ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER 作:ハジケハムスター・ポッポ
所謂『ペイバック』の後半パートに相当するからか比較的(本作では)短めですが、出てくるリンボともう一人のおかげで思ったより濃くなりました。
それでは本編をどうぞ。
――時を遡り、タッシル近郊――
突如として現れ、明けの砂漠の構成員を素手にて屠った謎の男――アルターエゴ・リンボと名乗った者に対して臨戦態勢を取る一誠とトライスクワッド、沙耶にしのぶ。
「ランダーズとアズは皆に被害が出ないように守っていてくれ!」
「やれんのか、大将!?」
「やれなくてもやるのが今だろ!」
「ヘッ、さすがだぜ。おう、こっちは任せときな!」
ビッグランダーの力強い返事を聞き、一誠は神器を展開。トライスクワッドも構え、しのぶも日輪刀を抜いた。
「レジェンド様と似た声であの童磨に似た空気……最悪ですね、個人的に」
「先生がふざける時は大抵笑って済ませられるし、ケアも忘れないもの。アレはそんなこととは無縁みたいだし」
人をおちょくるような態度のリンボに既視感を覚えたしのぶは徐々に怒りを募らせている。
レジェンドの人となりを知る彼女らにとっては別のベクトルでも腹が立っているようだ。
「さて、一つお尋ねしたいのですが……」
「まさか、この後に及んで命乞いとか降参とか――」
「作戦会議とかはしなくて宜しいので?」
「「「「「は?」」」」」
「いえいえ、正直拙僧とそちらでは明らかに戦力差があり過ぎなので。作戦タイムの一つも差し上げねば不公平かと思ったのです」
……これにブチ切れたのが一誠とフーマ。
「んだとテメエ! この人数で真っ向勝負なら、少なくとも一方的になりそうなのはテメエにだろ!」
「そのデカい図体、タコ殴りにしてやるぜ!」
「ちょ、二人とも!?」
「不死川さんばりに気が短いですねー」
同タイミングで一気に駆け出した二人をタイガが止めようとし、逆にそれを見たしのぶが冷静になったのも束の間――。
「ンンンンン〜拙僧、親切で言ったつもりだったのですが、不要な心配だったようで」
リンボは目を伏せ、軽く息を吐くと――向かってくる一誠とフーマを一瞬で肉迫する。
「「!?」」
「遠慮なく、いかせてもらいましょう」
「「がふうっ!!」」
想像を超える打撃を数発叩き込まれ、二人はふっ飛ばされるがタイガとタイタスが受け止める。
「イッセー、大丈夫か!?」
「フーマ、しっかりしろ!」
「ぐ……重てえ……!」
「あの野郎、あの体格であの早さとかふざけ過ぎだろ……!」
先程の言葉が単なる自意識過剰ではない事を身をもって体感し、気を引き締め直す一同。
ナタルはバラージの件があったからまだしもムウやカガリ、明けの砂漠の面々にタッシルの民達はたった一瞬の光景に唖然としている。
「あの早さ……私なら対応出来なくもありませんが、もし一撃でもまともに食らえば継戦不可能になりそうです」
「ならばこういう時こそ私のウルトラマッスルが盾となろう!」
「俺達全員で抑え込んでしのぶに決めてもらえれば!」
「厳しいとは思いますが、お願いします。あれは見た目に反して――!?」
何かに気付いたしのぶが咄嗟にその場を飛び退くと、しのぶのいた場所に猛スピードで目の書かれた紙形が刺さり爆発した。
「「「「「!!」」」」」
「生憎と拙僧、多才なので」
「ええ、そうらしいですね。多才の手前に『たちが悪い』と付きますが……!」
先程の威力を見るに、まともに受ければタイタスでも耐えきれるかどうか……そもそもしのぶが何とか反応出来るレベルの早さでバンバン遠距離攻撃されては攻撃すら思うように行えない。
近付けば予想外の力で、離れれば殺傷力抜群の紙形で……本気で悩んでいると――。
「あまり時間を掛けるのは双方にとって望ましくありますまい。というわけで……防御を怠ればどうなっても知りませぬぞ?」
「……! 皆、あいつの言った通りにするのは癪だけど徹底防御して!」
沙耶が焦ったような声を出し、その様子から危険が嘘ではないことを理解した一誠達。
彼女が何故そう判断出来たのか……それはリンボの纏う雰囲気が彼女の母達があるものを放つ時に酷似していたからだ。
「顕光殿、お目覚めを!」
突如神宮と共に禍々しい漆黒の宮司と、数多の宙に浮かぶ目に囲まれた口のある暗黒の球体が出現。
あまりにも異様な光景に見ている者達からも悲鳴が上がる。
「来たれ、暗黒の帳! 太陽は此処に生まれ変わる!」
リンボが詠唱を進めると、その球体よりさらなる禍々しいエネルギーが蠢き始め――。
「狂乱怒濤・悪霊左府!!」
辺り一面に一気にそのエネルギーが解き放たれる。
エネルギーの正体とは“呪詛”――呪いである。
あまりに膨大な呪詛は一誠やトライスクワッド、しのぶと沙耶へと濁流のように浴びせられ……体を急速に蝕んでいく。
「フフフハハハハ! ハァーッハハハハァ!!」
「「「「ぐああああ!!」」」」
「「うっ……くうぅぅぅ……!」」
「皆!!」
「前に出んな嬢ちゃん! あっち方面に詳しくねえ俺にも分かる……! ありゃヤベえなんてもんじゃねえ!」
悲痛な声を上げ近寄ろうとするアズをムウが引き留める。
「ほう? 拙僧の宝具、その特性故にすぐ死に至るかと思ったのですが……いやはや予想以上にしぶとい」
「クソ……! 俺達も修行や経験を重ねてレベルアップしてきたはずなのに、全然太刀打ち出来ねえ……!」
「何だ今の……宝具……?」
「……! 貴方、まさか……!」
「ンンンンン〜……ま、戯れはこれぐらいにしておきましょう。拙僧も暇ではないので」
そう告げたリンボが足を向けたのは沙耶の方。
この男は何やら『マスターが沙耶の母親と因縁がある』と言っていたことを思い出したアズは、無謀と知ってなお庇うように沙耶の前に立つ。
「おや? 無茶な事はやめなされ。先程まで傍観者だった貴女がいきなり戦闘など」
「分かってる。私が今この場にいるウルトラ騎空団の皆と違って、貴方相手にまるで役立たずなことぐらい」
「そうですか。ならば何故とは聞きますまい。問答などいくらしても無意味だということぐらい拙僧も存じておりまする。なれば、実力行使のみ!!」
「……ッ! アズ、下がりなさい! 私なら大丈夫、あいつの狙いが私なら殺すことまではしないはずだから!」
「でも酷い事されるのも分かってる! そんなことさせない!」
そんな二人を嘲笑うかのようにリンボが一気に迫る――
――はずであった。
妨害したそれは、あまりに唐突な――青い流星。
「「「「「!?」」」」」
二人と一人の間に落ちてきたそれは、凄まじい砂塵を巻き上げてその場にいた者達の視界を遮った。
少しして砂埃が落ち着いてきた頃に露わになった正体は――銀髪たなびく、青い甲冑と仮面を装備した小柄な少女。
「ふぅん……確かにこれは手を焼く相手だね。僕にとっては大したことないけど」
「貴女は……!」
突然現れた正体不明の少女騎士……否、沙耶は彼女の正体を知っている。
――うわーん陛下ー! また先代陛下に怒られたー!
――また会議を適当に聞いたの?
――だって僕、変温動物だもん。朝早くの会議なんて頭に入んないよ……。
――ちなみに何時からの?
――午後零時。
――……お昼よね。全然朝早くないわ。
――ええーっ!?
――ふう……お母様には取りなしてあげるから、一緒に謝りにいきましょう。
――ホント!? あ、あと他の二人にも……。
――はいはい、皆に頭を下げてあげるから。
――ありがとー! 陛下大好きー!
自分の母親である先代女王に怒られては度々自分のところに泣きついてきた甘えん坊なところもある――母直属の親衛隊とも呼べる三人の『妖精騎士』……その一人にして最強と謳われたもの。
その名は――。
「ンンンンン? その甲冑、もしや――」
「女王陛下、見てて。瞬きの間に終わらせる」
――妖精騎士ランスロット。
「ハイアングル・トランスファー!」
「ぬう!?」
ランスロットは勢いよく飛び上がり、両腕に装備している複合ガントレットらしきものを高速回転させてリンボに叩きつける。
一度は怯んだリンボだが体勢を立て直し、反撃しようとするも――。
「ファング!」
「なんと!?」
間髪入れず、複合ガントレットから光の刃が発生し逆袈裟に連続斬り。
さらに……。
「でぇい!」
「ぐうっ!」
流れるように強打をリンボの腹にブチ込んだ。
そしてそれには留まらず、より苛烈な――タイタスより強く、フーマやしのぶより早い連撃を打ち込む。
「これで――噛み砕く!!」
「ごふぉっ!!」
最後の一撃を叩き込まれたリンボは大きく吹っ飛ばされ、暫し滑空したのち砂漠に叩きつけられた。
「め……滅茶苦茶強え……!」
「何だあの早さ……!?」
一誠やタイガは元より、突然現れて単騎で状況をひっくり返したその存在にナタルやムウ、カガリを始めとする明けの砂漠の面々も息を呑んでいる。
「やっぱり意識だけ移した『写し身』じゃあこれぐらいか……全然本気で動けない」
「な……あれで全力じゃないのか!?」
「本気だったらあれの本体を捕捉して始末出来てるよ」
「「「「「!?」」」」」
――本体――。
それ即ち、今相手にしているリンボを倒せてもまだ終わりではないということ。
驚愕の事実に一誠達は愕然とするが――。
「そのうちレジェンド様あたりが対抗策考えるだろうし、それまで頑張って。あれもレジェンド様に喧嘩売るような真似はしないと思うけど、多分」
「……分からないわね、あれの性格じゃ」
「うん。それはそれとして――女王陛下、褒めて褒めて」
「本当に今回は助かったわ、メ……ランスロット」
「むふー! でしょ? 僕最強だし」
先程までの張り詰めた空気は何処へやら、見た目相応な態度の妖精騎士ランスロットにポカンとする一行。
先代女王の妖精騎士からも好かれる沙耶だが、一人には世話を焼かれ、一人には妹として大事にされ、そしてこのランスロットには優しいからとやたら甘えられるのである。
母や残る二人からは『甘やかさないでいい、むしろ厳しいぐらいで丁度良い』と言われていたりするのだが……。
そんな空気を読めないのがリンボ。
「ふ……ふふ……いやはや予想外も予想外、先代女王陛下お抱えの妖精騎士が出張ってくるとは……拙僧、些か読みが甘過ぎました」
「それもまだ甘いね。先代陛下、君に次元超越魔術でロンゴミニアドを撃ち込もうとしてたぐらいなんだよ?」
「……下手したら私達も巻き添えになるわね」
「だから僕の写し身を作ってもらってこっちに送り込んでもらったんだ。僕、御手柄だよね」
沙耶の言う通り、下手したらタッシルごと消し飛びかねなかったのでランスロットの御手柄というのは間違いない。
それにしても沙耶の母はやたら過保護というか……。
「何にせよ、先の攻撃でこちらも維持は不可能となりました故……これにて失礼」
「ッ……! 待ちやがれ!」
「待てませぬ。何せ言った通り自分では維持出来ぬほどに限界ですので――」
そう言って写し身であったリンボは消滅。
その後には何も残らなかった。
「やりすぎちゃったかな。でもあれ、下手に動けるようにしといたら何しでかすか分かんないし、ゴメンね?」
「いや、仕方ねえよ……何だよ?」
「ふんふん……なるほどなるほど……キュピピンブッピガーン!」
「!?」
「あ、大丈夫。変な意味じゃないから」
「不安しかねーんだけど!?」
何やら一誠の周囲を高速移動しながら色々な角度で眺めたランスロットが、何やら意味不明な擬音を言い出して一誠は別の意味で警戒する。
敵ではないのは分かるが、こう……説明し切れない何かというか、そんなもので。
『……こいつ、まさか』
「ドライグ?」
「あ、やっと気付いたんだ。全く役に立たなかった駄目なオマケ、略してマダオ」
『誰がマダオだコノヤロー!!』
「おい、どうしたんだよドライグ!?」
『相棒、こいつはな――』
「ネタばらしはまだ先だよ、今はまだダーメ」
ね、と小首を傾げる姿は仮面を着けていてもドキッとするものだった。
そんなとき、ランスロットの体から徐々に光が溢れていく。
「もう時間みたい。やっぱり本体から意識を写し身に移して次元超えって時間制限厳しいんだね。こんなの平然と複数やってたレジェンド様ってホント何なんだろ」
「先生だからよ。その一言で片付くわ」
「だよねー。それじゃあまたね、女王陛下。それと……君の名前は?」
「お……おう、一誠だ。兵藤一誠」
「おっけー、イッセーね覚えたよ」
「めっちゃフレンドリーだなオイ!? いやドライグの件といい、マジで何なんだ?」
「そこはいずれ知ることになるから心配しないで。あとマダオは勝手に言ったらイッセーから引っ張り出してウッドワスのレストランでステーキとして出してもらうから」
『オメーあいつよりよっぽど野蛮じゃねーか!!』
一誠ではなく、赤龍帝の籠手に向かってあっかんべーをするランスロットに苦笑しつつ、沙耶は感謝と共に伝言を頼む。
「助けてくれてありがとう。お母様にもありがとうって伝えてね」
「うん。それじゃ、失礼〜」
鮮烈な登場とは打って変わり、和やかな退場となったランスロット。
リンボも消え、それに時間を取られたことで恐らくは砂漠の虎も帰還してしまっただろう。
そのリンボによって命を奪われた明けの砂漠の構成員の弔いもある。
当面の危機は脱した一誠達であったが、まだ見ぬ新たな脅威……リンボのマスターやザフトのスポンサーという者達の存在に、彼らは一層気を引き締めるのだった。
〈続く〉
――アークエンジェル――
「よし、俺のアーゼウスのパワーを見せてやる」
「ちょ!? 三日月さん手加減手加減!」
「こ……ここは平和ね……」
「ラミアス艦長、平和に見えるけどここは戦場なんです。決闘者にとってデュエル中は戦争と同じなんですよ」
「キラ君!?」
……出撃しなかったため、とある世界線とは違い彼らは平和だった。
アフメド少年死なず→「気持ちだけで、一体何が守れるっていうんだ!」なし→平和。
リンボ、唯一良い仕事をした部分がここ。
フレイはほぼ眼中にないから、サイとの関係が拗れたりしない→サイがストライクに勝手に乗ったりしない→キラがまたまた精神にダメージ負わないでどんどんメンタル強化だけされていく……。
やばいぞラクス、メンタル強化され過ぎたらキラが甘えてくれなくなってしまう!
それはそれとして、やっとこさ次回はバルトフェルドと対面。
……下手したらキラがリンボと遭遇するかも。
それではまた次回。
二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?
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真ゲッタードラゴン(大決戦版)
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真・ゲッター1(スパロボα仕様)