ウルトラマンレジェンド Episode.CROSSOVER   作:ハジケハムスター・ポッポ

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バレンタインからもう何日も過ぎてるけどバレンタイン特別編(第二回)です。ソシャゲだとまだイベントやってたりするから問題ない!……ハズ。

今回は前回ほどヤバくはない、と思いますが別のベクトルでヤバくなりました。


 ○誰かがウルトラマンについて調べた


「コーディネイターを超える種族を……! あら?」


 種族・ウルトラマン

○重力120倍の星で平然と生活している。
○訓練が必要だが飛行能力は基本。
○テレパシーやウルトラサインで遠隔会話。
○技術レベルは現人類が霞む。
○単独で異世界・別次元に行けるのもいる。
○平均寿命は万年を超える。
○最強格は宇宙を繋げたり宇宙と一体化したり、別の宇宙にいるものを離れている場所にいるやつ含めて問答無用で全部強制送還したり、星の全生命を滅ぼす一撃を吸収増幅して逆利用してきたりする。

「……何コレ。この研究がバカらしくなってきた」


それではどうぞ。


特別編・バレンタイン狂想曲

 バレンタイン――色々と思惑が交錯する行事であるが、ウルトラ騎空団にとってはある意味世紀末か否かが決まる日と言っていい。

 

 理由は言わずもがな、かつてレジェンド・サーガ・Uスペリオルドラゴンによって引き起こされた【エリア】レベルでバレンタイン消滅の危機にある。

 

 そもそもの原因は他の光神がよりによって上司、それも最高位とそれに次ぐ立場にあるレジェンド達に仕事を押し付けたのが事の発端であり、実際はレジェンド達も被害者……というか最初の被害者が彼らだった。

 

 その後も正月にはノアやキングまでもそれに加担した結果、レジェンドとサーガとスペドラも堪忍袋の緒が切れて案の定大暴れすることになってしまったのは記憶に新しいだろう。

 

 さて、今回はというと……何もなかった。

 

 だがこれで「やった、今回は平和だ!!」……などと喜べるような事態でないことは今までの彼らが遭遇してきたことを思い返せば自ずと分かるはず。

 

 

 

 ――そう、チョコレートそのものが原材料を含めて無くなったのである。

 

 

 

 

 ――ウルティメイ島・レジェンド別荘――

 

 

「……で、俺らにどうしろと」

 

「決まってます! チョコレートを根刮ぎ奪った犯人を捕まえてほしいんです!」

 

「却下」

 

「「「「「えええええ!?」」」」」

 

「お前らここのところ俺が休み無し、今日の今まで完徹で仕事してるの見えないのか? まあ、今まで通り他の光神に仕事押し付けられてるわけじゃないからそれはいいんだが」

 

 

 ウルトラ騎空団の女性陣を代表した面々がレジェンドの別荘に集い、ミツバが直談判したがレジェンドは有無を言わさず拒否した。理由は上記の通り、彼は別荘でも普通に仕事をしているわけで。

 現在、彼はギルガメッシュと打ち合わせをしながらマクロス・ウルクの建造をハイペースで進めている。その証拠に、空間ディスプレイにはギルガメッシュが映り通信状態になっており、あちらも仕事中。

 

 

『貴様らはイベントを愉しんでいるだろうが我や師父は仕事中だ。別に貴様らがイベントを愉しむのはよい。士気高揚になるのだし大いに結構。だがそれで何かトラブルがあったからといきなり師父に頼むのは筋違いであろう。まずは己等で努力せよ』

 

「そんなぁ……」

 

「あのなあ……ギルの言うように何でもかんでも俺に頼んでハイ解決お疲れ様でしたーじゃ何も成長せんぞ? ていうか俺以外にも頼る奴やうってつけの奴なんざウルトラ騎空団にはごまんといるだろうに。ついでにメリュジーヌ、こういう時こそ月王国最つよ妖精騎士として活躍すべきじゃないのか?」

 

「無理。今の僕はよわよわドラゴンだから一誠とかに助けてもらわないとダメなの」

 

「じゃあハナっから俺じゃなくて一誠頼れや!!」

 

 

 いい加減にレジェンドはブチギレた。とはいっても今回はマシな方だが……しかし今のはメリュジーヌの言い方が悪い。

 

 

「ほ……ほら! 究極英雄王、セイバーアルトリアさんからチョコレート貰えなくなるかもしれないよ!?」

 

『たわけ。むしろこの程度のトラブルを解決したところでセイバーが我にチョコレートを寄越すと思っている事自体、浅慮が過ぎるというものよ』

 

(((((凄い……説得力だ……!!)))))

 

 

 スン……と虚無った表情になるギルガメッシュとその発言に女性陣も納得してしまった。頑張れ英雄王負けるなAUO。

 

 

「……我が夫と究極英雄王の言う通りでしょう」

 

「モルガン!?」

 

「そもそも我が夫に渡すチョコレートを準備しようとしているのに我が夫を頼るなど、本末転倒もいいところ。私の愛の大きさと質……真に我が夫に伝わる方法があるとするならば、それは私自身の力で元凶を屠る他にありません」

 

「いやミツバさんだって捕まえてとは言ったけど屠るとか命を取ろうとはしてなかったよね!? 何でもう殺すことが前提になってるの!?」

 

「よく覚えておけアルトリア。私と我が夫の愛の道を阻む外道に生きる資格無しと」

 

 

 ゴォォォと効果音が聞こえてきそうな熱意を込めた目を見せる月王国先代女王モルガン。ついでにその隣にて無言で無限殺しの素振りをしているオーフィスが対照的で実にシュール。

 

 ○モルガン→物理的に殺す

 

 ○オーフィス→色んな意味で死ぬ

 

 おそらくこんな感じになりそうだ。

 

 結局、モルガンの気迫に圧されて他の女性陣も成り行きとはいえ彼女ら自身の手で此度の犯人を見つけなければならなくなってしまった。

 

 

 

 

「何か団長が不憫じゃなかったからこっちに回ってきた気がするぅ……」

 

「立香、そういうこと言わないの。彼の受けている不憫が本気でこっちに回ってきたら私達は今頃誰か命を落としてるかもしれないんだから」

 

「オフェリア……貴女も結構ディスってるわよ、団長のこと」

 

 

 そんなこんなで別の島々へ捜査へ繰り出した女性陣。留学生組の女子三人は何やらレジェンドが聞いたら本気でお仕置きされそうなことを言っているが、強ち間違いでもない。

 以前起きたことを思い返せば、常人なら大怪我か過労死になることが割とある。

 

 それはさておき。

 

 

「でも、犯人の目星はどう付けたら良いんでしょうか……?」

 

 

 アーシアの言うことは尤もである。正直、全空レベルの大事になっている以上は何かしらの痕跡ぐらい残っているはずなのだが……。

 

 

「目星はまだだけど、ある程度絞り込めてはいるわ」

 

「「「「「えっ!?」」」」」

 

 

 そう答えたのは「別にチョコじゃなくてもいいか」と別の物を用意しようとしていたところをアルクと武蔵に拉致られた、さやぴーこと現月王国女王陛下の月神沙耶。

 

 

「さすが我が愛娘。して、それはどのような?」

 

「まず考えられるのは、チョコレートを何らかの理由で独り占めしたい者ね。ここから細分化して『バレンタイン嫌いか何かでチョコの受け渡しを見ることさえ嫌な者』や『バレンタインチョコを作るために材料を多く必要な者』なんて感じに理由が分かれていくわ」

 

「ふむふむ」

 

「でもそれだけで全空レベルの事態は起こせない。よってそこに『この事態を引き起こすだけの力を持つ者』というより限定的な理由がプラスされるわけ。財力や幅広いコネクションなど、それも相当な……ね」

 

「なるほどー! ……あれ?」

 

 

 ここでキャストリアは思い返してみる。そういえば極限状態だったとはいえ、かつてレジェンドやサーガはバレンタインを無くそうとした。即ちバレンタイン嫌いに当て嵌まるといえば当て嵌まる。

 ついでに財力やコネクションも途轍もなく、財力に至ってはもはや底無しだ。無論良い意味で。

 

 つまり……。

 

 

「レジェンド、凄く容疑者っぽいんですけどー!? ついでにギルガメも! だって言ってたじゃん、セイバーはこんなトラブル解決してもウンタラカンタラって!!」

 

「……はっ!? まさか協力を拒んだのは自分達が犯人だからなのでは……」

 

「それはないと思うよ? だって以前に起きた出来事の理由、バレンタインにかこつけて他の光神がマイロード達に仕事を押し付けたからだって聞いたし……さっきも言ってただろう? 今やってる仕事はそうじゃないってさ。あと、マイロードの機嫌もそう悪くなかった……メリュジーヌが失言する前までは」

 

「何で僕なの!?」

 

 

 絶賛仕事中だったレジェンドを頼ってきたのに「一誠とかに助けてもらわないと」などと言えばそりゃ機嫌が悪くもなろう。

 ともかく、レジェンドでないことはまず確定。

 

 

「それに究極英雄王はプライドも高いですし、セイバーのアルトリアからチョコが貰えないと知っててもこんな暴挙には出ないと思いますけど」

 

「それは……確かに」

 

「むしろそんなことしたらマスターが怒るでしょうし……」

 

「レジェンド様の拳骨一発で何度も冥界に来てたから、流石にそんな愚行は起こさないと思うのだわ」

 

 

 カーマ・千代女・シャルロット・エレシュキガルの証言からギルガメッシュの線も消えた。そうなるとエルキドゥかとも思ったが、エルキドゥの場合は自分達と同じく犯人をシバくために奔走してそうな気がする。なんとなく。

 

 

「そうなると……やっぱしどこぞのボンボンとかじゃないの? 国王関係者とか」

 

「しかし小国レベルで動かせる事態ではあるまい。うーむ……」

 

「アグロヴァルさんとか?」

 

「あの人、こんなことする必要無くない?」

 

「ていうかやったらそれこそ国終わるでしょ」

 

 

 乱菊の言葉は正しくその通りなのだが、ぶっちゃけギルガメッシュのことを訝しんだ時に気付いてほしかった。いや、やらかしてもギルガメッシュなら大丈夫という安心があるとか言われたらどうかとは思うが。

 

 

「う〜ん……大分範囲は狭まったけど、そこからが手詰まりだよ〜」

 

「せめて何かの手掛かり……目的がより鮮明になるやつがあれば一気に進むんだけど……」

 

「物々交換狙いですかね。チョコを返してほしければ酒を持ってこいみたいな」

 

「景虎は酒に執着しすぎでしょ」

 

 

 全員揃って頭を悩ませている時、突如としてその場に声が響く。

 

 

「ハハハハハ!!」

 

「……! 何!? この落ち着きを無くしてウザさを足した、オルジュナに似た声は!?」

 

「思い込みが激しくて暴走してやらかしそうな感じのする笑い声は!?」

 

「あー……なーんか思い出せそうで引っ掛かるのよね。別に思い出さなくてもいいってことかしらコレ」

 

「オイ最後ォォォォォ!?」

 

 

 サギリの発言に反応した声の主が絶叫し、空から巨大な影が落下してきて大きく土煙を上げつつ着地した。

 

 

「けほっ……何なのもー!?」

 

「え……!? あれって!」

 

「エゼキエル!? 何で!?」

 

「久しぶりだなウルトラ騎空団! 本編はおろか特別編でも最後に出たのは何時だったか!!」

 

「へ? アンタは! ……ゴメン多分私会ってないわ」

 

 

 またしてもサギリに精神的ダメージを負わされたその人物。登場時こそインパクトあれど、それ以上に癖のある人物が山程登場した現在ではもはや没個性に近付きつつあるマダオ感満載のそれは――!?

 

 

 

 

 

 

「エルステ帝国クジャン隊隊長の! イオク・クジャンだ!!」

 

 

 

 

 

 そう、コイツである

 

 

「「「「「誰コイツ」」」」」

 

「ちょっと待て新顔増え過ぎだろう!?」

 

 

 キャストリアやモルガンを始め、初対面がべらぼうに多過ぎた。それもそのはず、このイオク・クジャンが本作に登場したのはグランやジータの故郷・ザンクティンゼルを襲撃した時……つまり空の世界に来て最初の頃で、しかもジャグラーの駆るマスターフェニックスに部下共々ズタボロにされて敗退したという情けないデビュー戦だったのだ。

 

 忘れられても仕方ないし、会ってなくても無理はない。

 

 

「……思い出した! 私達の故郷で襲ってきたダメ坊っちゃん!!

 

「誰がダメ坊っちゃんだ!! まあ、いい。お前達が探しているのはこのチョコレートだろう?」

 

「え……あっ!」

 

 

 エゼキエルのバックパックに括り付けられていた巨大な袋、うっすらとだがその中に入っているチョコが見えた。

 

 

「えええええ!? 予想外にも程があるんですけどー!? 如何にもモブっぽいじゃん!!」

 

「言いたい放題だな田舎出身丸出しの小娘!」

 

「何だとー!?」

 

「何故私がこれを持っているか、知りたくはないか?」

 

「いやいいよ。さっさと返してもらってマイロードに愛情たっぷりのチョコムースケーキを作るんだから」

 

「「「「「プーリンレベル高っ!?」」」」」

 

 

 どうだ聞きたいだろう、とドヤ顔するイオクだったが、そもそもコックピットの中なんて簡単に視えないし時間が押していることもありバッサリとプーリンに言い捨てられた。

 

 

「フッ、ならば教えてやろう!」

 

「うわ、逆にこっちの話を聞く気ゼロじゃん」

 

「これはお前達の企んでいる全空支配の野望を挫くためだ!!」

 

「ほらまた訳の分から……」

 

「「「「「…………はい?」」」」」

 

 

 いやマジで訳の分からない理由だった。何でいきなり全空支配だの出てくるのか意味不明、理解不能。

 

 

「はあぁぁあああ!? 何処をどうしたらそんな考えに達するのよ!?」

 

 

 そう声を張り上げたのはラフタ。出身世界にて因縁がある彼女は、相変わらずのぶっ飛び思考にツッコまざるを得なかった。いや彼女でなくともツッコむわこれは。

 

 

「チョコレートはアレルギー等が無ければ容易に口に運べるもの……それを利用した恐るべき侵略を企てているとタレコミがあったのだ。匿名……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バド星人という者からな!!

 

「「「「「むしろ侵略企ててるのソイツぅぅぅぅぅ!!」」」」」

 

 

 

 

 

 案の定騙されていた。

 

 いや、バカがバカを呼んだというか……匿名で種族を堂々と言う連中もアレだが、あっさり引っ掛かりオマケにタレコミ主を隠すこと無く大音量で言い放つイオクも大概である。

 

 

「それを聞いた私は義憤を感じ! エルステの権力を持って全空のチョコレートを回収し、貴様らの野望を阻止したのだ!!」

 

「こっちは義憤どころか呆れと怒りしか感じなくなったよダメ坊っちゃん」

 

「ダメ坊っちゃん言うな! しつこいぞ田舎娘2号!!」

 

「……いいもん、後でタイガとエレちゃんに慰めてもらうもん」

 

「あー! よくもジータを泣かしたわね! こうなったら私の冥界から冥神獣の2体、伝説宇宙怪獣と伝説深海怪獣のシラちゃんとコダちゃんを召喚してやるのだわ!!」

 

 

 とんでもないものを召喚しようとしてるエレシュキガルを何とか制止し、一先ずイオクのエゼキエルを撃破ないし戦闘不能に追い込もうと考えたウルトラ騎空団女性陣代表達。

 

 しかし、イオクのエゼキエルには『何でお前のにそんな機能付いてんだ』的なものがあった。

 

 

 

 

 

「生憎だったな! 拾った時から高性能だったこの機体だが、空の世界に対応し『魔力攻撃無効』処理を施してある! 魔力が絡んだ攻撃は一切合切通じんぞ!!」

 

「「「「「いやおかしいでしょおおお!?」」」」」

 

 

 

 

 

 終盤のボスかラスボスが持ってそうな特殊能力を搭載していやがった。

 

 正直これにはキレてもいいと思う。クルーゼやベリアルのエゼキエルが持っていたなら「クソッ! なんて嫌な装備を!」と悪態をつき激戦を繰り広げただろうに、よりによって何でコイツが引っ提げてくるんだと。

 

 おかげで女性サーヴァントの攻撃はほぼ通じず、仮に魔力を使わない攻撃であってもG・テリトリーと分厚い装甲に阻まれダメージが碌に通らない。

 

 

「は……腹立つぅぅぅ!!」

 

「ははははは! たとえ数で負けていても正義は必ず勝つのだ!!」

 

「あんなんが正義なら悪でもいいと思う儂……是非もないよネ」

 

「数の暴力が大きさの暴力になっただけでしょうが!!」

 

「ヒーローにあるまじき行為だよね☆」

 

「この状況で☆付けないで下さいお姉様!」

 

 

 キャストリアと信長とジャンヌ・オルタの発言に納得しか出来ない女性陣。とりあえずセラフォルーは余裕そうである。

 

 

「こうなったらこちらも機動兵器を持ち出して……!」

 

「ダメ! そんなことしたら、チョコが溶けちゃう!」

 

「「「「「!」」」」」

 

「あの機体、何でか発熱の影響がバックパックのチョコには出てない。でも、私達の機体が攻撃したら……」

 

「影響が出る可能性が大……ね。迂闊に攻撃も出来なくなったわ」

 

「正義とか言ってるけど、やってることド外道だぞー!!」

 

 

 アズにより気付かされた女性陣。蛍と沙耶に解説され、やはりキャストリアが騒ぐが――。

 

 

「悪党に貸す耳は無い!!」

 

「マジでブチ殺すぞテメェ!!」

 

 

 こんなんだから、カイニスも青筋全開でブチ切れた。生身でなら確実に殺していただろう雰囲気だし、実は景虎とかカーマもノリそうな空気。

 

 

「ソワカソワカ。このままだと私達は敗北し、あのいけ好かないパイロットに慰み者にされ……あふん!?」

 

「鼻息荒く言わないでくれません!? 何期待してるんですかこのエロ菩薩!! 私はマスター以外断じてお断りですわ!!」

 

 

 何かキアラが左手の指で丸を作り、そこに右手の指を出し入れしながらハァハァと頬を染めて言い出したのでコヤンスカヤが思い切りぶん殴った。偉いぞひかコン。

 

 

「でもキアラさんの言う通り、このままじゃ敗北必死ですね」

 

「うむ、キャットもご主人と同意見。いくらニボシサンマが集まってもクジラにはディナーでしかないと缶詰の値段が如き差を見せつけられているのだワン」

 

「魔力攻撃無効で防御フィールドと重装甲……しいて言うならパイロットのあの方がド下手くそなのが救いですわ」

 

「マスター、容赦ないのぅ……いや確かにそうだけどネ!」

 

 

 小猫は普通に、タマモキャットは少々分かりにくいがまあ理解出来る感じで相手を脅威だと言ったが、朱乃は後半どストレートにイオクをディスった。ノッブもそれに同調、まあやってることがやってることだし是非もないよネ。

 

 

「しかも「クジャン・パンチ!!(※ガイスト・ブロー)」」

 

「さっきからこ「クジャン・ソード!!(※レーザー・ブレード)」」

 

「いい加減に「クジャン・ミサイル!!(※スパーク・トピードー)」」

 

「いちいちクジャン何たらと煩いのよ!!」

 

 

 ブチ切れたのはリアスだが、他の面々もそう思っていた。第一、そのエゼキエル……ルシファーが性能検証のために作って用済みになったやつをポイ捨てしただけなのだが……ドヤ顔しながら家名を拾い物の武器に付けるとか恥曝しもいいとこじゃなかろうか。

 

 ――だが、そこへまさかの人物が現れた。

 

 

「おや? 皆さんこんなところでどうしました?」

 

「卯ノ花先生!?」

 

 

 レジェンド専属の主治医にしてレジェンド一家最凶とも言われる、ウルトラ騎空団医療班班長・卯ノ花烈。

 先日、セイバーアルトリアとの模擬戦でエクスカリバーの一撃を真正面から軽々と真っ二つにしてトラウマを植え付けたマジモンの化け物である。ちなみに縁壱やドギーも出来るらしい。

 

 

「いえ、それを言うなら先生もどうしてここに……」

 

「どうしてと言われてもここはアウギュステですよ。レジェンド様が動けないからと代わりに手紙を預かりまして、それをアウギュステで重役を務めている方に渡しに来たのです。よくベネーラビーチを貸し切りにさせてもらっているのでその御礼も兼ねて」

 

 

 言われてみれば、犯人探しで手当り次第当たっていたため今何処の島か気にしていなかったがここはアウギュステ列島。ファータ・グランデ空域に範囲を絞って捜索していたのは、万が一迷っても捜索時に見当が付くようにしていたからだったのだがそれが二つの意味で功を奏したようだ。

 

 

「それで、貴女達は?」

 

「チョコレート喪失の犯人を探していたら向こうからやって来まして……アレです」

 

「ああ、あれですか。しかし貴女達であれば容易に対処可能に見えますが」

 

「実は斯々然々で……」

 

「それは何ともまた面倒な事をしでかしてくれましたね。仕方ありません、もう一つの頼まれ事もありますし……あれは私が処理しましょう」

 

 

 卯ノ花の申し出に「え、マジで?」な顔になる女性陣一同。この時点で結果は決まってしまったのだが、相手を見誤る事に定評があるイオクは別の意味で期待を裏切らなかった。

 

 

「新たな幹部の登場か! しかし悪の女幹部は生き残りはしても勝つことが出来ない! もはや詰みだ!!」

 

 

 いや、お前がな。ウルトラ騎空団関係者女性陣はもれなくそう思った。無論心の中でだ。

 目の前の女傑が幹部どころか裏ボス級に気付かぬうつけは間もなく退場させられるだろう。

 

 

「さて……その機体、徹底した防御能力の高さを武器に力押しで攻めるコンセプトにしたようですが、攻略法は極めて単純かつ簡単。それは――」

 

「今こそ決着の時! くらえ! クジャン・グレート・ブラス……」

 

 

 イオクがクジャン何たら(※オルガ・キャノン)を準備し、発射しようと構えた時……卯ノ花は抜刀しようとして納刀。

 

 次の瞬間――。

 

 

 

 

 

 イオクのエゼキエルと構えたクジャン以下略に無数の線が走り……。

 

 

 

 

 

「全防御機構ごと解体する。それだけです」

 

「な……!? オゥアァァァァァ!!」

 

 

 

 

 

 イオクのエゼキエルは、コックピットのイオクを残してサイコロステーキ状に解体された。これは新たなワード『サイコロステーキ隊長』誕生の瞬間だったという。隊長じゃなくて先輩はノアの【エリア】にいたらしいけど。

 

 

「え、今何したの!?」

 

「卯ノ花先生の話を解説するなら……防御フィールドや重装甲、その他機能を纏めて斬り刻んだようね。しかも一欠片のサイズを考えると、恐ろしい程に細かく。加えて誤爆しないようにも配慮されてるわ」

 

「のぅ沖田に景虎」

 

「あんなの無理に決まってるじゃないですか!」

 

「倒すだけならまだしもあれは私にも無理です。ていうかあれ、一種の芸術的神業ですよ」

 

 

 へべれけ軍神からも称賛される卯ノ花。改めて言うと彼女、殺人集団と呼ばれていた初代護廷十三隊で戦闘専門部隊の異名を持つ十一番隊の隊長を務めた初代『剣八』にして、四番隊に移籍してなお隊長職に就いていた人物である。その頃、彼女以外で創設期のメンバーといえば総隊長の山本元柳斎重國のみ……もうこの時点で二人だけぶっ飛んでるのがよく分かるというもの。

 

 サイコロステーキ隊長なイオクがようやく瓦礫から這い出ると、目の前には微笑を浮かべた卯ノ花が斬魄刀を片手にスタンバっていた。当然、イオクは顔面蒼白。

 

 

「どんな気持ちですか? 最高潮の勢いから一気に地べたを這いずり回ることになった今の心境は」

 

「ヒッ……!!」

 

 

 黒い笑み、とは正に今の卯ノ花の笑顔だろう。しかも少しだけ斬魄刀を鞘から抜いているので尚更怖い。沖田と信長など涙目で抱き合って震えているくらいだ。

 イオクは瞬歩もかくやな速度でその場を離れると……。

 

 

「おや、予想外の早さですね」

 

「きっ……今日のところは勝ち星をくれてやる! だが何れ悪は私が駆逐してやるからな! 首を洗って待っていろォォォォォ!!」

 

「あ! お決まりの捨て台詞エスケープ!」

 

「…………」

 

 

 予想外の速度と予想通りの逃走。イリナが指摘するも命には代えられなかったのか更に速度を上げて逃げるイオク。それを黙ってみていた卯ノ花だが、変わらぬ笑顔で納刀した瞬間――

 

 

 

 

 

 ――イオクの服が全て斬り裂かれすっぽんぽんに。要らぬファンサービスだァ!!

 

 

「「「「「何でぇぇぇぇぇ!?」」」」」

 

「いえ、もう既に斬ってあったのですが……ほら、見たくないモノは見ない方が宜しいでしょう? 小さい子や純な子もいますし」

 

「我が夫のであれば写真・映像記録・模写してでも残しますが」

 

「そこの先代女王、お願いだからちょっとは自重して」

 

 

 逃げてるイオクは逃げるのに必死で気付いていない。さすがにマッパなんだから気付けと言いたいが、下手に声を掛けて振り向かれたらどちらにとっても悲惨な結果になるので放って置く。

 

 こうして、肉体的ダメージよりも精神的ダメージを多く食らいながらもチョコレートは奪還されたのだった。

 

 

 

 

 奪還したチョコレートは必要分を確保し、ちょうどアウギュステに集まっていたシェロカルテを始めとする全空商業協会によって各地へ送り届けられることになったのだが……。

 

 

「……もう暗いね」

 

 

 立香が呟いた。そう、各種手続きや送り返すための準備を手伝ったことで一般的には夕餉の時間になってしまっていた。

 

 

「チョコレート作り、今からじゃ多分間に合わないな……人数も人数だし」

 

「うん……色んな所のキッチンを借りても足りるかどうか……時間的に夕食の支度してるとことかもあるだろうから厳しいかも」

 

 

 食後のデザートなら間に合わなくもないが、人数が半端ないので当然作れない者が出てきて不公平だろうし、渡す相手の状況によっては渡す前に寝られてしまうかもしれない。寝ないと過労死待った無しなAUOとかSKSとか。

 

 

「いっそこのまま渡しちゃったらどうですかね。お酒の一つでも付ければ良くないですか?」

 

「あのね景虎、誰も彼もが貴女みたいに考えるというのは無理なのだわ。第一未成年だっているんだから」

 

「あれです、元服ってあるじゃないですか。それにかこつけましょう」

 

「それなら合法……って駄目なのだわー!!」

 

 

 一度認めそうになり慌てて腕でバッテンするエレちゃん。良いリアクションノリツッコミだ。

 

 ほぼ全員が暗い気持ちになっていると、ふと思い出したようにプーリンが卯ノ花に尋ねる。

 

 

「そういえばもう一つ頼まれ事があったんじゃなかったかい?」

 

「ああ、それでしたら皆さんをウルクのジグラットに連れて行くことで完了ですからお気になさらず」

 

「「「「「へ?」」」」」

 

 

 いつもと変わらぬ笑顔で答える卯ノ花に対し、間抜けな声を出した一同。

 

 

「ウルクのジグラットなら確実に英雄王が絡んでるでしょうが……先刻のあれにはさすがに無関係でしょうし」

 

「案外団長も絡んでないかのー。そこんとこどう思う? ちーちゃん」

 

「ちーちゃ……!? ゴホン、お館様や英雄王は拙者らに悪巧みを仕掛けるとは思えぬでござるが」

 

「悪巧みはしなくても何かしてきそうな感はありますね。あの二人、ダニ神父と同じ愉悦部関係者ですから」

 

 

 アムール(カレン)に言われ、全員が納得してしまう。兎にも角にも彼女らはバビロニア島のウルク、ジグラットを目指すのであった。

 

 

 

 

「お務めご苦労! ふははははは!!」

 

 

 ジグラットで待ち受けていたのは案の定我らが究極英雄王ギルガメッシュ。玉座ではなく広間にて何やら巨大な水晶球と共にいつもと変わらぬ高笑いで彼女らを出迎えた。

 

 

「卯ノ花もよく働いた! さすが師父が選びし女傑よ! お疲れ様でした!」

 

「はい、お疲れ様でしたギルガメッシュ王。して、レジェンド様は?」

 

「うむ、これの準備を終えた後はウルティメイ島の別荘にとんぼ返りよ。既に必要なものは各種全て十二分に取り揃えてある。我も確認済みだ。やはりこういう場面では常日頃から料理している師父が何歩も先を行くものよな」

 

「安心の度合いは凄まじいのですが、お二人共御身ご自愛ください。過労極まって妙なテンションでとんでもない事をしでかさないか気が気でありません」

 

「ふははははは! 過労極まるときたか! 我がクラス・ウルティメイトであることを掛けた見事な返しよ! 九極天はボキャブラリーも極まっているな! ヨシ!!」

 

 

 そう言って現場猫なポーズを取るギルガメッシュは愉悦というか愉快な王である。アーチャー慢心王ならこんなことは絶対に無いであろう。

 

 

「いい加減本題に入ってよギルガメ。こっちは精神的にもうクタクタなのに」

 

「たわけ。クタクタなのが貴様らだけど思うなバカトリアめが。だから貴様はバカトリアなのだ」

 

「アルトリアであることを全否定かー!!」

 

「さて、恒例のバカトリア弄りも済んだところで貴様らに此度の報酬をくれてやる。我と師父の連名でな」

 

「「「「「はい?」」」」」

 

 

 突然の報酬発言にやっぱり間抜けな声を出す女性陣(卯ノ花除く)。

 

 

「何故と聞かれる前に言ってやろう。貴様らは此度の事件の首魁を見つけ出し――あ、いや自分から出て来たがそこはよい。最終的に卯ノ花の助力はあれど見事我らを頼らず自分達のみで事態を収拾した。無論、アフターケアもな。チョコレートが全空へ送り返されることに時間が掛かるのは仕方あるまい。しかし、此度の案件を解決した貴様らも影響を受けるのは我や師父とて忍びない。よって貴様らが抱えている問題を全て一挙に解決する術を用意した! それがこのダイオラマ魔法球の原典たる師父の秘宝!!

 

 『ユートピア始源球』よ!!

 

「「「「「ユートピア始源球!?」」」」」

 

「このユートピア始源球は内部の時間の流れが外であるこちら側と異なり、こちらの一時間が中では一年となる。まあ手っ取り早く説明するなら、師父が目を掛けている世界にある『精神と時の部屋』と同じと思えばよい。更に、ダイオラマ魔法球では複数繋げねば全く別のエリアを用意出来ぬがユートピア始源球はそれ一つで無数のエリアを内包している。つまり機能的にも置きスペース的にも圧倒的に上な、正に秘宝と呼ぶに相応しきものよ! ふははははは!!」

 

 

 一応改めて言っておくが、これの所有者はレジェンドであってギルガメッシュではない。

 

 

「どうせ解決したとしてチョコレート作りの時間もスペースも取れんことに悩むだろうと考えた我は師父に相談し、これを出してもらったのだ。内部にはチョコレート作りに必要な器具や設備、領域に説明書が準備してある。万が一チョコレートが不足した場合の補充用チョコレート及び原材料も備え済み、後は貴様らの思うがままチョコレート作りに没頭するがよい」

 

「ふ……太っ腹過ぎるぞギルガメェ!」

 

「我の玉体はシックスパック全開だがな! ふははははは!!」

 

 

 レジェンドとギルガメッシュによる、自力で事件解決したことへの報酬。それは本当に今、彼女らが欲しいもの……即ち時間と場所。そのどちらも満足させるものを二人は言われずとも汲み取り用意したのだ。

 

 

「ネオ・アクシズ側にいた燕やラクス、ハマーンなどは影響を受けていなかったので義理本命関係無く手渡しも出来ていたのだ。さすがに不公平であろう」

 

「月王国を代表して礼を言わせて頂きます、究極英雄王。我が夫には珠玉の品と共に直接伝えますので」

 

「北欧からは私が代表して礼を述べよう。多大なる恩賜に感謝する」

 

 

 次々と述べられる感謝の言葉に気を良くするギルガメッシュ。そこに良い意味で最大の爆弾が投下される。

 

 

「英雄王、此度の礼は粗品を持って返させていただきます……義理ですが」

 

「!!!!!!」

 

 

 ……手作り? セイバーが我に手作りチョコレートだと? 夢か幻か? 働き過ぎて過労による幻聴幻覚を催したのか? 落ち着け我、瞑想をして心身の乱れを整えるのだ。 そしてあらゆる並行世界と【エリア】の我よ、羨むがいいふははははは!!

 

 ……とギルガメッシュが暫し硬直している間に、女性陣はユートピア始源球へ。

 

 内部のとんでもなさと用意の凄まじさに驚愕しつつ、女性陣は満足のいくチョコレート作りを終え、無事バレンタイン当日中に想い人へとチョコレートを渡すことが出来たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――おまけ――

 

 ――ユートピア始源球内部の女性陣の反応――

 

 

「ラピュタじゃん! ここラピュタじゃん!! しかも城下町付き!!」

 

「あっちの魔法陣に入って別のエリア行ったらさ……油屋があったんだけど。カオナシとかいないよね……?」

 

「ねえ、あそこの魔法陣……世界丸ごとブチ込んでない? 何か夜の森があったと思ったらデイダラボッチ出て来たよ!? あれ、もののけ姫の世界そのまんまだよ絶対!!」

 

「それ言ったら向こうの魔法陣、行き先は魔女の宅急便な街だったわよ。海もあったし。ここの内容量どうなってんのマジで」

 

 

 ※上からキャストリア、メリュジーヌ、立香、バーヴァン・シー。




何故奴が最近のスパロボのDLCみたいなことして黒幕やってんだと、我ながら書いてて思いました。

最後はなんとかハッピーエンド。
……あれ、何か忘れてるような。
一応相手も五体満足で生きてるし気の所為か。

実はもう一つ、特別編が完成間近なんですが……召喚編のはずが当初の予定より長くなったので償還準備編になってしまいました。こちらも出来次第投稿させて頂きます。


それではまた次回。

二択決定戦! シン一人乗りする最終ゲッターはどちらだ!?

  • 真ゲッタードラゴン(大決戦版)
  • 真・ゲッター1(スパロボα仕様)
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