革命の白い流星   作:水冷山賊1250F

7 / 8
 宇宙世紀チート軍団が動き出します。


第7話 進撃のロンド・ベル

 モジュール77が月に不時着して3日目、指南ショーコを中心とした新生ジオール政府とブライト・ノアが対談することになった。

 

 「艦長さん達には、本当にお世話になりました。改めてお礼を言わせてください。ありがとうございました。」

 

 素直に礼をする指南総理大臣に微笑ましい物を感じるブライトだが、彼女達は政治家では無い。政治家のつもりも無いのだろう。生徒の代表という意識だと思う。

 

 しかしブライトは、彼女等に決断を迫るつもりでいる。

 

 「いや、非戦闘員を守るのは軍人の仕事だ。君達はよく頑張った。今後とも協力させて貰う。」

 

 「ありがとうございます!艦長さん達が居れば100人力です!」

 

 「ありがとう。だが、私は此処で君達にある決断をして貰いに来た。」

 

 「決断??」

 

 「あぁ。先ずは、ここの生徒で希望者だけで良い、此れから3ヶ月軍事訓練を受けて欲しい。我々の乗る人型機動兵器、モビルスーツをここの施設を使い量産しようと思う。訓練が終了すれば、ジオール解放作戦を行おうと思う。もちろん希望者が少なければ、徴兵と言う選択もある。目標は100人だ。」

 

 「ひゃ、100人?何故ですか??このモジュールは、生産プラントも有ります。食料の問題は有りませんよ?」

 

 「そんな事じゃないんだ。あのドルシアが、非武装地帯だからと言って、何時までも我々を見逃すと思うか?中立国が兵器を開発したってだけで侵略してくる国家だぞ?」

 

 「そ、それは・・・。」

 

 「それに、我々も戦闘になれば死者も出てくる。パイロットの補充は必須だ。このままではジリ貧だぞ。」

 

 厳しい現実を突きつけられ、返答に困る生徒達。新任の女性教師も、どう答えていいか迷っている。

 

 「平和主義という言葉はとてもいい言葉だと思う。出来るならば、それを実現したい。だがな、過去国防や軍備を怠った国家は例外無く侵略され、その国民は、生命、財産、尊厳をその代償として払わされてきた。ジオールも同じだ。中立国と言っていれば、攻められないと思っていたのか?

 本来中立国とはな、どこの国家にも属さない代わりに、何処の国家から攻められても、自己で防衛出来る国家でなければならなかったんだ。嘗てのスイスのようにな。一部の者はスイスを平和で理想の国と思っている者もいるらしいが、それは違う。健康な男性は全員徴兵で軍役を課せられ、軍役後も予備役兵として、有事の際は銃を持って戦わなければ成らなかった。もちろん軍備費も高かった。そうで無ければ中立を保てなかったんだ。

 今、君達新生ジオールは、国家存亡の危機にあると思って良い。兵力を拡充するなら今しか無い。そしてジオールを解放し、一気に体制を整えるんだ。」

 

 「何のためにですか?」

 

 震えながらショウコは質問する。嫌な予感が止まらない。

 

 「最終目標は、ドルシア軍事盟約連邦を潰すんだ。新生ジオールという国家単独でな。」

 

 「そんな!ARUSと同盟を結んで同時にでも!」

 

 「あの国が当てになると思うか?同盟国であるジオールを見捨て、そこにドルシアに対応可能な兵器があれば奪い取りに来る。彼等は敵だよ。間違っても味方ではない。」

 

 「そ、そんな。」

 

 「それにな、ヴァルヴレイヴは重大な危険が秘められている事が判明した。今後ヴァルヴレイヴの使用は禁止する。彼等にはモビルスーツへの機種変換訓練を受けてもらう。」

 

 「なんですか、その重大な危険って?」

 

 「ヴァルヴレイヴの動力が人の生体エネルギーである事が判明した。操縦を続けることにより、そのまま死に繋がることもな。他にも危険は有るのだが、そこは秘匿させてもらう。取り敢えず、ヴァルヴレイヴの使用は凍結した方が良い。」

 

 「そ、そう言う理由なら。でも、戦わなきゃ駄目なんですか?」

 

 「さっきも言ったが、生き残りたいのであれば戦う必要がある。無抵抗に全員で死にたいのならば何も言わん。我々は、ARUSにでも行かせてもらう。ヴァルヴレイヴが有るから大丈夫だとは思わないことだ。パイロットを殺すシステムに君達は、友人を載せ続けることに成るのだがそれで良いのか?」

 

 「それは駄目です!それに黙って死にたくも有りません!分かりました、有志を募ります。少なければ私も参加します。」

 

 「子供達だけに戦わせる訳にはいきません!私も!」

 

 人の良さそうな女性教師も名乗り出る。

 

 「パイロット志願者には適正テストを受けてもらう。パイロットは少なくとも80人は欲しい。ジオールの解放は短時間で電撃的に行う必要がある。80機の戦力でギリギリのラインだろう。」

 

 「分かりました。一週間以内に志願者を募ります。」

 

 「辛い戦いになるが、ジオールを解放するまでの我慢だ。君達の力を貸してくれ。」

 

 ブライトの苦渋に満ちた顔を見て、ショウコはこの人は信用出来ると直感的に感じた。

 

 

 

 幸い、予想以上に兵役志願者が多く、モビルスーツ適応試験合格者は100人以上となった。その中にはエルエルフの姿も有った。彼はドルシアからの亡命兵士として受け入れられた。階級は特務中尉として新生ジオール軍に配属される事となる。

 

 彼は基本訓練を免除され、元ヴァルヴレイヴパイロット(1名除く)達と共に、モビルスーツ操縦訓練に従事する事になった。1名とは、連坊小路アキラという女子生徒である。性格的にも合っておらず、流石のアムロも彼女に戦いは無理だと判断した。

 

 その代わりでは無いが、亡命兵士のエルエルフは優秀であった。シミュレーターではあるが、数日でジェガンを手足のように使いこなし、ケーラ・スゥ中尉と互角の戦いをするようになった。

 

 これは、元ヴァルヴレイヴのパイロット以上の実力であり、正規のパイロット達が逆にエルエルフの操縦から技を盗む程であった。実際にエルエルフに勝てるのは、アムロ、ハサウェイのニュータイプ二人と、ケーラ位で、戦闘センスの高さを遺憾無く発揮することになる。

 

 また、元ヴァルヴレイヴパイロットの4人も、それぞれ順調に乗りこなしていき、2週間程で正規のパイロットと遜色の無い動きをするようになった。

 

 ヴァルヴレイヴ研究施設はモビルスーツ工場と化し、急ピッチでモビルスーツを組み上げていく。ドルシア軍の戦艦や機動兵器の残骸が月周辺に大量に漂っており、材料には事欠かなかったのだ。

 

 新生ジオールの行動に訝しみながらも、ドルシア軍事盟約連邦は静観していた。あれだけの戦力で返り討ちにあったのだ。敵戦力の分析と、新技術の開発に力を注ぐことになる。

 

 ドルシアは新生ジオールと和平を結ぶ事も出来た。しかし、これだけ虚仮にされて、黙っている国家では無かったし、所詮は平和ボケしたジオールの少年少女達だと甘くも見ていた。それがドルシア軍事盟約連邦にとって致命的なミスとなる。

 

 モジュール77が月面に不時着して半年の今日、3隻のペガサス改級強襲揚陸艦とが地球に向けて出港した。艦は、アルビオンとグレイファントム、ブランリヴァルとそれぞれ名付けられた。その後ろからHLVと呼ばれるロケットが20機以上続いていく。

 

 目的地は地球。第一目標は、ジオールの工業都市及び中心地の解放。第二目標は、ジオールからドルシアの排除。この第二目標までを3日以内に実行する事であった。

 

 訓練を始めて半年の新兵ばかりの行軍に不安が無い訳では無かったが、これ以上はドルシアが時間を与えてくれるとは思えなかった。機体性能の差およびミノフスキー粒子の運用次第で、勝利は可能と判断したのである。

 

新生ジオールによる、旧ジオール領に対する地球降下作戦は、完全にドルシア軍事盟約連邦の虚を突く形で行われる事に成った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。