お昼を過ぎた辺りだったので、陽菜はまだレッスン……と思ったら、どうやら家にいるらしい。
駅から出てしばらく歩く……そう言えば陽菜がここに引っ越すと決めた日からずっとこうして電車を乗り継いで向かってる気がする。
もちろん、日によって陽菜がこっちのマンションに来ることもある。
割合的にはほぼ同じだが、それでも陽菜の家に向かう時……この時は、1番陽菜のことを考えてしまう。
もちろんレッスン中だって、事務所からの帰り道だって、陽菜のことは頭にある。
……だが、これから陽菜に会えるという瞬間を味わうために歩くこの時が……好きなんだと思う。
「……着いた」
今思えば退院したばかりなのに、すぐさま出歩いて良いのだろうかと疑問に思うが、医者からの許可も出たし良いんだろう。
合鍵を差し込んで扉に手をかける。
「ただいま…」
そう言って中に入ると、トタトタと階段を降りる足音が聞こえて来る。
「お帰りなさいっ、マネージャーさん!」
涙を浮かべた陽菜が、玄関に辿りつくなり抱きついてくる……それを優しく抱き止める。
良かった……良かった……と泣きながら言う陽菜の頭を撫でる。
髪の感触が心地いい……。
「全く、陽菜は心配性なんだから」
すこし嗜めるように言う。
現にさっきの事より前にも、陽菜が心配になってしまうのは多くあった。
それでも、今回はとびきりだった。
それだけ自分が陽菜から大切に思われている、そう思うと救われた気がした。
「心配にもなります!わたしの目の前で倒れてっ……死んじゃうかと思いました」
涙を流しながら陽菜は言う。
自分を抱きしめた彼女の腕の力が強くなる。
「ごめん、許してくれる?」
「許しません!ずっとこうして抱きしめてくれなきゃ許しませんからっ!」
首を横に激しく振って、陽菜は涙を流す。
肩が陽菜の涙で濡れていく。
「分かったから……もう泣かないで」
陽菜の頭を身体を包み込むようにして抱きしめる。
ぽんぽんと背中を優しく叩く。
ただ、それだけで時間が過ぎる。
玄関で泣きじゃくってる陽菜を抱きしめて、それから十数分後……陽菜がようやく離れてくれた。
「マネージャーさん、その、お疲れ様でした」
恥ずかしげに俯いてそう言う陽菜に、ありがとうとお礼を言う。
心配をかけてしまったことは確かだ。
それに仕事にだって支障は出てるかもしれない。
目の前の陽菜は自分のことをこんなにも心配してくれたんだ。
その想いを無駄にしないためにも、これからは身体のことも気をつけよう。
そう、この身体は最早、自分だけのものでは無いのだから。
という事で!!
リボン編は終了です!!!
少し短めとなりましたが、次からはバトン編に戻ります!
少し連載をお休みしますが、お楽しみに〜!