異世界をヴァーディクトウォーに巻き込まないでください(懇願) 作:COTOKITI JP
フロム・ソフトウェアがあのアーマードコアの新作アーケードゲーム、『戦場の絆(騙して悪いが)』を発表!
詳細は後書きにて!
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彼の地より鋼の巨人舞い降りる。
巨人は我らが大地の一切合切を焼き払い、耕す。
神すらも恐れぬ彼らにいずれ、世界は滅ぼされるだろう。
全てが崩壊して……。
《予言書 『黒色の神託』より抜粋》
そこには神殿があった。
とは言っても人っ子一人おらず、一部が欠けていて植物に侵食されて真っ白な柱は緑色に染まっている。
誰も訪れる事の無いであろうその場所に、二人の男女がいた。
女の方は不満の表情を浮かべながら倒れた柱に座る男を睨んでいる。
その表情から読み取れるのは憎悪の類ではなく、ただ単純な不満だということだった。
「お前の介入のお陰でこの世界は現在進行形で滅茶苦茶だ! なんて事をしてくれる!」
怒られた男は悪びれた風も無く女の方を見続ける。
「いやいや、世界なんて幾らでもあるんだから一つぐらい滅んだ所で大した事ないでしょ。 これで滅ぶんだったらこの世界の人間はその程度って事だね」
「だからって別の世界の戦争をこっちに持ち込む馬鹿があるか! もう既にお前の言う三大勢力とやらはいつ交戦してもおかしくないんだぞ!?」
ここまで言われても男は反省する素振りを見せず、空を見上げたまま動かないので女のイライラは溜まる一方だった。
「……私は、人間の可能性を見たいんだ。 果てなき戦い、そしてそこにある可能性を」
「お前の願望などどうでもいい!それよりもお前、炎龍に手を出したな!」
「あぁ……確かに少しばかり弄ったけど……」
「少しなんて物じゃないだろう!何故あんなものを炎龍にくっつけたんだ!?」
その問いに対して、男はまるで意味が分からないというかのように首を傾げた。
男の方は炎龍の魔改造に対してはそこまで大きな目的は無かった。
つまり、ただの気まぐれである。
「質問の意味がよく分からない……載せちゃダメなのかな?」
その答えに女は呆れて大きな溜息をついた。
緑光を放つ竜が動き出そうとしていた。
プライマルアーマーの稲妻が増大し、その光はより強まる。
竜が炎を吐く姿勢を取ろうとした時だった。
爆発。
ガトリングの轟音。
竜を覆い尽くす弾幕。
そして空より舞い降りる鋼の巨人。
ヴェニデの偵察隊が到着した。
三人の傭兵が量産型ACを率いて竜の前に躍り出る。
量産型五機と傭兵の機体が三機の合計七機のACによる集中砲火。
伊丹達は「何だあれは」と言った表情でACを見つめている。
一見、状況は良くなったように見えたが、プライマルアーマーの特性を知っていたレニックは伊丹に怒鳴りつける。
「おい!早く車両を全部ここから撤退させろ!!」
「え!でも……」
「早くしろ!!
「わ、分かったって!!」
怒鳴り声に辟易としながら伊丹はたどたどしく無線機で全車両に撤退命令を出す。
車両は全部竜からかなり距離を取ったが、まだAC部隊が残っている。
彼らもアレが何かを知らない。
今竜に接近するのは自殺行為だ。
その時、無線機から何者かの声が聞こえて来た。
「こちらヴェニデ特別地域派遣軍、第一偵察部隊。 貴官の所属を問う」
「あのAC部隊からだ、応答しろ」
レニックに言われ、仕方なく伊丹は無線機を手に取った。
「はいはい……えーこちらは自衛隊、第三偵察隊隊長の伊丹です。 此度の救援感謝します」
「あのAC部隊にも撤退するように言え」
あの竜に関して何か知っているのだと悟った伊丹は指示に従い、弱腰ながらもAC部隊とやらに撤退を促す。
しかしやはり帰ってくるのは理由を求め、拒否を示す言葉のみ。
「いいか伊丹、あの竜が纏っている盾は全ての生物の命に危険を及ぼす汚染物質で構成されている。 あれに近付き過ぎればいずれ身体が崩壊して死ぬぞ」
そう言われた伊丹はとりあえずレニックの言葉をオウム返しで相手に伝える。
相手の対応は半信半疑だったが、車列の護衛が優先だと言い、何とか指示には従ってくれるようだ。
ただそれを竜が許せば、の話だが。
「イタミとやら。 どうやらあの蜥蜴野郎は行って欲しくないようだ」
逃げ出そうとした人間達を見た竜は口の中に何かを充填し始めた。
それは炎ではない。
恐らくそれよりも凶悪。
緑色の光が収束し、眩い光が遠くからでも見えた。
その瞬間、放たれる緑光。
凄まじい速度で吐き出された緑色の閃光は狙いが外れたのか伊丹達車列部隊よりかなり離れた場所に着弾した。
しかし、恐るべきはその威力だった。
着弾地点から凡そ半径5kmが瞬時にして吹き飛び、巨大なクレーターが出来た。
それによって生じた衝撃波は一番近くにいた車両の片輪を浮かせ、横転一歩手前まで傾かせた程だった。
「何かアイツビーム撃ってきたんだけどォ!?」
全速力で走る車両の中は激しく揺れ、何かに掴まっていないとシェイクされて車外に振り落とされてしまうだろう。
「とりあえず……安全な距離まで離れて……そこから反撃……を……」
突然にやってくる眠気。
何事かと思えば、腹から再び出血が起きていた。
結構前からなのか、レニックの足元は血塗れだ。
車内で一応応急処置は施されていたが、戦闘時に激しく揺れたので傷口が悪化していた。
それに気付いた黒川は急いでレニックを寝かせる。
「大丈夫ですか!?しっかりして下さい!!」
「そんな……嫌!レニック、死なないで!!」
そんな単純な言葉すらも聞き取れない程にレニックの意識は薄れていき、やがて二度目の眠りについた。
遥か地平線の彼方まで続く平原。
そこに並べられたのは大量の量産型ACとMTにその他の陸上兵器。
立ち並ぶ兵器達の間を搭乗員や整備員が忙しなく走り回り、機体の点検や弾薬の補充等を行っている。
この光景が意味するもの。
それは即ち……戦争の始まりなのだろう。
太陽に熱せられた真っ黒な装甲はホットプレートのように熱くなり、何人かのパイロットがその装甲の上でソーセージを焼いて食べている。
それを遠目で眺めながらテントの日陰に隠れ、ミューズリーを口に運ぶ。
ミューズリーを食べ終えた頃、ちょうど自分達がいたテントに隊長が入って来た。
隊長も昼食を取ったばかりなのか、口元の食べかすが拭い切れていなかった。
これが戦争映画とかに出てくる髭の生やしたおっさんだったら気持ち悪がるだろうが、隊長に関しては美形な女性ながらそのギャップが微笑ましく思えた。
テントに入って来るなり隊長は「暇なら整備員連中を手伝ってやれ」、と俺達全員をテントから引っ張り出した。
いくらうら若き女性と言えど彼女は士官であり、俺の所属するこの第88AC大隊、通称『エーレンベルク隊』の大隊長である。
因みにエーレンベルクという名前は隊長のヘレナ・ブラックバーンの出身地がアメリカのエーレンベルクだからだ。
特に深い意味は無い。
テントから引っ張り出された俺達は弾薬庫からトラックで運び出された砲弾を今度はトラックの荷台から取り出してライフルのマガジンに装填していく。
砲弾とマガジンの数は気が遠くなる程多く、他の部隊の連中も苦労しているようだった。
しかしただのライフルならまだマシでスナイパーキャノンの砲弾なんかは口径が30cmを優に超えるので数人がかりで運ばなくてはならない。
訓練兵だった頃に、運んでる途中だったスナイパーキャノンの砲弾を誤って落としてしまい、それで足を粉砕骨折したという事故もあった。
ここにかき集められた大漁の兵器達は別に今日明日すぐに使う訳ではない。
ただいつでも瞬時に部隊を展開できるように準備はしている。
こんな感じで弾を補充したり、或いは兵器の点検を行う。
大規模の部隊が編制された理由は一週間後に行われる
作成内容はまず部隊を六つに分け、そこから更に三個部隊ずつの二つに分ける。
攻撃目標はEGFとヴェニデ。
同時攻撃を仕掛ける手筈になっている。
作戦立案当初はこちら側が万全の体制を整えてから実行すべきだと言う意見もあったが、それだと敵に戦力を蓄える暇を与えてしまうという事で今実行された。
自分達の部隊はヴェニデを攻撃する事になっていた。
敵はまだこちらの明確な動きは察知できていない。
多少の偵察部隊を出しただけで残りの戦力は全て基地の中に閉じこもっている。
正に千載一遇のチャンスだろう。
もしこの作戦が成功すれば敵はこの特別地域からの撤退を余儀なくされ、しばらくの間は俺達の独り占めが出来る。
この世界の文明は旧時代よりも遥かに前の中世レベル。
例え現地民が歯向かってきたとて抵抗する暇もなく殲滅できる。
資源さえ手に入ればヴァーティクトウォーの勝者は我々となる。
良く来てくれた、レイヴン。
残念だがアーマードコアのアーケードゲームなど初めから存在しない。
騙して悪いが仕事なんでな、感想を書いて、ついでにブクマと評価付与もしてもらおう(欲張り)