ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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大変お待たせしました。
……いや本当に大っ変お待たせして申し訳ございませんでした。本気で何処をどうするかとかもう一話増やすべきだったとか思いながら執筆した結果、時間がかかりすぎただけに留まらず、22000文字超えの長さになってしまいました。

今回でバラージ編は完結し、再びSEED編へと戻ります。内容が長いので前書きはここまで、強いて言うならネクサス用のBGMをお聴きになりながらご覧頂ければと。


それでは本編をどうぞ。


それは、受け継がれてゆく魂の絆

 ――それを知るものは誰もが目を疑った。

 

 ウルトラマンネクサス――ノアのダウングレード形態であるその巨人は本来レジェンドの【エリア】で目にすることは叶わない。それは勿論ネクサス=ノアであるからなのだが、かつてコズミック・イラのバラージに顕現したノアは万が一アントラーが復活し、そしてそれによって未曾有の危機がバラージに再び訪れた時のセーフティ・システムとして相応のエネルギーを自身の石像に人知れず封印し遺しておいた。ニトクリスが唱えた先の言葉をアンロック・プログラムにすることで。

 

 まあ、問題点として『ノアないしネクサスと関係のある人物が一人もいなかったらどうするのか?』というものがあったわけだが……結果オーライということで今回は良しとしよう。

 

 

 

 

「バカな……!ウルトラマンネクサスだと!?」

 

 

 フード付きのロングコートを纏った人物は予想外の巨人の出現に驚きを隠せなかった。

 現れたのがレジェンドだったならばまだ納得がいく、そもそも【レジェンドエリア】は実質全て彼の庭のようなものなのだから。だが、ネクサスは別だ。

 

 

(まさかここであんな奴が現れるとは……!ただでさえあのウルトラマンが強化変身した挙げ句、わけのわからないロボットまで出てきたというのに……いよいよ旗色が悪くなってきたな)

 

 

 その人物は最悪アントラーに仕込んだメダルの回収だけでも出来れば御の字と思っていたが――。

 

 

「ふむ……見たことのない人物だけど、私の知っているモノだね」

 

「な、貴様……!」

 

「はじめまして、それとも久しぶり……どちらがお望みかな?」

 

 

 ――いつの間にか花のお兄さん(仮)がその人物の直ぐ側まで来ていた。それも臨戦態勢で、だ。

 

 

「……いつから花の魔術師は使い走りになったんだ?それとも貴様らしく女であれば誰にでも尻尾を振るというだけか」

 

「おっと!私とてそうする相手は選ぶし、ましてや今の女王一族に関してはかの光神様一筋みたいだからね。私の愚痴を聞いてくれるのはヤプールぐらいだよ。例えば、君に関することとか」

 

「随分根に持っているんだな。たかだか他所から受け取ったものを俺が持ち出しただけだ」

 

「少しも悪びれないとは何とまあ……それが取るに足らないものであれば先代陛下も見逃しただろうね。でも狙ったものが悪かった。機甲神アルテイヤー、あれは光神から託された希望の一つ。何より愛するものからの贈り物を奪われたとあれば、先代陛下が怒るのも納得さ」

 

 

 お互い淡々と言葉を紡いでいくが、片や捕縛、片や離脱のタイミングを狙っている。

 

 ――だが、ここでフードの人物は切り札の一つを提示した。

 

 

「しかし貴様も調査に関してはまだまだ素人らしい。このバラージはいざ知らず、地上で争っている人間ども……ナチュラルとコーディネイターについて何も知らないようだな」

 

「うーん、私としては一個人が気になる場合は少ないのだけれど……」

 

「貴様の趣味嗜好はどうでもいい。『ハッピーエンド』などこの世界にありはしない。この世界においてナチュラルは既に大罪を犯し、コーディネイターはその存在そのものが罪の象徴。そもそも単純に遺伝子を組み替えただけで生命体が優秀になると思うか?」

 

「さっきから何を――」

 

「優秀な生命体は優秀な遺伝子を持つ。ファーストコーディネイターのジョージ・グレンは大層な天才だったそうだが、その出自はデザインベビーであったこと以外謎に包まれたままだ。調べてみたらどうだ?尤も――」

 

 

 ――それを知ればこの世界への認識が変わる。

 

 そう言われ、若干動揺した花のお兄さん(仮)のスキを突いてフードの人物はその場を離脱する。慌てて探知しようとするも、この短時間でそれを誤魔化す手段を編み出したのか全く探知出来なくなってしまった。

 

 

「やれやれ……これじゃあまたロンゴミニアドが飛んできそうだなぁ。大目玉だよ。……しかし」

 

 

 最後の最後で気になる情報を残してくれたのは嬉しい誤算だ。彼はそう思っていたが、後日……その意味を知った彼はこう思い直した。

 

 ――知るべきではなかった、と。

 

 

 

 

「あれは……!」

 

『タイタスや二人は知ってんのか!?』

 

『ああ!あれはウルトラマンネクサス……ノアが何らかの理由で本来の力を出せない、又は出さない時の姿だって教わってる!』

 

『……ってことは光神自ら出向いてきたということか……!?』

 

『いや……アレは純粋に力が形を作ったみたいな……なんつーかレジェンドとは違う、自動防衛機構って感じだな』

 

 

 フーマの意見にタイガやタイタスも同意する。一誠やドライグも言われてみれば何かレジェンドや、一度だけ人間態でダイブハンガーにて出会ったノアとは纏っている空気が違っていることに気付く。

 しかし、予想外の心強い援軍であることに変わりはない。

 ランドバイソンに加え、ネクサスが手を貸してくれるならパワーアップしたタイタスと合わせて一気に戦力が増したことになりディスペアントラーとの戦いに勝利への希望を見いだせる。

 

 

「よし……!流れはこちらに傾いている、ここで勝負をかけるぞ!」

 

『『『『おう!』』』』

 

 

 今、ディスペアントラーとの最終決戦が幕を開けた。

 

 

 

 

 パワーアップしたタイタス――タイタス・グランドマッスルは再び滑空し迫りくるディスペアントラーに対し、腰を落としてどっしりと構える。

 

 そして――

 

 

「ギジャァァァアアア!!」

 

「ふんっ!!」

 

 

 ――真っ向から挟み込もうとする顎を、両腕で事も無げに受け止めた。それも、微動だにせずだ。そのままヘッドギアをディスペアントラーの顔面に打ち付けるようにして更に前進を阻む。

 

 ラインマン、という単語を知っているだろうか。普段は架線作業員を指す言葉であるが、今回はアメリカンフットボールにおけるラインマンのことである。

 アメフトにおいて花形ポジションは司令塔の役割を持つクォーターバックであり、数が多いラインマン……特にオフェンスラインは地味だと言われているが、実はここがしっかりしていないと始まらないと言われる程ハード。特にセンターはそれが顕著だ。

 

 そう、正に今のタイタスは『攻勢に出るためのラインマン』としてディスペアントラー相手に一歩も引かず立ち塞がっている。

 何より、ディスペアントラーは全力でタイタスを倒しに来ているがタイタスはそれに動じず、先程までのような辛さも感じさせない。言わば『筋肉の城塞』。

 

 これには誰もが感嘆の息を漏らす。

 

 

「スゲェ!タイタスの兄貴全然ビクともしねえ!」

 

「あの鎧の力か!?」

 

「けどそれだけじゃないだろ!兄貴の鍛え上げられた筋肉があるから鎧も十二分に効果を発揮してるんだよ!」

 

「「「「「兄貴! 兄貴! 兄貴!」」」」」

 

 

 バラージの益荒男達によるタイタスへの兄貴コールが止まらない。実にシュールな光景だが、それを納得させる頼もしさが今のタイタスにはあったのだ。

 

 そしてディスペアントラーを正面からタイタスが完全に封殺しているということは、正面以外は隙だらけだということ。近付いて攻撃するとなると万が一反撃され、それが直撃だったりすれば大惨事だがそこで頼りになるのがタイタスやディスペアントラーとほぼ同サイズのネクサスと長距離攻撃もパワー重視なランドバイソン。

 ネクサスとランドバイソンを主軸にバルバトス、ダ・ガーンX、ソードストライクの援護を組み合わせ左右から波状攻撃を仕掛けていく。

 

 

「今まではあのパワーに押されていたけど、パワーアップしたタイタスさんのおかげでアントラーが抑えられてるからスキが出来てる!」

 

「背中から生えてるデカい二本腕が邪魔だな。硬すぎてレンチメイスでも時間掛かりそうだし、その間に反撃されそうでもあるし」

 

「やはり腕は無視して腕の攻撃が来にくい位置から本体を攻撃した方が良さそうだ」

 

 

 戦闘力と数では互角ないし有利に立てているが、ディスペアントラーの防御力は相当なもので少しずつしかダメージを与えられない。耐久力・再生力も並外れており、こちらが息切れしようものなら再び形勢逆転される恐れもある。

 

 ――だが、この場においてまだ全力を発揮していない……否、出来ていない者がいる。もしそれが出来たのなら勝利は確実なのだが、本来とは異なる出現の為ほぼ不可能。

 

 

 

 

 一先ずの危機は乗り越えたが、ディスペアントラーが健在である以上、本当の意味で危機が去ったわけではない。何とかして討ち果たしたいが、あの強固な防御力を抜き本体へダメージを与えられそうなのは今のタイタスぐらい……そのタイタスが抑え込みを担当しているため一番のダメージソースが攻撃に参加出来ないのはかなり厳しかった。

 

 

「とはいえ、この強化アントラーを抑え込めるのは私以外にいない……!」

 

『けどよ!パワーアップしたって言っても、いつまでもタイタス一人で耐え続けるわけにはいかないだろ!』

 

『……なあ、確かネクサスって単独フォームチェンジ出来なかったか?しかも割と早く変身するとかレジェンドが言ってた気がするんだけど』

 

『そういやそうだな。基本形態がアンファンスだっけ。で、何か一体化したデュナミストってのごとにジュネッスって形態に……あああああっ!!』

 

『どうしたタイガ!?』

 

『そうか!あのネクサス、デュナミストが一体化してないんだ!だからジュネッスになれなくて、本来の力を発揮出来ない!』

 

『『『何いいいいいっ!?』』』

 

 

 戦闘に集中しているタイタスの中で残る四人が絶叫した。そう、タイガが言ったように今顕現しているネクサスはバラージが緊急事態に陥った際の保険としてノアが遺した防衛機構……十分な戦闘力は備えているものの、それはあくまで普通の場合であって今回のようなケース、つまり敵が予想外の強化をされた時は想定されていなかったのだ。

 そもそも文明的にも技術的にも地上より遅れているバラージを、態々地中まで探して狙う理由が無いのだから当然といえば当然である。

 それに、もしデュナミスト云々を言うにしてもこのネクサスという防衛機構を知る人物が今の今まで誰一人いなかったという点でも対策不可能。

 

 ……いや、正確には方法が無いわけではない。文字通りデュナミストないしその代わりになるものが存在すればいいのだが、このバラージにはそれが存在しなかったのだ。

 

 

 

 

 

 ――今までは。

 

 

 

 ダイレクターが起動状態だった為、ダ・ガーンXとランドバイソンには一誠達の会話が聞こえていた。

 

 

「つまり、あのウルトラマン……ネクサスだったな、彼が本来の力を発揮出来る状況になればいいと」

 

「だがそのデュナミストって奴の条件が分からねえ!大将達は何か知らないのか!?」

 

『いや、俺はネクサスとかデュナミストとか初めて聞いたし……』

 

『俺も漠然と諦めない心としか……』

 

『まあ、諦めたら駄目なのは当たり前だからな。尚更分からん』

 

『んー……ネクサス、って名前にヒントとかねえかな……』

 

「ネクサス……繋がり……」

 

「!」

 

 

 ディスペアントラーを抑えつつ呟いたタイタスの一言に、ある一人が驚きと納得の意を示す。

 

 ネクサスではないが、この場においてその本来の姿たるノアと明確に関わりのある、関わりがあった者がいる。

 

 ――そう、彼女が――。

 

 

 

 

「繋がり……そうでしたか。私がここに呼ばれた理由、それが漸く分かりました」

 

「ニトクリスさん?」

 

 

 アズがニトクリスを見ると、彼女は先程タイタスが呟いた言葉を反芻している。そして一人頷き、その場にいた全員を見渡して口を開いた。

 

 

「アズ、しのぶ、チャータム、そして皆さん」

 

「どうしました?」

 

「ニトクリス様、何かお気付きに?」

 

 

 

 

 

「どうやら、お別れの時が来たようです」

 

 

 

 

 

「「「「「……え?」」」」」

 

 

 ニトクリスが何を言っているのか分からなかった。まさか自爆覚悟で突破口を開くつもりなのか?いや、そもそも彼女はその類の宝具を持っていない。何よりそれは威力的にも不可能だろう。

 彼女が得意とする呪術関係もディスペアントラーに効くか定かではなく、賭けをするには分が悪過ぎる。レジェンドあたりはそれでも賭けるかもしれないが。

 

 

「あの……お別れって……」

 

「この霊基に残っている魔力を全て、光のエネルギーに変換しネクサスへと譲渡します。私は『本来の』ネクサスと短い時期でしたが共闘したこともありますので、少なくともここにいる面々の中では明確な繋がりという点でも問題ありません」

 

「霊基に残っている魔力……まさか」

 

「そちらの方は理解しているようですね。この霊基自体が魔力によって維持されているわけですから、その全てを変換するということは即ち『私』の消滅を意味します」

 

 

 沙耶の言葉に対するニトクリスの答えにマリュー達は絶句した。戦闘時の情報伝達を円滑にする為、通信機の電源を入れていたのでキラや三日月にもそれは聞こえている。

 

 

「消滅って……そんな!」

 

「私はサーヴァントです。元より死せる存在、いずれはこうなる運命でした」

 

「リクさんじゃないけど。覚悟、決めてたんだ」

 

 

 キラの悲痛な叫びにもニトクリスは動じず、三日月はそんな彼女にかつて自身が命を賭してバルバトスの阿頼耶識システムのリミッター解除を行なったことを思い出した。こうなると外野が何を言おうと無駄であるとも。

 

 

「でも……」

 

「それでも勝てるとは限らない、ですか?」

 

「「「「「……!」」」」」

 

「大丈夫です。何故なら――」

 

 

 アズが口にしようとした言葉を先に言ったニトクリスは、笑顔で言い放った。

 

 

「明日を目指す、貴女達がいますから」

 

 

 今を生きる者達がいる。未来を目指す者達がいる。たとえ自分が消えても、彼らがいる限り自分の想いは受け継がれまだ見ぬ明日へと紡がれていくだろう。

 いずれ子を成し、親となった時に今日のことを伝えてくれるならいいのだが、それはさすがに未来過ぎるか。

 子でなくてもいい、弟子や知り合いといった者でも構わない。

 

 受け継がれる『魂』の絆。それこそが『ネクサス』の名に込められた想い、願い。

 

 

「とはいえ、先の戦いで少々魔力を使いすぎました。そういうわけで、ちょっとした後押しをお願いします……アズ」

 

「わ……私?」

 

 

 涙の滲む目でニトクリスを見つつ、彼女はアズへと頼み事をする。

 

 

「緊急かつ暫定的ですが、貴女が私のマスターになってください。そして令呪にて命を下すんです」

 

「マスターって……」

 

「サーヴァントは本来、召喚したマスターと契約することでその力を発揮します。マスターの有無はサーヴァントにとって重要なことであり、中でも令呪は特に大事なもの。サーヴァントに対して絶対的な命令権であり、それを使われれば余程でない限り抗うことは出来ません」

 

「絶対的な命令権……」

 

「はい。それを使い、貴女の中の膨大な魔力を私の霊基が許容する限界までこちらに回して下さい。あとは先程言ったように、それを全変換してネクサスに譲渡しますから」

 

 

 アズの中の膨大な魔力、という発言にまたも驚かされるマリュー達。同じく魔力を持つ悪魔であるリアスや、養母が途方も無い魔力を有し自身も桁外れの魔力を持つ沙耶ですら感知し得なかったアズの魔力。てっきりその二人が担当するかと思ったが、予想の斜め上をいった。

 

 

「アズの中に魔力、それも膨大な……!?」

 

「ええ。本人は気付いていなかった……というか、私も何故なのかは分かりません。その辺りは契約すれば漠然とでも分かるでしょうし、あとは純粋にしのぶとアズが一番親しくなったからですね。サーヴァントとマスターは相性も重要ですから」

 

 

 後半の方はすぐに納得出来た。主にバラージでニトクリスと共に過ごしていたのはチャータムを除けばその二人だったから。少し考えたがアズは了承し、ほんの僅かな時間……彼女はニトクリスのマスターとなる。

 

 

(……!アズ、貴女は……)

 

「ニトクリスさん……?」

 

「いえ、何でもありません。ちょっとだけ、感傷にふけてました」

 

 

 ニトクリスはアズをマスターとした瞬間、彼女の魔力の源泉を感じ取った。『それ』はあまりに想像を絶するモノであり、何故彼女の中に存在しているのか分からないが決して解き放ってはいけないモノだと一瞬で理解する。

 

 

「ではお願いします、マスター」

 

「っ……」

 

 

 契約した時に右手の甲に現れた紋章――令呪。それを使えば例外を除きサーヴァントへあらゆる命令を実行させるもの。それを使えば……。

 アズは決して邪な願いを実行させたりしない。ニトクリスに頼まれた事以外を命ずるとすれば「自身を犠牲にせず、皆と共にアントラーを討て」といったところだろう。だが、それは叶わない。今のままではディスペアントラーに勝てないのはアズにも分かっている。

 

 故に、命ずるしかない。

 

 

「令呪をもって、命ずるッ……」

 

 

 もはや溢れる涙を拭わず、必至に堪えながら言葉を紡ごうとするアズから、リアスやマリュー達、チャータムを始めとするバラージの民、そしてニトクリスは目を離さず見守る。

 

 

「私の中の魔力を、受け取れる分だけ受け取って……!」

 

「はい、マスター」

 

 

 直後にアズとニトクリスの身体が輝き、魔力の譲渡が行われる。

 

 

「重ねて、命ずる……その全てを光へと変換し、ネクサスへと届けて」

 

 

 その言葉を受けてニトクリスは即座に全魔力を光へと変換。霊基の消滅が始まり、ニトクリスの周囲に金色の粒子が浮かんでくる。

 

 

「ニトクリスさん……!」

 

「まだ最後の一画分、残っていますよ」

 

 

 アズが持たされた令呪は三画。あと一画分令呪を行使出来る……と言っても消滅が始まった以上、もはや出来ることは限られているが。そこで迷うアズへと、ニトクリスは最後の言葉をかける。

 

 

「アズ」

 

「っ……」

 

「貴女のサーヴァントになった瞬間、貴女が知らず、背負っているモノを感じました。きっとこれから想像も出来ない困難と幾度となく遭遇するでしょう」

 

 

 彼女の言葉をアズだけでなく、リアス達も黙って聞いている。

 

 

「でも心配しないで下さい。貴女は一人ではないのですから」

 

「ニトクリスさんっ……!」

 

「……私は、生前友達と呼べる者がいた記憶がありません。ですから、貴女やしのぶと親しくなれたこと……とても嬉しかったです」

 

 

 消滅が進む中、笑顔のままそう告げたニトクリスにアズだけでなくしのぶやリアス、マリュー達も涙を流す。

 

 

「今もあの特異点で戦っている『私』は貴女達を知らないでしょうが……この記憶は、必ず座へと持ち帰ります。だからどうか……別の所でサーヴァント召喚をする時は、私を呼んで下さいね」

 

「はい……必ずっ……!!」

 

 

 アズの言葉に満足出来たのか、ニトクリスの目にも涙が滲む。しかし、笑顔は崩さない。

 

 『さよなら』ではなく『またね』と言うために。

 

 

「さらに……重ねて、命ずる……!」

 

 

 ――そして紡がれる、最後の令呪を伴った言葉。

 

 

「私達皆が明日を掴むために……

 

 

 

 

 

 私達と、ネクサスと共に戦って!!」

 

「御心のままに、マスター!……ありがとう、アズ、皆さん」

 

 

 光一粒一粒にニトクリスの魔力と心が重ねられ、一つの光の玉へと変化していく。

 

 

「光神の遺産たる巨人、ネクサスよ!我が魔力、我が霊基の全てを汝の糧とする!その光を一欠片も残さずその身に宿し、我が友人(マスター)らの未来に希望の風を!!」

 

 

 その言葉を最後に、バラージに呼ばれたニトクリスは消滅する。同時に、彼女の全てを集約した巨大な光の玉はただ一点……ネクサスのエナジーコアを目指し猛スピードで飛ぶ。

 

 本能でそれが己にとって危険だと感じ取ったディスペアントラーは生やした巨腕から拡散粒子弾を放ち光の玉を撃ち消そうとするも、意思を持つが如く動きまるで当たらない。

 

 

 

 そして今――ネクサスに、本当の火が入った。

 

 

 

 

 ニトクリスの霊基、アズの魔力、そして多くの者達の願いが込められた光を受け取ったネクサス。本来ならばただの緊急時における防衛機構としての役割しかなかった巨人は、有り得ざる奇跡をその身に宿したことで真なるウルトラマンとして立ち上がった。

 

 

「フッ……ジュアッ!」

 

 

 ネクサスが左腕を胸の前にかざし、振り下ろすような動作をするとその姿が変化する。上半身はプロテクターが装着されたようになり、エナジーコアにはコアゲージが追加。更にほぼ銀と黒であった体色は青、そして金色も加えた今までのジュネッスとは一線を画したものに。

 

 ニトクリスが己と引き換えに託した光によって生まれた新たなる力――言うなれば『ジュネッスファラオ』の顕現である。

 

 

 

 

 

『資料で見たフォームチェンジと色が違うぞ!?』

 

『そういやネクサスって、デュナミストごとにフォームチェンジ後のメインカラーが違ってて、基本銀と黒にプラスあと一色なんだっけ……』

 

『いやどう見てもアレ銀と黒と青と、金色まで混ざって豪華なんだけど』

 

 

 タイタスの中でタイガ、フーマ、一誠が若干混乱気味になっている。ネクサスを知っていた弊害かもしれないが、今のネクサスの姿は通常のジュネッス系統には無い要素……一色多く、かつ目立つであろう金色が混ざっている。金色のウルトラマンといえば、代表的なものでグリッターティガやジード・ロイヤルメガマスターなどが挙げられ、どちらも桁違いの戦闘力を持つ。

 

 この新たなる姿のネクサスもそれに準ずるが如く滅茶苦茶強いのでは……とタイガとフーマは期待する。その期待は外れなかったが、ジュネッスファラオの真価は別のところにあったのだ。

 

 

 

 

 

「ジュア!」

 

 

 ネクサスはジュネッスファラオへと変化したことで、ジュネッス系統時に発動可能になる不連続時空間(メタフィールド)を右腕のアームドネクサスより発動・展開し、戦闘中だったタイタスやストライク達を含めてバラージごと覆い尽くした。

 

 

「こ……これは、結界なの?」

 

「メタフィールド……不連続時空間。先生に聞いたことがあったけど、見るのは初めてね」

 

「メタ……不連続?」

 

「まあ、結界という認識で然程間違いじゃないわ。でも、これは……」

 

「いやあ、とんでもない超密度の結界だよこれは!私もここまでのものは久しく見たことがない!」

 

「……今まで何処に行ってたの、フラ男」

 

「この場面でそう呼ぶの!?」

 

 

 何故かタイミング良く現れた花のお兄さん(仮)をジト目で見つつ、フーマ提案のフラワー男・略してフラ男呼ばわりな沙耶。なお、話していたリアスも似たような目で彼を見ている。

 

 

「ゴホン!それはともかく、言った通り恐ろしく密度の高い結界だ。恐らくキャスターとして呼ばれたニトクリスが絶妙な程にあのウルトラマンの能力とマッチしたんだろう」

 

 

 サーヴァントのクラスの一つ、キャスター。そのクラスで呼ばれたニトクリスは当然の如くクラススキルを有していた。その一つが『陣地作成』。本来は魔術工房を作成するためのスキルだが、霊基を譲渡したことで性質がネクサス用に僅かに変異し『専用のフィールドの作成』へと変化。

 

 つまり、かつてないほどメタフィールドを作成しやすくなった上にデメリットである展開時間=活動可能時間……即ち三分間という制限まで撤廃されるという、ただでさえ強かったネクサスが更に強化されたのである。

 

 サーヴァントがデュナミストとなる場合、ネクサスと相性が良かったのは最優と言われるセイバーではなく、かといってルーラー等のエクストラクラスでもない。言わば余程でない限り直接戦闘が得意ではなく、逆に直接戦闘型であるネクサスをサポート可能なクラスでメタフィールドの作成・維持を容易にするキャスターこそが最適だったのだ。

 

 

「これも先生に教わった事だけれど、ネクサスはメタフィールド内でこそ、その力を十分に発揮出来るらしいわ。分かりやすく言うと、強いから周りに被害を出さないようにすると必要以上にパワーダウンしてしまうような状態だったのよ」

 

「夜一さんや乱菊さん、卯ノ花先生が言っていた『限定解除』に似てますね」

 

「そしてつまり、それが解き放たれたということは――」

 

 

 ――本当に、勝機が訪れたということだ。

 

 

 

 

 封じられていた力が解放されたネクサスは、メタフィールドを張り終えるとすぐさま駆け出し、タイタスと組み合っていたディスペアントラーに飛び蹴りを炸裂させた。この時点で明らかにアンファンス時より戦闘力が違うことが分かる。

 

 

「助かったぞ、ネクサス!しかし、これは……」

 

 

 礼を言いつつ、タイタスは自分に感じる違和感に気付く。といってもマイナスではなくプラスの方向に、だ。

 鎧を纏ったことによるパワーアップではなく、何と言うか自然に少しずつ力が増していく感覚。

 ネクサスがメタフィールドを発生させてから感じるようになったそれはタイタスのみならず、ダ・ガーンやランドバイソン、更にはMSであるバルバトスやストライクにも現れていた。

 

 

「……?バルバトス、いつもより調子良いな」

 

「これは……ストライクのエネルギーが少しずつだけどリチャージされてる!?どういうことなんだ!?」

 

「私達もエネルギー出力が増している……ソレに何となくだが、身体も動かしやすい気もするな」

 

「良く分からねえが、多分あのネクサスって奴が張った結界が作用してるんだろうぜ!何にせよマイナスじゃなくてプラスならこの際何だって構わねえ!」

 

 

 ――そう……実のところジュネッスファラオは他のジュネッスに比べ、素の能力はアンファンスからそれほど上がっていない。しかし、それと反比例するかのようにメタフィールド内では戦闘力が爆増するという、言わば『メタフィールドでの戦闘を前提としたジュネッス』なのである。

 陣地作成スキルによるメタフィールド形成・維持の容易化に加え、戦闘力大幅上昇。そして更に、ジュネッスファラオのメタフィールドはフィールド内の仲間を強化する効果も有している。流石にネクサス本体ほどではないが……。

 

 以上の事から、ジュネッスファラオを相手にした場合……メタフィールドを張られた上、フィールド内にネクサスの仲間が存在したならばもはや詰み。

 

 それともう一つ――ジュネッスファラオにはさらなる力が隠されていた。

 

 

「派手に行くぜ!ラァァァンドカノォン!!」

 

 

 強化されたランドバイソンのキャノン砲が火を吹く。さすがに本能で察したのか、ディスペアントラーは間一髪回避に成功――

 

 

「嘘だろ!?」

 

「まずいぞ!あの威力ではもしかするとメタフィールドに影響が――」

 

「デアッ!!」

 

 

 ――しなかった。ネクサスが腕を振るうと、突如巨大な鏡が現れてランドカノンの高密度ビーム弾を反射し、ディスペアントラーへと直撃させたのだ。

 

 

「「「「「え……?」」」」」

 

「ギジャアアアアアッ!?」

 

 

 あまりの出来事にディスペアントラーどころか全員が目を点にした。

 

 そう、これが『ニトクリスの鏡』に纏わるネクサス・ジュネッスファラオの能力――『ヴァリアブル・ミラー』。ネクサスの意思によって出現・展開され、エネルギー系統の武器や技を反射させる。反射させる技を持つウルトラ戦士はいるが、ネクサスのそれはそこそこ離れた場所でもいきなり展開可能な上、反射したエネルギーはネクサスの指定した目標へと必ず再発射される……つまり、本来は角度的に無理があろうが法則を無視してターゲットへと放たれるのだ。

 こうなったらレジェンドのように完全な全身防御か吸収、もしくはどうにかして打ち消すしか対抗策は無い。

 

 限度があるだろうが、ネクサスのこの能力によってタイタスらは文字通り火力重視の戦闘が可能になったのである。

 

 

 

 

 

 さらに、ここで戦力増加が起きる。アークエンジェルが戦線まで航行してきたのだ。

 

 

「え……アークエンジェル!?」

 

『ラミアス艦長、あの巨人が先程砲弾を反射させたことはこちらでも確認しました。ローエングリンは使用不可だとしても、ゴットフリートならば支援砲撃として効果的と思います』

 

「バジルール少尉……ええ、確かにその通りね。あとは――」

 

 

 マリューがネクサスを見ると「任せろ」とでも言うように頷いてくれた。しっかりと意思疎通が出来た上に、先程の通信も聴き取ったのかと少し驚いたが心強いことこの上ない。

 

 ふと見るとダイゴの姿が見えないが、彼の性格からして一人だけ避難したとは考えられないし、乗機も大型だし……と思ったら普通にアークエンジェルからSガンダムが発進した。

 

 

『ラミアス艦長、バラージの民や同じウルトラ騎空団を守るため、そしてウルトラマンの援護のために僕も出撃させてもらいました』

 

「ふふ……確かにそれなら大義名分は立ちますね。アークエンジェルは『偶然』守られただけですから」

 

 

 何とも動きの早い人だ、と思いながらもマリューはダイゴの優しさに心のなかで感謝した。Sガンダムのビームスマートガンはストライクのアグニ程の威力は無いものの、それに迫る威力を持ちながら燃費も良い。射程も十分なので援護にうってつけだ。

 

 だが、ダイゴがSガンダムで出撃した理由はそれだけではない。

 

 

 

 

 

「RENA、あとは頼んだよ。援護、期待してる」

 

『任せて、ダイゴ。皆をお願いね』

 

 

 ウルトラマンとAI、それぞれが元にした人物の影響を受けた結果、種族どころか存在の違いの垣根を超えて想い合える程の絆を持つに至った二人は、短い会話の中で互いの思惑をすぐに理解出来た。

 

 今こそ好機とみたダイゴはスパークレンスを取り出し、最前線で戦うキラ達を救うため今再び光となる。

 

 

 

 

 

 眩い光と共に地底に降り立ったのは、スコーピスとの戦いでキラを助けてくれたダイゴのもう一つ――本来の姿、ウルトラマンティガ。

 

 ネクサスが数々の衝撃を与えてくれたお陰で変身する余裕も出来たことで遂に変身し駆けつけられたのだ。

 

 

「おお!!」

 

「ティガ……ダイゴさん……!」

 

 

 タイタスとキラは歓喜の声を上げる。片や偉大な大先輩が、片や自分の慕う兄貴分がここぞとばかりに救援に来てくれたのは頼もしい以外に何があるだろうか。しかも、ティガはかつてアントラーと似た性質を持つ『甲獣ジョバリエ』を防衛チームの援護はあれど単独で撃破した経験もある。

 

 

「また新しいウルトラマンってのが出てきたぞ!」

 

「でも、何だろう……初めて見たはずなんだけど初めて会った気はしないっていうか、ずっと見守ってくれてたような……」

 

(……鋭いわね、この娘)

 

 

 ティガに興奮気味なトールとは逆に、ミリアリアはティガの雰囲気から何かを感じ取っており、リアスも口には出さなかったが感心した。

 

 何にせよ、いよいよ決着の時だ。遥か昔から続くバラージとアントラーの因縁、そして現代……ここに招かれたウルトラ騎空団やアークエンジェルとディスペアントラーの激突。それら全てに終止符を打つべく、光の巨人と勇者達が絶望の魔獣へと立ち向かう。

 

 

 

 

 タイタス、ネクサス、そしてティガが並び立ち、構えを取りディスペアントラーの咆哮に合わせて同時に駆け出す。三体の巨人が地底世界の大地を踏みしめる度に土砂が巻き起こり、ディスペアントラーの背に生やした巨腕から放たれる拡散粒子弾もそれに拍車を掛ける。

 ネクサスが一足先にジャンプし、体を捻りつつ絶妙なタイミングでディスペアントラーの左右巨腕の間をすり抜けるようにして背後へと着地。ウルトラ戦士による挟み撃ちの陣形が整った。

 

 

『ゴットフリート照準!外す前提で撃つな!万が一外れても保険がある程度に考え、確実に直撃させるつもりで狙え!てーっ!!』

 

 

 ポジショニングを完了させたことを確認したナタルの指示で、アークエンジェルからゴットフリートが放たれる。

 

 

「ジュアッ!」

 

 

 片方が命中、もう片方は僅かにズレたもののネクサスがヴァリアブル・ミラーを展開し軌道修正することで連続直撃。ギリギリで気付いたのでは遅い為、確実にズレることを先読みした上での行動……やはり分体とはいえ光神の一形態、格の違いをまざまざと見せつけた。

 

 

「この面子ならあの腕、切り離せるかも。そうしたほうが楽になりそうだし」

 

「そうすると軸になるのはソードストライカー装備のストライクと、えっと……ダ・ガーンさん」

 

「さんはいらないぞ、キラ・ヤマト。私達は共に戦う仲間なのだから」

 

「あ……はい!ありがとうございます」

 

「バルバトスとそっちのランドバイソンのパワーで揺さぶりをかけて、そのスキに二人の剣で切り落とす。再生とかされるかもだけど、その時はその時だ」

 

 

 三日月の案に「えらくアバウトだな」と思う面々だったが、ここまできたら下手に細かく作戦を練るよりさっと考え即実行したほうが効果的だ。グズグズして対策を行われる前に行動に移す。早い話、やられる前に殺れ戦法。戦法もへったくれもない気がするが。

 

 既にネクサスとアークエンジェルに続き、タイタスとティガもディスペアントラーと真正面からぶつかり合っている。さらにRENAの操作するSガンダムもビームスマートガンをネクサスが反射させ易い位置に放ち、様々な角度からディスペアントラーを攻め立てていく。

 

 

「ネクサスとアークエンジェル、Sガンダムがサポートに回ってくれているからかこちらには余裕がある!今こそ、この新たな力を真に発揮する時だ!」

 

 

 そう言うとタイタスは右手を強く握り締め、右腕全体に力を込めつつドッシリと腰を低く落とす。一見隙だらけに見えるがアークエンジェルとSガンダムの支援射撃とネクサスの反射、そしてティガの妨害によってディスペアントラーはタイタスへ攻撃を届かせることが出来ない。しかもいつの間にかティガはスカイタイプへのタイプチェンジを果たしており、ティガフリーザーでディスペアントラーの動きを阻害している。

 そしてストライクとバルバトス、更にダ・ガーンXとランドバイソンも何かをするためにタイミングを見計らっているようだ。

 

 これに応えずして何が力の賢者か。

 

 

「賢者の――」

 

 

 握り締めた拳からミシミシという音が聞こえてくる。それだけならば割とよくあることだった。違うのはタイタスが身に纏う鎧、腕に纏った部分がバチバチとスパークしていること。

 

 

「拳は――!」

 

 

 スパークが更に激しさを増し、いよいよディスペアントラーも本能的な直感で危険さを理解するも、ティガやネクサスらの妨害でタイタスを阻むことが出来ない。

 唯一つ言えるのは、これから放たれる一撃は『赤龍帝の籠手』による影響を一切受けていないということだけ。

 

 

 

 

 

「全てを砕く!!」

 

 

ドゴォォォォォン!!

 

 

 

 

 

 タイタス・グランドマッスルが放った渾身の一撃はディスペアントラーの腹部に直撃し――ディスペアントラーは宙を舞った。その光景に誰もが唖然とする。

 そのまま数百メートル吹っ飛んだディスペアントラーは落下後も暫く砂埃を上げながら倒れたまま地面を滑っていく。

 

 なんという威力。ただのパンチがこれ程までに強くなったのかと、普段のタイタスの戦闘力を知っている者達は戦慄した。

 

 ――実は、タイタスが纏った鎧そのものに直接的な攻撃力上昇効果無い。なのにこれだけの威力が出せたのは鎧のおかげでもある。つまりどういうことなのかと言うと、手っ取り早く説明すれば某身体は子供、頭脳は大人でサラーサとやけに似た声の名探偵の持つキック力増強シューズと同じ原理なのだ。鎧全体から電気と磁力によってタイタスの全身のプラスになるツボを刺激し、彼の身体能力を高めているというわけである。

 

 結論を言うと、タイタスが普段から鍛え続け完成されていた肉体があったからこそ、鎧の効力が十二分に発揮され凄まじい威力のパンチを生み出したということだ。

 この強化型ワイズマンフィスト、匹敵するパンチを繰り出せるのはガイア・スプリームヴァージョンなど極僅かな面々しかおらず、実にとんでもない威力であることも記しておく。

 

 ……レジェンドやノア、サーガのようなパンチ一発滅死の素レベルな規格外は除くことも伝えておこう。

 

 

「これが……ウルトラマッスルだ!!」

 

 

 モストマスキュラーからフロントダブルバイセップスへとポージングを決め堂々と言い放ったタイタスに、バラージの漢達の『兄貴』コールが再開される。あんな光景を見せられれば魅せられる、というものだ。

 

 そしてディスペアントラーにさらなる追い打ちがかかる。あまりの強撃に立ち上がれどまた手と膝を付いてしまうディスペアントラーだが、背部の巨腕は自在に動かせるため拡散粒子弾を放とうとするも――。

 

 

「行くぜ、ワイルドなツノ付き!」

 

「手を抜かないでよ、猛牛ロボ」

 

「当然!ラァァァンドクラァッシュ!!」

 

「ぶっ飛べよ……!」

 

「ギッ……!?」

 

 

 ランドバイソンがドリルを突き出しながら全身で、バルバトスがレンチメイスを突き出してフルブーストで二体同時に突撃してきたのだ。いくら強固な防御力を持っていたとしても、あのパンチを受けて消耗したディスペアントラーでは受け切れず吹っ飛びはしなかったが後ろへとよろめく。

 

 

「ダ・ガーンブレード!一文字斬り!!」

 

「だあぁぁぁ!!」

 

 

 そのスキを狙い、次はダ・ガーンXとストライクがそれぞれダ・ガーンブレードとシュベルトゲベールで片方ずつ巨腕を切り落とした。それを見てリアスやマリューらも歓声を上げる。

 

 

 

 

 ――その光景に呼応するかのように、静かにネクサスの中の『光』が輝きを増していく。

 

 

 

 

 

 いよいよ、決着の時だ。タイタスを中心にネクサスとティガが並び立ち、ディスペアントラーを肉薄する。

 

 

「これで決める!二人とも、力を貸してくれ!」

 

 

 ネクサスもティガも力強く頷き、共に得意とする必殺技の構えを取る。ティガはマルチタイプへと戻り御存知ゼペリオン光線の、ネクサスはジュネッス最大の技オーバーレイ・シュトロームを更に強化したバグレベルの大技……ジュネッスファラオの特性であるメタフィールド内での強化倍率が凄まじいことが故に可能な固有技『ギガバーストレイ・シュトローム』を。

 そして、タイタスはグランドマッスルとなったことで手に入れた新必殺技――気を溜めるような動作から、プラニウムバスターの時のようにエネルギーを自身の前に収束させる。しかしその大きさと密度は明らかに違う。

 

 よく見ると左腕に赤龍帝の籠手……否、それと鎧が一時的に融合したようなガントレットが装着されていた。どうやらそれの力でエネルギーを倍加させていたらしい。

 

 

『何かナチュラルに融合発現させてたー!?』

 

『俺の時は物凄く苦労したのに!?』

 

『さすがってレベルじゃねーよ!痛覚麻痺してねーか旦那!?』

 

『……何故か分からんがボディービルポーズを取りたくなってきたぞ……』

 

『『『ドライグー!?』』』

 

 

 タイガ・フォトンアースの時と違い、ドライグの言う通り何故かは不明だがタイタスの影響を受けつつあるようだ。恐るべしマッスルシンクロ。

 

 

「受けるがいい!私の新たな必殺技!!」

 

 

 誰もが期待する新技だが、一誠達はあることに気付く。かつて技名に『マッスル』を躊躇なくぶっ込んだことを思い出し、まさか今回もと青褪めた。この盛り上がりを台無しにだけはしないでほしいと願うが――。

 

 

 

 

 

「プラニウム!ノヴァ!!」

 

『『『『すいませんまともですありがとうございましたー!!』』』』

 

 

 

 

 

 シンプルに、しかしより凄絶に。さらなる進化を遂げたプラニウムバスターがディスペアントラーへと放たれた。プラニウムバスターより高密度に圧縮され、それでも更に巨大なエネルギー球がグランドマッスルとなったタイタスの拳にて撃ち出され、ディスペアントラーに一直線。

 そしてそれにタイミングを合わせ、ティガとネクサスも必殺光線を放つ。

 

 

「チャアッ!!」

 

「ジュアッ!!」

 

 

 ゼペリオン光線とギガバーストレイ・シュトロームが同時に放たれると、ガイアとアグルの合体技・バーストストリームの如く交差地点で一つの凄まじい光線となりプラニウムノヴァ目掛けて突き進み、やがて追いつくとその勢いでもってプラニウムノヴァを更に押し出す。

 

 膨大なエネルギーを受けた巨大光球、そんなものを満身創痍のディスペアントラーが受け切ることや避けることなど叶うはずもなく――。

 

 

 

 

 

「ギジャアァァァ……」

 

 

 ズドォォォォォン!!

 

 

 

 

 

 後に『グランドノヴァ・トリニティ』と呼ばれる合体技により、遂にディスペアントラーは断末魔の叫びと共に大爆発を起こし撃滅された。

 ゆっくりと構えを解いた三体の巨人。勝利が確定した瞬間に大歓声が上がる。漸く、バラージにとって遥か昔から続いた因縁に終止符が打たれたのだ。

 

 ――しかし――

 

 

 

 

「有用性が証明された以上、回収はしっかりしておかなきゃな……ん?」

 

 

 花のお兄さん(仮)から逃げ延びたフードの人物は、倒された直後にディスペアントラーから排出されたメダルを人知れず回収していた。

 だが、ディスペアントラーが倒されたというのにメダルはまだ宿主が生きているかのような発光を続けている。

 

 ここでフードの人物は気付く。このメダルが宿した機能はもう一つあったことを。

 

 

「そうか……途中で宿主がいなくなったことにより『元々増えるはずだった数』一回分しか発動出来ないのか。だが――連中が絶望するには十分だろう。自己再生と自己進化は見たが、まだ最後の一つ……自己増殖は見ていなかったからな」

 

 

 フードの人物がほくそ笑むと、メダルがその輝きを増し……そして――。

 

 

 

 

 刹那――勝利の喜びは驚愕と絶望へと反転した。

 

 突如として大きな光が爆ぜ、先程倒したばかりのディスペアントラーが出現したのだ。それも十数体。

 

 

「な……!?」

 

「嘘でしょ……!?」

 

 

 マリューとリアスが驚きの声を上げ、他の者も絶句する。当然だろう。総力戦の果てに漸く倒したディスペアントラーが、膨大な数に膨れ上がり再度現れるなど誰が予想出来ようか。

 

 

「そんな……皆があれだけ頑張ったのに……」

 

「……悪足掻き、してみようか」

 

「復活したばっかで終わりとはツイてねえな。だが黙ってやられるのは癪だ。ぶっ倒れるまでやり合ってやるぜ!」

 

 

 キラも諦め気味になったが、三日月とランドバイソンはまだ戦う気でいる。彼らだけではない、ダ・ガーンXやタイタスにティガもカラータイマーが点滅し始めるが再び構え直し闘志を燃やす。

 

 最後の瞬間まで諦めはしない――しかし、そこへネクサスが待ったをかけるように一歩先に進んで左手で制した。

 

 

「ネクサス……!?」

 

 

 タイタスが怪訝に思うと、ネクサスはアークエンジェルを指差し、同時にストライクやマリューらを見渡し頷く。

 

 

 ――行け――

 

 

「まさか……一人であれと戦う気なのか!?」

 

「無茶だ!一体一体の戦闘力が尋常じゃないんだぞ!」

 

「……いいえ、行ってください」

 

「「「「「チャータム女王!?」」」」」

 

 

 ネクサスを肯定し、アークエンジェルへと向かうように促したのはまさかのチャータムであった。しかし彼女の目に諦めの色はない。

 

 

「貴方達はもう十分にバラージのために戦ってくれました。そして貴方達には地上で待つ人々がいるはずです。かの巨人があのように促すのは、貴方達を地上へと戻す術があるということでしょう。ここで私達はお別れです……ありがとうございました、皆さん」

 

「でも!」

 

「貴方達には成すべきことがあるのでしょう?この場は私達が引き受けます。御安心下さい、死ぬつもりは毛頭ありませんし」

 

「兄貴!元気でやれよ!」

 

「ここは俺達の故郷だ!俺達が最後まで戦わないでどうするって話だよ!これ以上アンタ達に甘えられねえって!」

 

 

 タイタスと友情を育んだバラージの漢達を皮切りに、次々とバラージの民達が生きるべく戦意を示す。この状況でも彼らは絶望を跳ね除けたのだ。

 そんな彼らを残して自分達だけ逃げていいのだろうか。

 

 

「――貴方達は逃げるのではなく、新たな戦場へ向かうのです。何も後ろめたいことはありません」

 

「チャータム女王……」

 

「さあ、早く!幸いあちらはまだ本調子ではない様子、あの船に乗るタイミングは今しかありません!」

 

「……ここでの出来事は決して忘れません。私達の方こそ、世話を焼いて頂き……ありがとうございました」

 

 

 第八艦隊のハルバートンに続き、自分達のためにその命を散らさんとするチャータムやバラージの民に、涙を堪え敬礼で返すマリュー。それに習いトールらも敬礼し、タイタスやダ・ガーンXらと共にアークエンジェルへと急ぎ走って行く彼女らを見送り、チャータムとバラージの民、そしてネクサスは迫りくるディスペアントラーの大群を見据える。

 

 

 

 

「バジルール中尉!」

 

「ラミアス艦長、地上への帰還方法は……!?」

 

「私も分からないわ。あのネクサスと呼ばれている巨人が何らかの方法を取るらしいけれど……」

 

「そんな予測不能で不確定な――」

 

「信じるしかないわ!チャータムさんやニトクリスさん達の、バラージに生きる人々の思いを無駄にすることは出来ないのよ!」

 

 

 鬼気迫るマリューの言葉にナタルを始めとするクルーは黙るしかなかった。彼女が艦長席に座ると同時にトール達他のブリッジクルーも到着する……が、そこにはキラや、一誠やリアス、ダイゴ達も勢揃いでブリッジへと入ってくる。既にダ・ガーンやランダーズは収納済みのようだ。

 

 

「なっ……!?」

 

「すみません!罰なら後で受けます!」

 

「だから、せめて今は……今だけはここで見届けさせてください!」

 

「……分かりました。許可します」

 

「艦長!?」

 

「ナタル、短い間とはいえ私達は彼らの過ごし、こうして共に戦ったわ。他の人から見たらとても小さい……でも、私達と彼らの間には確かな『絆』が出来ているの。だから今だけ、許して頂戴」

 

 

 第八艦隊と恩師ハルバートンを亡くして間もないというのに、また同じような光景を見せることになるかもしれないことを覚悟した上でそう言うマリューにナタルは何も言えなくなった。

 

 そして遂に進撃を始めたディスペアントラー軍団。悪夢の軍勢からバラージの民達を守るようにネクサスが一歩前に出ると、あろうことかメタフィールドが解除される。解除されて発生した光がアークエンジェルを徐々に包んでいき、やがて球体型バリアのように包み終わるとゆっくりとアークエンジェルは地上へ運ばれるように舞い上がっていく。

 

 

「メタフィールドが……!」

 

「オイ、ヤバいんじゃないのか!?ネクサスはあのメタフィールド内でこそ真価を発揮出来るんだろ!?」

 

 

 ブリッジの空気が焦燥に染まった。己の固有結界とも言うべき領域を解除してまでアークエンジェルを逃がそうとするネクサス、そしてそれを見て尚ディスペアントラーへの戦意を失わないバラージの民。

 彼らは本気で自分達を犠牲にしてでもマリュー達を地上へと送り出そうとしている――そうとしか思えない行動。

 

 ――だがその次の瞬間、彼らは目にすることになる。彼らだけではない、バラージの民……そしてフードの人物と花のお兄さん(仮)も。

 

 

 

 

 

 かつて無いほどの衝撃を引き起こす、奇跡を。

 

 

 

 

 迫りくるディスペアントラーの大群。

 

 その矢先に立ったネクサスの身体が凄まじい光を放つ。皆が皆目を覆う程の光の中で、それに包まれたネクサスのシルエットが徐々に変化していく。

 

 その背に背負うは伸縮自在の一対の翼。天を衝くが如き様相のそれを背負い、エナジーコアを除けば全身銀一色というあまりに特異な姿。正しく神秘の体現。

 

 数多の縁が紡いだ絆。

 

 

 

 

 

 ――今、ネクサスは真の姿を取り戻す。

 

 レジェンドやキングと並ぶ最高位光神の一柱、伝説の超人とも呼ばれし大いなる光。

 

 その名を、ウルトラマンノア。

 

 

「ジュゥアッ……!」

 

 

 

 

「「「「「!!」」」」」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

 それを見た誰もが絶句する。いや、しないほうがおかしいだろう。タイガを始めとするウルトラマン達は知っていても大抵その姿を直接見ぬまま生を終えるほどにこの【エリア】ではお目にかかれない存在を、そしてマリュー達やチャータムらバラージの民は太古よりノアの神と呼ばれ石像が作られた伝説の存在を、そして……フードの人物はつい先程までの余裕が一転して絶望へと反転するほどに予想外すぎる存在を目の当たりにしたからだ。

 

 

「ネクサスが、また姿を……」

 

「違う!ネクサスじゃない!」

 

「え……?」

 

「あれはノア……ウルトラマンノアだ!」

 

「「『はあ!?』」」

 

 

 驚愕の声を上げたのは一誠とリアス、ドライグだ。かつてダイブハンガーで会った時はレジェンドからツッコミという名の制裁を何度も叩き込まれていたため、変な意味で印象に残ったが……今、ディスペアントラーの大群の前に立ち塞がっているノアは迫力や存在感がまるで別人である。

 

 

「えっと……あのウルトラマン……は、そんな凄いのかしら?」

 

「凄いなんてもんじゃねーっての!あれとガチタイマン張れるの同格二人ぐらいなレベルだぞ!?」

 

 

 即ちレジェンドとキング。どちらも別次元のパワーを持ち、未だ底知れぬ超神秘的存在。フーマはぼかしたが、目の前に顕現した存在と先日までこのアークエンジェルに乗ってウルトラ騎空団を取り纏めていたレジェンドが同格だと、後にクルーが知った時の反応は凄まじかった。

 

 

「……だとすると……!」

 

「バラージとそこに生きる彼らは助かるかもしれない!」

 

「頼んだぞー!ノアー!」

 

 

 

 

 

「あれは……」

 

「神様だ……ノアの神様が助けに来て下さったんだ!」

 

「お前ら神様に頼り切るなよ!俺達のバラージは俺達で守るんだ!」

 

 

 たとえノアが顕現しても、バラージの民は自らのすべき事を放棄しない。

 

 ――地球は地球人の手で守るべきだ。

 

 かつてゾフィーはウルトラマンを助けに地球へ赴いた時、彼にそう伝えた。ゾフィーの願いでもあったそれは、別の地球においてもこうして体現されている。

 

 

(私達はこれからも助け合い、縁を紡ぎ未来へ歩んで行きます。だからどうか、今はそのお力をお貸しください……ノアの神、そしてニトクリス様……!)

 

 

 チャータムはノアの降臨を目にし、改めて決意した。自分達の我儘によって理不尽にバラージへと連れて来られたにも関わらず、バラージのために生命を賭して戦ってくれたアークエンジェルとウルトラ騎空団に誓って。

 

 

 

 

 

「バカなバカなバカな!!有り得ない!!奴はこの【エリア】にはいないはずだ!!ましてやこんな辺境の地底に現れるなど!!」

 

 

 フードの人物は絶望と混乱のあまり発狂していた。本来であればかの人物が絶望を与え、悦に入るはずだったのだがノアの出現によって全く逆の立場になることとなった。

 

 別の場所でも花のお兄さん(仮)が冷や汗をかきつつノアを見つめている。

 

 

「ウルトラマンノア……最高位光神たるレジェンドと同格と言われる存在。なるほど、これはORT封印時に彼女がレジェンドのことを呟くわけだ。夢の中に逃げ込んでも消し飛ばされそうな感じがするよ」

 

 

 One Radiance Thing――ORT(オルト)。『究極の一』と呼ばれた超常的存在の一体。月王国のある世界の南米においてウルトラウーマンディアナ――沙耶が立ち向かったが、既に優れた能力を有していた当時の彼女でも太刀打ち出来ず、彼女に加えて先代女王を含む月王国と現地神を含めた現地の者達の総力戦の末に漸く『封印』することが出来たとてつもない脅威。その戦いの後に先代女王が呟いたのが……。

 

『この場に我が夫がいてくれれば瞬く間に終わっていたでしょう』

 

 つまり究極の一たるORTすら歯牙にかけない程の力を持つのがレジェンドであり、ノアはそれに比肩する実力者だということ。

 花のお兄さん(仮)もORT封印総力戦に参加していたから分かるのだが、あれの戦闘力は想像を絶していた。それを瞬く間に終わらせるような存在と同格――そんなものが眼前に現れたなら驚くなというのが無理である。

 

 ネクサスの時点でメタフィールドという固有結界みたいなものを当たり前に展開するあたり、魔術師視点で見てもブッ飛んだウルトラマンなのだが。

 

 しかし、彼らはそこから更にとんでもない光景を目にすることになる。

 

 

 

 

 

 本来の姿を取り戻したノアはディスペアントラーの大群へと躊躇なく猛スピードで近付き、拳で一撃。次の瞬間、ディスペアントラーの一体が跡形もなく吹き飛んだ。

 

 

「「「「「……は……?」」」」」

 

 

 揃いも揃って間抜けな声が出た。三人のウルトラマン(しかも強化フォーム含む)に加えてアークエンジェルや機動部隊まで総動員して漸く倒せたディスペアントラーを、目の前の存在は拳一発で軽々と倒してしまったのだ。

 

 このウルトラマンノア、パンチやキックに重力波を付与しているだけでなく、その温度実に一兆℃とかいうふざけた炎を纏わせた『ノアインフェルノ』なる技を持っている。ちなみにレジェンドの『アブソリュートレジェンド』は爆散ではなくその名の通り氷が割れるように相手が砕け散るパンチ技で温度はマイナス一兆℃。ノアと対になる技だ。ちなみにキングは『キングサンダーフィスト』なる技があるらしい。

 

 兎にも角にも初手からいきなり度肝を抜いたノアだがそんなものは最高位光神にとって序の口の技。

 

 続く左右両手からのグラビティノアによって同じく左右にいたディスペアントラーもそれぞれ一撃で粉砕。一気に襲いかかってきたディスペアントラー達も鉄拳で、蹴りで、光弾で次々と倒していく。

 

 ――強すぎる。

 

 

「……すげえ……」

 

「これが、最高位光神……」

 

 

 一誠とリアスは驚きのあまりそう言うのが精一杯だったが、他の者も同様だった。恐ろしく早い討伐も終幕に近づいたようで、ノアは近場の一体を倒すとバク宙で華麗に一歩下がり構える。

 

 

「ハァッ……!」

 

 

 静かな掛け声からエナジーコアをイメージしたかのように炎を発しながら腕を広げ、左手を握り拳のまま、指を伸ばした右腕を立てつつその肘の部分に合わせ――。

 

 

「ヘェアッ……!!」

 

 

 ノアの代名詞的必殺技、超絶稲妻光線『ライトニングノア』を放った。放つだけでノアの周囲に盛大な粉塵が舞い上がり、一体のディスペアントラーに直撃したあとはそのまま薙ぎ払うように放射し続け、残数残り十体程を纏めて爆散させ遂に全滅。

 

 圧倒的蹂躪。そんな言葉しか思い浮かばないぐらいに一方的な勝利。最高位光神の実力の一端を目撃した彼らはただただ息を呑むだけであった。

 

 

「俺、初めてノアが戦ってるとこ見たけどさ……どんだけバケモンなんだよあの人……!?」

 

「割れた銀色の腹筋が素晴らしい……!」

 

「ホントブレないよな、タイタス!?」

 

 

 最近フーマの常識人度が増している気がするのは気の所為だろうか?

 そう思っているうちにアークエンジェルはバリアに包まれたまま、いよいよ天井から地中を経て再び地上へと向かう直前だ。最後にとバラージを見ると、ノアが頷きながらこちらを向いているのと同時にチャータムやバラージの民が笑顔で見送ってくれていた。

 

 アークエンジェルは再び激動のコズミック・イラを戦っていくことになる。だが、遥か地底での出会いと別れは彼らにとって大きな意味があった。

 

 

 

 

 

 ノアが再び光となり、石像の中へと還っていく。アークエンジェルも船体がバラージの民達の視界から完全に見えなくなってから、チャータムは指示を出した。

 

 

「皆、今日の出来事を壁画に遺しましょう。地上から来てくれた勇士達と、ニトクリス様、そしてノアの神……私達と共に未来を手にするために戦ったあの方々との縁を、いつまでも忘れぬように」

 

「おーし、やるぞ皆!アントラーの脅威も無くなったんだ!」

 

「俺にはタイタス兄貴を描かせろ!あのウルトラマッスルボディを完璧に描いてやるぜ!」

 

「オメー、ミカヅキの乗ってたワイルドビーストを忘れんなよ!」

 

「バルバトスだろバルバトス!ストライクって奴と一緒にしたら無礼だぞ!」

 

 

 恐怖に打ち勝つ苦労ではなく、子孫と未来へ遺すため……そのための苦労は皆が笑顔になって一丸となって取り組めるだろう。

 

 

 

 

 

 ――そして遠い未来。偶然バラージへと来てしまった者達が見た光景の中には、一人の神に見守られながら巨大な悪魔に立ち向かう三人の巨人と五体の機兵、巨大な船に加えて多くの人々の姿が描かれた壁画があったという。

 

 

 

 

 

 フードの人物は悔しそうに、そして花のお兄さん(仮)は安堵の表情で、それぞれいつの間にかバラージから姿を消していた。

 

 いずれもこれから先、ウルトラ騎空団やアークエンジェルと大いに関わる人物だということは、今はまだあまり知られていないのだった。

 

 

 

〈続く〉




祝! バラージ編完結!!

ここまでどれだけの特別編を挟んで投稿したことか……。いやまた近日中に特別編投稿するんですけどね、同時執筆してたんで。←懲りてない

Fate名物・英霊との別れ。当事者ならば泣かずにはいられないものを経験したリアス達はまた一歩成長しました。

仲間を増やし、強化フォームを得て地上への帰還を果たしたアークエンジェルは本格的に砂漠の虎との戦いへ。レジェンド達は謎の施設の調査に、そしてオーブでも脅威が……!

近日投稿予定の特別編以外にも一年越しの『過去を振り返ろう!』シリーズもやろうかと。メンバー増えまくり、幕間から始まり三大種族会談とタッグマッチを経ていよいよ第一部最終章だったゴーデス決戦編までを本作メンバーにてワイワイしながら振り返る予定。


それではまた次回。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
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