ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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大変お待たせしました、ロドニア編の決戦です。
ある程度駆け足部分はありますが、どうにか書きたいところまで書けました。
次回でロドニア編は決着、エピローグを長くなっても次話にまとめるかその次に持ち越すか悩んではいますが、概ね予定通りにいけそう。

前話がトラウマやシリアスを重点においた内容だったので、今回はギャグっぽさや爽快さに趣きをおいた感じです。


それでは本編をどうぞ。


約束の光

 連合施設の壊滅とそこに入所させられている子供達及び善人(後者はいるならば)の救出を万全の態勢で望むべく、ペガサスAにいるウルトラ騎空団の面々は準備を終えてからは休息に専念していた。

 

 艦長の勇治はシエルに促され仮眠、流はここ最近書けなかった日記を書いている。

 

 ガイとゼットはミゲル、ラスティと組んでシミュレーターで軽く特訓。

 やり過ぎると休む時間が無くなるので切り良く2セット、コンビを変えて行いその後は食事しつつ談笑。

 

 ライとモニカはそれぞれの専用機の案をアポロンゼストに相談中。

 何か良い感じの機体があればそれをベースに、というアイデアが出たのでそれを意識してみることにした。

 

 そしてレジェンドだが、久々に寝まくろうとしたところをルリアとアマリ、更にはロスヴァイセまで勢揃いで一緒に寝に来たので左右に加えてレジェンドの身体の上にまで包囲されてしまった。

 しかもよりによって乗っかったのがロスヴァイセだったために色々柔らかくて危険な状態に……ならなかった、さすレジェ。

 とはいえ、三方向から女性特有の柔らかさと良い香りがするのは安眠効果もあったらしく、四人揃って爆睡。

 

 ――そうして迎えた決戦の刻。

 

 

「よし、全員準備は出来てるな!? いざという時に腹が減っただ眠いだトイレ行きたいだの言うなよ!! 全部済ませたか!?」

 

「「「「「おー!!」」」」」

 

「では……作戦開始!」

 

 

 迷いを振り切ったアポロンゼストの力強い号令により……今、一大作戦が決行された。

 

 

 

 

 深夜0時、ロドニアのラボ――。

 

 子供達は眠り、研究員とコロラトゥーラのみが活動している時間帯。

 

 

『おお……喝采せよ、我が天使と共に謳え』

 

「もうこれにも慣れたもんだな」

 

「奴のいうクリスティーヌか? あれの言うことは分からんよ」

 

 

 スピーカーから聴こえてくる声にコロラトゥーラが反応するが、今日は何かが違った。

 

 

 ――デンドンデンドンデンドンデンドン♪

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

 いきなり声からティンパニを叩くような、先程までとはまるで違う音楽が流れ始め――。

 

 

『やめろゼット! ダブルゼータはまだ完全じゃないぞ!』←レジェンドの声

 

『現状で十分は動きます!』←ゼット裏声

 

『しかし、ハイメガキャノンは無理だ!』

 

『いざとなれば、ぶつけるまでです!』←やっぱり裏声

 

『ゼット!』

 

『ゼット! 目標はあくまで敵の主力だ! ザコには目もくれるな!』←勇治マジ声

 

『コーチ……はい!』←しつこく裏声

 

『月影!』

 

『行け!』←マジ声続行

 

『発進!!』←いい加減にしろ裏声

 

 

 あまりに理由の分からない音声に『何だ今の』『いよいよ本格的に壊れたのかバーサーカー』などと言われ始めたが、当のバーサーカーはクリスティーヌの歌を中断・上書きされて唖然としていた。

 

 ――そして、その直後。

 

 

 

 

 

ドオォォオオオン!!

 

 

 

 

 

 大爆発と共に、大きな揺れが施設を襲った。

 

 

「「「「「うわあああああ!?」」」」」

 

 

 

 

「ふん、掴みは上々といったところだが……入れないだろうと高を括ったツケが回ってきたな。コロラトゥーラ以外にロクな戦力が無い。とっととバーサーカーをブチのめしてやりたいところだが、そういう時に限って出てこないのがセオリーか」

 

 

 先程の爆発と揺れは、レジェンドが物理的に容赦なく壁を爆砕して突入したからだ。

 ゼットも後に続くが、今のレジェンドは超攻撃モード。

 赴いた世界で手に入れた『ディステニィストーン』の一つである『邪のオブシダン』こと『オブシダンソード』を右手に、そして魔王遺物の一つ『魔王の斧』を左手に持った殲滅仕様のレジェンドだ。

 この二つの武具、凄まじい反面どえらいデメリットが存在するのだが……レジェンドはデメリット無効どころかそれを吸収増幅して攻撃力に変換したり特性付与したりで返ってメリットにしてしまっている

 

 かの呪いの王すらドン引きするであろう所業、やはり元祖三大チートラマンは伊達ではない。

 

 

「さて、俺らの目的は陽動及び救出だ。施設をブチ壊しながら目的地に進むぞ」

 

「……俺、いる意味あります?」

 

「さて、申し訳程度の施設戦力ども。

 

 

 

 

 

 かかってこいやぁ!!

 

 

 ゼットの質問をスルーして、レジェンド(とゼット)は迫りくるコロラトゥーラを一方的に蹂躙しつつ爆進する。

 

 

 

 

 レジェンド達が大暴れしている頃、アポロンゼストとガイはガイが侵入出来た部屋――即ち脳髄ケースの部屋に突入していた。

 幸いにもこの騒ぎの際、施設の研究データを保護しなければと入室し、PCのパスワードも入力済で立ち上がったところをガイがその研究員を気絶させて叩き出す。

 すかさずアポロンゼストは持ってきた大容量記憶媒体に全データの移行を開始する。

 

 

「大したもんだ」

 

「私の本職は研究者だからな」

 

 

 褒められるようなことはとても出来なかったが、と付け足しつつアポロンゼストは続ける。

 

 

「君がここを見つけてくれて助かった。ここの研究員は賢いのかバカなのか分からないが、どうやらこの部屋のこのPCにここでの研究の全データを纏めていたらしい」

 

「手間が省けるっちゃ省けるが……逆に言えばここを押さえられたら全部御破算ってことだよな」

 

「ああ。まさしく相手にとっても手間が省ける、というわけだ。そろそろ全研究データの吸い出しも完了する。ペガサスAに連絡を頼む」

 

「了解だ。しっかり吸い出したデータがあっちにも転送コピーされてるかも聞いておく」

 

 

 これが出来る男達である。

 

 そしていよいよ、この施設にいる研究員にとって地獄の時間が幕を開けた。

 

 

 

 

 ガイから連絡を受けたペガサスAの艦長・勇治はあちらの記憶媒体に吸い出された全データがこちらにも同期されしっかりコピーされていること、及び突入した四人の現在地と子供達の寝泊まりしている棟を確認し……。

 

 

「……各機出撃! 容赦無くブチ壊せ!!」

 

『マスターが珍しく説明不足なので補足しますが、彼ら四人のいる場所と、子供達がいると予想される別棟へは攻撃しないで下さい』

 

 

 連中の所業が所業だけに気が立っている勇治を艦船AIのシエルがフォローする。

 レジェンドあたりは万が一攻撃してしまっても大丈夫な気がするが、いつものノリでカウンターしてこないとも限らないし。

 

 

 

 

 

 ――格納庫――

 

 

「よし、まずは別棟との通路を遮断する。幸い父さん達は施設をブッ壊しつつ別棟まで進んでるし、ガイさん達は指定された脱出ルートを進行中だ」

 

「つまり空爆ね」

 

「そうなると飛行形態に変形出来る俺らの機体の出番だな」

 

 

 ライとモニカ、そしてザフトのパイロットスーツではなくソレスタルビーイングのパイロットスーツ……オレンジ色、つまりアレルヤ・ハプティズムと同じスーツに身を包みレバーを握ったミゲル。

 彼らの機体による突撃離脱戦法が第一陣。

 

 

「それから俺のガンダムMk-Ⅴを前衛、ルリアとアマリのゼルガードとロスヴァイセさんのライン・ヴァイスリッターが後衛から援護しつつ、施設を手当たり次第ブッ壊す! あんなとこ、戦争関係なくあっちゃダメだもんな!!」

 

「はい! いざとなったらバハムートです!」

 

「せめて救出と脱出が終わってからね」

 

「今回は派手に動かず狙い撃ち主体で助かりました……」

 

 

 ゼルガードは勿論だがガンダムMk-ⅤもC.E.のMSより一回り大きく、実はジェネレーター出力やスラスター総推力は宇宙世紀における数世代先のデルタカイすら上回るトンデモスペックだったりする。

 

 そして遂に出撃の時は来た。

 

 

「皇ライ、ガンダムデルタカイ出る!」

 

「モニカ・クルシェフスキー、リ・ガズィ・カスタム出ます!」

 

「ミゲル・アイマン! ガンダムキュリオス、目標に飛翔する!」

 

「ラスティ・マッケンジー! ガンダムMk-Ⅴ、発艦するぜ!」

 

「アマリ・アクアマリンとルリア!」

 

「ゼルガード、行きます!」

 

「ロスヴァイセ、ライン・ヴァイスリッター出撃します!」

 

 

 

 

 

 発進した六機の機動兵器が夜空を駆ける。

 少しすると例の施設が見えてきたため、比較的短時間の滑空しか出来ないガンダムMk-Ⅴは着地するが、この機体は宙間戦闘か陸戦が主流……つまりはここからが本領発揮だ。

 

 

「ラスティ、派手にぶちかませ!」

 

「おう! 団長さんがブッ壊した部分が見えるけどそれはそれ、コイツもくれてやらァ!!」

 

 

 ミゲルに後押しされ、ラスティのガンダムMk-Ⅴがビームライフルで施設と外を遮断していた強固な壁を破壊する。

 

 

「普段なら無抵抗の連中を攻撃するのは躊躇するけど、今回はあいつらのやってたことがことだけに……ってあれ? 連合もMS持ってたのか? 何かジンに似てるような……いや、どっちかって言うとシミュレーターでやり合ったザクに似てるような……」

 

 

 まさかというべきか、破壊された壁の向こう側からゆっくりと複数のMSがマシンガンを構えて歩いてきた。

 しかし、動きがあまりにも緩慢で明らかにパイロットが乗っているとは思えない挙動。

 そもそも連合がMSの量産に成功して実戦配備されているという情報は全く無い。

 開発に関してはGATシリーズがロールアウトしているものの、それも一部の者しか知り得なかったことだ。

 

 

『動きから察するにAI制御、それも然程精度は良くなさそうだ。これならモブパイロットが乗った量産機のがマシなレベルだな。大方見た目のインパクトで脅しに使う気だったといったところだろう。事実、あの機体郡からは生体反応が無い』

 

「ってことは遠慮なく破壊していいってことだよな!」

 

 

 勇治から通信で告げられたことを瞬時に理解したラスティのガンダムMk-Ⅴはビームライフルを仕舞い、ビームサーベルを抜いてブースターを吹かし一気に距離を詰め敵MS……RMS-006 ジェニスを真っ向から斬り裂いた。

 AI制御はビンゴだったらしく、仲間を失っても緩慢な動きは変わることがなく、コックピットからパイロットが脱出する気配も無い。

 

 

「まさかとは思うけどハッチ開けたらコロラトゥーラが座ってましたとかないよな……?」

 

「ぅええっ!? そうだったんですか!?」

 

「い、いや! まさかの話だって!」

 

「まさかの話でも想像したくないわ……」

 

「あそこの人達のことを考えたら違うと言い切れないですし……」

 

 

 ラスティが若干怖さを感じ、ルリアは驚き、アマリとロスヴァイセももしやと背筋が寒くなる。

 とはいえ、勇治いわく生体反応が無いとのことだったので流石にないだろう。

 

 

「と、とにかく! 気持ちを切り替えて、ここは俺に任せてミゲル達は施設をぶっ壊してくれ!」

 

「こっちはありがたいが、いいのか?」

 

「正直ヘリオポリスでも俺だけ失敗してたしさ、もう所属は違うっていっても汚名返上・名誉挽回させてくれよ」

 

「……そういやアスラン、やられたお前放置で任務優先したんだっけ。軍人としては正解なんだろうけどな……」

 

「……自分で言ってから思い出してアレだけど、とりあえずアスランと再会したら鼻フックデストロイヤーしてやる」

 

 

 ……アスラン・ザラに合掌。

 

 ペガサスAに属する誰もがそう思ったのはさておき、ラスティだけでは万が一が起きたときに対処しきれない可能性を考慮して、ゼルガードとライン・ヴァイスリッターも援護役として同行することになった。

 つまり可変機と、人型の二組に別れた感じだ。

 

 しかしながらエリートの証である赤服のラスティにとって不十分なAIしか積んでいない量産機では相手にならず、ゼルガードのドグマとライン・ヴァイスリッターのハウリング・ランチャーによる援護もあって全撃破には大した時間が掛からなかった。

 

 

「あっちは問題なさそうだから、僕達は施設の壊滅に専念しよう。施設の研究員は出来るだけ撃たないように注意しつつ、どんどん追い詰めていく方向で。破壊するポイントは今リ・ガズィとキュリオスに送った。ちょうど三方にあるから別れて潰していくよ」

 

「分かったわ」

 

「助かる。闇雲にバラまきゃいいわけじゃないしな」

 

 

 今回キュリオスは重爆撃テールユニットを装備しており、三機の中で最も爆撃性能が高い。

 その為、無闇矢鱈と発射すれば不必要な犠牲が出るかもしれないのだ。

 ……まあ今回に限っては研究員全滅でもいいのかもしれないが。

 

 準備が準備が出来た三機は容赦無く施設を爆撃し、研究員の逃げ道を塞ぎつつ追い詰めていく。

 

 頼みの綱のAI制御MSも蹂躙され、逃げ道も潰され……いよいよ研究員達の心が絶望に染まる。

 そんな中でも、自分達は間違っていないと思っている時点で救いようがない連中が殆どで最早更生不可能。

 長きに渡る研究で感覚がおかしくなってしまったらしい。

 

 機動部隊側は順調、ガイとアポロンゼストも間もなく任務完了。

 残るはレジェンドとゼットによる救出作業のみ。

 

 

 

 

「すごく揺れてる、どんどん大きくなってる……」

 

 

 最初の衝撃で起きたステラだが、不安になったのはその衝撃が断続的かつ少しずつ近づいてきたことにある。

 例によってレジェンドがコロラトゥーラ相手に施設をブッ壊しながら突き進んでいるからなのだが、別れ際に通信機器でも渡していれば違っただろうにそうでないステラは知る由もない。

 

 

「……ステラも、コロラトゥーラになるの……? 怖い……助けて、ゼット……!」

 

 

 そうすると突然自室の扉が開かれる。

 

 

「おい、ステラ!」

 

「予想通りだけど仕方ないよな! こんなん聞いてないよ!」

 

「スティング、アウル……!」

 

 

 同じ施設の仲間――研究員達には単なる個体程度の認識だろうが――のスティング・オークレーとアウル・ニーダ。

 どうやら彼らも異常事態に気付いて行動を起こしたらしい。

 

 

「いつもはこの時間に部屋の外へは出れないはずなんだが、どうやらイカれちまったのか開いたっきりになってな。けどこれはチャンスだ」

 

「コロラトゥーラとか大人が来る前に皆と逃げようぜ! こんなとこにいたら明日は俺達が他のやつと同じになるかもしれないんだ。だったら少しでも好きに生きたいだろ!」

 

「え……あ……でも、ゼットが助けるって……」

 

「ゼット? なんだそりゃ?」

 

「何でもいいけど、こんなことになってるのに来ないんじゃ助けになんて来ないっての!」

 

 

 スティングは幾分冷静だったが、アウルの方は若干焦りが見える。

 状況が状況だけに仕方ないだろうが、まだコロラトゥーラが動き回っていることをスティング共々目にしているため遭遇したくないからだ。

 

 

「ともかく、後のことは後で考えるぞ!」

 

「あっ!」

 

「うん? うわあっ!!」

 

「ぐおっ!?」

 

 

 ステラが声を上げ、何事かと振り向こうとしたアウルとスティングが衝撃と共にふっ飛ばされた。

 そこにいたのは二人を訝しんだ先の話のゼット……ではなく巡回していたコロラトゥーラ。

 

 

「ひっ!?」

 

 

 ゆっくりと迫ってくるコロラトゥーラに短い悲鳴を上げたステラだったが、どうにか気を持ち直してその身体能力を活かしコロラトゥーラに蹴りを叩き込んだ。

 

 ……が、元より倒せるなどと思ってはいなかったものの蹴った場所が悪かった。

 ちょうど頭部を狙ったおかげで面が外れ、レジェンド達が見たコロラトゥーラの中身を三人は見てしまう。

 

 

「「うわあああああ!!」」

 

「いやあああああ!!」

 

 

 訓練の関係上、血に耐性はあれど丸出しの臓器に耐性など無い彼らは激しく動揺する。

 加えて、レジェンド達は停止させていたがこのコロラトゥーラはそうではない……つまり中身丸出しのままステラへ迫ってきているのだ。

 

 恐怖のあまりステラは腰が抜けて身動きがとれず、スティングとアウルもダメージが大きくどうにか体を動かせる程度。

 

 

「――」

 

「やだ……やだ……!」

 

 

 ゆっくりと迫る脳と眼球剥き出しのコロラトゥーラに、恐怖で身体を動かせないステラはいよいよ泣き出してしまう。

 

 

「ステラ! っぐ……!」

 

「ッてぇ……! やめろよこの化け物! おいっ!」

 

 

 スティングとアウルの叫びも効果は無く。

 

 絶体絶命のステラが涙ながらに口にしたのは――。

 

 

 

 

 

――ご唱和下さい、我の名を!

 

「ウルトラマンゼットォォォ!」

 

「ゼットランスファイヤー!!」

 

 

 

 

 

 突如、コロラトゥーラが燃え上がり爆散する。

 三人は爆風に目を閉じるが、何かが走ってくる音に身を強張らせるも『それ』は……。

 

 

ズルッ

 

 

 ――あっ。

 

 

ズシャアアアァァァァァ!!

 

 

「ブヘアァァァァァッ!!」

 

「!」 「「!?」」

 

 

 どうやらド派手にすっ転んだようで、そのまま三人の所へ顔面スライディングしてきた。

 

 

「な……何だ? これ……」

 

「コロラトゥーラじゃないよな、コロラトゥーラを倒しちまったし……」

 

「……ゼット?」

 

「「え」」

 

 

 そう、ステラが言っていたウルトラマンゼット。

 二人としては「コレが!?」な顔でステラと倒れたままのゼットを交互に見ているが、次の瞬間ガバっと顔を上げたゼットに驚いて一歩後退る。

 

 

「おお! 無事だったかステラ! ステラの声が聞こえた方に行ったら、コロラトゥーラが後ろ向きで突っ立ってたからバックアタック仕掛けてやるぜと技ぶっ放したんだが、中身飛び散ってないよな!? てか中身見てないよな!?」

 

「「「……見た……」」」

 

「しまったァァァ!! ついでに新しい顔の二人にも見られてたー!! あれ? 俺のことも初めて見るー?」

 

 

 先程までの恐怖を一瞬で払拭したゼット。

 命の危険を脱して安心したステラは、思いっきりゼットに抱きついた。

 正直アザゼルや花のお兄さん(仮)がいなくて良かった光景である。

 

 

「ゼット、来てくれた……! ちゃんと助けに来てくれた!」

 

「約束しただろ、俺達が助けてやるって! 俺は約束を守るウルトラ戦士だぜ!」

 

「うん! あれ? レジェンドは一緒じゃないの?」

 

「あ、超師匠なら――」

 

 

ドゴオォォォオン!!

 

 

「おうゼット、しっかりステラと再会出来たようだな」

 

「再会と救出一緒にやったらしくて、コロラトゥーラ一体爆散させました」

 

「ファイヤーしたのかお前。まあアイスしたら中身見えたまんまだしなぁ、俺みたく簡単に一振りで跡形も無く消し飛ばせりゃいいんだが」

 

「通常攻撃が超必殺技クラスとか今の俺には到底無理なんでございます」

 

 

 だよなー、と壁を破壊して現れたレジェンドと暢気に会話するゼットだが、ステラはまだしもスティングとアウルはコロラトゥーラさえ可愛く見えるとんでもない人物の出現に真っ青。

 ゼットの方はまだ良かった……直後のやらかしで和んだから。

 

 

「ど……どうするんだよスティング……! 絶対ヤバいって……!」

 

「そんなこと分かってる……! でもステラが……」

 

「ん?」

 

「「ひぃっ!?」」

 

 

 レジェンドが視線を二人に向けたため、今度はステラに続き二人が悲鳴を上げた。

 ついでにゼットもステラも何故二人がレジェンドに対して悲鳴を上げたのか理解出来ていない。

 

 

「スティング、アウル、レジェンド優しいよ?」

 

「特訓はウルトラ厳しいぜ」

 

「おいコラゼット、お前ステラの優しさをゼスティウム余計な事でふっ飛ばすな」

 

「ゼスティウムすいません」

 

「何ソレ新表現?」

 

 

 最初は反論しようとしたスティングとアウルも、レジェンドとゼットのやり取りを聞きある程度警戒を緩める。

 それとレジェンドはおまいう。

 

 

「まあいい。二人はステラ同様、ここの施設に入れられてる子供で間違いないか?」

 

「あ、ああ。何か変な放送が流れて、大きく揺れた後に断続的な揺れが続いてるから、この機に乗じて逃げようとして……」

 

「あの放送なー、俺達が突入前に収録した三文芝居。それと、最初の振動は俺が原因だ。ほれ、さっきの登場見たろ?」

 

「……あー……」

 

 

 あっけらかんと言い放つレジェンドに、スティングとアウルは納得と同時に何も言えなくなった。

 

 

「んで逃げようとしたら何やかんやでコロラトゥーラに襲われて、そこをゼットがレスキューファイヤーした結果、今に至ると」

 

「めっちゃ省略されたんだけど」

 

「あんましのんびりもしてられんしな。さて、俺らはこのままお前達のような子供らを救出しに向かうが……そのまま逃げてもよし。俺らに同行してナビゲートしてくれるなら助かるが、強制はしない。そして最後に、残りたければこのまま残っても構わん。お前達の好きな道を選べ」

 

 

 『道は用意した。あとは自分達次第。』

 

 レジェンドいつも通りのスタンスである。

 ステラは最初からこの二人が来たら「ついてく」という気だったらしく既にゼットの背後にくっついていた。

 対してスティングとアウルは決めかねている。

 レジェンドとゼットが信用出来る人物であることはステラの様子ややり取りから理解したものの、レジェンドの規格外ぶりやゼットが宇宙人であることを飲み込みきれないのだ。

 

 

「余程のことがないなら逃げる事を勧めるぞ。一通り救出を終えたら、俺達は『バーサーカー』とケリをつけに行くからな」

 

「バーサーカー?」

 

「このコロラトゥーラの元凶だ」

 

「「!」」

 

 

 それを聞いた二人の心は決まった。

 

 

「俺もついて行く。正直、俺らだけじゃ万が一見つかった時にどうしようもなさそうだからな」

 

「お、俺も! それにコロラトゥーラを作ってる奴がどういうやつなのか拝んでやりたいし!」

 

「逃げ道に関しては俺が破壊したところを通れば問題無く行けると思うんだが。ま、ここで押し問答して時間を削るのは非合理的だし……ついてくるのは良いが、自分で決めたことだ。後悔するなよ」

 

 

 そう言ってレジェンドはステラが「まずあっち!」とゼットにくっつきながら指を指した方向へ施設を破壊しつつ再び進撃し、スティングとアウルも慌ててそれに続く。

 

 ……ちゃんと各々の部屋にあった備品を全て回収しながら。

 

 

 

 

 

 爆砕と救出を繰り返し、レジェンドとゼットが救出した子供達は百人を優に超えていた。

 途中で世話役の研究員もおり、とりあえずボコボコにしようとしたレジェンドは三人を含む子供達の必至の懇願で渋々中断し読心術で善人であることを看破。

 一先ずは子供達共々連れて脱出することに決めた。

 

 

「これであらかた回ったな。残るはこの先か」

 

「さっきから気味悪い歌声が聞こえるんだけど……」

 

「十中八九バーサーカー……いや、ダミ声っぽいが女性的、クリスティーヌの方だろう。とはいえ、バーサーカーも一緒にいると見て間違いあるまい」

 

 

 怯える子供達や職員だが、それをゼットが励ます。

 

 

「大丈夫! 俺達がいる! しかも超師匠はウルトラすげぇ逸話が数え切れない程ある大人物だ!」

 

「た……例えば?」

 

「大規模マフィアを一人で、かつ一晩で壊滅」

 

「「「「「そちらの方、何もんですか!?」」」」」

 

「ウルトラ騎空団の団長です」

 

「ぴーす」

 

 

 ゼットの紹介にドヤ顔でピースサインするレジェンド。

 ちょっぴり口元が猫っぽくなっている。

 それを抜きにしても、今日これまでやってきたことだけで十分凄さは分かるというもの。

 

 

「とりあえず黙らせるか。デッドボール投げられてるようなもんだし――」

 

 

 レジェンドがオブシダンソードを両手で持って大きく振りかぶり……。

 

 

 

 

 

「黙れおらー!!」

 

 

ドガッシャアァァァン!!

 

 

 

 

 

「「「「「扉を打ち出したあああああ!?」」」」」

 

 

 打ち出した扉が奥にいた何かに轟音を立てて直撃し、派手に倒れる音と共に「クリスティーヌゥゥゥ!?」という叫び声も聞こえてきた。

 

 

「よし行くぞ」

 

「大丈夫ですかね?」

 

「あんなダミ声クリスティーヌに俺が負けるとでも? 『TAKE ME HIGHER』をダイゴやサーガと歌って踊れる男だぞ俺は」

 

「いやそっちは全く心配してませんけど」

 

 

 床にぶっ刺しておいた魔王の斧を引き抜き再び二刀流にしてずかずか入っていくレジェンドと、ツッコミ入れつつステラを引っ付かせたゼットが後に続く。

 そんな二人(三人?)から離れぬように、びくびくしながらも子供達と世話役らも追いかける。

 

 

 

 

 

「クリスティーヌ……おお……クリスティーヌ……!」

 

「貴様に悲しむ資格は無いぞ、バーサーカー」

 

 

 レジェンドが蹴飛ばした扉の下敷きになっている、コロラトゥーラとは違う髪のある自動人形。

 おそらくそれがバーサーカーの言うクリスティーヌだろうが、レジェンドの一撃は想像以上に重かったらしく既に機能を停止していた。

 

 

「散々他者にやらかしておきながら自分の大切なものが何かされたら悲しむだ? 因果応報、もしくは『撃っていいのは撃たれる覚悟のあるやつだけだ』か? この場合」

 

 

 養子のライから「変態仮め……ルルーシュが言ったんだけど」の前置きと共に教わったことなのだが……せめてそこで告げる名前は変装した姿のものであってほしかった、と思うのはルルーシュのみならずレジェンドもだったりする。

 言い間違えた(?)仮名が酷すぎるから。

 

 そんなレジェンドの言葉に反応し、バーサーカーは彼らの方を向く。

 声と後ろ姿から一見青年に見えたが、その顔の右半分は明らかに異形。

 そして異形ぶりをより際立たせているのはその鋭く異常に長い、赤く染まった五指……否、もはや手全体が人のソレではない。

 

 

「「「「「う……うわあああああ!?」」」」」

 

「「「「「ひいぃっ!?」」」」」

 

「アイツが……バーサーカー!」

 

 

 レジェンドやゼットを除き、老若男女問わず眼前の未知なる存在に恐怖のあまり叫び声を上げた。

 ゼットも最大限の警戒をし、ゼットランスアローを構えた状態ですぐ動けるようにしている。

 

 唯一人、レジェンドだけはさして普段と変わりない。

 

 

「何処のどいつが貴様を召喚したのかは知らんし、この際どうでもいい。今まで好き放題やったツケを払ってもらおうか。当然利子付きでな」

 

「喝采が……クリスティーヌには喝采が必要だ……」

 

「意図的な喝采は喝采ではない。ただの三文芝居に過ぎん」

 

「おお……クリスティーヌ……! クリスティーヌに喝采を!!」

 

「……駄目だなコイツ。案の定、狂化のみならず精神汚染も――!?」

 

 

 バーサーカーが天を仰ぎ、両腕を広げると何かが駆けつけてくる。

 その足音は十や二十に留まらず、優に百は超えていた。

 

 そして彼らを包囲するように現れたそれは……。

 

 

「超師匠! なんか戦闘員っぽいのがワラワラと……ってかたまに強そうなの紛れ込んでます!」

 

「ドロイドだと……? しかも下級のアーナロイドのみならず中級のバーツロイド、上級のイーガロイドまでそこそこいるな。別に俺から見れば的がデカいだけのサンドバッグだが、この人数を護りながらだとちとキツいかもしれん。おまけに包囲されてるしなー」

 

「まともなトーンから急にのほほんとしないで下さいよー!!」

 

「いやあ、だってさ……」

 

 

 ゼットも焦り、子供達や研究員達も恐怖している中でレジェンドは余裕そうだ。

 

 それはそうである。

 

 何故なら彼らが今いる場所へ続くもう一つの通路、そこから三つの足音が聞こえてきたからだ。

 

 

「な……何だ!? まだ何か来るのか!?」

 

「勘弁してくれよ……!」

 

「どうすんだよ! なあ、アンタ!」

 

「どうするも何も……全撃破だろ。ほれ、お誂え向きのキャストも到着したことだし」

 

 

 お誂え向き、と聞いて足音が止まった方向を見てると――。

 

 

「犬のおまわりさん……?」

 

 

 そんなステラの第一印象に。

 

 

「……だって、ドゥギー?」

 

「フッ……俺には不似合いな、可愛らしい表現だな」

 

「けどフッサフサですよね、毛並み」

 

「これもスワンのブラッシングのお陰だ」

 

「リ……リブットさん!! ……と、どちら様?」

 

「間に合ってくれたか。もう少しで俺が大暴れするところだったぞ。もう結構暴れたけど……あれだ、アバレジェンドって戦隊ヒーロー名良くね?」

 

「強過ぎてあまり変身出来なさそうですが」

 

 

 切羽詰まったこの状況ですら気にならない人物の到着……そう、ギャラクシーレスキューフォースの三人。

 

 青年リブットことウルトラマンリブット、クルーガー・インダストリーの社長たるスワン・クルーガー。

 そしてスワンの夫にして伝説九極天の一人、ドギー・クルーガーがサングラス装備で堂々推参。

 

 ロドニアのラボへの強襲作戦は、ギャラクシーレスキューフォースの三名を加え遂に最終局面へ突入する。

 

 

 

〈続く〉




レジェンド・ゼット・勇治参加の御芝居放送はトップをねらえ!のシーンから。ノリノリだなこいつら。

外でも中でも大暴れのウルトラ騎空団、とばっちりというかラスティ生きてりゃそうなるわな的な扱いになるアスラン。
そして当然の如くやらかすゼット。
この締まらなさが彼らしい。

最後の役者も揃っていよいよロドニア編クライマックスです。
その前に気分転換の特別編書きたいなぁ……。


それではまた次回。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
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