夕焼け道を君と歩いて   作:赤瀬紅夜

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【そっと背中を押して】上

その日は陽菜と一緒にはおらず、1人で外回りをしていた。

この仕事は、自分が新人の頃にりおさんがしていたことでいろんな企業や要人にAiRBLUEを売り込む、というものだった。

あの頃は新人ばかりだったけど、今では陽菜達の様に立派に成長して子達も多い。

 

「ここも終わりか……」

 

また、ある建物から出て事務所に戻る。

先程の案件は快い返事だったけど毎回こうなるとは限らない。

有名な声優を輩出しているからと言っても、まだまだAiRBLUEの小規模さは変わらない。

 

アーツ&スターズ……みたいに大きいところでもないし、やっぱり地道に活動していくしかない。

 

実際問題、ここの業界は事務所の大きさによって態度を変えられることも多い。

結構前だけど、まほろの昔いた……芸能事務所とはいえ影響力は並大抵ではない。

 

根回しという程ではないけど、やっぱり企業の大きさはそれだけで採用側を安心させる事にはなるんだろう。

 

「難しいな……」

 

そう呟きながら、歩いているとすぐ近くのスクリーンの前……そこに舞花の姿が見えた。

 

「舞花」

 

「……」

 

呼び掛けても反応しない、もう一度。

 

「舞花!」

 

気づいた様でこちらに振り向く。

 

「あっ、マネージャー。何してんすか?」

 

「それはこっちの台詞だよ……夢中になって何を見ているの?」

 

ため息まじりにそう答える。

舞花は話しかけた時から店頭に出ているスクリーンに釘付けになっていた。

 

「新作の格ゲーです。店頭のモニターで、デモやってるから」

 

ああ……なるほど。

 

「ゲーム欲しいんだ、舞花も変わらないね」

 

「そうっすか?」

 

そう言うも、出会ってから少し経った頃同じ様なことがあったことを思い出す。

あの頃はまだお金もなくて、買うかどうか悩んでたんだっけ。

 

バレバレなくらいに買いたいって気持ちを抑え込みながら。

 

「舞花さ……少し見ない間に大人っぽくなった?」

 

そう聞いたのは、舞花が髪をポニーテールではなく下ろしていたからだ。

それに、最初の頃と比べると薄化粧ではあるがお洒落をして、服も何処となく良い物っぽい。

 

「そうっすかねー、自分……お洒落とか興味無いので」

 

「今は……実家にいるんだっけ?」

 

そう聞くと、コクリと頷いて話し出す。

 

「久しぶりにこの辺に来てて、ぶらっと見てたら弟たちに買いたくなっちゃって」

 

そうか、あの格ゲーは弟たちにね。

 

舞花も随分と成長した……なんて思ってしまう。

 

「せっかくだし、ゲーム買ったらどこか行く?まだ事務所に戻るまで時間もあるし」

 

それを聞いた舞花は、ピクリと身を震わせて訪ねてきた。

 

「マネージャーの奢りっすか!?」

 

食い気味に、身を乗り出して。

 

なんだろう……こう言うところは少し図々しくなったのかも。

 

「あはは……それくらいならいいよ」

 

やったー!と言いながら喜ぶ姿は、未だに高校生みたいだった。

 

そこからしばらく話したあと、舞花は店内でゲームソフトを買ってきて鞄にしまうと、嬉しそうに歩き出した。

 

「それならゲームセンターに行きたいっす!」

 

やれやれ、人の奢りだとわかると随分乗り気なんだから。

 

走り出した舞花を追いかけてるように、自分も歩き出した。




こんばんは。レッド!です。

そんな訳で、前後編で分けます。

舞花とのお話……でもあり、少し成長した姿も見れます。
今回のお話は、CUE!の舞花キャラクターストーリー、【そっと背中を押して】を参考に作っています。
興味のある方は是非ともCUEをプレイしてみてください!!

ではでは、今日はこの辺で。
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