オンブズゥーマン、助けて~!   作:紫 李鳥

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 着いたのは、葛飾区の、とあるぼろアパートの前。探知機、205号室を表示。

 

 トントン

 

 ドアをノック。

 

 ギーッ

 

 ドアを開けたのは、少し寂しげな表情の女の子。

 

「……オンブズゥーマンさん?」

 

「たちかに、わたくちが、かの有名なオンブズゥーマンなのら~」

 

「早く、入って」

 

 女の子、オンブズゥーマンの腕を引っ張る。

 

 ギーッ

 

 部屋には女の子の母親らしき女が寝ている。

 

「……お母ちゃん、病気なの。けど、お金がないから、病院に行けないの。どうしたらいいかわからなくて、オンブズゥーマンさんのうわさを聞いて、助けてほしくて……」

 

「ふむふむ。心配はご無用。これ、輪ゴムよぅ」

 

 金太郎ヘアのてっぺんを輪ゴムで結んで、ちょっとオシャレしたオンブズゥーマン、ダジャレを言って、輪ゴムを指差す。

 

「……え?」

 

「ウッホン!ではでは、わたくちの赤ちゃんにおんぶちて」

 

 マントを脱ぐ。

 

「エッ!」

 

「いいからいいから、早く早く」

 

 オンブズゥーマンにおんぶされた、哺乳瓶をくわえた人形に抱きつく女の子。親亀の背中に子亀を乗せて~、と言った具合だ。

 

 ウエストポーチから出した安全ベルトで、抱えた母親と女の子を固定すると、、オンブズゥーマン、マントをはおる。そして、窓から飛び立った。

 

 シュワッチ!

 

「わ~、飛んでるぅ」

 

 女の子、つぶらな瞳を輝かせる。今回は女の子からのほっぺにチュッ!がなかったので、仕方なく、星のまばたきにウインクするオンブズゥーマン。

 

 

 

 30秒で救急病院に到着。

 

「わぁ~、オンブズゥーマンだわ~」

 

 ナースたちの歓声と共に熱い吐息。

 

「イエ~イ」

 

 女の子を降ろしたオンブズゥーマン、いつものように、親指を立ててウインクできめる。

 

 母親を診察室に運んだオンブズゥーマン、ウエストポーチからキャッシュカードを出す。

 

「お母さんの治療費は、これを使うのら~。暗証番号は、コソコソ……」

 

 意外にも金持ちのオンブズゥーマン。

 

「ありがと~。オンブズゥーマンさん、大好き。チュッ!」

 

 女の子、オンブズゥーマンのおてもやんほっぺにキス。けど、女の子は口紅をつけてないので、キスマークは期待できない。ん~、残念!

 

「イエ~イ」

 

 オンブズゥーマン、いつものポーズできめる。

 

「……また、会ってくれる?」

 

「いつでもオッケーなのら~」

 

「アッ!オンブズゥーマンだッ!」

 

 オンブズゥーマンを見て感激した松葉杖のマッチョ、松葉杖を放り投げて走ってくる。

 

「あんれまぁ!オンブズゥーマンかい?」

 

 点滴を手にしたおじいちゃん、点滴と共に駆け寄る。ナースたちは憧憬の眼差しで、オンブズゥーマンにうっとり。

 

「では、さらばじゃ」

 

 いつものポーズでカッコつけたオンブズゥーマン、振り向きざま、自動ドアにおてもやんほっぺをぶつける。

 

「アッ!いててて」

 

 けど、オンブズゥーマンのほっぺたは赤いので、衝撃のほどは目立たない。ん~、ラッキー~!

 

 シュワッチ!

 

 照れ隠しのように、あわてて飛び立つオンブズゥーマン。一同、空を見上げ、手を振る。

 

 

 

 ♪

 オンブズゥーマン

 オンブズゥーマン

 

 人形おんぶした

 オンブズゥーマン

 

 デブっちょウーマン

 ウーマンパワー

 

 オンブズゥーマン

 ワンダーウーマン

 

 ちゃうちゃうオンブズゥーマン

 

 悪人倒し

 善人守る

 

 オンブズゥーマン

 オンブズゥーマン

 

 ぼくらのヒロイン

 わてらのログイン

 

 ちゃうちゃうヒロイン

 

 オンブズゥーマン

 オンブズゥーマン

 

 

 

 今日もまた、日本だけの夜空に、オンブズゥーマンのテーマ曲が響き渡るのら~。

 

 

 

「ウッサーーーイッ!今、何時だと思ってんだッ!」

 

 区民からの苦情により、ウエストポーチに入ったテープレコーダーの音量を下げるオンブズゥーマン。意外と謙虚なのら~。

 

 

 

 ピカッ!ピカッ!

 

 [助けて探知機]が悲鳴をキャッチ。

 

『ウウウ~、ワン!クンクン……。(オンブジュゥーマン、タチュケテ)』

 

 子犬の悲しい声をキャッチ。

 

「よっしゃ、待っててワン!」

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