夕焼け道を君と歩いて   作:赤瀬紅夜

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『三章』約束のリボン
リボンと捜索


これは、少し前のお話。

 

マネージャーはアニメの収録場所であるスタジオの玄関口という待ち合わせ場所で陽菜が到着するのを待っていた。

 

と言うのも、本日の収録は先方の挨拶を自分が済ませている間に陽菜がレッスンをしている為こうして集合するために待ち合わせている……というわけだ。

 

それも、今回は普通の収録ではない。

オンライン公開収録という初めての試みで、オンライン上に生で声を当てる場面を見せながら行う。

そのため、始まる30分程前には集合して欲しいという事だったが……。

 

「遅いな……」

 

日が高く昇った空を見上げて陽菜の到着をいまかいまかと待ちわびる。

そこまで遠い場所でもなかったから電車で来るように言っておいたけれどどこかで道を間違えたのかもしれない。

 

あと五分経ったら迎えに行こうと思ったところで、陽菜の姿が見える。

こちらに少し小走り気味で向かっているようだ。

 

レッスン着からは着替えたらしく、普段着を着ていたが急いでいて暑いのか、袖を7部ほど捲っていた。

 

「マネージャーさんっ……お待たせしました」

 

目の前で止まると、そう一息に言い切る。

 

「収録までは少し時間はあるけど、台本のチェックと他の声優さんたちに挨拶してきてね」

 

既に何回か収録に来ているとはいえ、この辺はしっかりしておかないと。

自分の言葉に陽菜が頷いたところで、奇妙な違和感を感じる。

 

なんだろうかと疑問に思って陽菜の頭に軽く触れる……と、そこで気がついた。

 

「陽菜、今日はリボン着けてきて無いんだね」

 

何気なく口に出して陽菜に知らせると、目の前の彼女は焦った様にして髪を確認する。

 

いつもの場所にリボンが無いと分かると、途端に焦った様に表情を硬らせる。

 

「マネージャーさん、わたし、どこかにリボン忘れて……と、取りに行ってきます!」

 

「ちょっと、陽菜落ち着いて!」

 

走って取りに戻ろうとする陽菜の肩を掴んでその場に留めさせる。

 

「離してくださいっ!」

 

掴んだ手の力を弱めずに陽菜に向けて言葉を紡ぐ。

 

「大丈夫だから、マネージャーとして責任を持って代わりを見つけてくる。だから陽菜は収録に向かってくれ」

 

陽菜の肩は震え、瞳には反抗の光が灯った。

だが、それの一瞬のことですぐさま陽菜は踵を返すと収録現場に向かった。

 

「マネージャーさん……わたし、信じてますからね」

 

その言葉に、自信たっぷりという風を装って語る。

 

「ああ、任せろ。何があっても陽菜が困る様な事にはしないから」

 

陽菜はその言葉を聞いて胸を撫で下ろし、歩いて行った。

 

その少し寂しげな背中を見送ってから息を整える。

 

「さて、探しますか」

 

ここは一息、気合を入れなくちゃいけないみたいだ。

 

 

各所のお店や雑貨屋を駆け回る。

それでもリボンは見つからない。

 

……それに近いものはあったが、髪に巻くには太すぎたりデザインがおかしかったりと散々だった。

 

「陽菜っ、待って……」

 

そう言いつつも最後の店にたどり着くも、そこにはリボンは置いてなかった。

 

仕方ないのか……?

とぼとぼと重い足を引きずって収録現場に向かう。

 

ビルに入ると、もうそろそろ収録が始まるとのことだった。

 

間に合わなかったのか……心の中で後悔が渦巻いていく。

 

「……きゃっ」

 

前をあまり見て歩いてなかったからか、人にぶつかってしまった。

 

パラパラと手に持っていた荷物が落ちてしまい、それを一緒になって拾い上げる。

 

「すいません……よく見てなくて」

 

どこかのメイクさんだろうか、メイク道具に髪を整える道具も落ちている。

だが、その中に陽菜が付けていたリボンにそっくりのものが落ちていた。

 

思わず手を伸ばして掴み取り、尋ねてしまう。

 

「あの……これは?」

 

それを視界に入れると、落とし主のその人は目を瞬いて受け取った。

 

「これは……髪に巻きつけるリボンみたいなので、よく使ってるので」

 

その言葉を聞いて、どうしても必要になってしまう。

どうするべきか……ここは、正直に言うしかない、か。

 

「あのっ、図々しいのは承知なんですがそれを譲って頂けませんか!?」

 

「えっと……それはどうして?」

 

不思議そうに首を傾げ、応答を求めてくる。

 

「それはですね、実はこれからウチの声優の収録が始まってその子の髪飾りに必要なんです」

 

どうかお願いしますっ!

 

そう言って頭を下げた。

ビルの廊下で、足を揃えて目の前の女性に頭を垂れた。

 

「いいですよ…….それくらい」

 

そう言ってリボンを手渡してくる。

 

その表情はにこやかだった……………

 

 

ここで、自分の記憶は途切れていた。




投稿できないかと思ったー!!!

こんばんは、レッド!です。

前回は不評でしたが、今回からバトンリレー編を少し抜けて少し前のお話に入りたいと思います。

と言うのも、前回で解釈違いを起こしたまま次の話に進むのが怖いので、前から用意していたお話を書いていきたいと思います。

ではでは!
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