革命の白い流星   作:水冷山賊1250F

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 あのハゲは赦しません。ハゲを利用して毒ガス撒き散らしたあの阿呆も!


第5話  逆鱗に触れるドルシア

 モジュール77 作戦指令室

 エルエルフ 

 月まであと少しと言う場所で、ドルシア軍の艦隊に針路を包囲された。今回の迎撃作戦は俺の作戦で行くことになった。ロンド・ベルの連中は作戦のフォローに回る事になった。まぁ、お手並み拝見ってやつだろう。

 

 「時縞ハルト、作戦は解ってるな?」

 

 「うん。敵を引き付けて、ハラキリブレードでトドメをって、上手くいくのかな?」

 

 「俺の指示通りに動けば問題ない。今回はあの人達もフォローに回ってくれると約束して貰った。彼等にお前達の力を見せつけろ。」

 

 「まぁ、やれるだけやって見るよ。」

 

 チッ、何時もどおり覇気の無い奴だ。平和ボケ国民の代表の様な奴だ。自分の油断からとは言え、コイツに賭けざるを得なく成った事がなんとも腹立たしい。しかし、アイツを助けるためにはなんとしても!

 

 作戦は俺の想定どおり進んでいる。ここは連坊小路に任せてもいいだろう。

 

 

 

 

 ドルシア軍対ジオール艦隊旗艦のブリッジで、デリウス・バーテンベルク少将は小賢しくも抵抗を続けるジオールに対し、通信を開くよう部下に指示を出した。

 

 「新生ジオール総理大臣、指南ショーコ君は君かな?今すぐ武装解除したまえ。そうすれば、君達の家族の命は保証しよう。」

 

 「脅迫ですか?前に公表した筈です。私達の家族に手を出すと、ヴァルヴレイヴの技術はARUSに渡すと。」

 

 「ホウ、強気だな。しかし、これを見ても同じことが言えるかな?」

 

 ドルシア軍の下士官に、乱暴に引き摺られた男性がモニターに映る。

 

 「お、お父さん!」

 

 「彼はジオール前総理大臣、指南リョージ氏なのだがね、中立を謳いながらも、軍備を増強し戦乱を起こそうとした罪により、死刑が確定している。今ここで君の返答次第では銃殺にも出来るんだがね?」

 

 「卑怯じゃないですか!それが大人のやる事なの!?」

 

 「卑怯!大いに結構!勝利や目的の為なら自らの手を汚す覚悟がある。これが大人だよ。これは秘匿回線だ、録画はもちろん、流出の心配も無い。さぁ返答は如何に?」

 

 デリウス自らが拳銃を父に向ける中、ショーコは色々な思いが頭の中を駆け巡る。

 

 「ショーコ、信じた道を進みなさい。」

 

 「捕虜が勝手に喋るな!」

 

 拳銃で父親を殴るデリウス。部下と思われる男達からも理不尽な暴力を受ける父。このままでは本当に殺されてしまう。いや、作戦通りに進むなら、もう間もなくこの艦諸共・・・。そう思っていた所、戦況に変化が生じた。

 

 「ん?戦闘が止まっている?何をしている!さっさと奴等を仕留めないか!」

 

 すると副官は何の感情も無く、彼に報告する。

 

 「少将、本国から通信です。」

 

 「何だと?作戦中に態々通信など!誰だ!!」

 

 それは彼が一番想像出来ない人物の名前であった。

 

 「総統アマデウス・K・ドルシア閣下です。」

 

 「な、何!?繋げ!!」

 

 「やぁ、デリウス。君には失望したよ。」

 

 「な、何の事でしょう閣下。今は作戦中なのですが。」

 

 「その作戦とやらなのだがな、全世界に配信されているよ。私も力が全てとは言ったがな、手段を選ぶなとは言ってない。」

 

 「そ、そんな!バカな!?」

 

 その時メインモニターに先程までのやり取りが映っていた。コメント欄には様々な罵詈雑言が並ぶ。

 

 

 

 

 

 流石ドルシア、手段を選ばねぇ。まさにカスだな。

 

 いやいや、下衆だろ?軍事国家(笑)。あれで力だの正義だの笑えるな。人質取るなら強盗だってできるぜ。

 

 いやいや、あれ元から普通に強盗だから。

 

 ならず者国家確定!!

 

 人類の恥・・・

 

 あれを人類と呼んで良いものか・・・

 

 等など、リアルタイムにコメントがアップされている。背中に脂汗が流れる。

 

 

 

 

 

 

 

 「人質を解放しろ。一時的に戦闘は停止させている。シャトルに乗せて放り出せ。その後に戦闘を再開して奴等を叩き潰すのだ。貴様の処分はその後に考える。良いか、必ず結果を残せ。そのような小細工無しでも勝てたというな!」

 

 「ははっ!」

 

 すぐさまモニターに敬礼をするが、一方的にモニターが切れる。ドルシア軍事盟約連邦と言う国家の品位と権威を著しく貶めてしまったのだ。彼の心中は穏やかなものでは無かった。

 

 「何をしている!さっさとコイツをシャトルに放り込んで、放り出せ!あ〜、指南君。君のお父上を今からシャトルに乗せてそちらに解放しよう。その間、コチラの戦闘は停止する。シャトルがそちらのモジュールに到着次第戦闘は再開するが、もうお遊びは終わりだ。抵抗するようなら、全員死んでもらう。今からでも遅くない、降伏しなさい。」

 

 「嫌です。貴方方のような国家は信用に価しません。降伏しても、何らかの理由を付けて殺すつもりでしょう?私達は戦う!」

 

 「威勢の良いことだ。後悔する事が無いようにな。」

 

 通信を一方的に切り、一部始終を眺めていた副官を殴り飛ばす。

 

 「何故この回線が乗っ取られたことが分からなかった!監視体制はどう成っている!!」

 

 「申し訳ありません、現在原因を調査中です。」

 

 「貴様、この作戦が終わったら処分を覚悟しておけ!この無能が!」

 

 今まで何度も同じような手は使ってきた。相手の弱点を付くのは、卑怯でも何でも無いと思っているが、体裁は良くない事も解っていた。

 今まで安全だと思っていた回線が、今回流出した事に疑問を抱くも、それは喫緊の問題では無かった。今は、あのモジュールを如何にして血祭りに上げるか。それしか考えられなかったのである。

 

 なぜ安全な回線が乗っ取りを受け、流出したのか。それは姿を表していないジオールの5機目のヴァルヴレイヴに原因が有った。

 

 

 

 

 指南ショーコの友人、連坊小路アキラが数日前に偶然見つけたのである。誰も居ない深夜に動き出すアキラ。彼女は所謂引きこもりであった。過去に家族、兄弟、友人に裏切られ、他人と話すことは疎か、会うことにすら恐怖を感じていた。

 そんな彼女にとって自由に動ける時間、それは深夜だった。以前から気になっていた地下空間でそれは突然現れた。赤紫色の人形の機体、ヴァルヴレイヴⅥ火遊。

 彼女を誘うように、コックピットハッチが開いている。導かれるようにコックピットに入り込んだ彼女に、モニターが語りかける。

 

 ニンゲンヤメマスカ?

 

 この文字を読んだ時、なんの躊躇いもなくハイを押した彼女は、文字通り人間を辞めることになる。それを自覚しているかどうかは別の話ではあるが。

 

 

 そんな彼女にとってショーコは唯一普通に話し合える存在だったのだ。凄腕ハッカーでもある彼女は、偶然ショーコとスキンヘッドの男との会話を、各教室にある監視カメラから聞いてしまった。

 

 ショーコちゃんは大切なお友達だ。そんな彼女が苦しんでいる。なんとか出来ないか?そう思った時、あのマシンならばと閃いてしまった。そこからは早かった。心の底からヴァルヴレイヴを望んだ時、校舎を突き破りヴァルヴレイヴが現れたのだ。

 

 すぐさまコックピットに飛び乗り、先程の通信ログを解析。全世界にばら撒いたのだ。会話している男の個人情報もセットで。

 

 ネットは直ぐにお祭り騒ぎとなる。それに気付いた報道各社、政府関係者、様々な人達がこの映像を目撃し、または保存し、更にばら撒いた。

 それはドルシア国内でも同様である。ドルシア軍事盟約連邦は、その名の通り一枚岩では無い。しかも侵略国家である為、国内にも侵略された側、所謂不穏分子は存在するし、従っていてもその政治体制をよく思って居ない者も多数存在するのだ。

 

 自国の軍の所業に憤る者、嘆く者、呆れる者が続出する。中には今まで表に出なかっただけであり、あの少将だけでは無く、他にも同じような事をした者は多数居ると情報を発信する者まで現れた。

 この時点でデリウス・バーテンベルク少将はもしこの戦いで勝利を納めても、軍事法廷で極刑が決定する事になっていたのだ。

 それが銃殺刑になるか、服毒になるかがこの作戦の成否にかかってはいたが。

 

 そして、この通信を見て憤る者がラー・カイラムにも居た。自らの愛機を見て、再び戦う意志をその心に刻み込んだ少年、ハサウェイ・ノアである。

 同じ年頃のヴァルヴレイヴパイロットに対して、陰ながら(ほぼバレてはいたが)訓練に付き合う等の協力をし、再び戦場に出るまで事態を静観していた。しかし、この映像を見てからは考えが変わった。

 このような腐った国は潰さなくては成らない。平気で国民を騙し、非道な取引を持ちかけるとは。

 このような国家が人類の主権国家になれば、地球連邦政府よりも酷い事に成るのは目に見えている。

 

 「父さん、ごめん。僕は戦うよ、Ξガンダムで。アイツラを放ってはおけない。」

 

 「・・・そうだな。ドルシアはまさに嘗てのティターンズのようだ。分かった、行って来い。既にお前のパイロット登録は済ませてある。何故かアムロは今回前線に出て行こうとしない。何か考えがあるようだがな。だが、モビルスーツ隊の隊長はアムロだ。絶対にアムロに従え、良いな?」

 

 「ありがとう、父さん。分かったよ、アムロさんに話してみる。」

 

 ハサウェイはブリッジから駆け出し、モビルスーツデッキに急いだ。Ξガンダムに乗り込み、アムロに通信を開く。

 

 「アムロさん、父の許しを得てモビルスーツを操縦する事に成りました。ハサウェイ・ノアです。」

 

 すると、アムロは驚くこと無く、ハサウェイに応えた。

 

 「そうか。ブライトから話は聞いている。君が俺に隠れて、彼らを鍛えていた事にも気付いていた。ハサウェイ、君は戦わなくても良い立場だった。何故また戦おうとする。」

 

 父から聞いていた事に驚きもしたが、モニター越しに見るアムロの眼は自分を見極めようとする鋭いものだった。しかし、怯むわけには行かない。ハサウェイは、自分の感じたままの事を、言葉として紡ぎ出す。

 

 「ドルシアが危険だからです。あの考えは人類の可能性を潰しかねません。」

 

 短い言葉では有ったが、アムロはハサウェイの言わんとしている事を感じることが出来た。そして納得した。目の前の少年は、既に戦士であると。この世界に飛ばされる前の、青臭い少年では無く、自らの信念に基づき己の命をかけて戦う戦士であると。

 ブライトから話を聞いても、俄には信じられなかったが、漸く合点がいった。

 

 「そうだな。それに奴等から、いや、この宙域全体にドス黒い悪意を感じる。ハサウェイ、俺はこの悪意の正体がわかるまでここを動けない。彼等のフォローを任せても良いか?」

 

 「勿論です。その為に出てきましたから。」

 

 「分かった、では行って来い。無茶はするなよ?」

 

 「了解です。ハサウェイ・ノア、Ξガンダム行きます。」

 

 ラー・カイラムから勢い良く飛び出した白い機体は、再び始まった戦闘の中心へと急ぐ。連邦政府に対して向けられた牙は、今まさにドルシア軍に向けて突き立てられようとしていた。

 

 戦端が開かれても姿を現すことが無かった異世界の機体は、鬱憤を晴らすかの如く縦横無尽に戦場を駆け抜けた。作戦を教えて貰っていた為、艦隊への攻撃は手控えていたが、艦載機への攻撃は苛烈なものだった。

 敵の汎ゆる攻撃を避け、又は撃ち落とし、ビームライフルやビームサーベルだけで瞬く間に敵の数を減らしていった。

 

 それはヴァルヴレイヴⅠのハラキリブレードを余裕を持って出現させる事に成る。先程の通信の一部始終を見ていたハルトは最早、ドルシア艦隊に対してその剣を振るう事に躊躇いは無かった。

 生理的嫌悪感、復讐心、色々な感情を込めて振るった一太刀は、モジュール77前方のドルシア艦隊を殲滅する事に成功する。

 

 

 しかし、彼等を目眩ましに使い、モジュール77の背後から襲いかかろうとする艦隊が有った。カイン・ドレッセル大佐率いる特務艦隊である。

 

 その小規模な艦隊を、3体のイデアールが先導する。アードライ、イクスアイン、ハーノインの3人が操縦する特別仕様機だった。彼等は戦友のクーフィアが瞬く間にコックピットを撃ち抜かれた事を知っている。その為、前回の戦いで記録したνガンダムの赤外線パターンを記録した誘導ミサイルを詰め込み、何時でも撃てるようにしていたのだ。

 

 しかし、その準備は水疱と帰す。いち早く彼等の存在に気付いたラー・カイラムによって、ミノフスキー粒子が戦闘濃度まで急速に散布されたのである。

 

 「クソッ!通信が乱れる!イクスアイン、どうにか成らないのか!?」

 

 「原因不明の現象だ。私に分かる訳無いだろう。」

 

 「レーダーも全く役に立たねえな。整備士連中手を抜きやがったのか?」

 

 「3機共同時に同じ症状が出てるのだ。それは無いだろう。恐らくはあの正体不明の連中だろう。」

 

 「お、おい!来たぜ!白い奴だ!取り敢えずミサイルをばら撒くぞ!後は勝手に赤外線だか、特有周波数だかで追いかける筈だ!」

 

 「了解した。全機一斉発射!死ね、悪魔め!」

 

 νガンダムに向けて大量のミサイルが放たれたが、そのミサイルはミサイルポッドから射出された後、一向に方向を変えることは無かった。

 

 「ミサイルが直進しかしない!?どうなってる!?」

 

 「ヤバい!逃げろイクスアイン!奴に引き金を弾くな!」

 

 「黙ってろハーノイン、ミサイルが無くとも・」

 

 次の瞬間、イクスアイン機のコックピットを、ビームの光が突き刺さった。痛みを感じる間もなく蒸発したのだろう。数瞬遅れてイデアールが爆発四散した。

 

 「イクスアイーーン!よくも!バッフェ共はどうなっている!?火線が明らかに少ないぞ!」

 

 有人機と無人機で編成されたバッフェ部隊は、無人機の応答が無くなり、ただの的に成り下がっていた。大した連携を取ることもなく、宇宙世紀の当時連邦軍最強部隊であったロンド・ベルのモビルスーツ隊に対して、余りにも無謀な戦闘を強いられることになる。

 

 無人機の影に隠れる有人機を目敏く見付け、片っ端から撃ち落としていく緑色の人型機動兵器達。数は少ないが、そのどれもが洗練された動きをしていた。

 

 友軍を助けるべく動こうとするアードライにハーノインは待ったをかける。

 

 「待てアードライ!俺達は時間を稼ぐんだ!例の兵器が奴等のモジュールに刺されば俺達の勝ちだ!」

 

 「クソッ!」

 

 興奮しながらも、時間を稼ぐため、白い機体から距離を置こうとするアードライ機の真ん中をビームが突き抜けていく。

 

 「アードライ!!」

 

 機体が爆発四散する中、コックピットモジュールが分離したのを確認する。

 

 「やれやれ、俺一人でコイツの相手って、どう考えても無理でしょ!」

 

 ランダム軌道で回避運動をしながら多連装レーザーで牽制する。しかし、抵抗も5秒程しか保つことは出来ず、胴体の真ん中を撃ち抜かれる。

 

 「やっぱりねーーっ!チキショウ!」

 

 絶叫しながらコックピットモジュールを離脱させた。まさに危機一髪。一目散に母艦に帰投する。

 

 (あんな化け物相手にできるか!大佐は何を考えてるんだ!?)

 

 ハーノインは、脱出ポッドの中で内心悪態を付いていた。クーフィアを殺った手際と言い、前回の戦闘を見ていれば相手に成らない事は分かりきっていた筈だ。素人同然の今までの奴等とは、まるで動きが違う。

 それでも危険を冒してまで、モジュール77に潜入し攻撃を加える意味が分からなかった。

 敏感なハーノインは、カイン大佐の目的に疑問を持っていた。しかし、それを暴くのは命懸けであるとも感じていたのだ。

 しかし、今日また一人の戦友が死んだ。次々に仲間が死んでいく中、このままでいいのかという疑問も確かに有ったのだ。

 モヤモヤとした気持ちのまま、旗艦への進路を取るハーノインだった。

 

 

 

 その頃、大量のバッフェとイデアールを目眩ましに、カイン大佐の乗るイデアールがモジュール77に近づこうとしていた。

 

 「もう少しだ。君達の奮戦は忘れんぞ。」

 

 言葉とは裏腹に、その顔には笑顔が張り付いている。既にこの体を乗っ取り、人間ではなくなった彼にとって部下が何人死のうが、あまり関係は無かった。部下に愛着はあるが、それは、お気に入りのおもちゃが使えなくなる程度のものなのである。

 

 「もう少しで、我らの願望が叶う。」

 

 しかし、その願望が叶う事は無かった。彼が乗るイデアールに仕込まれた兵器。ドリルの着いたミサイルに大量の毒ガスが仕込まれているそれを、宇宙世紀最強のパイロットが見逃す筈が無かったのである。

 

 突然の振動で、自らの機体が攻撃を受けた事を悟るカイン。その数瞬後には、機体に搭載されていた兵器が爆発した。

 

 「チッ!何処からの攻撃だ!?この私を見付けるとは、只者ではない!」

 

 「見付けた!この悪意の根源!貴様、何をしようとしていた!」

 

 イデアールの後方のやや上方から、白い人型の機体が迫ってくる。

 

 「チッ、アードライ達め!足留めも出来んとは!」

 

 悪態を付きながらも、英雄と呼ばれた彼だ。このパイロットが尋常ではない事をカインも肌で感じていた。

 

 「沈め!」

 

 すぐに向きを変え上方に向けて、誘導ミサイルを一斉に撃ち込む。しかし、ミサイルは直進するだけで、白い機体を追尾することは無かった。直撃するミサイルのみを撃ち抜き、更に接近する白い人型。たとえシールドを持っていようが、100m級の機体など、彼にとっては鈍重な的でしか無かった。

 

 「そこっ!」

 

 正確にコックピットを撃ち抜かれ、機体は爆発四散する。

 

 しかし、カインは生きていた。宇宙空間でさえ素肌で生存出来る彼は、一時的にRUNEの光を纏いビームの嵐と機体の爆発を耐え抜いたのだ。

 

 「死ぬかと思ったぞ、人間!しかし、これで目眩ましには成った筈だ!」

 

 ここまで来ても、目的の物を奪おうとする執念は見事なものだが、その強い念はアムロに容易に察知される事になる。

 

 「そこか!?」

 

 反射的に放ったビームライフルは、誤ることなくカインを輝く粒子の波に叩き込んだ。

 危機を脱した事に油断していたカインは、RUNEの光を発する間も無く、蒸発してしまった。

 

 アムロにしてみれば、悪意を感じた方向にビームを撃っただけなのだが、断末魔が聞こえたような気がしただけで、何の手応えもない事に疑問を抱くことになる。

 

 (今のは何だったんだ?確かに何かを撃ち抜いたとは思うのだが。ん?悪意が消えていく??この戦闘も、もう終わりだな。敵艦隊も引いて行く。なんとか守り抜けたな。俺も戻るか。)

 

 引いて行くドルシア軍を一別し、機体をラー・カイラムに向ける。悪意が何を狙っていたのかは最後まで分からなかったが、この戦いの後は暫く戦闘は無いだろうと感じるアムロだった。

 

 

 

 




 すいません、ご都合主義全開で第一部終了です。
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