異世界をヴァーディクトウォーに巻き込まないでください(懇願)   作:COTOKITI JP

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そろそろ原作知識が乏しくなって来たからどうしようかと思っていたら学校の図書室にゲート全巻あったので一巻借りて来た。
やったぜ。


動き出し

炎龍の襲撃によって焼け落ちた森とその中にあった村。

民家であっただろう瓦礫の山に、炭化した人の死体が埋まっていた。

あの炎龍がどれ程の力を持っているのか、今目前に広がる惨状でよく分かった。

 

そんな朽ち果てた村の中で、カメラのフラッシュが瞬く。

森林迷彩の戦闘服に身を包んだ数人の男女が村を捜索していた。

彼らが唯一見つけた村の生き残りは、井戸の中に隠れていたエルフの少女一人、それと草むらに隠れるように倒れていた人間の男が一人だけだった。

 

少女の方は目立った外傷もなく、クリーンヒットした水桶で気絶しているだけだが、男の方は明らかに重傷を負っている。

腹部を何かに刺されており、僅かだが内蔵にまで損傷がある。

 

「どうだ黒川(・・)、その人の様子は?」

 

「何とか出血は止まりましたが、内臓も傷付いてるので直ぐにちゃんとした病院施設まで運ぶ必要があります」

 

「そうか……」

 

「発見当時はこの人の周りに大きな血溜まりが出来ていましたし、生きている事が奇跡を通り越して異常ですわ」

 

二人で話していると、遠くにいた別の男から声が掛かった。

 

「伊丹二尉!こっちで何か変なの見つけました!」

 

「分かった、今行く」

 

伊丹、と呼ばれた男は手を振って呼んでいた男の元へと走り寄る。

組織としての階級は伊丹という男の方が上だ。

伊丹を呼んだ部下は大木の根元に半分地面に埋まっていた何か(・・)を指さした。

 

見える部分は全部丸焦げで、最初は民家の瓦礫かと思ったが、よく見るとそれは金属製の物体である事が分かった。

その鉄塊の大きさは潰れているとはいえかなり大きく、五メートル位の大きさはあった。

 

更にその鉄塊の下には炎で溶けた配線が飛び出ており、それが何かの機械である事を意味していた。

 

「なんだこれ……?」

 

「それと、地面にこんなのが……」

 

部下の男が今度は鉄塊の脇を指さす。

そこには信じられない事に、空薬莢が幾つも転がっていた。

小銃弾サイズのものではない、明らかに戦車砲クラスの空薬莢がゴロゴロとある。

 

「まさか……夜中に鳴ってた音って砲声だったのか?」

 

「……!伊丹二尉、見て下さい!これ、砲身じゃないですか!?」

 

鉄塊の元に近付いて見ると、確かに砲身らしき物が見えた。

だが、伊丹にはただの戦車砲とは違って見えた。

普通、砲身から辿って見ていけば、その先には砲閉鎖機が見える筈だ。

そこにあったのは戦車砲のそれではなく、構造的にはどちらかと言うと小銃の方がしっくりくる。

 

それを見ていると、更に気が付いた事があった。

 

「おい倉田、これロボットの足じゃねえか?」

 

伊丹が指さしたのは配線の飛び出した何かの機械部品。

 

「あぁー潰れてて分かりにくいですけど確かにそれっぽいですね。 関節みたいなのもありますし」

 

この鉄塊を見て、伊丹はこの世界……俗に言う『特地』の事がますます分からなくなってきた。

文明が中世レベルだと聞いて来てみれば、こんな所に近代文明の産物がデカデカとあるではないか。

 

何だか今までのこの特地に対するイメージを完全に叩き壊された気がした。

すぐにでも調べたい所だが、こんなデカブツ普通の車両では到底運べる物ではないので写真を撮ってそれを持ち帰る事にする。

エルフの森に近代文明の痕跡があったなんて知ったらお偉いさん達は驚きのあまりズッコケてしまうだろう。

 

伊丹はこの鉄塊の事が気になっていたが、あの男の事もあるので、写真だけ撮って直ぐにここを去る事にした。

 

 

 

 

 

 

これまたとある会議室。

ヴェニデの質素な作りとは打って変わって飾りを多く用いた中世ヨーロッパを彷彿とさせる作りは、ここが荒れ果てた荒野の世界である事を忘れさせる。

部屋の中心に置かれた長テーブルを何人もの将校が囲み、一番前には将校と同じ軍服に身を包んだ一人の女性が座っていた。

 

彼女は緑色の髪を揺らしながらテーブルに置かれた紅茶を手に取り、ゆっくりと口を付ける。

その仕草には優雅さが感じられ、正に淑女といった感じだ。

彼女こそこのEGFの現在の総帥、エレノア・アストラウである。

EGF創設者であるフランシス・バッティ・カーチスが救世主として名を残し、この世を去ってから早数世紀。

 

このヴァーディクトウォーに於いて彼女、エレノアは総帥として全軍の指揮を担っていた。

しかし、今回に関してはちょっとした別任務も加わっている。

それが今回の会議の議題でもある。

 

「ヴェニデは介入が確定、シリウスも動きが怪しい……。 これは最早、ただの異世界探検では終わりそうに無いな」

 

ティーカップをソーサーに置くと、エレノアは呟くように言った。

すると、長テーブルの片側に座っていた将校の一人が手を挙げ、発言の許可を求めた。

エレノアはそれを許可し、男が立ち上がる。

 

「その事ですが先日の報告によりますと、更なる第四勢力(・・・・)の介入が確認されました」

 

「……何?」

 

予想外の報せに、エレノアは眉を顰める。

 

「偵察用の無人機を発進させ航空写真を撮影していた所、明らかに近代の軍が建設したであろう軍事基地を発見しました」

 

「ほう、軍事基地とな……して、何故それが第四勢力と言いきれる?」

 

男は報告書の冊子を捲り、読み上げる。

 

「無人機からの画像を解析し、写っていたMBTやその他の車両等を3Dモデルで再現してみたところ、これらの兵器は我々やEGF、シリウスの運用する兵器とどれも一致しませんでした」

 

「未知の兵器、ということか?」

 

「えぇ、特にMBTに関しては今では見ない設計です。 これは見てもらった方が早いかと」

 

長テーブルの上に男が何かの模型を置いた。

3Dプリンターで作られた戦車の模型だ。

砲塔は非常に丸く作られており、この砲塔の形状は現在既に存在しない。

 

「これは……」

 

「この戦車は、形状からして恐らく旧時代より遥かに前、装甲不要論(・・・・・)が提唱されていた頃の戦車だと思われます」

 

砲塔の形状からエレノアはある程度予想していたが、やはり驚かざるを得なかった。

 

「馬鹿な……避弾経始のMBTなど、MTやACの登場で意味を成さなくなった筈だろう……」

 

そう、嘗ては避弾経始も戦車設計に於ける一つの選択肢として存在した。

だが、時代が進むにつれて複合装甲による高い防御力、高推力のブースターによる高い機動性、そして対AC戦を想定して作られた馬鹿みたいな口径の火器による高火力の全てを併せ持った人型汎用機動兵器、ACの登場によってMBTの機動性も、複合装甲すらも無意味と化したのだ。

 

今ではそこら辺のちんけな武装勢力ですらも複合装甲を装備したMBTを所持している。

 

「このような骨董品を運用する勢力などたかが知れている、と思っていましたが軍隊としての規模はそれなりにある様です」

 

冊子が更に捲られ、男はそれを読み続ける。

 

「第四勢力はその丘を中心に六芒星を象った強固な要塞を建設しており、兵力もある様で、最低でも師団規模の部隊が常駐しています」

 

それから、男は報告書片手にエレノアへ第四勢力に関しての情報を粗方伝えた。

エレノアによるその第四勢力の総評はと言えば兵力は一丁前、兵器はそこらのテロリスト以下、だそうだ。

 

第四勢力に対する攻撃及び撃滅も提案されたが、ヴェニデの介入が確定している以上、まずはそこから手を付けなくてはならない。

なので、その第四勢力に関しては無人機による監視は続け、様子を見るだけに留める事にした。

 

 

 

 

 

 

《ヴェニデAC部隊隊員の日記》

明日、俺達は偵察活動の為に少数の部隊を率いて遠出をするらしい。

偵察目標は人と地下資源。

地下資源の方を優先的に探せとの事だ。

現地民に関しては、集落や町などを発見したらそこに向かい情報を集める方針らしい。

航空写真をACのマップデータに取り込んであるから遭難する心配は無いだろう。

他の隊員は皆遠足気分でウキウキしている。

確かに自分も明日が楽しみでならない。

しかし最近、あのライトニングホーネットの活躍を聞かなくなってしまった。

何かあったりしたのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リーダー、例の第四勢力に関してだが……」

 

「あぁ、今はまだ手を出す必要は無い」

 

「だが、放っておいたら後々何かやらかしそうだぞ」

 

「安心しろ、攻撃も視野に入れて現在監視中だ」

 

「遅かれ早かれ潰すって事か」

 

「あのような連中、将来我らの邪魔立てをするかもしれんからな……」




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