ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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大変お待たせしました。やっと本編更新です。
特別編ばかりだったけど先刻漸く完成しました。プロットからある部分を二転三転してやっと落とし所を見つけたのでそこから早かったです。

今回、アズナブル隊の新たなメンバーが!


それでは本編をどうぞ。


目覚める刃

 アークエンジェルが比較的平和な時間を過ごしている頃、ラクスを別の隊に任せるべく一時的にアークエンジェル追撃から離れたヴェサリウスに変わり、ガモフが先行してアークエンジェルを追っていた。

 

 イザーク、ディアッカ、そしてニコルは作戦会議(と呼べるほどのものではない)をしているが、血気盛んな二人はニコルのことを臆病者というばかりで冷静になれていない。自分達でアークエンジェルを落とす、と意気込んでいる。

 

 

「確かに時間にして10分、ですがもし本気になったらそこまで時間はかかりません」

 

「ふん、分かってるじゃないか。だったら――」

 

「僕達はおそらく5分と持たないでしょう。個々の実力だけで僕達全員が束になっても敵わない相手が、足つきには複数いるんです」

 

 

 上げて落とすとは正にこのこと。以前の事を思い出したのかイザークもディアッカも口を噤む。ゼットのZガンダムを始め、サーガのダブルオークアンタやダイゴのSガンダム、極めつけはシャアと一対一で戦い引き分けたレジェンドのアルトアイゼン・リーゼ。

 それ以外にも三日月のネオ・バルバトスなど一騎当千の戦力がどういうわけかアークエンジェルに集結している。奇襲にも対処してくるような連中相手に今の戦力で攻め込むのは自殺行為に等しい。

 

 

「それにヴェサリウスから送られてきた映像データを見たでしょう?あのような化け物がまた現れないとも限らないんですよ!」

 

「っ……だったらこのまま足つきが本隊と合流するのを黙って見逃せとでも言うのか!?戦力補充は間に合わず、足つきが本体に合流するまでの時間もあまりない!ならば俺達だけでやるしかないだろう!!」

 

「仕掛けるのはいいとして、引き際も明確にすべきです!足つきの艦長なのか、それとも別の人物なのかは分かりませんが向こうにもクルーゼ隊長やベリアル参謀に匹敵、もしくはそれ以上の戦略家がいるのは今までの戦闘でも明らか……無闇に突撃しても『懐に飛び込む』のではなく『袋叩きにされる』ことになります!!」

 

 

 臆病者と罵られたニコルだが、ここに来てイザークやディアッカが怯むほどの気迫を見せた。それもそのはず、この中で彼だけはレジェンドと直接相対し実力差をまざまざと見せつけられたのだ。

 実際受けてみて分かったが、あのリボルビング・バンカーは下手すればフェイズシフト装甲すら力づくで無理矢理ぶち抜いてくる可能性だってある。更に、この間のシルバーブルーメとの戦いで明らかになったアヴァランチ・クレイモア……あれを至近距離で浴びればダメージ過剰で瞬く間にバッテリー切れを起こしかねない。

 そしてフェイズシフトダウンした瞬間、コックピットを――そんな考えがニコルの脳裏をよぎった。

 

 

「あの化け物のおかげで足つきは警戒レベルを上げていると考えていいでしょう。アルテミスで僕が対峙した機体のパイロット、彼はミラージュコロイドを展開したブリッツを完全に補足していましたから奇襲もほぼ通じません」

 

「チッ……八方塞がりかよ。どうなってるんだあの戦艦は」

 

 

 普段なら「俺達ならやれる」というであろうディアッカも、ゼットの乗るZガンダムに三機まとめて圧倒されたことを思い出して歯軋りする。イザークもまた、拳を強く握り締めて下唇を噛んでいた。

 

 そこへある人物から通信が入る。

 

 

『こちらミダラーン、ガモフ応答せよ』

 

「「「!!」」」

 

 

 ミダラーン――ザフト唯一のサダラーン級にしてアズナブル隊の母艦。その性能たるやナスカ級やローラシア級の比ではなく、MSの搭載数も多い。正しく名実共にザフト最強部隊と言われるアズナブル隊に相応しい戦艦。

 そのミダラーンからの通信とあっては出ないわけにはいかない、そして通信を開くとまず最初に映ったのがシャア・アズナブル。彼自らが送ってきたことに驚き、イザーク達は慌てて敬礼する。

 

 

『我々アズナブル隊はガモフとの共同作戦を申し込む。貴公らの目的は足つきの撃沈だろう。そちらの目的に協力する代わりに――』

 

 

 シャアの発言はイザーク達にとってさらなる衝撃を与えることになる。

 

 

『相手の隊長機……あの赤い強襲機を拿捕するための協力を頼みたい。叶うなら彼の部下全員まとめて、というのが理想だが』

 

 

 

 

 合流が迫る中、レジェンド達ウルトラ騎空団はこれからの行動について会議していた。キラや他の学生達はいないものの、ミゲルとラスティはウルトラ騎空団預かりのため聞かざるを得ない。

 

 

「やはり一度ペガサスAに移動してアメノミハシラなりオーブなりに行くのが無難だな。一応、俺達の今の立場はオーブお抱えの傭兵集団ということになっているし、何より円盤生物の件もある。いつまでもこうしてこの船に厄介にはなれん」

 

「シルバーブルーメに関してはまだ地球降下以降、見つかっていないらしい。先輩のアルトにあれだけのダメージを与えられた以上、何処かに潜伏して回復に専念しているんだろうが……」

 

「……何にせよ、もうじきこの船ともお別れね。色々な思い出が出来たけど……出来たけど……ろくなことが大半だったわ……」

 

「アルテミス駐在兵大量変態事案とかな」

 

「変死事件じゃなくて変態事案なのがもう……」

 

 

 今でも即座に思い出せる、沙耶にブチのめされた兵士が軒並み変態ばかりだったアルテミス要塞。嫌な意味で記憶に残ってしまったそれは黒歴史もいいところだ。救いといえば(フレイ以外の)学生達が良い子だったことだろうか。

 

 

「そういやあの赤いの、こっちに接触してこねーな」

 

「赤いのって……この船に関わる赤って沢山あるぞ、フーマ」

 

「赤い姉ちゃんだよ、トラブル起こしまくった」

 

「ああ……親父さんとの時間で忙しいんじゃねーか?ていうか俺も『赤龍帝』で赤かったわ」

 

「面倒がないならそれに越したことはない。あとはペガサスAとの合流・移動のタイミングだな」

 

『穏便に出来ればいいが、状況を考えるとほぼ無理か。御誂え向きなシチュエーションにでもなれば別だが』

 

 

 一誠、ドライグ、トライスクワッドは一誠がいるだけで会話が出来てしまう大所帯。似てるところはあれど全員の性格が違うので様々な意見が出せる上、気兼ねなく言い合えるため傍から聴いていて非常に有用。

 

 タイタスとドライグの言う通り、現状何の問題もなくペガサスAへ移動乗艦することは不可能に近い。ギリギリまでステルス機能を作動させたペガサスAに接近してもらい、そこで全員がそちらに機動兵器ごと移動する……というのが理想といえば理想なのだが、それでも確実に一波乱起こるだろう。

 

 

「ミゲルとラスティは?だいぶ治ってきてるって言っても怪我人だしさ。乗せる機体は選ばないと……レジェンド様のアレはナシ、死ぬから絶対」

 

「マシンスペックやアズナブル隊長、それにあの化け物とやり合ったデータ見たよ……おかしすぎだろ、あの機体!」

 

「加速時にかかるGが、訓練を受けたコーディネイターの許容範囲すら軽く超えている。その状態であんな無茶な機動とか、普通なら気絶とかしてても当然なんだが……」

 

「コンセプトは『圧倒的火力をもって正面突破を可能とする機体』だ。あれだけの火力で迅速な正面突破を行うには重量をカバーするだけの加速が必要になるからな」

 

「「それを平然と行ってるアンタが一番変なんだよ!」」

 

 

 ザフトのエースからも変人扱い……とはいえ妥当な認識である。本人は納得していないようだが。

 

 そんな中で、突如警報が艦内に鳴り響く。第一戦闘配備との放送も流れ、続いて『可能であればウルトラ騎空団にも出撃を頼みたい』との放送が流れる。

 多少なりともまともになったな、と思いつつレジェンドはブリッジに通信を入れた。

 

 

「おい、相手は誰だ?」

 

『団長さん!?その質問は、御協力頂けると思って宜しいのでしょうか?』

 

「相手による。そのために聞いてるんだ」

 

『先の事態からナスカ級は一時離脱、本艦を狙っているのはローラシア級よ。既にデュエル、バスター、ブリッツの出撃を確認しているわ』

 

「合流前ということで居ても立っても居られなくなったか。だが逆に言えばその三機さえ捌ければどうにでもなる。アルテミス要塞前の戦闘と同じくゼットとリアス達三人、それから防御面で万全を期す為にサーガも出撃だ。技量や機体性能的にダイゴも欲しいところだが、あいつは特務大使としての立場が明確だから安易に戦闘は参加させられん。お前達の奮闘に期待する」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

 

 最初は尻込みしていたリアスらも、何度かの出撃を経験して度胸がついたとでも言おうか。レジェンドは内心「あまり慣れてほしくはないが」と思いつつも成長を実感し、彼らを見送ると沙耶にテレパシーを送る。

 

 

『沙耶』

 

『テレパシー……?どうしたの、先生』

 

『ペガサスAに打診しろ。そろそろ姿を現す準備をしておけとな。ナスカ級はともかく、()()に動きがないのが気にかかる。最悪この状況で仕掛けてくるぞ』

 

 

 

 

「団長さんの指示から予想すると、出てくれるのはアルテミス到着前の戦闘で出撃したメンバーね。防御に専念するなら油断さえなければ――」

 

「新たにグリーンチャーリーに熱源反応!こ、これは……サダラーン級!」

 

「何ですって!?」

 

「サダラーン級……!ここに来て赤い彗星の部隊が仕掛けてきたのか!?」

 

「すぐにウルトラ騎空団に連絡を!あの部隊の隊長機はストライクや大尉のメビウスでも対処出来ないわ!可能であれば団長さんへ出撃依頼を!」

 

「は……はい!」

 

 

 ガモフに続き、ミダラーンまでほぼ同時に仕掛けてきたことに戦慄するアークエンジェルのブリッジ。こちらにはアドバイザーとしてコープマンがいるとはいえ、彼もアズナブル隊との戦闘経験は無い。あればこの場に、いや先遣隊にもいなかっただろう。確実に落とされているからだ。

 

 

「何としても持ち堪えて!ここを凌げば本隊との合流よ!」

 

「問題は赤い彗星が直接出てくるかだが……これまでの戦歴からまず確実に出てくるだろう。僚機がどれだけいるか、そこも気を付けなければならない」

 

「前回遭遇時にはGに匹敵する機体が二機、随伴していましたが……」

 

「ザフト最強部隊がそれだけということはあるまい。ここが正念場だぞ、ラミアス大尉」

 

 

 

 

『隊長、足つきからストライク、ガンバレル付きのメビウスに加えて前回の四機、さらに前回は早期撤退したビット兵器持ちが一機出ています』

 

「ふむ、堅実だな。ストライクというガンダムとメビウス以外が我々の標的だが、最優先目標は赤い強襲機だ。あれは一筋縄ではいかんのでな、あれが拿捕出来れば一先ず他の機体は見逃して構わん。下手に欲を出せば足元を掬ってくる連中なのは相対してよく分かった。撤退のタイミングは任せるぞ、艦長」

 

『了解です。ご武運を』

 

「ああ、ありがとう。さて……」

 

 

 シャアは修復されたサザビー・リビルドのコックピットから他の隊員達に声を掛ける。今回はアポリーとロベルトだけではない。さらにベテランパイロットが二人出撃し、万全を期すつもりだ。

 

 

「ランバ・ラル、ノリス・パッカード。両名も問題無いか」

 

「いつでもいけますぞ、隊長」

 

「私の方も問題ありません。新しいグフもよく馴染んでいます」

 

「それなら何よりだ。あの赤い強襲機のパイロット、おそらくアムロと互角の腕だろう。あれが出てきたら例の作戦に移行する。そのためには二人の腕とグフの装備が必要不可欠だからな」

 

「はっ!……ご立派になられましたな」

 

「平和が似合わん男だったということさ、ランバ・ラル。その結果こういうことだけが得意になってしまった、アムロいわく情けない奴というわけだ」

 

 

 自虐気味に言うシャアであったが、彼の幼少期を知るものとしてランバ・ラルの先の感想は嘘偽りのないものであった。

 

 

「よもや一度命を落とした私が、別の世界でかの赤い彗星の下で戦うことになるとは……運命とはかくも不可思議なものです」

 

「私とて同じ感想だ、ノリス・パッカード。とはいえ、貴公のような実直な人物が部下で良かった。何分政治的なことをやった身としてはどうも疑り深くなってしまってな」

 

「それは当然のことでしょう。その思慮深さがなくては指揮官や隊長職は務まりますまい」

 

 

 実はラクス捜索にアズナブル隊が出るべきではと進言したのはこのノリスであった。かつて仕えたサハリン家……そこの令嬢であったアイナ・サハリンをラクスに重ねたのかもしれないが、結果としてラクス絡みでウルトラ騎空団と再度遭遇出来たのは僥倖。

 そこまで読んでいたかは定かではないが、彼の意見がこの状況を呼び込んでくれたと考えても強ち間違いではない。

 

 

「よし、各機出撃!まずはあの機体をあぶり出す。それ以外の機体が出てくることも考えられる、十分に注意しろ」

 

「「「「ハッ!」」」」

 

 

 彼らが狙うは、アルトアイゼン・リーゼ。ウルトラ騎空団の大黒柱たる団長、レジェンドとその乗機。

 

 

 

 

「赤い彗星だって!?くそ、こんな時に!」

 

 

 デュエル、バスター、ブリッツと戦闘中のムウはシャア率いるアズナブル隊の襲撃を聞き、焦りが出始めた。今のアークエンジェルでかの部隊と戦えるとしたらウルトラ騎空団、それも上位にいる者だけだ。特にシャアの相手が出来るのはレジェンド、もしくはサーガぐらいだろう。そしてサーガのダブルオークアンタはアークエンジェルの防衛に回っているため、必然的にレジェンドしかいないことになる。

 

 

「この反応……!やっぱり直接出て来た……おいおいマジかよ!?この間から二機増えてるだぁ!?いい加減にしろっての!」

 

 

 

 

 

 当然、その情報はリアス達にも届く。特にシミュレーターによる訓練を徹底したゼットは見過ごせない機体を発見した。

 

 

「あれはグフ!?地上用だった機体を宇宙用か、汎用型に改造……いや一から作り直したやつか!こないだのリック・ディアス系列の機体といい、手強そうな気迫をウルトラ感じるぜ!」

 

 

 デュエル他二機はストライクとメビウス・ゼロ、それにリバウとゲシュペンスト二機で十分対処可能だ。ならば自分はあちらの相手を優先すべきだとゼットは考え、アズナブル隊へと向かっていく。

 

 

「さすがに俺一人じゃどうにもならないけど、少しでも持ち堪えれば超師匠が何とかしてくれるハズ!頼んますよ超師匠!そしてウルトラファイトだ俺!行くぜぇぇぇ!」

 

 

 

 

 

「この感覚……!そうか、あのZからか!」

 

「隊長、Zガンダムは自分達が抑えます」

 

「ラル殿とパッカード殿を連れて足つきへ向かって下さい」

 

「頼むぞアポリー、ロベルト。ただし気を付けろ。アムロの再来がカミーユならば、そのカミーユの再来があのパイロットかもしれん」

 

「「了解!」」

 

 

 向かってくるZガンダムに対し、前回と同じく二機で挑むスーパーディアス改。ぶつかり合う三機を若干迂回するように避けつつ、サザビー・リビルドと二機の新型グフ――RFグフカスタムはアークエンジェルを目指し猛進する。

 

 

 

 

 

「サザビーと随伴機!更に接近!」

 

「何としても近付けるな!艦尾ミサイル発射管、一番から六番までコリントス装填!同時に全ミサイルを近接信管に変更!直接当てようなどと考えるな!」

 

「良い判断だ、バジルール少尉。赤い彗星の部隊が運用している機動兵器は重装甲ながら高い機動力を持つ。見た目で判断して直接狙おうものなら難なく回避され撃沈だ」

 

 

 コープマンは直接相対したことはなくとも、アズナブル隊の情報は嫌というほど見返している。緊迫した状況の中、一筋の希望がブリッジに齎された。

 

 

「ハンガーより入電!アルトアイゼン・リーゼ、出撃準備完了したとのことです!」

 

「……!団長さんが出てくれるの!?」

 

『アレの相手が出来るのは俺ぐらいだ。サーガにはこの艦の防衛、そして可能なら青い二機の迎撃をやってもらわなければならん』

 

 

 ブリッジに映ったアルトアイゼン・リーゼのコックピットに座るレジェンドの引き締まった表情からマリューは、前回見なかった二機も相当な腕前のパイロットが乗っていると判断した。

 

 

『今回は俺と一緒に三日月も出る。前回のような早まったマネはするなよ』

 

「分かりました。くれぐれも気をつけて」

 

『無論だ。万が一に備えて事前策も用意してある。厳しい状況だろうが冷静さを忘れるな』

 

 

 レジェンドはそう言うと通信を切った。三日月とバルバトスは戦力として申し分ない。そこは心配ないが事前策というものが気になるのは仕方ないことだろう。

 しかし、信じると決めたマリューは雑念を捨て、再び檄を飛ばす。

 

 

「相手は強敵だけど撃墜目的でなければ凌げる可能性が出てきたわ!本艦の速度は落とさず、機動部隊各機は本艦から離れすぎないように!本隊の射程内に入れば援護も受けられます!」

 

 

 

 

 

 カタパルトから出撃したアルトアイゼン・リーゼ、そしてバルバトスを確認したシャアはレジェンド同様表情を引き締める。

 

 

「出てきたか……!しかし、随伴機にまた私の知らないガンダムが出てくるとはな。やはりあれらは連合のものではなく個人……いや、別組織のものと考えていいだろう」

 

「見たところかなりのパイロットですな。動きにブレがない」

 

「あれを無視して隊長機の拘束は厳しそうです。どうしますか、隊長」

 

「クルーゼ隊の働きに賭けるしかないな。無理そうであればこの場は退く。まだここは命を捨てる戦場ではない」

 

 

 一応バルバトスの情報はシーゲル経由で聞いていたものの、バルバトスが戦闘したのは最初の一戦のみであとはザフトと交戦しておらず、さらに交戦したミゲルのジンは大破しアスランのイージスもその時はすぐに場を離れてしまったためバルバトスと戦ったのはクルーゼだけ。しかもその時の映像はクルーゼが大部分を秘匿しているので明確な戦闘力が分からない。

 

 

(あのガンダム……本来の性能ではあるまい。ラウ・ル・クルーゼが何を思って秘匿したかは知らんが、その情報も一時的なものにしかならんだろう)

 

 

 しかしながらシャアはこれまでの経験から察していた。バルバトス――ネオ・バルバトスルプスレクスの今の姿は本来あるべき姿と性能ではないと。事実、束によってメンテナンス及びアップグレードされている背部のVAEユニットや可変式超大型メイスを有しておらず、手持ち武器も改良されたレンチメイス、背部にマウントされた滑空砲。それでも十分過ぎる戦闘力を持つのは基本性能と三日月の技量の高さにある。

 

 

「さて……私も本気でやらねばな。アムロ以来のライバルになろう男に!」

 

 

 今、再び二つの『赤』が激突する。

 

 

 

 

 

「うおおおおっ!」

 

「そんな動きでぇぇぇっ!」

 

 

 一誠のゲシュペンストMk-Ⅱ改・タイプGのジェット・マグナムを危なげなく回避するイザークのデュエル。コンビネーションこそ彼らを上回っているといっても、一誠やタイガ、リアス個人の技量はイザークらザフトレッドに劣る。機体の性能差である程度はカバー出来るものの、逆を言えば気を抜くとすぐにやられるということ。

 まだブリッツが抜けている分、三対二でどうにかなっているが……。

 

 

(マズいわね……思ったより相手二機の連携が悪くない。多分パイロットの相性が良いんでしょうけど、このままじゃジリ貧になるわ)

 

「グゥレイトォ!」

 

「くっ!」

 

「確かに早いがアズナブル隊長ほどじゃない!」

 

「じゃあ殴り合いならどうだ!」

 

「うおっ!?」

 

 

 リアスのリバウもディアッカのバスターに少しずつ押され始めていた。こちらはタイガのゲシュペンストMk-Ⅱ・タイプSが接近戦に強く、また単純に装甲も厚いためタッグで挑めていることが功を奏し、何とか優位に保っている。

 とはいえ、片方が抜ければ形勢逆転されるのが目に言えているのも事実。

 

 そして、先立って出撃したストライクとメビウス・ゼロは――

 

 

 

 

 

「くそっ!やっぱあの赤い彗星の部隊だけあって重装甲高機動か!火力ある奴より厄介なんだよな、こういうのは!」

 

「うっ……く……!」

 

「さすがエンデュミオンの鷹!それにこのガンダムも中々やる!」

 

 

 Zガンダムと戦闘中だったスーパーディアス改のうち、ロベルトの駆る機体と二対一で戦闘中。アポリーと相談し、Zガンダムを彼に任せてロベルトはこの二機を抑えることにしたのだ。

 数で言うなら確かに厳しいかもしれないがロベルトも歴戦のパイロット、それに今回は撃墜目的ではなく時間稼ぎと隊長機の拿捕。執拗に追い詰める必要もない。

 

 

「こんな奴がゴロゴロいるアズナブル隊はマジでとんでもない連中の集まりだな、ったく!」

 

 

 ムウが悪態をつきながらスーパーディアス改を攻撃するも、その分厚い装甲でまともに効かない。そんな状況にキラは焦りを感じていた。

 

 戦場を確認してみれば――

 

 

 

 

 

「二度も好きにはさせんぞ赤い奴ーッ!!」

 

「くっ……!この野郎!」

 

「さっさと墜ちろよ!サザビーもどき!」

 

「このっ!盗んだ機体で好き放題してっ!」

 

「落ち着けってリアス!」

 

 

 

 

 

「ただ自分を守るだけならばともかく、艦もとなるとこの状況ではさすがに厳しいか……!」

 

「あんな小型の兵器でこんな強固な防御フィールドを形成出来るなんて……!」

 

 

 

 

 

「前も戦ったが、一対一だと尚の事カミーユを思い出させるようなパイロットだ。これは後々大化けするぞ!」

 

「歴戦の勇士なアポリーさんに褒められるのは物凄く嬉しいんですが、ぶっちゃけ今は退いてくれる方がありがたいでございます!」

 

「悪いな!軍人である以上それは出来ない!というか名乗ったか?俺もロベルトも」

 

「リック・ディアスといえばクワトロ大尉・アポリー中尉・ロベルト中尉の三人と決まってるでしょ!」

 

「そういうことか!全く……その腕前、エゥーゴにいた頃に欲しかったぞ!どれだけ戦果を上げてたやら!」

 

 

 

 

 

「このグフもどき、強い……!」

 

「一応グフなのだがな。しかし荒々しさの中に繊細な技術がある。惜しいな」

 

「ジンとは違うのだよ!ジンとは!」

 

「パイロットも桁違いだ。踏ん張るぞ、バルバトス」

 

 

 

 

 

「大人しく話を聞いては貰えんようだな、レジェンド!」

 

「聞いてほしくば軍人だろうがそれなりの態度があるだろう、シャア・アズナブル……!部隊を引き連れ、MSを持ち出し、あまつさえ貴様らの所属する組織の別部隊と交戦中にそれをされたとあらば大人しくなどと何の世迷言だとしか思えん!」

 

「正論だ。だがそうしなければお前を引きずり出せんと思ったのでな。手荒だがそうさせてもらった」

 

「何……?」

 

「私の目的は最初からアークエンジェルやストライクではなくお前だということだ。正確にはお前と、そこに属する者達だが」

 

「随分とダイレクトにプレッシャーを感じると思ったが、やはりそうか……!」

 

「何にせよ共に来てもらわねば話せることも話せん。今更だが力づくでも同行してもらう!」

 

「本当に今更だな……!生憎、力づくが得意なのは貴様のサザビーより俺のアルトの方だ……!」

 

 

 

 

 

 互角、或いは苦戦――各所で繰り広げられる激闘に、キラの焦りは次第に強まっていく。

 

 もし何処かで誰かが負けたら?

 

 もしアークエンジェルが墜とされたら?

 

 ――もし、ダイゴやトール達学友、ミゲルにラスティ……そしてウルトラ騎空団の皆が命を落としたら?

 

 目の前が真っ暗になり、思い浮かぶは友や恩人の笑顔。彼らがいなければ自分は色々なことが積み重なって押し潰されていただろう。

 それが、消える――そう思った時。

 

 

 

 

 

 頭の中で、何かが弾けた。

 

 

 

 

 

「アークエンジェルを……沈めさせやしない!」

 

 

 その瞬間、突然ストライクの動きが激的に変化した。スーパーディアス改の攻撃を掻い潜り、懐に飛び込むとビームサーベルで片腕を斬り落とす。

 

 

「な……何っ!?」

 

「っ!!」

 

「うおっ!?」

 

 

 怯んだスーパーディアス改を両足で蹴り飛ばし、その反動で後方へ飛ぶと同時に加速。アークエンジェルへと急行し、ブリッツにシールドバッシュを浴びせて吹き飛ばした。

 

 

「うわあああああ!?」

 

「「ニコル!?」」

 

 

 今まで別の相手と戦っていたはずのストライクがいきなりブリッツを吹き飛ばしたことでイザークとディアッカも動揺し、動きが鈍る。そして、その瞬間を一誠は見逃さなかった。

 

 

「今のゲシュペンストの十八番がマグナムだと思ってんじゃねえだろーなァ!!」

 

「なッ!?」

 

「うおおおおりゃあああぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 タイプGは両腕のプラズマ・バックラーを打ち付けると、エネルギーを充填し一気呵成にデュエルへと連続格闘攻撃を叩き込む。フェイズシフト装甲だろうとお構いなし、装甲へのエネルギー供給が間に合わないほど苛烈な物理攻撃がデュエルを襲う。

 

 

「うおあああ!?」

 

「コイツがタイプGの必殺奥義ィィィィィ!」

 

 

 ふっ飛ばしたデュエルを先回りして狙いを定め、渾身のプラズマ・バックラーを使用したアッパーカットが炸裂する!

 

 

「ジェット・ファントムだァァァ!!」

 

「うわあああああ!!」

 

「「イザークッ!!」」

 

 

 殴り飛ばされ、爆発を起こすデュエルだったがギリギリまでフェイズシフト装甲が機能していたらしく、損傷はあれど原型を留めていた。

 

 だが、パイロットまで無事とはいかない。

 

 

「イザーク!大丈夫ですか!?イザーク!!」

 

「ニコル、イザークは!?」

 

「それが……!」

 

 

 イザークは爆発の余波でヘルメットが破損し、それが原因で目の近くから出血しており激痛に苛まれていた。

 

 

「痛い……!痛い……痛い……ッ!」

 

「イザーク……!」

 

「ディアッカ、撤退です!敵艦隊が来る!イザークを!」

 

「くっそー!あのサザビーもどきと青いゴーグルがいなければ!」

 

 

 悔しそうに声を上げながら、ブリッツとバスターはデュエルを確保しガモフへと引き上げていく。下手に追う必要はない、と事前に言われていたためリアスらはそれを追撃せずにアークエンジェルへと向かう。

 

 

 

 

 

 そしてロベルト機が損傷したと聞いたアズナブルも、更にガモフ撤退の通信を受け作戦を切り替える。

 

 

「よもやロベルトを退けるとはな……ストライク、あれもまたアムロやカミーユのような者が乗っているということか」

 

「俺との戦闘中に他所見とは随分嘗めたマネしてくれるな、シャア!」

 

「ちいっ!」

 

 

 凄まじい速度で肉迫してくるアルトアイゼン・リーゼに気付き間一髪受け止めるサザビー・リビルドだったが、加速と重量で勝るアルトアイゼン・リーゼの勢いを殺すことは出来ず組み合う状態になる。

 しかし、元よりこの攻撃で墜ちるとなど思ってもいなかったレジェンドは、敢えて二機が至近距離で向き合った状況を作り出すのが目的。

 

 

「この距離でこの量なら外れん……!全弾、持っていけ!」

 

「何!?」

 

 

 そう、両肩のアヴァランチ・クレイモアを組み合った状態で放ったのだ。爆薬付きのチタン合金製指向性地雷をモロに食らったサザビー・リビルドがただで済むわけがない。

 

 

「うおおおお!?」

 

「まだだ!」

 

 

 すかさずリボルビング・バンカーで追撃しようとしたアルトアイゼン・リーゼだが、その両足に片方ずつ何かが巻き付けられ高圧電流が流し込まれた。RFグフカスタムのヒートロッドだ。バルバトスから逃れた二機がアルトアイゼン・リーゼを拘束したのである。

 

 

「ぐっ……!」

 

「まさか隊長を正面突破で退けるとは……!」

 

「だが仕方ないとはいえ隊長にばかり注力していたのは迂闊だったな!」

 

「ち……!三日月を撒いたか!」

 

「よくやってくれた、二人とも。当初の予定通り――!?」

 

 

 どうにか動けるシャアのサザビー・リビルドであったが、このままアルトアイゼン・リーゼを連行しようとした時に強烈な悪寒を感じた。同時にミダラーンのシャリアより緊急通信が入る。

 

 

『隊長!戦闘宙域内に高熱源反応!戦艦クラスです!』

 

「何だと……ッ!?ラル、パッカード!今すぐそこを離れろ!!」

 

「「!!」」

 

 

 さすが一年戦争時代の猛者というべきか、シャアの言葉の信憑性を即座に理解しヒートロッドを放してその場を離脱する。直後に――凄まじい砲撃が二機がいた場所を通過した。

 

 

「戦艦の砲撃!?どこからだ!?」

 

「いや、我らがここまで接近されて漸く気が付くことも驚異的なステルス機能だ……!どのような艦が……」

 

「そこか!……木馬だと!?いや、違う。足つきよりは似ているが別物だ……!」

 

 

 

 

 

「……私もシミュレーターで一度も勝てたことはなかったが……やはり戦艦の砲撃では奇襲でも当たらないか」

 

「すいません勇治さん操舵砲撃索敵全部俺一人でやってるから全然脳のリソース足りないんですけど。この状態であんなのに当てろとか無理でしょ絶対!!ていうかシエルとの連携でワンマンオペレーション出来るよねこの戦艦!!何でやんないの!?」

 

 

 レジェンドの危機を救ったのは沙耶から連絡を受けた勇治の宇宙船改め機動戦艦ペガサスA。現在、ブリッジクルーは艦長の月影勇治、サポートAIのシエル、ウルトラマンオリジンもしくは並行世界の火野映司もとい前宮流。あと勇治所有の怪獣三体(リムサイズ)。

 ぶっちゃけ全然足りないし、実際は勇治とシエルのみで動かせるのだが何故か流がほぼ一人で全作業を担当。これでは流の文句も納得だが……。

 

 

「今覚えておくと後々助かってくるぞ」

 

「今助かんないと意味無いんですが!!」

 

 

 流もツッコミのキレが増している。時々ぶっ飛んだ行動をするけれど。やけくそ気味にこなしているとはいえ、正直やれと言われても簡単に出来ないことをしっかりやれている流も色々とんでもない。

 

 

 

 

 

「どちらにせよ、ここまでか……全機、撤退するぞ!」

 

「「「了解!」」」

 

 

 シャアの指示で先に帰艦しているロベルト以外の三人も含めたアズナブル隊は引き上げていく。レジェンドとしては少しでも数を減らしておきたいところだが、今はペガサスAとの合流や……キラのことの方が気がかりだ。

 

 

(戦闘中、ストライクの動きが目に見えて変わった。バーサーカーシステムの類が搭載されていないのは判明しているが……)

 

 

 ここで考えても仕方がない、とレジェンドはRFグフカスタムを逃してしまったことを謝ってくる三日月に気にするなと言いつつアークエンジェルへと帰艦する。

 

 

 

 

 

「第8艦隊だ!」

 

 

 そう喜ぶトノムラの声を聞きつつ、マリューは映し出されているペガサスAを見た。アークエンジェルに似ているが、ミラージュコロイドとは違う高性能ステルス機能を持ち、ウルトラ騎空団に関係するであろう戦艦。

 そして今まで遭遇した化け物――スコーピスとシルバーブルーメ……明らかにこの世界では何かが起き始めている。自分達の想像を超える何かが。

 

 それぞれが胸の内に何かを秘めつつ、アークエンジェル、そしてペガサスAは地球連合軍第8艦隊との合流を果たす。

 

 

 

〈続く〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――アメノミハシラ――

 

 

「さてと……一足早いが俺も合流しに行くとするか」

 

 

 今、一人の風来坊が愛機と共に宇宙へと飛び出しペガサスAへと急行する。




実は終盤の展開……レジェンドのアルトアイゼン・リーゼとゼットのZガンダムが捕獲されて連行、シャアと対談するという形が当初の形だったんですが、さすがにあまりにも早すぎるだろうということでこうなりました。

あと、本作でイザークが執着するのは一誠です。見ての通り。ディアッカは然程変化無いんですが。オーブ到着後をどうしようか悩み中。

次回も一波乱あるかもしれない。


それではまた次回。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
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