ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER 作:ハジケハムスター・ポッポ
サブタイ通りカガリ再び……なんですが……ハッキリ言って今回は彼女よりも新たに出てきた奴がとんでもなさすぎて霞んでおります。
いやね、なんとなく機体の方は予想出来たとは思いますが、乗ってる方は予想出来なかったんじゃないかって奴が乗ってまして。
ともかく、それでは本編をどうぞ。
「大した装備も無いのに砂漠を飛んでもなあ……あの砂漠の怪物が出たら副長さんの機体しかまともに動かなくなるんだろ?」
「だがアークエンジェルは可怪しい沈み方をしていた。彼処には何かあるかもしれない。それに……」
「ん?」
「いや、何でもない」
ムウのスカイグラスパーとサーガのダブルオークアンタはアークエンジェルが砂漠の下へ沈んだ場所に来ていた。目的はアークエンジェルの捜索……と言いたいところだが、彼らの機体では砂漠を掘り進むことなど出来ないし大出力武器で目標地点をふっ飛ばすなんてやったら怪物に気付かれる可能性もある。一縷の望みをかけてひょっこり出て来てくれたらなどと考えていたが、世の中そう甘くはない。
「しかし何だってまたそんな奴らが出始めたんだ? 宇宙じゃユニウスセブンで襲ってきた虫みたいな奴や先遣隊を壊滅させたクラゲみたいな奴に加えて、第8艦隊とザフトを見境無く消し飛ばした所属不明の機動兵器……おまけに地上に降りた途端これだ」
「一つだけ言えるのはナチュラルとコーディネイターで争っている場合ではない。それだけだ」
「ま、あんなん見せられた身としてそれも納得なんだがね。悲しいことに俺らだけがそう考えても……!? 何だ、砂漠が盛り上がって……!」
「奴か……!? いや、熱源反応はかなり大きい、それもこの反応は!」
突如、砂漠が盛り上がりその中の巨大な熱源反応を察知すると、砂が落ちていくに連れて中のもの――アークエンジェルが姿を現した。
「アークエンジェル!? 何がどうなって……いや、そんなことは後回しだ。こちらムウ・ラ・フラガ! アークエンジェル、応答しろ!」
『こちらアークエンジェル、マリュー・ラミアスです。ご心配をおかけしました、フラガ少佐』
「マジか……色々聞きたいことはあるが、とりあえず無事で良かった。一先ず俺達についてきてくれ。積もる話はそっちでしよう」
『了解しました』
お互い無事だったことに安堵しつつ、スカイグラスパーとダブルオークアンタの後を追い、アークエンジェルはレジスタンス『明けの砂漠』のアジトへと移動する。
☆
――明けの砂漠のアジト――
「地底の国ぃ? そんな夢おとぎ話みたいな……」
「まあ、そういう反応をするわよね……ナタル、あの時の記録は?」
「戦闘時のみになりますが、残してあります」
「オイオイ……またどエラい話かよ」
マリューとナタルからまず簡単に話を聞き、参ったと言わんばかりで頭を掻くムウ。先程サーガと似たような話をしていたが、まさか帰って来たアークエンジェルの艦長と副長からもブッ飛んだ話を聞かされるなど予想出来るわけがない。いや、ここ最近の出来事から多少は想定していたが。
一方、タイガ達はサーガ相手に興奮気味に話している。その様子をレジスタンスが凝視しているが仕方ない。何せウルトラマンの姿など彼らは見たことがなかったのだから。
「で、ネクサスがノアになって俺達を地上へ戻してくれたんだ!」
「そうか……やはりあの時の感覚はノアか。相変わらずというか何というか、本体でないだけマシだったな」
「……ちょい待ち、本体じゃないって……本体だとアレより強いのか!?」
「いや、確かに元が防衛機構のようなものならばそれも納得だ。しかしノア本人はあれよりも更に強いとは……」
とはいえ、彼らはまだいい。問題はとある二人の方だ。明けの砂漠のリーダー格であるサイーブに言われ、ストライクのパイロットであるキラを呼び寄せたのだが……。
「ああっ!」
「あれがパイロット? まだガキじゃねえか」
「つっても、他の機体も似たようなものらしいぞ」
「あの青い剣のMSに乗ってたのは立派な大人だろ」
「あぁ……お前っ! お前が何故あんなものに乗っているっ!」
明けの砂漠の面々が口々に呟く中、一人の少女がキラに掴みかかったのだ。しかし当然ながら黙ってやられるキラではなく、その腕を掴んでキョトンとしている。
この少女は気が強いというか短気というか……サーガに同じ事をして躓かされたのに学習していないのだろうか?
「……あっ! 君はあの時、ヘリオポリスにいた……」
「ッ……離せ! このバカッ!」
振り払おうとしてキラの顔に拳が当たろうとしたその時、バシッと少女の拳が誰かに受け止められる。
「……ふぅ、間一髪」
「ダイゴさん!」
「ダイゴ兄様!?」
「「「「「え!?」」」」」
ダイゴの乱入はともかく、まさかの兄様呼びに周囲は騒然とするのであった。
☆
――ザフト・ジブラルタル基地――
『両名とも無事にジブラルタルに入ったと聞き、安堵している。先の戦闘では御苦労だったな』
『ぶっちゃけ俺達よりも良く頑張ってくれたよ。こっちは赤い強襲機相手に良いトコ無しだったからさ』
クルーゼとベリアルから送られてきた映像付き音声メッセージを再生している、どうにかジブラルタル基地に降下出来たイザークとディアッカ。あの状況で無事だったのは偏に機体性能のおかげではあったが、結果的に良かったのでこの際それは置いておく。
「死にそうになりましたけど」
『残念ながら足つきとストライクを仕留めることはできなかったが、君等が不本意とはいえ共に降りたのは幸いかもしれん。足つきは今後地球駐留部隊の標的となるだろうが、君達もしばらくの間だ。ジブラルタルに留まり、共に奴等を追ってくれ。無論、機会があれば討ってくれてかまわんよ。ただし、同乗していた部隊……あれらに関しては無理はしないように。映像を見る限り戦力は分散されたのだろうが、新たに未確認機が三機確認された』
『幸いっちゃ何だが、足つきの方にあの厄介な可変機や赤い強襲機はいないらしくてな。代わりに連中の母艦らしき艦にその三機共々収容されたようだ。ぶっちゃけそっちは放っといていい。君達二人も知っての通り、あの二機はやたら腕が立つ上に三機の未確認機も詳細がまるで分からない。寝ている熊を態々起こして返り討ちに合う必要もないだろう』
クルーゼとベリアルは言葉を選んで告げていたようだが、色々あって苛立っていたディアッカには皮肉のように聞こえたらしい。
「宇宙には戻ってくるなってこと? 俺達に駐留軍と一緒に足つき探して地べたを這いずり回れって言うのかよ。あん? おい、イザーク!」
ディアッカを一瞥すると、イザークは前回の出撃時からしていた包帯を外す。そこにはくっきりと傷が残されていた。
「機会があれば、だと? 討ってやるさ……次こそ必ず! この俺がな!!」
短期間に幾度となく辛酸を嘗めさせられた屈辱からか、元々プライドの高いイザークはアークエンジェルとウルトラ騎空団……特に一誠の乗る量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改に強い執着を抱いていた。それが単なる負けん気からなのか憎悪からなのかはさておき。
そんな二人に声をかけた人物がいる。
「逆境にあってなお闘志は衰えず、ひたすら燃え上がるのみ。大人としては戦場に駆り出してしまい情けないと思うが、実に逞しい若人よ」
「「!」」
その人物はアズナブル隊のランバ・ラル。アークエンジェルの降下地点を解析したシャアの指示によって、かつてガンダムに乗ったアムロを追い詰めた実績のある彼が先んじて地球に降下することになったのだ。
「あ……貴方はアズナブル隊の!」
「猛将ランバ・ラル殿……!」
「フ……そう持ち上げんでほしい。私とて未だ連中とやり合って勝ち星の一つも挙げられん男だ。貴公らの気持ちもよく分かる」
ラルの表情は真剣ながらも何処か穏やかさがあり、何を考えてるか分からないクルーゼやベリアルに比べ二人も少しばかり緊張が解れる。
叩き上げの軍人であるラルは将来性のある若きザフトレッドの二人に道を示す。
「しかし敗北もまた先へと進むために必要なことだ。そこで終わるか、立ち上がりまた前を向くか……貴公らはここで終わる気はないだろう?」
「「勿論です!」」
「うむ。その返事を聞けて何よりだ。このランバ・ラル、元はゲリラ戦を得意とし砂漠での戦闘経験もある。微力ではあるが先達として、貴公らに地上での戦いの助力をしよう。連中に一泡吹かせてやるぞ!」
「「はっ!」」
直属の上官とは違う、力強い激励と後押しにイザークとディアッカは敬礼で返す。正直、この人が上官だったらと思わずにはいられなかった。
「よし、まずは機体の砂漠におけるOS適応化から始めるぞ! ただでさえ重力の関係で宇宙とは違う戦い方を要求される地上だが、砂漠や密林ではそれが顕著になる。一つ一つの積み重ねが勝利を手元に手繰り寄せるのだ。人型のMSが砂漠で戦う場合、特に気を付けなければならんのは接地圧や熱対流。砂という不安定な足場をモノにし、ビームの減衰の原因となる熱対流の対策をする。地上での戦いとは、自然という巨大なものを制することが出来るか否かで変わってくるということを覚えておけ」
――かつてあのアムロが純粋に「勝ちたい」と思った男ランバ・ラル。その経験に裏付けられた的確なアドバイスは、逆に経験に乏しい二人を新たなステージへと引き上げることになる。
☆
レジスタンス『明けの砂漠』の拠点へ招かれたアークエンジェルとウルトラ騎空団は、サーガとムウ以外へ自身らが遭遇した出来事を事細かに話していた。
「……まさか言い伝えにあったバラージが本当にあったとはな。しかも地底にとは」
「おまけにそこの連中と協力して、その……アントラー、だったか? 砂漠の怪物をぶっ倒したと」
「ええ……ただ、いきなり変容したのは予想外だったけれど。それに――」
「サーヴァント・ニトクリスに謎の敵……」
「アンタは何か知ってるのか?」
「聞いたことはあるが、俺はそちらにあまり詳しくない。敵に関しては何とも言えないが、サーヴァント云々は先輩の方がよく知っているはずだ」
実のところ、レジェンドはサーヴァントのみならずミニオンについても知っているどころか因縁があると言っても過言ではない。
兎にも角にも一応は解決した問題をぶり返して時間を取るわけにもいかないと、サイーブは話題を変える。
「そういや、アンタ達の中に変わった制服らしきものを着た優男がいただろ。アイツは誰だ?」
「変わった……? 副団長さんじゃなくてか?」
「ムウ・ラ・フラガ、後で話がある」
「待て待て悪かった! そういう意味じゃなくてな」
「マドカ特務大使のことかしら」
「おそらくそいつだ。あいつが……カガリが兄と呼んでて気になってな」
「まあ、カガリがオーブの外にいたのは聞いていたけど……予想外過ぎる場所にいるんだもんなぁ」
「そういうダイゴ兄様こそなんで!? アークエンジェルに乗艦してるなんて聞いてないぞ!」
「成り行きでそうなっただけだし、そもそもそっちに通信連絡さえ出来ないのに報連相は無理だって」
「うっ! うぅ……」
そうだった、と思いカガリは言葉に詰まる。ダイゴはそんなカガリを苦笑し軽く息を吐くと、その護衛として付いてきていた傍らに立つ男性にも同じように苦笑した。
「あとキサカさんもブレーキ役ならやることは選んで下さいよ。体格が立派なお陰でレジスタンスとか言われたら一発で信じちゃいますよ、普通」
「いや、すまんな。偶然とはいえ、まさか君がここに来るとは思ってもみなかったんだ。それはお互い様だったようだが」
彼はレドニル・キサカ一佐(正確には一等陸佐)――つまりオーブ軍所属の高官である。故郷がこの地のタッシルであるため、彼が彼女をここに連れてきたとのこと。
「何にせよ、無事だったならいいさ。ただ……」
「「ただ?」」
「カガリはウズミさんからのお説教か、平手打ちの一発は覚悟しておいた方がいいかな」
「ぅええっ!? ダイゴ兄様、弁護の一つもしてくれないのか!?」
「あっちを出る前にカガリはどうしたのか聞いちゃったからな〜……それにウズミさんの場合、『すまぬがこれは親子としてだけでなく、上に立つ者として必要な事。いくらそなたでもこれだけは譲れぬのだ』とか言って僕も黙らざるを得なさそうなんだよね」
「……下手したら一言一句そのまま言われそうだな」
ウズミからの信頼も厚いキサカも太鼓判を押す程にダイゴの予測発言は的を得ていたらしく、カガリはがっくりと肩を落とした。
彼女の名は『カガリ・ユラ・アスハ』――そう、ウズミ・ナラ・アスハの娘である。
以前、先んじてこの世界に来たダイゴがオーブの協力を得た時に僅かな時間とはいえ彼女の世話をしてからというもの、彼の――彼らのこれまでの戦いを事細かに話しているうちに懐かれたのだ。
無論彼がティガであることを知る数少ない人物であり、カガリとしては『人としてウルトラマンとして地球の危機に立ち向かった、今のこの世界にとって手本にすべき人物』と尊敬している。
故に、彼が今のコズミック・イラに起きている事件の数々に対抗可能な戦力――ガンダムの技術を齎してくれたというのにそれが戦争の道具となったことを許せず、情報の真偽を確かめるべくヘリオポリスまで来ていたということだ。
その後は知っての通り……キラによって救命艇に乗せられた彼女は紆余曲折の末、キサカに連れられこうして明けの砂漠に参加しているというわけである。
「けど、僕からはお説教とかそういうのは無し。ちゃんとカガリなりに考えての行動なんだろうし、自分の目で世界を見ることは悪いことじゃない。感情的に行動して突っ走るところは、将来政治に関わるだろう立場を考えると褒められたものじゃないけどね」
「う……」
「飴と鞭の使い方が絶妙だな、君は」
「何分、本来の職場に破天荒な後輩が多いもんで」
この言葉でオーブ在留のクロガネやヒリュウ改にいるレイトやリクが盛大にくしゃみをしたことは言うまでもない。
この後、カガリは「あのパイロットに話さなきゃいけないことがあったんだ」と慌ててその場を離れ、ダイゴとキサカは顔を見合わせ苦笑した。
☆
マリュー達はサイーブから情報を聞きつつ、今後の進路について話し合っていた。その中で、アークエンジェル在留のウルトラ騎空団代表として参加したサーガは一人別の思考を張り巡らせている。
(ノアが依代を媒介に力の一端をこちらで使用したのは別にいい。問題はアントラーが突然変異したことだ。聞けばスフィアやゴーデスのようなものは現れておらず反応もなかったと言うし、アークエンジェルがこちらへ帰還する直前……つまり最後の曲面においてまるで増殖したかのようにいきなり多数現れた。少なくともアントラーにそんな力は無く、外部から何らかの干渉があったのは火を見るより明らかだ。ならば――)
「副長さん……おい、副長さん! ったく、副長じゃなくてちゃんと副団長さんて呼ばなきゃダメなのか?」
「……っ! 何だ?」
「何だ、って……まあ放ったらかしにしてた俺達も俺達だけどな。これからの航路をどうするか、副長さんの意見を聞きたいんだよ。正直なところ、副長さんのダブルオークアンタが俺達の中の最高戦力だしさ」
「何だって? あの戦略級のビーム砲を持ってる機体じゃないのか?」
「ええ、ちょっと色々訳ありなのよ。あの武器も、それを使ったパイロットも」
サイーブはムウの発言に尤もな疑問で返す。だが、ガンダムXのサテライトキャノンの威力はともかくパイロットであった沙耶が使用後に不調をきたしたことや、そもそも月が出ていることが使用条件であることを踏まえるとそうは言えないのだ。
何よりあの戦い以降、沙耶自身サテライトキャノンの使用を忌避している。彼女の身に起きたことを考えればそれも納得だろう。
「そうか……あんな威力だ。分かってて使ったんならそんな風に言うはずねえ。起死回生に放った一発が相当予想外だったんだろうな」
「それで、当面の案は?」
「ジブラルタルを突破するか、紅海を抜けてインド洋から太平洋へ出るかって二択だよ。正直、団長さんやゼットがいれば前者を選んでたんだけどさ」
「この間の戦いで見たところ、今までのザフトのMSとは規格が違う機体が混じっていたようだが」
「ああ、ドートレス系列の機体だ。よく分からんが、どうもザフトに手を貸すスポンサーみたいのがいるらしい」
「そこの開発した機体ってことかよ。次から次へと悩みのタネが尽きないね、全く」
ムウが溜息を吐き、やれやれと頭を掻く。サーガは顎に手を当てて少し悩み、疑問に思ったことを尋ねた。
「……紅海を抜けるルートの場合、障害となるのは?」
「バナディーヤにいるレセップス……砂漠の虎だ」
☆
――レセップス・艦長室――
「ダコスタです」
「んー?」
「失礼します……うっ! 隊長……換気しませんか?」
先の完敗というべき敗走から少し経ち、バルトフェルド達も調子を取り戻しつつあった。艦長室へやってきたダコスタは、バルトフェルドの趣味のコーヒーによる匂いが充満した部屋に眉をしかめる。
「そんなことわざわざ言いに来たの?」
「い、いえ……そういうわけでは……出撃準備、完了しました!」
「ご苦労さん。あんまりキツイことはしたくなかったんだけどねぇ。ま、仕方ないか」
ダコスタを労いつつ、バルトフェルドも重い腰を上げる……が、ダコスタの表情は晴れない。
「ですが隊長……本当にやるんですか? 確かにレジスタンスには抵抗されていますが、まだそこまでのことでは……何より、スポンサーが送ってきたあの男は胡散臭過ぎます」
「ダコスタ君の意見は尤もだよ。だがさすがにザフトの大口スポンサーの意見もまた無下には出来ない。既にあの時、彼らから受領した機体を一気に消し飛ばされてしまったからな」
忘れもしない、ガンダムXのサテライトキャノンで機体諸共部下を大勢失った先の戦い。そのスポンサーから受領したドートレスのバリエーション機を根刮ぎやられてしまったのだから。
「それは……そうですが」
「ただ、あの男が胡散臭いってのは同意かな。見た目もそうだが、まず言動がどうもね」
☆
「ほほう、あれが噂のタッシルとやらですか。拙僧、これでもMSの操縦を覚えて以来、訓練は欠かさず行っていると自負しておりまして」
レジスタンスに参加している者達の故郷の一つ、タッシル。それを遠目に見ている者が一人。
「さて、砂漠の虎も作戦を了承したことですし、一足早く仕事をこなすと致しましょう。拙僧の愛馬、凶暴なれば!」
今、無辜の民に肉食獣が牙をむく――!
☆
一誠達はバラージでの出来事を思い返しつつ、そこで遭遇した事について考えていた。
「そのミニオンって一体何なんだ?」
「忌まわしい光神って言ってたけれど……もしかしてレジェンド様のことだったりしないかしら? 前回のミニオン……とかよく分からないことも言ってたし」
「我らが神の復活……神って聖書の神とか?」
「それはないだろう。あの世界の天界勢に次元を超える手段は無いはずだ。それに空の世界とも別の気がする」
「いつの間にかあのフラ男もいなくなってるしさ」
リアスやアズ達が遭遇したミニオン・ラース……その存在があまりに謎に包まれ過ぎて悩むばかり。悩むと言えばアズの事もだ。その謎だらけのミニオンがアズを見た途端、激しく動揺しだした。
「でもよ、アズは記憶喪失とかじゃないんだろ?」
「うん、ちゃんと記憶はある。でも……あんなのに会ったことなんてない」
「それ以上の追及は止めましょう。アズ自身が分からないのに追い詰めるようなことをするのは良くないわ」
当の本人が全く分からないのを無理に問い詰めて亀裂など出来てしまうのは良くないと、リアスがパンと両手を叩いて中断させる。
「それにしてもアントラーの方もおかしいだろ。アントラーって進化とかすんのか?」
「レイオニクスの力を借りて怪獣が進化するようなことは聞いたことあるけど」
「レイオニクスって勇治みたいなレイブラッドの遺伝子を持ってる奴のことだろ? そんな奴がバラージにいるってことは、今もバラージはヤバいってことじゃ――」
「でもそれだったらとっくにバラージは壊滅してるはずよ。それとは別の何かがあったと考えるのが妥当ね」
「何にせよ、これらの情報は私達だけでは理解しきれませんし、判別も出来ません。もしかするとレジェンド様なら何か分かるかもしれませんから、記録として残しておきましょう」
しのぶの言葉に頷き、リアス達はバラージでの出来事を覚えている限り細く書き記すことにした。サーヴァント、というものについては後日沙耶が教えてくれるらしい。そしてそのサーヴァントが彼らにとって掛け替えのない存在となっていくのは、そう遠くない日である。
☆
「ではこれより、レジスタンス拠点に対する攻撃を行う。気は進まんだろうが、スポンサーからの進言だ。既に現地ではそのスポンサーから送られてきた者が用意を済ませているそうだから、合流次第開始するぞ」
「目標はタッシル! 総員、搭乗!」
(何だろうな……物凄く嫌な予感がするぞ)
ジープに乗りながらバルトフェルドは胸の内に生まれた不安を拭えぬまま、タッシルへと向かう。
☆
――一方、オーブにて――
「人が突然消えた? 何だその抽象的な説明は」
「いえ、僕もそう聞いただけな上にそうとしか表現出来ないようで……」
ゲンはミライからとある事件の報告を受けていたが、何とも言えない報告にミライ自身が戸惑っているようだった。
(あの円盤生物……シルバーブルーメは消すのではなく溶かすタイプだ。だとすれば奴ではない。ならば別の怪獣か……もしくは宇宙人の可能性が高い)
己の師の一人であるセブン――ダンが狡猾な宇宙人達と戦ってきたように、彼も動機不明な多くの宇宙人と戦ってきたため、そういったことに敏感なのだ。
「ミライ、今いる宇宙警備隊と銀河遊撃隊のメンバー総出でライブラリを調べてくれ。怪獣ではなく、宇宙人の仕業である可能性が濃厚だ。放っておけば被害が拡大するのは目に見えている、急げよ」
「G.I.G.!」
「俺は直接現場を調査する。これでもチーフから『事件は情報だけでなく、五感をフル活用して足で追え』と教わったからな」
「はい、僕もそう教えられました。レオ兄さん、気をつけて下さい」
「分かっている。ミイラ取りがミイラになるなど笑えん冗談だ、特に今回のような事件は」
ゲンは笑ってはいたが、纏った空気に一部のスキもなかった。ミライは矢的やこちらに来ていたムサシ、そしてアサヒの力も借りつつ過去の類似事件を調べていくことになる。
☆
「もう寝静まる時間ですね」
「そのまま永久に眠りについてもらおう……なんて言わないよ、僕は」
「はぁ……」
このアンドリュー・バルトフェルドという男は冷酷な指揮官ではない。生きてさえいれば希望はあると考え、いたずらに命を奪うことはしないのだ。
だが――。
「警告15分後に攻げ……何だ……!?」
「隊長! タッシルが……!」
そう、突如としてタッシルの街に爆発が起き出したのだ。無論、バルトフェルド達の攻撃ではない。
「何が起きている! 攻撃命令はまだ出していないぞ!」
「隊長、アレを!」
「あれは……!」
彼らが目にしたものは、空からタッシルの街に降り立つ鋼の機体――MS。それも『ガンダム』であった。
そのガンダムは鉤爪状の腕で街を破壊し、爪の間から放たれるビームで街を焼き……その巨体で家屋を潰していく。
「何だあのMSは……!? まさか!」
『おや? 御到着でしたか。あまりに遅かったので作戦を棄却されたのかと思い、この拙僧……単独で開始してしまいました』
「何だと……!?」
『砂漠の虎と呼ばれた貴方なら御理解しているでしょう。彼らが生き延びたとしても食料や水がなければ存命は絶望的……であれば! 一思いにその命を摘み取ってやることこそ慈悲であると! かくいう拙僧も最初はそちらの作戦の方が良いのでは?と思いもしましたが今後の事も考えまして、このように』
悪びれもなくそう告げたのはあのガンダムのパイロット。彼からの通信がバルトフェルド隊全てに繋げられていた。
「どういうつもりだ! いくらスポンサーからの遣いであっても作戦ではこちらの指示を――」
『生憎と拙僧、此度の件につきましては上から『すべき事したなら自由にして良い』と指示されておりまする』
「「!!」」
穏やかに、しかし残酷な一言を告げられるバルトフェルド達。スポンサー側の者である以上、こちらの命令に相手への強制権はない。それもザフト側へ直接的な被害があるわけでもないので尚更だ。
さらに――。
『ンンンンン! しかしこのままでは逃げ延びた烏合の衆が武器を手に取り蜂起する可能性が無きにしもあらず。であれば! 見せしめというのは多少なりとも必要でしょう!』
「な……! やめろ!」
そのガンダムは逃げ惑う人々をビーム砲にて『焼き払った』。断末魔の悲鳴、恐怖の叫び。タッシルの街はたった一機と一人によって阿鼻叫喚の地獄と化した。
『ははははははは! はははははははははは!!』
「貴様……何ということを……!」
『おや? 何を仰いますかバルトフェルド殿。相手の戦意を削ぐ、戦争なれば当然のことでありましょう。ましてやナチュラルとコーディネイターの溝、簡単に埋まるものとでも? もはや戦う他ありますまい、そう……どちらかが滅びるまで!!』
「……!」
それは、バルトフェルドが悩んでいた事である。それを通信先の相手はさも当然と言ってのけた。そのものに言われてバルトフェルドは更に悩む。何が正しいのか、何がすべきなのか。
目の前の凶行を止められず、今もこうして怒りつつも呆然としているだけ。
破壊と殺戮は今もなお続けられていた。
☆
一度キラとしっかり話したカガリだが、また名前を聞くのを忘れたということで彼を探し回っている時に今度は三日月と遭遇。
「あれ? あんた、ヘリオポリスの」
「やっぱりお前もか。なら一緒にいたあいつもここにいるのか?」
「一緒にいたあいつ……ああ、沙耶さんのことかな」
「この調子でいくとあいつもパイロットなんだろ」
「そうだけど。 ガンダムXっていうこの間の戦いで凄いビーム撃ったやつの」
「!!」
三日月がそう言うと、咄嗟にカガリは飛び掛かるが身体能力と経験の差で三日月に敵うはずもなく、あっさり組み敷かれる。
「いっ……! は、離せ!」
「だって離したらまた掴みかかってくるんだろ。離すわけないじゃん」
見たところ自分と同じくらいの年齢なのに、その体格からは予想も出来ない力で押さえつけられカガリは藻掻くことも不可能。超人レスリングで関節技に興味を持った三日月は密かに学んでいたらしい。
「あんた、サーガ様にも同じように掴みかかったらしいね。ここでどんな扱いを受けてるか知らないけど、俺の優先順位は変わらないから。もし俺の大事なものに害を為すようなら――」
――潰すよ。
予想外の圧倒的なプレッシャーを放つ三日月に、カガリは心底恐怖した。見た感じの年齢は然程変わらないだろうに、その迫力は歴戦の猛者のそれだ。
無論、元の世界で死亡後、惑星レジェンドにて再度オルガ達と共に生を得てからも幾度となく激戦をくぐり抜けてきたからであるわけだが。
「二人共、そこで揉め事?」
「!」
「あ、沙耶さん。ちょっとね」
「やり過ぎないように。私は先生ほど生身で規格外じゃないから、止めるとしたら大抵大規模魔術でドカンするしかないし」
「それは物凄く痛そうだ。気を付けるよ」
そういう問題じゃない、とカガリは思ったが口にしない。ふと見ると、沙耶は頭を押さえて少々辛そうにしていた。
「沙耶さん、まだ調子戻らないんじゃない?」
「いいえ、何か……頭が痛くなったのはほんの少し前からなの。地球への降下前、あの時もこんな感じで……」
「お……おい、お前……大丈夫か?」
少しだけ息は荒いが沙耶の意識も足取りもしっかりしている。とはいえさすがにカガリも心配なのか声を掛けた。沙耶も息を整えた後、大丈夫と頷いて返事をした直後……。
「どうした!」
「空が燃えてる! タッシルの方向だ!」
それが聞こえた者達は愕然とする。
☆
そして、オーブでも――。
「ユウナ・ロマ・セイランが行方不明になった!? ……で、ソイツ誰なのみっつん」
「ホント興味ないことは頭に入ってないんですね、束博士……」
驚愕の表情から一転してあっけらかんとハテナマークを飛ばしつつ聞いてきた束に、ミツバはがっくりと肩を落としつつ「そこから説明しないといけないのか」と思ったがやって来たミナのフォローが入る。
「ウナト・エマ・セイランの息子だ」
「あ、ミナちゃん」
「一度会ったことはあるが、何というか……そうだな。矜持はあれどそれ以上に欲が強いと評するべきか」
「ほうほう。ミナちゃんも会ったことがある……その情報も加えて考えるなら身の程知らずのボンボンってとこだね」
「束博士、ちょっとは言葉を――」
「いや、強ち間違いでもないな」
「ええ……」
一度会ったきりのミナにも肯定されるほどのダメ男なのか……とゲンナリするミツバ。というか、それなら何故にそこまで大事みたいな感じになっているのだろうか?
「端的に言えばセイラン家が宰相家だからだ。そんな家系の嫡男ならば、たとえバカ息子でも不測の事態に見舞われれば否が応でも話題になる」
「ったくこれだから能無しのボンボンは困るんだよねぇ」
「全くだな。しかも、そのバカ息子の行方不明という事態を以て漸くウズミ・ナラ・アスハ以外の主だった氏族が腰を上げたらしい。アスハや我がサハク、そしてモルゲンレーテのエリカ・シモンズなどは以前から言っていたのだが……まさかアメノミハシラの件を伝えてもまだ生温い考えだったとは私も頭を抱えたぞ」
聞けばそのユウナ・ロマ・セイランとやら、護衛も付けず夜の街に繰り出した結果、例の事件に巻き込まれたとか。
「さすがバカだね」
「うむ、バカだ」
「お……お二人ともそこまでバカバカ言わなくても……」
「みっつんもバカ連続で言ってるよ」
散々な言われようだが仕方ない。それはともかく、いよいよ被害が無視出来なくなったのは事実らしい。オーブ側も本腰を入れて捜索隊を結成し、行方不明者の捜索に当たるらしいが……ミナから見ても無駄足になるだろうとのこと。オーブではこういった怪奇事件の前例が少な過ぎて対処らしい対処も出来ないということだ。
「すまんな、態々そちらにマニュアルまで用意してもらったというのに連中はロクに読んでなかったようでな……今、継国巌勝に徹底指導してもらっている」
「……それだいじょぶ? 訓練生死なない?」
「ギリギリまで追い詰めてアーシアに治してもらうマラソン形式らしい」
「つ……継国式デスマーチ……!」
そんな彼女らの心は露知らず、事件解決と今後のオーブの守りの為に巌勝特別トレーニングは更に苛烈になっていた。
それからすぐに行方不明者リストにある名前が加わることになる。
『ウルトラ騎空団・グランサイファー隊所属――』
コズミック・イラにジータやビィ共々訪れていた、グラン……ウルトラマントリガーが事件に巻き込まれたのだった。
〈続く〉
皆さん思ったでしょう。
何 で コ イ ツ な ん だ よ ! !
……と。間違いなく今後もロクな事しない。
私も書いてて「コイツ突っ込んだ所為で本来ならガンダムXがぶっ放したから救われるはずのタッシルが原作より酷いことになっちまったどうしよう」と思いました。だってコイツだもん絶対やるよコレ。
そしてオーブでも事件発生!
この事件、ファンならお分かり頂けるであろうウルトラシリーズのエピソードなんです。記念すべき第一作目の中でも知らない方はイないんじゃないかと思うあのエピソード。無論出てくる敵もアレです!
ついでに近々特別編も投稿出来そうです。遅ればせながら正月篇ということで。
それではまた次回。
二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?
-
真ゲッタードラゴン(大決戦版)
-
真・ゲッター1(スパロボα仕様)