夕焼け道を君と歩いて   作:赤瀬紅夜

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リボンと入院

「マネージャーさん!起きてください!」

 

そんな声で起こされる……目を覚ますと先ほどと同じ廊下に、寝転がっていたいたらしい。

陽菜が心配そうにこちらをみていた。

 

「ごめん……あっ、これリボン」

 

そう言って右手に握りしめていたリボンを陽菜に手渡す。

陽菜は困惑しながらもそれを手にとって、髪に巻き付けた。

 

……うん、これでこそいつもの陽菜だ。

 

「それじゃ、収録頑張って…」

 

立ち上がってそう言ったところで、またもや意識がぐらつき始める。

顔のすぐ近くに床があって、さっきまではっきり聞こえてきていたはずの陽菜の声は遠くに聞こえる。

 

あれ、どうしたんだろう?

 

そう思った時には、再び意識は無くなっていた。

 

 

 

 

次に目が覚めたのは白色の天井だった。

隣からは機械的な音がする……ここはもしかして病院だろうか?

 

身体を起こしてみると、自分が寝巻きの様な……病院服を着ていることに気づく。

あたりを見渡すとここはどうやら個室の様だ。

 

「どうしてこんなところに……」

 

陽菜と一緒にオーディションに行っていたはずが……ん?

 

記憶が抜け落ちているからか、あまりはっきりと思い出せない。

 

最後に自分を呼ぶ声だけが聞こえていた様な?

 

うんうんと唸っていると、扉が開きそこから医者らしき風貌の男が入ってきた。

 

「どうやら意識を取り戻した様だね」

 

椅子に座ってこちらを向くと、身体を軽く診てから明日には退院だね、と呟く。

 

「あの……自分は何を?」

 

カエルの様に見える不思議な医者に尋ねる。

陽菜がどこに行ったのかも聞きたい。

 

「そうだね、まずは過労によって倒れた……それに軽い記憶障害が残っているらしいね」

 

床に強く頭をぶつけてね、とカルテを見ながら言った。

 

たったそれだけのことで大袈裟な、と思ったけど、陽菜ならやりかねない。

 

身体を労ってくれるのは嬉しいけど、やっぱり心配性なところがあるから……。

 

「あの……自分を連れてきてくれた女の子が居ませんでした?」

 

そう尋ねると、医者はにこやかに言った。

 

「確かにいたよ、リボンを髪に巻き付けてとても心配そうにね」

 

やはり陽菜が運んでくれたのか……ありがたい様な、やりすぎな様な。

 

それじゃあ、これで失礼するよ。

そう言ってカエル顔の医者は去っていった。

 

入院まですることになるとは思わなかったけど、明日には退院するらしいし、ここは休んでおこう。

そう思ってベットに寝転がる。

 

そう言えば身の回りの品が見当たらなかったけれどどこに置いてあるのだろうか?

一応社長たちにも連絡しなきゃな……そう考えていたところで心地よい眠気に襲われた。

抵抗も虚しく、そのまま眠りについてしまった。

 

 

 

翌朝……スマホの目覚ましの音で目が覚める。

よく音を聞いてみると引き出しの中に鞄と一緒に置いてあった、きっと陽菜がやってくれたんだろう。

 

スマホを手にとって連絡事項を確認する。

 

事務所からしっかり休めとの旨のメール、陽菜からの心配をしたと言うメール、不在着信が4件……。

 

特に異常は無い様だった。

 

ホッと一息ついたところで、看護師さんが院内色を持ってきてくれてそれを口に運びながらこれからの予定を組み立てていく。

 

今日のお昼には退院なので、それまでに陽菜に連絡を入れなくては。

 

そう思ったところで気がつく。

 

自分の優先事項の1番最初が陽菜になっていると言うことに。

 

以前までの自分だったら真っ先に仕事をとっていただろう。

 

それがここまで変わったのだ、自分もすっかり陽菜にゾッコンらしい。

 

思わずにやけてしまう。

こんなに幸せなこと無いな、と噛み締めながら陽菜の携帯に電話を掛けた。

 

元気だよ、と心配をかけない様に伝えるために。




今回はまさかのマネージャーが入院してしまうところまで書きました!

過労でぶっ倒れるくらい働き詰めってやばい……。

そんな訳でまた明日に続きます!

多分5話編成くらいになるかな?

ではでは〜!
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