ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER 作:ハジケハムスター・ポッポ
今回はちょっと筆休めというか、ギャグ少々とほのぼの少々も混ぜたシリアスというか……そんな感じです。
それからオリキャラをご投稿された方々用に小話板設置しときました。詳しくはこちら。
オリキャラ募集は継続中なので、よろしければ同じく活動報告のこちらからどうぞ。
それでは本編をどうぞ。
アークエンジェルがアルテミスから脱出した頃、アメノミハシラでは地上のオーブから緊急の通信が入り、その内容に戦慄していた。
その内容とは、三大種族会談以降音沙汰が無かった『鬼』が現れたというもの。
ただ存在するだけで異界化を進行させ、瘴気を生み出す『鬼』は通常の兵器……それこそMSの攻撃や戦艦の砲撃でさえ精々怯ませるのがやっとでダメージを与えることは不可能。この世界で対抗するにはウルトラ騎空団の鬼討組やパム治郎、或いはレジェンドかサーガの協力が不可欠であり、彼ら抜きで連合やザフト、果ては民間のジャンク屋では最下級さえ討伐出来ないというから緊張も高まるのは当然。
よりによって総長の巌勝と筆頭戦力のカナエ、それにヒリュウ改に属している小芭内と蜜璃がアメノミハシラにいる上、しのぶは今アークエンジェルで最も遠い……幸いにも神衛隊所属でもある杏寿郎とパム治郎がいたため、一人と一匹を中心に生身で戦闘可能な者で討伐隊を急遽結成。
雷迅卿・アルベールや十天衆の一人・ソーン、そしてソーンと和解出来た狙撃手シルヴァなど空の世界出身の寄りすぐりの実力者と、相手が然程強くないミフチであったこともあってどうにか被害はほぼ無かった。しかし初めて見る異様な存在に、討伐隊参加者は魔物とは違う恐ろしさをその身で実感したという。
「……このような化け物がいるとは。尚更ナチュラルとコーディネイターで争いをしている場合ではないな」
ロンド・ミナ・サハク以下、アメノミハシラにいるメンバーは緊急対策会議を開き、地上部隊が送ってきた映像を見て『鬼』の危険性を改めて理解する。戦闘力云々よりもまず攻撃が通じない、というのが厄介極まりない。下手をすれば核攻撃を受けてなお無傷の可能性があるのだ。無論、ニュートロンジャマーのおかげで今の所は無いだろうが。
「私達は既に何度か討伐しているが、どれも手強かった。何より鬼祓いが出来ねば部位再生すら行う為、それが可能なレジェンド様やパム治郎抜きでは一気に倒し切る以外に明確な攻略法が無いのも問題でな」
「今はその鬼祓い他、鬼に有効な戦闘方法を皆で習得している最中なんです」
巌勝とカナエによってミナに説明され彼女も彼女なりに対抗策を思案するも、件の相手を直接見ていないため限界がある。かといってそうポンポンと現れられても困るだろう。
「戦う術が限定されるのもそうだが、やはり神出鬼没というのは一番の問題だ。抵抗出来ぬ者達がいる場所に出られては打つ手がない。法則といったものが定まっていない以上、どうしても後手に回ってしまう」
「ミナお姉様の言う通りです。会談の時もでしたが、予期せぬタイミングで出現することが一番の驚異でしょう。ゴーデスとの戦いの時ではレジェンド様の仮住居が狙われましたし」
(ミナ『お姉様』!?)
ガーン!とセラフォルーがソーナの一言にショックを受けているが、そんなことを気にしている場合ではないのでスルー。
「……これは私の勘だが、脅威はその『鬼』だけではないかもしれん」
「ミナさん?」
「如何なる存在がこの世界を脅かそうと、ナチュラルとコーディネイターの争い……血のバレンタイン以降、溝が深くなっているがゆえ、急には止まるまい。今はこの事態の危険性を理解し、同時に協力・連携がとれる同志を増やすことに注力すべきであろう。私も伝手を辿って呼びかけてみる」
ミナの提案に異を唱える者はいない。かくして、この世界で起きうる脅威に対抗すべく、本格的な活動が始まったのである。
☆
そんなことになっているとは露知らず、アークエンジェル内のレジェンド一行は……。
「シューティング・クェーサー・ドラゴンの攻撃!天地創造撃!ザ・クリエイション・バースト!!」
「俺のヒートライオォォォ!?」
割といつも通りの光景である。無論、場所が場所なのでテーブルデュエルであってデュエルディスクやD・ホイールは未使用。
「駄目だ、全然歯が立たねえ……!」
「リアス、タイガ、フーマに私ときてイッセーまで敗北するとは……!」
「くっそこうなりゃバトルロワイアル形式でやるぞ!全員で総攻撃すりゃどうにかなるだろ!」
フーマの提案を採用するも、連続攻撃で瞬く間に返り討ち。トライスクワッドからは魂が抜け出ていた。
それを見ながら、やってきたキラとダイゴはレジェンドから貰ったパックを開封してデッキ構築しているし、珍しくゼットは先生役としてミゲルやラスティ、更にはアマリ、ルリア、アズにロスヴァイセも加わった面々にルール説明中。沙耶はサーガ、三日月と共にしのぶからバトスピ講座を受けている。
この部屋だけ、やたら平和だ。
そこへやって来たのがマリューとムウ。ナタルが来たらまた何かと怒られそう……なのだが、多分今の一誠らは邪魔されたらキレるかもしれない。
「失礼し……え?何なの、この広さ……」
「また例の『謎の超技術』ってやつだろ。あんまり深く考えんなよ、艦長。しっかし楽しそうだな〜」
とりあえず、死屍累々のトライスクワッドには触れないでおく。思えばこの部屋にいるウルトラ騎空団(ダイゴ除く)、食事の時も出てこないし一体どうしてるのだろうか。
「どうした?何か問題でも起きたのか」
「ああ、戦闘とは関係なく死活問題だな。ざっくばらんに言っちまうと、一番の問題は水不足ってところだ」
「アルテミスで補給出来ると踏んでいたけどあの結果でしょう?だから本隊と合流する前に本艦の物資……特に水が底を尽きそうなのよ」
確かに死活問題である。……が、実はレジェンド達が割り振られた部屋はもはやレジェンドの圧縮空間技術で一軒家レベルに拡大されている上、電力は自家発電もとい自力発電(自転車型発電機にレジェンドが跨って漕いでいた)、水は……ぶっちゃけレジェンドのウルトラ水流にて補給。働き過ぎな気がする。
食料などは持ち込みの他、収納ブレスレット内に定期的に補充されたりと、別にアークエンジェルの物資には負担を掛けておらず、食事もレジェンドが「自分達の分は自分達で用意するから必要無い」と言い切ったため、彼らの分は食堂では用意されていない。
「……ということで、俺達の方はそちらに負担をかけてないことを予め説明しておく」
「開いた口が塞がらないとはこのことね……」
「もはや何でもありだな」
「じゃなきゃどうにもならんだろ。自給自足とは究極のライフスタイルの一つと思え。ただこの場合、食料だけは自給自足と言うには微妙な気がするが」
それはいいとして、シャワーを浴びたばかりであろう、沙耶とロスヴァイセをじろじろと見ていたムウにレジェンドが目潰しを炸裂させ、ムウがのたうち回るハメになった。本人達にやられないだけマシなのか、本人達にやられた方が御褒美に……いや、アルテミスでの一件を考えればレジェンドでよかったと思う。お互いの精神的に。
「んで、何処か補給の目処がついたものの、そこが問題でもあるとかそんなんだろ」
「ええ……補給するというより、勝手にさせてもらう、という表現が正しいのかしらね」
「……先刻とは違う位置のデブリ帯か」
マリューの言い方からレジェンドはすぐさま目的地を導き出した。
デブリ帯、又はデブリベルトは宇宙で起きた様々な事例の残骸が集まる場所。中には物資を積んだまま何らかの理由で廃棄された輸送船がそのまま流れ着くなど、ある意味宝の山とも言える。当然、そういうことが頻繁に起こるわけはないが、今のアークエンジェルにとっては唯一の希望。
一応、レジェンドに協力してもらい、ウルトラ水流を出しまくって補給という手もあるにはあるが、そんなことをすればレジェンドどころかウルトラ騎空団、果てはキラ達、最悪オーブさえ敵に回す可能性があるので問答無用の大却下。
「その先は大方予想がつく。機動兵器持ちの俺達に物資の搬入作業を手伝ってほしいってところか」
「ええ……作業用の小型艇はあるけれど、どうしても細かい作業はMSに比べて粗くなってしまうのよ」
「こういうのってバルバトス向けだよね。あとガオファイガーとかのGGG系、それにグレンラガンや真ゲッター2とか」
三日月が言ったことに首を傾げるマリューだが、ガオファイガーはツールが正にそれで、残りの二機はドリル持ち……あ、ガオファイガーも膝にドリル付いてたか。
何にせよ、今いない機体の方がそういった作業には向いているのだが、バルバトスも今の形態ならレンチメイスがある。アルトアイゼン・リーゼのリボルビング・バンカーでカートリッジを炸裂させなければ破砕作業に十分使えるときた。これらを使わない手はない。
「そもそも俺らウルトラマンはこのまま宇宙空間で活動出来るし」
「……え?」
「そういえば俺を救助した時もそのままだったな」
「あ、そういやそうだった」
「えええっ!?」
タイガが言った一言に続いてミゲルの証言、ついでに思い出したゼットの返事でマリューはさらに驚愕。しかしながら、レジェンドやサーガは見た目人間の状態で平然と宇宙空間を飛び回るし、おまけに東方不敗も同じことをやらかしている。ウルトラマンが宇宙を股に掛けて活躍するのはまだいいが、光神二名はともかく東方不敗までそんなことが出来る時点で色々ヤバい。恐るべし伝説九極天。
「まあ、船外活動について学ぶにも良い機会だろうし、機動兵器を使うのは俺とサーガ、三日月の三名のみだ。他の者はノーマルスーツを着用して宇宙へ出てみろ。あ、ゼットやトライスクワッドは要らないか、ノーマルスーツ」
そう告げたレジェンドは伸びをするとデッキをケースに仕舞ってブレスレットに収納、のんびりと格納庫へと向かう。サーガと三日月もそれに続き一足先に部屋を出て行くが、彼らはただ準備しに行くわけではない。
「向かう先のデブリ帯、俺の予想が正しければそこにはアレがある」
「……ユニウスセブンか」
「残ってるかな。物資とは違うモノ」
三日月が言ったモノの答えを、一誠らはその目で見ることになる。
☆
一方、プラントへ戻り最高評議会に出廷したクルーゼとベリアルは、ヘリオポリス崩壊の経緯と顛末を説明し、さらにそこで遭遇した連合以外の未知の戦力――ウルトラ騎空団についても証言していた。
「……以上が、我々が戦闘を行い得た情報です」
「連合は既にそれほどの技術とパイロットを……!?」
「いえ、あれは連合のものではないでしょう」
「ベリアル、それはどういうことだ?」
プラント国防委員長のパトリック・ザラ――つまりアスランの実父はベリアルが断言したことについて追求する。
「私は過去にやり合ったことがあるのですが、まず動力がバッテリータイプではありません。奪取した四機がバッテリータイプの動力であったことを考えれば、試験的に導入したわけでもない」
「ふむ……」
「加えて機体構造に一貫性がありません。MSと思われるのはこの内の六機程……他は似ているもののMSとは違う種類の機動兵器と考えるのが妥当ではないかと」
「確かに、全てをMSと断定するには些か奇抜なデザイン過ぎるな」
二体のエゼキエルも似たようなものだろうとは思うが、自軍に属する機体をディスる気はなさそうだ。とはいえその殆どが未だブラックボックス同様のエゼキエルも警戒してはいるのだが。
「どちらにせよ、我らの『進化』の妨げになると見て間違いなかろう」
(また進化か……愚者の極みだな、パトリック・ザラ。コーディネイターは能力こそ進化したと言えても命としては退化……いや、劣化した存在だというのに)
(近くにいると分かるけど、ラウさんの言うようにやたらめったら進化進化言うんだよねぇ。おまけにこの場にいない
内心パトリックに毒づくクルーゼとベリアル。結局最高評議会が連合に対して徹底抗戦に傾倒しつつある、ということで今回は終わった。
「さて、ベリアル。君は今回の最高評議会……どう思ったか聞かせてくれるか?」
「構わないぜ、ラウさん。やっぱりどうも国防委員長、妙な気配がするんだよな。だからか知らないが、変なプレッシャーを発しててさ。タカ派の連中はそれを感じて引っ張られてるってトコか」
「やはり君もそう感じたか。何となく……ではあるが、私が以前目にしたことのある、人にしては異様な外見の二人組に目をつけられたりしなかったかね?」
「そこまでお見通しか。当たりさ、あの二人が国防委員長と何か話したのは聞いているが、詳しいことはサッパリだ。今は下手に藪をつついて蛇を出したくないから、あまり突っ込みたくはないし」
クルーゼの自室に戻ってきた二人は最高評議会でのパトリックの様子を語り合っている。どうやらパトリックと関連のある二人組とやらがカギを握っているらしいが、ベリアルも近付くのを躊躇う者だという。
「それもそうだな。それに奴らが勝手に自滅しようが我々には関係のないこと、寧ろそうなってほしいぐらいなのだし、現状維持でいくとしよう。足つきとその協力者の件もある」
「そうそう、ギアさんからの情報でね。俺達以外にも幾つかの勢力がこの世界で暗躍してるみたいだぜ。どうもここ最近、ブルーコスモスの上の方にいる奴の様子がおかしいだとさ。プラントといい、その連中といい、上に行けば行くほど自己管理がなって無さ過ぎじゃないか?自身が安全だと過信している連中ほど、狙われたらひとたまりもないと普通は気付くもんだが」
ほう……とクルーゼは笑みを浮かべる。狂気に染まった彼にはこの世界がいくら混乱し、滅んでいこうが望むところ。手間が省けた、ぐらいにしか考えていないのかもしれない。
「いずれにせよ、当面の予定は変わらんさ。進化どうのと声高に叫ぼうとパトリック・ザラの根幹にあるのはナチュラルの殲滅。その障害となる足つきやウルトラ騎空団とやらは間違いなく排除対象に認定するだろう」
「考えているようで思いっきり単純だからねぇ、タカ派の連中。ちょっと情報を開示してやればすぐに駆逐だ殲滅だと喚き出す。そういう思考の方が危険極まりないってのに」
「それが分からぬのだよ、自分達が優れた種だと思い込んでいる愚か者共はな」
「全くだ。それはそうとラウさん、ファーさんとギアさんがラウさんの新しい身体の最終確認と移行タイミングを設定・リンクさせたいから一度顔出してほしいってさ」
「いよいよそこまで来たか。君達にはどれ程の礼を言っても足りん。休暇もそう遠くないうちに取れるだろう。その時に伺わせてもらうよ」
「オーケー、ついでに俺達の新型もギアさんが準備してくれてるらしいし、ゆっくり今を楽しもうじゃないか」
『終末』を望む者達は、混迷していく世界すら嘲笑う。
☆
デブリ帯に決まった位置は無い。それは世界毎によって差異があり、傾向としては宇宙開発が進んだ世界ほど、その結果としてデブリ帯が出来てしまうことが多い。これは宇宙開発を行う過程で発生したものがデブリとなってしまう場合が多々あるからだ。
宇宙世紀などがその最たる例だろう。そして宇宙世紀と似たコズミック・イラも同じ。宇宙開発が進めば進むほど、比例してデブリ帯も増える。
しかし、デブリ帯が生まれるのは何も宇宙開発によるものだけではない。アークエンジェルの目の前に存在するそれは――ユニウスセブン。
戦争による犠牲――この世界でそれを象徴する悲劇が起きた場所。血のバレンタインで核を撃ち込まれたコロニー……その残骸が、アークエンジェルが補給の望みをかけたデブリ帯の中に存在していた。
戦争が残した大き過ぎる爪痕を誰もが言葉を無くして見る中、レジェンドは一人思う。
「……このまま戦争が長引けばこれ以上の悲劇が起こるのは想像に難くない。だが、ナチュラルとコーディネイターの間に出来た溝もまた、簡単に修復出来るものでもない……ままならんな」
レジェンド、サーガ、三日月を除くウルトラ騎空団の面々、そしてダイゴとキラ、マリュー以外のアークエンジェルのメインクルーはユニウスセブンを調査する。当然、物資が残っているかを調べるためであり、機動部隊はレジェンドの指示で周囲の哨戒を行っていた。
しかし、ユニウスセブンに残っていたのは物資だけではない。
「「「きゃあああああ!!」」」
ナタル主導で行われた調査でミリアリア、アマリ、ルリアが悲鳴を上げる。声こそ出さなかったが、沙耶やしのぶ、ゼットなど一部の者を除いた、ウルトラ騎空団を含む調査メンバーもそれを見て凄まじい衝撃を受けていた。
――血のバレンタインの犠牲となった人々。その遺体がそのまま残されていたのだ。
中には赤子を抱いたまま母子共に事切れ放置されているものもあり、その光景はヘラー軍団との戦争を経験したタイタスすら言葉を失うほど凄惨なものであった。
「あそこの水を!?本気ですか!?」
一通りの調査を終え、受けた衝撃も冷めやらぬまま告げられた言葉にキラは声を上げる。調査に赴いたメンバーやウルトラ騎空団が集合しての話し合いでマリューらが出した決断はやはり補給すべきというもの。
ユニウスセブンにはまだ1億トン近い水が凍る形で残されており、アークエンジェルに必要な当面の水を十二分に補給出来る文字通りの希望であった。
しかしながらあの光景を見た身としてはそれを行うことに抵抗を覚える。それも仕方のないことだろう。
「あの、レジェンド……」
「……何だタイガ」
「その……何とかなりませんか?」
「ならんな。俺がどうにか出来るのはウルトラ騎空団の分だけだ。それ以上は俺の方がもたん」
嘘である。その気になればレジェンド一人でアークエンジェルに乗っている全員分、水や食料その他を生み出すことなど造作もないし、然程苦でもない……面倒ではあるが。
しかし、ここで甘やかしてしまえばこの先も『レジェンドに頼めば解決する』と思いかねないことをレジェンドは危惧していた。
命を繋ぐこと……その重さを彼らは知らなければならない。
「けど、あそこにはまだ……」
「私達も何も奪おうというわけではないわ。ただ、分けてもらうのよ……私達が、生きるために」
「俺達はまだ生きてるんだ。生きてるってことは、生きなきゃならないってことなんだよ」
マリューとムウの言葉に反論出来る者はいない。いるにはいるが、それは既にウルトラ騎空団の団員のために身を削り自分達の分だけとはいえ補充しているレジェンドぐらいだろう。そのレジェンドも腕組みしたまま目を瞑り壁に寄りかかっているだけ。
「……レジェンドさんも、同じ意見なんですか?」
「補給せず進むことは出来る。俺らはともかくお前達がどれだけ持つかは知らんがな」
キラの問いにレジェンドは突き放すような答えを返す。実際、レジェンドやサーガ、そしてトライスクワッドにゼットは食事や水分補給をせずとも平気なのだ。
だからこそ彼らは自分達で決断しなければならない。『生』を取るか、『正』を取るか。
そして、彼らが選んだ道は――。
☆
地上、オーブ連合首長国。
そこに在留しているウルトラ騎空団所属のクロガネ。エリアル・ベースが空の世界に残り、グランサイファーは惑星レジェンドに送られているため、アメノミハシラに行っているヒリュウ改やヘリオポリスに向かったペガサスAが不在の今、オーブの守りの要は彼らに託されていると言っても過言ではない。
「やれやれ……『鬼』が出た時はどうなることかと思ったが、煉獄やパム治郎のおかげで何とかなったな」
「だがこれでこの先も安心なんて出来なくなった。奴らは神出鬼没らしいからな、インベーダーばりにどこから現れるか分かったもんじゃねえ」
クロガネの食堂でオルガと竜馬が先日の鬼騒動について話し合っている。
一応、空の世界から戦力として何名か来てくれてはいるが、そもそも鬼を討つには特定の条件が必要であり、ただ戦闘力に優れているだけではどうにもならないのだ。
「頻繁に現れたりしないのは良いんだが……」
「真ドラゴンの方は仕方ないとしてだ。真ゲッター……隼人や弁慶もまだ来ねえ。どんだけピーキーに調整しやがったんだ束はよ」
「まあ、束の姐さんだしな」
「それで片付いちまうからとんでもないぜ」
ご尤もな意見である。
何にせよ、相手が相手だけに戦力は多い方がいい。レジェンドの養子とその彼女が近々こちらに来るらしいが、もう一つ――オカルト研究部とその関係者が訓練を終えて戦力になってくれることを願いつつ、二人は食事を終えた。
ブリッジに戻るオルガを見送り、竜馬は一人考え込む。
(このコズミック・イラって世界に来てから嫌な予感が収まらねえ……こいつは確実に何か起きやがる)
☆
キラ達は生きる道を選択した。
代わりに、自分達なりに追悼をしてからにしたい、と意見したところ珍しく反対されなかったのは素直に驚きだ。あのナタルさえ、一言も文句を言わなかった。一緒に調査した者として思うところがあったのかもしれない。
アークエンジェルのクルー、避難民、そしてウルトラ騎空団……全員で、千羽鶴を折ってユニウスセブンへと撒く。ささやかなものではあるが、彼らから死者への手向けである。
避難民とアークエンジェルを代表してミリアリアが、そしてウルトラ騎空団からはルリアがそれぞれ千羽鶴を撒く役目を任され、ユニウスセブンが一望出来る場所から二人がそれを撒き、皆が黙祷を捧げた。
戦争というものの現実を、改めてその身に感じながら。
レジェンド、サーガ、三日月……そしてダイゴとキラは各々の機体のコックピットでそれを眺めていた。
「……ダイゴさん」
「なんだい、キラ君」
「どうして、戦争なんてしなきゃいけないんでしょうか。ただ意見をぶつけ合うだけなのに、武器を持って、相手に敵意を向けて……相手のことを何も知ろうとしないまま相手を撃つことだけ考えて……」
「『血を吐きながら続ける悲しいマラソン』」
「「「「!」」」」
キラの言葉に続くように発したレジェンドの一言に、通信を繋げていた機動兵器に乗っている四人は目を見開く。
これはかつてレジェンドとダン――つまりゼロの父親であるセブンがウルトラ警備隊に所属していた頃、同僚のフルハシとの言い合いでダンが言ったものだ。
強力な兵器を用いて相手を攻め、その反撃・報復として更に強力な兵器で返される……それがいつまでも行われることを嘆いたダンはそう言った。
まさにこの世界はそれが現実であると言っていいだろう。ユニウスセブンへの核攻撃に始まり、地球各地へのニュートロンジャマー打ち込み、そしてG兵器の開発……連合、対抗するプラント、そしてまたそれに対抗する連合とイタチごっこの状態。
「ある男が言った言葉でな。『地球を守るためには何をしてもいいのか』という問いかけから問答を繰り返して最終的に出たのがこれだ。相手を撃つことだけを考えたところで戦争に終わりなど来ない。それこそ相手を根こそぎ殲滅するまで」
「殲滅って……」
「そうさせないために、相手を知る……知ろうとすることが必要なんだ。その気持ちをお互いに持つ……それが分かり合うということ」
レジェンドに続き、サーガが言葉を紡ぐ。その言葉の意味こそ即ち『対話』。
「言葉にすると簡単に聞こえるけど、実際は凄く難しい。戦争というものが相手に対する先入観を作り上げてしまっているからね。でも、キラ君はサーガが言っていたことが出来ているじゃないか」
「え?」
「立場としては敵だったミゲル君やラスティ君と仲良く話していたでしょ?」
「それは、話しているうちに彼らの人となりが分かって……あ……」
「そう、まずは話してみないと分からない。言葉が通じ、話が出来るならそこから始めないと」
ダイゴが言ったようにキラはミゲルやラスティと親しくなっていた。コーディネイターだからではなく、捕虜になったからでもない。ここ数日で顔を合わせ、会話をしているうちにいつの間にかキラも、トール達と共にウルトラ騎空団の部屋に入り浸りになるぐらい親交を深めている。
「だから、敢えて難しく考えないで『どんな人なんだろう?』って思いながら話し始めればいいんじゃないかな」
「あと、好きな食べ物とか。そういえば店長、いずれオーブにも支店出す気満々なんだって」
「よし、あっちに戻ったら即刻土地押さえるぞ。あの味をこっちでいつでも堪能出来るというなら投資しても惜しくはない」
シリアスな雰囲気は何処へやら、三日月とレジェンドがそんな会話を始め、自然と他の三人も笑みが零れた。
間もなく、物資の搬入作業が始まる。
アークエンジェルに搭載してあるストライクや小型艇だけでは手間だった搬入作業だが、ウルトラ騎空団に属するアルトアイゼン・リーゼのリボルビング・バンカー(炸裂なし)やバルバトスのレンチメイスにより作業効率は格段に上がった。他の機体はビーム兵器主力の機体が大半の為、砕くのはその二機が担当(ゼルガードはそもそも武器を持たないし)。
「なあ、三日月。俺らここまで働いてるんだし、後でかき氷作っても許されるよなコレ」
「だよね。俺はイチゴ味がいいな」
「俺はグレープにするか……ん?」
「レジェンド様、何か変なもの見つけた?」
「いや、ちょっとな……(もう少しで搬入作業は終わり、ならその後でも構わんか)」
レジェンドが見つけた『あるもの』。状態からしてつい最近のものだろうと考えた彼は、さっさと搬入作業(彼と三日月は掘削作業)を済ませて回収しようとペースを上げる。
同じ頃、キラも周囲を哨戒中、ジン長距離強行偵察複座型を発見していた。どうやら見つけた船を調べているようだが、何もないと分かるとそこから周囲を警戒しつつ離脱しようとする。
「よし……そのまま気付かないでくれ……!」
そんなキラの願いはいとも簡単に打ち砕かれる。トール達の乗る小型艇が偶然にもストライクの前に出たことでジンの索敵範囲に入ってしまったのだ。当然、反応のあった場所に向けてジンは武器を構えたまま向かってくる。
「ッ……バカ!なんで気付くんだよ!」
キラがついこんな口調になってしまうのも当然だろう。ジンを撃つしかない――キラが覚悟を決めた時、信じられない出来事が彼を、いや彼らを襲う。
「……!?レーダーに別の高熱源反応!?戦艦じゃないけどかなり大きい……何なんだ……!?」
その直後、禍々しい光弾が周囲のデブリに直撃し、それら全てが砂に変わる。キラやトール達、さらにジンも驚くがそれは長く続かなかった。
何故ならば――。
ギシャアァァァァァッ!!
身の毛がよだつ鳴き声と共に、先程とは違う光弾がジンを直撃、一発で爆散させたからだ。
「なっ!?一体何が……!?」
あまりに急な出来事でキラは混乱するも、間を置かずしてその原因が判明し戦慄した。
彼が見たものは凡そ50mを超えるであろう巨大な身体を持ち、翅を羽ばたかせ高速で宇宙空間を飛行し迫りくる異形の生命体――スコーピス。それが二体。
コズミック・イラに生きる者達は今、異次元の脅威と邂逅する。
〈続く〉
ムウ「当然、正位置ィ!!」※その後、呆気なくムウのモンスター全滅
キラ「やめてよね。ダイゴさんの直弟子の僕にムウさんが勝てるはずないでしょ」
……なんか違う。言う相手も状況も違う気がする。
それはともかく相手が初心者だろうが容赦ないレジェンド。一誠のは中の人ネタです。しかし色的にしっくり来るのは何故だろう……フェニックスあるけど。
ユニウスセブンでまさかのウルトラセブンの名言を出そうとはそのシーンの執筆直前まで思いませんでした。セブン繋がりって今気付いたよ!しかも7文字同士!
レジェンドが見つけたものは原作でキラが見つけて拾ったものです。キラは別のもの(見つけたくないけど見つけないと自分達の命がやばい)を見つけさせられました。
次回!スコーピス相手にゲスト乱入!プロの最推し、ウルトラファンならこれだけで後は分かるな?
それではまた次回。
二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?
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真ゲッタードラゴン(大決戦版)
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真・ゲッター1(スパロボα仕様)