ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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お待たせしました。
予想外の強敵、まさかの参戦です。そしてかの人物だけでなく、あんな人物らまで……。


それでは本編をどうぞ。


赤い彗星

 ラスティ・マッケンジーは任務に失敗し、連合の銃弾に倒れた……はずだったが、何の因果か一命を取り留め、どこかのベッドで目を覚ました。

 

 

「……ここは……」

 

「……よう、お前も目が覚めたかラスティ」

 

「ミゲル!?あい゛っ!?てぇ……っ……」

 

「無理するなよ。弾は貫通してたらしいが、撃たれたことに変わりないんだからな」

 

 

 隣でミゲルも横たわっていたことに驚くも、同時にここがザフトの艦でないことにも気付く。

 

 

「なあ、まさかここって……」

 

「連合の艦だ。俺も我を通してボロ負け、我ながらとんでもない連中に喧嘩売ったもんだぜ」

 

「何でそんなに落ち着いてんだよ!?一刻も早く脱出……」

 

 

 ベッドから出ようとミゲルがいる方とは反対を向いたラスティが見たものは――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――真っ黒い(タイタスの)尻だった。

 

 

 

 

 

「うおわあああああ!?」

 

 

 

 

 アークエンジェルのブリッジに衝撃が走る。

 

 

「あ……赤い彗星……!」

 

「シャア・アズナブル……!何でこの宙域に!?」

 

(どういうことだ?確かそいつはアムロやマリーダ同様、宇宙世紀出身……コズミック・イラには存在しないはず。同姓同名かと思ったが二つ名まで同じというのはさすがに出来すぎている)

 

 

 マリューやナタルら連合所属のクルー達は顔色が悪いものの、学生達は相手がどれほどのものか分からず、レジェンドは既に思考を切り替えていた。

 

 

(もし、シャア・アズナブルが俺の知るシャアであるならば今戦場で対抗出来るのはダイゴかサーガ、次点で食いつけるのがゼット、といったところか。だがダイゴは一誠達の、サーガもフラガのお守りがある。せめてあいつらだけでも格納出来たなら――)

 

「……っ!MSの反応がこの宙域に急速接近!は、早い!!通常の三倍の速度でこちらに向かってきています!!」

 

「……当たってほしくない予想が当たったか」

 

 

 そして遂に、その人物は戦場にその姿を現す。己の存在を主張するような、二つ名に相応しいパーソナルカラーで染め上げた機体を駆って。

 

 

 

 

 赤い彗星、シャア・アズナブル。

 

 本名キャスバル・レム・ダイクン――ジオン・ズム・ダイクンの遺児にしてアルテイシア・ソム・ダイクンの実兄である。U.C.0093の3月に起きた第二次ネオ・ジオン抗争の末、アムロ・レイと共に行方不明となった彼はアムロが東方不敗によって惑星レジェンドへと招かれ、新たな力や仲間を授かりそこで暮らすようになったのと時を同じくして、理由は不明だが単身このコズミック・イラへと転移し、同時に幾分か肉体が若返るという不可思議な事態に見舞われた。

 

 しかしながら記憶や今まで培ったMSの操縦技術等は失われず、救助してくれたプラント側のためにその力を使わんと考えたところ、ナチュラルとコーディネイターの戦争が勃発。かつての世界でアースノイドとスペースノイドによる戦争を経験していた彼は宇宙に生きる者としてコーディネイター側につくことを選択し、ザフトに入隊。その超人的技量によって瞬く間にネビュラ勲章を授与され、一部隊の指揮官まで上り詰める。

 

 コズミック・イラではナチュラルに相当する彼ではあったが、その働きと生来のカリスマ性でコーディネイターからは一部を除き好意的に受け入れられ、敵味方ともに畏怖を感じさせるその機体色と圧倒的強さから、奇しくも生まれた世界と同じ『赤い彗星』の二つ名がつけられる結果となった。

 

 そして、今――

 

 

 

 

「崩壊したヘリオポリスの現状を見に来たのだが……よもや木馬に似た艦や、まさかZを見ることになるとはな。カミーユが乗っているわけではないようだが、この感覚……それに他のガンダムも私の記憶にあるものとは違った方向性を持っているようだ」

 

 

 シャアはモニターに映る、メビウス・ゼロを含めた七機の機体を見たあとに自身を追随してきている母艦や部下に指示を出す。

 

 

「アポリー、ロベルトはZを任せる。ただし無理はするな、あの機体の性能はアポリーも分かっているだろう」

 

『了解です、隊長』

 

『かつてと同じ轍を踏むことがないように、自分も警戒します』

 

「それでいい。たとえ臆病者と言われようがチャンスとは生きているものにこそ与えられるものだ。シャリア・ブル、ミダラーンは宙域から少し離れて待機してくれ。元よりこの戦いで決まるとは思っていない」

 

『了解しました。信号弾のタイミングは?』

 

「そちらに任せる。先の戦闘を見る限り厄介なのは、あの粒子を放出している機体と合体型の機体、そしてZだ。特に粒子を放出している奴は移動方法も得体が知れん。私も深追いする気はない、判断を見誤るなよ」

 

『ハッ!』

 

 

 アポリー・ベイ、ロベルトことリカルド・ヴェガ、そして旗艦ミダラーンの艦長のシャリア・ブル……皆、宇宙世紀出身でジオン縁の人物達だ。既に大規模戦争を経験した歴戦の勇士達が集う部隊、それこそがザフト最強部隊と名高い『アズナブル隊』である。

 

 

「さて……見せてもらおうか。別の世界のガンダムの性能とやらを」

 

 

 

 

「あ……赤い彗星、シャア・アズナブルだって!?アムロ師匠のライバルその人じゃねえか!どうしてここに……ってそんなこと考えてるヒマはねえ!油断すりゃすぐに撃墜される、冷静じゃいられないけど冷静に、だ……!」

 

 

 ゼットはリアルシミュレーターモードでその技量を敵味方双方の場で知っているからかすぐに気持ちの切り替えが出来たものの、他の面々はダイゴとサーガを除いてそうもいかない。

 

 

「ティガ先輩とサーガ超先輩はストライクをアークエンジェルへ!何かパワーダウンしてるストライクを守りながらじゃまともに戦える相手じゃござらんす!」

 

「確かに、あの雰囲気は普通じゃない……!頼むよ、ゼット!」

 

「俺は超先輩なのか……それはいいか、了解した」

 

 

 この場における最大戦力の二機を離脱させることは相手を考えれば半ば自殺行為に近い。しかし、戦闘がほぼ不可能な状態のストライクを戦場に居させることの方が全員にとってデメリットになると考えたゼットは、自分が相手取る覚悟でストライクの帰還を優先させた。

 

 しかし、彼にとって予想外なのは随伴機――リック・ディアスの発展型と思われる二機が自分の相手だったことだ。

 

 

「リック・ディアス!?いや違う!強化型か後継機!?」

 

「リック・ディアスを知っている……?ならエゥーゴの関係者もしくは協力者か。声の感じからしてやっぱりカミーユじゃない」

 

「Zガンダム……この目で見るのは初めてだが、良い機体だな」

 

(おい、ウソだろ……!?あの声、まさかアポリーさんやロベルトさんか!?)

 

 

 アポリーとロベルトの乗る機体――スーパーディアス改は、殺意こそ無いものの本気でZガンダムへと向かってきた。リック・ディアスに比べ遥かに性能を増した機体と、それを操る熟練のパイロットにゼットは苦戦する。

 

 

「リック・ディアスよりデカいし早い!まだ機動性はこっちに分があるけど向こうは装甲が分厚いな!」

 

「やるな、Zのパイロット!」

 

「単機なら逆にやられていたかもしれんが、こちらには長年培った連携がある!」

 

「相手が相手だけに振り切れねえ!これじゃあっちの援護に行くヒマがっ!」

 

 

 

 

 

 Sガンダムとダブルオークアンタがストライクを連れてアークエンジェルへと向かい、戦力が大幅ダウンした一誠、リアス、タイガ、そしてムウの四人はシャアが駆るサザビー・リビルドの相手をしていた。

 

 サザビー・リビルドはコズミック・イラの技術ではファンネルの再現が不可能……ではないが難しく、ならばとアズナブル隊が知恵を出し合って考えたサザビーの新しい形だ。ファンネルと腹部の拡散メガ粒子砲を廃止し、その分のエネルギーを他の武装に回すことで武装全体の出力増加を図り、プロペラントタンクやスラスターの増設によって継戦能力や機動力を強化。さらにマウントラッチも設置することで汎用性も増した、全局面対応のまさに指揮官機として申し分ない性能の超高性能機。

 

 そんな機体をかのシャア・アズナブルが駆るとあっては、彼を知る人物であるなら余程の者ではない限り逃げ一択だろう。尤も、この場で逃げられるものなど限られている上、その限られたものはアークエンジェルにいるため無意味だが。

 

 

「こなくそっ!あんな図体でMAより早いとか反則にも程があるだろうが!」

 

「ガンバレル付きのメビウス……エンデュミオンの鷹か。悲しいかな機体の性能がパイロットの才能を殺しているようだな」

 

 

 サザビー・リビルドのビームショットライフルがいとも簡単に修理したばかりのガンバレルを貫いていく。その一発一発が的確であり、シャアのパイロットとしての技量が並外れたものであることを証明している。

 

 

「格闘戦なら負けねえ!」

 

「連携も組み合わせればっ!」

 

「一撃の重さならこっちが上だ!」

 

「思い切りはいい。しかし少々考えが浅はかだぞ」

 

 

 迫りくる量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改・タイプNのジェット・マグナムを左腕で振り上げるように払い除け、サザビー・リビルドは右腕でコックピットの辺りにアッパーを叩き込み量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改・タイプNをふっ飛ばす。

 更にリバウのビームアックスをビームトマホークで受け止め振り払うように弾き、ショルダータックルをぶちかまして吹き飛ばすと、最後に仕掛けてきたゲシュペンストMk-Ⅱ・タイプSの一撃を回避、お返しとばかりに土手っ腹にキックをブチ込んだ。

 

 

「「うわあぁぁぁ!!」」

 

「きゃあああ!!」

 

 

 まるで歯が立たない。ベリアルのエゼキエル・シャホールもそうだったが、今回はムウのメビウス・ゼロも加えているだけでなく、それぞれが相手に合わせた戦法で戦い、かつ圧倒されている。ジェット・マグナムにはアッパー、ビームアックスにはビームトマホークというように。

 

 

「どうやら私はつくづく少年兵や少女兵に縁があるらしい。熟練度的にあの灰色の機体に乗っていたのも恐らくは最初のアムロやカミーユぐらいの子供かもしれん。しかし、あの二機が帰投してくれたのは僥倖だったな」

 

「あのベリアルの機体も強かったけど……この赤い奴はデタラメだ……!」

 

『こっちも一応赤龍帝、同じ赤なんだが』

 

「張り合ってる場合かよ!」

 

「おい!誰と会話してるのか知らないが巫山戯てる場合じゃないだろ!このままじゃ冗談抜きで全滅だぞ!」

 

「そんなこと言っても、この状況じゃ私達だけで打開策なんて考えられないわ!」

 

「けどゼットも二対一で戦っててこっちには来れない……俺達だけでどうにかしないと……!」

 

 

 現在戦闘中のメンバーで最も戦力になるゼットは二機のスーパーディアス改と激戦を繰り広げており、救援は期待出来ない。

 

 絶体絶命の危機。

 

 その時、遂に彼が動いた。

 

 

 

 

 アークエンジェルのブリッジはシャアを始め圧倒的な戦闘力を誇るアズナブル隊の戦いを前に絶望しつつあった。Sガンダムやダブルオークアンタを再度出撃させればどうにかなるかもしれないが、確実というわけではない。単純な話、スーパーディアス改が足止めを行い、サザビー・リビルドがアークエンジェルを撃墜しても構わないのだ。それに、アズナブル隊の戦力があの三機だけとも限らない。

 

 

「……あの四人に勝ち目はない。ゼットが加わればどうかとは思うが、部下らしき二機もかなりの手練だ。焦ってミスを犯せば撃墜される可能性もある」

 

「そんなっ……!」

 

「……艦長、ストライクは収容しました。彼らが戦闘している間にこの宙域から離脱することを進言します」

 

「「「「「!?」」」」」

 

「バジルール少尉!?彼らを見殺しにしろというの!?」

 

「幸いアズナブル隊はあの三機しか出撃していません。ここで尻込みすればそれこそ追撃され、本艦を直接攻撃される危険もあります!」

 

 

 確かにナタルの言葉も一理ある。もしかすると高性能MSが更に投入されてくることも十分に考えられるのだ。ウルトラ騎空団の総員を出撃させれば容易に撃退は可能だろうが、彼らがアークエンジェルを離れた時のことを考えるとあまり力を借り過ぎるのも良くはないし、彼らもアークエンジェルの正規戦力と思われ、彼らがいることを前提にした過剰戦力を差し向けられるかもしれないことも懸念される。

 

 

「……許可出来ません!フラガ大尉、並びに本艦護衛に参加してくれたウルトラ騎空団の有志の方々を見捨ててこの場を脱するなど、艦長として認めるわけにはいきません!!」

 

「しかしっ!!」

 

「……ロスヴァイセ」

 

『は、はいっ!?』

 

 

 ここでレジェンドが待機中のロスヴァイセに声を掛ける。格納庫ではキラがまた出撃させてくれと言っているようだが、何とかダイゴとサーガが抑えているらしい。

 

 

「出撃してゼットの援護に向かえ。ライン・ヴァイスリッターの機動力なら余程のバカをやらん限り攻撃は当たらん」

 

『わ……分かりました!』

 

「それからシャア・アズナブルは俺が対処する。俺が交戦し始めたら他の四機はアークエンジェルへ帰還させろ。あれを相手にそんな数のお守りは出来ん」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

 この発言に場が騒然とした。ロスヴァイセに出した指示は分かる。しかしあの四機を相手に手加減してなお圧倒しているシャアと一対一で戦おうとするレジェンドを、マリューやナタルは信じられないものを見る目で見ていた。

 

 

「なっ……本気で言っているの!?相手は……」

 

「似たようなレベルの相手とよく模擬戦をしている。そいつの方が上だと思うが、そいつとの戦績は五分五分だ。ハンデが無ければやり方次第でどうにでもなるだろ」

 

 

 もはや絶句するしかない。目の前の人物は少なくともシャアと互角に戦える実力があると公言したのだ。奇行や高い指揮能力が目立ったため操縦技術がどれほどのものか分からなかったとはいえ、これは完全に予想外。

 呆然とするマリューらを放置し、レジェンドは急ぎ格納庫に向かう。

 

 

 

 

 

 格納庫ではロスヴァイセが既にスタンバイを終えてコックピットで待機しており、どうにか落ち着いたキラ共々ダイゴやサーガが整備班とライン・ヴァイスリッター出撃のために一時退避している。

 

 

「しっかしまあ今度の機体はなんつーか、半有機物っぽいもんじゃないですかい」

 

「そうらしい。おかげで整備に一苦労だと製作者がボヤいていた」

 

 

 マードックとサーガはそんな軽口を叩いているが、キラはまだ気落ちしている。機体の都合とはいえ自分だけがこうしてダイゴやサーガに連れられて戻ってきたことに納得出来ていないのだ。

 

 

「ダイゴさん、僕は……」

 

「キラ君が本当はあそこに残って戦いたかったのは僕も分かるよ。ただ、さすがに状況と相手が悪すぎた」

 

「でもっ……!そのせいで、ゼットさん達が……」

 

「大丈夫。ゼットの方はロスヴァイセさんが助けに行くって言うし、それにほら」

 

 

 ダイゴが微笑みながら指を差した方向。そこにはまた見たことのない、赤く分厚そうな装甲に包まれた機体が立っており、コックピットにレジェンドが乗り込むところだった。

 

 

「今のって!」

 

「チーフが出るんだ。フラガ大尉達もきっと帰ってくる」

 

 

 優しい言葉をかけるダイゴ。しかしマードックはライン・ヴァイスリッターと違い、今レジェンドが乗り込んだ機体を見て驚きに染まる。

 

 

「何だありゃあ……!分厚い装甲なのはパッと見で分かるが、あからさまにバランスが悪すぎるぜ!一応普通にしてりゃ問題は無さそうだが、戦闘になったらまともに動けるか怪しいぞ!?」

 

 

 マードックの言葉を聞いてキラも不安になるが、そこでサーガが反論した。

 

 

「心配ない。逆にあれぐらいピーキーな方が先輩にとっては扱いやすいそうだ」

 

「はあ!?扱いやすいったって……」

 

「見ていれば分かる」

 

 

 短い言葉に隠された、絶対なる信頼。実際にシミュレーターでその戦いぶりを見た彼らだからこそ言えるのだ。『レジェンドが出れば大丈夫』と。

 

 

 

 

 

「ロスヴァイセ、今回の目的はあくまで敵の撤退だ。無理に撃墜を考えたり追撃しなくていい。欲を出せば命という対価を支払うことになるぞ」

 

「分かりました……あの、もし早く撤退させられたらそちらに向かったほうが……?」

 

「いや、そのままゼットと共にアークエンジェルへ帰還しろ。俺もあちらと交戦し出したら四機を帰還させるよう艦長らに指示してある」

 

 

 本来ならここで反論なりなんなりするだろうが、ロスヴァイセは敢えてそうしなかった。レジェンドが自ら出撃するということ、それ自体が緊急事態に匹敵するというのはゴーデスやモネラマザーとの戦いで彼女も実感している。

 

 

「あの、レジェンド様」

 

「何だ?」

 

「……ご武運を」

 

「ああ。墜ちるなよ、ロスヴァイセ」

 

「はいっ!」

 

 

 どことなく優しい声色で言われ、ロスヴァイセの心配も少しばかり晴れた。そして、僅かな希望を信じたミリアリアの管制通信が聞こえる。

 

 

『カタパルト接続、進路クリア!えっと……ライン・ヴァイスリッター、発進どうぞ!』

 

「こちらロスヴァイセ!ライン・ヴァイスリッター、行きます!」

 

 

 カタパルトによって射出され、宇宙に出るとその純白の悪魔のような四枚の翼を広げ、一瞬でZガンダムと二機のスーパーディアス改が激突する宙域へと消えていく。

 

 

『嘘……凄い速度……!』

 

「ミリアリアと言ったな。こちらも頼む」

 

『あ、はい!どうか、お気をつけて』

 

「連中が帰ってきたら労ってやってくれ。俺の方は心配いらん」

 

 

 何故だろうか、付き合いもまだ大してないというのに、レジェンドの声はミリアリアに安心を与えた。ブリッジで見た頼もしさだけでなく、不思議と安心感も感じさせてくれるこの人ならやってくれる――そう思ったミリアリアは普段の調子に戻り、彼と乗機を送り出す。

 

 

『カタパルト接続、進路クリア!アルトアイゼン・リーゼ……発進、どうぞっ!』

 

「アサルト1!アルトアイゼン・リーゼ、出る!」

 

 

 コールサインと共に告げられた機体の名。アサルトブースターとサイドウィングを展開し、恐るべき加速でアークエンジェルの格納庫から飛び出したアルトアイゼン・リーゼは、重量級の機体にとってある種の救いとも言うべき無重力の宇宙空間を突き進む。

 

 

 

 

 Zガンダムと二機のスーパーディアス改は、突如凄まじい速度で現れたライン・ヴァイスリッターに混乱しつつもどうにか冷静さを取り戻し、戦闘を継続するが――

 

 

「何だっ!この機動性は!?」

 

「こちらの常識が通用しない、全く未知の技術が使われているとでも言うのか!?」

 

 

 その通りである。異常な速度で宇宙を飛び回り正確に長身銃ハウリング・ランチャーを撃ってくるライン・ヴァイスリッターに翻弄される二機のスーパーディアス改。おまけに高出力の上、連射してくるためとてもではないが攻撃する余裕がなく、防御か回避に専念している状態だ。

 

 

「ゼットさん!今のうちにハイパー・メガ・ランチャーを!」

 

「お……おいっす!」

 

 

 突然声をかけられ動揺したものの、すぐさまハイパー・メガ・ランチャーを展開して構え、スーパーディアス改を狙撃するZガンダム。二対二の状況ではあるが、救援に来た機体が明らかに普通ではないことで一気に形勢が逆転されたアポリーとロベルトは、ここらが潮時かと考える。

 

 そして、一誠らとシャアの戦闘にも――

 

 

 

 

 

 突如、赤い重機動型の機体が四機と一機の間を割り込むように突貫してきた。

 

 

「うわあっ!?」

 

「今度は何なんだったく!」

 

「ちいっ!」

 

 

 予期せぬ乱入者を五人は警戒する。しかし、その直後の通信でシャアの除く四人が驚愕と安心感を得ることになった。

 

 

「ウルトラ騎空団の三機、並びにメビウス・ゼロ、全機問題無いか?」

 

「「「レ、レジェンド(様)!?」」」

 

「まさかの団長さんかよ!?」

 

「無さそうだな。シャアの相手は俺がする。お前達は直ちにアークエンジェルへ帰投しろ」

 

「すまん!任せっぱなしで悪いが機体がこの状態じゃ役立たずもいいとこでな!」

 

「ッ……俺達はまだやれます!面と向かってやり合えなくても援護くらい――」

 

 

 アルトアイゼン・リーゼで駆けつけたレジェンドの指示を正しく受け止めたのは、やはりというか軍人であるムウのみ。一誠ら三人はレジェンドが来てくれたなら総掛かりで立ち向かえば勝てると思っているが、そんな甘い相手ではない。

 

 

「ハッキリ言っておく。邪魔だ」

 

「「「ッ!!」」」

 

「援護とはする側だけでなく、される側も気を配らねばならない。奴と雲泥の差があるお前達が俺の援護に入ったところで最悪フレンドリーファイアの危険もあるんでな。ゼットとロスヴァイセにも撃退出来たらさっさと戻れと言ってある」

 

 

 自分達よりも上の技量を持つゼットやロスヴァイセの援護すら不要と言うレジェンド。確かに二人なら邪魔にはならないだろうが、かと言って助けになるとも限らないというわけだ。そうこう言っているうちに、サザビー・リビルドがアルトアイゼン・リーゼへとビームショットライフルの銃口を向ける。

 

 

「なるほど、救援か。見たところ強襲に特化した機体のようだが、その手の機体は乗り手を選ぶ。果たしてどれほどのものか、試させてもらおう」

 

「生憎だが試させてもらうのはこちらの台詞だ。止められると思うなよ……!」

 

 

 一誠らの返事を聞く間もなく、アルトアイゼン・リーゼとサザビー・リビルドは戦闘に突入する。

 

 ビームショットライフルを発射するサザビー・リビルドに対し、アルトアイゼン・リーゼは再びブースターを吹かし一気に加速、真っ向から挑みにかかった。放たれたビームを最小限の動きで紙一重に回避しつつ、左腕に備えられた5連チェーンガンを連射しサザビー・リビルドを狙うがこちらも回避行動をとる。

 

 

「外れたか……だが、それは予想通りだ」

 

「見た目からは想像も出来ん見事な動きだな。機体の性能もそうだがパイロットが相当な腕と見える」

 

「撃墜は無理でも戦闘不能にはさせてもらうぞ、シャア・アズナブル……!」

 

 

 背後に回らんとするサザビー・リビルドだが、アルトアイゼン・リーゼはシャアの予想を遥かに超える……否、予想などしようがない動きをとった。サイドウィングやブースターの出力をリアルタイムで微調整しつつ、全身のスラスターなどをフル活用し、新体操のように回転捻りを行いながら無理矢理軌道を変えてきたのである。

 

 

「何!?」

 

「俺に定石通りの戦法が通じると思うな!」

 

「ぐうっ!?」

 

 

 そのまま回転の勢いを乗せて蹴りを繰り出すアルトアイゼン・リーゼと、それをシールドで防御しふっ飛ばされるサザビー・リビルド。重量級の機体だけあってパワーは凄まじく、立て直しに若干の時間を要したサザビー・リビルドはアルトアイゼン・リーゼに追撃のチャンスを許してしまう。

 

 

「この距離……とった!」

 

「……!」

 

 

 シールドで防御したままの体勢のサザビー・リビルドに、アルトアイゼン・リーゼの代名詞とも呼べる右腕の武装――リボルビング・バンカーが炸裂する!

 

 

ガキィィィン!!

 

 

 その一見時代遅れに見える、無骨かつ扱いにくいであろう武装。しかし、裏を返せば使いこなせれば接近戦において無類の威力を発揮するということでもある。現にリボルビング・バンカーはシールドごとサザビー・リビルドの左腕を貫いていた。

 だがまだ終わりではない。

 

 

「どんな装甲だろうと!」

 

 

 その名の通り、リボルバー式の弾装を持つその武器は、相手に打ち込んでからが本番だ。装填されたカートリッジを炸裂させ、その衝撃によって相手の内部構造を破壊するというそれは、武器自体の大きさやアルトアイゼン・リーゼの馬力もあってまさに一撃必殺。ガキィン!ガキィン!と大きな音を立ててサザビー・リビルドのシールドと左腕にダメージを蓄積させていく。

 

 

(このままでは腕やシールドのみならず、他の部位どころか本体が損傷するかもしれん……!やむを得んか!)

 

 

 シャアは想像以上の武器の威力、そしてレジェンドの腕と思い切りの良さにある方法をとった。

 

 

「撃ち貫くのみ!」

 

「やらせんっ!」

 

 

 刹那、最後の六発目のカートリッジが炸裂し、大爆発を起こす。木っ端微塵になったシールドと左腕が辺りに飛び散り、アルトアイゼン・リーゼはシリンダーから空になった薬莢を排出し新たなカートリッジを装填する。

 

 

 

 

 

「バカな!隊長が!?」

 

「ち……超師匠、無茶苦茶強え……!!」

 

 

 

 

 

「俺達が四人がかりで戦っても、手加減されて一方的に叩きのめされたのに、たった一人で……」

 

「はは……何があっても驚かないようにしてたけどな。不可能を可能にするどころか、あの団長さんに不可能なんて無いんじゃないのか?」

 

 

 

 

 

「ほ……本当に、勝ってしまったわ……」

 

「何者なんだ、あの男は……」

 

 

 

 

 

 敵味方共に唖然とする中、レジェンドだけは未だ空気を張り詰めたまま、警戒していた。

 

 

「…………!」

 

 

 咄嗟に左腕で防御動作を行ったアルトアイゼン・リーゼを、煙の中から一筋の光が襲う。それはアルトアイゼン・リーゼの左腕の武装、5連チェーンガンごと左腕を貫き、先のサザビー・リビルドと奇しくも同じような状態になった。さらに、続けざまに煙の中からビームが数発放たれ、うち一発が左腕に当たり、吹き飛んだりはしなかったものの関節をやられたらしく左腕が稼働出来なくなってしまう。

 

 

「やはり仕留め損なったか……!」

 

 

 アルトアイゼン・リーゼの左腕に突き刺さっていたもの――ビームサーベルを引き抜いて投げ捨てると、晴れていく煙の中から左腕とシールドを失ったサザビー・リビルドが姿を現し、やはり双方の陣営にどよめきが起こった。

 

 

「最後が炸裂する直前にシールドと左腕を文字通り斬り離すことで脱出するとはな……肉を切らせて骨を断つつもりだったようだが」

 

「そう簡単にはいかんか。こういうところで重装甲型の機体だと実感させられる」

 

 

 不幸中の幸いでカートリッジ装填済みのリボルビング・バンカーがある右腕が健在なのは良かったが、問題は今度六発使い切った場合、左腕が稼働しないためカートリッジの再装填が出来なくなってしまったこと。チェーンガンが使用出来ないのは然程問題はないのだが、バンカーはアルトアイゼン・リーゼの主兵装。こうなると使い所を見極めねば――レジェンドがそう思った時、信号弾が発射された。ミダラーンからだ。

 

 

「どうやら今日はここまでのようだな。――シャリア・ブル、良いタイミングだ」

 

「今回は引き分け……ということか。二回目など御免被るが」

 

「……今が私を撃つ好機かもしれんぞ?」

 

「間の悪いことに弾の補充をする手段をお前に断たれたんでな。この状態で深追いし、弾切れを起こして集中砲火を浴びるのは勘弁させてもらう」

 

「フッ……アムロの技量とブライトの戦略眼を兼ね備えているようなものだな。素直に撤退させていただこうか……名を聞いておこう」

 

「レジェンド。偽名でゼロ・コウガミというのもあるが、好きに呼んで構わん」

 

 

 レジェンドの名を聞き、満足そうなシャアは「また会おう」と小さく告げ、アポリーとロベルトを連れミダラーンへと帰還し宙域から離脱していく。レジェンドは勿論、ゼットやロスヴァイセも追撃を行わず、Zガンダムとライン・ヴァイスリッターは左腕を損傷したアルトアイゼン・リーゼを支えながらアークエンジェルへと帰投する。

 

 

「ゼット、ロスヴァイセ……良く持たせた」

 

「いやいやまさかアポリーさんとロベルトさんとやり合うなんて思いもしなかったでございますよ!」

 

「多少はダメージを与えられましたけど、やっぱり経験って大事ですね……」

 

(その二人も宇宙世紀の生まれ……それも両名とも戦死していると聞いた。呟くように言われたシャリア・ブルという名にも同じことが言える。どういうわけか知らんが、俺達もこの戦争と本格的に関わらざるを得なくなってきたということは確かだな)

 

 

 レジェンド達ウルトラ騎空団の力を借りたとはいえ、ザフト最強部隊であるアズナブル隊を退けたという事実はアークエンジェル、引いては連合全体に士気高揚の効果を齎すだろうが、結果としてレジェンド達が凄まじい力を持っていると判明し警戒対象になってしまったことも意味する。

 

 この世界そのもの、そしてこの世界での自分達の行く末を案じつつ、レジェンド一行はアークエンジェルと共に再びアルテミスを目指す。

 

 そこでもまた、一悶着ありそうだと薄々感じながら。

 

 

 

〈続く〉




レジェンドVSシャア、初戦はどちらも本気ではなかったのですが引き分けという結果に終わりました。

しかしアポリーとロベルト、ライン・ヴァイスリッターとZガンダム相手に苦戦しつつもほぼ無傷で生き残り撤退ってこっちのが凄くないかと。

次回は特別編(映画を作ろう)の更新になりそうです。それから少しずつですが、元の世界の者たちへ(鬼滅の刃編)も執筆し始めております。だいぶ時間がかかりそうでいつ上げられるか未定ですが……。


それではまた次回。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
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