ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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お待たせしました。
いよいよバルトフェルドとの決戦ですが、原作と違いかなり激しくなるので大体三話ほど使う予定です。
原作は一話であっさり決着ついちゃいましたし。

今回は60分スペシャル版と仮定すると最初のアイキャッチまで、くらいでしょうか。
まだ出だしですが……。


それでは本編をどうぞ。


迫撃のランバ・ラル小隊

 今、レセップスは出撃準備を進めていた。

 当然アークエンジェルと明けの砂漠、そしてウルトラ騎空団との決戦のためである。

 

 無論、リンボもそこにいた。

 

 

「なんでザウートなんて寄こすかねぇ、ジブラルタルの連中は。バクゥは品切れか?」

 

「これ以上は回せないと言うことで……その埋め合わせのつもりですかねぇ、あの二人は……」

 

「かえって邪魔なだけのような気がするけどなぁ、宇宙戦の経験しかないんじゃ」

 

「そもそも拙僧の『ガンダムヴァサーゴ』のように単独飛行でも出来れば砂漠でもある程度動けましょう。しかしあれらの機体、特にあの重装甲のは機体重量含めて砂漠戦では割と致命的な気がするのですが」

 

「そうだなぁ、レセップスの甲板で砲台代わりになればマシかもしれん。と言っても主武装がビーム兵器じゃ熱対流や大気の影響でそれすらままならんだろう」

 

 

 世知辛い世の中ですな、と言うリンボにバルトフェルドやダコスタも頷くしかなかった。

 ――しかし、来たのは二人かと思ったバルトフェルドだが続けて搬入された機体を見て目を見開く。

 

 

「……おいおい、話を聞いたときは来たらいいなぐらいしか思わなかったが」

 

「あの機体、アズナブル隊にしか配備されてないRFグフカスタムじゃないですか! あれを扱えるのはザフトでもたった二人……」

 

「おまけにあれは左手が機関砲……だとしたらこの上ない援軍だぞ。彼は二足歩行のMSで砂漠戦をこなし、しかも本人もゲリラ戦のプロだ。エリートの連中はゲリラ戦なんて、とか言っているが僕はああいう人が必要だと思うね。軍人でゲリラ戦を軽く見てる連中は長生きしない」

 

「ほう、それ程の人物が。してその方の名は?」

 

「猛将ランバ・ラル……二つ名を『青い巨星』。訓練じゃこのレセップスのパイロット達も扱かれたよ。こりゃ追い風が吹いてきたか?」

 

 

 バルトフェルドは歩いてくるランバ・ラルと、彼の特訓を受け格段に成長したイザークにディアッカを見て笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

「これが生の砂嵐かよ……ラル教官に教わってなきゃ泣き言の一つも零してたかも」

 

「フ、しかし今や貴公らは見ての通り感心すれど驚きはしていまい。あれだけ熱心に取り組んでくれた事にこのランバ・ラル、次代への希望を見た」

 

「ありがとうございます、ラル教官。俺はあの特訓のおかげで自分に自信が持てました」

 

「うむ。自惚れぬ程度の自信は心にゆとりを、そしてその結果、落ち着きと確かな判断力を持たせる。逆もまた然りだ。ゆめゆめ忘れぬようにな」

 

「「はっ!」」

 

 

 下手したら自分達の実父よりも親身になってくれたのではないかと思う程、イザークとディアッカはランバ・ラルとの特訓を重ねた。

 当然檄を飛ばされ叱咤もされたが、褒めるときもまた豪快だった。

 

 そんな師弟を見たバルトフェルドがダコスタとリンボを連れ、三人と合流する。

 

 

「砂漠はその身で知ってこそって考えてたが、予想以上だったよ。ようこそレセップスへ。指揮官のアンドリュー・バルトフェルドだ」

 

「クルーゼ隊、イザーク・ジュールです」

 

「同じく、ディアッカ・エルスマンです」

 

「アズナブル隊所属のランバ・ラルだ。久しいな、バルトフェルド隊長。部下達が一丸となって出撃準備を行っているのが遠目でも分かった。これも隊長と部下達に確かな信頼がある証拠だ」

 

「僕としても指揮官冥利に尽きるが、是非後で彼らに言ってやってくれ。ラルさんに言われたら皆喜ぶさ。しかしすまないねぇ、時間が押してなきゃ再会に気付けの珈琲の一杯も出せたんだが」

 

 

 片や砂漠の虎、片や青い巨星もしくは猛将と呼ばれる程の人物な二人だが、年の離れた(といってもラルの方が五歳年上程度)の友人のようにフランクな彼ら。

 ちなみにバルトフェルドが30歳、ランバ・ラルは35歳である。

 

 

「君らも宇宙から大変だったなぁ。歓迎するよ」

 

「ありがとうございます」

 

「実のところ、不安だったんだが……会ってみて分かった。君らもラルさんのシゴキを受けたな? それも相当やり込んだらしい」

 

「はい。特に砂漠戦、森林戦などは重点的に学びました。足手まといにはならないつもりです」

 

「……クルーゼ隊と聞いていたが、印象が変わったよ。いやホント、ラルさん隊長か教官職やらない? 真剣度合いによるけど教え子皆化けるぞ。彼らを見ていてそう思う」

 

「高く評価してくれるのは嬉しい限りだが、私は昔も今も前線で動きたいのでな」

 

「ま、そう答えると思ったよ。それと、スポンサーからの派遣協力者を紹介しておく」

 

 

 バルトフェルドがそう言うと、リンボが一歩前に出て執事のような動作で自己紹介する。

 

 

「拙僧『フェアリー・アブソリュート社』より派遣されてきましたリンボと申します。どうぞお見知り置きを」

 

(((……フェアリー……?)))

 

(絶対に似合ってないと思ってるだろうねぇ……いや、全く同意見なんだけどさ)

 

 

 バルトフェルドはラルとイザーク、ディアッカの表情から彼らの心の内を理解した。

 実際、バルトフェルド自身も初めて紹介されたときは眉を顰めたのだから。

 

 

「そしてあちらが拙僧の愛馬たるMS、ガンダムヴァサーゴでございまする」

 

「あれは……!」

 

「俺達の機体に似てるだって……!?」

 

「ふむ……似てはいるが、完全に別物だな」

 

「ええ、その通り。どうもフェイズシフトとやらは電力をやたら食うそうで、ならばそれを廃して出力を上げた方が良いと判断しました故」

 

 

 三人の中で唯一、ラルのみが真の違いに気付く。

 

 ――あれはバッテリー消費型ではない。

 

 どちらかといえば自分達や相対したことのあるウルトラ騎空団の機体に近いだろう。

 ただ、この場でそれを追求しても眼前の男はのらりくらりと返答するのが目に見えている上、無理に聞こうとして大事な戦いを前に仲違いなどしたくもない。

 

 

「まあ、どのような機体かは戦いになれば否が応でも知ることになる。今重要なのは敵の動向だ」

 

「っ……! そうです、足つきの動きは?」

 

「切り替えが早いな、良いことだ。あの艦ならここから南東へ180kmの地点、レジスタンスの基地にいるよ。無人察機を飛ばしてある。映像を見るかね?」

 

 

 これもランバ・ラルの教えの賜物かと感心しつつ、バルトフェルドはイザークの質問に答える。

 そこで彼はあることについてイザーク達に尋ねた。

 

 

「そうだ、ラルさんや君達に聞きたいことがあってな。あの艦にいる大型の長身砲を背負った機体と戦闘したことはあるかい?」

 

「直接は無いが、目にした事はある」

 

「自分とディアッカもです。その機体が何か?」

 

「流石に今回の戦闘は昼間になるから大丈夫だろうが……もし今後も戦う事になったなら月夜の晩だけは避けたほうがいい。理由はこれだ」

 

 

 そう言ってダコスタから端末を渡されたバルトフェルドが彼らに見せたのは、ガンダムXのサテライトキャノンで彼の部隊が殲滅される瞬間だった。

 絶句する三人を前に、バルトフェルドは多くの部下を一瞬で失ったあの時を思い出す。

 

 

「こ……これは……!?」

 

「冗談じゃないぜ……! あんな戦略級兵器をMSが普通に持ってるのかよ……!」

 

「隊長に聞いた兵器に似ているな。あちらは太陽光を使った兵器だったが、強力な反面準備にかなり時間が掛かったそうだ。その点は似ているが、問題はそれほどでないとしてもこの威力をMSが有している……つまり、ポジショニングの自由度が非常に高いことだろう。おまけに機体性能もそう悪くない。加えてその射程の長さ……確かに半端な用意では返り討ちにされるのが関の山か」

 

 

 イザークやディアッカと違ってラルは即座に分析し、バルトフェルドやダコスタは舌を巻く。

 ラルが言っている兵器とはソーラ・システムだ。

 ジオン側もソーラ・レイを使用したりしたのだが、宇宙要塞ソロモンに大打撃を与えたあれは凄まじかった。

 

 

「ならばこそ我々が動かねばなるまい。バルトフェルド隊長、ここは我ら三人が後の先を取って足つきに仕掛ける。過酷な環境でこそ真価を発揮する我がゲリラ戦法、とくと御覧にいれよう!」

 

 

 

 

 ――『明けの砂漠』アジト――

 

 そこでは慌ただしくレセップス――砂漠の虎との決戦に備えて準備が進められていた。

 あちこちから聞こえる声から緊迫感が漂ってくる。

 

 そんな中、サーガや一誠達ウルトラ騎空団はバルトフェルド以上に別の人物を警戒していた。

 

 

「……リンボは確実に出てくるわね」

 

「もし生身で出てきたら俺が対処する。機動兵器で出てきたならお前達にもまだ勝機はあるはずだ」

 

「ん……」

 

「アズさん?」

 

「何か……凄く嫌な感じがする。あのリンボって人じゃなくて、別の何かが来るような……」

 

 

 アズが感じたのと同じことをしのぶと沙耶も感じていた。

 リアスも朧気ながらではあったが……実はこの中で一番明確に感じ取れていたのはしのぶ。

 

 

「さすがにいきなりあの発禁天司が降りてきたりはしないと思うけど」

 

「……怪獣が出るとか?」

 

「でもただの怪獣なら見境無さそうだから、凄く嫌な感じっていうより普通に『何か来そう』ってならない?」

 

「最悪、怪獣が出たらダイゴに任せる。立場上連合とザフトの戦いに安易な介入が出来ないなら逆にそちらへ注力してもらえばいい」

 

 

 そもそもサーガは変身条件が厳しく、トライスクワッドも一誠と同時出撃してしまえば変身はほぼ不可能。

 その状況から言うと沙耶だけが唯一変身可能なのだが、生憎とガンダムXの方の自動操縦機能がまだ不完全なため撃墜されてしまうかもしれない。

 

 消去法でもダイゴしかいないのだ。

 

 

『私達も万が一に備えよう』

 

『ってのは建前でよ、本当は同じ世界の人間同士の戦争にゃあんま介入したくねえってのが本音だ』

 

『すまねえな、大将』

 

「気にすんなよ。それよりもし怪獣が出たら頼むぜ」

 

『おう! そん時は任せなって!』

 

『だから大将は砂漠の虎との決戦に集中しろよ!』

 

 

 ダ・ガーン達が彼らの性質上こういった戦いに不介入なのは薄々勘づいていたし、元々自分達の異世界修行。

 この戦争で彼らに頼る気は無かった一誠はダ・ガーンやランダーズにいざという時――本当に絶体絶命の危機や、非人道的な兵器もしくは戦法が行われた場合――に備えて常に出撃可能な状態で待機してもらう事にする。

 

 

「リンボが出てきたら私が相手をするわ。あの反応を見るとあれが一番狙ってきそうなのは私だから」

 

「そういえば沙耶の母が奴のマスターと因縁があるとか……」

 

「お母様、昔は何かと敵対してる相手が多かったって先生から聞いたの。女王の立場じゃそれも納得だし」

 

「となるとマスターってのが誰なのかは見当もつかねーな」

 

 

 沙耶の母――養母のモルガンが治めていた妖精國ブリテン、ハッキリ言ってそこに住む妖精の大半(割と人間も)がクズばかりだったので味方を数えたほうが早かったくらいである。

 そこに月王国ルナ・ブリテンの頃も加えたらもう悲惨、レジェンドも「妖精國も月もドクズ多過ぎだろ」と頭を抱えた程だ。

 尤も、ルナ・ブリテン建国前の月は政府関係者や大企業の上層部大半がどうしようもない連中だっただけで、一般人はそうでもなかったためモルガンにとって然程問題でもなかったらしい。

 

 そいつらを様々な方法で排斥・排除・掃除してしまえばよかっただけだから。

 

 そんなわけで、現時点ではリンボのマスターなる存在が何者かは予想し切れない。

 

 

「とりあえず、やる事は決まったし腹拵えしよう。ケバブは食べたから卵かけご飯いこう」

 

「全然ケバブ関係無いっスよね!?」

 

「三日月、せめて味噌汁も付けておけ」

 

「分かった」

 

「そういう問題なの!?」

 

 

 ……レジェンドでもない限り、飯をドカ食いしようものならその加速度でコックピットが大変なことになりかねないアルトアイゼン・リーゼに乗るのではないから大丈夫だろうが……いや、ネオ・バルバトスルプスレクスも大概だった。

 

 そしていよいよレセップス突破作戦のため、アークエンジェルと明けの砂漠が動き出す。

 

 

 

 

 ――当然、バルトフェルド達はそれを察知していた。

 

 

「動き出しちゃったって?」

 

「は! 北北西へ向かい進行中です」

 

「タルパディア工場区跡地に向かってるか。ま、ここを突破しようと思えば、僕が向こうの指揮官でもそう動くだろうからなぁ。しかしラルさん、相変わらず良い読みだ。彼らの出撃前に送られてきた出所不明のメッセージは気にかかるが」

 

「『耐電処理を行うことを推奨』……でしたっけ?」

 

「ンンンンン? それはつまり何らかの電気攻撃に対する備えですかな? むしろそれはあのグフカスタムとやらのヒート・ロッドがそうなのでは?」

 

「一応データではゲシュペンストとかいう機体がそれらしき攻撃をしてくるようだが、何もその機体に対抗するだけでこんなメッセージを送り付けてくるもんかと思ってね」

 

 

 リンボの言う通り、電気や電流による攻撃をしてくる機体があるにはあるが、敵も味方も此度の戦闘では精々一機かそこらが関の山だろう。

 ついでに言うとRFグフカスタムにせよゲシュペンスト――一誠の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改のタイプNやタイプGもあくまで武装の一つでそれしか攻撃方法が無いわけではない。

 さらに、量産型Mk-Ⅱ改はF2Wキャノン等の強力な武器さえある。

 

 

「万が一を考えてその手の処理は施したが、一体どんな場面で必要になるやら」

 

「隊長!」

 

「ん~……もうちょっと待って欲しかったが、仕方ない」

 

「然らば出撃で宜しいので?」

 

「あぁ。レセップス、発進する! 高度20、ピートリーとヘンリーカーターに打電しろ! 当然ラルさん達にもだ!」

 

「は!」

 

 

 大天使とレジスタンスを迎え撃つべく、遂にレセップスも動き出した。

 

 

 

 

 ――その光景を遠くから見ている人物が一人。

 

 

「言われた通り双方にメッセージは送っておいたよ、ベリアル」

 

『お、マジか。サンキュー、キムさん。いやさぁ、今回ばかりはほんの少しお節介しとかないと一瞬でケリついちゃいそうだし。ちゃんと送ったんだから、あとはそれをするもしないも連中次第。別にやらなくて死んでも自己責任だしな』

 

「フ……君達にとっては早いか遅いかでしかないということか。僕も似たようなものだが」

 

『そゆこと』

 

 

 その人物――アサキム・ドーウィンはベリアルと通信中だった。

 レセップスにメッセージを送ったのは彼であり、レセップスだけでなくアークエンジェルへも同じメッセージを送ってある。

 

 

「さて、そろそろ僕も少しばかり顔出ししてくるとしよう。頃合いを見て引き上げるから安心してくれ」

 

『キムさんだし、その点は心配なくて助かるよ。シュロウガの速度なら離脱は余裕だろ?』

 

「そこは問題無い。ただ、彼らの生死は正直『彼』の手加減次第だろうけどね」

 

『手加減……してくれるといいねぇ、彼』

 

 

 そう言って二人は笑みを浮かべる。

 一応手加減してはくれるだろうが……それでも『元々の能力が別次元』なのだ。

 

 それから軽く会話し、通信を終えたアサキムは出撃準備に取り掛かる。

 

 狙うは――アークエンジェルにいる、ウルトラ騎空団。

 

 

 

 

 ――アークエンジェル――

 

 

 キラとムウは出撃準備を終え、軽食をとっていた。

 ……ムウはケバブで、キラはダイゴが作ってくれたおにぎり三点セット(おかか・鮭・叩き梅)と唐揚げ。

 しかも砂漠の地でものすごく欲しい、よく冷えた麦茶付き。

 

 

「……」

 

「何ですか、フラガ少佐。あげませんよ」

 

「いや、流石に……麦茶は飲みたいけどさ……ところでお前さんはケバブだっけ? これ食わないのか?」

 

「ダイゴさんがほぼ無理矢理ミックスソース食べさせられてたので」

 

「あ、そう……」

 

 

 確かにあの特務大使なら顔を引き攣らせながらも食べそうだよなあ、とムウは思ってヨーグルトソースを掛けたケバブを口にする。

 

 

「それ、ヨーグルトソースですか?」

 

「んぁ? そうだけど」

 

「ああいや、別に大したことじゃなくて……虎もヨーグルトのが美味いって」

 

「味の分かる男だな。けど、敵のことなんか知らない方がいいんだ。早く忘れちまえ」

 

「色々と衝撃的だったんです。そう言われても簡単に忘れたり出来ませんよ」

 

「けどなぁ。これから命のやり取りをしようって相手のことなんか、知ってたってやりにくいだけだろ」

 

 

 本来ならキラは、バルトフェルドとの邂逅や問答によってもっと悩んでいたかもしれない。

 しかし、多くの出会いとその中で聞いたそれぞれの考えを受け驚くほどの速さで精神的成長をし、自分なりの信念を既に持っていた。

 

 

「敵だから忘れるとか、僕はそんなことしたくないんです。どんな形であれ、縁あって出会ったんですから」

 

「ホント、お前さん気がつくと強くなってるよな」

 

 

 これ以上は余計なお世話だと思ったムウは話を切り上げ、ケバブを食べることに集中する。

 

 ――そこへ突如、大きな衝撃がアークエンジェルを襲う。

 

 どうやら直接攻撃を受けたわけではなく、レジスタンスが仕掛けていた地雷が纏めて砲撃で破壊されたらしい。

 

 だが彼らは気付かなかった。

 

 これは戦闘の幕開けではなく、バルトフェルドから『彼ら』への合図なのだと。

 

 

 

 

 とある場所にて。

 

 

「今の砲撃、そろそろだぞ二人共」

 

「「はっ!」」

 

「……最初は少ししか我慢出来なかった若人が、今や獲物を狩るためなら過酷な環境にも耐えて集中力を切らさぬ立派な狩人よ。よくぞあの訓練に耐え、乗り越えた。いよいよだ、遠慮なく貴公らの特訓の成果を見せつけてやれ」

 

 

 ランバ・ラルを中心に、イザークとディアッカは各々の機体を砂漠の高台にて擬装し、更には熱源探知に可能な限り引っ掛からないように機体をいつでも『起動』させられるようにしつつ……じっくりと息を潜めていた。

 

 もうじき、ちょうどアークエンジェルやレジスタンスのバギーが彼らの眼前を横切る形になる。

 各種電源を切り、汗を流しつつも水分補給しタイミングを待つイザークとディアッカ。

 宇宙で戦ったままの彼らであればおそらくこんな事は出来ないしやらなかったであろう。

 

 機体の通信機能ではなく、トランシーバーを持ち込んで会話する三人。

 イザークとディアッカは間違いなくゲリラ戦のプロとして恐るべき成長を遂げていた。

 

 

「二人共、頭の中でテン・カウントを数えるのだ。カウント0と同時に足つきに実弾砲撃、その後は手筈通りに行くぞ……!」

 

「了解です、教官!」

 

「レジスタンスは無視、足つきに攻撃を集中します!」

 

 

 ――10、9、8、7、6、5、4、3、2、1……0!

 

 

「撃てえええええ!!」

 

「「うおおおおお!!」」

 

 

 それぞれが機体を即座に起動し、RFグフカスタムはカスタムジャイアント・バズ、デュエルはゲイボルグ、そしてバスターは大型レールガン……この時のために持ち込んだ実弾射撃武器をアークエンジェルへ、絶妙なタイミングで撃ち込んだ。

 

 

 

 

 かつてない衝撃がアークエンジェルを襲う。

 

 

「「「「「うわあああああ!!」」」」」

 

「うっ! くっ……状況を報告しろ! 何が起きた!?」

 

「ほ……本艦から見て西北西の位置にグフ、デュエル、バスター! 三機による砲撃と思われます!」

 

「何ですって!?」

 

「この距離は……こんな近くに潜んでいただと!?」

 

 

 それだけではない、その三機は続けて驚くべき方法で接近してきた。

 

 

「グフ、デュエル、バスター……さ、砂漠を滑りながら本艦へ砲撃しつつ接近! このままでは潜り込まれます!!」

 

「「!?」」

 

 

 そう……MSで滑り台を滑るが如く、両手で先の武器をか抱え機体を縮こませる体勢で砂漠を滑り降りてくるのだ。

 滑り降りる先にはレジスタンスのバギーが何台か……つまり――。

 

 

「「「「「うわあああああ!?」」」」」

 

 

 ――滑り降りてくるMSの巨体に吹き飛ばされてしまう。

 当然、強い衝撃を受け生身で宙に投げ出された彼らが無事で済むわけがない。

 

 

 

 

 

「砂漠で二足歩行のMSが戦いにくいなどと誰が決めた! 機体と戦い方の創意工夫! その準備を怠らなければどうとでもなるというもの!」

 

「重量で動きにくいとでも思ったか! だったらこの重量そのものを利用してやるだけだ!」

 

「ビーム兵器は強力だけどな! こういう場所じゃ実弾武器が強いってことぐらい、レジスタンスなら分かってるだろ!?」

 

 

 勢いの乗った三人は止まらない。

 狙い通りアークエンジェルの船体下部へと潜り込んだ三機はより近距離からの砲撃でアークエンジェルへとダメージを与える。

 

 

「よし、今だ! 全機フルブースト! 足つきに組み付け!!」

 

 

 ラルの号令でグフに続き、デュエルとバスターまでもがワイヤーをアークエンジェルに打ち込み、ブースターを全開にして突っ込んでしがみついた。

 

 しかもその状態でグフとデュエルはヒート・サーベルとビーム・サーベルをアークエンジェルに突き刺して少しずつ破損させていく。

 

 マリュー達だけではない、一誠やサーガ達も置かれている状況を理解して戦慄する。

 

 

 

 

 出撃したレセップスでその状況を見ていたバルトフェルドやダコスタも息を呑む。

 

 

「相変わらず恐ろしいな……鍛え抜かれた忍耐力と集中力が可能とするゲリラ戦法、誰にでも出来るものじゃない」

 

「あれが、青い巨星ランバ・ラル殿……!」

 

「あの二機もなかなかどうして、予想を遥かに上回る動きですな」

 

「クルーゼ隊と言っていたが、ラル隊の方が良いんじゃないかってくらいにな。なるほど……下り坂である必要があるものの、あの滑り台戦法は砂漠や雪原なんかじゃかなり有効だぞ。いきなり砲撃されたと思ったらMSが足を向けて滑って来るんだ。やられた方はたまったもんじゃない」

 

 

 下手にバランスを取るより安全で、ブースターが使えるならそこから一気に飛び上がる事も出来る。

 特に重量級の機体でやれたなら尚の事効果的だ。

 

 

「さて! 彼らだけに押し付けるのは良くないな。確かに彼らは援軍だが、ここは我々が任された場所だ。我々が赴かず何とするってね。決着をつけに行くぞ!!」

 

「「「「「は!!」」」」」

 

 

 バルトフェルドの号令の下、レセップスもランバ・ラル小隊に続くように進撃を開始した。

 

 予想外の強襲に始まり、協力者リンボも控えるレセップスがアークエンジェルとレジスタンス、そしてウルトラ騎空団へと迫る。

 

 

 

 

「では、僕も動くとしよう。まだ狩る時期ではないし、まして僕の狙う者がいるわけでもないが……適度な気分転換は必要だしね。さぁ……行くぞ、シュロウガ」

 

 

 アサキムもまた動き出す。

 

 今、砂漠の真ん中で決戦が始まる――。

 

 

 

〈続く〉




これ、あの二人が原作でこんな動きしてたら確実にアークエンジェルはここで沈んでましたねコレ。
正直書いてて自分で「いやこれどうやって切り抜けさせよう、切り抜けたとして今後どうしよう」レベルになってました。

次回では遂に本格的な激突。
あの黒い奴も久々に戦闘に乱入します。


それではまた次回。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
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