ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER 作:ハジケハムスター・ポッポ
本当なら一話分完成してから、と思っていたのですが予想を遥かに超えて長くなってしまったので前後編に分割しました(今回投稿時、製作中の後編6000字超え)。
そして、今回の最後にいよいよ彼が出撃します。戦闘は次回となりますが例によってスペシャルゲストが出演しました。
それでは本編をどうぞ。
――アメノミハシラ――
「レジェンド様達は大丈夫でしょうか……連絡が全く無くて心配です」
「戦闘になろうとあの男がそう簡単にやられるわけがあるまい。案ずるな、アーシア・アルジェント」
「あ……ミナさん」
「ふ……大抵の者は私と二人きりになると萎縮するというのに、清楚な見た目からは想像も出来ぬ胆力の持ち主だな。レジェンドが気にかけているのも頷ける」
まさか褒められるとは思わず、アーシアは頬を染めつつも軽く礼をする。話してみて分かったが、どうやらロンド・ミナ・サハクは強い信念を持つ者を気にいる傾向があるらしく、ウルトラ騎空団は彼女にとって理想の集団だという。
「便りが無いのは元気な証拠とも言う。お前はお前の信じる者のために今出来ることをすれば良い」
「……はい!それじゃあ私、訓練してる人達に差し入れ作ってきます!」
「うむ。私も後で顔を出そう。束がアストレイゴールドフレームをベースに改造した機体をシミュレーターで試してみたい」
どことなく千冬に似た雰囲気があったからか、ミナは束と意気投合。ミナ専用機としてガンダムアストレイゴールドフレーム
ついでに、後ほどシミュレーターで彼女と天津神に挑んだゼノヴィアとイリナ、あとセラフォルーはコテンパンに叩きのめされたらしい。
「うあああ!!エネルギー吸収されたと思ったら急に逆流させられて爆散したあああ!!」
「何で特機の装甲を平然と貫通してくるのおおお!?」
「わあああん!!ソーナちゃんにお姉ちゃんの凄いとこ見せたかったのにいいい!!」
そんな光景を見ながら、アカネは先程訓練を終えて食事中のユウキに聞いてみる。
「それで〜?ユウキの方はどんな感じ?」
「レジェンド様の用意してくれたデータのこと?」
「そうそう、エクスバイン・アッシュだっけ。ヒュッケバイン30に頭が似てるやつ」
「良い感じ!必要な武器は一通り揃ってるし、T-LINKセイバーって武器なんてボク好みのやつだもん」
笑顔でピースするユウキ。元気だね〜と思いながらアカネはジュースを啜っている。悲鳴や泣き声が背後から聞こえてくるが気にしない。
「んじゃ〜私がシミュレーターのシチュエーション設定してあげる。すっっっごく強い怪獣と戦うこともあるかもだし?」
んふふ〜と笑うアカネは、ヒーローに理解こそ示すようになったがやはり怪獣大好きっ娘。故にカプセル怪獣達はお気に入り。
「アカネが設定するならホンモノの強力怪獣なんだろうなぁ……開発中のVRゲームで上級以上のクエストを作成してるぐらいだし。よし!お願い!」
「任されました〜。ど〜れを設定しよっかな〜?」
非常に楽しそうなアカネだが、彼女の性格を知っていれば設定される怪獣や超獣がハンパじゃないものだとすぐに分かる。逆に理解していない場合――
「私も参加させてくれ!」
「私もっ!相手は違うけどリベンジしたい!」
「レヴィア☆たんも参戦するよ!」
(大丈夫かなあ……アカネ、絶対ウルトラマンを一度は倒した怪獣出してくるよ……)
と、ユウキが懸念するもやる気に満ち溢れる者が出てくる。そして案の定――
「ちょっ……まっ……!?」
「いやあああああ!?」
「何これえええええ!?」
なんとアカネが設定したのはかのウルトラマンマックスを倒した機械獣ギガバーサーク。そりゃ初心者どころか上級者でも数人がかりじゃまず勝てないような相手である。
「あー……少しは善戦出来ると思ったんだけどなぁ」
「仕方ないよ。大きさが違いすぎるし、スーパーロボットでも数体程度じゃあビクともしない機動要塞みたいな怪獣だからね」
……言っておくが、レジェンドやアムロはこれをタイマンで普通に撃破する。バケモノ通り越してキチガイとしか言えない気が……。
そんなほのぼのとしているアメノミハシラとは反対に、ヘリオポリスは今まさに激動の真っ只中であった。
☆
時はほんの少しだけ遡り、アークエンジェルの一室。キラ達学生に割り当てられた部屋に、ダイゴは一人訪れていた。五人の中で唯一キラだけは浅く眠っていたのだが、ダイゴが来るやいなや一瞬で起きたためトール達は本気でビビったらしい。
「ホント心臓に悪すぎだって」
「ご……ごめん」
「でも眠れるっていうのは良いことだよ。疲れてるのに何かしら頭にこびりついてしまって、寝たくても寝れないときとかあるからね」
「あ!それすっごい分かります!明日出る新作スイーツが食べたい、けど体重が……とか!」
「ミリィ、それ何か違う気が……」
「いや、彼女の言うような事態で悩んだ子って結構いるんだよ。チーフのとことかにも」
ええーっ!と声を上げるキラ達男性陣と、ほらあ!と笑うミリアリア。先の格納庫では重い雰囲気だったのだが、ダイゴの人当たりの良さや気遣いのおかげで彼らはすっかり打ち解けていた。
そこへマリューが一人で訪ねてくる。そして……。
「貴女達はこれ以上、彼に何をさせようと言うんですか!」
マリューはキラに第八艦隊との合流までストライクのパイロットを頼んだのだが、ここでダイゴの怒りが爆発した。彼の沸点はかなり高いのだが、半ば強制的な同行に始まり、コーディネイターというだけで銃を向け、そこまでしておきながらあまつさえ自分達が危ないと分かるや、戦闘訓練も受けていない学生を戦場に駆り出そうとすることが彼の逆鱗に触れたのである。
「都合のいいことを言っているのは分かっています。ですが――」
「お断りします!」
マリューの言葉を遮るようにキラがハッキリと言い切った。ダイゴはキラと目を合わせると、ちゃんと意思表示が出来たことに微笑んで頷き返す。
「もう十分でしょう!?いきなり銃を向けられて、命令されて、無理矢理戦艦に乗せられて……これ以上どうしろっていうんですか!」
「キラ君の言う通りです。確かに軍事機密を見てしまった以上、同行させるのは仕方のないことかもしれません。ですが、戦うことと戦えることは別問題です!」
そう言われてしまうと、マリューは反論出来ない。そこへ、まさかの人物が顔を出した。
「何事でございますかティガ先輩!!」
「おいバカ今実体化してんのにいきなり……あ……」
「「「「「……え?」」」」」
「あっちゃあ……」
ゼット。そう、ウルトラマンゼット。レジェンドが止めるのも聞かず、まんまその姿で駆けつけてしまい、周りが硬直してしまう。当のゼットはというと、今になって漸く自分が何をしでかしたか気付いたらしい。ダイゴに至っては額を押さえてガックリしている。
「……ん?あれ……?もしかして皆さん、俺見えてます?」
「え……ええ、一応……」
「うええっ!?あ、ヤベ……こういう時は……ゴホン!ナイストゥーミーチュー、私はウルトあだっ!?」
「このバカタレ!!いつも一時のテンションに身を任せて行動するなと言ってるだろうが!!」
ゴガァン!!と、とんでもない音を立ててレジェンドがゼットの頭に拳骨を落とした。ゼットは頭を押さえつついつもの「ウルトラすいません」を炸裂させているが、キラやマリュー達は予想外過ぎる存在に頭が追いついていかない。
「いや……その、貴方は一体……」
「くっそ、ゼットがバカやらかしたおかげでさっき会話していたことが一時間と持たず現実のものになってしまったか」
「一時間どころか十分も経っていないわよ、先生」
「えっと、えっと……な、なしとみるくー!私はルリア……」
「ルリア!真似しなくていいから!ちゃんと言えてないけど!」
沙耶にルリア、アマリまで駆けつけカオスになりつつあったが、ここでいきなり警報が鳴り響く。
「はわっ!?な、何ですか!?」
『ラミアス大尉!聞こえるか!?』
「フラガ大尉!?」
『連中が仕掛けてきた!至急ブリッジに上がれ!君が艦長だ!』
「私が……!?」
『先任大尉は俺だが、この艦のことは分からん!』
ザフトの再襲撃が始まったこと、そして自身が艦長になった……というかされたことに戸惑いを隠せないマリュー。しかし、ここでこうしている間にもザフトのMSは迫ってきている。だがキラがストライクに乗るのを拒んでいる以上、無理に乗せるわけには……そう考えて思考が堂々巡りになっていたとき、救いの手を差し伸べたのはゼットであった。
「なら!俺が出る!」
「「「「「!?」」」」」
「出るって……貴方がストライクを操縦するというの!?」
「違うって!まあ、出来なくもないかもしれないけど……とにかく!俺には俺の機体があるんだ!それにアムロ師匠からも、コロニー内での戦闘や注意しなきゃいけないことはしっかりレクチャー受けてるし復習もしてる!超師匠!」
「……いいだろう」
少しだけ考え、レジェンドはゼットの出撃を許可した。最初は自分が出ることも視野に入れていたが、元々この異世界修行は次代を担う者達の心身成長を見越して行い始めたもの。ならばこそ、やる気があるうちにやらせた方がいい。
それに、ゼットはウルトラ戦士としてはまだまだだが、パイロットとしてなら既に第一線で活躍出来るレベルの実力がある。
「マリュー・ラミアス、格納庫と発進カタパルトを借りるぞ」
「え!?でもストライク……そういえばさっき自分の機体って……そもそもどこに――」
「ここで押し問答をしているヒマはない。行くぞ、ゼット」
「了解!」
「あ!ちょっと!」
マリューの制止も聞かず、レジェンドはゼットを伴って格納庫へと走っていく。そんな二人の後ろ姿を見ながら立ち尽くしていると、続いて沙耶にアマリ、ルリアまでも彼らを追いかけて格納庫へと走り出す。
「私も行くわ。一応、あの機体は必要な武装一式揃ってるし」
「私達も行きましょう、アマリ!召喚は使えないと思いますけど……」
「少しは隠してね、ルリア……ゼットさんがそのままの姿で顔出ししちゃったし、もう遅いと理解してるけど」
沙耶はまだしもルリアは召喚とはっきり口にしてしまっており、アマリが溜息を吐いて肩を落としている。これではトライスクワッドがバレるのも時間の問題。あの三人も然程困らなそうだが。
マリューは次々と格納庫に向かうウルトラ騎空団の者達に何も言えず、ただ見送るだけになってしまった。
ありがたいといえばありがたいのだが、彼らは『仲間が乗っているから』戦おうとしているだけだ。そうでなければ中立国のコロニーで戦闘しようとする自分達やザフトの味方などしないだろう。
だが、ここでゼット達の行動に触発されたのが、あろうことかキラであった。
「……この艦を守ることがトール達や、ダイゴさん達を守ることになるんですよね」
「……!キラ君、貴方……」
「勘違いしないで下さい。僕は……あの人達のように守りたいもののために力を使わせてもらうだけです。もし降りろとか乗るなとか言うなら、勿論僕は従います。でも、次にそう言ったときは二度と僕はあの機体に乗りません!誰が、何と言おうと!!」
少し気弱なところがあったキラがここまで強くはっきり言い切ったことにトール達は驚くが、それはほんの少し前までダイゴが心を解してくれたこと、そしてゼットが我先にと艦を守るべくレジェンドと駆けていったことが理由だ。
自分達を庇ってくれた人達が危険な戦場に赴かんとするときに、自分に出来ることは何か――そう考えたとき思いついたのは自分が乗ることを拒否したストライクに乗り、戦場に出て少しでも彼らの負担を少なくすること。
しかし、彼らのフォローをするとしても自分のことが疎かになっては本末転倒。だが、そんな彼の懸念を払拭する声が。
「ならば俺もダブルオークアンタで出る。他の機体よりはフォローという面において問題ないはずだ」
「貴方は、レジェンドって人を先輩と呼んでた……」
「ソラン・セイエイ、以後よろしく頼む」
「あ、はい。キラ・ヤマトです。あの……ダイゴさん、すみませんでした。せっかくああ言ってくれたのに、僕の方から乗るって言い出しちゃって……」
申し訳無さそうに頭を下げるキラの肩を叩き、ダイゴは微笑みながら首を振る。
「気にしないでいい。だって、今の選択は君が自分でしっかり考えて決めたじゃないか。僕達大人が出来るのは君達にいくつもの選択肢をあげること。勿論、その中から選ばず別の選択を見つけ出してもいい。大事なのは自分というものを見失わないことだよ」
「ダイゴさん……」
「僕は立場上、簡単には戦闘に参加出来ないけど……気をつけて」
「はい!」
ダイゴの優しさを受け、キラは迷いなく返事を返す。ダイゴはそんなキラを笑顔で見たあと、サーガを見ると「彼は任せろ」とサーガは頷いてくれた。あとは眼前で呆けている艦長を現実に戻してブリッジに行かせるだけだ。
「彼らは自分の出来る範囲でやるべきことを、自分の意志で決めて動き始めました。貴女はどうするんですか?」
「え!?あ……すみません、マドカ特務大使!自分は一旦失礼致します!」
いきなり声をかけられたマリューは一瞬ビクッとすると、ダイゴに向かって敬礼しブリッジへと駆けていった。それから学生達がダイゴの後ろからひょこっと顔を出す。
「大丈夫かな、キラ……あの艦長さんも」
「何でだろ、艦長さんの方が心配になるのは……」
「トールもか?俺もなんだ」
「キラの方はほら……何か凄い人達と一緒だし」
アマリやルリア、沙耶はまだ初心者を脱したくらいだが、ゼットはエースパイロット級の腕前、サーガに至っては勝てる相手となるとレジェンドやアムロなど最強クラスのパイロットの中でも頂点に君臨する面子ぐらいの技量を誇る。
そんな人物にフォローされれば敵機の撃墜は出来ずとも撃墜されることもまず無いはず。
マリューを始め、生き残った者達の寄せ集めなブリッジの方が遥かに危うい。
それに近くの部屋では――
「……姉さん、ハクくんとフウちゃんがいないだけでそこまで落ち込むことなの?」
『だって!ヒリュウ改どころかアメノミハシラ、果てはそっちにもいないと思ったらエリアル・ベースに残ってるっていうんだもんんんん!!』
「ダーントさんがお世話してくれるというのでお任せしたんですが……」
「…………」
「アズさんもしゅんとしないで下さい」
……ウルトラ騎空団で残った者達が専用秘匿回線を使い、アメノミハシラにいる待機メンバーと会話中。一誠達はまだショックが抜けきっていないのに、しのぶやロスヴァイセ、アズは割と平気そうである。通信先のカナエは平常運転……大丈夫かオカルト研究部。
アークエンジェルのブリッジでは、ナタルを始めとする生存したメンバーから急遽選抜したクルーと、乗機が修理中で出撃不可能なムウが、攻めてきたザフトを迎撃すべく各システムを起動させている。
そんな中、ムウは戦線投入されているジンの装備を見て驚愕した。
「あれは拠点制圧用のD装備じゃないか!あんなもんをここで使う気か!?」
「どうやら相手は本気で我々を潰す気のようです」
「たく、こっちにはオーブの特務大使が乗ってんだぞ?俺らもそうだが、これじゃプラント側だって大目玉を食らうんじゃ……って、この艦が落ちちまったら終わりか。ホントに嫌なヤツだなクルーゼ!」
相手の指揮官を知るが故の悪態をつくムウだが、そこにマリューが漸く到着する。
「遅くなりました!」
「どうだった?」
「乗りはするけど守りたいものを守るために借りるだけと……あとは次に降りろとか言われたら、頼まれても二度と乗らないとまで言われたわ」
「おいおい、どうしたんだあの坊主?パッと見そんな強気発言しそうには見えなかったが……まあ、取り扱い注意とはいえ戦力になってくれるなら文句なしだ」
「それから……えーっと……」
「艦長!事態は急を要します、伝達は迅速に!」
ムウはともかく、ナタルから叱責されたが先の衝撃的映像を伝えてもいいものがどうか……とりあえず、ウルトラ騎空団から何名かが手助けしてくれることを伝えよう、そう考えて説明することにした。
「……ウルトラ騎空団から数名、本艦の護衛のために力を貸してくれるとのことです」
「なっ……!?」
「よっしゃ!願ってもないことだ。けど機体はあるのか?まさか生身でやりあうってんじゃないだろうな」
ムウの懸念は尤もだが、よりによってそれが普通に出来る面子(ドグマや召喚さえ使用可能ならアマリやルリアも)が出撃メンバーなのはいかがなものか。
すると、格納庫から通信が入ってきた。
『ブリッジ!ちょっといいですかい!?』
「どうした!?」
『いや、どうしたもこうしたもいきなりあのウルトラ騎空団の団長がわけのわからない――』
『だからウルトラマンゼットだって名乗ってるでございますよ!ハンガーを一つ貸してくれって言ってるんだ!』
「「「「「はあ!?」」」」」
「そういえばあの時、そのまま走っていったわね……」
ムウやナタル以下ブリッジクルーはゼットの姿に目を見開き顎が外れ、マリューはもはや遠い目をしている。現実逃避には早いぞ、艦長。
「何だ、あれ……」
「コスプレか?にしちゃあまりに自然過ぎるし」
「ファスナー付いてんのかな」
『聞こえてんぞォ!何で俺の身体にファスナーなんて付ける必要あるんだよ!』
「……マジかよ。いや本当に何なんだ?」
「貴様!ふざけた格好で――」
『何だと!?今の発言は聞き捨てならねぇ!それは俺達ウルトラマン全員に対する侮辱だぞ!!』
本気でゼットが怒っていることにナタル達はビクッとしたが、レジェンドがそこに割り込んでゼットを諌める。かくいうレジェンドもナタルの言葉に青筋を浮かべたが、ここでキレても意味がないと圧だけかけておく。
『やめろ、ゼット。今は売られた喧嘩を買っている場合ではない』
『でも超師匠!』
『おいブリッジの連中、ついでにここにいる整備班にも言っておく。我がウルトラ騎空団は種族や生まれのみならず、世界や次元を超えて手を取り合い共に生き、戦う騎空団だ。先の発言はその理念を害するものであり、今後は控えて頂こう。事と次第によっては即座に敵対することも視野に入れる』
ただ諌めるだけではなく、しっかり釘を差しておいたレジェンド。マリューやムウは三日月とバルバトスの戦いを見ていたため、あれらを敵に回すくらいならと心にしっかり刻んだという。
『それはそれとして、そちらからも許可が欲しい。前程も言ったがハンガーを借りれれば問題ない。機体は俺達個人個人で既に有しており、場所を食うからそれぞれが個人ごとに収納しているだけだ』
『私とアマリのはちょっと特殊ですけど……』
『基本的な所有権は私にあるけどね』
『早くしないと狙い撃ちにされるだけよ。私は何もせず沈むのを待つなんて御免だわ』
『出撃させてもらえれば迎撃及び艦の防衛はこちらで引き受ける』
レジェンドに続き、ルリアやアマリ、サーガも到着し許可を待っていた。キラなど「今は緊急事態なんでしょう、迷ってる場合ですか」と少し前までの彼とは違う雰囲気さえ纏っている。
「分かりました。Gの試作機の数上、ハンガーは少なくとも五機分あります。そちらを使って下さい」
「艦長!?」
「バジルール少尉、今は借りれるものは何でも借りなければならないのが本艦の現状よ。ただでさえ正規の戦力はストライクのみ……フラガ大尉の言うようにクルーゼ隊にはGを超える機動兵器もある。ここで本艦とストライクが無事に本隊と合流するためには、彼らの力を借りる他ないわ」
マリューの言葉にナタルは黙るしかない。ムウのメビウス・ゼロでは勝てなかった、ぐらいならまだ希望はあったが、太刀打ち出来ないレベルのエゼキエル・ラヴァン相手にマウントを取れる力がアークエンジェルにあるとすれば、やはりウルトラ騎空団保有の戦力だけ。
彼女の言う通り彼らの力なくして状況の打破は不可能だろうと、渋々ナタルは納得する。
『許可を感謝する。ゼット、アマリにルリア、沙耶、そしてサーガ。それぞれZ、ゼルガード、X、ダブルオークアンタをハンガーに出せ。ゼルガードは……サイズ的にいけるか?』
『ゼルガードは他の三機より少し大きいから最後に出した方がいいかも』
『あの白いのよりちょっとだけ大きいかもしれませんから』
クルーゼのあれよりデカいってなんだよ、とムウは思ったが口には出さない。レジェンドが二人の言葉に頷き他の三人を見ると、彼らも頷いた後に多目的ブレスレットを操作して各々ハンガーに機体を出していく。
確かバルバトスもそんな感じで逆にしまっていたなと思いつつファンタジーのような、はたまたどこぞの猫型ロボットがやりそうな技術にも驚くが、現れた機体を見て更にアークエンジェルのクルーは絶句する。
奪われた四機のGに似た頭部の、バランスが取れたフォルムを持つZガンダム。
背面に身の丈程のキャノン砲を持った、ストライクに近い頭部のガンダムX。
そして他の機体に比べ、より左右非対称で強い存在感を放つダブルオークアンタ。
それぞれがG兵器と似つつ、しかしバルバトス同様にG兵器とは違う存在感を持った三機を彼らは凝視した。
『パイロットスーツを着ている時間はない。そのまま乗り込んで準備しろ』
『『『了解!』』』
『沙耶は渡したGコントローラーを忘れるなよ。あれが無いとGXは起動すら出来ん』
『分かってるわ、先生』
レジェンドと沙耶の会話を聞き、マリューはG兵器のセキュリティの甘さを痛感する。他にもダブルオークアンタはあるものを登録されたパイロットでなければ起動不可能だ。あるものとはサーガがベースにした人物の機体と違い、サーガ自身の光気。つまり、いくらサーガと似た人物などが乗ろうと動かせないのだ。
唯一Zガンダムはそういったものがないものの、その性能の全てを引き出すにはOSがどうこうという問題ではない。
『スペース的には……あまり余裕はないが問題なさそうだな。一応少しだけ圧縮空間の技術を応用しておくか。いいぞ、二人共』
『『はい!』』
そう応えたアマリとルリアは、ルリアがアマリの収納ブレスレットに触れる形でゼルガードを出現させる。この方法はルリア考案によるものだ。
エゼキエルのような、MSとは違う機体が出たことにクルー達は本日何度目か分からぬ驚きに見舞われるが、マリューとムウはもはや慣れつつあった。
「慣れていく自分が怖いわ……これから先も似たようなことが起こりそうだけど」
「クルーゼがあんな機体を使ってきた時から覚悟はしてたけどな……」
マリューの予感は的中するとだけ言っておく。
☆
ヴェサリウスにて、今回クルーゼは出撃せず指揮に専念している。ベリアルもまた同様。
「さて……件の機体はまた出てくると思うか?」
「五分五分、というトコかな。もしかしたらあの機体以外の機体が代わりに出てくる可能性が無きにしもあらずだ」
「それはそれで興味深いが、そちらに気を取られて作戦失敗となるのはいかんな」
そりゃそうだ、とベリアルが肩をすくめるとアデスが何かに気付く。どうやらアスランが奪取したばかりのイージスで出撃しようとしているらしく、アデスは止めようとするがそこでクルーゼはアデスを逆に制止。
「構わん。行かせてやれ、アデス」
「隊長!?よろしいのですか?」
「何か確かめたいことでもあるのだろう。いざとなれば私が連れ戻せばいいだけの話だ」
「優秀だけど若いねえ、全く」
ベリアルもそう言いながらクルーゼと同じくアスランを止める気はなく、普段のように頬杖をついてモニターを見ている。隊長と参謀の二人に言われたアデスは仕方なく、出撃するイージスを見送らざるを得なかった。
(あの場所にいたのがキラなのか、何としてでも確かめなければ……)
「どうした、アスラン!お前の任務はそいつの奪取だろう、後のことは俺達に任せておけ!」
「確かめたいことがある!ミゲル達の邪魔にはならないつもりだ」
「……分かった、だがそれが終わったらすぐに戻れ!あの時のバケモノMSがまた出てこないとも限らないからな!」
先に出撃し、他のジンと共にアークエンジェルへ攻撃を仕掛けていたミゲルの指示に頷きつつ、アークエンジェルに接近しようとしたところ、カタパルトらしきものが見えた。その先にあったのは、バルバトスとは違う機体――ゼットの乗ったZガンダムだ。
「何だと!?また新型か!」
「連合は予め新型をいくつかあの戦艦に運び込んでいたのかもしれない。そうならばこれだけ立て続けに情報のない新型が姿を見せるのも納得がいく」
アスランは一周回って逆に冷静になっていた。アスランとしては新型よりもストライクとキラの関係性が気になっているため、然程気に止めていない。バルバトスがあまりに異質な機体だったとはいえ、今見えたZガンダムは他の試作機とよく似ていることから少なくとも互角ぐらいだろう、アスランはそう予測している。
それが大きな間違いだと知らずに。
☆
真っ先にカタパルトに乗せられたZガンダムのコックピットでゼットは深呼吸していた。
いよいよMSに搭乗して初の実戦。今まではレジェンドのコ・パイであったが、今回は自身の単独操縦であり彼の助けを借りることも出来ない……否が応でも緊張するというもの。
『今回がお前の初陣だが……落ち着いていけ、ゼット。シミュレーターをやっているうちにお前なりの覚悟は身についているだろう。それとアムロからアドバイスの一つや二つも受けているはずだ』
「は……はい!」
『戦いは攻めるより守る方が難しいとよく言うが、この艦……アークエンジェルと言ったか。こちらの護衛はサーガがストライクのフォローをしつつやってくれる。お前は自由にやってみろ。戦場の空気を直に感じ取れ』
レジェンドなりに後押ししてくれているのが分かり、ゼットは少しばかり緊張が解れ、いつもの調子が戻ってくる。
――敵を殺さないように戦うというのは素晴らしいことだが、それより大事なのはまず自分が死なないことだ。相手の命を尊重するあまり、自分の命を散らしてしまっては元も子もない。たとえ誰に何と言われても、生き残ることを放棄するんじゃないぞ――
ゼットが心に留めた、師と尊敬する一人であるアムロから教わった言葉。数多の命が目の前で散っていく、大きな戦争を幾度となく経験したアムロの言葉はとても重い意味を持っていた。
「……よし!」
『心と身体、そして機体の準備も出来たようだな。本来ならばブリッジから指示が出るんだろうが、状況が状況だから俺がここでやってやる。もう一度聞くぞ、準備はいいか?』
「ウルトラスタンバってます、超師匠!」
――貴方ならやれますよ、ゼットさん――
「――!!」
ふと誰かに声をかけられたのかと思い、横を向くと――そこには薄っすらと光る、ノーマルスーツのカミーユ・ビダンがゼットに笑顔を向け、サムズアップをしていた。
何故彼がこんな形で自分に語り掛けてきたかは分からない。ただ一つ言えるのは、そう言ってくれた彼の期待に応えるだけだ。
そう思ったゼットは無言で頷きつつサムズアップを返し、それに満足したのかカミーユは穏やかな笑みを残し再び光となって消える。
『カタパルト接続完了。Zガンダム、発進用意!』
レジェンドの声が格納庫に響き、改めてゼットは操縦桿を強く握り締め――
「ウルトラマンゼット!Zガンダム、行くぜ!」
ペダルを踏み込むと同時にカタパルトが作動し、Zガンダムが今アークエンジェルの外へと飛び立った。
〈続く〉
アムロに続きカミーユにさえ認められたゼットさん。マジで転職した方がと思わずにはいられないッ!
本作のキラ君は原作に比べ成長が早いです。原作と違って常に自分達の側に立ってくれるレジェンドやダイゴ達がいるため押し切られることが殆ど無くなったのが一因だったり。
リアスの胸にダイブしたことは関係ないはず、多分。
次回のちょっとしたフライング予告、ミゲルが格好良くなったと思う。
それではまた次回。
二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?
-
真ゲッタードラゴン(大決戦版)
-
真・ゲッター1(スパロボα仕様)