ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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お待たせしました。
前回投稿した特別編、そのまま並べ先変えずに投稿した結果……並び替えに地獄を見ました。気をつけようマジで……。

さて今回は……一つだけハッキリいいます。映像化したら大変なことになります。


それでは本編をどうぞ。


消えていく光

 遂に連合の部隊――本隊ではないが――と合流出来るとの情報が艦内に通達され、アークエンジェルではクルー・避難民問わずお祝いムードになっていた。

 

 ――レジェンド一行を除いて。

 

 

「合流はともかく、絶対俺ら目ぇつけられるよな」

 

「フーマの言う通りだろうな。連合でもザフトでもない集団が、未知の技術で作られた機体を多数保有し、パイロットも腕利きとなれば尚更だ」

 

「僕がオーブ所属であることを告げたとしても、最悪矛先がオーブに向かうことになりかねません。おそらくチーフがミナ女史と婚約関係にあると分かれば、そこもついてくる可能性もあります」

 

「アークエンジェルにとっては味方なんだけどさ。こんな憂鬱になる合流なんて、これから先あんま無いんじゃねーか?」

 

 

 一誠のボヤキにレジェンド一行は全員同意する。同室かつウルトラ騎空団の受け持ち捕虜なミゲルとラスティも同意見だが、案の定ラクスはポヤポヤしてて何がいけないのか理解していない。

 

 

「皆さん、何故嬉しくないのでしょうか?」

 

「いやラクス様……今の俺ら、立場的に色々ヤバいんですよ」

 

「一応捕虜だしな、俺とミゲル」

 

 

 ウルトラ騎空団預かりとはいえ、ラクスはともかくミゲルとラスティは捕虜扱いとなっている。マリューらはまだしも、他の連合の者まで同じ扱いをしてくれるとは到底思えない。

 一先ず様子見、最悪の場合は強行突破で脱出してペガサスAに移動することも視野に入れ、レジェンド一行はそのままでいることに決めた。

 

 

 

 

 一方、ヴェサリウスはアークエンジェルとの合流せんとする連合の艦を捕捉し、対処方法について検討している最中。

 

 

「……ってことは、やっぱりやるかい?ラウさん」

 

「ああ。連合の艦というだけなら放っておいてもさして問題はないが、足つきに補給を運ぶ艦であるとしたら話は別だ。足つきにはあの厄介な連中までいるからな」

 

 

 そういうクルーゼだが、よもやレジェンド一行は自給自足しているなどと思うはずもなかった。精神的な部分を別として考えれば、仮にアークエンジェルの面々が限界でもレジェンド一行……つまりウルトラ騎空団は何ら問題などない。

 それにまだしのぶのヒュッケバインMk-Ⅱやアズのヒュッケバイン30は一度もアークエンジェルから出撃しておらず、他の機体もまだ全力を出していないのだ。

 

 故に彼らが本気で抵抗すれば、ヴェサリウスはひとたまりもなく確実に墜ちる。本腰を入れられる前にアークエンジェルを墜としてしまおうという案は悪くはないのだが、如何せん相手が相手。

 クルーゼも口では上記の事を言っているが、実際はアークエンジェルやウルトラ騎空団のコンディションを落とせれば御の字ぐらいにしか考えていなかった。

 

 

「仕掛けるんですか?しかし、我々には……」

 

「アスラン、俺達は軍人だぜ?お姫様だけに構っていられる立場じゃない」

 

「そういうことだ。ラクス嬢の捜索任務を受けてはいるが、あの艦をみすみす見逃すわけにもいかんのでな」

 

 

 一刻も早くラクスを見つけたいアスランに対し、クルーゼとベリアルの二人は厳しい言葉をかける。確かにその通りである為、アスランは焦る気持ちを抑えつつ従うしかなかった。

 

 ――その結果、あんなものを見るなど彼はおろかクルーゼとベリアルすら思ってもいなかっただろう。

 

 

 

 

 普段ならのんびり過ごしているレジェンド一行だが、刻一刻と迫る連合の艦との合流に内心ハラハラしっぱなしで、全員が文字通り休んでいるだけの状態。

 ミゲルとラスティも空気を読んで静かにしている……が、やはり彼女とハロは黙っていない。

 

 

「では質問です。私達はどうすればいいでしょう?」

 

「ハロ!ゲンキ!」

 

「うふふっ」

 

「元気だな桃姫はよぅ……」

 

「まあ!レジェンド様、私は桃姫ではなくラクス・クラインですと何度も申し上げておりますのに。言ってみて下さい。ラークース、はいっ」

 

(おい勘弁しろよこの状況でニコニコされながら近付いてこられると突き放し難いだろーが。つーかダイゴその優しい視線やめろキラはどうしたキラは。この桃姫の御守りはあいつが適任だろ)

 

 

 相変わらずのラクスにレジェンドは若干辟易している。元々担っている重責の違いもあるだろうが、彼女はもう少し自分の立場と危機感について理解すべきだと思う。

 サーガはそんなラクスを見て「随分箱入りというか平和な環境で育てられたんだな」と一人納得しているが、横になっているところをゆさゆさ揺らされたレジェンドの額に青筋が浮かびつつあることに気付かない。

 

 さながら、兄(父)に構ってほしそうな妹(娘)という構図。

 

 

「あ!私もやります!」

 

「え?ちょっとルリア!?」

 

 

 アマリが止める間もなくルリアまで参戦してしまい、いよいよレジェンドから何やら闘気が立ち昇り始めて漸くサーガ達はヤバいと気が付いた。

 さすがにこれ以上はまずい、と思い止めようとした時にアラート音とブリッジから戦闘配備の指示がアークエンジェル艦内に響き渡る。

 

 

「何だ何だ藪から棒に。つくづくこの艦は俺の平穏を妨げるトラブルに見舞われるようだな」

 

「あ、レジェンドさん起きた」

 

「散々揺すられた挙げ句、耳障りなアラートまで聞かされりゃ否が応でも起きるっての」

 

 

 アズの頭をポンポンとやりつつ、首をゴキゴキ鳴らして立ち上がったレジェンドは、案の定不憫に見舞われた。

 

 

『それからストライク、及びメビウス・ゼロとウルトラ騎空団の機体は至急出撃準備!』

 

「「「「「は?」」」」」

 

 

ガンッ!!

 

 

「「レジェンドさん!?」」

 

 

 さも当然といった感じでウルトラ騎空団まで出撃メンバーに組み込まれていたことに殆どの面々(+ミゲル、ラスティ)は間抜けな声を出し、レジェンドはズッコけると同時に顔面を壁に強打。アズとアマリが揃って心配するも、壁に顔を打ち付けたままズルズルと力なくレジェンドはずり落ち、全く動かなくなる。

 

 

「お……おい、団長さん大丈夫か?」

 

「打ち所悪かったらヤベーぞ……!」

 

「「「「「いつものことだから」」」」」

 

「「いつもなのかよ!?」」

 

 

 先日、ラクスのハロが顔面に激突したばかりだというのにこの有様。コズミック・イラに来てから何かと顔面に(嫌な)縁があるレジェンドであった。

 

 

「野ッ郎ォォォ……!俺達はほぼボランティアで出撃してたようなもんだぞ!?何出撃して当たり前と言わんばかりな指示出してんだァァァ!!」

 

「ちょっ……先輩、何処に行くんだ!?」

 

「ブリッジの馬鹿共に説教かましてくる!いつまでも俺らに甘えるなコルァァァ!!」

 

 

 物凄いスピードで爆走し、ブリッジへと突撃していくレジェンドを呆然と見送っていると、格納庫へ向かうキラが声をかけてきた。良いタイミングで入れ違いというべきか、何というか……。

 レジェンドがいなくなってしまったので出撃するメンバーをサーガが選定。その結果、タイタスとフーマは当然として、しのぶとアズはまだ乗機を隠しておく意味で留守番、沙耶はガヴァドン寝袋から出てこないし、ロスヴァイセもレジェンドのフォローが必要。

 

 そういうわけで前述のメンバーに加え、ミゲルやラスティにラクスの護衛も考慮して三日月、それに特務大使という立場上頻繁に出撃するわけにはいかないダイゴも残し、サーガ、ルリア&アマリ、オカ研トリオにゼットで出撃することに決定。

 

 

 

 

 

 キラを加えたウルトラ騎空団は格納庫へ向かう最中にフレイに呼び止められる。三日月やダイゴはいなかったものの、キラはまた何か言われるんだろうと顔を顰めた。

 どうやら襲撃されたのはアークエンジェルではなく先遣隊……つまり合流予定の部隊らしい。しかもその艦にはどういうわけかフレイの父親であるジョージ・アルスター大西洋連邦事務次官が乗っているとのこと。

 

 正直、サーガは「そいつは馬鹿なのか」としか思わなかった。

 

 戦闘力の無い政治家タイプの人間が、向かった先が戦場になるかもしれない軍艦に乗るなど何を考えているのやら。

 特務大使であるダイゴは生身でも戦えるし機動兵器の操縦も可能、いざとなれば一人でもどうにか出来る。だが全ての者がそういうわけではない。

 

 

「パパの船、やられたりしないわよね?ね!?」

 

「MSの機動力に対抗可能な戦艦は限られている。懐に入られれば連合の艦では確実に墜ちるだろうな」

 

「ッ!?」

 

「サーガさん!?」

 

 

 フレイの懇願を込めた問いにサーガは普段の調子で答えると、フレイは顔を強張らせた。アマリもそんなサーガの返答に驚きを隠さない。

 しかしサーガがベースにした人物――刹那・F・セイエイの記憶とサーガ自身の経験から生半可な気休めは遅効性の毒にしかならないと理解している。

 ならば正直に告げた方がいい。ましてアークエンジェルが狙われているならばまだしも、狙われたのは先遣隊側……しかも既に交戦状態であるならば、結果は悪い方に傾く可能性が高いだろう。

 

 

「そんな……何とかしてよ!あんた達ならあいつらをやっつけられるんでしょ!?」

 

「相手による。シャア・アズナブルが出てきたらまともにやりあえるのは今回の面子なら俺しかいない」

 

「ッ……ならあのレジェンドって男はどうしたの!?あいつそのアズナブルって奴を追い返したんでしょ!?何でいないのよ!!」

 

「元々俺達は連合と何の関係もない。ただ偶然乗り合わせただけだ。それをあたかもアークエンジェル所属のように言われて頭にきたらしく、ブリッジまで説教しに行っている。説教というより文句だろうが」

 

「何よそれ!?そんなことより――」

 

「いい加減にしろ!!!」

 

「「「「「!!」」」」」

 

 

 突然の怒声にフレイのみならず近くにいたキラ達までもビクッとなる。サーガは強く言うことはあれど、実はレジェンドより沸点が幾分高い。そんな彼がここまで大声かつ怒りを含ませる事は殆ど無いのだ。

 

 

「お前は何とかしろ何とかしろと他人に頼るばかり……!だというのに殊勝な態度どころか『自分に関することが優先』とばかりに他者を無理矢理動かそうとする!戦うということが……命のやりとりをするということがどれだけ覚悟を伴うことなのか、分かっているのか!?」

 

「そ……それは……」

 

「戦えなくてもいい、戦える者が戦えば問題はない。だが戦わないから自分に責任はない、何を言っても構わないなどと言うわけでもない。言葉は時として兵器にも勝る危険な力を持つ、それを頭に入れておくんだな」

 

 

 行くぞ、とサーガは他のメンバーを急かして格納庫へと走る。当のフレイはその場にへたり込み、キラはそれを一瞥するとサーガ達の後を追った。

 

 

 

 

 

 ――アークエンジェル・ブリッジ――

 

 

「巫山戯るのもいい加減にしろ!!このタコ!!」

 

 

 サーガに続き、レジェンドの怒声がアークエンジェルのブリッジに響き渡る。連合所属のクルーは本気で身を震わせ、学生達も怯えており、ミリアリアなどは涙目になっていた。言っておくが彼女や学生らは悪くない。

 

 

「非常事態なのは理解したが此方側、せめて俺に連絡の一つも入れるのが筋だろうが!!」

 

「も……申し訳ありません!ですが――」

 

「戦闘宙域という死と隣り合わせの場所へ、責任者の許可なく送り出そうとしたことにグダグダと言い訳を重ねるな大馬鹿者!!」

 

「「「「「すっ……すみませんでした!!」」」」」

 

 

 ……もうマジでレジェンドがアークエンジェルの最高責任者じゃないのかと錯覚しそうなぐらい、マリューどころかナタルさえも立ち上がって頭を下げていた。

 

 レジェンドが一誠達に指示を出すのと、マリュー達が一誠達に指示を出すのでは大きく意味が違ってくる。

 レジェンドが出す場合は『組織として』で済むが、軍属であるマリューらが彼らに指示を出した場合は『(一応)民間組織への命令』になってしまう。おまけに彼らが属するウルトラ騎空団の団長であるレジェンドの許可を得ずに行ったとあればそれこそ大問題だ。

 

 

「戦力が少ないことぐらい今までの戦闘で十分理解している。フラガにでも伝言させて頼めば俺も無下に断るような真似はしない。命を預かっているのはお前達だけでなく俺もだということを忘れるな」

 

 

 彼とて冷酷無情なわけではない。礼儀には礼儀を持って返しているだけで、今こうしてブリッジまで怒鳴り込んできたのは不義を働いたからである。

 でなければアルテミス到着前にシャアが攻めてきた時、ウルトラ騎空団の面子だけを連れてペガサスAへと移動して早々に離脱していただろう。

 

 怒鳴ったことで一先ず落ち着いたのか、まだビクビクしているクルー達にレジェンドは冷静な声色で叱咤する。

 

 

「いつまでそうしている気だ。さっさと気持ちを切り替えろ!状況報告!」

 

「「「「「は、はいっ!!」」」」」

 

 

 かつてレジェンド指揮の下、惑星レジェンド防衛戦が行われた時に出撃したアムロが彼をこう評したことがある……『あの方は乗機が無いなら下手な機体に乗せるより、指揮官として旗艦から指示を出した方が勝率的にも士気的にも良いだろう』と。実際、アークエンジェルもウルトラ騎空団に所属しているわけではないというのに、クルーは素直に指示を聞いている。

 ……かの母港ではレジェンドの指揮で逆に昂ぶり過ぎてポンコツ化するような面々もいたぐらいだが、その話はまた今度。

 

 

「成程、イージスが出ているものの残りはジン……出撃メンバーにもよるが、さして危険視するようなレベルの相手ではないな。ベリアルも出てくる気配はない……別の任務のついでか?」

 

『こちらサーガ。先輩、落ち着いたか?』

 

「ああ。世話をかけてすまんな」

 

『俺達を思ってのことだと分かっている。事は迅速に行う必要があるというのは理解した。都合良く俺以外にゼットも出撃メンバーに入れておいて正解だった』

 

「いい判断だ。ゼットはウェイブライダーで先行し撹乱。大方先遣隊とやらをアークエンジェルへの補給を行う艦だと考えたんだろう、連中はどうやっても先に先遣隊の艦を墜とすことを優先するはずだ。出来る限り意識をこっちに向けさせろ」

 

 

 ゼットの「了解!」というハッキリとした返事を聞いて、他のメンバーは誰なのかもサーガから伝えられたレジェンドはテキパキと指示を出した。

 ゼルガードをアークエンジェルの護衛に回し、一誠とリアス、そしてタイガはチームを組ませ、ある程度自由に動いてもらう。その為、今回は量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改は一誠が最も得意とするタイプGへ換装。リアスの援護を受けつつ、タイガとコンビで前線を張る。

 

 

「格納庫より通達!全機の発進準備完了、とのことです!」

 

「よし、ダブルオークアンタとZを優先して出撃。ゼルガードは護衛だから一番最後で構わん、アークエンジェルの距離が相手とは大分離れているからな」

 

 

 

 

 ヴェサリウスの方でもアークエンジェルの乱入は確認されていた。

 

 

「本命のご登場だ。雑魚にあまり時間をかけるなよ!ベリアル、君はどうする?」

 

「連中の到着とあらばジンは勿論だがイージスだけじゃ厳しいな。俺もちょいと出張ってくるよ」

 

「そうか。シャホールの準備を急がせよう」

 

「助かるぜ。それとこいつは俺の勘だが……どうも良いことと悪いことがいっぺんに起こりそうな気がする。ラウさんも周りに気を配っててくれ」

 

「ほう……?了解した、くれぐれもそちらも注意してくれ」

 

「オーライ」

 

 

 そう返事をして格納庫に向かうベリアル。アデスもクルーゼ同様それを見送ったが、彼は気付いていない。確かに「良いことと悪いこと」とベリアルは告げたが、問題は『彼らにとって』だということを。

 

 

 

 

 アークエンジェルから先行して出撃したダブルオークアンタとZガンダムによって、ジンとイージスは護衛艦の一隻であるバーナードを沈黙させたあたりで攻めあぐねていた。

 ウェイブライダーに変形したZガンダムの撹乱は元より、ダブルオークアンタがGNソードビットを展開しGNフィールドを形成したことで残るモントゴメリとローに攻撃が通らなくなってしまったのだ。

 

 

「何だこれは!?」

 

「アスラン!何か知らないのか!?」

 

「あの粒子を放出している機体はまだ不明な点が多い。それにイージスと同じ可変機構を持つ機体……奴はミゲルをやった奴だ!」

 

「何だって!?くそっ、ならミゲルの弔い合戦だ!」

 

「気をつけろ!奴はデュエル、バスター、ブリッツの三機を同時に相手して圧倒した程の手練だぞ!」

 

 

 アスランの警告に三機のジンのパイロットは愕然とする。補充要員として乗艦した彼らはそんな奴がいるなど初耳だった上、件のストライクや他の機体まで出てきたとあっては一気に旗色が悪くなった……と思いきや、ベリアルの駆るエゼキエル・シャホールが到着。

 

 

「「「「ベリアル参謀!」」」」

 

「オーケー全員生き残ってるな。上々上々、連中の相手はマトモにやったらバカを見るぜ。程々にして撤退するぞ。残りの艦を意地でも墜とそうとして俺達やヴェサリウスがやられちゃ洒落にならない」

 

「しかし、足つきが補給を受けたりすれば……」

 

「おいおいどうした、アスラン?当初お前さんはこの攻撃に異を唱えたじゃないか。どんな心境の変化だ?」

 

「それは……」

 

「ま、それはどうでもいい。どっちにしろ、足つきから出てきたのが連中の全戦力じゃない。撤退しなきゃ御陀仏になるだけさ。ここでそうなるのは御免だろ?」

 

 

 ベリアルの言うように、自身とベリアルを同時に相手をしたSガンダム、ヘリオポリスで見たバルバトスやガンダムX、それにアズナブル隊を退ける活躍をしたアルトアイゼン・リーゼにライン・ヴァイスリッターも出てきていない。特にアルトアイゼン・リーゼのパイロットは明らかに格上だ。それが分からぬアスランではない。

 

 アスラン達は知らなかったが、クルーゼとベリアルは事前に打ち合わせしていた。『一度引いたように見せかけて再度強襲する』――そのために撤退すると。

 

 

 

 

 

 ベリアルが加わったにも関わらず、先程までとは打って変わって消極的な戦い方になるザフトをゼットは怪訝に思う。

 

 

「どうもウルトラ腑に落ちないぜ……自爆撃墜覚悟で突貫してくるわけじゃなし、かといってすぐにスタコラ逃げ出すでもなし。何考えてんだ?」

 

 

 こういうのを見る度にレジェンド達は「普段からそうやって考えろ」と思うのだろうが、生憎言って直るようなゼットではない。

 しかしこういう時、しかもMSに乗っている状態のゼットは異様に勘が冴えるのだ。

 

 

「押しても駄目なら引いてみろ……で、引いてから押す作戦か?」

 

 

 正にその通り。何という洞察力。よもや狡知の二つ名を持つベリアルも、普段が普段だけにゼットが見抜くなど予想外だろう。

 とりあえず、ウルトラ騎空団専用の回線を使い、団員全員へ連絡しておくゼット。

 

 

「あーあー、こちらウルトラマンゼット。皆さん聞こえますです?」

 

『どうした?』

 

「あ、超師匠。実はですね、これ多分ザフト一旦引いて、ダブルオークアンタが展開したGNフィールドを解除したらまた攻め込んでくるんじゃないかと」

 

『そういうことか。あのゴツい奴のキャノン砲なら撃ち抜ける可能性が無くもないが、構えてから撃つまで防御が疎かになる上に、あくまで『可能性がある』だけだ。奴らが一度撤退したら代わる形で俺や三日月が出る。付け入るスキが無ければ奴らもすぐには攻め返しては来ないだろう。イージスのバッテリー問題もあるからな』

 

 

 奪われた機体がバッテリータイプで良かったと考えるのはどうかと思うが、まあそれで助かっているのだから文句は無い。

 

 暫くするとジン三機とイージス、エゼキエル・シャホールは撤退していき一先ず窮地は脱した。すると間髪入れずにモントゴメリから通信がアークエンジェルへと入ってくる。

 

 

『アークエンジェル!見事な働きだった!いや、大したものだ!』

 

『ランデブー中止の命令を無視したことは褒められたことではないが……助かったのも事実だ、感謝する。しかしストライク以外はこちらでも把握していない機体のようだが』

 

「諸事情からアークエンジェルへ同乗している方々独自の機体だそうです。ですからあまり追求しないで頂きたいのですが……」

 

『無論だ。気になるかどうかで言えば気になるがな。助けられた側である以上、無理に問い詰めたりはしない』

 

 

 モントゴメリ艦長のコープマン少佐がジョージ・アルスターと共に労いの言葉をマリューらに掛ける。一時はどうなるかと思ったが、無事に合流出来たことにマリューやナタルも漸く安堵の息を吐いた。

 しかし、まだ完全に安心することは出来ない。クルーゼ隊が形振り構わず突撃してくる可能性もあるし、アズナブル隊が強襲してくるかもしれない。

 

 そうマリューらが考えていた時、ブリッジでどこかを見ていたレジェンドが叫ぶ。

 

 

「おい先遣隊!!今すぐ可能な限り小型艇に乗り込んで脱出しろ!!」

 

『は?何を言っ「早くしろと言った!!間に合わなくなるぞ!!」……いきなりどうしたと言うんだ?』

 

「どうしたもこうしたもない!!今は俺の言葉を信じろ!!でなければお前達は()()()()!!」

 

 

 戦闘時の冷静な時や日常でツッコミを入れる時でもない、切羽詰まった表情で言うレジェンドだがそれを信じたのはウルトラ騎空団のメンバーやキラ、そしてムウやマリューなど極僅か。

 他の者は意味が分からないという反応や、この状況で何を心配しているのかと笑うようなもの。そこへ、やはり心配で我慢出来なかったフレイがアークエンジェルのブリッジへ入ってくる。

 

 

「パパは……!?」

 

『おお!フレイ!』

 

「パパ!良かった……無事だったのね!」

 

『勿論だとも!この通りだ!もうすぐ――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、その時に現れた。

 

 いや……当にすぐ傍まで来ていたのだ。

 

 そしてそれは――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 モントゴメリとローに覆い被さるように突如としてその異形の姿を現した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

『『『『『うわあああああ!!』』』』』

 

 

 異形の化け物の触手によって近くに引き寄せられていたモントゴメリとローは、その化け物に少しずつ呑み込まれていく。戦艦の外壁やブリッジ部分を触手が力任せにぶち破り、内部の人間へと魔の手を伸ばす。火花が散り、爆発が起こり、悲鳴が木霊する地獄絵図。

 離れていたアークエンジェルやウルトラ騎空団は被害を受けていなかったが、その光景はあまりにも壮絶すぎた。

 

 

「いやあああああ!!パパ!!パパァァァ!!」

 

「何だ……!何なんだあれは!?」

 

 

 フレイは泣き叫び、ナタルすら恐怖で身をすくませ、他の者達も吐き気を催したり歯をガチガチと鳴らしたりと眼前で起こっている事態を飲み込めずにいる。

 

 

『総員退艦!脱出だ!!』

 

『総員退艦!!脱出!!脱出ーッ!!』

 

 

 既にローは呑み込まれ、僅かに見えた隙間から乗員が黄色い液体で溶かされる光景を目にしたアークエンジェルのクルー達が口元を抑えつつ必死に艦を動かそうとするも、恐怖のあまり全員手元が震えていた。

 

 

 

 

 

 ヴェサリウスでも異形の化け物にモントゴメリとローが『食われて』いく様は確認されていた。

 アークエンジェルと同じく、クルーの誰もがその悍ましい光景に戦慄している中、クルーゼとベリアルだけは冷静な面持ちでそれを見ている。

 

 

「あれが噂に聞く『怪獣』とやらかな?」

 

「そう……と言いたいが、何というか別のカテゴリに見えるんだよな。後でギアさんに聞いてみるよ。この手のことに関してはウチでも随一だから」

 

 

 アスランとアデスすら畏怖する化け物を前にして、尚この二人は普段と変わらなかった。

 

 

 

 

 

 モントゴメリの格納庫――メビウス数機と小型艇数機が発進しようとしている。もはやモントゴメリの乗員で生き残っているのは今ここにいる者達だけ。あとの者は既に『食われた』。

 辛うじて格納庫まで来れたコープマン少佐やアルスター事務次官らは無事であったメビウスや小型艇に急いで乗り込んだのだ。

 

 

「一体何なんだあれは!?何の情報も無かったのかね!?」

 

「あるわけ無いでしょう!あんなもの、連合のデータを遡って調べても存在しません!」

 

「では何だと言うのだ!?」

 

「それが分かればこんな事にはなっていません!ともかく今は脱出することが最優先です!!」

 

 

 コープマンとアルスター事務次官の言い合いはコープマンによって強制的に終了。納得がいかないアルスター事務次官ではあったが、確かにその通りであるため黙らざるを得ない。

 

 

「発進!」

 

「発進ッ!」

 

 

 次々とメビウスや小型艇が発進する。命というものは危機的状況で信じられない力を発揮するものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、現実はそれをいとも容易く打ち砕く。

 

 発進口は既に触手が先回りしており、発進したメビウスや小型艇は絡め取られてしまう。

 

 

「うわあああ!!」

 

「駄目だ!力が予想より遥かに強い!!」

 

 

 もはや太刀打ち出来ないと思い知らされた連合の兵士達は抵抗を止め、次々と食われていく。コープマンとアルスター事務次官の乗った小型艇も餌食にならんとしたその時、触手が何かによって斬り裂かれた。

 

 

「ううっ!?」

 

「何だ!?何が起こった!」

 

 

 

 

 

「うおおおおっ!」

 

 

 先の戦いでモントゴメリとローを守っていたダブルオークアンタが触手をGNソードⅤで斬り裂きながら小型艇へと到着したのだ。

 触手の再生速度や量が多い為、出撃していた各機の援護を受けながら突き進み、どうにかここまで到達出来たのである。

 

 

「誰でもいい無事なら返事をしろっ!!」

 

「おお……!あの機体は!!」

 

「こちらモントゴメリを脱出した小型艇!本機は……本機だけはまだ健在だ!!」

 

「たった一機だけか……!だがそれでもッ!!」

 

 

 ダブルオークアンタはGNソードビットを射出し、小型艇をGNフィールドで覆いつつ、迫りくる触手を切り払いながら小型艇と共にその場を脱すると、同時にモントゴメリが化け物にゆっくりと呑み込まれる。

 その光景を見てゾッと身の毛がよだち、しかし本当に助かったという安堵感がコープマンやアルスター事務次官らを包んだ。

 

 直後、何かがダブルオークアンタや小型艇とすれ違うようにその化け物へと凄まじい速度で向かっていく。

 

 

「今のは……!?」

 

『サーガ様!レジェンド様が止める間も無くアルトアイゼン・リーゼで……』

 

「何っ!?」

 

 

 

 

 

 アルトアイゼン・リーゼで出撃したレジェンドは異形の化け物に対し、普段からは信じられない程の怒りと憎しみを込めた視線で睨みつけつつも冷静であった。

 ガキン!とリボルビング・バンカーの撃鉄を起こして構え、ブースターを開放し加速度を上げたアルトアイゼン・リーゼは、他の何も気に留めず一直線に化け物へと突撃する。

 

 

「貴様は……貴様らだけはただでは済まさん……!円盤生物!!」

 

 

 そう、レジェンドの怒りと憎しみの原因は相手が円盤生物……それも、ある意味最も因縁深い相手とも言える『シルバーブルーメ』であったからだ。

 

 アルトアイゼン・リーゼはシルバーブルーメの小さな本体部分目掛けて寸分の狂いなくリボルビング・バンカーをブチ込み、六発分のカートリッジを全て炸裂させる。

 苦しみながら触手で迎撃してくるシルバーブルーメだが、アルトアイゼン・リーゼは明らかに常人では不可能な動きで回避行動を取りつつ、両肩のアヴァランチ・クレイモアを全弾発射。ここで本体は兎も角触手の量と大きさが仇となり、シルバーブルーメに全弾直撃する。

 しかも本体が傷付いていたとあって再生速度が低下していたのか、5連チェーンガンで追い打ちを掛けられたシルバーブルーメは勝ち目が無いと理解し逃げることを選んだ。

 

 

「逃さんっ!!」

 

 

 レジェンドはアルトアイゼン・リーゼのリミッターを解除し、さらなる加速を持って追撃・撃破しようとするも、円盤形態のシルバーブルーメはそれすらも凌駕する速度で振り切り地球へと向かっていった。

 加えてゼットと一体化している為、互いに一定以上の距離を離れられないこともあり、シルバーブルーメを逃してしまう。

 

 

「くそ……!抜かった……ッ……!」

 

 

 悔しさに歯を食いしばり、操縦桿を強く握り締めて震えるレジェンド。だが彼も転んでもただでは起きない。即座にアメノミハシラと地上のオーブ、二箇所に緊急で通信文を送りシルバーブルーメの脅威を伝える。

 かつてのMACと同じく宇宙にあるアメノミハシラが心配になったが、先のダメージに加え進行方向が地球であったことを考えると、そちらへ向かうことはまず無いだろう。となればやはりシルバーブルーメとの戦いは地上にいる者達に託すことになる。

 

 自分の不甲斐なさ、そして自身の指示をまともに取り合おうとしなかった連合に苛立ちを隠せぬまま、レジェンドはアークエンジェルへと帰投する。

 

 さらに、案の定再度攻勢に出たヴェサリウスに対し、ナタルがラクスを人質代わりにして攻撃を中止させたことを知ったのも、彼が帰投したのとほぼ同じタイミングであった。

 

 

 

〈続く〉




先遣隊(ほぼ)全滅!円盤は生物だった!

前回復活させられたのはまさかのトラウマ怪獣。やっぱりレジェンドがキレました。

さらに予想外の人物達が生存。というかこの人達が生き残ってる作品見たことないですね。生き残ってたら面倒しか起こしそうにないのがいますけど、そこはまあウルトラ騎空団に頑張ってもらいましょう。
だってキラ君成長スピード早いから別にフレイ効果要らなくね?って感じで。

 Q.何で戦力十分なのにラクス人質に?
 A.小型艇着艦の最中を狙われたから。

……これ、次にシャアと会うの大気圏突入時にならないか……?


それではまた次回。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
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