ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER 作:ハジケハムスター・ポッポ
例年通り年末年始が大変忙しい職種なもので、おまけによりによって右脚負傷(別に骨折とかじゃないので御安心を)したため痛みでペースが落ちてました。
今年は特別編をあと一話、本編もう一話投稿出来れば御の字かなあ……。
ゼットがケープ貰って新しい姿になりましたが、本作ではいつになることやら……本作で多芸多才ぶりは増してるんですがね、彼。
今のところ、予定通り今回含めてあと3話でラボ編を終えられそうです。
一話一話が長くなりそうですが。
それでは本編をどうぞ。
――午前2時・ペガサスA――
紆余曲折はあったものの、四人は無事揃って帰還した。
それぞれが有益な――ゼットは都合上、殆どレジェンドと同じだが――情報を手に入れて戻って来たときにまだ全員起きていたのは少々面食らったが。
「無理に起きてなくてよかったんだぞ。ルリアなんか今にも眠りに落ちそうじゃないか」
「だ……大丈夫です! ふわぁ……」
「大丈夫からかけ離れてるんだが。まあ情報はともかく、このコロラトゥーラに関しては見ない方が賢明だ。目は冴えるだろうがトラウマ確実だし」
レジェンドの言葉に『?』マークを飛ばしつつ首を傾げるルリア・アマリ・ロスヴァイセ。
揃ってその仕草をするのは姉妹みたいで微笑ましいが、明かされる事実はそんなものを根本から吹き飛ばす程に非道かつ残酷なものであることをまだ知らない。
「さて、まず施設の内部構造に関してだが……私達四人が身につけていた探索用特殊デバイスからこちらのペガサスAに送信され、ある程度はマッピング出来ていると思う」
「ゼットのものは何故かある時を境に全く動かなくなったが……」
「それはコイツのやらかしが原因だ」
「ウルトラすいません」
……まあ、そのやらかしのおかげで重要な情報を入手出来たので結果的にはプラスなわけだが。
「それはともかくとして、次は私達が手に入れた情報を少しずつ整理していこう。私が得た情報だが、あの施設は何らかの施設の上に建てられたものであることが確定した」
「それって、えーと……アイスクリームタワーみたいなものですか?」
「ルリア……いくら何でも食べ物に例えて――「似たようなものだ」例えられるの!?」
ペガサスAで数少ないツッコミポジションのアマリがアポロンゼストの発言に即座に反応する。
「あの施設が上段、元々の施設が下段……つまり地下にあるという意味でな」
「ああ、そういう……でもそれほど重要なんですか?」
「前施設の跡地に、というのであれば然程気にするものでもなかっただろう。しかし、地下にあった施設を『入口ごと封印するように』今の施設を建てたことに疑問が残る。その証拠に地下からはあの施設とは違う『何か』の反応があった」
「ペガサスAに送られてきたデータをシエルに解析させたが、アポロンゼストの言うようにあの施設とは異なるもので間違いない」
結局目的の入口は見つからなかったが、そもそもあるかどうか分からないので『何かある』と確証を得られただけで十分だ。
レジェンドなら素手で床をぶち抜いて調べられそうなものの、そんなことをすれば潜入捜査の意味が無くなるのでしなくて正解だろう。
次はレジェンドの番……ではあるのだが。
「俺に関しては、ほぼこのコロラトゥーラに関してだから後回しでいいな? 他はゼットとあまり変わらんし、ゼットの説明の補足を行うことで報告とする。どうやら俺のルートはコロラトゥーラ以外ハズレだったらしい」
「……御愁傷様でございます」
「ハズレの中にはお前の尻拭いも入ってるんだぞコルァ」
レジェンドの本気の圧でゼットが土下座。
養子のライと義娘(予定)のモニカに宥められどうにか落ち着き、レジェンドはあることを思い出す。
「あ、コロラトゥーラで思い出したんだが……お前らスピーカーから何か『喝采を』とか『クリスティーヌ』とか聞こえなかったか? 何の放送かイマイチ釈然としなかったが、それが聞こえたらコロラトゥーラが一斉にスピーカーの方を向いて集中しだしたのが多少気になってな」
「俺も気になりました。俺の見た研究員の連中も『また始まった』とか『もうそんな時間か』と言っていましたが」
「え、そんなんあったんであります?」
「「このウルトラ能天気!」」
ステラとの会話で盛り上がっていたゼットは全然気付いてなかったらしい。
これにはレジェンドだけでなくガイからもお叱りが飛ぶ、仕方ない。
それはそれとして、アポロンゼストがそのことに関して軽く補足した。
「それのことだが……どうやらそれは『バーサーカー』なる者が行っているそうだ。その呼び方も通称のようで、本名ではないらしいがね」
「バーサーカー……クリスティーヌ……後者なら少しだけ心当たりがある。喝采がどうのと含めて」
「何なんですか?」
「クリスティーヌ・ダーエ。『オペラ座の怪人』におけるヒロインとして有名だ。喝采がオペラ座ないしそれに準ずるものと仮定して、かつクリスティーヌとすれば当て嵌まるのはそれしか知らん。そのクリスティーヌ・ダーエに恋をしたのが『ファントム・オブ・ジ・オペラ』……即ちオペラ座の怪人だな」
相変わらず少量の情報で頭の中の知識から答えを引っ張り出せるレジェンドに全員が感心する。
そしてそれに続いて気になった点を質問するのはレジェンドの養子らしくチートスペックなライ。
「バーサーカーとクリスティーヌがどうも接点なさそうなんだけど。クリスティーヌはオペラ座の怪人じゃなくてヒロイン……あっ」
「気付いたか、ライ。そう、クリスティーヌの方にバーサーカーたる所以は皆無。バーサーカーと呼ばれる可能性があるとすればファントム・オブ・ジ・オペラの方だ」
「もしかして怪人だからですか?」
「違う。詳細は省くが、ファントムは徐々に暴走し恐ろしい事件を次々と起こしていった。そういった経緯が『バーサーカー』として認識され、切り取られたんだろう」
レジェンドの説明に納得がいったものの、そうだとすれば……。
「そ……それじゃあ、あの施設にはそのオペラ座の怪人がいるってことかよ!?」
「ラスティ、俺の記憶が正しければオペラ座の怪人は創作だ。それに似た何かかもしれない……って言っても宇宙であんな化け物と遭遇した以上、マジでオペラ座の怪人がいる可能性も捨てきれないけどさ」
ラスティとミゲルの意見はこの場のほぼ全員が思っていることだ。
――そう、レジェンドを除いて。
(この状況であり得るとしたら、サーヴァント。おまけにバーサーカーか……面倒だな。だとすればこのコロラトゥーラも『狂化』や『精神汚染』の結果と納得出来るが……)
「レジェンド様?」
「何でもない、ロスヴァイセ。この後のこともある、さっさと進めるぞ。次はガイだ」
「はい、レジェンドさん。ふぅ……皆、これから話すのはかなり衝撃的だ。心して聞いてくれ」
真剣な表情のガイに、その場にいた全員が気を引き締めて耳を傾けた。
「――これが俺の見聞きしてきたことだ」
ガイの話を聞き終え……それぞれ怒りや悲しみ、恐怖を抱く。
「腐ってやがる……!」
『マスター、落ち着いてください』
「ルリア、大丈夫……?」
「アマリだって顔色悪いですよ……?」
勇治は科学者として憤怒を隠せず、アマリとルリアは揃って青ざめている。
ガイが見たケース入り脳髄だけでなくその後の調査で『入所』『廃棄』という言葉も頻繁に使われていることが判明したのだ。
それはつまり、あそこは人間が道具のように扱われる施設だということ。
「冗談じゃないぜ……! 何考えてんだよ、あそこの連中は!」
「文字通り研究のことしか頭に無いのかもな」
「…………」
「おい、どうしたんだゼット」
ガイの説明を受けてから、ゼットは俯いたまま身体を震わせている。
「ゼット、話せるな?」
「……はい、超師匠。俺が……俺達が聞いた情報を話します」
――ゼットの口から聞かされたのは、一人の純粋な少女……ステラのこと。
アストラル体のゼットが視えたことも驚きだが、あっさりゼットと仲良くなったのは凄まじい順応力だ。
――それだけならば良かったのだが。
続くレジェンドが迎えに来てから得た情報は、これまで得た情報と組み合わさることでとてつもない事になるものだった。
「ステラの反対側にあったベッド……そこにもいたらしいんだけど……」
「だけど?」
「ステラは『成績が悪いからコロラトゥーラにされちゃった』って聞かされたらしいんだ」
「「「「「!?」」」」」
この言葉にレジェンドとアポロンゼストを除く全員が、レジェンドの捕獲してきたコロラトゥーラを思い出し愕然とする。
「おい、それはどういうことだ……!?」
「あの自動人形の元は、子供だっていうの……!」
「しかもその子の話だと他にも多数の子供達がいるって話だろ……!」
――そして、遂に『ある時』がやってきた。
「皆、私はコロラトゥーラの中を調べるため、このコロラトゥーラを解体する。先に言っておくが、出来る限り見ないことを勧めたい。私と団長はほぼ予想がついている」
「わ……私も見ます! 覚悟してます!」
「ルリア、覚悟どうこうの問題じゃない。正直に言えば俺とアポロンゼストを除くと、勇治とガイくらいにしか見せたくないのが本音だ。特に女子にはな」
レジェンドがそこまで言うものの、ルリアどころかブレーキ役であるアマリに加えロスヴァイセやモニカも解体見学に参加しようとする始末。
さすがにミゲルやラスティは……と思ったが、ライも含めて参加する気満々だ。
「…………はぁ」
「これは諦めざるを得ないですよ、レジェンドさん」
「そうでございます超師匠」
「ガイはいいとしてお前が言うなゼット」
根負け、というよりどうなっても知らんぞといった体でコロラトゥーラを担いで医務室へと向かうレジェンド。
何で医務室かと問われたが、彼は「すぐに分かる」としか言わない。
――その意味は、確かにその通りであった。
医務室と併設された手術室にコロラトゥーラを仰向けで寝かせてから、再度レジェンドはアポロンゼスト以外の全員に問う。
「最後にもう一度聞くぞ。これからお前達が目にするのはとんでもないものだ。トラウマになるかも知れん……というよりほぼ確実になる可能性が高い。それを覚悟しているんだな?」
息を呑んではいるが全員が頷き、レジェンドとアポロンゼストは顔を見合わせて溜息を吐くと仕方ないと言った風にコロラトゥーラに目を向ける。
「彼らも覚悟は決まったようだし、構わないな?」
「ああ。この後は自己責任だ。俺にはどうにも出来ん。力付くで叩き出してもいいが、これから俺達が戦う相手がどんな神経をしているか知っておくのも必要だろう」
「よし。ではこのコロラトゥーラの頭を開くと……」
アポロンゼストが敢えて医療器具で頭部の顔面部を開く。
「「「「きゃあああああ!!」」」」
「「「うわあああああ!!」」」
「「……う……!」」
ルリア達女性陣とゼット、ラスティ、ミゲルが悲鳴を上げガイとライさえも顔を青褪めた。
そんな中、勇治が呟く。
「これは……人間の脳だな。それに目、神経……全て人間だ」
「「「「「!!」」」」」
「これで分かっただろう、俺が確認した意味が。あそこにいるバーサーカーとやらは人間を人形に変えている」
「表皮を剥がし、骨を抜き、一部の肉と神経を残す。そしてそれを人形の中に押し込める。そうして生み出されたのがこのコロラトゥーラだ」
――コロラトゥーラの頭部の中にあったもの……それは紛れもなく人間の『中身』。
レジェンドは一先ず一番衝撃を受けたであろうルリアとアマリを一度医務室にある洗面所へと移動させる。
「……よく頑張った。もういいぞ」
「うっ……うぇっ……!」
「ぅぷっ……!」
相当堪えたであろう、二人は涙目で嘔吐した。
レジェンドは背中を擦りながら二人が落ち着くのを待ち、医務室で待つか部屋に戻って休むかを選ばせたところ、二人は医務室で待つことを選んだ。
……忘れがちだが、彼女らは空の世界にてエルステ帝国で実験体にされていたのだ。
コロラトゥーラの中身を見てそれがぶり返したかもしれないと、レジェンドは二人をベッドに寝かせて暫し休んでいるよう言ってから手術室に戻る。
コロラトゥーラの頭部は再度無機質な人形の面で隠されていたが、アポロンゼストと勇治以外の顔色はまだ悪かった。
「あの二人は?」
「さすがに堪えたようだ。かくいう彼女らも実験体にされていたからな。ゼットは覚えているだろう?」
「「「「「な……!?」」」」」
「エルステ帝国の、アガスティアでのことでございますね」
これにはラスティやライ達だけではなくアポロンゼストも驚いた。
彼女らのことはそれなりに聞いていたが、女性だからと過去の事はあまり深く聞いていなかったからである。
「凌辱されなかっただけマシだと連れ出す時に思ったものさ。まあ、それはそれ。今はこっちの方が問題だろう。今までの情報からこれが何を意味するか、分かるな?」
「……子供がコロラトゥーラにされたってことは……!」
「十中八九、この中身はその子供のものだろう」
ここで遂にラスティが爆発した。
「何だよそれ……何だよそれ!! あの施設って連合のなんだろ!? じゃあ連合はこんなことを平気でやってんのかよ!! 意味分かんねえよ!! ナチュラルとかコーディネイターどころか人として間違ってんだろ!! なあ!!」
「やったのはバーサーカーって奴だろうけど、それを擁してるのは連合だよな。少なくともあそこにいるナチュラルの連中は、子供以外クズだってのが分かったぜ……!」
ラスティに続き、ミゲルも怒りに体を震わせる。
そしてゼットも口を開く。
「……ステラも……」
「ん?」
「ステラもこうなる可能性があるってことですよね、超師匠。俺の話、目を輝かせて楽しそうに聞いてた……笑顔で笑ってたステラも、こんな風に……」
「……彼処を野放しにしておけば、いずれそうなる可能性はあり得る」
同じくステラを知るレジェンドはゼットの気持ちが理解出来た。
彼処で訓練されている以上、戦闘時は性格が変わったりするかもしれないが……少なくとも普段の彼女は好奇心旺盛で純粋な少女だ。
「……父さん、ちょっと手伝ってほしいんだけど」
「どうした、ライ」
「あの施設って、父さんから見てもデラシオン案件だよね?」
「確かにな。あんな連中が他星にまで手を伸ばし始めたら確実に有害だ。そうなればデラシオンは間違いなくこの星、下手したらプラントまでリセット決定するぞ」
「だよね。だからさ、跡形も無く消してあげるんだ。その為にフレイヤ弾頭をデルタカイのロング・メガ・バスターに装填して、あそこ撃ち込んでやる」
フレイヤ弾頭――正式名称『Field Limitary Effective Implosion Armament』――簡単に言うと、究極のクリーンな核兵器である。
核兵器だが起爆時には爆発、熱反応、放射能は発生せず第三次影響圏(第二次、第三次影響圏内に強烈な突風が発生し、広範囲に甚大な被害を及ぼす)終了後は後遺症は一切無く、リミッターを設定すれば効果範囲や起爆時間の調整が可能というとんでもない代物。
「待ってライ! あれも一応核兵器だからニュートロンジャマーとかいうのの影響を受けて無効化されそうなのはともかく、さすがにそれは――」
「「「「「か……核兵器!?」」」」」
「うん、父さんに何とかしてもらいたいのはそこ。リミッター設定は僕がやるからニュートロンジャマー対策を」
「まずフレイヤをあんなところにぶち込むという発想から離れろ! てかお前まだ子供達や善良な職員(がいたらいいな)が彼処に残ってることを忘れてるぞ!!」
「じゃあ救出後は?」
「寧ろ殺れ」
「さすが父さん!」
「「「「「いや駄目でしょ!?」」」」」
愉悦モードで笑いながら首を切るハンドサインを行ったレジェンドにパァッとなるライ。
血が繋がっていないのに考えることも感性も似ているこの親子を全力で止める一同。
特にアポロンゼストに至っては施設の地下まで消し飛ばされそうで絶対に阻止せねばならない。
どうにか二人を宥め、落ち着かせたアポロンゼスト達だが比較的温厚なライがこんな強硬手段をとろうとする程にキレている。
休んでいるルリアとアマリを除く全員がレジェンドとライを止めるべく動いたものの、先のラスティとミゲルのように彼らも連中の所業に我慢の限界を超えていた。
加えてアポロンゼストが告げる。
「ふう……さて、こうなると気になる点は二つ。まず一つ目だが『バーサーカーは何故こんなことをするのか』ということだ。誰か分かる……団長はあっさり答えに辿り着いたようだな」
「え……本当なんですか、レジェンド様!?」
「まあな。芸術の観点から見ると、これはつまり憎悪と潔癖だ。『人間を醜いと思う憎悪』と『人形を美しいと思う潔癖』……」
「なる……ほど? あの、よく分からないんですが……」
ロスヴァイセが正直に言うとレジェンドは「だろうな」と短く呟き、手っ取り早く掻い摘んで教えた。
「まあ、ようするに……
趣味の範疇だってことさ」
「「「「「ッ!!」」」」」
レジェンドとアポロンゼスト以外の全員が驚愕し、同時にかつてない怒りを覚える。
「趣味!? こんなとんでもないことをしておいて趣味だって!?」
「ファントム・オブ・ジ・オペラがそのバーサーカーだと仮定してだ。元々奴は徐々に暴走して事件を起こしていったから、コロラトゥーラのことを考えると既に暴走していた頃の状態だろう。加えてバーサーカーなのだから確実に『狂化』はしているな。下手したらその状態でさらに『精神汚染』まで加わっているかもしれん。つまり役満、それもタチの悪い三倍満ってところか」
やれやれといった風にレジェンドは溜息を吐き腕を組んだ。
「狂化と精神汚染、元から狂人なのにそんなものが加わったらブッ壊れるのは当然といえば当然なんだが」
「でも間違ってます! こんな……」
「そこでもう一つの気になる点だ。コロラトゥーラにされた彼もしくは彼女は元に戻せるのか」
「……! そうだ、レジェンドさんなら!」
「おお! 確かに超師匠なら何かのスゲーパワーでちょちょいっと!」
レジェンドの偉業の数々を知るガイとゼットは期待を込めた目でレジェンドを見、他の者も希望を見出した眼差しでレジェンドへと視線を向けた。
……のだが……。
「不可能だ」
当のレジェンドは表情を変えず、そう一言。
「なっ……!? どうしてですか!?」
「俺はこのコロラトゥーラの元になったのが誰か、それ以前にそもそも元の形はおろか性別すら分からん。せめてそのコロラトゥーラの中身は誰のものか、そして元はどんな形だったのか分かれば完璧に戻せるが何も分からん状態では戻せんぞ」
「そんな……」
嘘である。
レジェンドがやろうと思えばあっさり解決可能なのだが、何でもかんでも頼ってレジェンドにより解決などしてしまえば成長などしない。
ましてやこの異世界修行、多くの経験を糧に心身をより鍛えるためのものだ。
辛いことだろうが乗り越えなければならないこともある。
「もはや人形にされた者は生きているのではなく、生かされていると表現するのが正しい」
「「「「「…………」」」」」
「さてと……それを踏まえた上で明日、いやギリギリ今日か? まあそこは別にいいか。あの施設をどうやって消し飛ばすかを決める」
「「「「「え!?」」」」」
レジェンドを除く全員、それこそアポロンゼストも驚きの声を上げた。
あまりにもドライなので『俺達に出来ることはコイツの冥福を祈るだけだ』で締めくくられると思っていた彼らには正に青天の霹靂な流れ。
「何だお前ら鳩が豆鉄砲くらったようなツラして。それとも宇宙猫か?」
「あ、いや……でも超師匠、あまりにこう……冷静なんで……」
「このウルトラ馬鹿たれが。感情論だけで何でも上手くいくわけないだろ。そもそもお前らが爆発するのを分かってて俺まで爆発したら誰が場の収拾をつけるんだ」
というかレジェンドが爆発しようものならサーガがいてもどうにもならない気がするが。
何にせよ、レジェンドは基本的に非情ではない。
外道には容赦無く制裁するだけで。
「じ……じゃあ!」
「お前がステラに約束して肯定したろ、俺は。今すぐギャラクシーレスキューフォースに連絡してこの文面を送れ。ドギーかスワンにと送ればあいつらも事の重大さが分かるはずだ」
「押忍! ウルトラマッハでマックスさんも驚きの最速送信してきます! いざ!!」
ビシッとレジェンドに敬礼し、マジで最速を発揮したゼットだが自動ドアの反応前に出ようとしたためガンッ!とぶつかり「あ痛っ!?」と蹲るも、即座に復活し通信室へ直行。
残された者達も、本当の意味で希望を手にしたような表情になっている。
「改めてだ、此度の俺達の目的はかの施設の完全な破壊と子供達及び善良な職員の解放。そして各種データの全確保と、可能なら地下にある『何か』の調査。異論は無いな?」
「「「「「はい!」」」」」
レジェンドの確認にガイとライ、モニカにロスヴァイセ、そして作業を終えて合流した流がハッキリ返事し、勇治とアポロンゼストもしっかり頷く。
ただ、ラスティとミゲルは二人で何かを相談していた。
というのもここで返事をすればウルトラ騎空団に参加するも同然だからだ。
確かにザフト所属として連合の施設の異常性を放っておけず破壊した、とでも言えば大義名分は立つだろう。
元より廃ナチュラル思考が評議会を始め徐々に浸透しつつあるプラント、子細を説明されれば称賛はされど二人を責めるようなことはないと思われる。
だが、そうした成果を持って帰ったところで戦争が終わるかと聞かれたら答えは、否。
もはや『ナチュラルがこんなことをしていた、ならばこちらはこうしてやろう』とさらなる火種になることは想像に難くない。
――故に二人は考えた。
偶然の出会いから生を手繰り寄せ、今までの生から自分達の進むべき道を。
本来であればもう少し先であっただろう、彼らの辿り着いた答えは――。
「言い忘れていたな。お前達二人は立場上、団員や関係者ではないため無理に――」
「団長さん」
「どうした?」
「俺達も今回の作戦に参加させてくれ」
「「「「「!」」」」」
ミゲルが発した言葉、それはつまり……。
「……一つ聞く。それは『ザフトとして』か? 『コーディネイター』か?」
「いいや、俺だけ……俺達だけの意思だ」
「アークエンジェルにいた時もさ、トールやミリィなんかと楽しくやれたし……逆にザフトにいた時も『同じコーディネイターなのになんでアイツらが』って言われた事もあるし。結局、ナチュラルもコーディネイターも同じ『人』なんだなって。どうしてこんな簡単なことが頭からすっぽ抜けてたんだろって思ってさ」
「それが今回のことでハッキリ分かった。ナチュラルでもコーディネイターでも、むしろどんな種族や人種でも変わらない。良い奴もクズもいて千差万別。団長さんだってそうだろ? 光神とかいう神とは次元が違う程偉いにも関わらず、人間と同じ目線で考えてくれてる。ぶっちゃけ今回のことも、ザフトのタカ派だったら『ナチュラルの施設など被害お構いなしに叩き潰してしまえ!』だと思うぜ?」
ラスティもミゲルも、前を見据え己の意見を言っている。
もはや『ザフトの一兵士』ではない。
「というわけで改めて!」
「ミゲル・アイマン、並びにラスティ・マッケンジー! ウルトラ騎空団への移籍、または転職を希望します!」
敬礼と、淀みなく告げられた言葉。
兵士ではなく『一人の人間』として得た答え。
「移籍か転職とはまた思い切った決断だな」
「言っとくがウチはエースパイロットだらけだし、エリートや一世界にある一組織のエースだからとデカい顔は出来んぞ」
「戦闘艦なのに美味い食事が食えて、アットホームなだけでも十分すぎッス!」
「しかも福利厚生や娯楽完備、しかも個人意思尊重ときたらモチベーションも違うしな。ガチガチの規律だらけな軍とは比べるべくないぜ。残してきた家族は気にかかるが……」
「確か弟と母親だったな。実を言うと先日からプラントに俺直属の部下を一人潜入させている。そいつに連絡して定期的に様子見と援助を行うよう頼んでおく。あ、援助はポケットマネーでやるから気にするな。見返りはお前の働きに期待する、ということで構わんか?」
「本当か団長さん!? 何から何まで頭が上がらなくなったな……ありがとう」
なんのなんの、と笑うレジェンドに、ミゲルはレジェンドが皆から好かれ頼られる理由がまた一つ分かった気がした。
そこへ、ゼットが再び駆け込んでくる。
「超師匠! 連絡完了でござ……あれ? なんか雰囲気柔らかくない?」
「おうゼット、これからミゲルとラスティも同僚だ。下手に先輩風吹かさず仲良くやれよ」
「そういうことだ。改めて宜しくな」
「シミュレーターでの訓練、また世話を掛けちゃうけど」
「お? おお! こっちこそ宜しくプリーズ!」
先程までとは一転、ウルトラ騎空団らしい明るさを取り戻し、そんな空気を感じたのか幾分楽になったアマリとルリアもやってきた。
「二人共、大丈夫か?」
「はい、ありがとうレジェンドさん」
「ただ……この作戦が終わるまではお肉、食べたくないです。我慢します……くすん」
「ルリアはそっちの方がショックなの!?」
……アマリはともかく、ルリアは変な期間限定トラウマになったらしく、最初はポカンとした面々だったが理解したら「俺も豆腐と納豆にするわ」や「わかめ食おうぜ」などと盛り上がり、ルリアもようやくいつもの笑顔を見せた。
「さてと、決行は今夜……今夜でいいんだよな? 突入班は前回同様俺達四人。今回はデータの吸い出しをアポロンゼスト、その護衛にガイ。そして子供及び善良職員の救出を俺とゼットが行う。他の面子は機動兵器による施設の破壊だ」
「幸い子供達やそれの世話等に関わる棟は離れている。そことガイが調査した部屋……つまりデータ吸い出しを行う場所以外は遠慮なく攻撃してくれて構わない。限度はあるが」
「勇治さんと俺は?」
「流とキャプテンにはいつでもこの艦を動かし、収容と離脱が出来るようにしておいてほしい。おそらくそこそこの人数が乗艦することになるだろうから、迅速な対応が求められるからな」
「ま……まさか勇治さんに理不尽に鍛えられたクルースキルが早速活かされることになるなんて……」
「褒めてるのか貶めてるのかどっちなんだアンタは」
次々と決まっていく救出&破壊作戦。
そうなってくると後の問題は機動部隊の配置などだが……そこはレジェンドが養子のライに一任。
何処ぞの仮面リベンジャーBLACKに匹敵する頭脳と猫に懐かれない花のお兄さん(仮)ボイスに並ぶ運動能力・操縦技術を持つ彼は小隊指揮にもってこいの人材だ。
「まずは逃げ道を塞ぐ。そしてじわじわ嬲り殺す」
「「「「「用意周到なテロリストか!」」」」」
「言ってみれば黒の騎士団って大義名分を盾にしたテロリスト集団みたいなものだからさ」
「ラウンズにも似たようなのいたけどね、ブラッドリー卿とか……」
婚約者である元ラウンズのモニカに言われてライは咄嗟に「父さんとそいつを入れ替えて考えてみよう」と言ってしまい、ルキアーノ・ブラッドリーとグラウサム・ヴァルキリエ隊をレジェンド(マジンガーZERO)ととりあえず四人、黒歌(ソウルゲイン)・ロスヴァイセ(サイバスター)・アマリ&ルリア(ゼルガード)に入れ替えてみた。
――とりあえず喧嘩売ったら死ぬ。
レジェンド以外が真っ青になったのでこの話題は即終了。是非も無し。
それはともかく、気になったのはミゲルとラスティも機動部隊に組み込まれていること。
彼らの乗機はまだ決まっていないため、用意もされていないのだが……。
「万が一、アルトが使えなくなった時の為にと持ってきていた機体がいくつかある。その中から選んでもらう」
「「「「「用意周到すぎる、さすが団長!」」」」」
さすレジェであった。
しかもその中に……。
「え!? ウソ!? ガンダムMk-Ⅴあるじゃん! 俺これ、これにする!」
「マジか……! 俺はガンダムキュリオス一択だ! 高機動型なら今回の作戦にうってつけだろ!」
まさかの二人の推し機体がある始末。
テンション爆上がり状態の二人はレジェンドに礼を言って機体を正式に受領、本体と合流後徐々にアップデートしていくことも決定した。
そんなとき、アポロンゼストが口を開く。
「……実を言うと、私はこのコロラトゥーラを悪用する気でいた。爆弾に改造し、施設へ戻し、特定の場所で爆発させようとした。無論、それらは全て私が行うつもりでな」
「「「「「!」」」」」
「だが、出来なくなった。雰囲気的にも、私の心としても。どうやら私は臆病者になってしまったらしい」
「それは違うぜ、ゼッさん! いいじゃんかそんな臆病者で! 外道に堕ちる前に踏み止まれてウルトラ良かった!」
「その覚悟は認めるが、実際はゼットの言う通りだ。臆病者というがこの場合は臆病者であることが正しい。平然とそれを実行するのなら、あそこにいるバーサーカーよりも理知的なだけに過ぎん。よく決断し、この場で告げたな」
ウルトラマン二人にその判断を好意的に受け取られ、残るウルトラマンオーブ――ガイも満足気に頷いている。
この瞬間、アポロンゼスト――かつての『ユーゼス・ゴッツォ』は本当の意味で彼らに認められたことを嬉しく思った。
故にとる行動は一つ。
「団長。このコロラトゥーラを楽にしてやってくれ」
「任せろ。グロくない方法でやってやる」
アポロンゼストからの頼みを快諾したレジェンドは今も横たわるコロラトゥーラの傍に立ち、本来は大きく円を描くようなスパークレジェンドの動作ではなく、まるで小さなモノを撫でるような動作から両腕をゆっくり広げ、そこから放たれた柔らかな緑の光でコロラトゥーラを覆っていく。
やがてコロラトゥーラも緑の光へと還元され消えていった。
その場にいた者全てがその声を聞き、レジェンドは去り行く魂へ願う。
(――汝の光の旅に幸あれ)
それは転生の環へと向かう魂へ贈る、最高位光神からの祝福。
光の一粒が消えるまで、彼らはそれを見守っていた。
「よし! 英気を養うにはちと短いが、作戦決行までは各自身体を休めて万全の体制で望め! 特に勇治ィ! お前が一番この指示を守らなそうだから念を押しておく!!」
「ちょっと待て!? 何故私だけ名指しなんだ!?」
『自業自得で擁護出来る要素もありません、マスター』
「シエル!?」
レジェンドに思いっきり指摘され、自ら作ったAIにも味方されず狼狽える勇治だったが、周りは声を上げて笑っている。
心は重なった。明日への希望は彼らの中に。
〈続く〉
正 に 外 道。
悪性隔絶魔境新宿由来の話ですが、悪辣さが増してます。
リンボのがマシに見えるって何だコレ。
ライ、本当に血ィ繋がってないの?
絶対レジェンドの同類だろこの外道への愉悦っぷり。
少し早いけどミゲルとラスティが正式加入。
それぞれの乗機も手に入れました。
ぶっちゃけガンダムMk-Ⅴの方は明らかにGATシリーズより高性能なんですが。
次回、いよいよロドニアのラボ決戦開始。
それではまた次回。
二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?
-
真ゲッタードラゴン(大決戦版)
-
真・ゲッター1(スパロボα仕様)