ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

254 / 301
お待たせしました。
今回は戦闘こそお休みですが、色々巻き起こっております。

それと、気になるレジェンドの体格はドラゴンボールZの頃の孫悟空をイメージしてくれれば。『龍拳爆発!!悟空がやらねば誰がやる』の悟空が一番イメージに近いです。超だと少しスリム気味なので。
ちなみに悟空の身長体重は175cm/62kgだそう。本作のレジェンド(人間態)は189cm/77kgなので、大体悟空がそのまま大きくなった感じですね。


それでは本編をどうぞ。


敵軍の歌姫

 スコーピス、それも四体ほぼ同時襲来という危機を乗り越え、アークエンジェルとウルトラ騎空団は搬入作業を無事終えて一息ついていた。

 

 とはいえ、別の意味で無事だったわけではない。現プラント最高評議会議長シーゲル・クラインの娘であるラクス・クラインが乗せられていた救命ポッドをレジェンドが発見し、ゼットにアークエンジェルへ持って帰らせたことで知らぬ間にまた面倒事を抱える羽目になる。

 

 どうやら血のバレンタイン追悼式典の為に慰霊団団長としてユニウスセブンの視察に赴いていたそうだが、連合の艦と鉢合わせ、いざこざになり彼女だけが救命ポッドに乗せられ脱出させられたという。

 キラが見た船はその慰霊団のものだったのだ。しかし、ジンの様子からもはや他の乗員の生存は絶望的だろう。ラクスも一歩間違えればスコーピスによって救命ポッドごと命を落としていたかもしれない。

 こればかりは運が良かったと言える。

 

 そんな彼女は結構な立場にいるとはいえ、民間人扱い……マリューやムウ、ナタルが扱いに困り頭を悩ませている間も、ラクス自身はふわふわというか、ぽわぽわしてるというか……何というかマイペース。

 

 やはりそこで白羽の矢が立つのは……。

 

 

 

 

「いやさァ、確かに見つけたのも拾ったのも俺だし、ゼットに届けるよう言ったのも俺だよ?けどさァ、何ていうかさァ……『困ったらとりあえず俺らに押し付けとけ』みたいな考えやめてくんない!?つーか見てたよねおたくら!俺の顔面にピンクハロが思っきし激突したの!そんな被害受けた俺がいる部屋に連れてくるってどーいうことォォォ!?」

 

 

 やはりこうでなくては、と思わせるほどキレッキレなレジェンドのツッコミ。一誠やリアスは「これだよこれ」みたいな笑顔で頷いている。

 マリューやムウは申し訳無さそうな表情なのだが、二人の後ろから顔をひょっこり出したラクス……とハロはいつも通り。

 

 

「いやまあ……悪いとは思うけどそこはほら、拾った人の責任ってことで一つ……」

 

「犬猫じゃないんだぞ、そこの桃色は」

 

「私は桃色ではなく、ラクス・クラインですわ」

 

「アレ?何だろうこの娘、どことなくノアのバカ思い出すんだけど。デュナミストとか言われたら信じちゃいそうになるんだけど」

 

 

 天然なラクスに何故かノアの姿を重ねたレジェンドは額を抑えて溜息をつく。この手のタイプは予想もつかないタイミングで頓珍漢な返答をしてくるので、実はレジェンドにとって苦手なタイプだったりする。オーフィスのような純粋無垢ならともかく、そこに天然が混じるともうアウトらしい。

 これも全部ノアが悪いんだ、とはレジェンドの談。

 

 

「どっちにせよ、ノーと言ったところでここに置いていく気だろお前ら」

 

「「…………」」

 

「オイこっち向けコルァ」

 

「はい、何でしょう?」

 

「桃姫はクッパ城で赤い配管工を待ってなさい」

 

「???」

 

 

 それは別の姫だ、とサーガはツッコミそうになったが経験上この場合黙っていないとラクスは何かと聞いてきそうな為、沈黙を貫き通す。

 

 結局、同じく純粋枠のルリアにお願いされ、レジェンドは渋々承諾した。

 

 ただ忘れてはいないだろうか。彼らの部屋には――。

 

 

「「ラクス様!?」」

 

「あら?マッケンジー様!それと……そちらの方は、もしかしてアイマン様でしょうか?アスランがよく言っていた……」

 

 

 ザフト所属のラスティとミゲルもいることを。とりあえず、彼らがアークエンジェルにいることは、もしプラントに戻れても秘密にしておいてくれるらしい。

 

 それからというもの……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご唱和ください我の名を!ウルトラマンゼーット!」

 

「「ウルトラマンゼーット!(ですわ!)」」

 

 

 ラクスは滅茶苦茶馴染んでいた。

 

 

「おいィィィ!?ちょっとは混乱しないの!?ルリアはいいけどゼットは見た目明らかにナチュラルでもコーディネイターでもないよね!?つーか馴染むの早ッ!どんだけコミュ力高いのこの娘!?」

 

「団長さんってアスランとかより反応面白いよな。ツッコミのレパートリー広いし」

 

「アスランって良くも悪くもパターン通りの反応だから」

 

 

 またしてもツッコミを入れるレジェンドに、ラスティがキラとデュエルしながらアスランを酷評する。ついでにキラもそれに同意。

 当のラクスはあっさり似たようなタイプのルリアと同調し仲良くなり、ゼットも日常ではあまり深く考えないので相性が良かったというか。

 他の面々もあまり気にしていないらしく、味方がいない状態のレジェンドは不貞寝モードでガヴァドン寝袋に入り込み、周囲から自身をシャットアウト。

 

 

「あぁっ!駄目ですレジェンド!寝ないで下さい!このあとデッキとかいうのの作り方教えてくれる約束じゃないですか!」

 

「ゼットに教えてもらえ。今の俺はガヴァドン。ただ寝るだけの怪獣(の寝袋)だ」

 

「まあ!とても可愛らしい寝袋ですわ!」

 

 

 俺に構うなオーラを出しているというのに、ラクスはまあまだ良いとしてハロはガヴァドン寝袋に入ったレジェンドの上でポンポンと跳ねている。

 しかもガヴァドン寝袋に入った途端、もふもふ好きの沙耶が抱きついてきて、もふもふふかふかするから二重の意味で眠れない。

 

 

「もふもふ……」

 

「あ、私も……」

 

 

 更にアズまで参戦。これはこれで良いのかもしれないが、レジェンドはここ最近ドタバタしっぱなしであまり休んでいないため、このままでは不機嫌も追加されてしまう、とサーガが止めに入る。

 幸いアズは何とか武力行使に出る前に割と早く納得してくれたが、沙耶がどうしても剥がれない。

 

 

「沙耶、いい加減に離れろっ……!」

 

「嫌」

 

「先輩が怒ってもいいのか!?」

 

「もうちょっと」

 

 

 もふもふが絡んだ沙耶は予想以上に手強かった。しっかり寝袋を掴んでおり、無理に引き剥がすと寝袋が破けてレジェンドがブチ切れる可能性もあるため、サーガはあまり強引に剥がせない。

 しかも何やらラクスが笑顔でじーっと見てくるのでどうにもやり難いという二重苦。今なら先程のレジェンドの気持ちが分かる。

 

 

「サーガ様と沙耶様は大変仲がよろしいのですね」

 

「「……は?」」

 

 

 二人どころか場の空気が固まった。レジェンドだけはこれ幸いにと急速睡眠。

 

 

「何処をどう見たらそう思う?」

 

「だって、そんなにピッタリくっついてますもの。きっとお互いを大切に想ってらっしゃるのだと感じましたわ」

 

 

 確かに沙耶を引っ剥がそうとサーガが羽交い締めにしているのだが、どうやらラクスにはそれが……まあ、何というか恋仲的なものに見えたらしい。二人の発言を聞けば違うことが分かりそうなものなのだが、彼女には通じなかったようだ。

 兎に角この誤解は双方にとってもマズいのでそれを解かねばならないのだが……。

 

 

「サーガさん、離れて」

 

「まずお前が先輩の寝袋を離せ」

 

「嫌」

 

 

 これである。沙耶の優先順位は、もふもふ(実質レジェンド付き)>誤解を解くこと。もうレジェンドが起きて寝袋を渡すしかないんじゃないか?

 結局サーガは頑なに沙耶が何をしてもガヴァドンなレジェンドを離さないので、諦めて放置することにした。

 

 

「……まさか沙耶がここまでふわもふなものに執着するとは……」

 

「あの、キラ様とダイゴ様で間違いありませんか?」

 

「あ、はい」

 

「何か困ったことがあったのかな?」

 

 

 自分の頑張りをスルーされたことで、本格的にレジェンドと同じ感覚になったサーガも不貞寝しだした。さすがレジェンドに育てられただけあって、やることが一緒だ。

 そんな彼らに苦笑しつつ、ダイゴとキラは改めてラクスに何かと尋ねると……。

 

 

「私、喉が渇いてしまいまして。それにこういうことを言うのもどうかとは思いましたが、些かお腹も空いてしまって。何か頂けるとありがたいのですけれど……」

 

 

 

 

 プラントではラクスが乗っていた視察船シルバーウインドが消息を絶ったニュースで持ちきりだった。

 最高評議会の件でヴェサリウスが帰還していたこともあり、アスラン以下ヴェサリウス所属のクルーゼ隊は皆休暇を取っていたのだが、件の事件があったことで捜索に駆り出されることに。

 

 

「しかしまあ、言いたい事だけ言ってさっさと退散しちまうとはな。もうすぐ息子もここに来るってのに、そんなにあの奇妙な二人との会合が大事なのかね、国防委員長殿は」

 

「さあ……?我々には関係ないことさ。パトリック・ザラがあの連中と何を仕出かそうが。とは言っても、本来こういう急を要する捜索にアズナブル隊を使うべきだとは思うがね」

 

「同感だ。おかげでファーさんやギアさんとの久しぶりの顔合わせがおじゃんになったんだしさ。まあ、今はキムさんも彼方此方飛び回ってるし、白龍皇だってそんな感じだから、どのみち全員集合とはいかないのはアレだけど」

 

 

 やれやれとベリアルは溜息を吐き、クルーゼが時間を見ているとアスランが到着する。

 

 

「お!お姫様のナイト様がご到着ってな」

 

「ナイト……?もしや、ヴェサリウスの発進が早まったのは……」

 

「お察しの通り、俺達はラクス・クライン嬢の捜索に行くことになったのさ。ま、アスランとしては足つきをどうにかしたいところだろうが、上の命令だし我慢してくれ」

 

「あ、いえ……大丈夫です。しかし、民間船ですし何かあったと決まったわけでは」

 

 

 アスランがそう言うと、クルーゼは少し考えるような素振りを見せ、何やら頷いた後に口を開く。

 

 

「……言い難い事だがアスラン、偵察に出たジンが戻らぬ上、視察船が向かったデブリ帯……つまりユニウスセブンがある場所に、巨大な何かが向かっていくのを確認したという情報がある」

 

「なっ!?」

 

「艦船にしては早過ぎ、そしてMSにしては大き過ぎるということは判明しているが、詳細は未だ不明瞭。最悪の事態も覚悟しなければならないかもしれんな」

 

(……ラクス……)

 

 

 クルーゼが言っているのは当然、スコーピスの事である。彼らは正体を知らないのはともかく、確かに最悪の事態になる寸前であったことに間違いはない。

 ティガやジャスティスの事は目撃者がアークエンジェルの乗員とウルトラ騎空団に限られるのでまだ知られていないが、どうやらスコーピスは見られようとお構い無しに飛んでいたようだ。

 

 一頻り会話をした三人はヴェサリウスに乗り込む。果たして命令通りラクスの捜索に向かうのか、それとも――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 薄暗い会議室。そこでパトリック・ザラは二人の人物と会話していた。いや……『二人』と表現していいものかどうかは疑問に残るが。

 

 

「大方視察船は連合がどうにかしたのだろう。劣等感の塊で我らのように進化を見据えぬナチュラル共は考えが単調過ぎる」

 

「その通りだよ、パトリック君。進化し、より高みを目指すのではなく他者を引きずり下ろそうとは実に野蛮だ。そう思うだろう?スティンガー君」

 

「う、うん。そうだね、コーウェン君。結局時代に取り残された古い生命体なんだ。宇宙に適応した『僕ら』こそ選ばれた存在だよ。パトリック君は理解を示してくれて良かった。君もまた、選ばれた存在だ」

 

 

 片や、サングラスをした2mはあろうかという大男・コーウェン。片や、青い顔をした男・スティンガー。

 彼らがクルーゼやベリアルの言っていた二人組である。パトリックに近しい人物(アスラン除く)ならば、パトリックが何かと彼らに相談をしているのはよく見る光景だったりするのだが、何故か今日は誰にも見られぬよう会議室の明かりを消し鍵まで閉めていた。

 

 

「それで、そちらの準備はどうだい?パトリック君」

 

「うむ。秘密裏に作り上げた新しい小型プラントに、少しずつ移動させている。無論、ナチュラルの捕虜もな」

 

「さすがだ、パトリック君。我らが同胞の為にそこまでしてくれたことを感謝させて頂こう」

 

「それはこちらにも言えることだ。進化を促す『ゲッター線』、君達に聞かされねば発見は疎か気付きもしなかっただろう。地球で踏ん反り返っているナチュラル共には理解出来んだろうな、あれの素晴らしさは」

 

 

 そう言うパトリックの目は狂気を帯びていた。それがナチュラル憎しから来るものなのか、それともゲッター線なるものを見つけた喜びからのものなのかは本人にしか分からない。

 そしてコーウェンとスティンガーはそんなパトリックを異様に信頼している。しかし、かつての彼を知る者であれば不審に思うだろう。コーディネイター至上主義ないしナチュラルを徹底して排除する考えであった彼が、ナチュラルなど取るに足らない……()()()()()()などと考えることに。

 同時にこう思うかもしれない。

 

 ――あれは本当にパトリック・ザラなのか――

 

 

「ゲッターに選ばれぬ旧生命体に進化の資格なし!」

 

「今に縋る者達に進化の兆しなし!」

 

「そして進化しようとせん連中に未来なし!我らコーディネイター(インベーダー)こそがこの宇宙で至高の存在なのだ!!」

 

「「「そう、進化!進化!!」」」

 

 

 プラントは戦争以上に、恐るべき計画へと巻き込まれようとしていた。

 

 

 

 

 フレイ・アルスターは気に入らないことがあった。婚約者であるサイから、友人のキラがコーディネイターと聞かされた時は動揺したものの、別段彼が何をしてくるでもなし、精々MSに乗って戦っているぐらいで、後は優秀だという以外はあまり騒がないし問題はなかった。

 

 彼女にとって気に入らないのはまずダイゴのこと。付き合いが浅いというのにキラは当然としても、サイを始めとする学生達と驚くほど早く仲良くなっている。

 今までは自分が話題の中心になることが多かった為、これだけならただの嫉妬で済むだろう。

 しかし、彼が属しているというレジェンド率いるウルトラ騎空団、この存在が彼女にとってアウトだった。

 

 一度見たが列挙していくと、まずタイガらウルトラマンの、ナチュラルでもコーディネイターでもない容姿。これはまあ理解出来なくもない。

 続いて、リアスそのもの。赤髪でスタイルが良くお嬢様……まんまフレイと被っているが、どうやら本当の意味で彼女の中にあるカリスマを本能的に感じ取ったらしい。正直、リアスもレジェンド一家やタイガ達と出会わねばフレイと似たような状態になったかもしれないのだが。

 そして何より、団長であるレジェンド。アルテミスの一件以来、その活躍を目にした避難民達の噂が彼を中心にしたものばかりになったからだ。キラが懐いているダイゴすら全幅の信頼を寄せ、傍から見るだけでも男女問わず慕われているレジェンドはまるで自分の立場を掻っ攫った元凶に見えていた。

 

 ぶっちゃけ、今まで注目の的だったが故の嫉妬が大半である。

 

 ただでさえそんなドロドロとした感情が渦巻いている場所に、さらに拍車をかける出来事が起きた。

 例によってレジェンドがラクスの救命ポッドを拾った(ただし届けたのはゼット)ことだ。

 

 これにより、元々コーディネイター嫌いのフレイのストレスは一段と加速する。

 

 その結果――。

 

 

 

 

 

「コーディネイターのくせに、馴れ馴れしくしないで!!」

 

 

 

 

 

 食堂にラクスを連れてきたキラやダイゴ、そしてどんなメニューが出されているのか気になってついてきた三日月の前で、キョトンとしているラクスにそう怒鳴りつけた。

 

 ……しかし……

 

 

 

 

 

「俺、嫌いだよ。あんたみたいな奴」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

 

 

 

 三日月から予想もしないカウンター。

 

 ダイゴやレジェンド達との出会いや、ザフトに所属しているミゲルやラスティとの触れ合いを通じ、メンタルが強化されまくっているキラは「あ、彼女は僕と合わないや」とかつての淡い想いなど木っ端微塵に吹き飛んだのだが、よもやフレイと接点の無い三日月が容赦無く言った台詞にラクス以外が皆固まっている。

 

 

「な……何を言っ……!?」

 

「もういいよ。これだけじゃ足りないでしょ。レジェンド様やサーガ様のご機嫌取りして何か作ってもらおう。あの部屋キッチンあるし」

 

 

 ひょいっとラクス用の食事のトレーを手に取ると、フレイや近くにいたミリアリア、カズイを無視して食堂から出ていく三日月。それに倣う形でキラやダイゴもラクスを押して出ていってしまう。

 ハッとなるミリアリアとカズイに対し、フレイは自分が何を言われたのか未だ理解出来ず口をパクパクさせたままだった。

 

 

 

 

 

 四人がウルトラ騎空団に割り振られた部屋へと戻りながら話していると、三日月がまた不意に口を開く。

 

 

「キラと……ラクス、だっけ。二人共よくあれで手が出なかったね」

 

「え?」

 

「はい?」

 

「だってコーディネイターのくせにって言ってたじゃん、あいつ。俺より二人の方が先に反論すると思ったけど」

 

 

 間髪入れずに三日月がカウンターかましたからだとは思うが、かくいう二人もどうとも思っていないらしい。キラは周りに支えられ、ラクスは天然故に悪意をスルーし……フレイに敢えて言おう、レジェンドやしのぶでなく三日月で良かったなと。あの二人はあんな事を言われたら恐ろしい報復が待っている。

 

 

「多分、昔の僕ならショックを受けて引きずってたかもしれません。でも、僕は僕でいいんだって……そう思えるようになったから」

 

「沢山の人がいれば、それだけ心の形も様々です。あの方がコーディネイターに対しああいった感情を向けてしまうのも仕方のない事だと思います。それに、貴方達は優しいでしょう?私はそれだけで十分嬉しいですわ」

 

 

 笑いながらそう言う二人にダイゴも笑顔になり、三日月も「ラクスって、クーデリアみたいだな」と、分かりにくいが少し笑っていた。

 そんな三日月だが、部屋の前に立つと急に表情を引き締める。

 

 

「…………」

 

「……?三日月さん?」

 

「どうかされましたか?あ!三日月様もお腹が空いてたんですのね!」

 

「いや、それは……いつもの彼を見てると強ち間違いじゃないかも……」

 

 

 キラ、ラクス、ダイゴが口々に三日月の様子を気に掛けるが、返答はまさかの……。

 

 

 

 

 

「この匂い……麻婆炒飯だ……!」

 

 

 

 

 

 ラクスが正解だった。何かこの娘凄くないか?別の意味で。三日月は多少息を荒らげて涎が垂れそうになっている。辛い物好きの彼に麻婆メニューは思いっきりぶっ刺さるのだ。

 「当たってましたわ」と無邪気に喜ぶラクスに、キラとダイゴは苦笑しつつ、中に入るとミゲルやラスティも混じって食事の用意中なレジェンド一行。

 ルリアやアマリはいつの間にかエプロンを着けてお料理モード、ゼットなんかやけに美味そうな出汁巻卵を作っているし……レジェンドは身勝手の極意+赤褌という謎仕様。プール掃除の時といい、彼の身勝手の極意が真面目に使われたのは悪魔将軍とのファイトぐらいしか思いつかない。まあ、そもそも元が規格外過ぎるのでそうホイホイと実戦で使われても困るのだが。

 

 

「「いやいやいやいや!?」」

 

「あら?キラにダイゴさん、おかえりなさい。でもリアクションが駄目ね」

 

「部長、俺はラクスって子に大物感を感じるんですけど」

 

『相棒の今の姿もソレだからな。歴代で初めてだぞ、大根切るのに禁手使う宿主は』

 

 

 そう、一誠もまた禁手化(バランス・ブレイク)している。油ハネなどから身体を防御……いや少しずつレジェンドの思考に侵食されつつあるのは気の所為か?

 幸いにもタイガはフォトンアースになっていない。

 

 

「一誠君も大概だから!チーフが一番アレだけど!」

 

「姿形はツッコミません!それにツッコんだら絶対に終わらなそうなので!」

 

「私、こんなに楽しそうな場所始めてですわ!それは何ですの?」

 

「俺、味見役していい?」

 

 

 あまりにカオス過ぎる食卓。何やらタイタスやラスティはレジェンドの鍛え抜かれた肉体に尊敬の眼差しを向けている。つーか褌装備してるだけマシだが、服着ろ。

 

 

「レジェンドさん、吹雪の中でもその格好で乾布摩擦してたものね」

 

(((((何それ!?)))))

 

 

 キラ達は当然だが、しのぶらウルトラ騎空団の一部の者も、かつて空の世界でルリアとアマリを連れ出したばかりの頃、レジェンドが行った奇行をアマリの発言で知り別の意味で戦慄するのだった。

 

 

 

 

 ――アズナブル隊母艦・ミダラーン――

 

 

『すまぬな、シャア。いつも面倒事ばかり押し付けておきながら、君達に休暇の一つも満足に与えてやれない己が嫌になる』

 

「クライン議長、気にしないで頂きたい。今の我々にとっては下手に休暇を貰うより、こうして宇宙に出ていた方が気が休まるというものだ」

 

 

 シャアは自室にてシーゲル・クラインと通信していた。何を隠そう、コズミック・イラで彷徨っていた彼を拾ったのはシーゲルであり、続け様に他のアズナブル隊のメンバーをも拾ったのだ。加えて、シーゲルはナチュラルとコーディネイターを差別しない。

 そんな姿勢のシーゲルをシャアは高く評価している。甘い部分も人情味があるみればそこも良く映ると言えるだろう。

 

 

「しかしラクス嬢の乗った民間船がデブリ帯で行方不明とは穏やかではありませんな」

 

『うむ……ただでさえナチュラルとコーディネイターの確執が日に日に強まっている今、民間船とはいえ不測の事態に巻き込まれる可能性は元から懸念してはいたが……嫌な予想だけはこうも当たる』

 

「では、我々もその捜索に?」

 

『私としてはそのつもりだったのだが、既にパトリックがクルーゼ隊に打診したらしい。あの部隊にはラクスの婚約者のアスランもいる。それを考慮した上か、別の理由があるのかは分からんが……』

 

 

 この言葉にシャアは眉をしかめる。シーゲルから、ここ最近パトリックの様子がどうもおかしいとは聞いていたし、シャア自身もすれ違った時に妙な感覚を覚えたぐらいだ。

 アスランが所属しているのはいいとしても、態々本国まで戻らせたヴェサリウスをそちらに向かわせるより、デブリ帯に近い自分達の部隊を向かわせた方が時間的にも戦力的にも効率が良いはず。実際、ベリアルもそれで愚痴っていた。

 

 

『いずれにせよ、君達はこれまでと同じく自由に動いてくれて構わん。自分で言うのも何だが、軍の運用に関してはあまり得意でなくてな』

 

「了解した。こちらも足つきを追いつつ、それとなくユニウスセブンへと向かってみよう」

 

『すまんな……改めて君達の休暇に関しては何とかもぎ取れるよう、こちらでも申告しておく』

 

 

 こちらを少しでも休ませようとするシーゲルに苦笑しつつも、心遣いをありがたく思い、シャアは通信を切る。

 

 

「彼はいい、信用出来る人物だ。しかし、ラウ・ル・クルーゼとその友人とされるベリアル、そしてパトリック・ザラはどうも得体が知れん。何よりパトリック・ザラが作り上げているという新たなプラント……内部に入ってみたいと連絡を入れても返答はなく、直接赴けば門前払い。どうもキナ臭いな」

 

 

 しかし現状の戦力では調査を強行して窮地に陥った場合、この部隊のみでその状況を脱せるかどうか怪しい。相手側の戦力にもよるだろうが、今はまだ動く時ではないだろう。下手を打てば自分達どころか味方してくれているシーゲルも巻き込んでしまう。

 

 

「事はプラント、ひいてはこのコズミック・イラ全体に降り掛かってくるやもしれん問題だ。私達だけでどうにかなるとは到底思えん。アムロ……今の私を見たらお前はどう思うだろうな……」

 

 

 シャアはアクシズショックで生死不明となった宿命のライバルの名を呟き、静かに目を伏せる。彼の脳裏に浮かぶのはアムロとブライト……幾度となく激突し、時には共に戦ったことのある二人と同じ空気を持った男。

 初対面でありながら、自分もそうだったとはいえ本気でないにも関わらず自分と互角に渡り合ったレジェンドのことだ。

 

 話を聞いてくれるかは分からないが、話してみる価値はあると考えたシャアはブリッジへと向かった。

 

 

 

 

 ――スペースコロニー・ドラガイト――

 

 

「ライ、どうだ?実際動かしてみて」

 

「良い感じです、アムロ教官」

 

「やはり無理にサイコミュ関係を積むよりフレーム等の基礎スペックから見直したのが上手く作用したか。元々ナイトロ自体あまり褒められたシステムではないし、レジェンド様の案を採用して正解だったな」

 

 

 機動兵器用のドックではコズミック・イラへと向かうライ、そしてモニカの為のガンダムデルタカイとリ・ガズィカスタムの調整がアムロ全面監修で行われていた。

 当初の予定では既に出発しているはずだったのだが、二人(特にライ)が予想以上に成長していた為に機体の再調整を余儀なくされたのである。

 

 

「……でもこれだけ私達向けに調整しても教官には手も足も出ないんですよね……」

 

「シミュレーターならそれなりにやれるんだけど……」

 

 

 二人は「この人ならギアスの呪縛状態のスザクをカウンターで叩き落とすことさえ造作もなくやるんだろうな」と考えていた。実際、彼とタイマンでやり合えるのはレジェンドだけだ。大抵はシミュレーターで心を折られ、直接やり合うと機動兵器に乗りたくもなくなるとさえ言われるぐらいに絶望的な力の差を叩きつけられる。

 よくよく考えるとこんな人物に訓練をつけられて精神が折れなかった巌勝やゼットらはその時点で凄まじい。

 

 

「そう簡単に超えられては年長者として立つ瀬が無いしな。仮にも教官職と隊長職も兼任してる以上、醜態を晒すと教え子や部下達も低く見られてしまう。無様な結果は出せないさ」

 

「ホント教官と互角に戦える父さんって何なんだろう……」

 

「そのへんでやめてくれ、二人共。俺はさすがにあの人みたいな滅茶苦茶な動きは出来ないぞ」

 

「「それ、どの口が言いますか」」

 

 

 すれ違いざまに組み付き、四肢を使ってクラッチを固めつつ機体の頭部を引き千切るという、あり得ない動きをνガンダムでやらかしたアムロにハモって言い返すライとモニカ。さすがカップルだ。

 

 何にせよ、機体の調整は今度こそ最終段階に入ったのでそう遠くないうちに出発出来るだろう。

 ただ、それでも限界が来るだろうし彼ら用に一から専用機を作る必要があるのは変わりない。コズミック・イラで何か良い案が出ればと思いつつ、アムロは二人と共に機体の調整を急ぐ。

 

 

 

 

 レジェンド達は賑やかな食事を終え、案の定カードゲームをプレイ中。今度はちゃんとレジェンドも服を着ている。

 

 

「――そういうわけだから、何も強いカードばかりデッキに組み込めば強いというわけではない。他者から見れば弱小カードであっても、そのデッキ、そしてそのデュエリストにとっては勝利への1ピースだ」

 

「シンクロとかエクシーズとか、一体一体は弱くても力を合わせることで逆転の可能性を秘めたモンスターを呼び出すことも出来るんでございますよ」

 

「トワァァァァァ!!」

 

 

 レジェンドとゼットが真面目に説明しているところにフーマの絶叫が響く。それエースの掛け声のひとつじゃね?

 

 

「わあ!勝てましたわ、キラ様!ダイゴ様!」

 

「これはまた、えげつないというか……」

 

「初心者だから禁止カード一枚OKルールにしたら……」

 

((何こんなモンスター平然と出してるの彼女!?))

 

 

 彼女のフィールドに存在していたのは悪名高き超魔導竜騎士―ドラグーン・オブ・レッドアイズ。調べればその鬼畜性能ぶりは御理解頂けるだろうモンスターで、容赦無くフーマを蹂躙したらしい。一誠やタイガさえ真っ青なワンサイドゲームだったようだ。

 

 

「何なんだよコイツ……インチキ効果も大概にしろよ……」

 

「そのセリフ、色的に別の人が言うべきじゃ……と思ったけどそう考えるよな、確かに」

 

「デュエルモンスターズ界のマジンガーZEROだろコレ」

 

 

 口々にそう言われるもラクスは嬉しそうに笑っている。単純に心から喜んでいるようだ。

 

 その後ろでは沙耶がレジェンドからぶんd……譲ってもらったガヴァドン寝袋に包まって幸せそうな寝顔で爆睡中。三日月はタイタスと一緒に『お願いマッスル』の歌に合わせてマッスルポーズしているという、相変わらず混沌とした状況。

 

 

「……超師匠、たまにはガンプラ作りません?」

 

「そうだな……紛れてサンダーボルトしてそうなZZガンダム作るか」

 

「何すかその名前だけで分かる鬼畜重武装MS」

 

 

 一応、平和である。

 

 同時にブリッジでは、アークエンジェルに暗号パルスで通信が入っていた。地球連合軍第8艦隊……知将ハルバートンと呼ばれた連合でも屈指の人格者デュエイン・ハルバートン准将旗下の部隊からだ。これにはクルー達も沸き立っており、少しは楽になると喜びを隠せずにいる。

 

 しかし、彼らは知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウジュイカ、レエガミヨ……」

 

 

 

 

 

 新たなる悪意が迫っていることを。

 

 

 

〈続く〉




プラントがヤバい(切実かつ緊急)。
そしてきっと連合(ブルーコスモス)もヤバい。
ついでにラクスのコミュ力(適応力)もヤバい。

三日月によるフレイへの一撃!急所に当たった!
最初は沙耶の一撃、と考えていましたが彼女がモフり出してしまったので彼に出張ってもらいました。
アトラとかクーデリア見てたらそう思うよな、と。

筆休み回になったからかレジェンド一行、大分はっちゃけました。プール掃除以来に神の御業を無駄遣い。

小話板で沢山設定やネタを御投稿頂いたおかげで書きたい話増えすぎて逆に困った。こうなれば現在執筆中の特別編から少しずつぶち込むしかない!……沙耶の胃と勇治の貞操の心配はこの際無視しよう。流とライは無問題だから(ぇ。


それではまた次回。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。