と言われたのですが、過去作を書いていたのがおよそ2年前で、自分プロットとかいう頭いいものは書いてないので、完全に内容と流れを忘れてしまっています。
更には過去自分が書いたものって、読み返しているとなんでこんなこと書いてるの?みたいな一種の賢者モード的なものが発動して、精神を蝕んでくるんですよね。
まあ別に今書いてるのが上手いかって言われると別に全然そんなことないんですけど。
つまり何が言いたいかというと、過去作品読み返す時間を下さい、それで思い出していけたものから少しづつ書いていくかと思います。
長くなってすいませんでした
物心付いたときから、僕は既にそこにいた。
最初はここがどこか分からなくて、すぐに喉の渇きが襲ってきた。でも、周りに水を飲める場所なんか無くって、仕方が無いから自分の小水を出してそれを飲んだ。
少しして、すぐに腹痛が襲ってきて、考える間もなく便を漏らしてしまう。
またすぐに喉が渇いて、仕方なく地面の水を啜った。
周りにも似た境遇の人達がいて、互いに協力し合うことはなく、常に周りを警戒しなくてはならなかった。
やがて雨が降ってきて、皆が一斉に雨水を飲み始めた。雨水を飲んでいると、頭痛がしてきた。周りを見渡すと、そういった様子になっているのは僕だけだった。
雨水が建物に当たり、地面に当たり、雨水同士が当たって不規則な音を奏で続ける。僕の耳は、それを全て拾ってしまっていた。
周りに舐められないよう、一人称は僕から俺へと変わり、俺を襲ってくるやつを返り討ちにする為に戦うすべを身に着けた。
奇跡的に、お嬢に拾われるまでの約十年間を生き延びられた俺は、そんな地獄のような環境で、生きてきた。
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五月一日、有平は目覚めると同時に学生証のポイント残高を確認した。
表示されているポイントは105000。彼は一ヶ月の間、無料で手に入る食品と水、生理用品のみを使い続けて過ごしていた為、消費ポイントは0だった。
しかし朝残高を確認すると、一ポイントたりとも増えてはいなかった。
今月の支給ポイントが0だと当たりを付け、制服に袖を通し学校へと向かう。途中無料のミネラルウォーターを購入して。
教室へ到着すると、予想通りポイントが振り込まれていないと、騒ぎになっていた。
「おい、今朝ポイント振り込まれてたか?」
「いいや、振り込まれてなかったな。今朝ジュースが買えなくてビビったぜ」
席に座りながら、周りの会話に耳を澄ます。落ち着きを保っている学生は、ほとんど居ない。
HRの時間になり、茶柱が教団へと立つ。その手にはプリントと掲示物らしきものを抱えていた。
「これよりHRを始める、が聞きたいことも多々あるだろう。先に質問を受け付けよう。質問があるやつは挙手しろ」
教室のそこかしこから手が上がり、代表して平田が質問をした。
「今朝ポイントを確認したのですが、振り込まれていませんでした。これは学校側の不備、ということでしょうか?」
平田からの質問が予想通りだと言わんばかりに鼻で笑う茶柱。クラス全員にぎりぎり聞こえる程度の声量で呟いた。
「本当に愚かだな、お前たちは」
「先生、今のはどういう……」
「座れ本堂、二度は言わん」
本堂と呼ばれた生徒がヘナヘナと席につく。今まで学生の冗談を受け流していた先生とは別人のようだった。
「お前たちの質問に答える前に、まずはこれを見てもらう」
そう言って持っていた紙を黒板に貼る。そこには各クラスの横に数字が書かれていた。
AクラスかたDクラスに行くにつれて数字は減少していき、Dクラスの横には0という数字が書かれていた。
「これは今月の各クラスのクラスポイントだ。このクラスポイントに100を掛けた数字が、各クラスの生徒のプライベートポイントとなる。お前たちDクラスは0、0は何を掛けても0だからな」
「ハッハッハ、私にはその謎掛けが解けたよ、ティーチャー」
高円寺は高らかに笑って机に足を乗せる今は授業中では無いから問題ないと判断したのだろう。
「たしかに今月、私たちにはポイントは振り込まれているね。0ポイントが」
「態度は悪いがそういうことだ。驚いたぞ、まさかここまでやらかすとは。遅刻欠席合わせて98回、授業中の携帯や私語391回、よくもまあ今月だけでこれだけやってくれたもんだ。序だ、これも見てもらおう」
そう言って茶柱はもう一枚の紙を黒板に貼り付けた。
「これは先日行なった小テストの結果だ。これが小テストで良かったな、本番の試験だったら7人は退学になっていたぞ」
三十点の所に線を引き、その下には7人の生徒の名前が書かれていた。
「この学校では中間と期末の2回定期考査が行われる。そこで赤点を取った学生は問答無用で退学だ。お前たちは中学の間何をして来たんだ?たしかに数問、今の学生では解けない問題が用意されていたが、それ以外は基礎中の基礎の問題しか取扱っていなかったぞ」
赤点より下の生徒が騒ぎ出す。突然退学になるかも知れない危機感が、恐怖として彼らを襲っているのだ。
「最初に与えられた1000ポイント、それをお前たちの私生活の乱れで全て吐き出したんだ。自業自得だな」
「でもそれは、最初に説明をしなかった先生のミスでは無いのですか?説明を受けていれば、僕達だってそんなことは……」
「おかしなことを言うな、平田よ。たしかに私はクラスポイントの説明をしなかった。が、授業を真面目に受けることなんて、ポイントに関わらず今までの小中学校で習ってきたことではないのか?」
「君たちは本当に愚かだね。自分たちの過ちを棚に上げて、言い訳をすることによって自分たちを正当化しようとする。まるで美しくない」
「そういう高円寺だって、どうせ赤点だろ?!」
「君たちの目は節穴かい?もう一度テストの結果を見給えよ。上から見ることをオススメするよ」
言われてテストの結果を再確認するものだ多数居る。そうして確認したものは息を呑んだ。
高円寺の点数は90点、幸村、堀北に並んで同率一位だった。
「ようやく分かったかね?君たちの愚かさが、因みに、私よりも早くこの仕組みに気がついていた学生がいるんじゃないかい?傷痕ボーイ?」
高円寺は有平に視線を向ける。それと同時にクラス中から、有平に視線が集まった。
「本当なのかよ……坂柳……」
誰かがそう呟くと、有平は首を縦に、躊躇することなく降った。
「そうだな、最初に茶柱佐枝から説明を受けた時点で、この学校の仕組みは分かったな」
その言葉に茶柱は目を見開いた。が、全員が有平に注目していたため、彼女の異変には一人を除いて気が付かなかった。
だがそれも、嘘なのだが。
「ふざけんな!なんで教えてくれなかった!」
「そうよ!どうせ私達のこと、心底嘲笑っていたんでしょう!?」
「皆、一旦落ち着いて。今彼を責めても意味は無いよ!」
「でも平田くん、何であいつは知っていて教えなかったのよ?損をするのは自分だって同じなのに」
「くっ、くっはっはっは……!」
思わずその一言に笑いが溢れてしまう。それを周りのクラスメイトが聞き逃すはずも無かった。
「何がおかしいの?!」
「いや、すまんすまん。たしかに俺はお前たちに何も情報を渡さなかった。だがな、俺が情報を仮に渡したとして、お前たちがそれを守ったか?俺はそうは思えないな」
そう言ってクラスメイトを軽く見回す。深い意味はないが、ただのパフォーマンスだ。
「確かにこのクラスにも、勉強ができる奴は数人いるようだ。だがそれがどうした?この学校の実力は、勉学だけか?勉強出来る奴が頭が良いとは限らない。勝手に毎月十万もらえると勘違いしてる奴らに、来月は貰える額が減るといったところで、誰も信じなかったのではないか?何故、疑問を疑問のまま放置した?教員に聞けば、答えてくれはせずとも、ヒント位はくれた筈だぞ」
そう言って茶柱の方を見る有平。茶柱は軽く頷いた。
「そうだな、坂柳の言ったとおりだ。お前たちはなぜ疑問を疑問のまま放置しておく?確かに質問されても答えられないこともある。が、仄めかすくらいはしてやるつもりだったがな?」
「で、でも、坂柳くんだって小テストの点数はそこまで良くないじゃない。いいとこ平均点くらいだけど?」
「ああそうだな、それがどうした?今この現状、俺の点数が一体何の問題なんだ?」
「別に頭良くもねえお前に偉そうにされてんのがムカつくんだよ!」
「だったら、赤点を取らないことだな、須藤健。少なくとも、勉強においては、お前よりも実力は上だがな」
「テメエ……ざっけんじゃねえぞ!!」
机を蹴り飛ばし、有平へと肉薄する。そのまま胸をつかむように腕を伸ばした。
有平はその腕を掴みそのまま勢いを殺さずに背負い投げる。地面に打ち付けないよう、寸止めした。
「茶柱佐枝、今のは正当防衛だと思うのだが?」
「そうだな、確かに正当防衛だ。認めよう。須藤を訴えるか、坂柳?」
「まさか、こんなに優秀な奴、退学させるのは惜しい。俺はこいつを退学になんてさせない」
投げられた態勢のまま、驚いて有平を見上げる須藤。周りからは不良扱いされ、煙たがられているが、有平の評価では、須藤はクラスでトップクラスだ。
「そういうわけだ。良かったな須藤、坂柳が良いやつで」
「いいから離せ!」
有平は須藤を開放し、須藤は自分の席へと戻っていった。
「そうだ、いいことを教えてやろう。お前達がいくら授業態度を改善しても、クラスポイントは1ポイントたりとも増えない。つまりこれから授業態度を改めてもクラスポイントは増えないしマイナスになることも無いから減らない。な、いいことだろ?」
「そ、そんな……」
「最後になるが、今一度行っておく。次の中間テスト、赤点を取った者は即退学とする。これはお前たち憎しではなく、学校のルールだ。だが、中間テスト、お前たち全員が赤点を回避する方法があると確信している。では、授業の準備をするように」
茶柱は教室を出ていった。それと同時に、Dクラスは再び阿鼻叫喚となってしまった。
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授業中も、私語携帯をすることはなくなったが、皆心ここにあらずといった状態だった。それ程に朝のHRで言われたことは衝撃的だった。
特に赤点だった学生は意気消沈してしまっている。
やがて放課後となり、有平が帰ろうとした所校内放送が鳴り響いた。
『一年Dクラスの綾小路清隆くん、一年Dクラスの坂柳有平くん、茶柱先生がお呼びです。職員室までお願いします』
その放送に思わず溜息をついてしまう。面倒だが行かなくては後々さらに面倒になると判断した有平は、一旦薬局へと行き、あるものを購入してから職員室へと向かった。
職員室の前では偶然綾小路がいた。
「坂柳か、お前何か呼ばれた心当たりはあるか?」
「無くは無いが、無駄足に終わるだろうな」
それだけの会話をして、職員室へと足を踏み入れる二人。だが目的の茶柱はおらず、別の教員に声を掛けられた。
「あれ〜貴方達、もしかしてサエちゃんが呼んでいた生徒?始めましてー私一年Bクラスの担任の星之宮知恵っていうの。あなた達の名前は?」
「一年Dクラスの綾小路清隆です」
「一年Dクラス坂柳有平」
「へえー君たちDクラスなんだー。でもサエちゃんが個別指導なんて珍しいね……そうそう、佐枝ちゃんとは、チエちゃんサエちゃんって呼び合う仲で……」
「こら、何私のクラスの生徒に絡んでいる」
突如、茶柱が現れると同時、手にしていたバインダーで星野宮の頭を叩いた。
「いったーい、もうサエちゃん何するの?!」
「教師が生徒にダル絡みをするな」
「いいじゃんちょっとくらい、サエちゃんがいない間、私が相手してあげてたんだよ?」
「そんなことは頼んでない、行くぞお前たち」
茶柱は有平綾小路を引き連れて職員室を出ていこうとする、が星之宮からの絡みは止まらない。
「サエちゃんが個人指導なんて珍しいね?ひょっとして、下剋上を狙ってたり?」
「ふん、そんなもの無理に決まっているだろう」
「下克上を狙っているのは、あんただろ。星之宮知恵」
ここまで静観を保っていた有平だったが、思わず口にしてしまった。それほどまでに、彼の目には星之宮が醜く映っていた。
「へぇ、それはどういうことかな?」
「何も難しい話では無い。あんたは誰より前に立っていないと満足出来ない。現状のBクラスでいることに不満でないわけがない。トップのAクラスでなきゃ、あんたは満足できないだろ」
「キミ、面白いこと言うね。だったらサエちゃんだって」
「別に悪い事ではないし、茶柱佐枝がAクラスに学生以上の執着を見せていることも見て分かった。だが星之宮知恵、あんた達BクラスがAクラスに上がるのは、無理だろうな」
「…………」
「あんただって分かっているだろう、現状Bクラスのリーダーである一ノ瀬穂波は器じゃない。他の学生だってそうだ。精々期待できるのはーー」
「無駄口を叩くな坂柳、いいから行くぞ」
「ふぅ……分かりましたよ」
俯いて立ち尽くしている星野宮を一瞥することなく、有平たちは職員室の奥へと進んでいく。
「失礼します、星之宮先生いらっしゃいますか?」
有平は聞き覚えのある声を聞き流しながら、職員室の奥の給湯室へと連れられていった。