人柱達   作:小豆 涼

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昨日日間ランキングに乗ってた…!
これもひとえに読者様のおかげでございます!!
本当に感謝感激です…!

感想も大変ありがたく、モチベーションの維持に直結しております!
さらには誤字脱字報告!
本当にありがとうございます!

それでは本編どうぞ!

今回は、兄貴の話です。


ワシは、悪い虫であれば斬る。

「ったく、弱ぇなおい」

 

柱稽古。

風柱、不死川 実弥。

 

昨今、隊士の著しい質の悪さに嘆いていた。

 

稽古をつけてもらっている隊士たちは、それはもう震えあがっていた。

もはやどちらが鬼なのか…。

見た目も言動も粗暴も恐ろしい実弥に、ほとほと困り果てていた。

日が落ちて、その日の稽古は終了といった時。

 

「精がでるなあ」

 

不死川邸へと足を運んだのは、匡近だった。

後ろには、何やら少年を連れている。

 

「匡近、後ろのガキは何だ」

 

不機嫌になったのが、匡近にはわかった。

 

「お前の弟だ。訳あって、俺が面倒見ていたがな。頃合いかと思って連れてきたんだ」

 

匡近の後ろにいた玄弥は、恐る恐る声を出す。

 

「兄貴…俺。謝りたいんだ」

 

「俺に弟はいねぇ」

 

「まあまあ、落ち着けよ実弥。最後の肉親なんだ、ゆっくり話でもしてやれよ」

 

尚も機嫌の悪さは変わらない実弥だったが、匡近の言うことを無下にはできなかった。

 

「お前は鬼殺隊やめろぉ。そんで今すぐに荷物まとめて消えろ」

 

「わかってるんだ。俺には才能はないし、呼吸も使えない。でも、どうしても…。兄貴の力になりたいんだ」

 

「うぬぼれんじゃねえぞ。てめぇなんか肉の壁にもなりゃしねぇ。さっさと失せろ」

 

「そこまでだ。茶を淹れよう」

 

匡近が間に入って、一度居間に座り込む二人。

 

「なあ、わかってるんだろ。いま、何かが起きてる。この先、大きな戦いがあるかもしれない。だから、最後の肉親と仲直りしたいっていう玄弥の意を汲んでやれよ実弥。お前は兄貴なんだから」

 

茶を持ってきた匡近がなだめるように言う。

眉間にしわを寄せた実弥。

 

「仲直りも何も、別に怒っちゃいねえよ」

 

「…本当か、兄貴」

 

「チッ。なんで鬼殺隊なんかに入ったんだよおめぇは。何のために俺があの日お前を助けたと思ってやがる。この馬鹿が」

 

やっぱり、兄ちゃんは世界一やさしくて。

強くて、かっこいいんだ。

玄弥は、涙があふれた。

 

「俺…ホントダメな弟で。それでも、兄ちゃんの為に強くなりたくてさ。あの日、お礼も言えなかったし、ずっと謝りたくて。だからいつか、兄ちゃんを助けられるくらい強くなったら謝ろうって…!」

 

「馬鹿言え。兄貴が弟を助けるなんざ、当然のことだ。お前は気にしないでどっかで幸せに暮らしてりゃよかったんだよ」

 

「ずっと、気にしてたもんな実弥。今日、二人を会わせることができてよかったよ」

 

それから、三人はこれまでのことを話した。

匡近が、今は亡き弟の姿を実弥に重ねていたとか。

人柱に救われてよかったとか。

凛が家に転がり込んできたとか。

 

久しぶりに会う兄弟は、時間を取り戻すように話す。

 

「稽古つけてもらってる人たち、相当おびえてたけど兄ちゃんやりすぎなんじゃないのか?」

 

「うるせぇお前は黙ってろぉ。そもそもあいつらが弱すぎんだよ」

 

「顔も怖いんだから、もう少し何とかしたほうが…」

 

「玄弥てめぇ!」

 

玄弥が実弥をあおるようなことを言うと、すぐに憤慨して取っ組み合いを始めるので、それを見て匡近はげらげらと爆笑した。

ああ、兄弟というのは本当にいいな。

匡近はそう思う。

 

実弥も、あまり表情には出さないが、本当にうれしそうで。

玄弥なんかはずっと頬が緩みっぱなしだった。

 

風呂を上がった実弥は、玄弥を呼びつける。

 

「お前は、鬼殺隊やめろ」

 

覚悟はしていた。

自分には力がない。

鬼食いも、匡近たっての願いでやめた。

だから、本当に自分は弱い。

それでも。

 

「それだけはできない」

 

そういうと、目の前の兄は掴みかかってきそうだった。

 

「待て、実弥」

 

肩を掴んで、実弥を止める匡近。

そして、玄弥に目配せする。

 

「俺は、弱い。でも、あの日兄ちゃんが護ってくれたみたいに、誰かを護りたい。俺は、兄ちゃんの弟だから。弟が、兄貴の背中を追っかけるのは当然のことなんだ」

 

手足をもいででも止めたかった。

自分は、弟に死なれたら生きていけるかわからない。

たった一人の、家族。

 

何よりも大切な、家族。

 

「俺から、何言ってもだめだった。実弥、これは観念するしかない。お前の弟はいつの間にか、立派な男になっちまったんだ」

 

「…ケッ。勝手にしろぉ」

 

もし、弟に何かあれば。

何を捨ててでも、護らねば。

 

俺は、こいつの兄貴だから。

 

「ありがとう、兄ちゃん」

 

そうして、何とか収まりを見せた実弥の機嫌。

二人はほっと胸をなでおろす。

明日は、玄弥も打ち込み稽古で叩きのめすといわれ、恐怖で眠れない玄弥だった。

 

 

 

ーーー

 

 

 

「竈門 炭治郎。ヌシに真剣勝負を持ち掛ける」

 

参座は、炭治郎に真剣で勝負を挑んでいた。

鍛錬をつけてもらっていた、ほかの隊士たちはざわめく。

 

見事柱稽古を突破していた炭治郎は、岩柱の稽古を抜けた後、ついに人柱との稽古だと胸を躍らせていた。

己の目標に稽古をつけてもらえることがうれしくて、早くたどり着いた。

 

だが、待ち構えていたのは、般若のような顔をしている参座だった。

何かまずいことをしたのだろうか。

心当たりはない。

それでも、何とも言えない威圧感。

 

「あの…!一体どういうことでしょうか…」

 

「ふむ。ヌシはカナヲを泣かせた。それは、兄として誠許せることではなかろうて。なれば、炭治郎。ヌシがカナヲにふさわしいか、今ここで試させてもらうでの」

 

なにがなんだか。

だが、一つだけ確かなことは。

 

目の前に最強が立っているということだった。

 

「ヌシのすべてをぶつけてこい。ワシは、鬼じゃ」

 

どう動いたらいいのか。

切り込めばいいのか、距離を取ればいいのか。

 

わからない。

 

「その程度で、カナヲを護れるのか?炭治郎」

 

瞬きはしていない。

そんな余裕はなかった。

それでも、声が後ろから聞こえる。

 

距離を取る。

だが、もうそこに参座はいない。

また後ろを取られた。

 

もう、自分で攻め込むしかない。

 

─ヒノカミ神楽 碧羅の天─

 

「威力は申し分ない。だが、まだ粗削りだのう」

 

参座の日輪刀の峰が、腹に当たる。

 

「んぐっ!」

 

あまりに重い一撃だった。

もしあれを本気で振られていたら。

 

斬れていたかもしれない。

峰で。

 

「何をそんなに驚いておる。ワシは、よう斬れるぞ」

 

考えるのをやめろ。

感じろ。

次に動く場所を嗅ぎ取れ。

 

己にそう言い聞かせ、感覚を研ぎ澄ます。

それでも全く知覚できない。

参座がどうやって刀を振っているのかもわからない。

 

これが、最強。

 

「炭治郎!」

 

縁側から、カナヲが出てくる。

こちらを呼んでいるようだった。

 

「それ、炭治郎。ワシは鬼じゃ。倒さねば、カナヲが死ぬぞ?」

 

目の前に立っているのは、鬼。

この世に跋扈する、悪鬼。

 

一体どれだけの人が、食われた。

一体どれだけの仲間が、死んでいった。

 

一体どれだけ、自分は護られた?

 

「おおおおお!」

 

咆哮。

炭治郎が持てる、最速の一太刀。

 

─円舞一閃─

 

勝てる、勝てないではない。

立ち向かうのだ。

 

「見事」

 

参座の言葉を聞き取った瞬間、炭治郎の意識は途切れた。

首に一撃。

たったそれだけだった。

 

カナヲがぱたぱたと駆け寄る。

気を失っているだけとわかると、カナヲは安堵する。

しかしさすがにやりすぎだとカナヲからお叱りを受ける参座。

 

「カナエ姉さんに言いつけますから!」

 

ご立腹のようだ。

 

「ひ、人柱様?」

 

あまりにも気を落としている参座に、いたたまれなくなったほかの隊士が、声をかけた。

 

「…思春期とは難しいのう」

 

ため息をつく参座だった。

その姿は、最強の威厳などなく。

娘に、パパ嫌いと言われたときのような姿だった。

 

その日、稽古が終わり隊士たちが帰っていく中。

炭治郎は呼び止められた。

 

「炭治郎、ヌシは蝶屋敷に戻るのであろう?」

 

「あ、はい。禰豆子がいるので」

 

「ふむ、今日は泊ってゆけ。しのぶのところにも文をだした」

 

「…あの、もう怒ってないですよね?」

 

気まずそうに言う炭治郎に、参座は可笑しくなって笑いだした。

 

「はっはっは!そう身構えるでない。何も最初から怒っておらぬ。どれ、炭治郎や。一緒に風呂にでも入ろうかの。背中を流してやろう」

 

「参座くーん。お風呂沸いてるからね~」

 

「おお、すまんなカナエ」

 

炭治郎をつれて、参座は風呂場へ向かう。

そして、炭治郎の身体を見て、一言。

 

「痛ましいのう…。ヌシは本当にがんばってきたようだの…」

 

沢山の傷があった。

深い物から、浅いものまで。

とにかく、叩き上げてきたんだろう。

 

「参座さんはすごいですね、傷が一つもない…!」

 

炭治郎は驚愕した。

参座の身体には、傷がなかった。

柱合会議の時にも一瞬見たが、まじまじと見ると、無駄のない身体つきに声が漏れる。

 

「それに、入れ墨も立派です!」

 

「嬉しいことをいってくれるのう」

 

わいわいはしゃぐ炭治郎。

その様子に、参座は笑みをこぼす。

 

「して、炭治郎。この前、カナヲに頼まれたことがある」

 

「なんでしょう?」

 

「炭治郎を、護ってやってくれと」

 

「俺を…ですか」

 

「そうだ。カナヲは、ヌシが心配で心配でたまらぬらしくての」

 

カナヲはいつも、気にかけてくれた。

自分がつぶれてしまいそうなときも、優しくしてくれた。

 

「でも、俺は護る人間になりたいです!カナヲのことも、護ってやれるくらい強くなりたいです!」

 

「よく言った。聞けば、義勇の心もヌシが動かしたというしな。炭治郎は本当にすごい子だの」

 

「そんなことありません。俺は、たくさんの人に助けられてきました。だから、その人たちのためにも俺がしっかりしなきゃダメなんです!」

 

曇りのない目でそんなことをいうものだから。

参座は感動して、炭治郎の頭を撫でまわした。

 

「ワシは、心が弱くてな。カナエにこれでもかというほど迷惑をかけた。だが、カナエはそれでいいといってくれたのだ。そしてカナヲは、ヌシにもっと頼ってほしいと思っておる」

 

「カナヲが?」

 

「うむ。ヌシの心は張り詰めておる。一度、カナヲに解いてもらうのがよいて」

 

そんな気は全くなかった。

それでも、目の前の参座言うなら、そうなのかもしれない。

一度、カナヲに相談してみるのもいいかもしれない。

 

そうして、二人は風呂から出て、カナエとカナヲの支度した夕餉にありつく。

 

「美味しい!カナエさん、とってもおいしいです!」

 

「あら~よかったわ~。今日のはカナヲもたくさん手伝ってくれたのよ~」

 

「そうなのか!カナヲはいいお嫁さんになれるな!」

 

意識せずそんなことを言う炭治郎だから、カナヲはきゅっと胸が締め付けられた。

そして顔を真っ赤にしてうつむいてしまう。

 

「ふふっ。よかったわねカナヲ?」

 

「嫁入りの準備は出来ておるのか…寂しいの」

 

何も言えないカナヲを、二人はにこやかな顔で見る。

しかし、炭治郎は一体どうしたのかときょとんとする。

 

しかし、カナヲが嫁入りか。

優しい人の所に嫁げればいい。

そう思うと、炭治郎の胸はちくりと傷んだ。

 

「…?」

 

言葉にならない違和感を覚えながら、夕餉を平らげていく。

 

参座の家はそこまで大きくはない。

基本的に多くのものを必要としない参座は、部屋を持っていなかった。

カナエの部屋と、二人の寝室のみ。

風呂はでかいが、居間はそこまで大きくない。

そんな家で、ひっそりと暮らしている二人。

 

参座は夜の警邏へ行くために家を出た。

カナエは自室で眠るから二人は寝室で寝なさいと言い、部屋に入っていく。

 

布団を並べ、さぁ寝ようとするとカナヲの心臓が高鳴る。

眠れない。

 

「…炭治郎、眠った?」

 

「起きてるよ。でも、眠れないから少し話そうか」

 

カナヲにとっては、なんとも幸せな時間だった。

今、自分は炭治郎を独り占めしている。

夜が開けなければいいのに。

そう願った。

 

炭治郎は、風柱と蛇柱の稽古がとにかく怖かったとか。

天元が、久しぶりだと言ってくれたこととか。

義勇が褒めてくれたとか。

様々な柱の話をした。

 

そして、与一の話をした。

 

「今日は、驚いたよ。参座さんが、恐ろしい形相で日輪刀を構えてたからね…。カナヲを泣かせるなって怒られちゃったよ」

 

「私、怒ってはないのだけれど…」

 

「でも、カナヲを心配させて泣かせてしまったんだから、俺はまだまだだよ」

 

「無事に帰ってきてくれればそれでいいんだよ?」

 

「いいや、俺はもっとみんなを護れるくらいに強くならなきゃダメなんだ」

 

こんなにボロボロになって。

打ちひしがれて、心が折れて。

目の前で家族を失い、仲間を失い。

 

それでもまだ自分を叩き上げるのか。

 

カナヲは哀しくなった。

それと同時に、なぜか怒りがこみ上げる。

 

「炭治郎は、どうしてそんなに自分を蔑ろにするの?」

 

「…カナヲ?もしかして怒ってる?」

 

「怒ってるよ。口を開けばもっと強くなるとか、護らなきゃとか。まるで参座さんみたいだよ」

 

「でも、俺はああなりたいし、なれるように努力しなくきゃ」

 

「それは、しかたなかったで済ませていいことじゃないのはわかるよ。でも、あまりにも炭治郎は自分を顧みないと思う」

 

「弱い俺は、もっともっと頑張らなきゃダメなんだ。もう、あんな哀しいことは起こしちゃだめなんだ」

 

「炭治郎は、参座さんじゃない。自分のできることには、限界があるよ」

 

「だからその限界を超えようとしてるんじゃないか!」

 

他でもない、カナヲに。

お前は弱いから、身の丈に合ったことをしていろと言われているようで。

つい炭治郎は声を荒げてしまう。

 

「でもそれで死んじゃったら意味ないでしょ!」

 

きっと、しのぶに似たのだろう。

カナヲも負けじと声を大きくする。

 

「しょうがないじゃないか!俺は決断できなかったんだ!禰豆子か、里の人かを!だから、もっと強くなって両方救える参座さんみたいにならなきゃダメなんだ!」

 

ただの口論だった。

大きな声を出して、己の意見が正しいとたたきつける。

 

「それでも私は炭治郎に死んでほしくなんかない!そんな風に張り詰めてたら、いつか心が燃え尽きちゃうよ!」

 

「まだ足りない!もっともっと燃やさなきゃ、追い付けないんだ!」

 

布団から勢いよく起き上がったカナヲは、炭治郎の布団をまくり上げた。

恐らく、カナヲは人生で初めてここまで激怒した。

 

「あなたにはできないことがあるの!私にもできなことは山ほどある!だからって全部やる必要はない!」

 

「じゃあカナヲは俺に何もできずに死ねっていうのか!」

 

ぱちん。

 

その細腕から、張り手が繰り出された。

威力もなく、炭治郎は全く頬に痛みを感じなかった。

 

でも、心が痛がった。

茫然と、その痛みを感じていると、カナヲが飛び込んできた。

 

「…あなたは、竈門 炭治郎。禰豆子のお兄ちゃん。誰かのためじゃない、妹の為に生きなきゃダメ」

 

そして、もし許されるのであれば…私の為にも。

流石にその言葉は口から出なかった。

 

炭治郎がカナヲの両腕に収まっているのだと気が付いた時には、涙が流れていた。

 

「私はカナエ姉さんが襲われたって聞いた時、この世が終わってしまうと思った。禰豆子ちゃんも一緒だよ。お兄ちゃんの居ない世界なんて、耐えられない。だから参座さんも、煉獄さんも、与一さんも。命をかけてくれたんだよ」

 

禰豆子。

俺は鬼殺隊で、みんなの仲間で…それで。

兄なのだ。

最後の妹を、家族から託された、兄なのだ。

 

「…ごめん、カナヲ。ありがとう」

 

「できないことは、私が手伝うよ。参座さんもカナエ姉さんも、しのぶ姉さんも。だからお願い、せめて私の前では強がらないで?」

 

「…カナヲっ!カナヲぉ!ごめんなさい…俺っ!弱くて!」

 

幼子のように泣き出す炭治郎を、腕の中に抱いたカナヲ。

とうとう我慢ができなくなって、自分も泣いてしまった。

 

炭治郎は、ずっと謝っていた。

あの日、間に合わなかった家族。

那田蜘蛛山で救えなかった隊士たち。

列車でみんなを救ってくれてた男の子。

吉原で不運にも巻き込まれてしまった人たち。

 

そして、命をかけて守ってくれた与一。

 

「…がんばったね。一回休もう?」

 

それからずっと泣きわめく炭治郎を、カナヲは黙って抱きしめる。

ついに疲れ果てて眠る二人は、抱き合ったまま横になって眠った。

 

それを戸の隙間から覗いていたカナエは、尊さを感じ心をぽかぽかさせながらその場を後にした。

 

その日の夢で。

炭治郎は、家族に会った。

みんな笑っていて、炭治郎に感謝を告げる。

兄妹たちに、お兄ちゃんの弟で、妹でよかったといわれた。

 

「俺の方こそ、生まれてきてくれてありがとう」

 

そういうと、変わらずに笑顔の家族の姿が少しずつかすんでいく。

そして、母が去り際に言った。

 

「あなたは自慢の息子よ。禰豆子のこと、お願いね」

 

任せてよ、母さん。

それを聞いた母は、満足そうに消えていく。

 

俺は、竈門 炭治郎。

竈門家の長男で、禰豆子の兄。

 

これからも、生きていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




参座はもうカナヲの兄でもいいと思うんだ。

…だよね?

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