夕焼け道を君と歩いて   作:赤瀬紅夜

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お昼ご飯を食べに。

レッスン中の陽菜は真剣そのものだ。

口の動かし方、呼吸への意識、練習する周囲への配慮。

多くのことに気をつけながらも、自信を持ちながら、自身をさらに高めるために日々練習を怠らない。

何時間か経ち、陽菜がレッスン室から帰ってきた。

水分を渡してなんとかねぎらいの言葉をかける。

「陽菜、お疲れ様。今日のレッスンは大変だったでしょ」

久しぶりに体も動かしていたらしいし、負担は大きかったはずだ。

だが、そんな心配をよそに、陽菜は楽しそうに笑った。

「いえ、とっても楽しかったです」

ペットボトルに口をつけながら、2人で椅子に腰掛ける。

「最近、声の出し方が楽になってきたというか……色んな音が出せるような気がしてきたんです」

色んな音……か。

声色という意味なのか、様々な性格のキャラクターを演じるようにできてきた、ということなのか判断し兼ねるが、陽菜にとってさらなる成長の兆しなのだろう。

「これからお昼なんだけど……陽菜が良ければどこかに食べにいかない?」

そう問いかけると、陽菜は快く頷いてから、着替えてくるので待っていてくださいと言い残してシャワー室に向かった。

 

陽菜をどこに連れて行こうか。

昼休憩の時間はお世辞にも長いわけでは無いから遠くに行くことはできないし、少し高級なお店に行くにしてもお金の心配もある以上そうそう行けたものではない。

ファミレスか、どこかのハンバーガー屋さんが妥当かな。

陽菜には申し訳ないけれど、あまり良いところには行けないようだった。

 

「マネージャーさん、お待たせしました」

行く時と同じ私服に身を包んだ陽菜と待ち合わせて事務所を出る。

 

春が近づいてきたとはいえ、まだ外は寒い。

悴んだ指を温めるように息を吐いていた陽菜の手を握る。

今くらいだったら別に握っても良いだろう。

「マネージャーさん、良いんですか?」

恥ずかしそうに俯いて尋ねてくる陽菜に、大丈夫だと答える。

目的のファミレスに着いたところで、店内に入る。

 

2人で対面に座り、メニューを広げる。

「わたし、こういうお店久しぶりで……えっと、このカルボナーラスパゲッティにしようかな」

店員さん呼んで注文をする。

「すいません、カルボナーラスパゲッティと、ハンバーグセットお願いします」

 

そうして注文の品が運び込まれるまでの間、なんとなく居心地が悪くなってしまう。

 

「そういえば……今朝、陽菜は志穂と何を話していたの?」

 

「志穂ちゃん、最近運動不足らしくて、ほのかちゃんと走り込みに行くって言ってたんです」

 

「自ら運動をね……彼女も変わったね」

 

「ふふ、そうですね」

 

すると、パスタとハンバーグは運ばれてきた。

 

「それじゃあ、食べようか」

 

「はい!」

 

少しだけ幸福な昼食をとって、2人で事務所に戻った。

 




とまぁ、こんな感じで第3話かな?更新です。

まったりとした日常回が続いて、しばらくしたら本編への本腰を入れたいと思います!

ではでは!
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