舞花とゲームセンターに入ると、2人で遊んだ。
クレーンゲームやったり、ゾンビを撃ったり、太鼓叩いたり、車に乗ったり……色々だ。
最近ゲームセンター自体に行ってなかったのもあって楽しめた。
舞花は、最初の頃と変わらずに純粋に楽しんでいて無邪気な笑顔を浮かべていた。
「最後にこれやりましょうよ!」
そう言って指さしたのは……メダルゲーム。
好きなのだろうか?
というか、舞花は昔は貧乏だったしこういう擬似的にお金が増える……みたいな感覚になれるから楽しいのだろう。
「そうだね……最初は15枚、これをどれだけ増やせるか勝負しようか」
「おおっ!なら勝ったらジュース奢ってくださいよ!」
ノリノリになって舞花が答える。
余程自信があるのか、余裕の笑みすら浮かべている。
そこから30分ほど……それぞれの手持ちを増やす為に色んなところを回る。
小さな筐体から、金魚すくいのようなものまで沢山だ。
増やす、といったもののすでに残るは一枚……最後に希望をかけて入れてみるが、すぐさま無くなってしまう。
「これは負けたな……」
そう思って店内に舞花の姿を探す……が、見つからない。
どこに行ったのかと探していると、一際大きな歓声が聞こえてきた。
聞こえてきた場所、確かメダルを落とすゲーム……プッシャーだったか……に向かう。
そこには1人の少女を取り囲む様にして人だかりができていた。
その少女とは舞花でその手には……いや、両脇には大量に積み重なったコインが積まれていた。
「マネージャー!自分の勝ちっすよ!」
そう言って満面の笑みで手を振る舞花は、今日一番幸せそうだった。
自販機で買ったジュースを手渡して2人で飲む。
「んっ……ぐっ……ぷはぁ!うまい!」
テレビのCMかと言うくらい美味しそうに飲む舞花。
……勝利の味は格別だろう。
「美味しいなら良かった」
まさか、舞花があんなに荒稼ぎをするとは思わなかった……そっち系の才能でもあるのだろうか?
「マネージャー……あのさ」
ふと空を見上げる様にして舞花が語る。
「あの時の言葉を覚えてるっすか?」
あの時……?
いつなのだろうか……出会った頃か、ライブに出た時か、陽菜と付き合った時か、事務所で別れた時なのか……。
「ごめん、いつの事かな?」
覚えてないですよね……そう言って舞花はため息をつき目線を地面に落とす。
「自分がまだ新人の頃、格ゲー買ったじゃないですか」
ああ……買おうか買わまいか迷ってた時か。
結局買って、すごい喜んでたんだっけ。
「うん、その日は格ゲーに付き合わされたしね」
そうそう……そう、にこやかに言って再び空を見上げる。
「自分、『レッスンとか、大変なことも多いけど。声を担当したアニメを楽しみにしている人達がいる。自分みたいに、すっごい喜ぶ人たちだって、きっといる!』そう言いましたよね」
「うん」
「自分たち声優の仕事にも、楽しみに待ってる人たちがいるって」
ゲームも声優も、待ってる人たちが居て……それを届ける側からしてみれば嬉しい事なんだ。
舞花はそのまま言葉を繋げる。
「だから……だから、陽菜はきっと、みんな楽しみにしてる作品に携わっているんすよ。うまくいえないけど、これからもそうやってみんなに愛されていくんだと思います」
「陽菜……か」
突然出てきた名前に驚くが、それもそうか。
今では自分は陽菜の担当マネージャーなのだから。
「マネージャー……陽菜のこと、支えてあげて欲しいっす」
そっと、呟く様に言った。
それは囁きのようでもあり、微かな願いを絞り出した様な言葉でもあった。
「もちろん、これからも陽菜を……」
その続きは、舞花の言葉で遮られた。
「マネージャー、その続きは陽菜に直接言ってあげて欲しいっす」
そう言って舞花は、スマホを渡してきた。
その連絡先は……陽菜だ。
『もしもし?舞花ちゃん?』
耳元で陽菜の声が聞こえる。
「マネージャー、言ってやってくださいよ」
言われなくてもわかってる。
「陽菜、あのさ……」
舞花のお膳立てもありつつ、陽菜を支えるという、大事なことを彼女へと伝えた。
電話口からは、慌てた様な嬉しい様な返事が返ってきて……思わず笑ってしまった。
「舞花、ありがとね」
その声は、きっと彼女には届かない。
こんばんは、レッド!です!
ギリギリでした!!
なんとか……間に合った……。
舞花ちゃんの成長した姿……満足してもらえましたかね?
マネージャーと陽菜の関係を応援してくれているのがなんとなーく出てればなぁと思います。
ではでは!