことが一番ストレス解消になったようだ。

 

 

「それは……」

 

「今はこうなってるけど、以前はここにピアスがあったんだ」

 

「ピアスってアクセサリーの?何でそんな所に――」

 

「違う。こういうものだ」

 

 

 そう言ってサーガはブレスレットから光を投射し、三日月の斑点と周囲に当てるとかつてのピアスがあった頃の三日月の背中が映し出される。三本の突起状に背中の皮膚が盛り上がっており、それを見たマリューらは絶句した。

 

 

「こ……これって……!?」

 

「もういいか?こちらとしても大人の勝手な都合で使い捨てにされる為にこんな施術を施されたこと、これ以上思い出させたくはない」

 

 

 サーガが言った言葉に連合・学生達は唖然とした。『大人の勝手な都合で使い捨て』――特にマリューは先刻、戦争だからと学生達に銃を向けたことでその言葉を重く受け止めた。彼女自身は連合の中でも良識人の方なのだ。

 

 

「そういうわけだから、俺はコーディネイターってのじゃないけど、仮にコーディネイターだったら何なの?」

 

「何なのって……」

 

「……バカらしい」

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

 

 沙耶が呟いた言葉にアークエンジェルのクルー達が一斉に彼女に銃を向けるが、彼女は驚きなどしない。彼女にしてみれば百の銃より眼前の師(つまりレジェンド)の方がよっぽど脅威なのだから。

 

 

「そもそもコーディネイターを作り出したのはナチュラルで、ナチュラルがいなければコーディネイターは生まれず繁栄もしなかったのでしょう?自分の生み出したものと自分を生み出したもの、その間柄で戦争をして優劣を決めるなんて頭の中どうなってるのかしら」

 

「何だと貴様っ!」

 

「もういいわ。貴方達が戦争したいなら勝手にやっていればいい。ただ、そんな争いなんてどうでもいい私達や、彼らのような一般人を巻き込むのはやめてくれる?」

 

 

 煽りスキルが半端ない沙耶と、割と沸点の低いナタルでは相性が悪すぎるため、仕方なくレジェンドが仲裁に入ることにした。

 

 

「そこまでにしておけ、沙耶。そっちも事ある毎に銃を向けるな。そうやって攻撃的な行動をするから要らぬ誤解を招くんだぞ」

 

「彼の言う通りよ、バジルール少尉。他の者達も銃を下ろしなさい」

 

「ぐっ……了解しました」

 

「……で、白いのにボコられたそこの金髪」

 

「ちょっ!?それって俺かぁ!?」

 

「当たり前だ。何でこの場で諍いを起こさせるようなことを聞いた?内容次第では俺自らこの艦ごと貴様ら全員沈めるぞ……!」

 

 

 途中までは普段と変わらぬ口調だったが、後半は凄まじい気迫が込められており、その場の全員が立ち竦む程であった。レジェンドは生身でそれが可能なだけでなく、実はネオ・グランゾンも持ってきている。余程のことがない限りまだ使う気はないが、いざとなればその力を振るうことも辞さぬ覚悟だ。

 

 

「あ……いや、深い意味はなかったんだ。ただ、戦闘の様子を見てな。コーディネイターは子供でもMSの操縦が出来るのかって思ったんだよ。興味本位で聞いて悪かった」

 

「……ふん」

 

 

 次はないぞ、と言いたげなレジェンドの様子を見て、一段落しただろうと踏んだダイゴはレジェンドに続く形で自身の意見を口にする。

 

 

「オーブは国としてコーディネイターを受け入れています。キラ君……でしたね、オーブに住んでいる彼がコーディネイターだったとして何もおかしいことはないでしょう。そうだよね?」

 

「え……あ……はい。僕は第一世代のコーディネイターですから」

 

 

 先のレジェンドの怒りと今のダイゴの優しい笑顔と声掛けで幾分緊張が解れたのか、素直に答えるキラにダイゴは頷く。

 

 

「じゃあご両親はナチュラルなんだ。きっとご両親は君に幸せになってほしいからコーディネイターにしたんだろうね。だから君は自分はコーディネイターであることを卑下する必要なんてない。それに、君自身や君の友人を見ていれば、君が優しい人間だって分かる。コーディネイターだからといってその人の性格まで遺伝子操作で出来はしない。その優しさは君が持つ本質だから、無くさないようにね」

 

「そうだって!ちょっと抜けてるけど、お前が気にすることないってば!」

 

「トール、抜けてるはいらないでしょ」

 

「でもさ、そういうところがナチュラルもコーディネイターも一緒だってことじゃないかな」

 

「っていうか、ナチュラルみたいなのにコーディネイターよりヤバい雰囲気の人がそこにいるんだけど」

 

 

 ダイゴに続けて、トール、ミリアリア、サイ、そしてカズイもキラを擁護する。特にカズイの発言は一誠やリアス、それにしのぶ達も声を殺して笑っていた。確かにこの中で一番ヤバい。色んな意味で。

 

 

「先輩、拗ねないでくれ」

 

「俺の何処がヤバいんだ」

 

「戦闘力」

 

「圧」

 

「経済力とパイプ」

 

「女子力」

 

「お父さん力」

 

「天然ジゴロパワー」

 

「「「「「その他諸々」」」」」

 

「よーし上等だ全員表出ろコルァ」

 

 

 このやり取りに漸くキラも笑顔になり、学生達も大笑いしていた。トールは「後半のやつ何それ」と特に笑い、ミリアリアは「女子力!?」と驚きと少しの羨望を含んだ表情でレジェンドを見ているし。

 そこでやっと置いてけぼりだった連合側……というかムウが再び口を開いた。マリューとナタルが女子力の辺りでどことなく落ち込んでいるがこの際無視しておく。

 

 

「あー……改めて悪かったな、変なこと聞いて。ここに来る途中、Gのパイロット候補生の訓練を見ていたんだけどさ。あいつら動かすのも四苦八苦してたぜ。それから、今ここを狙ってるのはラウ・ル・クルーゼの部隊だ」

 

「あのラウ・ル・クルーゼ……!?」

 

「あいつはしつこいぞ〜?出るなら早くした方がいい。尤も見逃してくれるとは思えないけどな」

 

 

 そう言って、ムウは一先ずパイロットスーツから着替えるべくその場を後にする。結局、今後のことも定まらぬままレジェンドやキラ達はアークエンジェルの一室に案内されることになった。

 

 

「あ……でもウルトラ騎空団?の方々はこの人数じゃ……」

 

「あー気にせんでいい気にせんで。後で圧縮空間の技術使って広げるから」

 

「……え?」

 

 

 ついでに、今更ながら意識が戻らないザフト兵をサーガが担いでいたことに気付き、一悶着ありそうだったがレジェンドの殺気を思い出し、連合側はウルトラ騎空団が監視することを条件に黙認したそうな。

 

 

 

 

「では、間違いないのか?」

 

「ああ。形は変わっているが動きや戦い方はそのままだ。俺がコカビエルって奴と行動していた時に出てきたのと同じだろうな。形が違うのは改修というよりメンテナンス中なんだろう、外した方の部分を」

 

「アレでもかなり厄介なのだがな」

 

 

 ヴェサリウス内ではクルーゼが戦闘データをベリアルに見せ、バルバトスに心当たりが無いか聞いたところ見事にヒット。クルーゼはバルバトスの性能を直に体験し、それでもパワーダウンしている状態だと聞いて内心驚きを禁じえなかった。

 

 

「ならば尚の事そのままにしておけんな。奴らが連合についてしまっては後々面倒になる」

 

「ただなぁ……光神サマの性格的に連合とは合わなそうなんだよね。むしろやらかしようによっては連合を撃つことも考えられるくらいさ」

 

「仮にそうなったとして、ザフトにつくとも思えん。不安な要素は早目に摘み取ってしまうに限るよ」

 

「ご尤もで」

 

 

 

 

 アークエンジェルのブリッジ。マリュー、ムウ、ナタルの三人は今後のことについて話し合っていた。

 

 

「さっきも言ったが外にいるのはクルーゼ隊だ。最近やたら頭の切れる参謀がついたってことで第七艦隊でも何かと噂になってたぜ」

 

「ラウ・ル・クルーゼ自身もかなりの知略家と聞いています。ヘリオポリスを出るには向こうが動いていない今しかありません!」

 

「それは分かっているわ。でもこちらは圧倒的に戦力不足よ。もし仕掛けてきたら殆ど抵抗出来ない」

 

「俺のメビウスは修理中だし、頼みの綱はあのストライクって新型だけだが……」

 

 

 そう言ってムウが口籠る。一応自分が乗れないか確認してみたが、OSを見たときストライクの出せるスペックを全部引き出していると言っても過言ではないものになっていた……のだが、その代わりにナチュラルでは操作出来るような代物ではなくなってしまっていた。

 

 

「……?ストライクは大尉が乗られるのでは?」

 

「あのなあ、あの坊主が弄ったOSを見たか?あんな機体、まともに扱えるわけないだろ」

 

「では、OSを元に戻して――」

 

「そんでのろくさ出て行って的になれって?」

 

「それはっ……ともかくコーディネイターの、それもあんな子供にストライクを任せるわけにはいきません!」

 

 

 ナタルを発言を聞いたムウとマリューはレジェンドやダイゴがここにいないことに安堵した。今の発言を聞けば確実に二人はブチ切れるだろう。しかし、その片割れであるレジェンドは割り当てられた部屋から地獄耳(レジェンドヒアリス)でしっかり聞いていたのだが、今自分が動くと面倒になりそうなので黙っていたらしい。

 

 

「じゃあどうする?ウルトラ騎空団って言ってたか、彼らに頭下げて頼むか?まだ隠し玉を色々持ってそうだからな」

 

「っ……何処の馬の骨とも知れない連中の力を借りるなど……」

 

「だが見ただろ、あの機体の戦闘力もパイロットの能力も。おまけにクルーゼの野郎、シグーがオモチャに見えるような新型を使ってきやがった。あれに対抗するには結構な戦力が必要になるぜ」

 

 

 ここまで言われてはナタルも反論出来ない。仮にキラをストライクで出撃させたとして、クルーゼがまたエゼキエル・ラヴァンで出て来たとしたら、どれだけ戦えるだろうか。ましてやメビウス・ゼロはムウの言う通り修理中……アークエンジェルも現在の人員では援護もままならない。

 

 マリューは溜息を吐きつつ、静かにある場所へと赴く。

 

 

 

 

 

 アークエンジェルの一室ではレジェンド達が寛いでいた……と言っても一部の者のみ、レジェンドやサーガ、三日月に沙耶などだ。一応ゼットとしのぶも寛いでいるのだが、彼らは一誠やリアスらを気遣って静かにしている。

 

 

「これからどうするのかしら、この艦」

 

「分からん。最有力としてはヘリオポリスを脱出して友軍と合流……というのがベストなんだろうが、位置が位置な上に連合はザフト以上に一枚岩じゃないからな。同じ連合でもハズレを引けばエライことになるぞ」

 

 

 沙耶とレジェンドは冷静にアークエンジェルの今後を予想している。やはり上に立つ者であるからにはこういう時こそ冷静にならねばならない。サーガと三日月はサンドイッチを摘まみながらドリンクを飲んでいる。

 

 

「もう少し種類を増やすべきだったか」

 

「そんなことないよ。俺、量も大事だと思うし」

 

 

 カツサンドを頬張る三日月を微笑ましく思うサーガ。

 

 だが彼らと違い、一誠やリアス、タイガ達は戦争というものの一端を目の当たりにして沈黙していた。レジェンドや三日月は相手が人間だろうと躊躇無くその行動に踏み切ったが、自分達はいざという時に引き金を引けるのか。

 

 

「……俺、ずっと戦争は嫌だ、戦争は反対ってしか思ってなかった。でも実際はこんなに複雑なんだな」

 

「爺ちゃんや婆ちゃんにざっと聞いたぐらいだった。悪い宇宙人や怪獣が光の国を襲って、それでたくさん犠牲者が出たって。だから俺も戦争は悪いことなんだと漠然としか認識してなかったよ」

 

「イッセー、タイガ……」

 

 

 リアスは俯きながら言う二人に慰めの言葉をかけようとするも、自身も似たようなものであるため口にすることは出来なかった。『人間』を『悪魔』に置き換えてみれば自分も精々キラ達より少し経験がある程度でしかない。コカビエルが望んだのはこんなのが当たり前の世界なのか、と改めて戦慄する。

 

 

「ゼットさんはあまり動じてませんね」

 

「「「!?」」」

 

「知ってますか、しのぶちゃん。あのシミュレーターの超高難度モード、CPUでもダイレクトに感情をぶつけてくるんでございますよ。自分がシミュレーターのミッションで撃った相手も記録されてるので、『兄の仇だ』とか『お前さえいなければ俺の家族は』とか言われたときは本気でシミュレーターやめようかって思うぐらい精神ウルトラ追い詰められたぜ」

 

 

 このゼットの言葉に一誠やリアス、タイガのみならず、フーマやロスヴァイセ、それにアマリ、ルリア、アズも大きな衝撃を受ける。そのシミュレーターで放たれたCPUの敵の言葉は、今後自分が実際に受けるかもしれないものなのだ。

 唯一、タイタスだけは出生やその立場上体験していたため然程ショックはなかったが。

 

 

「ところで、ティガ先輩がいない上に俺らこうして実体化してますけど大丈夫なんですかね?」

 

「バレたらバレたでその時だろ。っつーかよく考えたらいつかバレそうだし別に問題無くね?」

 

「レジェンド様、普通に問題あると思いますよ?」

 

 

 そんなことを話していると――

 

 

 

 

 

「貴女達はこれ以上、彼に何をさせようというんですか!!」

 

 

 

 

 

 部屋の外からダイゴの、怒りの込もった声が響いてきた。

 

 

 

〈続く〉




キラのダイゴさんへの好感度爆上がり中。これフレイよりよっぽど影響力強くね?そうする気ですが。

ゼットも戦争に関しては何も最初からメンタル強かったわけではありません。
シミュレーターとはいえ限りなくリアルに近いもので何度も体験したから培われた結果なのです。つまり、ゼットのシミュレーター内の進歩状況からして星の屑作戦でコロニー落としが行われるのをしっかり目撃しているわけです。(ノイエ・ジールは撃破したがそちらまでは妨害出来なかった)

そして次回……遂にゼット、Zガンダム出撃!


それではまた次回。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
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