お弁当を食べたその日の帰り道。
事務所から陽菜の自宅まで向かう間に少し寄り道をしていくことにした。
その場所場所というのがここ……都内の神社だ。
「マネージャーさん、ここって」
「うん……せっかく陽菜のアニメも決まったことだし、成功するようにお参りしようと思って」
小さな神社ではあるが、ご利益はあるだろう。
2人で階段を登っていき頂上に着くとそのまま賽銭箱の方まで行く。
境内は人も少なく、ちょっとしたデート気分になれる。
賽銭箱の前に来ると、財布から10円玉を取り出して陽菜に手渡す。
「こう言うときって五円玉の方が良いんでしたっけ?」
そう聞かれたが詳しことは知らない。
でも確か五円玉は初詣の時じゃなかったっけ?
「これで良いんじゃないかな……わからないけど」
「ふふっ……そうですね」
何がおかしいのか、そう陽菜は笑いながら賽銭を投げ入れた。
自分も同じように入れてから手を合わせる。
「……」
そうして幾ばくかの時が流れて、顔を上げると隣にいる陽菜は未だに一生懸命に手を合わせていた。
「……待たせました、行きましょう」
そう言って顔をあげた陽菜は、こちらの手を握ってくる。
なんだか気恥ずかしくなってくる。
「ええと、陽菜は何をお願いしたの?」
少しの恥ずかしさを悟られないようにそう尋ねる。
「アニメの成功……それに、こんなマネージャーさんと一緒に過ごせる日々が続けば良いなって」
手を握る力を僅かに強めてそう囁く。
一緒に過ごす……か。
今でこそ、こうして一緒に居られるけれど一時は他の事務所に声をかけられた事もあった。
それでもこうしてここに留まったのは陽菜が居たからだ。
そして、この子がいる限りはこの仕事を……陽菜の担当マネージャーを降りる気はない。
この事は……今も昔も変わらないことだ。
「陽菜」
「えっと……なんですか?」
突然の呼びかけに戸惑うようにして答える陽菜。
「絶対に、幸せにするから」
力強くそう言った、言い切った。
なんだかその言葉にまだ釣り合ってない気がして、歩みを進める。
それを陽菜が立ち止まって引き留めた。
後ろを振り返ると、陽菜は笑顔でこう言った。
「約束ですよ?マネージャーさん」
この日、陽菜との大切な約束が一つ増えた。
それはかけがえのない物で、護らなくてはならない大切な物だった。
家に向かう途中に、コンビニが見えた。
「寄っていく?小腹も空いたし」
「それなら……」
おずおずと着いてきて、陽菜はレジ近くの肉まんを指さした。
「その、食べてみたくて……」
そう言う陽菜のお腹から、きゅるる……と可愛らしげな音が聞こえた。
「可愛いね……すみません、肉まん二つ下さい」
そうして店員から肉まんを受け取り、熱々な物のひとつを陽菜に手渡す。
両手で受け取った陽菜は、その包み紙を開けて蒸気に目を見開いて驚く。
「もしかして、肉まんとか食べるの初めて?」
「はい……あんまり学校帰りに寄り道とかした事なくて」
確かに……陽菜だったらそうなのかもしれない。
「それなら食べようか、ほら冷めない内に食べよう」
「はいっ!」
そうして肉まんにかぶりつくと、中から肉汁と皮の甘さが口の中に広がる。
久しぶりに食べたな……こう言うの。
「あふい!」
そう言って火傷しながらも、何とかして食べている陽菜が可愛い。
そうか……今が幸せってやつなんだな。
そう、心の中で思った。
何気ない日常が一番なのかも知れない。
そう感じても声には出さなかった…何だか恥ずかしくて。
2人で肉まんを食べ終えると、そのまま帰路に着いた。
今回は結構寄り道しちゃったな。
この日、陽菜とは手を繋いだまま家まで送ることになった。
手に伝わってくる陽菜の体温がやけに高かった事を今でも覚えている。
こんばんは、レッド!です。
毎日更新まだまだやりますよ!
肉まんが食べたいですね……コンビニに走りたい!!
次の話は舞花ちゃんがちょっと出てくるかも!?
いやガッツリ出てくるかも!!
ではでは、また次回にお会いしましょう!