ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER 作:ハジケハムスター・ポッポ
次回はこちらのエピローグを描きつつ、いよいよレジェンド側……ロドニアのラボ編になります。
完全オリジナルルートなので時間がかかりそう……。
少し駆け足ではありますが、所々脳内補完していただければ。
それでは本編をどうぞ。
各所で戦いが激化する中、いよいよバルトフェルドが指揮官機ラゴゥに搭乗し出撃。
キラのストライクへと迫る。
ムウのスカイグラスパーもレセップスの苛烈な砲撃で各機の援護に向かいたくても不可能。
どの相手もスカイグラスパーではまともに決定打など与えられないだろうが、隙を作るくらいは出来るかと考えたのだが……。
「デュエルもバスターもやけに動きが良くなってるし、リンボとかいう奴の機体は性能高くてバランスが良い。おまけにいきなり出てきた黒い奴は副団長さんじゃなきゃ対抗出来ないレベルだ!? 頼みの綱の殆どが押さえられてるって冗談キツいぜ!」
さらに、三日月のバルバトスはランバ・ラルのグフと激突しており、残るはヒュッケバイン二機とゲシュペンストMk-Ⅱ・タイプSのみ。
ダ・ガーンとランダーズが加わってくれれば大きく変わるのだが、彼らの矜持というか……ともかく一誠の絶体絶命の危機でもなければ此度の戦いには参加出来ないという。
そしてダイゴが立場上おいそれと出撃出来ないのは当然である。
「こうして考えるとウルトラ騎空団に頼りまくってるのが身に沁みて分かっちまって情けなくなるぜ、大人で軍人だってのによ!」
軽口を叩くものの、ムウは情に厚いタイプなのだ。
ウルトラ騎空団各機との性能差のあるスカイグラスパーで奮闘する彼は、子供らに前線を任せきりなことに歯痒さを感じつつも己に出来ることに集中する。
「この……!」
「むうっ!?」
大型武器であるレンチメイスを回避したグフは、攻撃を仕掛けようとしたところにバルバトスがレンチメイスを起点に棒高跳びのような動きから繰り出した蹴りを間一髪避けることに成功。
「武器の隙を機体の動きでカバーするか! 見事!」
「バルバトスの動きによくついてこれるよね、しかも砂漠で。実はそれ、ガンダム・フレーム使ってない?」
「フ……生憎とこのグフに使われているのはアドバンスド・ムーバブルフレームというものだ」
律義に答えてくれるラルに三日月は悪い気をしなかった。
ゲリラ戦にしてもジッと砂漠に潜んでいたというだけで暗殺とかそういうことではないため特に怒りは無い。
敵ではあっても比較的好感の持てるタイプだ。
そこへどうにか猛攻をくぐり抜けて、キラのストライクが合流する。
「三日月さん!」
「キラ、無事?」
「ストライクとやらか。今度は二機同時にくるか?」
「……普通はストライクからとか言わない?」
「確かにこの場においてそれが軍人の取るべき最良の手段だろう。そちらに比べてまだまだ動きに粗がある。だが……」
「?」
「私は私なりの軍人として、戦士としての矜持があるのだよ!」
「「!」」
「さあ来い、二機のガンダムと若人よ! このランバ・ラル、たとえ不利な状況であろうと真っ向から受けて立つ!!」
そう言うと彼のグフは追加で携帯していたもう一つのヒートサーベルを抜き二刀流の構えを取る。
モノアイが力強く輝き、まるで剣豪の如く仁王立ちするグフの姿は機体サイズ以上に大きく見えた。
(この人はあの人と似てる気がする……軍人だけどただそれだけじゃないっていうか、上手く言葉で表現出来ないけど何か大きなものを持ってる感じがして)
キラは若干戸惑いながらもビームライフルを仕舞い、ビームサーベルを抜いてシールドを構えた。
奇しくもその光景はかつてラルの相対した、若き日のアムロの乗ったガンダムの姿に酷似している。
(懐かしいものだ。隊長の話ではあの小僧も歴史に名を残すエースへと成長を遂げたという。目の前のガンダムに乗るものからもそんな気配を感じるぞ。だからこそ、こんなところで折れてくれるなよ!!)
やがてバルバトスとストライクが同時に攻め込み、グフはそれを二刀のヒートサーベルで巧みに捌く。
どちらも簡単には倒れまい、倒されまいと僅かな時間で察した。
そこへ――。
『やる気全開のところ済まないね、ラルさん。ストライクの方は譲ってほしいんだ』
「む、バルトフェルド隊長か。なるほど、貴公もあのパイロットに感じるものがあったのだな。少々名残惜しいが代わるとしよう」
『感謝するよ。今度新作珈琲を御馳走射せてもらう』
「お互い生き延びたらな」
『ふ、違いない。武運を祈る!』
「その言葉をそのまま返そう。死ぬなよ!」
バルバトスの所へストライクが到着したように、ラゴゥもまた彼らを肉迫したのだ。
「すまんな、このまま私が相手をしたいところだが……そちらのストライクとやらには私よりも相応しい相手がたった今到着したようだ」
「え……!?」
「君の相手は私だよ、少年!」
「めっちゃ虎っぽいのがきたんだけど」
「バクゥとは違う……隊長機!? あの人か!」
ラゴゥとグフはすれ違う一瞬だけモノアイを交差させ、小さく頷くとそれぞれの相手へと刃を向ける。
「さて、獣のガンダムよ。仕切り直しといこうではないか」
「いいよ。アンタとは一対一で決着をつけたかったし」
「嬉しいことを言ってくれる! ならば期待には応えねば漢が廃るというものだ!」
ガンダムXとガンダムヴァサーゴ……沙耶とリンボの戦いは遠近に強力な武器を持つヴァサーゴが若干有利であった。
メガソニック砲はともかくストライククローが厄介で、どうにかシールドバスターライフルで防御が出来ているもののサテライトキャノンが使えない状態では決定打に欠けるのだ。
「ンンンンン! 最初の勢いがありませぬな、女王陛下」
「色々有りすぎてまだ混乱してるのよ」
「失礼、勢いはなくとも冷静でありまする。羽虫共とは違いますな」
羽虫とはレジスタンスのことだろう。
相変わらず他人の神経を逆なでするのが得意なリンボであった。
ダブルオークアンタとシュロウガ……この場において最高峰の性能を誇る二機の激突には他者の介入など不可能。
無理矢理入ったが最後、八つ裂きになる未来しか見えない。
「トラジック・ジェノサイダー!」
「ソードビット展開!」
互いに自機のみならず、ビット兵器までも展開・高速戦闘を行う様は圧巻の一言。
「そうだ、こうでなくては僕が介入した甲斐がない! 楽しませてくれよ、光神サーガ!!」
「楽しませる気はないが、手を抜く気もない!」
片や笑みを浮かべ、片や真剣に相手を見据える――正反対ながら互いの思いは一つ。
――目の前の相手に勝つ、ということだけ。
量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改・タイプGとデュエルの戦いは、予想外にも互角へと持ち直していた。
一誠が持ち前の土壇場発想で砂漠――砂を武器にし始めたからである。
「せーのっ!!」
「うわっ!? こいつ……目眩しか!」
ジェット・マグナムを足元の砂漠に放ち、大量の砂を巻き上げる量産型Mk-Ⅱ改。
しかし、イザークも慌てること無く冷静に対処しようとする……が。
「残念、目眩ましじゃなくて時間稼ぎでした! くらいやがれ! メガ・ブラスターキャノン!!」
「何!? くっ!」
タイガのゲシュペンストMk-Ⅱ・タイプSと同じ武装がデュエルのシールドに直撃し、木っ端微塵に吹き飛ばす。
砂を舞い上げたのはこの武装のチャージ時間を確保するためだったのだ。
「やってくれる!」
「総合的な実戦経験や訓練相手の難易度の高さは俺らだって負けてねーんだよ!」
「ビームが主体のそのサザビーもどきじゃ砂漠は厳しいだろ! そぉらっ!」
「ええ、確かに厳しいわね……だったら!」
「!?」
「このリバウの巨体を武器にするだけよ!」
バスターの放ったミサイルを間一髪回避し、リバウはブースターを一気にふかしてバスターへとドロップキックを炸裂させた。
Sガンダムなどと同様に普通のMSより一回り大きいリバウの突撃はそれだけで武器になる。
「うおあっ!? こいつ! PS装甲のことを考えていないのか!?」
「バッテリーの消耗を早めればいいだけでしょ! それに近くでの射撃なら、たとえ砂漠でもビーム兵器が十分機能するわ!」
「なあ、無理せず帰艦した方が良いって」
「うん……しのぶさん、お医者さんだし。二重の意味でも身体を大事にしてほしい」
「お二人が私を気遣ってくれるのは嬉しいですが、今日は大一番です。確実に勝利するため、可能な限り戦線を維持しないと。ただ、私達の機体ではまだ決定打に欠けるので、いざとなったらスーパーロボット顔負けのパワーを持つタイガさんのゲシュペンストの力を借りなければいけませんが」
しのぶが何かを感じ取って、いつもに比べて動きに張りが無いというような事態になっており、タイガとアズも心配するがしのぶは帰艦を固辞する。
念動力で知らず知らずのうちにその何かを感知しているのだろうが、最近ようやく本格的に使えるようになってきたしのぶではまだまだだということか。
「ともかく、この手の戦いは相手の頭を潰せば一気に瓦解します。この場合は砂漠の虎ではなくレセップスの方ですね」
「え、隊長機じゃなくて?」
「はい、そうです。隊長機を撃てば指揮系統は駄目に出来るかもしれませんが、パイロットが生還していたら逃げ帰られることも考えられます。何より、余程の機体でもない限りMSは母艦ありきの兵器……無補給ではパイロットも機体も保ちません」
「「なるほど、分かりやすい」」
「ちゃんと理解してくれて先生は嬉しいです」
つまり一種の兵糧攻めでもあるのだ。
この場合、戦力も兼ねているので母艦のレセップスを落とすことは即ち勝敗を決するのと同じこと。
「だからレセップスに接近・到達するか、或いは遠距離攻撃で強烈な一撃を叩き込むかしないといけません。アークエンジェルはグフと二機のガンダムで痛手を受けてますし……私のMk-ⅡもGインパクト・キャノンが間に合う前にヘリオポリスへ行ってしまったのでこちらも火力不足。タイガさんのタイプSは接近戦重視なので、難しいけれどレセップスまで辿り着けさえすればどうにかなります。よりによって別れたこちらは多くが安定重視で、しかも火力ある機体はタイプS以外全部抑え込まれてる始末……」
「レジェンドやゼットの機体とか滅茶苦茶この作戦向きだよな……」
「アルトは重装甲で加速度の凄まじい突貫強襲機、Zは変形して飛行可能な上に大出力の武器もあるし……」
三人は揃って溜息を吐いた。
ついでに言うならZガンダムと似たような機体としてライのガンダムデルタカイにモニカのリ・ガズィ・カスタム、ガイのウイングガンダム(EW)なんかもいる。
四機のうち一機でもこちらに来てくれていればと思ったが、無い物ねだりは意味がないし利益もない。
とにかく、ヒュッケバイン二機はMk-Ⅱ・タイプSを守りつつレセップスへと向かう。
それを見たムウのスカイグラスパーも彼らのやろうとしていることを察し、援護に回る。
いよいよ戦局はアークエンジェルと明けの砂漠、ウルトラ騎空団側に傾いてきた。
未だ拮抗しているダブルオークアンタを始めとしたウルトラ騎空団の各機だが、ストライクやアークエンジェルがラゴゥやレセップスを押し始めたからだ。
加えて、スカイグラスパーの支援を受けた二機のヒュッケバインとゲシュペンストMk-Ⅱ・タイプSが進行上のバクゥやザウートのみを撃破しつつ猛進。
その勢いを止めようとするも、そもそも砂漠の熱対流でビームは減衰する上にMk-Ⅱ・タイプSはビームコート、ヒュッケバインMk-ⅡはG・ウォールを搭載しているため弱体化したビームではそれらを突破出来ない。
唯一、ヒュッケバイン30のみそういった特殊防御機構がないものの前述の二機が挟むようにして攻撃を通さないため狙えない。
しかも焦って接近しようものなら近接戦闘重視で見た目に似合わず装甲も分厚いMk-Ⅱ・タイプSによるカウンターで撃破されるのがオチだ。
「これはマズイな。あの三機……特に青い機体が予想以上に連携慣れしている。あのGに似た二機も悪くない。とはいえ、こちらもそう余裕があるわけじゃないが……!」
「目の前のストライクをどうにかしないと、援護にいけそうもないわね」
「ああ。しかし……戦闘を見たのは一回、それもあの戦略兵器で多数部下を弔った時だけだが、良い腕だ」
「辛いわね、アンディ。ああいう子、好きでしょうに」
「この状況では投降するとしたらこちらの方になるんだろうなぁ」
「もう……する気なんて無いくせに」
追い詰められているバルトフェルドと同乗しているアイシャだが、二人は最期まで戦う道を選ぶ。
相も変わらぬ激闘を繰り広げるダブルオークアンタとシュロウガだったが、突然シュロウガが刃を収めた。
「どういうつもりだ?」
「いや、そろそろ時間だからさ。ところでちゃんと機体の耐電処理はしてきたかな?」
「……! あれはお前が――」
「してきたならそれでいい。尤も、あれの前ではそれも気休めになれば良いというレベルだが」
「何だと……?」
「では失礼するよ。あのヴァルキリーに再会したら宜しく伝えておいてくれ。君達が生きてたら、の話ではあるけどね」
アサキムはそう言うと、シュロウガを反転させ猛スピードでその場を離脱する。
勝手に乱入しては矢鱈とお節介をやいて、挙げ句いなくなるなどわけの分からない相手だが、とりあえず厄介なのがいなくなったことに安堵するサーガであった。
(だが、奴の言葉……ここに何か戦略兵器でも放たれるのか?)
遂にレセップスへと到達したウルトラ騎空団の三機がレセップスに直接攻撃を仕掛け始めた。
特にゲシュペンストキックは相当な大打撃を与えたようで、レセップス全体に凄まじい衝撃が走る。
ランバ・ラル達三人も、レセップスが危険ということで焦りが出てきた。
まだどうにか十分戦えているものの、動きに余裕がなくなってきている。
問題が無いのはスポンサーとやらから出向してきて、ザフトとは損得のみで繋がっているリンボのみ。
――それを見てバルトフェルドは決断を下す。
「ダコスタ君、退艦命令を出せ」
『隊長……』
「勝敗は決した。残存兵をまとめてバナディーヤに引き揚げ、ジブラルタルと連絡を取れ! ラルさん達は彼らを頼む」
「……よいのだな、バルトフェルド隊長」
「珈琲の約束を守れず、済まないとは思うがね」
「了解した。イザーク君、ディアッカ君! 納得はいかんだろうが撤退だ! 私が殿を務める!」
ランバ・ラルの号令にイザークとディアッカは唇を噛みつつ撤退を開始する。
これがそこいらの将官であれば二人とも口答えするだろうが、彼らの心の内を知るランバ・ラルだからこそ二人も従う。
「リンボ、君も折を見て離脱したまえ。色々あったが、君には世話になった。スポンサーの方々にも宜しく言っておいてくれ」
「ンンンンン、分かりました。ありきたりではありますが、武運長久を祈らせて貰いましょう。行動をあまり制限されなかったことは、素直にありがたかったですぞ」
「はは、この状況じゃ死ななければ御の字だ。それも難しそうだがな。さて……君も脱出しろ、アイシャ」
「そんなことをするくらいなら、死んだ方がマシね」
「……君もバカだな」
「何とでも」
「では、付き合ってくれ!」
リンボのヴァサーゴも離脱し、残るラゴゥはストライクへと最後の勝負を仕掛ける。
「バルトフェルドさん!」
「まだだぞ、少年!」
「もう止めて下さい! 勝負はつきました、降伏を!」
しかし、ラゴゥは――バルトフェルドは止まらない。
「言ったはずだぞ! 戦争には明確な終わりのルールなど無いと!」
エールストライカーの翼の一つとラゴゥのウイング一つがそれぞれのビームサーベルで斬り裂かれる。
ストライクには衝撃が、ラゴゥのコックピットでは機器がスパークしアイシャが小さく悲鳴を上げた。
「戦うしかなかろう。互いに敵である限り! どちらかが滅びるまでな!」
尚もストライクに迫るラゴゥであったが、突如飛来したGNソードビットによって四肢を切断され戦闘不能にされてしまう。
シュロウガが撤退したことで自由になったダブルオークアンタが援護に来たからだ。
「無事か、キラ・ヤマト」
「サーガさん! ありがとうございました!」
「こいつが隊長機で間違いないな?」
「はい……バルトフェルドさん」
「万事休すか……参ったね、一番厄介な機体が自由になっちゃこうなるのは予想出来てたのに」
さすがに状況が状況だからか、抵抗したところでどうにもならないと悟ったバルトフェルドは先程までの空気とは打って変わって、バナディーヤの屋敷で話したときのような親しみやすい話し方になる。
「投降するよ。ただし、同乗してるアイシャだけは自由にしてやってくれ。代わりに僕とこの機体は好きにして構わない。機体も砂漠のど真ん中でこうされちゃ、ジブラルタルから拾いに来ることもないだろうしねぇ」
「アンディ……」
「せめて捕虜の扱いは条約に則ってほしいな。尤も、それを違えるような人物はそちらの艦には乗っていないだろうが」
「分かりました。えっと……アイシャさんは何処か下ろしてほしいところとかありますか? バナディーヤとか……」
「いいえ、私もアンディと一緒でいいわ」
「……アイシャ」
「貴方から言ったのよ? 私が死んだ方がマシって言ったら付き合ってくれって」
クスクスと笑うアイシャに、バルトフェルドは降参といった表情で手を上げた。
どうやら言葉遊びでは彼女の方が上らしい。
「アークエンジェルに連行後は俺達の部屋と一緒にしてもらえるよう交渉してみよう。二人きりは不可能だし、俺達が監視役ということになるかもしれないが……そこは容赦してくれ」
「ありがたい。独房じゃないってことだけでも破格だからねぇ。あ、食事は質素でも構わないが珈琲だけはつけてくれないかな?」
「……さすがに豆からは挽けないぞ。そちらは先輩の方が詳しいし、この間は三日月が珈琲牛乳にしてしまった」
「……すみません、僕もそれ飲みました」
「ははははは! いや、失敬。飲めるだけで十分だよ。しかしなんだね、さっきまでどちらか云々言ってた僕が言うのもアレだが……君らと喋っていると中々どうして気が楽になる。到底無理とは分かっていても、世の中に君らのような者が多かったらと思わずにいられないよ」
「バルトフェルドさん……」
やはり、砂漠の虎――アンドリュー・バルトフェルドは話の分かる人物だった。
軍人……それも相応の立場にいる以上、それに見合った態度でなければならないのはサーガやキラ達も理解している。
だからこそ、そんな立場にいる人物とこうして打ち解けられた縁は大切にしなければ。
キラ達がそう思い、とりあえずラゴゥごとアークエンジェルへと運ぼうとした、その時。
「それではつまらないじゃないか」
「「「「「!!」」」」」
――戦場に聞き覚えがある声が響く。
キラやバルトフェルドは聞いたことがないが、一誠達ウルトラ騎空団……アズとダイゴ以外はその声の主を知っている。
「どちらかが滅びるまで、だろう? なら言葉通り真に決着がつくまで闘志を持つべきだ」
「この声……!」
「まさか……ヴァーリか!?」
「久しぶりだな、兵藤一誠。そしてリアス・グレモリーにウルトラマン達。手っ取り早くウルトラ騎空団と言ったほうがいいか?」
トレギアによって連れ去られ、消息不明となっていたヴァーリ・ルシファー。
彼の声がこの戦場一帯に響き渡っている。
――それと同時に、信じられないことが起きた。
先程まで青空だったというのに急激に暗雲が発生して広がり、雷が鳴り始めたのだ。
さらに……。
「そんな……あり得ない!」
「狼狽えるな! 状況は!?」
「え……あ……あ、あの雲の中に巨大な熱源反応! いや巨大なんてものじゃない! 推定でも大きさは数千km!!」
「「「「「!?」」」」」
「な……何ですって!?」
アークエンジェルのブリッジにかつてない衝撃が走る。
そしてそれはレセップスも同様であった。
「何だこれは!? 計器類の故障か!?」
「ラル教官、これは一体……!?」
「……もしかすると連合の第八艦隊との戦いの最中に出現した、あの機動兵器と連なるものかもしれん……!」
「「!!」」
イザークとディアッカは戦慄する。
ただの一撃で連合とザフトの大半を消し飛ばしたケンタウロス型の白き巨大な機動兵器。
アレはパイロットも含め普通ではないのがすぐに分かった。
……それと連なるものとは何か――彼らはすぐにそれを見ることとなる。
「フッ……異世界巡りの修行はしっかり実を結んだようだ」
「ンンンンン〜、さすがにコレはマスターに最優先で報告せねば」
アサキムとリンボ、あの戦場において異質だった二人もそれぞれヴァーリの『それ』に深く関心を持っていた。
特にアサキムはそれが何なのかを知り、またそれを得た経緯も知るが故に。
――そして、それは遂に彼らの前へその姿を現した。
「……は……?」
その呟きは誰のものだっただろうか。
暗雲より現したのはその『一部』に過ぎず。
青き鋼の鱗に覆われた長き体が暗き雲と空の間に蠢く。
だが、それ以上に絶句したのはレーダーにあったその巨大さ。
アークエンジェルやレセップスすら小物に見える程に途方も無いスケール。
「な……んだよ、これ……」
「ゴーデスよりも、遥かに大きい……!!」
「う……く……!」
「しのぶ!」
「私が……感じてたのは、あれから発せられる念……! でも、これは……!」
――次元が違う。
『一誠! 私とランダーズも出撃する! これは間違いなく――!?』
ダ・ガーンが言葉を言い切ること無く絶句するほどの存在感を放ち、それは頭を見せた。
――あまりに巨大過ぎる『龍』。
一誠と共にあるドライグはそれを見ただけで力の差を即座に感じとり、絶望する。
『……逃げろ、相棒』
「ドライグ!?」
『アレは今の俺達がどうやったところで絶対に敵わん! 勝てるとしたら本来の姿のサーガだけだろうが、そもそも容易に変われん以上それも出来ん! 詰みだ!!』
「な……」
「紹介させてもらおう。コイツが俺の手にした新たなる力……俺の専用機たる四霊の超機人『応龍皇』だ」
ヴァーリの言葉に反応するかのように、応龍皇はその赤き双眸を光らせた。
「応龍皇だと……!?」
「ヴァーリのやつは確か白龍皇だろ? それに因んだ名前とか……」
「違う! 問題はそちらではなく四霊、応龍という方だ! 応龍とは四霊・四罪・四凶・四神に分類される中で最上位とされる四霊に属する存在だ! 四神と同一視されやすいが四神は方角の守護神、対して四霊はあらゆる動物達の長と言われている! いわば応龍皇は他の『四』にもいるであろう龍機の頂点……四龍の長と言っても過言ではない!!」
サーガが焦った様子で説明するが、ドライグの言葉を聞いた一誠やヴァーリの念動力を感知出来たしのぶ以外は漠然としか脅威の度合いが分からない。
――故に。
「今回は顔を見に来ただけだから心配しなくてもいい。君達に手出しをする気はないからな」
「は?」
「だが、そっちは別だ」
そう言ってヴァーリ――応龍皇はその頭部をあるものへと向ける。
応龍皇が向けた視線の先にはダブルオークアンタとストライク……そしてラゴゥ。
「どちらかが滅びるまで、と言っていたのにどういう風の吹き回しか生き延びようとしている。負けたのに相手のお情けで命を拾いながら満足そうなのは気に入らないな。そこで悔しがってリベンジを誓うなどすれば話は別だったが、今の様子じゃそれも無いだろう」
「……まさか……! やめろ! バルトフェルドさんはもう戦えないんだ!」
「ああ、そうだな。だが指揮官である以上、自ら公言したことにはそれなりの誇りと責任を持つべきだ。自分で出来ないようなら俺が手助けしてあげよう」
「……! 離れろ、二人とも!!」
応龍皇の周りに雷が発生し始め、何が起きるのか察したバルトフェルドはラゴゥの無事だったブースターをふかし、運んでいたダブルオークアンタとストライクにぶつけて離れさせる。
応龍皇が双眸を光らせ、刹那――。
ドオォォォォォン!!
――桁違いの雷光が、ラゴゥに落された。
その光景を見ていた全てのものがあまりの光の強さに目を覆う。
やがて光が収まり、急ぎ状況を確認すると……。
「「「「「ッ!!」」」」」
――異常なまでの大きさのクレーターが砂漠に出来ており、跡形も無く吹き飛ばされたラゴゥの残骸が『いくつか』そこにあった。
「あ……ああぁ…………!」
「こんなものか。やはりちょっと雷を落としただけでこの有様とは」
「貴様……!」
「言っただろう、君達には顔を見せに来ただけだと。俺もまだ修行中の身でね」
ヴァーリの発言を聞いていた者達が絶句する。
あれだけの力を見せつけておきながら『ちょっと』であり『修行中』……同じく修行中であった一誠やタイガ達は愕然とした。
「それに、その程度の機体に乗っている君達を蹂躙したところで何も面白くはないし、宿命のライバルと戦いにすらならないのは俺が求めるものではないからな。次に出会った時はもう少しマシな機体と気迫であることを願うよ、兵藤一誠、ウルトラマンタイガ」
そしてヴァーリが「ではまた」と言うと、応龍皇は再び暗雲の中に姿を隠し……暗雲が晴れて青空が戻ったときにはその巨体が影も形もなくなっていた。
あったのは応龍皇が砂漠に作ったクレーターと、ラゴゥの残骸のみ。
「う……うう……
うぁあぁあぁぁぁぁぁ!!」
誰も彼もが言葉を失う中、キラの慟哭が響くのだった。
〈続く〉
これにて色々あった砂漠編は完結です。
前回投稿した特別編にも書いたんですが、今回の話とは別にある機体が大破して、ある機体が登場する別のルートも考えてありました。
しかしそうなると最低でも1.5倍以上の長さになる上に機体の種類の関係上、今の展開ではなかなか書きにくいということで見送らざるを得ませんでした。
とはいえ、機体に関しては登場が確定していたものなので折を見て出す予定です。
いよいよ本編次回から展開されるレジェンド側の話では『彼ら』も再登場し活躍します。
それではまた次回。
二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?
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真ゲッタードラゴン(大決戦版)
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真・ゲッター1(スパロボα仕様)