ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER 作:ハジケハムスター・ポッポ
今回、スペシャルゲストに加えてもう一人登場。既に本作の彼方此方で出てたんですが、私自身も当初は出そうと思うどころか考えてさえいませんでした。
それでは本編をどうぞ。
――オーブ連合首長国・クロガネ――
オルガやカミナの意見もあって、現在レジェンド・サーガの二組を除くコズミック・イラに滞在中のウルトラ騎空団はオーブに集結している。有事の際はそこから出動する形だ。
ジャグラーがヒリュウ改と共に宇宙から戻ってきたことで、時折クロガネの食堂にも出張してくることもありクロガネの食堂は大賑わい。
「ヘビちゃん、今日も大盛況だな。いつものやつ頼む」
「おう、バコさんお疲れ。悪いな、マスターフェニックスの整備頼んで」
「気にするな。俺とお前さんの仲だろう。ついでといっちゃ何だが、ベルゼルートの方もやっといたぞ」
「後でサギリと嬢ちゃんに礼を言わせに行く……っと、はいお待ち」
コジローはジャグラーが店を始めた頃からの常連だ。一時期惑星レジェンドのアクアエデンにいたジャグラーは、一通り修行を終えた後にそこで小さな店を持ったのだが初めての客がコジローだったのである。
「午後も仕事があるからな。ヘビちゃんがいるならこの機会逃さず、特製うな重食べとかにゃならん」
蛇倉苑の様々なメニューを食べてきたコジローだが、初めての来店で初めて食べたそれはやはり思い入れがあるようで、基本的に彼が昼に食べるのはそれだ。
「しかし、よもや次元を股にかけた超大規模チェーン店計画とは……でっかくなったな、ヘビちゃん」
「ま、まだまだ始まったばかりだぜ、バコさん」
タイミング良く交代時間になったジャグラーも、同じくタイミング良く入ってきたサギリと自分の分の昼食を持って席に座る。
奇縁とはいえ紡がれた確かな絆を感じつつ、三人は和やかに食事を進めるのだった。
☆
――地底国家バラージ――
サーヴァントが何なのかはさておき、この場所にあるウルトラマンノアの石像、そしてそれと関わり合いのあるという女性・ニトクリスに驚きつつもダイゴ達は尋ねる。
「何故、僕達を光神に連なる者と……?」
「かのウルトラマンノアより、それを見抜く力を授かりましたので。そしてもう一つ……そこの3人を見れば、ウルトラマンノアと関わった者として自ずと分かります」
「あ、そうか」
「いやいやそれでもほら、出身地とか違う可能性があるだろ。旦那のU40と俺のO-50とか……アレ?ノアの出身ってどこだっけ……?」
「分からんな。レジェンドならば知って……ん?レジェンドの出身地は?」
「あの人、惑星レジェンドはあくまで拠点なわけで……そういやレジェンド様の出身地も不明じゃねーか!!」
「実際この【エリア】、だったかしら。それかどうかさえも定かじゃないから尚更不明過ぎるわ」
一誠とリアス、トライスクワッドは最終的にレジェンドの事でパニックになってしまった。当の本人はここにいないというのに、相変わらず話題になる光神である。
と、ここでマリューがニトクリスについて思い出し、声色を変えた。
「いえ、そんな……有り得ないわ。だって、彼女は……」
「ラミアス艦長?」
「彼女が本物のニトクリスだとしたらここに存在するのはおかしいわ。そもそも実在したかがハッキリしていない上、もし実在したとしたら彼女はエジプト第6王朝のファラオ……つまり――」
マリューは少しばかり荒くなった呼吸を整え、ハッキリと言い放つ。
「紀元前二千年以上も前に生きた人物、本来ならば既にこの世に存在しないはずなのよ!」
「「「「「紀元前!?」」」」」
驚愕に染まる一誠らだが――。
「「「紀元前……って何だ?」」」
トライスクワッドの発言でズコーッとド派手に倒れるダイゴ、一誠、リアスにマリュー。ついでにニトクリスも。
そう、光の国や他の二星でも紀元前という言葉は使われていない。いきなり言われても三人は分からなかったのだ。そういえばそれは教えていなかった、とタイガの勉強を見たリアスは思い出す。
「そうよね……私が当初人間界のことをあまり知らなかったように、いきなり地球の歴史どうこう言われても分からないわね」
「タイガ達、めちゃめちゃ馴染みまくってたから俺もそういうのを忘れてました部長」
「あ、いや……何かゴメン」
一応、地球の歴史は光の国のウルトラ学校にて多少なりとも習ってはいるのだが、何分かのウルトラ6兄弟のマンが地球で活躍した頃からの歴史しか教わっていないのだ。こればかりは仕方がない。
まあ、兎にも角にも人間として生きていられる年齢ではないということは理解したタイガ達。ただし、それを加味してもケンやらベリアルやらは既に十万歳を軽く超えているので然程驚きもないのは内緒。
「てかさ、あの姉ちゃんサーヴァントとか何とか言ってなかったか?サーヴァントって何だ?」
「直訳すると召使って意味だけど……この地に召喚された、ということはそれと違うみたいね。そもそも使い魔とかその手の類だとしても――」
「それについては簡単に私から説明しましょう。この場合のサーヴァントは英霊、則ち英雄の霊を指します。召喚には基本的に魔力リソースとして聖杯が必要になるのですが、それに含まれない特例も存在するのです。今回の私の現界はそれですね」
現界という聞き慣れない単語が出てきたが、読んで字の如く召喚に応じて現れることのようだ。
マリューはまだ少々混乱しているが、元々そういった方面にいるリアス達や経験が物を言うダイゴは概ね理解した。
「しかし、そうなるとエジプトの地に召喚されるならわかりますが、何故このバラージで召喚されたのでしょうか?」
「それは先程も申し上げたように私がウルトラマンノアと関わりがあったことで、あの方が光臨したこのバラージが危機に陥ったとき、紡がれた縁を辿りこの地に現界したのです。実を言うならファラオ・オジマンディアスの方がこの地にファラオとして呼ばれるに相応しいのですが……」
ファラオ・オジマンディアス――太陽王と名高き偉大なファラオ。かの人物もまた、ウルトラマンノアと関わり合いがあるとのこと。さすがというか、最高位光神だけあって知り合いもビッグネームがポンポンと出てくる。
「なあ、ラミアス艦長が倒れそうなんだけど」
「無理もないわ。ニトクリスにオジマンディアス……ラーメス2世の名前が立て続けに出てきたんだもの。オカルト研究部の部長として少なからず世界の歴史を学んでいる私だってそんな大物と出会えるなんて普通思わないわ」
『現代における科学技術を駆使した戦争に参加しているとはいえ、その方面に疎い彼女では既に脳がオーバーフローしつつあるということか』
「もうしてんじゃね?」
数々の神秘的、もしくは超常的な事件と遭遇しまくってきた一誠達からしてみれば驚きこそすれ受け入れられないわけではない。そもそも、忘れがちだが別の【エリア】からの『弾かれ者』であるカナエや杏寿郎などもいるわけで。
「と……とにかく!私、ニトクリスはアントラーをどうにかして討ち滅ぼし、バラージを救うべく召喚されたわけですが、見ての通り相手は怪獣……しかも強固な防御を誇るアントラー。いくらサーヴァントとはいえ、キャスターである私では如何せん攻撃力不足なのです。確かにキャスターでも絶大な威力の魔法を行使したりする者はいますけど」
ニトクリスは少々悔しげに言う。これがオジマンディアスならピラミッドをそのままぶつけるような攻撃で叩き潰すかもしれないが、生憎と彼女はどちらかというと呪いとかそっち方面が得意分野なのだ。
「どうしたものかと悩んでいたところ、地上で貴方達が戦っていたので何とか協力を仰げないかと思っていたのですが、貴方達をアントラーが狙っていたのであれを倒すことは利害一致になるのではと考えて私が魔術でこの地底世界まで誘導しました。強引な手ですみません」
「……まあ、確かに強引だけどさ。こんなん見せられて、地上でも暴れてるアントラー……だっけ?あいつを野放しには出来ねえよ」
「今のバラージは紛れもなく国レベルで戦争の被害者だもの。静かに暮らしていたところに地上の戦争で放たれたニュートロンジャマーが彼らの生活を一変させた。暮らしそのものはともかく、怪獣の復活なんて下手な災害よりとんでもないわ」
一誠やリアスはニトクリスに協力的だ。当然、ダイゴやトライスクワッド、ダ・ガーンも。ただ、マリューも個人的には協力したい気持ちがあるのだが、今や一部隊を預かる者として独断で決めるわけにはいかない。
そこで、ニトクリスにアークエンジェルまで出向いてもらい直接説明を頼むことにした。無論、彼女に何かあるといけないので一誠らが護衛も兼ねるという条件で。
とはいえそのまま帰るのは……と思ったところ、タイタスが残ると言い出したのだ。悪く言えば人質という体なのだろうが、タイタス自身気になることがあると言う上、一誠と一体化(と言う割にかなり自由度が高くなっている)しているため必然的に一誠やタイガ、フーマもあまり離れられない。
しかも普段とは何かが違い、場所が分かっているならある程度離れられるようになっているはずなのに、どういうわけかバラージ近辺……大体アークエンジェル〜バラージ程度までしか離れられないという。その上基点がバラージらしく、それ以上離れようとするとかつて空の世界でゼットに引っ張られる形でレジェンドが空の底に落ちかけた感じになるとのこと。
嫌な例えにされるレジェンド変わりなく不憫。
☆
そんなこんなでアークエンジェルまで戻った彼らを待っていたのは――
「艦長!何やら妙なものが艦内を!」
「何ですって!?」
「今、あそこに……」
ナタルやマードック、他の主要クルーが焦った表情でマリューに報告した『それ』を一誠やマリューらが見ると……。
「「「何じゃありゃあああああ!?」」」
「え!?えええええ!?」
(あ……あれは……)
上から一誠とタイガにフーマ、リアス、そしてニトクリス。マリューとダイゴ、ダ・ガーンはポカンとして開いた口が塞がらない状態。
そんな彼らが見たものの正体、それは――。
「――――」
白い布に目が付いた、足を少しだけ出したナニカであった。
そんなものがストライクの足に隠れて半分だけ顔を……というか全身を丁度縦半分出している。何だこれ。
「何だアレ!?何だアレェェェ!?」
「どっかで見たことあるようなないような!?大人にしては小さいし子供にしても小さめ……アレ?」
「そもそも今アークエンジェルに乗ってて最年少なのはキラ達あたりだろ!」
「……中身どうなってんのかな」
「「「「「何言ってんだミカァ!!」」」」」
三日月のあまりの平常運転ぶりに揃って渾名呼びしてしまう一同。しのぶでさえ警戒しているというのに……そんな格納庫へ、沙耶がアズに支えられつつやってくる。
「……これ、何の騒ぎ……?」
「沙耶お姉様!」
「沙耶さん、意識戻ったのか!」
「ええ……心配かけてごめんなさい。ところで――」
何か言おうとして沙耶はそのナニカと目が合った。まだ若干ボーッとしている沙耶の方は「何かしらアレ」程度にしか思っていないが、他の者は少なからずそれから圧を感じていた。
「……」
「――」
「………」
「――――」
キラーン☆と何か目元が光ったような音が聞こえ、リアスが思い出したように叫ぶ。
「ッ!!そうよ、何処かで見たことがあると思ったら――」
「――メジェド様です」
「「「「「え?」」」」」
リアスに続く形でニトクリスが呟くと、全員が揃って彼女の方を向く。何やら大量の汗を垂らす彼女にワケを聞いてみると……。
「その……私は何というか、ホルス神に因んでいまして、ホルス神がそのメジェド様……メジェド神と関連があるのでその影響といいますか、えっと……だから……」
「そう!メジェド神よ!エジプトの死者の書に描かれた謎の神!もう見た目からして謎だらけ!分かっているのは心臓を食べるってことや目からビームが出るってこと、そして不可視だってことぐらいよ!!」
「「「いやめっちゃ視えてます部長!!」」」
「「「「「心臓を食べる!?」」」」」
……目からビームはどうでもいいのか。いやまあウルトラ族もウルトラ眼光とか目からビーム出すのいるけども。不可視は……何か丸出し過ぎて目を逸らすってことにしておくとして、やはり反応が大きかったのは心臓を食べるという見た目とは裏腹なとんでもない情報。
そして沙耶を見て目を光らせた。つまり――。
「沙耶お姉様逃げてぇ!!」
「狙われてます!沙耶さん狙われてますよっ!!」
「だ、大丈夫ですよ!メジェド様は新鮮な心臓が……」
「「「「「尚の事危ないでしょうが!!」」」」」
大勢にハモられビクッとするニトクリス。そんな沙耶を守るべく、彼女をアズが庇うように両手を広げた状態でメジェドの前に立った。すると……。
「――」
「……え?」
「――――」(キラーン☆)
「「「「「アズにゃーん!?」」」」」
今度はアズが、いやアズも沙耶もまとめて狙われた。だが、ここで唐突にメジェドがピタリと動きを止めたと思えば物凄く滝汗を流し始める。
「……?どうしたんだ?」
(……あ)
しのぶがよく見てみると、アズと沙耶の更に後ろにウルトラマンレジェンド(レジェンドマント装備)が腕組み仁王立ち、しかも顔の部分が暗いシルエットになってて目だけ光らせてる幻影が。光神は神の上位存在であり、その光神のトップに君臨しているのがレジェンドなのだからそりゃメジェド神だろうと畏怖するだろう。
それから駄目押しとばかりにある人物の横槍も入ってきた。
「お困りのようだね、女王陛下」
「「「「「!!」」」」」
声がした方向を全員が振り向くと、フード付きのファンタジー風衣装を身に纏う整った顔の青年。
「お前は!?」
「おっとそう熱り立たないでくれたまえ。少なくとも君達の敵ではないよ、寧ろ味方さ。私のことはそこの女王陛下がよく知っているよ。無論、君達ウルトラ騎空団の団長である彼もね」
「何ですって……?」
「……どうしてここにいるの?」
「いや何、私がハッピーエンドを望むのは君も知っての通りだろう?今後の長いお付き合いになるだろうからせめて顔出しも兼ねて、ほんのちょっぴりだけ今回は手を貸しに来たんだ。しかし艦長さんといい、そこの和服のお嬢さんといい、青髪ツインテールの子といい、ここは正に桃源郷だね!私のテンションもULTRA HIGHさ!そういうわけでそこの紅髪ナイスバディなお嬢さん、今度一緒に食事でもどうだろう?」
突然現れた青年は沙耶やレジェンドの関係者らしいが、マリューやしのぶ、アズを褒めるとリアスまでナンパし始めた。
「いきなり何なの!?」
「スイマセン部長とりあえず師匠直伝のハンドスライサーでコイツの首切り落とすんで」
「「「『イッセー!?』」」」
ガチで一誠がキレていることにダ・ガーンもビビる。ちなみにゲン、手刀の極意として『砕け、貫け、斬り飛ばせ』などと一誠へ伝授していた。誰もがお前さんのように出来るわけじゃないというのに。
「いい加減にしなさい。お母様と先生に言いつけるわよ」
「おっとそれは勘弁してほしい。出来れば陛下のお義姉さんにも言わないでもらいたいな」
「だったら真面目にやって。貴方は真剣になると凄い立派なんだから」
「御心のままに。クーデレ系美人女王陛下に褒められてやる気を出さないのは男子にあらず!ということで君達に一つ、先のバラージで君達が得た情報を更に突き詰めて教えようと思う」
そこで青年の雰囲気が変わる。沙耶の言う真面目モードに入ったのだろう。
「今更だが、私のことは『花のお兄さん』とでも呼んでくれたまえ。真名は今暫くお預けだ。女王陛下や団長さんに聞くのも出来れば遠慮してほしいな」
「……で、貴方は何を知っているのかしら。メジェド神がいつの間にか消えているのは……まあ、今はいいとして」
「そうだね。まずは君達が聞いた、アントラー復活の原因がニュートロンジャマーによるものだということからおさらいしよう」
花のお兄さんと名乗る青年の口から聞かされた事実は、既に聞いていた一誠らを除く全員にとって衝撃的過ぎる事実であった。
当然一悶着あったのだが、それはまさかのキラが黙らせた。
「やめてください!!そんな責任の押し付けなんて……バラージの人からしたらどちらに否があるとか、そんなの関係無いじゃないですか!!」
そう、キラの言うように全部引っくるめて『地上人の責任』なのだ。ナチュラルもコーディネイターも関係なく、ただただバラージは被害者。ヘリオポリスで暮らしていて、否応無しに戦争へと巻き込まれた彼らだからこそ言える。キラに続き、トールやミリアリアらも同調したことで一先ず起きた騒動は沈静化。
次にサーヴァントとして召喚されたファラオ、ニトクリスのこと。そして彼女がアークエンジェルへ来た目的や、ウルトラマンノアと勇者の石のこと。
「あれ?ちょっと待てよ?勇者の石って四つだったよな、ダ・ガーン」
『ああ、その通りだ。何か気になることでもあったのか、一誠?』
「いやさ……あそこ、五つ石があったんだよ。で、タイタスが残ったのって、その石が気になったからじゃないのかなって」
『成程……しかし、勇者の石は間違いなく四つだ。残る一つが何なのかは私も分からない。少なくとも悪いものではなさそうだが、今の時点では何とも言えないな』
う〜ん……と悩みつつもとりあえずそれは置いておき、一番に大事なアントラー討伐に協力するか否かの話へと移行。当然、ダイゴを含むウルトラ騎空団は協力の姿勢だ。ニトクリスと花のお兄さん(仮)もつい笑みを溢してしまう。
ただ、やはりというべきか……。
「ラミアス艦長、僭越ながら私は速やかにこの場を去るべきだと進言します」
「「「「「!?」」」」」
「……理由を聞かせて頂戴、ナタル」
「確かにニュートロンジャマーによる被害は地上からのもので我々に非はあると思いますが、そのアントラーは遥か昔から存在しており今回の誘導に関して言えば我々が被害を被った形です。ここはこれ以上要らぬ諍いを生まぬために、早急に地上へと帰還しこの地域から離脱するのが賢明かと」
マリューはその意見に頭を悩ませる。ナタルが言ったことはある意味で的を得ており、これまでのことを顧みて相互不干渉にしようというのは一つの正しい選択でもある。実際アークエンジェルのクルーでバラージに赴き、話を直接聞いたのはマリューのみ。全体で言うと殆ど関わっていないのだ。
「それに、地上へ残してきたウルトラ騎空団副団長とフラガ少佐のことも考えねばなりません」
「……!ええ、分かっているわ……」
ここにいない二人のことが出たことで、ナタルの言葉がより説得力を増す。特にサーガはその立場上何かが起きてからでは遅い。いくら実力があると言っても、レジェンド程放置していられるわけではない。九極天がいないこの場において、神衛隊であり最も高い位にいる三日月もそれは理解している。
だが――。
「あのMA乗りはともかく、サーガ様はこの状況を放っておいたら逆に怒ると思うんだよね」
「「「「「!」」」」」
「あの……サーガというのは?」
「レジェンド様の息子みたいなもので俺達の直属の上司。主っていうのが正しいかな。ノア様と御神隊みたいな関係だよ」
つまり、三日月が恩人らと同等の地位にいる人物であると理解した彼女は慌てて頭を下げようとするが、別にいいと彼はニトクリスを制した。三日月は相手より自分が格上だろうと特に立場を気にしない。
キラやトール達も協力しようとしたが、案の定軍の規律どうこうで反対されてしまいぐうの音も出ない……かと思いきや、キラが「ちょっと待ってて下さい」と格納庫から駆け足で出て行った。そして少しして戻ってきたキラは、なんと私服姿。さらにその手には――。
「はい、これ」
「これって……!」
「「「「「除隊許可証!?」」」」」
「紙だし、捨てたりするのは勿体無いし、ダイゴさんもいざというときに役立つと思うからって言ってたから保管しておいたんですが……早速役立ちそうで」
ニコニコと差し出してくるキラにナタルは唖然としている。その後ろでは花のお兄さん(仮)も素晴らしい笑顔でサムズアップ。
「いざというときは私が責任持ってオーブまでお送りしよう!何、観光も兼ねてと思えばどうということはないさ!安心して君がしたいことをすればいい!」
「ありがとうございます、花のお兄さん」
「うん、やっぱり希望に満ちた心は良い!凄く!」
……何か組んじゃいけない新たなコンビが出来てしまった気がする。
「ど……どうします、艦長?」
「……はぁ……」
相変わらず板挟みで悩むマリューに、ダイゴやリアスは心で合掌した。最悪、本気で花のお兄さん(仮)にキラを頼まざるを得ないことになりそうである。
一先ず、協力はウルトラ騎空団に加えてキラと花のお兄さん(仮)で、アークエンジェル組は保留。
そして、最後にと言わんばかりの衝撃が花のお兄さん(仮)の口から明らかにされた。
「さて、話が一通り纏まったところで私が最初に言った『更に突き詰めた情報』を伝えようと思う」
「あ、そういや割とドタバタしててすっかり忘れてたけどそんなこと言ってたっけ」
「ゴホン!それはニュートロンジャマーがバラージに落ちてきた話に関係することなんだけど――」
咳払いを入れて花のお兄さん(仮)が告げた情報、それは――。
「ニュートロンジャマーはバラージに落ちてきたわけじゃない。
「「「「「……え?」」」」」
誰もが耳を疑った。ニトクリスでさえも。彼の話が事実だとすれば、ニュートロンジャマーはバラージを狙って放たれたことになる。それも今や地図上どころか知っている者がどれだけいるか分からない、この地底でバラージが現存していることも知っているということ。
「それだけじゃない。そのニュートロンジャマー、あまりにアントラーを封印している場所にピンポイント過ぎると思わないかい?」
「まさか……!」
「そう、バラージが存在していることだけじゃなく、アントラーが封印されていること、そしてその位置までも完璧に把握した上で特別なニュートロンジャマーは放たれた。この地底世界の、バラージにあるアントラーを封印した場所目掛けてね」
衝撃的事実を聞かされて唖然とする一行。いち早く冷静になった沙耶が尋ねる。
「一体誰が?」
「それは私も分からないし、分かっていても話せない。君達が自分達で辿り着かなければならないのだから」
「何でだよ!?」
噛みつくように叫ぶ一誠をタイガらが制すると、花のお兄さん(仮)はレジェンドと似たような言葉を口にした。
「確かに私は情報収集力に自信があるが、それにばかり頼っていては君達が甘えてしまう。それでは駄目なんだ。どんなに辛い旅路でも、最終的に君達自身が学び、己の糧とすることに意味がある」
レジェンドが異世界修業をさせる理由、まさにそのままだ。かくいうレジェンド自身も己に制限を課し、普段以上に自分を鍛え上げている。『お前達にそうさせるからには自分もやる。だが自分もやる以上、お前達も逃げるな』と強制的にやらされている気もするが、実のところレジェンドはエンドコンテンツ並のことを日常生活レベルでやっているため、実際他者がやろうとすると下手したら一日も持たない。日々是精進。
これ以上の問答はあまり効果がないと判断したダイゴは、最後に気になったことを聞く。
「最後に一つだけ聞いてもいいですか?」
「あまりネタバレにならないことならね」
「貴方は先程『落としたのが誰かは分からない』と言いましたが、何故落としたということは分かったんです?」
「ああ、そのことか。それならお答えしよう。単純に『あからさま過ぎた』からさ。見ての通りここの天井はしっかりと厚い岩盤になっていて、簡単に突き破れるものじゃない。これが『天井からニュートロンジャマーが少し生えている』程度ならともかく、普通にぶち抜いてアントラーを封印していた場所の『ド真ん中』に落ちた。こんなに素材が丸出しになってるんだ、少し考えれば簡単に分かることだよ」
言われてみればそうだ。砂漠の下にあって砂もあまり落ちてこないとあれば当然岩盤は存在する。地底世界ということで色々驚き過ぎてそういったことが頭から抜け出ていたことを反省すると同時に、沙耶は溜め息を吐きつつ頭を抱えた。
「本当に貴方は……そうやって真面目にやるとここまで出来る男なのに何で普段はああなの……」
「いや、だって楽園は楽園だけど暇過ぎる楽園なんだよ!だから条件付きとはいえ、彼処で働けてありがたいくらいでね。しかし喫茶リコリコの看板娘であるあの子達はいいね!あ〜……早く二人と女王陛下が一緒にいるところを見たい。激写して家宝にするとも!」
さっきまでの真面目な雰囲気を吹き飛ばす花のお兄さん(仮)。さり気なく女王とか言ってるけど、大半の人物は色々な情報がてんこ盛り過ぎて頭に入ってこないらしい。不幸中の幸いというか。
受理するしないは別として除隊許可証を無理矢理ナタルに渡したキラと花のお兄さん(仮)を連れて、ウルトラ騎空団は一足早くバラージへと再び赴く。
マリュー達アークエンジェル組の心は未だ迷いの中にあった。
〈続く〉
――番外編――
「おや、珍しいですね。マーリンから私に次元超えの――」
※ぴょんぴょんポーズのニトクリスと沙耶(恥ずかしモード)、ちょいアップで一緒に写ってるキメ顔のマーリンの写メ
「……ヤプール、我が魔槍を持て」
「モルガン先代陛下!?」
スペシャルゲストはメジェド様でした。
『神々の記』というショートアニメで全キャラ森川智之さんが演じたことが理由の一つです。本作のレジェンドのCV的に。
そして登場したのは
グ ラ ン ド ロ ク デ ナ シ !
オジマンディアスじゃなくて何でお前なんだとか言わないで!便利なんですこの人……いや夢魔?混血だからどっちかな。
月のヤプール(善人)は今日も苦労人でした。
それではまた次回。
二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?
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真ゲッタードラゴン(大決戦版)
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真・ゲッター1(スパロボα仕様)