ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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お待たせしました。いよいよバラージ編も佳境、アントラーとの決戦になります。

……とは言いますが、アントラーとの決戦以外にも出来てしまいました。全てはサブタイトルにあります。私もまさか完成直前にこんなもんぶっ込むとか考えてなかったので、おかげで完成が長引きました……。申し訳ない。


それでは本編をどうぞ。


熱情の律動(リズム)

 出来うる限りの準備を終え、アントラーとの決戦に備え休息を取る一誠達。バラージの町は現代にある文明の利器等は無かったものの不便の言うことはなく、むしろ地底であったからか気温は特に快適で新鮮さを感じるくらいだった。

 

 

「あと数時間でアントラーの活動時刻か……」

 

「ちょっと寝とこうぜ。いざってときに役に立たないとかシャレになんねーし」

 

「今回の要は我々だからな。まだティガ先輩はこの世界であまり大っぴらに変身出来ず、ディアナである沙耶もまだ病み上がりだ。ついでに地上のサーガも立場や特性上、おいそれと変身出来ない」

 

 

 タイタスの述べたように、今回はトライスクワッドが戦いの軸となり彼らを他の者が援護する形を取る。唯一、アークエンジェルはその武装故に戦闘は不参加だ。ローエングリンは元より、各種ミサイルや主砲も地底かつバラージのことを考えると派手に撃つことが出来ない。対空砲は使えるが、それがアントラーに通用するかと言われたら疑問が残る。そもそも対空砲であるがゆえに射程が短く、角度の問題もあるのだから現実的ではない。

 

 このように武装制限もあるため、今回の戦闘で出撃する機動兵器は三日月のバルバトスとソードストライカーに換装したキラのストライク、そしてアークエンジェルの面々には初のお披露目なダ・ガーンのみとなる。他の者は後方支援が主となり、魔法や魔術を使える者――リアスやニトクリスが中心になって彼らの戦闘サポートを行う手筈に決定した。

 

 

(アントラーに関する資料はガーディアンベースで閲覧したことがある。多少の想定外があろうと、こちらの戦力は十分だ。しかし何だ、この胸騒ぎは……)

 

 

 他の者が気を落ち着かせている中、タイタスだけは己の内から湧き上がる不安を隠せない。

 

 そして、それは現実のものとなる――。

 

 

 

 

 

 ――事態が、動いた。

 

 

「……!」

 

 

 沙耶が何かを察知すると、その直後振動が彼女らを襲う。

 

 

「うわっ!?」

 

「何、地震!?」

 

「いえ、これは……アントラーです!アントラー活動開始の合図です!」

 

「いよいよか」

 

 

 チャータムの言葉で三日月は即座に行動を起こし、バルバトスのコックピットへと滑り込む。それに続くようにキラもストライクへ搭乗、一誠もダ・ガーンをブレスレットから外に出し迎撃準備を整えた後にタイガスパークを出現させる。

 

 

「それって……!」

 

 

 スコーピス遭遇時にダイゴの件で知っているキラならばともかく、マリューらは突如一誠の右腕に出現したタイガスパークを見て驚く。

 

 

「一誠、今回は私が行こう。アントラーの防御力は高いが、私のウルトラマッスルならば通じるはずだ!」

 

「タフなだけならまだしも、防御力高いヤツって俺と相性悪いしな……」

 

「特化してるやつ相手だとタイタスかフーマが適任だしさ」

 

「おし!頼むぜタイタス!」

 

「任せてもらおう!皆、私の援護をお願いする!」

 

「え?え?」

 

 

 頷くリアスやダイゴ達に対し、マリューはまだ混乱中。戦うと言っていたが、まさかそのまま……とここである存在を思い出す。アークエンジェルがスコーピスに狙われた時、助けに現れたジャスティスのことだ。

 

 

「あの巨人とタイガさん達は似ている……まさか!」

 

「その通りさ、艦長さん。君は、君達は彼らの本当の姿を今から見る事になる!」

 

 

 何故貴方が得意気なの、と花のお兄さん(仮)にツッコみそうになるマリューだが今はそれどころではない。

 

 

 

 

 

 キシャアァァァオン!!

 

 

 

 

 

「出てきたぞ、アントラーだ!」

 

「やるぞ!怯える日々は今日で終わりだ!」

 

 

 穴ぐらからアントラーが雄叫びを地底に響かせ姿を現す。見るからに硬そうな皮膚と、凶悪な破壊力を持つのが一目で分かる大顎。そして予想通りMSの倍以上に大きい巨体。ニュートロンジャマーによって呼び起こされた、バラージに災厄を振り撒くもの。

 その姿を確認した一誠はすぐさまタイガスパークを待機状態にする。

 

 

『カモン!』

 

「力の賢者、タイタス!」

 

『おおおおおっ!ふんっ!』

 

 

 いつの間にかトライスクワッドもアストラル体になっており、既に変身準備は完了。

 

 そして――

 

 

「バディィィ!ゴォォォッ!!」

 

『ウルトラマンタイタス!』

 

「フンッ!!」

 

 

 力強い掛け声と共に、巨大化したタイタスが地底にてその勇姿を顕現する。しっかりと両足で大地を踏みしめて着地した後、行うのは相変わらず何故効果があるのか未だに不明なマッスルポーズ。

 

 

「ムゥン!!」

 

 

 マリューらが唖然としている中、タイタスと心を通わせたバラージの熱き漢達から「兄貴」コールが飛び、彼らもまたマッスルポーズを行っている。一応緊張感漂うはずの場面なのだが、如何せんシュールに見えてしまう。

 

 

 

 

 

「えっ……と……一誠君達が消えて、タイタスさんが巨大化してマッスルポーズとって……つまりどういうこと?」

 

「あれが彼ら本来の戦闘スタイルなんです」

 

「マッスルポーズを取ることが……?」

 

「いえ、そうではなく――」

 

 

 ダイゴの説明も、色々衝撃的過ぎたマリューには理解するのに時間が掛かっているようで、その間にアントラーが咆哮を上げタイタスへと突撃してきた。

 

 

 

 

 

「キシャァオン!」

 

「ぬぅん!」

 

 

 その大顎で挟み込もうとしたアントラーだが、タイタスはそれを両腕で防ぎ一度弾くとガラ空きになった胴へ剛拳を叩き込む。

 

 

「オオオッ!!」

 

「ギシャァッ!?」

 

 

 凄まじい衝撃にアントラーは堪らず仰向けに倒れ、バラージの民から歓声が巻き起こる。

 

 

 

 

 

「アントラー相手に先制で反撃したぞ!」

 

「真っ向勝負で押している!さすがタイタス兄貴だ!」

 

 

 普段はノリの良い紳士、それでいて戦場では勇猛果敢な武人。それが彼らのタイタスへの印象だ。マリューや学生達、マードックらも今まで人間大のサイズで賑やかに過ごしていた彼らとは違う……本来の姿を見て言葉を失っている。

 

 

「彼らは本来、ああいった怪獣などとの戦いが主流なんです。一誠君とは少し込み入った事情があって一体化していますから、一誠君とトライスクワッド残りの二人であるタイガとフーマ……彼らもまた眼前のタイタスと共に戦っているんです」

 

「つまり……命の共有、かしら」

 

「そんな感じですね」

 

 

 まるでTVの特撮ヒーローだ、と誰かが口にしたが正しくその通りなので余計なことは言わない。今目の前で起こっているのはその特撮ではない、現実(リアル)なのだと実感させるために。

 

 

「どちらにせよ、今の状況で詳しく聞いている時間はないわね。この時のために準備したのだから、今は私達に出来ることをやりましょう」

 

 

 たとえ気になることがあっても、ちゃんと切り替えが出来るマリューをダイゴは高く評価する。彼女に倣い、トール達もバラージの民と共に作り上げた投石機を稼働させタイタスの援護をすべく動き出す。

 

 更にバルバトスとストライクも戦闘準備を終え、いつでも戦闘可能になったところで――。

 

 

「『『『『ダ・ガーン、フォームアップ!バディィィ!ゴォォォ!』』』』」

 

「おおおっ!」

 

 

 ロボットモードで待機していたダ・ガーンが一誠やドライグ、トライスクワッドの合体指令を受け、アースファイター及びアースライナーと合体を行う。

 

 

「合体!ダ・ガーンX!!」

 

 

 いきなり戦闘機や新幹線が現れたのもそうだが、それらが合体して巨大ロボになったことに度肝を抜かれるマリュー達。さすがに今回はニトクリスも驚愕している。

 

 

「何だあれ!?スッゲー!」

 

「確かに凄いな。元が戦闘機とか新幹線って言われても信じられないよ」

 

 

 トールやサイが目を輝かせてダ・ガーンを見る。彼らにとって喋って合体する巨大ロボはロマンなのだろう。ミリアリアは「男子っていつもこうなんだから」と溜め息を吐いていた。

 

 

「よし!行くぞ三日月、キラ、ダ・ガーン!」

 

「わかった……!」

 

「はい!」

 

「了解!」

 

 

 タイタスの指示に頷き三機はそれぞれレンチメイス、シュベルトゲベール、ダ・ガーンブレードを構えアントラーを迎え撃つ。バラージを守り因縁に終止符を打つべく、彼らは古よりの災厄と激突する。

 

 

 

 

 アントラーとの戦いが本格的に始まると同時に、チャータムはダ・ガーンを見てから彼の言葉を思い出す。今までバラージの守護石としていた石のうち、四方に配置されたものは『勇者の石』であると。

 この言葉とダ・ガーンの姿から、もしやあの石には彼の仲間ないしそれに準ずる存在が封じられているのではと考え、彼女はそれをこの場に持ち出すことを決意する。元よりアントラー討伐成功時にはあの石を彼らに渡す気だったのだ、それが少し早まるだけのこと。

 

 

「ニトクリス様、皆様。この場を少しだけお願いします」

 

「チャータム?」

 

「あの方はバラージの守護石を勇者の石と仰られました。もしかすると、今の状況を近くで感じさせれば突破口を切り開く鍵となるやもしれません」

 

「良いんですか?あれはバラージの……」

 

「アントラーが倒せてから、ということではありましたが元々貴方がたにお渡しするつもりでした。地上ではここ以上に厳しい戦いが待っているのでしょう。私達に出来る、ささやかなお力添えと思って下さい」

 

 

 そう微笑むチャータムに、マリューは彼女のような心をナチュラルもコーディネイターも関係なく持ってくれればと思ってしまう。到底叶わぬことと分かってはいるが、あまりに彼女が眩しいのだ。

 

 

「私だけでは全てを持ち出すのに時間がかかります。何名かバラージの者を付き添わせ、早急に戻って参りますので、どうかその間だけ耐え忍んで下さい」

 

「ええ、何としても耐え抜いてみせます。投石機、装填!彼らの攻撃が途切れそうな瞬間を狙って援護射撃!アントラーにこちらのスキを見せないように!」

 

 

 チャータムとマリュー、二人の女傑は互いを信じ成すべきことを成すため行動を開始した。チャータムは未知の石である五つ目も含めて全てここへ持ち運ぶべく、四人程バラージの民を召集。彼らはタイタスと心を通じ合わせた、この場においても信のおける者達だ。チャータムの提案を快く了承し、急ぎノアの祭壇へと向かう。

 

 この場の皆が未来を掴む可能性を信じて。

 

 

 

 

 アントラーに対してこちらはタイタスと三機、即ち1対4という圧倒的優位に立ちながらも未だアントラーは倒れず何度も向かってくる。マリューらの投石援護も相まって結構なダメージが積み重なっているにも関わらず。

 

 

『なあ、アントラーってここまでタフだっけ?』

 

『さあ?』

 

『タイガもフーマもどんくらいアイツがしぶといか分かんないのか?』

 

 

 やはりというべきか、タイガは訝しんでいる。怪獣に関してそういった施設で勉強していないフーマや、そもそも怪獣とは縁が無かった一誠が知らないのは無理もない。ついでにドライグはタイラントぐらいしか覚えてる余裕など無かったのでこれも仕方ないと言える。

 

 

「何か違和感があるんだよな」

 

「三日月さんもですか?僕もこう……手応えはあるけど向こうがそれを感じてないっていうか……」

 

「これは私感だが、まるで痛覚を麻痺させているかのように感じる」

 

 

 ダ・ガーンXの言葉に何となく同意する三日月とキラ。痛みを別にどうとも感じていないような動きをするアントラーだが、それならばいずれ身体が言うことを聞かなくなるはず。しかし、そうなる様子を全く見せないのも不可思議だ。

 

 

「ふんっ!」

 

「キシャァァッ!」

 

 

 今もタイタスの一撃をまともに食らったのに間をおかず反撃してきたアントラー。明らかに体力の限界を超えている――誰もがそう考えている。

 

 

「こうなれば一気に決着をつけるしかあるまい!」

 

『やっぱそれっきゃねえな!』

 

 

 タイタスの意見に賛同した一誠が神器を発現させようとした時、事態は急変した。

 

 

「ギ……ギシ……!」

 

「……!?アントラーの様子がおかしいぞ!」

 

『でもこれってチャンスじゃないか!?』

 

「というか、今どうにかしないとヤバい気がする」

 

「はい!とてつもなく嫌な予感が……!」

 

「急げ!総攻撃だ!」

 

 

 タイタスのアストロビーム、バルバトスの滑空砲、ストライクのマイダスメッサー、そしてダ・ガーンXのアースインパルサーが同時に炸裂するが、アントラーは小刻みに震えながら目を赤く発光させるだけで先の攻撃は殆ど効果が無い。

 あまりに異様な光景に誰もが警戒する。

 

 そして、三日月やキラの予感は的中してしまう。

 

 

 

 

 

「ギジャァァァアアア!!」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

 

 

 

 タイタス達だけでなく、アントラー自身も知らなかった。ある存在に埋め込まれたメダル……それに秘められた力によって、アントラーはこの危機的状況を打破せんと自己再生と自己進化を行なったのである。

 

 身体全体が一回り大きくなり、皮膚を突き破り肩や膝から棘が出て鋭角的なフォルムへと変化。顎のハサミ部分は今まであった部位は大型化、その上下にそれぞれ一対の小さなものが出現し計三対に。更に昆虫らしい巨大な翼が四枚、そして……ともすれば二本合わせれば本体よりも巨大なのではないかと思う程の腕が背中から生えた、全く別の存在と言っても過言ではない姿。

 

 EXアントラーなどと生易しいものではない。

 

 悪魔の(DG)細胞の力によって変異した、相手を絶望の底へ叩き落とすモノ。

 

 捲土重来ディスペアントラー。

 

 掴みかけた希望をその名の通り絶望へと変えるべく、巨大なる魔性は再び進撃を開始した。

 

 

 

 

 遠目でもアントラーの変異は確認された。予想外が過ぎる事態に、チャータムは連れてきた四人を急かし祭壇へと到着。すぐさま石を持ち出すべく指示を出す。

 

 

「最早一刻の猶予もありません。急ぎ勇者達のところへ、この五つの石を――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「漸く見つけたぞ……ディステニィストーンに代わる新たな力の依代……」

 

 

 何者かの声が聞こえた瞬間、チャータムや他の四人の意識は刈り取られた。

 

 

 

 

 ディスペアントラーの戦闘力の上がり方は異常であった。先程は圧倒的に優勢だったタイタス・バルバトス・ソードストライク、そしてダ・ガーンXの四機が逆に劣勢になっている。三日月のバルバトスには及ばずだが、キラのストライクの動きにさえ反応してくるディスペアントラーは攻撃力と防御力も段違いに上昇しておりタイタスを容易に吹き飛ばす。

 

 

「ギジャァ!」

 

「ぐぅおっ!?」

 

 

 突進から大顎による打ち上げをくらい、タイタスの巨体が宙を舞い地底の大地へと叩きつけられた。続けてディスペアントラーは迫るバルバトスとストライクの攻撃を両腕で受け止めると、直後に思いっきり振り払う。変異したことで二機の三倍以上の体格を持つディスペアントラーのパワーを受けきれるはずもなく、呆気ないぐらい簡単にバルバトスとストライクはふっ飛ばされた。

 

 

「うわああああっ!」

 

「くそっ……この虫……!」

 

 

 残るダ・ガーンXだが、単独での接近戦は不利と理解しアースバルカンやアースカノンによる遠距離攻撃を重視し、タイタスと二機が体勢を立て直すだけの時間を作る作戦へと転換する。

 

 

(悔しいが、私はおそらくブレストアースバスター以外であの変異したアントラーにまともなダメージを与えられない。やはり要となるのは彼らの方だ)

 

 

 ……だが、ここでディスペアントラーは予想外の攻撃を披露してきた。背中から新たに生えた三本指の巨大な両腕から『拡散粒子弾』を放ってきたのだ。不意をつかれただけでなく、あまりに広範囲な攻撃にダ・ガーンXも反応が遅れてしまう。

 

 

「何だとッ!?」

 

 

 直撃こそなかったものの、ダ・ガーンXもまたタイタスらと同様に痛手を負ってしまう。むしろ攻撃としては彼に放たれた拡散粒子弾が威力的に最も高い。

 

 怪獣どころか魔獣へと変異したディスペアントラーの猛攻は更に苛烈になっていく。そして、その光景を遠くから眺めている人物は一人ほくそ笑む。

 

 

コシ カレカレータ(よし、いいぞ)。やはりあのメダルはかなり有用だ。だとすれば回収した本体の方はより強力だということも実証されたことになる」

 

 

 

 

 

 戦いが激化する中、戻って来ないチャータム達を訝しむマリュー。この状況下で会話したからこそ分かることだが、彼女は嘘を付くような人物ではない。彼女が連れて行った人物らもだ。そして、あの石も力を発揮させることは別としても持ち運び自体は難しくないはず……だとすれば導き出される答えは一つ。

 

 

(まさか……彼女らに何かあったの……!?)

 

「艦長さん、私達が迎えに行きましょう」

 

「貴女は……胡蝶しのぶさん?」

 

「はい。御存知の通り、私達の殆どは生身での戦闘に長けてますし。ついでに私自身、早さには自信があるんですよー」

 

 

 緊張を解すためか、にこやかに答えるしのぶ。もはやヒュッケバイン二機では今のアントラーにダメージを与えることは不可能と言ってもよく、かといって装甲もスーパーロボットのように分厚くないので下手を打って攻撃を受けようものなら最悪の事態になりかねない。ならばこういうことにこそ、本来の実力――元・蟲柱としての戦闘力の高さを活かさずしてどうするのか。

 

 

「リアスさーん、私達の出番ですよー」

 

「やっぱり緊急事態のようね!分かったわ、しのぶさん!」

 

 

 判断が早くて助かります、とはしのぶの弁。そんな彼女らをマリューも信じ、チャータムらの様子を見に行ってもらうことにする。

 

 既に彼女も確信していたのかもしれない。あちらでも一悶着――今のこちら側のような状況になるのだろうと。そうなればますます自分では役に立たない。

 

 

「お願いね、ウルトラ騎空団の皆さん。彼らの方は私達が出来うる限りの力で援護します」

 

「はい、タイタス達をお願いします!」

 

「私も同行します。これでもサーヴァントですので、直接戦闘ともなれば少しは役立てますから」

 

「なら私もお供しよう。そろそろ名誉挽回・汚名返上しないと立つ瀬がないからね」

 

「……一誠とトライスクワッドが変身しているから、戦える人数は一気に減ってるわね。三日月さんも結構生身での戦闘力は高いみたいだし」

 

 

 沙耶の言う通り、元々ウルトラ騎空団全体でトップクラスの実力者であるサーガとも離れてしまっている上に一誠とトライスクワッド、それに三日月がディスペアントラーとの戦いに参加しているため一気に主戦力が減ってしまっている。

 

 様子を見に行くのはリアス、しのぶ、アズ、沙耶にダイゴ。そしてニトクリスと花のお兄さん(仮)。

 

 ……メインとなる前衛がしのぶ(次点で格闘が可能なダイゴと沙耶、アズも身体能力はそこそこ高いらしい)しかいないと思うのは気の所為だろうか。まあ、一誠とトライスクワッド(ついでに三日月)が前衛担当なので彼ら不在である以上仕方ないといえばを仕方ないのだが……。

 

 

「おおっと君達、安心してくれたまえ!これでも私は剣術を扱えるからそこは頼ってくれて構わないぞぅ!」

 

「花束を振り回すのは剣術と言いませんよ、明るい冨岡さん?」

 

「いや違うからホントに使えるから!ていうか何その明るい冨岡さんって!?」

 

 

 しのぶのあまりの言い草に必死で否定する花のお兄さん(仮)。一応、沙耶からの進言もあったのでとりあえず彼にも前衛を――。

 

 

「しかし私の本職は援護!というわけでバフマシマシでお助けするのが私のお仕事さ!」

 

「えっと……私が行きましょうか?」

 

「アズの健気さを見て何も思わないのね。だから貴方は先生と違って本当に気に入った相手から見向きもされないのよ」

 

「えっ!?」

 

 

 沙耶の言葉に「そうだったの!?」みたいな顔をしている花のお兄さん(仮)。さすがに本気で戦えば相手が確定で死ぬ、援護に回れば気分次第でチート支援をやってくるレジェンドと比べるのはどうかと思うが。

 

 軽口を叩きながらも彼女らはペースを落とさず、祭壇へと駆け抜けていく。

 

 

 

 

 

 祭壇に到着したリアス達の目に入ってきたのは、倒れたチャータムや有志として彼女に同行したバラージの民。

 

 そして――。

 

 

 

 

 

「ふん……随分と厳重に対策が施されていたな。まあ良い、この場でどうにか出来ずとも持ち帰れさえすれば一先ずの目的は果たされる」

 

 

 

 

 

 バラージの民ではなく、地上人……いや、人であるかどうかも疑わしい存在。全身を真っ赤なローブで包み、髪かローブか判別に困る頭部も赤い。顔も不明瞭であり、唯一確認出来るのは片目だけ。先程発した声色から性別は男性に思えるが、上記の通りあまりにも怪しすぎるためもはや性別もどちらか……むしろあるのかさえ疑わしい。

 

 何より、その存在が手にしているのは――。

 

 

「ッ……勇者の石!」

 

「やれやれ、手間取っていたら余計な奴らまで来てしまったな。どのみち簡単には済まないと予想出来ていたが」

 

「お前は何者ですか!?チャータム達に何をしたのです!?」

 

「吼えるな、使い魔風情が」

 

「……!」

 

 

 明らかに見下すような物言いでニトクリスへと罵声を浴びせる黒ずくめならぬ赤ずくめの存在。睨み返すニトクリスやリアス達に対し、一呼吸置いてから赤ずくめの存在は答えた。

 

 

「覚えたところで無意味になるだろうが名乗ってやろう。我が名はミニオン、個体名を合わせるとミニオン・ラースとなる」

 

「ミニオン……!?」

 

(ミニオン……最近、何処かで見聞きしたような……それに、個体名……)

 

 

 新たな敵であろう存在に驚愕するリアス達の中で、唯一アズだけはミニオンに既視感を抱いていた。無論、直接合ったことなどは無い。しかし何となく覚えているのだ。眼前の存在のことを。

 

 だが、思考をそのまま続けさせてくれるほどミニオン・ワースは甘くない。

 

 

()()()()()()()もあの忌まわしい光神に妨害され目的を果たせなかったと記憶にあるのでな。こうして貴様らの会話に付き合ってやる時間も惜しい。早々に蹴散らしてこの石を持ち帰らせてもらう」

 

「させないわよ……!イッセーやタイガ達が命がけで戦っている最中、必要なものを横から掠め取るようなコソ泥なんかにその石は渡さないわ!」

 

「命がけだからどうした?」

 

「「「「「!?」」」」」

 

「そんなものはかけて当たり前、誇るようなものでもない。我が命もまた、この世に生を受けた時点で我が主たる神へと捧げられているも同義。凄んで言うことではなかろう」

 

 

 ――何だこいつは。

 

 他者の命を軽く見るだけならただ怒りが増すだけだっただろう。しかし、今の発言を聞くに自分の命すら軽んじている。というよりもある存在のためならば命など惜しくはないと聞こえる。狂信的と表現すべきか、それとも別の意味を持つのかは現時点で判断し切れない。

 

 ただ一つだけ言えることは――。

 

 

「貴様らの理由など知ったことではない。これは我らが頂いていく。我らが神の復活のために」

 

 

 ――ディスペアントラー同様、眼前の存在とは予想通り戦わねばならないということだけだ。

 

 

 

〈続く〉

 

 

 


 

 ――次回予告――

 

 絶望の大顎、憤怒の魔術。

 

 古代から続く厄災と、未知なる厄災はウルトラ騎空団とキラ達に容赦無く襲いかかる。

 

 戦いの最中、目覚めし大地の輝きは賢者に新たな力を宿し、光神の遺産が最後を見届けるべく目を覚ます。

 

 次回、異世界修業編

 

 『WISE MAN'S PUNCH』

 

 絶望の未来、打ち砕け!タイタス!




次回予告はただやってみたかっただけですスイマセン。

ええ、寄生されたどこぞの盟主王のおかげでアントラーがヤバいことになりました。簡単に言うと『デビルアントラー(最終形態)』。名前は絶望を意味するディスペアーとアントラーの合わせです。捲土重来は展開の通り、逆襲してきたアントラーにピッタリな意味の四文字熟語。

そして、出ましたよコイツ。サブタイトルの時点であのBGMが流れたのなら勝ち組です。
実はプロットの時点だとアントラーのみとの戦いだったのですが、それだとまともに攻撃も通じず機動兵器の操縦も出来ないニトクリスや花のお兄さん(仮)、機動兵器で出撃していないリアス達の見せ場があまり無いじゃないかと思ってまさかの展開になったわけです。

アントラー、それにミニオンとは次回に決着がつく予定。何より次回予告を読んで頂ければお分かりかと思われます。是非、彼のキャラソンである同名の曲を準備してお待ち下さい!


それではまた次回。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
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