夕焼け道を君と歩いて   作:赤瀬紅夜

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暗がりの映画館で。

久しぶりに訪れた、2人ともお休みの日。

この日はデートに出かけていて、手を繋いで久しぶりに恋人らしくあれる。

陽菜とブラブラとしていると、近くにできた映画館のことを思い出した。

 

「そういえば陽菜、映画館が近くに出来たって知ってる?」

 

「はい……聞きました」

 

「それならさ、せっかくだし映画見に行かない?」

 

そう言うと、陽菜は目を輝かせた。

嬉しそうに握った手の力を強める。

 

「本当ですか!?」

 

「う、うん」

 

思わぬ食いつきに焦ってしまう。

まさか、こんなにも陽菜が乗り気になるとは……。

 

 

二人で件の映画館に行くことにした。

向かう道中、陽菜はノリノリで嬉しそうに微笑んでいた。

 

「マネージャーさん、わたし、映画を観るのが好きなんです」

 

「へえ、なんだか意外だね」

 

陽菜はどちらかと言えば家とかで見そうなイメージだ。

 

映画館に着くと、新しく出来たばかりだったからか、多くの人で賑やかだった。

逸れない様に、一応手を握る力を強める。

 

「何観る?結構色んな映画があるけど」

 

現在公開している映画も、邦画、洋画……ジャンルだってアクション、恋愛、ミステリー、アニメ……様々だ。

 

陽菜は悩みながらも、ある一点を指差した。

恥ずかしげに頬を赤らめている。

 

「恋愛映画……か」

 

観に行ったことはないジャンルだ……やはり、陽菜も立派な女の子だから、こう言うのを観たいのだろうか。

 

「その……昔から彼氏と恋愛映画って憧れてて」

 

消えそうな声で言った想いに思わず声をあげそうになる。

そうか、陽菜自身そういう経験は無いって言ってたしな。

 

「んーわかった、なら観ようか」

 

陽菜の手を引いて券を買いに行く。

 

大人二枚……今思えば、いつの間にか陽菜は高校を卒業していて自分と同じ様な立派な大人なんだよな。

そう考えると、なんだかこそばゆいというか変な気持ちになる。

 

券を購入してしばらく待つことにしたが、上映まで後30分ほど……意外と早く見れそうだ。

 

「あのっ……出来れば良いんですけど、ポップコーンとかも欲しいなって」

 

陽菜がおずおずと声をかけてきた。

申し訳なさそうに、それでいてお願いする様に低姿勢で。

 

「ポップコーンね、そういえば食べるのは結構久しぶりかも。買いにいこっか」

 

「はいっ!」

 

気持ちいい返事が返ってきて、2人で買いに行く。

 

せっかくなので、大きなバケツの様なものを買って2人で分け合うことにした。

味付けは2人で迷った挙句、結局は塩とキャラメルのハーフにして貰った。

 

入場前、出来立てのポップコーンを口に運ぶ。

キャラメルの甘い味わいが口に広がってきて美味しい。

 

「もう、マネージャーさん。映画始まる前に食べきらないでくださいよ?」

 

そう言う陽菜にも、ポップコーンを一つだけ口に押し込んだ。

驚いた様に目を見開き、その味を堪能する。

 

「……美味しい」

 

「でしょ?ほら、そろそろ入場だからトイレ済ませて来な」

 

そうして陽菜がトイレに向かい、しばらく1人で待ちぼうけをする。

なんだか、陽菜と映画館に来るのって初めてだから緊張してくるな……まあ、始まってしまえばどうとことない。

せめてそれまでは……陽菜の表情を堪能しよう。

 

「お待たせしました!」

 

噂をすれば……か。

 

「行こうか、もう入れるみたいだし」

 

2人で券を渡して中に入る。

 

取った座席は真ん中ほどのところを隣同士で。

2人で座って直ぐに広告が始まる……タイミング的にはバッチリだ。

 

だがその中のうちの一つ……結婚式場のCMが流れ始めた時に、隣からものすごい視線を送られる。

……いや、わかるけどさ陽菜。

そこまで露骨にしなくてもっ!

 

そんなことがありつつも、映画本編は始まる。

 

2人でポップコーンをたべながら、ジュースを飲みながら観ていく。

 

あらすじとしては、年上の男性に惹かれた女子高校生が、だんだん自身の気持ちと向き合いながらもその男性に想いを告げる……と言うものだった。

 

「なんだかこのお話、昔のわたしみたいですね」

 

そう陽菜に言われて、確かにと納得してしまう。

 

あの頃は陽菜を避けたりもしてたんだっけ……今でこそこうしてるけど、やはり声優とマネージャーという関係から変わるのは怖かった。

 

しばらく物語は進んでいき、終盤に差し掛かったところでポスリと肩に重みを感じる。

見てみると、そこには静かな寝息を立てている陽菜がいた。

 

レッスンで疲れたのか、はしゃぎすぎたのか、肩を揺らしても起きない。

 

「どうしようこれ……映画に集中出来ない」

 

そこから陽菜は起きず、映画の内容は頭に入ってこないまま上映は終わった。

 

館内が明るくなってから陽菜が目を覚まして寝ていたことを謝られたが、さすがに言えなかった。

 

陽菜が寝ている最中に、暗いからと言って陽菜に散々キスやらなんやらしていた事を………。

 

 




こんばんは、レッド!です。

今回はかなり余裕を持って更新ですよ……!

今回は映画館に陽菜ちゃんとマネージャーが行きましたが楽しんでもらましたかね?

こういう話が読みたい!などのリクエストがあれば受け付けますので、どうぞ気軽に感想などにお書きください!!
ではでは!
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