ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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お待たせしました。
今回から新章『どうして空は蒼いのか』へ突入します。

この章ではサブタイトルをグラブル原作に倣い、漢字一文字にしますので『サブタイおかしくない?』と疑問に思わなくても大丈夫です。

今回はサブタイ通り新章開始話なのでシリアスとギャグ(日常)パート半々かな?


それでは本編をどうぞ。


どうして空は蒼いのか


 ――翌日。

 

 前日、シン・アスカはウルトラ騎空団に留学生として迎えられ、ヒリュウ改の借りた一室で目を覚ます。

 レジェンドから艦内施設等の簡単な説明と団員用多目的端末ウルフォンの支給を受け、挨拶も程々に昨日は早々床に就いたので比較的目覚めは良い。

 

 

「そういえば……今日は見送りが来るんだっけ」

 

 

 寝間着から私服に着替え、部屋から出て早速出会ったのは……。

 

 

「……おう、シン……早いじゃねーか……」

 

「レイトさん!? 何でそんなボロボロなんですか!?」

 

「いや……今日から空の世界へ行くだろ……? その前にって一度一誠達も一緒にレオ……ゲンと模擬戦してな……文字通りコテンパンにされてきた……」

 

 

 力なく笑うレイトだったが、予想していたのか悔しさのようなものは無い。

 少し肩貸してくれ、と申し訳なさそうに言うレイトにシンは急いで彼を支える。

 

 

「起きたばっかなのに悪いな……」

 

「これから俺は食堂に行きますけど、いいですか?」

 

「おう……俺らも飯食う前にやり合ってな……腹減っちまった」

 

 

 

 

 

 レイトを支えながら食堂に到着したシンは、レイトと一緒にゲンに挑んだ一誠らも来るはずと聞き、近くの席にレイトを座らせた後で辺りを見回すと。

 

 

「おー早いな、初日だし緊張してあんま寝れなかったか?」

 

「あ、おはようございます! 団……ちょおおおおお!?」

 

 

 レジェンドがタイタスとフーマをそれぞれ肩と脇に抱えてやってきた。

 隣にはオーフィスが一誠とタイガの足を掴んで引き摺ってきたようで、二人はタイタスとフーマと違い呻き声を上げている。

 

 

「え……遠慮なく引き摺られた……」

 

『オーフィス! お前少しは情けとかかける気はないのか!?』

 

「うるさいマダオ。マダオの所為で朝ごはんに遅れた。お代わり出来なかったら砕く」

 

『ヒィィィィィ!?』

 

「なあ……俺、カラータイマー鳴ってないよな……?」

 

「うん、鳴ってない」

 

 

 オーフィスの体格上仕方ないとはいえ、曲がり角等も一切の配慮なく歩いてきたためぶつかりまくったらしい。

 ある意味朝の組手よりダメージを受けてないかそれ。

 

 オーフィスは食堂に着くなりさっさと二人の足を離して食券を買いに行ってしまう。

 

 

「え……えっと、大丈夫……じゃ、ないですよね」

 

「まあ自分達で選んだ結果だし大丈夫だろ。おら、お前らもいつまで気絶してんだ」

 

「「ぶへっ!?」」

 

 

 シンには軽く気遣ったのに、レジェンドは容赦なく運んでいたタイタスとフーマを投げ捨てた。

 レイトがシンに支えられながらもちゃんと自分の足で食堂に辿り着いたことを踏まえると、残りの四人は修行不足と判断したらしい。

 

 

「レイト、動けそうか」

 

「動けるけどあんま早くとか無理だわ……くっそ、暫くやれないからって思いっきり全身に打ち込みやがって……」

 

「となるとあんまし重いものは無理。冷奴定食でいいか?」

 

「悪い……頼んだ」

 

「よし、昨日教えたことを実践してみるぞ。シン、食券買いに行くぞ」

 

「は、はい!」

 

 

 ウルトラ騎空団艦艇の食堂において、メインメニューの他に日替わりメニューが用意されている。

 それこそ蛇倉苑のメニューであり、この騎空団の目玉の一つなのだ。

 

 

「すっげー……!」

 

「そうだろうそうだろう、旅立ちの景気付けだ。何でも好きなもの選びなさい」

 

「あ、ありがとうございます! 牛丼のつゆだくで……」

 

「紅生姜大盛り!」

 

「紅生姜大盛り……えっ?」

 

 

 レジェンド以外の声が聞こえたので振り向くと、先日のテストで解説をしていた凱と、命が笑顔で立っていた。

 

 

「あ、昨日の……」

 

「獅子王凱だ。改めて宜しくな! それから、こっちが俺の専属オペレーターで……」

 

「凱の婚約者の卯都木命よ。宜しくね、シン・アスカ君」

 

「こ、こちらこそ宜しくお願いします! あ、すぐ買っちゃいますから!」

 

「焦らなくてもいいぜ。しかし俺と同じく朝から牛丼を頼むとは……相当気合い入ってるな!」

 

 

 自分と同じメニューを選んだ者がいることで、凱は嬉しそうに笑う。

 というのも、牛丼自体は割と頼む者がいるのだがつゆだくで紅生姜大盛り頼みはいないとのこと。

 紅生姜の方は凱の声につられて……という感じだったのだが、後に割とイケたとシンは語る。

 

 

「ところでレジェンド様、一誠君達が呻きながら匍匐前進してたんですけど……」

 

「レイト共々ゲンと朝から組手してやられたそうだ」

 

「「あぁー……」」

 

 

 凱も命もそれだけで全て察した。

 まあそのうちリアス達が手助けするだろうと思い、レイトの分の冷奴定食も持って取っておいた席に戻ると、オーフィスが爆盛カレーを頬張っている真っ最中。

 ついでにミニサイズのゴジラがハンバーグに豪快に齧り付いている。

 

 

「んん? いましたっけ、あれ」

 

「たぶん食券買う時に出てきたな。変にちょっかい出さなければ何もしてこないから安心しろ」

 

「あ、はい」

 

 

 そうして凱と命も交え、レジェンド達は和やかな朝食を取るのであった。

 

 

 

 

 それから少しして、レジェンド達と入れ替わりでアークエンジェルのクルー一同がミゲルとラスティに連れられて食堂に到着。

 食事をしてから何名かはペガサスAに移るらしい。

 先に来ていたゼットとステラが手をぶんぶん振って席をアピール。

 

 

「まずは食券を買うんだよ。オススメは日替わりメニューだ。種類半端ねーから絶対驚くぜ」

 

「ラスティは昨日早速うな重頼んでがっついてたしな。それは日替わりメニューだからいつもあるわけじゃないってことも教わった」  

 

「へー……豆腐ぶっかけ飯?」

 

「それはお醤油かけて食べると美味しいんだよ! ボクもよく食べるし」

 

「「「「「!」」」」」

 

 

 突然声を掛けられたので振り返ると、そこにいたのはユウキとアカネ。

 アカネは昨日ゴジラ・モスラ・バトラの戦いの記録映像を何度も見返していたので少し寝不足。

 

 

「初めまして、ボクはユウキでこっちがアカネ。サーガ様の御使いやってるんだ」

 

「よろしく〜……ユウキ、日替わりになんかさっぱりしたのない〜……?」

 

「ちょっと待ってね……あ、水星タヌキそばと月キツネうどんあるよ」

 

(((((水星タヌキそばに月キツネうどん……?)))))

 

 

 このメニュー、目にした勇治が吹き出したのは言うまでもない。

 しかも命名と発案は『何かビビッときた』というレジェンドだったりする。

 

 

「それじゃ、ご飯食べたら出発までゆっくりしててね。これ、サーガ様からの伝言」

 

「あ、はい。ありがとうございます」

 

「折角T-LINKセイバーのコツ掴めてきたんだし、ひと休憩したら難易度上げてシミュレーターやるよ! アカネ、相手の選別お願い!」

 

「ゴジラとか出していい?」

 

「それダメージ通らないからナシ」

 

「ちぇー。じゃあギマイラとかは?」

 

「うん、それなら良い感じに高いかも」

 

 

 その二体では天と地ほどの差がありそうだが……まず大きさが段違いだし、ギマイラがゴジラから吸血しようものなら内側から汚染されて自滅しそうだし。

 そんな二人を見送り、キラ達は各々注文したものが載せられたトレーを持って席に着き食事を始める。

 

 

「いや戦艦、それも現地調達じゃない飯でこんなもん食えるとは思わなかったぜ。こりゃいいな」

 

「本当ね……これに慣れたら慣れたであっちに戻った時が怖いけど」

 

「あっと、そういやそうだ。ま、そん時は切り替えていこう」

 

 

 ムウがポタージュスープを飲みつつベーコンエッグを堪能し、マリューはフレンチトーストを味わっている。

 キラは焼き魚定食、ラスティは鶏そぼろ丼、ミゲルはまさかの納豆定食。

 

 

「ミゲル、いつの間にそれ食えるようになったんだよ……」

 

「食ってみると案外美味いぞ。なあゼット」

 

「そのとおり! まあ人によって好みがハッキリ分かれるもんだけど、食べ慣れたら定期的に欲しくなるんでござんすよ」

 

「しかしたまご醤油ダレ美味いなコレ」

 

「ポイントは熱いご飯じゃなくて温かいご飯にのせること! 50℃以上だとナットウキナーゼの活性が低下するということなんで」

 

「ゼットさん、よく知ってますね」

 

 

 何でウルトラマンがそんな事知ってるかはさておき、やっぱり注目されるのはステラ……と。

 

 

「あ゙〜……やっと退院や……身体中バッキバキやわ〜」

 

「心なしか、尻尾も重い気がするんやけど……」

 

 

 昨日の通信時は病室にいた、空の世界出身のユエルとソシエである。

 彼女らはエルーンという種族のためケモミミ、かつ種族全体でも珍しい尻尾持ち。

 ついでにエルーンは背中の開いた服を着用することが多く、トドメにユエルは露出多め。

 

 そんな外見であればムウが見逃すはずもなく。

 

 

「……良いところだなウルトラ騎空団!!」

 

「少佐……?」

 

 

 マリューやミリアリアから冷めた目を向けられたが気にしない。

 そして極めつけが……。

 

 

「白音とごっはん♪ 白音とごっはん♪」

 

「元気じゃのー」

 

「リアス、彼らは?」

 

「キラ達も来てたのね。一誠達はちょっと色々あって……」

 

「ま、あれだけ若けりゃすぐ復活すんでしょ」

 

「ただ……相手が相手だからな……」

 

 

 もうお分かりだろう。

 夜一やリアスにマリーダ、私服をしっかり着込んだハリベルはいい……黒歌と乱菊なんていつも通りの服なのでキラやミゲル、ゼット以外の男性陣は双丘に目が釘付け。

 

 

「やっぱ良いところだな! ウルトラ騎空団っ!!」

 

「「「「「はいっ!!」」」」」

 

「……キラとミゲルにも伝えておくけど、あの人達めちゃんこ強いから」

 

「手を出そうとしたら叩き潰されるってことですよね」

 

「何処がとは聞かないぜ。それよりここってお代わりとかどうなんだ?」

 

「メニューによるんで選ぶとき見てみるとよござんす」

 

「定食ならある程度出来るんじゃないかな?」

 

「うん! 定食ならお代わり自由だって!」

 

 

 ステラ以外の女性陣に冷めた目を向けられるムウ達を尻目に、ゼットやキラ、ミゲルにステラはほのぼのとした朝食タイムを過ごすのだった。

 

 

 

 

「さて……クルーや物資、積み込んだ機体の最終確認等は全て済ませたか?」

 

「はい。ヒリュウ改側は問題ありません」

 

『こちらも問題ない。とはいえ、ブリッジクルーは流一人で事足りるんだが……』

 

『足りませんから! 全っ然足りませんから!! 仕方なしに俺が一人で回してただけなんで!!』

 

 

 これを聞いたアークエンジェルのブリッジクルー達は流を尊敬の眼差しで見始めたという。

 少なくとも操舵・砲手・索敵などをまとめてこなしていたのだから、その評価も納得である。

 

 

「それはそれでいいが、あとはキラとフラガだな。うちに今、何か空いている機体あったか?」

 

「あっても彼らが動かせるかは別問題では……」

 

「ついてきたけど手持ち無沙汰です、で肩幅狭いままよりいいだろ。あっちに戻ってアークエンジェルを動かしアラスカへ向かう時、もう俺達は同行していない。今後ザフトの手練れとやり合うために、少しでも操縦技術を磨かせておく方が双方にとって後腐れもなくなる」

 

 

 ミツバもレジェンドの言い分は理解出来るが、キラはまだしもMA乗りのムウに操縦出来そうな機体があるのかが問題だった。

 一応防衛チームの戦闘機はあるが、ぶっちゃけ見た目以上にスーパーマシンなので初見でムウが満足に動かせるかも分からない。

 

 

「う〜ん……」

 

「キラは後回しでも何とかなる。フラガはとりあえずメッサーラでも乗せとけ」

 

「せめてギャプランにすべきでは!?」

 

「確かにスラスターの総推力は高い。しかしGがキツ過ぎて強化人間か、こちらで言うコーディネイターの軍人レベルでやっとまともに扱える代物だ。リミッター掛ければ乗れなくもないが、それなら単純に出力の高いメッサーラを使った方がいい。あれは総推力こそそれほどでもないが、各部のスラスターを合わせればギャプランとほぼ同等の推力になるからな」

 

 

 最初はガッツウイング1号を提案しようとしたミツバだが、小型ながらマッハ5.5という飛行速度を有し大気圏外においてはなんとマッハ49。

 そんなスーパーマシンを何の訓練も無しに乗りこなせと言われる方が無理難題である。

 

 レジェンドは毎回それを初乗りでやってのけるから、かつての防衛チームの面々から『腕も頭もおかしい』と言われたのだが……。

 

 

「どちらにせよフラガには出来る限りMAか、それに近い機体を使わせた方が戦力になる。逆にキラには人型だ。今まで乗っていた機体とクセの違う機体に無理矢理乗せて落とされました、などと笑い話にもならん。改めて言っておくが今回は実戦訓練などと言ってる場合じゃないんだぞ」

 

「う……は、はい」

 

 

 真剣な表情のレジェンドに正論ぶちかまされてはミツバも頷く他ない。

 時間をとって訓練してやるにしても、此度の件が解決しなければ被害が拡大してしまう。

 

 

「話題は逸れたがそろそろ出るぞ。向こうへ着いた直後に襲われる可能性も考慮して、空中戦が可能な機体はスタンバっておけ。それと――」

 

『待て待て待て! ちょっと待てお前らーっ!!』

 

「あ? 何処のバカだ、この忙しい時に」

 

 

 外から聞こえた声に悪態をつくレジェンドだが、その声を知っている者達は驚いた。

 

 ――カガリ・ユラ・アスハがキサカを連れて乗艦(しかもよりによってヒリュウ改に)しようとしている。

 よくよく見てみれば、見送りに来ていたウズミ・ナラ・アスハが生温かい目で眺めていた……。

 ミナは少しばかりジト目して溜息を吐いていたので、彼女は何も知らなかったようだ。

 

 そうしているうちに二人揃って乗り込んで、そのままブリッジに来てしまう。

 

 

「おい! 何で私を置いていくんだ!」

 

「着いてくるなどこちらは知らされていない。なのに勝手に乗り込んで文句を言われる筋合いは無いんだが?」

 

「……うっ……」

 

 

 ハッキリ言って今のレジェンドの威圧感は怒ったウズミの比ではない。

 昨日、あの場にカガリもいたのだから事態の深刻さは十分理解しているはずだ。

 物見遊山で同行されて色々手出し口出しされるなど、それこそ騎空団全体が危険に晒されるやも知れない。

 

 

「お前はまだ俺達がどんな相手と、どういう戦いをしてきたかまるで理解していないようだから言っておく。恐るべき知能を持った連中や、人知を超える存在と敵対することもある。言葉は無意味、一方的に並外れた身体能力で制圧してこようという輩もいる。独りよがりの正義感でどうにかなる問題ではないんだぞ」

 

 

 数多の防衛チームの一員として、時に単独で。

 数え切れない怪獣・超獣・宇宙人案件を始めとした事態に遭遇し、解決してきたレジェンドだからこそ、その言葉に圧倒的説得力を持つ。

 そんな彼の言葉はカガリだけでなく、通信を繋げていた場所各種で聞いていた者達全員の心に強く突き刺さる。

 

 黙り込んで俯いたカガリと、レジェンドの言葉が痛いほど分かる軍属のキサカは何も言えない。

 

 だが、そこで口を開く者がいた。

 

 ダイゴ=ウルトラマンティガである。

 

 

『すみませんチーフ、彼女に今回の同行を勧めたのは僕です』

 

「……何?」

 

「ダイゴ兄様!?」

 

 

 レジェンドは単純にそういうことはむしろ止めそうだった彼が勧めたことに驚いたからだが、カガリ(とキサカ)はまさか自分達のことでダイゴが泥を被ろうとするなど予想だにしなかったからだ。

 

 ……実はカガリがキサカを伴って同行しようとすることを、既にダイゴとウズミは見抜いていた。

 ダイゴ自身も最初は止めようと思っていたのだが、ナチュラルとコーディネイター以上に多種族が生きる空の世界なら、カガリも何か得るものがあるはずだというウズミの頼みを引き受けたのである。

 

 

『正直、カガリは将来国を背負わなければならない立場にしては知識が足りない。机に向かって勉強するだけではどうしても限界が来ます。かといって安易に国を留守に出来る立場でもない』

 

 

 ダイゴの言葉、特に最後はカガリだけでなくキサカも「うっ」と声を漏らしてしまう。

 

 

『そこで真っ先に思い浮かんだのが空の世界です。あそこは惑星レジェンドのある世界と同じで、時の流れと他世界間におけるそれの干渉が相当特殊……ならば、今回の件に便乗する形で申し訳ないのですが、今後のオーブの国と民のためにこの機会に同行させ、様々なことを学ばせた方がいいと考えた結果、こうした形をとらせてもらいました。事後承諾ですみません』

 

(元が闇の巨人だったのに、ホントよくもまあ善人が服を着たような性格になったもんだな……とはいえ、またえらく頭の回ることで)

 

 

 レジェンドはダイゴの言っていることが真実半分嘘半分だと看破している。

 そもそも彼がカガリにそんなことを勧めていないのは当然として、カガリがいくらダイゴに言われたからといって今の内容を正確に伝えれば彼女は少なからず反発しただろう。

 故にカガリがどうにか乗艦してくるであろうことを見越して、乗艦した後で先の言葉により出口を塞ぎカガリが同行せざるを得ない状況を作り出したのだ。

 

 恐るべき策士。

 ウズミの希望に沿い、カガリの空の世界行きを(一応)確定させ、レジェンドに納得させるだけの言い訳まで用意したこのウルトラマン……さすが銀河遊撃隊の切り札。

 ついでにレジェンドが断れば御破算となるが、自分が面倒を見るならレジェンドは断らないであろうことも含んでいる。

 

 

「全くこの御人好しがペラペラと……そう言えば俺が折れるとでも思ったか?」

 

「っ……」

 

「条件付きでなら折れてやろうじゃないかこの野郎」

 

「「「「「!!」」」」」

 

『最初からそのつもりだったでしょ?』

 

 

 ニヤリと笑うレジェンドに、いつもの笑顔のダイゴ。

 カガリやキサカ、そしてC.E.の面々は最初の台詞から『NO』と告げられるかと思っていたところに虚を突かれた。

 

 

(レジェンドもティガもやたら頭が回るから、実力とか以上に絶対敵に回したくねえんだよ……)

 

 

 遊撃隊隊長としてティガを深く知り、そして師であるレジェンドの恐ろしさをも知っているレイトは心の中でそう零した。

 

 ……なんか一瞬レイトを見た二人の眼がギュピィィィンと光ったのはおそらく気の所為だ、きっと。

 

 

「こいつらは勿論のこと、アークエンジェルの連中もお前が責任持ってみること。これが条件だ。このことで他者に協力を仰ぐことは許可する。人数上一人で全員見るのは本気の俺でもなきゃ不可能だからな」

 

『出来るチーフがおかしいんですが』

 

「それからもう一つ」

 

 

 そういうとレジェンドは深呼吸し――。

 

 

「目上の者に対して少しは言葉遣いに気を付けろこの馬鹿娘!!」

 

「ご、ごめんなさいぃぃぃっ!!」

 

 

 まさかの父親のようなお説教をカガリに炸裂させ、その迫力と相まってカガリは素直に謝罪を口にした。

 そして通信を聞いていたウズミがポカンとし、ミナと束が揃って大爆笑している。

 

 

「ついでだからアークエンジェル組も含めて言っておく。今回の同行に関して、一時的なれどお前達は全員ウルトラ騎空団の所属となる。したがって団長の俺や副団長のサーガ、団長代理のシエテを始めとした責任者の指示には必ず従うこと。そして世界柄、こちら以上に危険が多いので単独行動は絶対にしないことを遵守しろ。このことを守らずに危機に陥ったのならそれは自業自得だ、助けは期待するな」

 

 

 腕組みし、真剣な表情でそう告げるレジェンドにいつもの親しみやすさは無く、それこそ『エリア』を統べ管理する最高位光神としての威厳に満ち溢れていた。

 

 何かを背負うというのは簡単ではない。

 何もかも背負わなければならないというのは地獄どころではない。

 されどそれを今まで成し続け、これからも成し続けようとする存在の姿がそこにある。

 

 

「これからお前達が向かうのは、この世界で生まれ育ったお前達にとって本やTVで見たファンタジーな世界だ。だがそこに生きている者、生きた者達にとってはファンタジーではなく当たり前の日常。理想や夢は捨てろ、とは言わん。しかし理想や夢だけで『世界』を見るな」

 

 

 レジェンドが今言った最後の言葉、これはカガリのみならず国を背負った者であればあるほどに重く受け止めねばならない。

 沙耶もかつて同じことを養母であり月王国先代女王であるモルガンから教えられた。

 

 ――そうしたいと思っても、そうしようと努力しても、その結果を『世界』の全てが認めるとは限らないのです。

 

 C.E.で例えるなら、オーブの信念が世界に通じるかといえばそうではないということだ。

 もっと突き詰めればオーブ国民全てがそれに納得しているかと言われて『はい』ばかりではないということ。

 

 

「そして本当の最終確認だ。こちらの世界ではそう時間は経たないだろうが、あちらに行けば暫く帰って来れん。今なら間に合うぞ、降りたい奴を止めはせん。お前達が後悔しない選択をしろ」

 

 

 そう告げたレジェンドの言葉に棘はなく、あくまで覚悟を問うだけ。

 

 ――ほんの少し待つが、これと言って降りたい者は出てこない。

 

 

「……いないのならばそれで構わん。先の俺の発言を肯定するとして進めさせてもらう。異論は認めんぞ」

 

 

 覚悟しているのか否か。

 もはや確認している暇はない。

 

 

「――ではこれより我々ウルトラ騎空団はクロガネ及び鉄華団、並びに有志の待機組を残し『空の世界』へと渡る! 当面の目的は浮力喪失現象の解決と、ガイア・アグル両名の救出。どちらも一筋縄ではいかない案件であることは証明済みだ。渡り次第エリアルベースと合流し、速やかに事に当たる! 何が起きるか分からんということは、何が起きてもおかしくないと考えろ! 総員、警戒を怠るな!」

 

「ヒリュウ改、発進!」

 

『同じくペガサスA、発進する』

 

 

 多くの者に見送られ、レジェンド総指揮のもとヒリュウ改とペガサスAが港より発進。

 次元移動システムを起動して艦前方にゲートを開き突入していく。

 

 物語の舞台は再び空の世界へ。

 

 復讐の天司と、『皇帝』直属の配下――二つの脅威が、ウルトラ騎空団の前に立ちはだかる。

 

 

 

〈続く〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――惑星レジェンド――

 

 

「遂に完成したのか、新しいグランサイファー!」

 

「ああ、正確にはグランサイファーという艇をそのままコアにしたという方が正しいが」

 

「うん。本当に多少改良しただけでほぼそのまま残してくれて、ありがとう。アムロ・レイ大佐」

 

「いや何、俺は組み上げの監督をしたにすぎない。レジェンド様が全体的な設計図を送ってくれたからな。その補強程度さ。あとは各部最終確認して起動。それから進宙式を兼ねた航行テストを済ませれば完全に完成だ。ラカム、宇宙空間における操舵のレクチャーは受けただろう?」

 

「おう、バッチリだ! さすがに最初から、なんてのは無理だったけどよ」

 

「最初から出来たら、畑違いとはいえマニュアル片手に必死でガンダム動かしたことのある俺も立つ瀬がないさ」

 

「ふふ……さ、早く確認を済ませて動かしてあげよう。グランサイファー自身も飛べるようになるのを待ち遠しかったようだからね」

 

「だな! ようし、もう少しの辛抱だぞ! お前も気合い入れろよ、グランサイファー……いや、俺達の新しい翼!

 

 

 

 

 

 ナースデッセイ号!!




次回は原作『どう蒼』のプロローグに当たる話を予定してるので、最近に比べると短めになるかも。

そしてムウですが、原作SEEDより大幅に早くMS(というか正確にはMA)に乗ることになります。
空の世界での活動だし、当然可変機になるのですがそこで何にしようか悩みました。
リゼルとか良くね? ……と思いましたがそうするとキラは最低でもそれ以上の機体に乗せないとなぁ……となって、Zガンダムも出たしグリプス戦役時代の機体にすることになったのです。
それはそれとしてキラは何乗せるか……。

今更ながら、本作のシンはパイロットとしての師匠→竜馬で生身戦闘の師匠→特別編で活躍中のあの人物……。
信じられないだろ……これでまだ13歳だぜ、シン。


それではまた次回。





 ちょっとおまけ

 ◯もし本作シンがザフトのアカデミーに入ったら?


「すいません、これ遅すぎないですか? 俺、最初この倍以上の早さで合体とか教わりましたけど」

「ちょっとこれで接近戦重視って正気ですか!? 機動力も不十分で装甲それなり、武装はいつものビームサーベルとかバルカンだけ!? 他になんかあるでしょ、トマホークとかメリケンとか!!」

「……白兵戦、もっと厳しくしましょうよ。魔法バンバン飛び交う戦いとか無理でしょうけど、戦車とか相手に戦うぐらいしないと。オートマトンとか出てきたらどうするんです?」


 結果、大半の教官と生徒の心をへし折ってしまい、急遽停学させようとしたらさっさと自主退学していったらしい。
 しかも出ていく後ろ姿がものすごく軽やかだったそうな。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
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