異世界をヴァーディクトウォーに巻き込まないでください(懇願) 作:COTOKITI JP
あれからしばらく経った頃、日本本土の方にとんでもないニュースが入って来た。
それは特地での高度な文明を持った未知の軍隊と第三偵察隊の接触である。
日本政府の官僚達を更に驚かせたのは、報告書の中にあった未知の軍隊の運用する『人型兵器』についての記述だった。
なんでも、ジェットエンジンのような物で高速でホバー移動したり、空を飛んだり、両手に戦車砲、或いは戦艦の主砲クラスの火器を所持しているという。
官僚達はこれらに関する情報を更に欲したが、その人型兵器は足早に去ってしまったので、分かることがあるとすれば彼らが恐らく人間であるという事位だ。
一応、写真だけならあった。
コアンの村で撮影された人型兵器の残骸と思しき写真。
彼らがその未知の兵器について分かることを粗方並べてみると
・上半身は人型だが、下半身は二脚だけでなく四脚の物や戦車の車体のようになっている物もある。
・大きさはだいたい7〜8m
・片手で戦車砲、または戦艦の主砲クラスの火器を扱う。
・基本ジェットエンジンによるホバーで移動し、高機動車を軽々追い越す程の機動力を持っている。
これが現在人型兵器について分かっている事だ。
官僚達は専門家などにもこの人型兵器について聞いてみたが、返ってきた返答は全て「現在の技術では実現は不可能」という分かりきっていた言葉ばかり。
政府はこの事を野党やマスコミ、そして国民に知らせるか迷った。
下手に情報の扱いを誤れば国民を混乱させかねない。
だからと言って隠してしまうとそれがバレた時のリスクは大きい。
そして迷いに迷った末に、政府はこの未知の人型兵器に関する情報を公開する事を決めた。
「えっと……すみません、もう一度言って頂けますか……?」
そして今に至る。
防衛省の政務次官から嘘偽りの無い真実だけを告げられた野党議員の女性は、一瞬理解出来ないと言った表情でもう一度聞き返した。
「えぇですから、我が自衛隊は特地甲種害獣との戦闘の最中に、我々を遥かに超える高度な技術力を持つ人間と接触しました。 彼らは『人型機動兵器』という兵器を用いて偵察隊を援護し、これを撃退しました」
「えっと……えー……」
「つまるところ、ロボットです。 偵察隊はロボットの部隊と共闘し、怪獣を撃退したということです」
野党議員達はほぼほぼ思考停止状態に陥っており、この情報日本、いや全世界に公開されれば、特地に対する先入観は一気に崩壊する事だろう。
異世界ファンタジーものかと思っていたら実はバリバリのミリタリーSFものだったなんて思いもしないだろう。
この後、気を取り直した野党議員は真偽を明らかにする為に参考人を本土に招致するという話になった。
この前に話していた怪獣による犠牲者に関することや、その他諸々の誤解が解けるならと彼らはそれを了承した。
暫くして、新聞やネット、テレビニュースが『ロボット』や、『メカ』という単語に埋め尽くされたのは言うまでもない。
因みに、日本政府は怪獣のサンプルを採取し解析しようとしたが研究者達が揃って原因不明の体調不良を訴え出し、直に触れていた者の中には死亡者まで出た。
サンプルが何かしらによって汚染されてると見て、現在は解析を中止し誰にも触れられないように厳重に保管されている。
またこれだ。
今年(何年かは知らない)で三度目の意識を失ってからの目覚めである。
今度こそは、ちゃんとしたベッドに寝かされている。
目を開き、辺りを見渡すとここは医療用のテントのようだ。
そしてベットの脇に誰かが突っ伏している。
「テュカ……」
恐らくレニックが目を覚ますのをずっと待っていたのであろう。
寝息を立てていたテュカを起こさないようにベッドから出ようとしたが、テュカは既に起きかけていたらしくレニックがシーツをモゾモゾ動かすと目を開けた。
「あっレニック! まだ寝てなきゃ駄目じゃない!」
目を覚ましたテュカはベッドから出ようとしていたレニックを慌てて再び寝かせた。
大人しく寝かせられながらレニックはテュカに問う。
「ここは、どこだ?」
「ジエイタイの基地よ。 今私達は保護されているみたい」
「……一先ずは助かったということか」
ベッドに仰向けになりながら安堵の溜息を吐く。
正直、最初の戦いの時点で死を覚悟していたが、それに偶然に偶然が重なり続けてまさかこんな形で生還するとは思わなかった。
しかし、ライトニングホーネットはあの炎龍にペチャンコのコゲコゲにされてしまったので傭兵稼業は暫く出来そうにないだろう。
ライトニングホーネットは昔、まだ新米の独立傭兵だった頃に『ビーハイヴ』とかいうカルト教団の残党から依頼を受けた時に貰ったものだ。
なんでも、ビーハイヴでもそれなりの腕利きが乗っていた重量二脚らしいが、そのパイロットは死んでしまった為レニックが引き継ぐ形で貰った。
ビーハイヴは最初は理性の欠けらも無い狂ったカルト教団かと思っていたが、意外と仲間意識が強く心も体も強い人が沢山いた。
依頼を受けたレニックを彼等は快く歓迎し、宗教勧誘もしつつ色々と助けてくれた。
自分は彼らの思想についてはとやかく言うつもりは無い。
だが彼らもあの荒れ果てた大地に住む人間の一人なのだと実際に見て分かった
他にもビーハイヴの人々から貰ったお土産は色々あるのだが、それは全て自分の家に置いている。
依頼を達成した時に期待の新人と言われてレニック専用のビーハイヴのエンブレムまで作ってもらったのは良い思い出だ。
それはライトニングホーネットにも描いていたがワッペンにして自分の服にも付けている。
稲妻の形をしたスズメバチが格好良くてエンブレムの中では一番のお気に入りである。
仰向けになりながら今更ライトニングホーネットの損失を惜しみつつ思い出に浸っているとテントの出入口から二人の男女が入って来た。
一人は炎龍との交戦時に助手席に乗っていた男。
もう一人は後部座席にいた黒髪の女だ。
レニックは彼らがアジア人の顔付きである事からFAR EASTに住む者だと考えており、まさかFAR EASTを勢力下に置いているEGFに関係する組織ではないかと疑っていた。
今回は腹の傷の手術を行ったそうで、体に不調は無いかと聞かれて特に無いと答えた。
後は名前を聞かれたり逆にあっちが名乗ってきたりして、それで終わるかと思ったが最後に黒川と名乗る女から一つの質問があった。
「今回、貴方の怪我の手術を行ったのですが傷はそこまで深くなく、しばらくすれば普通の生活もできるようになると思われます」
「そうか」
適当に相槌を打つ。
しかし、次の言葉でレニックは硬直した。
「貴方の手術を行っていた際、体内から複数の
「……!」
明らかに様子が変わったレニック。
二人はやはり何かあるのだと考える。
三人が何の話をしているか分からないテュカは、レニックの表情に不安を覚える。
「最初は金属片かと思いましたが、よく見ると何かしらの
「……」
「それらの電子機器は体内に動脈や静脈付近などに縫い付けられており、大出血の可能性もあったので摘出はしませんでした」
レニックは二人を警戒している。
これが知られたくなかった物だと伊丹と黒川は悟った。
「特に脊椎に取り付けられていた物は中枢神経系と繋がっており、その一部が項から露出していました」
確かにレニックの項には何か、端子の挿し込み口のような物が飛び出ていた。
どう見ても一般人が付ける物ではない。
一応テュカは、長い間共に過ごしていただけあってこの事は知っていた。
しかし、レニックはそれが何か教えてくれることは無かったので正体は知らない。
「単刀直入に聞きます、貴方は何者ですか?」
その問いにレニックは少し考え込み、少し経つと顔を上げて口を開いた。
「それについては、答えられない。 だが、少なくとも今の俺はただの傭兵だ」
「……そうですか」
黒川はまるで最初からそう答えることを想定していたかのような表情でそう言い、それ以降はしつこく聞いてきたり尋問される事も無かった。
「総司令!レニックの所在が明らかになりました」
「本当か!」
「自衛隊の基地を監視していた偵察機が我が軍のデータベースに登録されている兵士を偶然発見し、調べてみた所レニックである事が判明しました」
「ライトニングホーネットの残骸が発見されたと来ればやはりいたか……!」
「奪還しますか?」
「いや、まだその必要は無い。 奴にはそこで自衛隊に関する情報を集めてもらおう。 それを今後に役立てることが出来れば御の字だ」
「そういえば、総司令は自衛隊の攻撃には反対でしたね」
「あぁ、もしかすれば思わぬ使い道があるかもしれん。 この時世だ、使える物はなんでも使わせてもらう」
感想だ!我らにはそれが必要だ!!
今日寝てた時、何故かザクIでサイコミュ高機動試験用ザクと戦うとかいう悪夢を見たゾ……(意味不明)