異世界をヴァーディクトウォーに巻き込まないでください(懇願) 作:COTOKITI JP
そういえば小説評価付与の所、気付かずに一言欄五十文字までにしちゃってたので一言欄消して評価付与だけできるようにしました。
とある山岳地帯。
誰も人の寄り付く事の無い山奥に、二人はいた。
一人は前に荒れ果てた神殿で女と話していた男。
もう一人はあの女とはまた違うやたら露出の激しい服装の少女だ。
彼女は男とはまず肌の色から違う。
男が普通の肌色に対して少女の方は全身青っぽい。
どちらが人間らしいかと聞かれれば間違いなく男の方を指すだろう。
彼女は竜人族の『ジゼル』。
冥府神ハーディの使徒であり、ロウリィと同じ亜神。
本来ならばあと五十年は眠っていたであろう炎龍を目覚めさせたのもジゼルだ。(尚、炎龍は男に魔改造されてコジマ漬けになった模様)
そしてその二人が何をしているかと言うと、ただ普通に飯を食っていた。
しかし、二人が食べているのはただの飯ではない。
この世界に存在していない筈の保存食、その名も缶詰だった。
それを火で加熱し、食べている。
缶詰を持ち込んだのは男の方だ。
男が慣れた手つきでサバの味噌煮とツナというよく分からない組み合わせで食べている中、ジゼルも今までに味わった事の無かった未知の味を楽しんでいた。
「現地で調理するのも面倒だから持ってきたんだけど……味はどうかな?」
ジゼルは缶詰を一気に平らげ、一息つく。
「あ^〜たまらねえぜ。 これ美味スギィ!」
「そうか、美味いか」
「こんなのあったらこの世界の食糧事情覆っちゃうじゃんアゼルバイジャン」
……ジゼルは、色々と男に吹き込まれすぎたようだ。
もう手遅れだってはっきりわかんだね。
「あー、それで炎龍のことなんだけど」
「炎龍の事なら安心して、どうぞ。 多分今頃アイツら炎龍のおやつになってるゾ」
「良くやった。 ジゼル」
「あの状態の炎龍誘導するのすっげえキツかったゾ〜。 お前の言う『コジマ粒子』とかいうので近付くことも出来なかったし」
疲れた表情のジゼルに男は「感謝するよ」と一言労いの言葉を掛けて手に持っていた空の缶を地面に置く。
「感謝するくらいだったら缶詰をもっと寄越すんだよあくしろよ」
ジゼルに急かされながら男は「はいはい」と言いながら缶詰を更に取り出し、地面に積み重ねる。
心底美味しそうに缶詰を食らうジゼルを男は見る。
自分はもう満足したので後はジゼルの胃が満たされるのを待つだけである。
「あぁそういえばジゼル、炎龍にはもう接触しない方が良いぞ」
「なぜだ?」
「言っただろ。 あの炎龍は独自に自己進化していくように作られている。 進化を繰り返す内にジェネレーターとして、整波装置としての性能は桁違いに向上している」
ジェネレーターだの整波装置だの言われてもジゼルには分からなかった。
ジゼルはもっと簡単に言ってくれと頼んだ。
「そうだな。 最終的には、空を飛ぶだけで広範囲を生物が住めない死の大地にするくらいのコジマ粒子を精製するようになるだろうね。 兵器のジャンルで言うならば、生体アームズフォートとでも名付けるかな?」
「それマ? やばくね?」
「安心しろ。 そうなる前に
男はニヒルな笑みを浮かべ、焚き火を見つめていた。
「総司令、今回の戦闘の報告に参りました」
「入れ」
シリウス、特別地域派遣軍基地。
そこの総司令の執務室に一人の将校が入る。
二人の表情は決して良いものとは言えない。
あの戦闘の結果からすれば、致し方の無い事だが。
「戦闘報告を」
「はい、我が攻撃隊はΩ標的による奇襲攻撃を受け部隊の五割を失いました。 こちらの報告書に具体的な損害を記載しております」
総司令は将校が執務机に置いた報告書を取ろうと手に取る。
それを見れば量産型AC32機、MT51機、MBT27両、攻撃ヘリと輸送ヘリは全滅。
死者は死体が残った者だけでも598人。
塵一つ残さず蒸発した者も合わせれば合計死者数は倍に膨れ上がる。
「……成程、これ程とはな……」
「申し訳ありません……私がもっと早く兆候に気が付いていれば……」
「貴官が謝る必要は無い。 それよりも戦力を五割も残してくれた事を感謝する」
この場合は、むしろこの将校は称えられるべきだ。
あの時Ω標的は迎撃隊を突破し、本隊に直接攻撃を仕掛けて来た。
為す術も無く兵士達が散っていく中、将校は残された戦力を最大限活用し、Ω標的に集中砲火を浴びせた。
最終的にスナイパーキャノンの一斉射撃でプライマルアーマーを無力化一歩手前まで減衰させ、Ω標的は撤退した。
「ここはもう三大勢力どころではなくなったな……。 とにかく、俺は総司令部に戦力の増強を要請してみる事にしよう」
「はい、その方がよろしいかと」
この後、シリウスは特別地域に最初に派遣された部隊の倍の戦力を派遣。
支配領域はそれに比例して更に広がり、それは他勢力の警戒を強めた。
一方でヴェニデはシリウスのこの動きを察知。
侵攻の予兆があると考えたクリメントは戦力の更なる増強を決定。
後の特別地域大規模侵攻作戦に向けても準備を進める。
時は戻り、コダ村のキャンプ。
そこでは今、新たな行いが始まろうとしていた。
高機動車に積み込まれた大きな袋を見るレニックと子供達。
その袋の中には、大量の飛竜の鱗が詰まっていた。
特別地域での最初の戦いに於いて、自衛隊が撃墜した飛竜の鱗だ。
彼らは今、それらを売りに行こうとしていた。
自衛隊は別に難民をおんぶにだっこと完全な生活の保証はするつもりは無い。
あくまで生活の補助だ。
そしてその中には難民の自立した生活を可能にする事も含まれている。
難民が自ら収入を得られるようになれば万々歳。
それが今回の鱗を売りに行く目的だった。
「にしても、凄い量だな。 これ一枚でそれなりの価値はあるんだろう?」
「こんなに沢山あったら一生遊んで暮らせるわね」
飛竜の鱗というのは非常に堅牢性に優れており、それは大口径のライフル弾を弾く程だ。
ここでは高級な防具などに使用される事が多い為、とても価値が高い。
「あぁ。 自衛隊様様だな」
準備が終わったのか、伊丹達が車に乗るよう声を掛けてきたので隣にいたテュカと共に高機動車に乗り込む。
人数が多いので、少し狭く感じるが座る分には充分だろう。
鱗を売りに行く先だが、『カトー』とかいう老人に商人の知り合いがいるらしく、その人に売るそうだ。
そしてその知り合いがいる所が『イタリカ』と呼ばれる街らしい。
カトーの弟子を名乗る『レレイ』という少女の解説によればイタリカという街は商業都市であり嘗て帝国にとって重要な貿易の要衝だったという。
しかし帝国の領土拡大によって国境は遠ざかり、今では価値を失った少し大きいだけの街である。
オマケにその街の領主を務めていたフォルマル伯爵家も身内で色々とゴタゴタがあり、しまいにはミュイ・フォルマルというまだ11歳の幼き少女がイタリカとその周辺の領地の当主となってしまった。
まだ11歳の彼女は領地を管理する術など知るはずも無く、制御を失ったイタリカには不正がはびこるようになった。
と、レレイによる解説はこのような感じだった。
昔から戦いばかりで政治など微塵も分からないレニックは何だか他人事に感じながらもその話を咀嚼していた。
その後車列はレレイの案内を受けつつ地図を頼りにイタリカへと順調に進んだ。
短い間で様々な出来事に会ったレニックはようやく休めそうだと外の綺麗な景色を眺めながら安堵の溜息を吐いた。
「ん……? おい、あれ煙じゃないか?」
「火事?」
「イタリカの方角から上がってるわね」
「……あぁ、勘弁してくれ……」
この世界は彼にひとたびの休みすらも与える気は無いようだ。
「……確かに、ヴェニデは一人の傭兵を監視しています」
「そやつはイタリカに向かっているのだな」
「はい、彼らがイタリカにいる間に作戦を開始します。 上手く行けば両勢力の戦端を開かせる事が出来るでしょう」
「それが貴様の言う
「その後の流れとしては、ヴェニデとの交渉で後ろ盾を得ましょう」
「交渉と言ったって何を見返りに出すんだ?」
「土地です。 現在ヴェニデは支配領域の急激な拡大が原因の過剰な人口増加による慢性的な経済危機に陥っています」
「成程、それでここに人々を移住させると」
「つまりは棄民政策という訳です」
「しかし、本当に上手くいくのか?」
「えぇ、全て我々にお任せを。 其方にも、
「まぁ、貴様らに期待させてもらうとしよう」
「それでは良い報告を待っていて下さい……
ジゼルが例のアレに染まったのは完全に作者のお遊びです、ハイ。
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